JP2004268393A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録ヘッドに最適な駆動パルスを設定し、長尺、多ノズル記録ヘッドにおけるインク吐出の安定化と記録ヘッド長寿命化を達成する。
【解決手段】長尺ヘッドの吐出ヒータをグループ分けし、該グループ毎に最適な駆動条件を設定する構成と、ヘッド内で最小の投入エネルギーでインク吐出可能な吐出ヒータのランク値と、ヘッド内の吐出ヒータグループ毎に計測した吐出ヒータ抵抗と配線抵抗から算出されるランク値と、からグループ毎の最適な駆動条件を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】長尺ヘッドの吐出ヒータをグループ分けし、該グループ毎に最適な駆動条件を設定する構成と、ヘッド内で最小の投入エネルギーでインク吐出可能な吐出ヒータのランク値と、ヘッド内の吐出ヒータグループ毎に計測した吐出ヒータ抵抗と配線抵抗から算出されるランク値と、からグループ毎の最適な駆動条件を決定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式の記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の記録装置は、画像情報に基づいて、紙やプラスチック薄板等の記録媒体(被記録材)上にドットパターンからなる画像を記録していくように構成されている。
【0003】
記録装置は、記録方式により、インクジェット方式、ワイヤドット方式、サーマル方式、レーザービーム方式等に分けることができる。近年、数多くの記録装置が使用されるようになり、これらの記録装置に対して、高速記録、高解像度、高画像品質、低騒音などが要求されている。
【0004】
このような要求に応える記録装置として、インクジェット方式の記録装置を挙げることができる。このインクジェット記録装置では、記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)滴を吐出飛翔させ、これを記録媒体に付着させて記録するように構成されている為に非接触で記録が可能であり、このために幅広い媒体に対して安定した記録画像を得ることができる。
【0005】
このインクジェット記録装置の中でも、熱エネルギーを利用して液滴を形成して記録を行う方法は、構造が簡単なため、ノズルの高密度化が容易であるという利点を持つ。
【0006】
熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の動作原理は、ヒータにパルス状の電流を流し、このとき発生する熱によってインクを局所的に沸騰(発泡)させ、インクが液体から気体に変化する際の急激な体積膨張による衝撃波によってインクをノズルより飛翔させるものである。
【0007】
この方法は構造が簡単な一方で、ヒータがヒータの保護膜を介してインクに接しているために、ヒータ面上(ヒータ保護膜上)にインクの焦げが付着(コゲーション)していくつかの問題点が発生する。たとえばヒータ面上の一様性が失われるために発泡の均一性も失われ吐出方向が乱れたり(よれ)、インクに対する熱伝導率が低下して発泡が十分に行われず吐出量の低下(ショボ)を引き起こしたりといった記録ヘッドの寿命の低下に関わる問題点が発生する。ここでヒータ保護膜は、インクとヒータが直接触れている場合にヒータがインクに侵食されるのを防ぐために皮膜される保護膜である。
【0008】
このショボを回避するため、駆動パルスの幅を、通常は必要最小限+αとして駆動を行うのであるが、この必要最小限の駆動パルスの幅+αが大きすぎるとヒータ面上の温度が上がりすぎてコゲーションが促進されてしまうという問題が生じる。
【0009】
ここで必要最小限の駆動パルス幅とは、ノズルからインクを飛翔させることが可能な最も短い駆動パルス幅を表し、この必要最小限の駆動パルス幅だけでは、インクがノズルからギリギリ飛翔するだけで、例えばヘッド温度によってインク粘度が変わったり、インクから水分が蒸発することでインクが増粘したりすると、インクが飛翔しなかったり、不安定となるため、通常はインクの飛翔を安定化するための+αの駆動パルス幅を与えて駆動する。
【0010】
ところで、各ヒータを駆動する必要最小限の駆動パルス幅は、主に以下二つの記録ヘッド製造時に発生するバラツキによって影響を受けるため、記録ヘッド単位、或いは、ヒータ単位で補正してやる必要がある。
【0011】
