JP2004018658A - レーザーマーキング用樹脂組成物、成形物及びマーキング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザー照射した際に、照射部分が鮮明に発色して優れた視認性を有するとともに、成形性、色相、色調が良好なレーザーマーキング用樹脂成形物を得ること。
【解決手段】重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)を含有するレーザーマーキング用樹脂組成物。重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が0.005重量%以上で10重量%未満含有であるレーザーマーキング用樹脂組成物。およびこれを用いて得られる成形物、並びに成形物のマーキング方法。
【選択図】なし
【解決手段】重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)を含有するレーザーマーキング用樹脂組成物。重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が0.005重量%以上で10重量%未満含有であるレーザーマーキング用樹脂組成物。およびこれを用いて得られる成形物、並びに成形物のマーキング方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマーキング用樹脂組成物、その成形物、及びマーキング方法に関する。更に詳しくは、レーザー光線の照射により視認性が高く鮮明な黒発色をするマーキング用樹脂組成物、その成形物、及びレーザーマーキング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、シート、包装シート、卵パック、カード、食品、化粧品、トイレタリー用品或は医薬品等の各種容器、容器類のキャップ等の表面に対するマーキングはインクジェット方式が主流であるが、インキのニジミ、文字の欠け、あるいは装置のメンテナンス面において、多くの問題点を抱えている。
その一方、マーキング工程の自動化、無人化を進める動きの中で、非接触で且つマーキング速度の早い、レーザー光によるマーキング方法が普及しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、樹脂にレーザーマーキングを施した場合、樹脂がレーザー光を透過してしまいマーキング出来なかったり、レーザー光を吸収して蝕刻が生じた場合でも樹脂が溶融するだけで鮮明なマーキングが出来なかったり、又、着色剤を用いた場合でも鮮明に発色しない為、マークの視認性に乏しく、工程管理において、例えばその機械読み取り性の面で問題を残している。
【0004】
このような問題を解決するために、樹脂成形物にレーザーマーキング法を適用するにあたっては、鮮明に発色する発色材料の検討がなされている。例えば、特開平2−8756号公報では銅化合物が、特開平1−306285号公報では無機鉛化合物、特開平3−052944号公報では有機鉛化合物、特開昭63−239059号公報では水銀、コバルト、銅、ビスマス、ニッケル等の金属化合物がそれぞれ記載されている。
【0005】
しかし、これらの化合物は重金属が主である為、安全性、環境への影響や、銅化合物の場合は化合物自体が着色しているため使用範囲に制限があるという問題点を有している。また、ポリエステル樹脂系粉体塗料において、雲母を20〜50%、及び溶融シリカや炭酸カルシウムを50〜80%添加したレーザーマーキング性が良好なことは、すでに特開昭60−226554号公報により知られている。
【0006】
しかし、添加剤が多いと分子量低下から製品の色相や色調に悪影響を与えたり、樹脂のメルトフローレートが低くなり、成形性に悪影響を与えるという問題点がある。又、添加剤の種類によっては研磨性が高くなり、成型機や混練り機を傷める問題点も生じてくる。
【0007】
以上のように、樹脂の成形性及び色相や色調を損なわず、レーザー光線の照射により視認性が高く鮮明なマークが得られるレーザーマーキング用樹脂組成物が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到ったものである。
即ち、本発明は、(1)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)を含有するレーザーマーキング用樹脂組成物、(2)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)がフラーレンである(1)のレーザーマーキング用樹脂組成物、(3)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)がカーボンナノチューブである(1)のレーザーマーキング用樹脂組成物、(4)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が、0.005重量%以上で10重量%未満である(1)〜(3)いずれかのレーザーマーキング用樹脂組成物、(5)(1)〜(4)いずれかのレーザーマーキング用樹脂組成物を使用した成形物、(6)成形物が容器である(5)の成形物、(7)成形物がフィルムである(5)又は(6)の成形物、(8)(5)〜(7)いずれかの成形物にレーザー光を照射する成形物のマーキング方法、(9)レーザー光が赤外線レーザー光である(8)の成形物のマーキング方法、(10)赤外線レーザー光が遠赤外線レーザー光である(9)の成形物のマーキング方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のマーキング用樹脂組成物、成形物及びマーキング方法につき、詳細に説明する。
本発明のマーキング用樹脂組成物に用いられる樹脂としては、JIS K 7210に準拠して測定(測定温度190℃、測定荷重2.19kgf)されたメルティングインデックス(MI)0.01〜100が好ましく、特に好ましくは0.02〜80である。
【0010】
