JP2004269638A - 誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性を有し、誘導放出光増幅光波照射部分が鮮明に発色する樹脂成型物を提供すること。
【解決手段】遷移金属を含むケイ素化合物を含有する誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。遷移金属を含むケイ素化合物がゼオライト、またはシリカである誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。ケイ素化合物における遷移金属の含有量が1〜60重量%である、誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物を用いて得られる成型物。成型物に誘導放出光増幅光波を照射して印字する印字方法。
【選択図】なし
【解決手段】遷移金属を含むケイ素化合物を含有する誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。遷移金属を含むケイ素化合物がゼオライト、またはシリカである誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。ケイ素化合物における遷移金属の含有量が1〜60重量%である、誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物を用いて得られる成型物。成型物に誘導放出光増幅光波を照射して印字する印字方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物、その成型物、及び印字方法に関するものである。更に詳しくは、誘導放出光増幅光波の照射により視認性が高く鮮明な黒発色をする誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物、その成型物、及び印字方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、シート、包装シート、卵パック、カード、食品、化粧品、トイレタリー用品或は医薬品等の各種容器、容器キャップ等のプラスチック樹脂成形品表面にへの印字は、インクジェット方式が主流であるが、インキのニジミ、文字の欠け、あるいはインクジェット装置のメンテナンス面において多くの問題点を抱えている。その一方、印字工程の自動化、無人化を進める動きの中で、非接触で且つ印字速度の早い、誘導放出光増幅光波による印字方法が普及しつつある。
【0003】
しかし、樹脂成形品に誘導放出光増幅光波で印字を施しても、誘導放出光増幅光波が樹脂を透過して印字出来なかったり、誘導放出光増幅光波を樹脂が吸収して蝕刻が生じても、樹脂が溶融するだけで鮮明な印字が出来なかったり、または樹脂に着色剤を添加しても鮮明に印字が発色しない等、印字の視認性に乏しい。これより工程管理面において、例えばその機械読み取り性の点で不具合を生じていた。
【0004】
上記問題点を解決するため、樹脂成型物に誘導放出光増幅光波による印字を適用するにあたり、鮮明に発色する発色材料の検討がなされている。例えば、銅化合物(例えば特許文献1参照)、水銀、コバルト、ビスマス、ニッケル等の金属化合物(例えば特許文献2参照)、炭酸カルシウム(例えば特許文献3参照)を使用する技術が一般に知られている。
【0005】
しかし、これらの化合物や遷移金属化合物は、誘導放出光増幅光波に対する感度が弱く、印字の視認性が十分でなかった。さらに弁柄等のように化合物自体が着色しているため成型物が着色されるため、使用範囲に制限があるという問題点を有していた。
【0006】
また、ポリエステル樹脂系粉体塗料においては、雲母を20〜50%及び溶融シリカや炭酸カルシウムを50〜80%添加した場合、印字性が良好なことはすでに知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、添加剤が多いと成型物の色相や色調に悪影響を与えたり、成型物製造の際にメルトフローが低くなり成型性に悪影響を与えるという問題があった。また、添加剤の種類によっては研磨性が高くなり成型や混練機を傷めるという問題も生じていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−8756号公報
【特許文献2】
特開昭63−239059号公報
【特許文献3】
特開2002−309104号公報
【特許文献4】
特開昭60−226554号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、樹脂成型物の成型性を損なわず、誘導放出光増幅光波の照射により視認性が高く鮮明な印字が得られる樹脂組成物、成型物を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到ったものである。即ち、本発明は、(1)遷移金属を含むケイ素化合物を含有する誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物、(2)ケイ素化合物がゼオライトである(1)の印字用樹脂組成物、(3)ケイ素化合物が多孔質シリカである(1)の印字用樹脂組成物、(4)ケイ素化合物における遷移金属の含有量が1〜60重量%である(1)〜(3)いずれかの印字用樹脂組成物、(5)(1)〜(4)いずれかの印字用樹脂組成物を使用した成型物。(6)遷移金属の含有量が0.005〜10重量%である(5)の成型物。(7)(5)または(6)の成型物に誘導放出光増幅光波を照射して印字する成型物の印字方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂の場合、JIS K7210に準拠して測定されたメルトインデックス(MI)の値が0.01〜100の範囲であり、更に0.02〜80の範囲が好ましい。