一つ目は、ヒータサイズや配線抵抗値やヒータ保護膜の厚みなどの製造バラツキである(以下総称してヒータ特性と呼ぶ。)。これらの値は、ヒータ上でインク発砲が起るのに必要な駆動パルス幅に大きく影響し、吐出口Aからインクを飛翔させることが可能な必要最小限の駆動パルス幅を決める場合に最も大きな影響を与える要因である。
【0012】
また、二つ目には、製造時のノズル形状のバラツキである。製造時のノズル形状のバラツキは、ヒータ上でインク発砲が起った際の、ノズルからのインク飛翔のしやすさに影響を与える。例えば、ヒータとノズル口との距離が長ければ、短いものに比べて大きなインク発砲を起こしてやらないとノズルからインクが飛翔しない。
【0013】
コゲーションの促進を抑えるためには、このような製造上のバラツキに応じて必要最小限の駆動パルス幅を最適化してやり、ヒータに与える投入エネルギー量が必要以上に大きくならないように設定してやることが必要である。
【0014】
この為、適正な駆動条件を決定する方法として、記録ヘッド単位で上記必要最小限の駆動パルス幅を補正する手段としては、記録ヘッド毎にランク分けをおこないランクに応じて最適な駆動条件を設定する方法が提案されている。
【0015】
この方法は、ヒータ数の比較的少ない記録ヘッドであれば、記録ヘッド内の個々のヒータ特性に大きなバラツキが生じにくいために有効である。
【0016】
しかし、高密度化、多ノズル化、長尺ヘッド化に伴い一つの記録ヘッド内に設けられたヒータ数が増加してくると、記録ヘッド内での個々のヒータ特性のバラツキが大きくなり、記録ヘッド内のヒータ個々のバラツキに対する補正が必要となる。
【0017】
こうした問題に対して、ヒータ単位で上記必要最小限の駆動パルス幅を補正する手段としては、ヒータや基板配線の抵抗値を測定し、測定された抵抗値に応じた駆動条件設定をヒータ個々に設定する方法などが提案されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このようにインクジェット記録装置においては、適切な駆動条件を設定しないと「よれ」や「コゲーション」などが発生し、記録ヘッドの耐久性を損なう大きな要因となり、特に長尺、多ノズル、高密度の記録ヘッドでは、記録ヘッド内に設けられた複数個のヒータを細分化して個々に適切な駆動条件を設定してやる必要がある。
【0019】
しかしながら、従来の駆動条件設定方法の内、記録ヘッド内の個々のヒータを細分化して駆動条件を設定してやる方式では、前述の記録ヘッド製造バラツキに対する考慮が不十分である。例えば、ヒータや基板配線の抵抗値を測定し、測定された抵抗値に応じた駆動条件をヒータ個々に設定してやる方法では、前述の記録ヘッド製造バラツキの内、ヒータサイズや配線抵抗値のバラツキは考慮されているが、ヒータ保護膜の厚みやノズル形状の製造バラツキは考慮されていない。
【0020】
ヒータ特性の内、ヒータ保護膜の厚みは、ヒータで発生した熱をインクに伝える熱伝導率に影響し、インク発砲が起るのに必要な駆動パルス幅に影響を与えるため、駆動条件を最適化するために考慮すべき要因である。また、ノズル形状のバラツキが駆動条件に与える影響に関しては前述している。
【0021】
本発明は、このような技術背景の下になされたもので、長尺、多ノズル、高密度化する記録ヘッドにおいて、ヒータ保護膜の厚みやノズル形状の製造バラツキを考慮して、且つ、記録ヘッド内に設けられた複数個のヒータを細分化して個々に適切な駆動条件を設定してやることによって、安定したインク滴の吐出をおこなうための駆動条件を設定できる記録ヘッド、及び、インクジェット記録装置を提供することを主たる目的とするものである。
【0022】
また、本発明の他の目的は、ヒータの長寿命化を図ることができる記録ヘッド、及び、インクジェット記録装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、
電気熱変換体から発生する熱エネルギーを利用してインクを吐出させる複数のノズルを有する記録ヘッドを用いて記録媒体上に記録をおこなうインクジェット記録装置であって、
該記録ヘッドの電気熱変換体を数グループに分割し、グループ毎に最適な駆動条件を設定できる構成を有し、該記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値と、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値と、から前記グループ毎に最適な駆動条件を設定することを特徴とする。