また、樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート及びこれらの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))、
【0011】
全芳香族ポリエステル等のポリエステル類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられる。特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィッドが望ましい。
【0012】
熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。特に好ましいものはエポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂である。
【0013】
光硬化性樹脂は、一般には紫外線硬化型樹脂として知られており、ラジカル重合型、カチオン重合型の樹脂がある。ラジカル重合型樹脂の具体例としては、多価アルコール、ポリエーテル系、不飽和ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル/ウレタン系、ポリアセタール系、ポリブタジエン系の各種アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及びそのオリゴマーが、又カチオン重合型樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂及びエポキシ系希釈剤がそれぞれ挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)は、レーザーマーキングの際に発色剤、特に黒色に発色する発色剤として作用することが特徴である。
【0015】
マーキング用樹脂の色調への影響と成形物の形状を考慮すると、成分(A)の重量平均粒径は50nm以下が好ましく、特に好ましくは30nm以下である。
【0016】
本発明で用いられる中空構造を有する成分(A)の具体例としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブや、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82等のフラーレンが挙げられる。特に好ましくはフラーレンC60、フラーレンC70、多層カーボンナノチューブである。さらに、フラーレンを水素化、酸化、アルキル化、アミノ化、ハロゲン化、環化付加、包接した誘導体でもよい。また、成分(A)をカップリング剤等で有機処理したものでもよい。
【0017】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、成分(A)と樹脂とをエクストルーダー、2軸ニーダー、ロールミル等の混練機を用いて均一に混合することにより得られる。
【0018】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、成形物と同じ組成でそのまま成形に供せられるコンパウンドであっても良いし、成分(A)の濃度が高い、ペレット状又はマーブル状等の形状のマスターバッチであってもよい。
【0019】
レーザーマーキング用樹脂組成物における成分(A)の使用量は、少なすぎるとレーザーマーキング部の黒発色度合いが薄くなり、マークの視認性に欠ける傾向がある。又使用量が多すぎると、マーキングの視認性は良いが、成形性、色調が悪くなる傾向がある。
【0020】
コンパウンドにおける成分(A)の使用量としては0.005〜10重量%が好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.02〜3重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%未満である。
また、マスターバッチにおける成分(A)の使用量としては1〜10重量%が好ましく、特に2〜8重量%が好ましい。
【0021】
本発明のマーキング用樹脂組成物には、必要に応じて添加剤等を加えることが出来る。例えば着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤等が挙げられる。着色剤としては特に制限はないが、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、ベンガラ、コバルト紫、群青、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。これらの有機顔料及び無機顔料は、発色したマークの鮮明性に影響を与えない範囲、例えばマーキング用組成物の0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0022】
充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、アルミナ、硝子繊維等、通常樹脂に用いられる充填剤が挙げられる。これらは発色したマークの鮮明性に影響を与えない範囲、例えばマーキング用樹脂組成物の0.001〜3重量%の範囲で添加される。尚、製品の色調を確保する観点から、例えば二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等の隠蔽性の高い添加剤等の使用は避けた方が好ましい。
【0023】
又、滑剤としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル又は塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類及び各種界面活性剤が挙げられる。これらは本発明のマーキング用樹脂組成物の0.1〜5重量%の割合で必要により添加される。