【0011】
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート及びこれらの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、
【0012】
ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))、全芳香族ポリエステル等のポリエステル類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、フツ素樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられる。特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸が好ましい。
【0013】
熱硬化性樹脂の具体例としてはエポキシ樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂があげられ、特に好ましいものはエポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。
【0014】
光硬化性樹脂は、一般には紫外線硬化型樹脂として知られており、ラジカル重合型、カチオン重合型の樹脂がある。ラジカル重合型樹脂の具体例としては多価アルコール、ポリエーテル系、不飽和ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル/ウレタン系、ポリアセタール系、ポリブタジエン系の各種アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及びそのオリゴマーが、また、カチオン重合型樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂及びエポキシ系希釈剤がそれぞれ挙げられる。
【0015】
本発明で用いられる遷移金属を含むケイ素化合物は、誘導放出光増幅光波で印字されると発色剤、特に黒色に発色する発色剤として作用する。
遷移金属を含むケイ素化合物の重量平均粒径は特に制限はない。しかし、誘導放出現象を利用した増幅光波における印字用樹脂(成型樹脂)の色調への影響と成型物の形状を考慮すると、30μm以下が好ましい。更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは3μm程度以下である。下限はサブミクロンオーダーである。
【0016】
ケイ素化合物としてはシリカ、多孔性シリカや、ゼオライト等のケイ酸化合物が挙げられる。
また、遷移金属の例としてはスカンジウム、イットリウム、インジウム、クロム、ニッケル、銅、ニオブ、モリブテン、テクネチウム、ルビジウム、カドミニウム、ロジウム、ハーフニウム、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、鉄、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、バリウム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、鉛、アンチモン、ビスマス、錫等が挙げられ、好ましくは銅、イットリウム、インジウム、クロム、二オブ、タングステン、鉄、ジルコニウム、マンガン、コバルト、チタン等が挙げられる。
【0017】
遷移金属を含むケイ素化合物の具体例としては銅ゼオライト、ニッケルゼオライト、鉄ゼオライト、タングステンゼオライト、マンガンゼオライト等が挙げられる。ケイ素化合物における遷移金属の割合は1〜60重量%が好ましく、特に20〜40重量%が好ましい。
【0018】
本発明で用いられる遷移金属を含むケイ素化合物は、例えばゼオライトの場合は、上記遷移金属をイオン交換により含有させて得られる。イオン交換時の好ましいpHは3〜10、更に好ましくはpH5〜9、特に好ましくはpH6〜8である。また、シリカの場合は、合成時に上記遷移金属を含有させて得られる。
【0019】
本発明において、ケイ素化合物自体が着色していない為、着色していない透明な成型物を得ることができる。そして、ケイ素化合物の増感作用と遷移金属における感度の相乗作用により、誘導放出光増幅光に対する感度が強くなる。また、発色剤(遷移金属を含むケイ素化合物)の添加量が少ないので、樹脂の脆性、加工性等の物性に与える影響がほとんどない。
【0020】
本発明の樹脂組成物または成型物には、必要に応じて添加剤を加えることが出来る。添加剤としては例えば着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤等が挙げられる。
【0021】
使用できる着色剤には特に制限はないが、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、ベンガラ、コバルト紫、群青、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。これらの有機顔料及び無機顔料は、発色した印字の鮮明性に影響を与えない範囲、例えば成型物において0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0022】
充填剤の例としては炭酸カルシウム、アルミナ、硝子繊維等、通常樹脂に用いられる充填剤が挙げられる。これらは発色した印字の鮮明性に影響を与えない範囲、例えば成型物において0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0023】