【0024】
また、前記電気熱変換体を駆動する駆動信号のパルス幅を段階的に減少させて前記複数のノズルよりインクを吐出させる工程と、該工程によるインクの吐出の有無を判断することにより前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値を決定する工程を有することを特徴とする。
【0025】
また、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値は、前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体を含むグループにおける電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出される算出値と、各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出される算出値と、の差に応じてランクが決定されることを特徴とする。
【0026】
また、前記記録ヘッドは記憶手段を有しており、前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値と、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値は、一旦、前記記憶手段に記憶され、該記憶手段に記憶した前記二つのランク情報に基づいて最適な駆動条件を前記グループ毎に設定することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
図9は、本実施の形態のシリアル方式インクジェットカラープリンターを示す。記録ヘッド1は、複数のノズル列を有しインク滴を吐出することにより記録媒体上にドット形成により画像記録を行うデバイスであり、(本図では、記録ヘッド固定レバーに被われて直接図中には示されていない。)キャリッジ3に着脱自在になっている。
【0029】
本例では、2Bk(黒)、2c(シアン)、2m(マゼンタ)、2y(イエロー)の各々のインクタンクに貯蔵された4色分のインク滴を吐出可能なように、各々のインク色に対応した印字ヘッド100が一体となって記録ヘッド1を形成している。フレキシブルケーブル10によりプリンタ本体の電気回路から印字ヘッドに伝達される印字データに伴い、各印字ヘッド100から異なる色インクが吐出され、これらのインク滴の混色により記録媒体12上に色画像が形成される。
【0030】
例えば、レッド(以下R)を作る場合、まずマゼンタ(以下M)が記録媒体12上に着弾され、そのあとMのドット上にイエロー(以下Y)が着弾されてレッドのドットとして見えるようになる。以下同様に、グリーン(以下G)の場合はC、Yの順番に、ブルー(以下B)の場合はC、Mの順番にそれぞれ着弾し色を形成する。ただし、各印字ヘッド100は一定間隔(P1)をもって配置されているため、例えば、Gのベタ印字をするときCを印字した後、2*P1分遅れてYの印字が行われる。即ち、Cベタの上にYベタを印字することになる。
【0031】
キャリッジ3は、不図示の位置検知手段によりキャリッジの走査速度及び印字位置を検出して主走査方向の移動制御を行う。この動力源はキャリッジ駆動モータであり、タイミングベルト8により動力が伝達されてキャリッジ3がガイド軸6、7上を矢印a,b方向に移動する。この主走査動作中に印字が行われる。桁方向の印字動作には片方向印字と両方向印字がある。通常、片方向印字はキャリッジがホームポジション(以下HP)から反対方向に移動する時(往方向)のみ印字し、HPに戻る方向(復方向)は印字動作を行わない。すなわち高精度の印字が可能となる。それに対して両方向印字は、往、復両方向とも印字動作を行う。よって高速度の印字が可能になる。
【0032】
不図示の紙送りモータにより駆動されたプラテンローラ11は、副走査方向(同図矢印c方向)に記録媒体12を搬送し、所定の印字位置に到達すると上記印字ヘッド列による印字動作が行われる。
【0033】
次に記録ヘッド1について述べる。
【0034】
図11および図12示すように、キャリッジ3内にはK、C、M、Yのインクを各々吐出する4つの印字ヘッド100(図10)と、インクを貯蔵、供給するインクタンク2bk、2c、2m、2yとが搭載されている。これら4つのインクタンクは各々キャリッジ3に着脱可能な構成で、インクが無くなった時点で新たなインクタンクを色別に交換することができる。
【0035】