又、可塑剤としては例えばフタル酸、リン酸、セバシン酸等のエステルが挙げられる。そのほか、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤等通常プラスチックの加工の際に常用されている添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤は、本発明のマーキング用樹脂組成物を作製する際に、粉末のまま用いても良く、又、コンパウンドやマスターバッチの形態で用いても良い。
【0024】
本発明の成形物は、コンパウンドのままの組成で、またはマスターバッチと希釈樹脂で、所望によりフィラー等の添加剤を加えて混練機を用いて均一に配合し、成形することによって得られる。
本発明の成形物における成分(A)の使用量は、0.005〜10重量%が好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.02〜3重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%未満である。成形物の色相や色調、特に樹脂成形性への影響を極力抑える観点からは1重量%未満が好ましい。
【0025】
本発明の成形物としては、例えば容器、キャップ、部品等の3次元成形物、フィルム、テープ等の2次元成形物等が挙げられる。これらの成形物は多層構成をもつものでも良い。
【0026】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を用いた3次元成形物は、その成形物に応じて射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形等それ自体公知の方法で成形される。その具体例としては食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の透明容器及びそのキャップ類が挙げられる。
【0027】
フィルム等の2次元成形物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法、チューブラフィルム法等それ自体公知の方法により作製される。この様にして作製されたフィルムは食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、絶縁材料、農業用フィルム、各種シート、各種シール、ラベル等通常の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる分野と同様の分野で用いられる。又、本発明のフィルムは、各種基材即ちクラフト紙や上質紙などの紙類、プラスティックフィルム類、アルミニウム等の金属箔などと密着させてラミネートとすることが出来、その様にして得られたラミネートの用途としては牛乳、酒類などの食品容器、医薬品の包装材料、食品の包装材料、各種シート、各種シール、ラベル等の用途が挙げられる。
【0028】
本発明において、上記のように得られた2次元又は3次元成形物の表面にレーザー光を照射することにより、照射部分に黒色で鮮明なマークが得られる。
レーザー光としては、例えば炭酸ガスレーザー(波長約10600nm)などの遠赤外線レーザー、YVO4レーザー、YAGレーザー(波長約1064nmおよび532nm)などの近赤外線レーザー、エキシマレーザーが挙げられるが、赤外線レーザー、特に遠赤外線レーザーが好ましい。
【0029】
レーザー光の照射量としては例えばTEA炭酸ガスレーザーの場合、照射元のエネルギー密度として0.5〜1J/cm2 、本発明の樹脂成形物の表面に照射するエネルギー密度としては、例えば2.5〜20J/cm2 、好ましくは2.8〜16J/cm2 、より好ましくは3.5〜16J/cm2がよい。この照射部のエネルギー密度(Ed )は、レーザー光を集光して樹脂成形物の表面に照射するので、照射元より高くなり、次の計算式で求められる。
Ed =(照射元の総エネルギー量)/(マスク未使用時の照射部の面積)
本発明では使用する発色剤の添加量が少ないので、樹脂の脆性、加工性等の物性に与える影響がほとんどない。
【0030】
【実施例】
次に実施例に依って、本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、部は重量部、%は重量%を表す。樹脂のMIは、JIS K 7210に準拠して測定(測定温度190℃、測定荷重2.19kgf)した。また、結果は表1に示した。
[実施例1]
低密度ポリエチレン樹脂(MI7)100部と、高純度のフラーレンC60(99.98%)0.05部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得た。この組成物を、射出成型機(名機製作所 M50A2)を使用して、220℃にて成形し板状のプレート(2×3mm厚さ1mm)を得た。このプレートにレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。マーキング文字の視認性はYVO4レーザー(LT−020 (株)レーザーテクノロジー社製)を用いて確認した。
【0031】
[実施例2]
実施例1と同じ樹脂100部と、実施例1と同じフラーレン0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0032】
[実施例3]
生分解性のポリ乳酸樹脂(MI7)100部と、実施例1と同じフラーレン0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0033】
[実施例4]
ポリエチレンテレフタレート(MI5)100部と、実施例1と同じフラーレン0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0034】
[実施例5]
実施例1と同じ樹脂100部と、高純度フラーレンC70(99.98%)0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0035】
[実施例6]
実施例1と同じ樹脂100部と、高純度カーボンナノチューブ(99.98%)0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0036】
[比較例1]