滑剤としては例えばステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル。又は塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、グリセリンワックス等のワックス類及び各種界面活性剤が用いられる。これらは成型物に対して0.1〜5重量%の割合で添加される。
【0024】
可塑剤としては例えばフタル酸、リン酸、セバシン酸等のエステルが挙げられる。その他、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤等通常プラスチックの加工の際に常用されている添加剤を添加してもよい。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を作製する際に粉末のまま添加しても良い。また、コンパウンドやマスターバッチの形態で用いても良い。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物と必要に応じて上記の添加剤を樹脂に加えて、エクストルーダー、2軸ニーダー、ロールミル等の混練機を用いて均一に混合することにより得られる。ペレット状やマーブル状等の所望の形状に成型してもよい。
本発明の樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物の濃度の高いマスターバッチでも良い。マスターバッチの場合、成型物製造の際に成型樹脂を添加しマスターバッチ濃度を希釈して成型物が得られる。
【0026】
また、本発明の樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物の濃度が成型物と同じ、成型物と同じ組成であるコンパウンドでも良い。コンパウンドの場合、そのままの組成で成型物を製造できる。
【0027】
本発明の成型物における遷移金属を含むケイ素化合物の使用量は、下限が0.005重量%、好ましくは0.1重量%、更に好ましくは0.5重量%、特に好ましくは1重量%であり、上限が10重量%、好ましくは5重量%、更に好ましくは3重量%、特に好ましくは1重量%程度がよい。製品の色相や色調、特に樹脂への影響を極力抑えるためには上限を1重量%未満程度にすればよい。使用量が少なすぎると印字部の黒発色度合いが薄くなり印字の視認性に欠ける。また、使用量が多すぎると、印字の視認性は良いが成型性、色調が悪くなる。
【0028】
樹脂成型物の例としては容器、キャップ、部品等の3次元成型物、フィルム、、シート、テープ等の2次元成型物等が挙げられる。これらの成型物は多層構成をもつものでも良い。
【0029】
3次元成型物は、その成型物に応じて射出成型、押し出し成型、中空成型、回転成型、粉末成型、真空成型等公知の方法で成型される。その具体例としては食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の透明容器及びそのキャップ類が挙げられる。
【0030】
2次元成型物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法、チューブラフィルム法等公知の方法で成型される。このようにして得られた2次元成型物は食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、絶縁材料、農業用フィルム、各種シート、各種シール、ラベル等通常の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる分野と同様の分野で用いられる。
【0031】
また、フィルムは各種基材即ちクラフト紙や上質紙などの紙類、プラスチックフィルム類、アルミニウム等の金属箔等と密着させてラミネートとすることが出来る。得られたラミネートは牛乳、酒類等の食品容器、医薬品の包装材料、食品の包装材料、各種シート、各種シール、ラベル等の用途がある。
【0032】
得られた2次元又は3次元成型物の表面に、誘導放出光増幅光波を照射することにより、照射部分に黒色で鮮明な印字が得られる。印字可能な誘導放出光増幅光波としては、例えば炭酸ガスを用いた誘導放出光増幅光波(波長約10600nm)等の遠赤外線、バナジウム酸イットリウムやイットリウム−ガリウム−アルミニウム等の半導体を用いた誘導放出光増幅光波(波長約1064nm)及びその第2次高調波(波長約532nm)等が挙げられる。赤外線の誘導放出光増幅光波が好ましく、特に近赤外線の誘導放出光増幅光波が好ましい。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を具体的に実施例をもって説明するが、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の記載において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
(1)コンパウンドの製造
[実施例1〜21]
表1に示した成分(ア)、成分(イ)を均一混合し、直径30mmの二軸押出機を用い、スクリュー回転数250rpmにて溶融混練してコンパウンドを得た。溶融混練の際の温度は、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0034】
【表1】
【0035】
[比較例1〜15]
表2に示した成分(ア)、成分(イ)について、実施例1〜21と同様にしてコンパウンドを得た。
【0036】
【表2】
【0037】
(2)マスターバッチの製造