記録ヘッド固定レバー4は、記録ヘッド1をキャリッジ3に位置決め固定するためのものであり、キャリッジ3のボス3bと記録ヘッド固定レバー4の穴4aが回転自在に嵌合しており、記録ヘッド1は上記レバーの開閉によって交換可能になる。また、記録ヘッド固定レバー4とキャリッジ3のストッパ3dが噛み合うことによって上記記録ヘッド1をキャリッジ3上に正確に固定することができる。
【0036】
記録ヘッド1上部の接点群111は、不図示の記録ヘッド固定レバーにある対応接点群と接合する。これら接点群が接合することにより、記録装置本体から各印字ヘッド100に駆動信号を送信することができると同時に、記録装置本体と各印字ヘッド100に搭載された記憶手段(後述)との間でヘッド特性情報の送受信が可能となる。
【0037】
図10を用いて印字ヘッド100の詳細について説明する。
【0038】
20Cはダイオードセンサで、これによって印字ヘッド100の温度を検出することができる。
【0039】
また、低温時のインクの高粘度化等に伴う吐出不良を防止するために、後述する吐出ヒータとは別に印字ヘッド全体を加熱する電気熱変換体(サブヒータ20F)が配置されている。このサブヒータ20Fは、前記ダイオードセンサ20Cによって検出された印字ヘッド100の温度が一定の温度以下の場合に不図示の制御回路によって駆動され、印字ヘッド100を一定の温度以上に保温し、インクの粘度を下げ、不良吐出を防止する。
【0040】
印字ヘッド100には、インク滴を吐出させるノズルNが列状に配列されている。本実施の形態の印字ヘッドでは256個のノズルNが設けられている。ここで256という数字は説明を簡単にするために用いた数字であり、本発明の適用はこの数に限定されるものではない。
【0041】
また、各ノズルに対応して印加電圧を供給することによって熱エネルギーを発生させる電気熱変換体B(以下吐出ヒータ)と吐出ヒータへの駆動電圧のON/OFFを制御するトランジスタがヒータボード20G上に配設されており、画像データに基づいて、この吐出ヒータBへ駆動パルスを印加することによって、前記吐出ヒータBが加熱され、ヒータ上部のインクが液体から気体に変化する際の急激な体積膨張による衝撃波によってインクを吐出口Aより飛翔させる。
【0042】
また、該印字ヘッド100には、各々に印字ヘッドの様々な特性情報を記憶可能な記憶手段(不図示)が設けられており、本発明で印字ヘッド毎の駆動パルス条件を決定する際に使用する二つのランク情報(詳細は後述)もその特性情報の一つとしてここに記憶される。本実施の形態では説明の簡略化のため、他のヘッド特性情報に関しては省略する。
【0043】
吐出ヒータBでの発生エネルギー(Watt/時)は、印加電圧をV(Volt)、吐出ヒータ抵抗値をR(Ω)としたときV^2/Rで算出できるので、印字ヘッド100の製造時にヒータ抵抗値にバラツキが生じると吐出ヒータBの発生エネルギー(Watt/時)は変化する。
【0044】
また、印加電圧V(Volt)は、吐出ヒータBの両端電圧であり、吐出ヒータに電圧を供給する配線中の抵抗のバラツキや、配線の途中に設けられたトランジスタのON抵抗値にバラツキがある場合、配線中での電圧降下の影響を受けて印加電圧V(Volt)自体も変化する。すなわち吐出ヒータBの発生エネルギー(Watt/時)は、印字ヘッド100の製造時に生じる配線抵抗やトランジスタON抵抗のバラツキによっても影響を受ける。
【0045】
各吐出ヒータBの表面にはヒータ保護膜(不図示)が皮膜されており、インクと吐出ヒータが直接接している場合に起るインクのヒータ腐食を防止する役目を果たす。このヒータ保護膜の厚みバラツキは、吐出ヒータで発生した熱をインクに伝える熱伝導度にも影響を与えるため、印字ヘッド製造時に発生するヒータ保護膜の厚みバラツキは、ヒータ上でインク発砲を起こすために吐出ヒータBでどれだけのエネルギーを発生させる必要があるかに影響を与える。
【0046】
一方、前述のノズル形状もまた印字ヘッド製造上でバラツキが生じる箇所である。ノズル形状のバラツキは、ノズルからのインク飛翔のしやすさに影響を与える。例えば、吐出ヒータBと吐出口Aとの距離が長いノズルでは、短いノズルに比べて大きなインク発砲を起こしてやらないと吐出口Aからインクが飛翔しない。つまり、吐出ヒータBと吐出口Aとの距離が長いノズルでは、距離が短いノズルに比べて吐出ヒータBに大きなエネルギーを投入してやる必要がある。
【0047】
このように最適な駆動パルスを設定する上で、ノズル形状のバラツキによるインクの飛翔しやすさの影響も考慮する必要がある。