実施例1と同じ樹脂100部を、射出成型機にて実施例1と同様にしてプレートを作成し、実施例1と同様にレーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0037】
[比較例2]
実施例3と同じ樹脂100部を、射出成型機にて実施例1と同様にしてプレートを作成し、実施例1と同様にレーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0038】
[比較例3]
実施例1と同じ樹脂100部と、酸化ビスマス0.20部とをブレンドし、レーザーマーキング用樹脂組成物を得、実施例1と同様にしてプレートを作成し、レーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0039】
[比較例4]
実施例1と同じ樹脂100部と、炭酸マンガン0.20部とをブレンドし、レーザーマーキング用樹脂組成物を得、実施例1と同様にプレートを作成し、レーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0040】
[比較例5]
実施例1と同じ樹脂100部と、酸化コバルト0.20部とをブレンドし、レーザーマーキング用樹脂組成物を得、実施例1と同様にしてプレートを作成し、レーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0041】
【表1】
【0042】
レーザー鮮明性の評価基準:マーキング鮮明性を目視により判定した。
5〜4:マーク視認性良好で鮮明な黒発色
3 :マーク視認性良好な黒発色
2〜1:マーク視認性十分(マーク部溶融、黒発色せず)
【0043】
本発明のレーザーマーキング用生分解性樹脂組成物を用いた成形物は、表1から明らかなように、1重量%未満の添加量でも鮮明なマークが得られた。
【0044】
【発明の効果】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)、なかでもカーボンナノチューブ、フラーレンを含有しているので、これを使用して成る成形物にレーザー光を照射して得られたマークは黒く鮮明に発色し、視認性が良好である。
【0045】
また、本発明の成形物は、重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が0.005重量%以上で10重量%未満のような低い添加量で発色効果が得られるので、成形性や研磨性等に影響を与えることなく、色相や色調に及ぼす影響を最小限に押さえることができる。特に容器やフィルムの表面に鮮明なマーキングができる。よって、工程管理の効率化に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明はマーキング用樹脂組成物、その成形物、及びマーキング方法に関する。更に詳しくは、レーザー光線の照射により視認性が高く鮮明な黒発色をするマーキング用樹脂組成物、その成形物、及びレーザーマーキング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、シート、包装シート、卵パック、カード、食品、化粧品、トイレタリー用品或は医薬品等の各種容器、容器類のキャップ等の表面に対するマーキングはインクジェット方式が主流であるが、インキのニジミ、文字の欠け、あるいは装置のメンテナンス面において、多くの問題点を抱えている。
その一方、マーキング工程の自動化、無人化を進める動きの中で、非接触で且つマーキング速度の早い、レーザー光によるマーキング方法が普及しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、樹脂にレーザーマーキングを施した場合、樹脂がレーザー光を透過してしまいマーキング出来なかったり、レーザー光を吸収して蝕刻が生じた場合でも樹脂が溶融するだけで鮮明なマーキングが出来なかったり、又、着色剤を用いた場合でも鮮明に発色しない為、マークの視認性に乏しく、工程管理において、例えばその機械読み取り性の面で問題を残している。
【0004】
このような問題を解決するために、樹脂成形物にレーザーマーキング法を適用するにあたっては、鮮明に発色する発色材料の検討がなされている。例えば、特開平2−8756号公報では銅化合物が、特開平1−306285号公報では無機鉛化合物、特開平3−052944号公報では有機鉛化合物、特開昭63−239059号公報では水銀、コバルト、銅、ビスマス、ニッケル等の金属化合物がそれぞれ記載されている。
【0005】
しかし、これらの化合物は重金属が主である為、安全性、環境への影響や、銅化合物の場合は化合物自体が着色しているため使用範囲に制限があるという問題点を有している。また、ポリエステル樹脂系粉体塗料において、雲母を20〜50%、及び溶融シリカや炭酸カルシウムを50〜80%添加したレーザーマーキング性が良好なことは、すでに特開昭60−226554号公報により知られている。
【0006】
しかし、添加剤が多いと分子量低下から製品の色相や色調に悪影響を与えたり、樹脂のメルトフローレートが低くなり、成形性に悪影響を与えるという問題点がある。又、添加剤の種類によっては研磨性が高くなり、成型機や混練り機を傷める問題点も生じてくる。
【0007】
以上のように、樹脂の成形性及び色相や色調を損なわず、レーザー光線の照射により視認性が高く鮮明なマークが得られるレーザーマーキング用樹脂組成物が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到ったものである。