[実施例22〜42]
表3に示した成分(ア)、成分(イ)を均一混合し、直径30mmの二軸押出機を用い、スクリュー回転数250rpmにて溶融混練しマスターバッチを得た。溶融混練の際の温度は、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0038】
【表3】
【0039】
[比較例16〜28]
表4に示した成分(ア)、成分(イ)について、実施例22〜42と同様にしてマスターバッチを得た。
【0040】
【表4】
【0041】
実施例1〜21、比較例1〜15で得られたコンパウンドを、ラボプラストミル(φ20、L/D20:東洋精機社製)にてTダイ(150mmハンガータイプ)を用いてフィルム(厚さ50μm)成型した。この際、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0042】
また、実施例22〜42、比較例16〜28で得られたマスターバッチは、それぞれベース樹脂(各々成分(イ)で用いた樹脂と同じ樹脂を用いた。)で20倍希釈し混合した。その混合物を、ラボプラストミル(φ20、L/D20:東洋精機社製)にてTダイ(150mmハンガータイプ)を用いてフィルム(厚さ50μm)成型した。この際、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0043】
得られたフィルムについて以下の評価を行い、結果を表5、6に示した。
(1)透明性評価:フィルムの非印字部をヘーズメーター(ヘーズガードプラスガードナー社製)を用いヘーズを測定した。
○:ヘーズ15未満
△:ヘーズ15〜20未満
×:ヘーズ20以上
【0044】
(2)色相評価:測色機(AUCOLOR7X:クラボウ社製)を用い、フィルムの非印字部の色相を測定した。成分(ア)未添加フィルムを基準とし、色差△Eで判定を行った。
○:△E 4未満
△:△E 4〜6未満
×:△E 6以上
【0045】
(3)印字試験:フィルムにYVO4レーザー光を照射した。条件は周波数40000Hz、印字速度300mm/s、出力15Wで行った。得られた黒色マーキングの鮮明性を目視判定した。
○:マーキング視認性良好で鮮明な黒発色。
△:マーキング視認性良好な黒発色。
×:マーキング視認性十分(黒発色せず)。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【発明の効果】
本発明の誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物を含有するので、良好な成型物が得られる。
本発明の成型物は、発色剤の使用量が少量であるため、樹脂の脆性、成型性や研磨性等に影響を与えることがない。また、樹脂の色相や色調に及ぼす影響を最小限に押さえることができる。
【0049】
本発明の成型物に誘導放出現光増幅光波を照射すると、視認性良好かつ鮮明な黒色印字が可能である。また、樹脂の色相や色調に及ぼす影響を最小限に押さえることができ、特に透明性が重視される容器類の表面に鮮明な印字ができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物、その成型物、及び印字方法に関するものである。更に詳しくは、誘導放出光増幅光波の照射により視認性が高く鮮明な黒発色をする誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物、その成型物、及び印字方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、シート、包装シート、卵パック、カード、食品、化粧品、トイレタリー用品或は医薬品等の各種容器、容器キャップ等のプラスチック樹脂成形品表面にへの印字は、インクジェット方式が主流であるが、インキのニジミ、文字の欠け、あるいはインクジェット装置のメンテナンス面において多くの問題点を抱えている。その一方、印字工程の自動化、無人化を進める動きの中で、非接触で且つ印字速度の早い、誘導放出光増幅光波による印字方法が普及しつつある。
【0003】
しかし、樹脂成形品に誘導放出光増幅光波で印字を施しても、誘導放出光増幅光波が樹脂を透過して印字出来なかったり、誘導放出光増幅光波を樹脂が吸収して蝕刻が生じても、樹脂が溶融するだけで鮮明な印字が出来なかったり、または樹脂に着色剤を添加しても鮮明に印字が発色しない等、印字の視認性に乏しい。これより工程管理面において、例えばその機械読み取り性の点で不具合を生じていた。
【0004】
上記問題点を解決するため、樹脂成型物に誘導放出光増幅光波による印字を適用するにあたり、鮮明に発色する発色材料の検討がなされている。例えば、銅化合物(例えば特許文献1参照)、水銀、コバルト、ビスマス、ニッケル等の金属化合物(例えば特許文献2参照)、炭酸カルシウム(例えば特許文献3参照)を使用する技術が一般に知られている。
【0005】
しかし、これらの化合物や遷移金属化合物は、誘導放出光増幅光波に対する感度が弱く、印字の視認性が十分でなかった。さらに弁柄等のように化合物自体が着色しているため成型物が着色されるため、使用範囲に制限があるという問題点を有していた。
【0006】
また、ポリエステル樹脂系粉体塗料においては、雲母を20〜50%及び溶融シリカや炭酸カルシウムを50〜80%添加した場合、印字性が良好なことはすでに知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、添加剤が多いと成型物の色相や色調に悪影響を与えたり、成型物製造の際にメルトフローが低くなり成型性に悪影響を与えるという問題があった。また、添加剤の種類によっては研磨性が高くなり成型や混練機を傷めるという問題も生じていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−8756号公報