【0048】
こうした製造上の様々なバラツキに対して本発明のインクジェット記録装置、及び、記録ヘッドでは、ヒータ保護膜の厚みバラツキやノズル形状のバラツキに対して記録ヘッド毎に駆動パルス幅を最適化し、ヒータ抵抗値のバラツキや、配線抵抗やトランジスタON抵抗のバラツキに対しては記録ヘッド内の吐出ヒータを数グループに分割し、そのグループ毎に駆動パルス幅を最適化することで、安定したインク滴の吐出と、吐出ヒータの長寿命化を図る。
【0049】
本実施の形態の記録ヘッドでは、256個の吐出ヒータを、16個の吐出ヒータ毎に16グループに分け、グループ毎に別々の駆動パルス幅を設定できるように構成されており、前記16個のグループ単位で最適な駆動パルス幅を設定することができる。
【0050】
前述したが、256や16という数字は、説明を簡単にするために用いた数字の一例であり、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、1グループ内に含まれる16個の吐出ヒータは、位置的に連続したものでも良いし、位置的に不連続な吐出ヒータによるくくりでも良い。本実施の形態の印字ヘッドでは、グループ内の各吐出ヒータにおける前述の各バラツキが、ある程度似た傾向にある集団となるようにするために位置的に連続したくくりで16個の吐出ヒータ毎に16グループが構成されている。
【0052】
また、前述のバラツキの内、特に、ヒータ抵抗値のバラツキや、配線抵抗やトランジスタON抵抗のバラツキは吐出ヒータ毎に生じる可能性を持っているので、理想的には吐出ヒータ毎に駆動パルス設定を最適化することが望ましいが、例えば本実施の形態のように256個の吐出ヒータを持った記録ヘッドでは256個の駆動条件を設定することになり、駆動制御上も回路構成上も複雑で処理時間的にも現実的ではない。かといって、必要以上に多い吐出ヒータの数のくくりでグループを構成してしまうと、グループ内でのバラツキが大きくなり、グループ単位でパルス幅の最適化をおこなう意味が薄れてしまう。
【0053】
一つのグループ内に含まれる吐出ヒータの数は、制御や回路設計が必要以上に複雑化することがないように、グループ内におけるバラツキを許容できる範囲で可能な限り多くすることが好ましい。
【0054】
また本実施の形態の記録ヘッドでは、グループ毎に吐出ヒータの設けられていない配線とトランジスタのセット(ダミー配線)が設けられている(不図示)。該ダミー配線は、インクを吐出させるための各ノズルに設けられている吐出ヒータ、配線、トランジスタと同様の条件で、吐出ヒータだけを無くして作成したもので、一定電圧を印加して、この抵抗値を測定することで、配線抵抗値とトランジスタON抵抗値の合計抵抗値(ダミー配線抵抗値)をグループ毎の大よその代表値として検出することができる。
【0055】
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置における印字ヘッド100の駆動パルス設定手順の詳細を以下に述べる。
【0056】
本実施の形態のインクジェット記録装置における駆動パルス設定では、最初に図4のフローチャートで示す手順で印字ランクを測定する。印字ランク測定は、記録ヘッド内の最も少ない投入エネルギーでインク吐出されるノズル(吐出ヒータ)における最適な基本パルス幅を測定するものであり、印字による実際のインク吐出の確認により駆動パルスの最適化をおこなうので、ヒータ保護膜の厚みやノズル形状等が記録ヘッド毎にバラツキを持っていても、測定する記録ヘッドにおける最適な駆動パルス幅を見つけることができる。
【0057】
以下、図3のフローチャートに従って印字ランクの測定方法を説明する。
【0058】
まず、吐出ヒータを駆動するための電源電圧(VH)を印字ランク測定用の電源電圧(Vth)に設定する。印字ランク測定用の電源電圧(Vth)は、通常に画像を印字する際の電源電圧(VH)−αである。印字ランク測定では、後述するがインクの吐出がギリギリ確認される最も短い駆動パルス幅を測定することとなるので、通常に画像を印字する際の電源電圧(VH)は、ヘッド温度に伴うインク粘度変化や、インクの水分蒸発によるインク増粘や、ヘッド駆動電源の振れ等を考慮して+αのマージンを持たせてやるためである。
【0059】