即ち、本発明は、(1)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)を含有するレーザーマーキング用樹脂組成物、(2)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)がフラーレンである(1)のレーザーマーキング用樹脂組成物、(3)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)がカーボンナノチューブである(1)のレーザーマーキング用樹脂組成物、(4)重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が、0.005重量%以上で10重量%未満である(1)〜(3)いずれかのレーザーマーキング用樹脂組成物、(5)(1)〜(4)いずれかのレーザーマーキング用樹脂組成物を使用した成形物、(6)成形物が容器である(5)の成形物、(7)成形物がフィルムである(5)又は(6)の成形物、(8)(5)〜(7)いずれかの成形物にレーザー光を照射する成形物のマーキング方法、(9)レーザー光が赤外線レーザー光である(8)の成形物のマーキング方法、(10)赤外線レーザー光が遠赤外線レーザー光である(9)の成形物のマーキング方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のマーキング用樹脂組成物、成形物及びマーキング方法につき、詳細に説明する。
本発明のマーキング用樹脂組成物に用いられる樹脂としては、JIS K 7210に準拠して測定(測定温度190℃、測定荷重2.19kgf)されたメルティングインデックス(MI)0.01〜100が好ましく、特に好ましくは0.02〜80である。
【0010】
また、樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれでもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート及びこれらの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))、
【0011】
全芳香族ポリエステル等のポリエステル類、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィッド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられる。特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィッドが望ましい。
【0012】
熱硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、グアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。特に好ましいものはエポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂である。
【0013】
光硬化性樹脂は、一般には紫外線硬化型樹脂として知られており、ラジカル重合型、カチオン重合型の樹脂がある。ラジカル重合型樹脂の具体例としては、多価アルコール、ポリエーテル系、不飽和ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル/ウレタン系、ポリアセタール系、ポリブタジエン系の各種アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及びそのオリゴマーが、又カチオン重合型樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂及びエポキシ系希釈剤がそれぞれ挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)は、レーザーマーキングの際に発色剤、特に黒色に発色する発色剤として作用することが特徴である。
【0015】
マーキング用樹脂の色調への影響と成形物の形状を考慮すると、成分(A)の重量平均粒径は50nm以下が好ましく、特に好ましくは30nm以下である。
【0016】
本発明で用いられる中空構造を有する成分(A)の具体例としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブや、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC82等のフラーレンが挙げられる。特に好ましくはフラーレンC60、フラーレンC70、多層カーボンナノチューブである。さらに、フラーレンを水素化、酸化、アルキル化、アミノ化、ハロゲン化、環化付加、包接した誘導体でもよい。また、成分(A)をカップリング剤等で有機処理したものでもよい。
【0017】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、成分(A)と樹脂とをエクストルーダー、2軸ニーダー、ロールミル等の混練機を用いて均一に混合することにより得られる。
【0018】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、成形物と同じ組成でそのまま成形に供せられるコンパウンドであっても良いし、成分(A)の濃度が高い、ペレット状又はマーブル状等の形状のマスターバッチであってもよい。
【0019】
レーザーマーキング用樹脂組成物における成分(A)の使用量は、少なすぎるとレーザーマーキング部の黒発色度合いが薄くなり、マークの視認性に欠ける傾向がある。又使用量が多すぎると、マーキングの視認性は良いが、成形性、色調が悪くなる傾向がある。
【0020】
コンパウンドにおける成分(A)の使用量としては0.005〜10重量%が好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.02〜3重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%未満である。
また、マスターバッチにおける成分(A)の使用量としては1〜10重量%が好ましく、特に2〜8重量%が好ましい。
【0021】