【特許文献2】
特開昭63−239059号公報
【特許文献3】
特開2002−309104号公報
【特許文献4】
特開昭60−226554号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、樹脂成型物の成型性を損なわず、誘導放出光増幅光波の照射により視認性が高く鮮明な印字が得られる樹脂組成物、成型物を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到ったものである。即ち、本発明は、(1)遷移金属を含むケイ素化合物を含有する誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物、(2)ケイ素化合物がゼオライトである(1)の印字用樹脂組成物、(3)ケイ素化合物が多孔質シリカである(1)の印字用樹脂組成物、(4)ケイ素化合物における遷移金属の含有量が1〜60重量%である(1)〜(3)いずれかの印字用樹脂組成物、(5)(1)〜(4)いずれかの印字用樹脂組成物を使用した成型物。(6)遷移金属の含有量が0.005〜10重量%である(5)の成型物。(7)(5)または(6)の成型物に誘導放出光増幅光波を照射して印字する成型物の印字方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂の場合、JIS K7210に準拠して測定されたメルトインデックス(MI)の値が0.01〜100の範囲であり、更に0.02〜80の範囲が好ましい。
【0011】
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート及びこれらの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、
【0012】
ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))、全芳香族ポリエステル等のポリエステル類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、フツ素樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられる。特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸が好ましい。
【0013】
熱硬化性樹脂の具体例としてはエポキシ樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂があげられ、特に好ましいものはエポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。
【0014】
光硬化性樹脂は、一般には紫外線硬化型樹脂として知られており、ラジカル重合型、カチオン重合型の樹脂がある。ラジカル重合型樹脂の具体例としては多価アルコール、ポリエーテル系、不飽和ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル/ウレタン系、ポリアセタール系、ポリブタジエン系の各種アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及びそのオリゴマーが、また、カチオン重合型樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂及びエポキシ系希釈剤がそれぞれ挙げられる。
【0015】
本発明で用いられる遷移金属を含むケイ素化合物は、誘導放出光増幅光波で印字されると発色剤、特に黒色に発色する発色剤として作用する。
遷移金属を含むケイ素化合物の重量平均粒径は特に制限はない。しかし、誘導放出現象を利用した増幅光波における印字用樹脂(成型樹脂)の色調への影響と成型物の形状を考慮すると、30μm以下が好ましい。更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは3μm程度以下である。下限はサブミクロンオーダーである。
【0016】
ケイ素化合物としてはシリカ、多孔性シリカや、ゼオライト等のケイ酸化合物が挙げられる。
また、遷移金属の例としてはスカンジウム、イットリウム、インジウム、クロム、ニッケル、銅、ニオブ、モリブテン、テクネチウム、ルビジウム、カドミニウム、ロジウム、ハーフニウム、タンタル、タングステン、オスミウム、白金、鉄、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、バリウム、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、鉛、アンチモン、ビスマス、錫等が挙げられ、好ましくは銅、イットリウム、インジウム、クロム、二オブ、タングステン、鉄、ジルコニウム、マンガン、コバルト、チタン等が挙げられる。
【0017】
遷移金属を含むケイ素化合物の具体例としては銅ゼオライト、ニッケルゼオライト、鉄ゼオライト、タングステンゼオライト、マンガンゼオライト等が挙げられる。ケイ素化合物における遷移金属の割合は1〜60重量%が好ましく、特に20〜40重量%が好ましい。
【0018】
本発明で用いられる遷移金属を含むケイ素化合物は、例えばゼオライトの場合は、上記遷移金属をイオン交換により含有させて得られる。イオン交換時の好ましいpHは3〜10、更に好ましくはpH5〜9、特に好ましくはpH6〜8である。また、シリカの場合は、合成時に上記遷移金属を含有させて得られる。