次に、記録ヘッド温度を所定の温度以上に保温する。記録ヘッドの保温は前述したようにインク吐出不良が起きないようにインク粘度を一定値以下に下げることが目的であり、最適な保温温度はインクの物性や記録ヘッドの吐出パワー等などの条件によって決まる。本実施の形態のインクジェット記録装置では記録ヘッドの温度が30℃以上になるように保温制御する。また、この保温温度は印字ランク測定用に特別に設定された温度ではなく、通常に画像を印字する際の保温温度と同じである。
【0060】
ヘッド保温制御によって記録ヘッドの温度が30℃以上に保温されると、印字ランク測定用のチャートの印字がおこなわれる。本実施の形態での印字ランク測定用のチャートは、図5の(a)で示すように256本のノズルの一本一本に対応した横線を階段状に並べたパターンを一つの印字パターンとして、該印字パターンを図6のように32パターン並べたものである。
【0061】
印字パターンとしては特に図5の(a)に示すパターンに限定されるものではなく、ノズル一本一本の吐出/不吐出が確認できる印字パターンを用いれば良い。
【0062】
図6の測定用チャート中で印字パターン毎に記された1から32までのrankは、その印字パターンを印字する際に不図示の駆動パルス設定手段によって設定される駆動パルス幅のランク(=印字ランク)を示している。印字ランクと各印字ランクで設定される駆動パルス幅(Pth)との関係は、ヘッド製造時のバラツキの範囲を考慮して、予め、図8に示すテーブルで設定されている。
【0063】
まず、不図示の駆動パルス設定手段が記録ヘッドの256本のノズルに対して共通の駆動パルスPthMaxすなわち印字ランク32を設定し、その後、印字ランク32に対応した印字パターンrank32(図6)を印字する。次に印字ランクを1つ下げた駆動パルス幅を全ノズル共通で設定し、それに対応した印字パターンrank31(図6)を印字する。この手順を繰返し、PthMinすなわち印字ランク1の駆動パルス幅の設定における印字パターンrank1の印字が終了すると、印字ランク測定用のチャート印字が終了する。
【0064】
印字された印字ランク測定用のチャートを使って、測定者は印字ランクを読取る。図5を用いて、ある記録ヘッドにおける印字結果を例に、印字ランクの読取り方法について説明する。図5(a)は印字パターンrank32(駆動パルス幅PthMax)の印字結果であり、全てのノズルに対応する横線が全て正常に印字できている。すなわち、この記録ヘッドでは駆動パルス幅PthMaxの時、ノズル形状やヒータ特性に対して十分なエネルギー投入がされている状態にあり、256本の全てのノズルから正常にインク吐出がおこなえていることが分る。徐々に駆動パルス幅を狭めていき(印字ランクを下げていき)図5(b)で示す印字ランク15(駆動パルス幅0.74μs)になると、ノズルによっては投入エネルギー量が不足してインクが正常に吐出できず、印字パターンがかすれはじめる。さらに駆動パルス幅を狭め、印字ランク11(駆動パルス幅0.70μs)図5(c)では、3本のノズルでのみ横線が印字され、次の印字ランク10(不図示)では1本のノズルからも印字がおこなわれなかった。この時、この記録ヘッドでの印字ランクは、印字が確認された最も低いランクである印字ランク11と読取る。
【0065】
すなわち、この記録ヘッドのノズル形状、ヒータ保護膜の厚み、ヒータ抵抗、配線抵抗において、記録ヘッドの有する複数のノズルの内で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえるノズルにおける最適パルス幅は、0.70μsであると判別された。
【0066】
こうして読取られた印字ランクは、ホストとなる外部機器上のユーザーインターフェイス等を介してインクジェット記録装置本体に入力し、記録ヘッドの記憶手段に印字ランク値として記憶される。
【0067】
また、本実施の形態ではユーザーが測定用チャートによって印字ランクを判定する例を示しているが、測定用チャートをスキャナー等で読取り印字ランクを自動判別する方法や、光学センサーを使って直接記録ヘッドのノズルからインクが吐出したかどうかを判別することで印字ランクを自動判別する方法などを用いても良い。
【0068】
以上の手順で記録ヘッド毎の印字ランク値の測定が終わると、次に図−3に示すフローチャートに従って、記録ヘッド内の各吐出ヒータグループの抵抗Rankを測定する。
【0069】
まず、記録ヘッド温度を所定の温度(30℃)以上に保温する。この保温の意味は印字ランクの測定の場合と同じである。
【0070】