本発明のマーキング用樹脂組成物には、必要に応じて添加剤等を加えることが出来る。例えば着色剤、充填剤(フィラー類)、滑剤、可塑剤等が挙げられる。着色剤としては特に制限はないが、例えばカーボンブラック、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン、又はメチン系等の各種有機顔料、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、ベンガラ、コバルト紫、群青、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。これらの有機顔料及び無機顔料は、発色したマークの鮮明性に影響を与えない範囲、例えばマーキング用組成物の0.001〜3重量%の範囲で添加される。
【0022】
充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、アルミナ、硝子繊維等、通常樹脂に用いられる充填剤が挙げられる。これらは発色したマークの鮮明性に影響を与えない範囲、例えばマーキング用樹脂組成物の0.001〜3重量%の範囲で添加される。尚、製品の色調を確保する観点から、例えば二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等の隠蔽性の高い添加剤等の使用は避けた方が好ましい。
【0023】
又、滑剤としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸及びそのエステル又は塩、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類及び各種界面活性剤が挙げられる。これらは本発明のマーキング用樹脂組成物の0.1〜5重量%の割合で必要により添加される。
又、可塑剤としては例えばフタル酸、リン酸、セバシン酸等のエステルが挙げられる。そのほか、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤等通常プラスチックの加工の際に常用されている添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤は、本発明のマーキング用樹脂組成物を作製する際に、粉末のまま用いても良く、又、コンパウンドやマスターバッチの形態で用いても良い。
【0024】
本発明の成形物は、コンパウンドのままの組成で、またはマスターバッチと希釈樹脂で、所望によりフィラー等の添加剤を加えて混練機を用いて均一に配合し、成形することによって得られる。
本発明の成形物における成分(A)の使用量は、0.005〜10重量%が好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量%、更に好ましくは0.02〜3重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%未満である。成形物の色相や色調、特に樹脂成形性への影響を極力抑える観点からは1重量%未満が好ましい。
【0025】
本発明の成形物としては、例えば容器、キャップ、部品等の3次元成形物、フィルム、テープ等の2次元成形物等が挙げられる。これらの成形物は多層構成をもつものでも良い。
【0026】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を用いた3次元成形物は、その成形物に応じて射出成形、押し出し成形、中空成形、回転成形、粉末成形、真空成形等それ自体公知の方法で成形される。その具体例としては食品、洗剤、医薬品、化粧品、飲料製品等の透明容器及びそのキャップ類が挙げられる。
【0027】
フィルム等の2次元成形物は、熱可塑性樹脂のフィルム化に用いられるインフレーション加工、多層インフレーション加工、Tダイフィルム加工、フラットフィルム法による縦横同時二軸延伸法、又は縦横逐次二軸延伸法、チューブラフィルム法等それ自体公知の方法により作製される。この様にして作製されたフィルムは食品包装、繊維包装、雑貨包装、薬品類の包装、テープ、絶縁材料、農業用フィルム、各種シート、各種シール、ラベル等通常の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる分野と同様の分野で用いられる。又、本発明のフィルムは、各種基材即ちクラフト紙や上質紙などの紙類、プラスティックフィルム類、アルミニウム等の金属箔などと密着させてラミネートとすることが出来、その様にして得られたラミネートの用途としては牛乳、酒類などの食品容器、医薬品の包装材料、食品の包装材料、各種シート、各種シール、ラベル等の用途が挙げられる。
【0028】
本発明において、上記のように得られた2次元又は3次元成形物の表面にレーザー光を照射することにより、照射部分に黒色で鮮明なマークが得られる。
レーザー光としては、例えば炭酸ガスレーザー(波長約10600nm)などの遠赤外線レーザー、YVO4レーザー、YAGレーザー(波長約1064nmおよび532nm)などの近赤外線レーザー、エキシマレーザーが挙げられるが、赤外線レーザー、特に遠赤外線レーザーが好ましい。
【0029】
レーザー光の照射量としては例えばTEA炭酸ガスレーザーの場合、照射元のエネルギー密度として0.5〜1J/cm2 、本発明の樹脂成形物の表面に照射するエネルギー密度としては、例えば2.5〜20J/cm2 、好ましくは2.8〜16J/cm2 、より好ましくは3.5〜16J/cm2がよい。この照射部のエネルギー密度(Ed )は、レーザー光を集光して樹脂成形物の表面に照射するので、照射元より高くなり、次の計算式で求められる。
Ed =(照射元の総エネルギー量)/(マスク未使用時の照射部の面積)
本発明では使用する発色剤の添加量が少ないので、樹脂の脆性、加工性等の物性に与える影響がほとんどない。
【0030】
【実施例】
次に実施例に依って、本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、部は重量部、%は重量%を表す。樹脂のMIは、JIS K 7210に準拠して測定(測定温度190℃、測定荷重2.19kgf)した。また、結果は表1に示した。
[実施例1]