【0019】
本発明において、ケイ素化合物自体が着色していない為、着色していない透明な成型物を得ることができる。そして、ケイ素化合物の増感作用と遷移金属における感度の相乗作用により、誘導放出光増幅光に対する感度が強くなる。また、発色剤(遷移金属を含むケイ素化合物)の添加量が少ないので、樹脂の脆性、加工性等の物性に与える影響がほとんどない。
【0020】
本発明の樹脂組成物または成型物には、必要に応じて添加剤を加えることが出来る。添加剤としては例えば着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤等が挙げられる。
【0021】
使用できる着色剤には特に制限はないが、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、ベンガラ、コバルト紫、群青、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。これらの有機顔料及び無機顔料は、発色した印字の鮮明性に影響を与えない範囲、例えば成型物において0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0022】
充填剤の例としては炭酸カルシウム、アルミナ、硝子繊維等、通常樹脂に用いられる充填剤が挙げられる。これらは発色した印字の鮮明性に影響を与えない範囲、例えば成型物において0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0023】
滑剤としては例えばステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル。又は塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、グリセリンワックス等のワックス類及び各種界面活性剤が用いられる。これらは成型物に対して0.1〜5重量%の割合で添加される。
【0024】
可塑剤としては例えばフタル酸、リン酸、セバシン酸等のエステルが挙げられる。その他、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤等通常プラスチックの加工の際に常用されている添加剤を添加してもよい。これらの添加剤は、本発明の樹脂組成物を作製する際に粉末のまま添加しても良い。また、コンパウンドやマスターバッチの形態で用いても良い。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物と必要に応じて上記の添加剤を樹脂に加えて、エクストルーダー、2軸ニーダー、ロールミル等の混練機を用いて均一に混合することにより得られる。ペレット状やマーブル状等の所望の形状に成型してもよい。
本発明の樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物の濃度の高いマスターバッチでも良い。マスターバッチの場合、成型物製造の際に成型樹脂を添加しマスターバッチ濃度を希釈して成型物が得られる。
【0026】
また、本発明の樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物の濃度が成型物と同じ、成型物と同じ組成であるコンパウンドでも良い。コンパウンドの場合、そのままの組成で成型物を製造できる。
【0027】
本発明の成型物における遷移金属を含むケイ素化合物の使用量は、下限が0.005重量%、好ましくは0.1重量%、更に好ましくは0.5重量%、特に好ましくは1重量%であり、上限が10重量%、好ましくは5重量%、更に好ましくは3重量%、特に好ましくは1重量%程度がよい。製品の色相や色調、特に樹脂への影響を極力抑えるためには上限を1重量%未満程度にすればよい。使用量が少なすぎると印字部の黒発色度合いが薄くなり印字の視認性に欠ける。また、使用量が多すぎると、印字の視認性は良いが成型性、色調が悪くなる。
【0028】
樹脂成型物の例としては容器、キャップ、部品等の3次元成型物、フィルム、、シート、テープ等の2次元成型物等が挙げられる。これらの成型物は多層構成をもつものでも良い。
【0029】
3次元成型物は、その成型物に応じて射出成型、押し出し成型、中空成型、回転成型、粉末成型、真空成型等公知の方法で成型される。その具体例としては食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の透明容器及びそのキャップ類が挙げられる。
【0030】
2次元成型物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法、チューブラフィルム法等公知の方法で成型される。このようにして得られた2次元成型物は食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、絶縁材料、農業用フィルム、各種シート、各種シール、ラベル等通常の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる分野と同様の分野で用いられる。
【0031】
また、フィルムは各種基材即ちクラフト紙や上質紙などの紙類、プラスチックフィルム類、アルミニウム等の金属箔等と密着させてラミネートとすることが出来る。得られたラミネートは牛乳、酒類等の食品容器、医薬品の包装材料、食品の包装材料、各種シート、各種シール、ラベル等の用途がある。
【0032】