低密度ポリエチレン樹脂(MI7)100部と、高純度のフラーレンC60(99.98%)0.05部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得た。この組成物を、射出成型機(名機製作所 M50A2)を使用して、220℃にて成形し板状のプレート(2×3mm厚さ1mm)を得た。このプレートにレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。マーキング文字の視認性はYVO4レーザー(LT−020 (株)レーザーテクノロジー社製)を用いて確認した。
【0031】
[実施例2]
実施例1と同じ樹脂100部と、実施例1と同じフラーレン0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0032】
[実施例3]
生分解性のポリ乳酸樹脂(MI7)100部と、実施例1と同じフラーレン0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0033】
[実施例4]
ポリエチレンテレフタレート(MI5)100部と、実施例1と同じフラーレン0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0034】
[実施例5]
実施例1と同じ樹脂100部と、高純度フラーレンC70(99.98%)0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0035】
[実施例6]
実施例1と同じ樹脂100部と、高純度カーボンナノチューブ(99.98%)0.20部とをブレンドして、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物を得、同様にプレートを作成してレーザー光を照射し、得られた黒色マーキング文字の視認性を評価した。
【0036】
[比較例1]
実施例1と同じ樹脂100部を、射出成型機にて実施例1と同様にしてプレートを作成し、実施例1と同様にレーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0037】
[比較例2]
実施例3と同じ樹脂100部を、射出成型機にて実施例1と同様にしてプレートを作成し、実施例1と同様にレーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0038】
[比較例3]
実施例1と同じ樹脂100部と、酸化ビスマス0.20部とをブレンドし、レーザーマーキング用樹脂組成物を得、実施例1と同様にしてプレートを作成し、レーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0039】
[比較例4]
実施例1と同じ樹脂100部と、炭酸マンガン0.20部とをブレンドし、レーザーマーキング用樹脂組成物を得、実施例1と同様にプレートを作成し、レーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0040】
[比較例5]
実施例1と同じ樹脂100部と、酸化コバルト0.20部とをブレンドし、レーザーマーキング用樹脂組成物を得、実施例1と同様にしてプレートを作成し、レーザー光を照射して、マーキング文字の視認性を評価した。
【0041】
【表1】
【0042】
レーザー鮮明性の評価基準:マーキング鮮明性を目視により判定した。
5〜4:マーク視認性良好で鮮明な黒発色
3 :マーク視認性良好な黒発色
2〜1:マーク視認性十分(マーク部溶融、黒発色せず)
【0043】
本発明のレーザーマーキング用生分解性樹脂組成物を用いた成形物は、表1から明らかなように、1重量%未満の添加量でも鮮明なマークが得られた。
【0044】
【発明の効果】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)、なかでもカーボンナノチューブ、フラーレンを含有しているので、これを使用して成る成形物にレーザー光を照射して得られたマークは黒く鮮明に発色し、視認性が良好である。
【0045】
また、本発明の成形物は、重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が0.005重量%以上で10重量%未満のような低い添加量で発色効果が得られるので、成形性や研磨性等に影響を与えることなく、色相や色調に及ぼす影響を最小限に押さえることができる。特に容器やフィルムの表面に鮮明なマーキングができる。よって、工程管理の効率化に有用である。
Claims (10)
- 重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)を含有するレーザーマーキング用樹脂組成物。
- 重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)がフラーレンである請求項1に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。
- 重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)がカーボンナノチューブである請求項1に記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。
- 重量平均粒径100nm以下で中空構造を有する成分(A)の含有量が0.005重量%以上で10重量%未満である請求項1〜3いずれか記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。
- 請求項1〜4いずれか記載のレーザーマーキング用樹脂組成物を使用した成形物。
- 成形物が容器である請求項5記載の成形物。
- 成形物がフィルムである請求項5又は6に記載の成形物。
- 請求項5〜7いずれか記載の成形物にレーザー光を照射する成形物のマーキング方法。
- レーザー光が赤外線レーザー光である請求項8に記載の成形物のマーキング方法。
- 赤外線レーザー光が遠赤外線レーザー光である請求項9に記載の成形物のマーキング方法。
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