得られた2次元又は3次元成型物の表面に、誘導放出光増幅光波を照射することにより、照射部分に黒色で鮮明な印字が得られる。印字可能な誘導放出光増幅光波としては、例えば炭酸ガスを用いた誘導放出光増幅光波(波長約10600nm)等の遠赤外線、バナジウム酸イットリウムやイットリウム−ガリウム−アルミニウム等の半導体を用いた誘導放出光増幅光波(波長約1064nm)及びその第2次高調波(波長約532nm)等が挙げられる。赤外線の誘導放出光増幅光波が好ましく、特に近赤外線の誘導放出光増幅光波が好ましい。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を具体的に実施例をもって説明するが、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の記載において、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ表す。
(1)コンパウンドの製造
[実施例1〜21]
表1に示した成分(ア)、成分(イ)を均一混合し、直径30mmの二軸押出機を用い、スクリュー回転数250rpmにて溶融混練してコンパウンドを得た。溶融混練の際の温度は、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0034】
【表1】
【0035】
[比較例1〜15]
表2に示した成分(ア)、成分(イ)について、実施例1〜21と同様にしてコンパウンドを得た。
【0036】
【表2】
【0037】
(2)マスターバッチの製造
[実施例22〜42]
表3に示した成分(ア)、成分(イ)を均一混合し、直径30mmの二軸押出機を用い、スクリュー回転数250rpmにて溶融混練しマスターバッチを得た。溶融混練の際の温度は、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0038】
【表3】
【0039】
[比較例16〜28]
表4に示した成分(ア)、成分(イ)について、実施例22〜42と同様にしてマスターバッチを得た。
【0040】
【表4】
【0041】
実施例1〜21、比較例1〜15で得られたコンパウンドを、ラボプラストミル(φ20、L/D20:東洋精機社製)にてTダイ(150mmハンガータイプ)を用いてフィルム(厚さ50μm)成型した。この際、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0042】
また、実施例22〜42、比較例16〜28で得られたマスターバッチは、それぞれベース樹脂(各々成分(イ)で用いた樹脂と同じ樹脂を用いた。)で20倍希釈し混合した。その混合物を、ラボプラストミル(φ20、L/D20:東洋精機社製)にてTダイ(150mmハンガータイプ)を用いてフィルム(厚さ50μm)成型した。この際、成分(イ)がPET、PCの場合は設定温度280℃、PLA、PP、ABSの場合は設定温度200℃、PE、エポキシの場合は設定温度160℃で行った。
【0043】
得られたフィルムについて以下の評価を行い、結果を表5、6に示した。
(1)透明性評価:フィルムの非印字部をヘーズメーター(ヘーズガードプラスガードナー社製)を用いヘーズを測定した。
○:ヘーズ15未満
△:ヘーズ15〜20未満
×:ヘーズ20以上
【0044】
(2)色相評価:測色機(AUCOLOR7X:クラボウ社製)を用い、フィルムの非印字部の色相を測定した。成分(ア)未添加フィルムを基準とし、色差△Eで判定を行った。
○:△E 4未満
△:△E 4〜6未満
×:△E 6以上
【0045】
(3)印字試験:フィルムにYVO4レーザー光を照射した。条件は周波数40000Hz、印字速度300mm/s、出力15Wで行った。得られた黒色マーキングの鮮明性を目視判定した。
○:マーキング視認性良好で鮮明な黒発色。
△:マーキング視認性良好な黒発色。
×:マーキング視認性十分(黒発色せず)。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】
【発明の効果】
本発明の誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物は、遷移金属を含むケイ素化合物を含有するので、良好な成型物が得られる。
本発明の成型物は、発色剤の使用量が少量であるため、樹脂の脆性、成型性や研磨性等に影響を与えることがない。また、樹脂の色相や色調に及ぼす影響を最小限に押さえることができる。
【0049】
本発明の成型物に誘導放出現光増幅光波を照射すると、視認性良好かつ鮮明な黒色印字が可能である。また、樹脂の色相や色調に及ぼす影響を最小限に押さえることができ、特に透明性が重視される容器類の表面に鮮明な印字ができる。
Claims (7)
- 遷移金属を含むケイ素化合物を含有する誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。
- ケイ素化合物がゼオライトである請求項1記載の誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。
- ケイ素化合物がシリカである請求項1記載の誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。
- ケイ素化合物における遷移金属の含有量が1〜60重量%である請求項1〜3いずれか記載の誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載の誘導放出光増幅光波による印字用樹脂組成物を使用した成型物。
- 遷移金属の含有量が0.005〜10重量%である請求項5に記載の成型物。
- 請求項5または6記載の成型物に誘導放出光増幅光波を照射して印字する成型物の印字方法。
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