ヘッド保温制御によって記録ヘッドの温度が30℃以上に保温されると、インクジェット記録装置に設けられた定電圧測定手段A(不図示)によって、前述した16組の吐出ヒータグループ毎に設けられたダミー配線(GRダミー配線1〜16)の配線抵抗値(GRダミー配線抵抗値Rd1〜Rd16)を測定する。このGRダミー配線抵抗値(Rd)を測定することで、そのグループにおける大よその配線抵抗値とトランジスタON抵抗値(以下TrON抵抗値)の合計抵抗値を検出することができる。
【0071】
次にインクジェット記録装置に設けられた定電圧測定手段B(不図示)によって、256個の吐出ヒータに対して、各吐出ヒータでの吐出ヒータ抵抗と配線抵抗とTrON抵抗値の合計値である回路抵抗値(Rx1〜Rx256)を順番に測定し、16組の吐出ヒータグループ毎に、グループ内で最も小さい回路抵抗値(RxMin1〜RxMin16)を求める。
【0072】
該RxMin1〜RxMin16とGRダミー配線抵抗値(Rd1〜Rd16)より、グループ毎に最も小さい抵抗値の吐出ヒータにおけるヒータ抵抗値(Rh1〜Rh16)が算出される。すなわち、Rh1=RxMin1−Rd1である。
【0073】
次に、以上で算出された16組の吐出ヒータグループ毎のRh、及び、Rdを使って、最も短い駆動パルス幅でインク発砲が発生するノズルを含むヒータグループを特定する。
【0074】
今、図7に示すように、吐出ヒータから発生するエネルギーをE、吐出ヒータの両端電圧をV1、流れる電流をI、パルス幅をP1とすると、
E=V1*I*P1
である。
【0075】
ここで、回路全体にかかる電圧をV、吐出ヒータ抵抗をR1、GRダミー配線抵抗(配線抵抗+TrON抵抗)をR2、とすると、
V1=V*R1/(R1+R2)
I=V/(R1+R2)
であるから、
E=R1/(R1+R2)^2*V^2*P1
となる。
【0076】
この式から、R1/(R1+R2)^2で算出される値が大きいほど、短い駆動パルス幅でインクを吐出できることが分かる。
【0077】
つまりノズル形状やヒータ保護膜の厚みが同じであれば、Rh/(Rh+Rd)^2が最も大きい吐出ヒータグループが、最も短い駆動パルス幅でインクを飛翔できるノズルを含む吐出ヒータグループであるといえる。
【0078】
従って、本実施の形態では前述した手順で算出された16組の各吐出ヒータグループのRh、及び、Rdを使って、吐出ヒータグループ毎に(Rh/(Rh+Rd)^2)*10^5(0以下は繰上げ)(この式で算出された値をRKとする。)を計算し、この値が最も大きい(RKが最大=RKMax)のグループを算出することで、最も短い印加パルス幅でインクを飛翔できるノズルを含む吐出ヒータグループ(GrMin)を特定する。
【0079】
ここで、*10^5としているのは計算を簡単にするためである。
【0080】
一つの記録ヘッド内では、ノズル形状やヒータ保護膜にそれ程大きなバラツキが生じないとすると、一つのヘッド内でインクを吐出しやすいノズルと吐出し難いノズルが生じるのは、ヒータ抵抗や配線抵抗のバラツキによるものであるから、このGrMinは、前述の印字ランク測定において、印字ランク11(駆動パルス幅0.70μs)図5(c)でインクの吐出が確認された(横線が印字された。)3本のノズルを含むグループであり、このGrMinの最適な駆動パルス幅は0.70μs(印字ランク11)であるということになる。
【0081】
本実施の形態の記録ヘッドでは設計上の吐出ヒータ抵抗値の中心が100Ωであり、製造上で±15%(85Ω〜115Ω)のバラツキを持つものとする。また、設計上の配線抵抗値とトランジスタON抵抗値の合計値の中心は40Ωであり、製造上で±10%(36Ω〜44Ω)のバラツキを持つものとする。この時、考えうる最大バラツキ範囲でのRKMax=581となり、RKMin=455である。
【0082】
次に、RKMaxと各吐出ヒータグループのRKの差を任意の定数(本実施の形態では4)で均等分割することにより各吐出ヒータグループを抵抗Rankに振り分ける。
【0083】
すなわち抵抗Rankは、
抵抗Rank=(RKMax−RK)/4(0以下は繰上げ)
で計算され、考えうる最大バラツキ範囲(RKMax=581、RKMin=455)では、32の抵抗Rankに振り分けられる。(図2)
定数4は、RKMaxとRKの差分(=Rtとする。)に対して、どの程度の差が生じた時に駆動パルス幅の補正をおこなうかを決定する定数であり、駆動パルスの補正をおこないたい分解能に応じて最適に決定される。本実施の形態ではRKMaxとRKの差分で4毎に駆動パルス幅を0.01μs補正している。
【0084】
抵抗Rankは、記録ヘッド内で最も吐出しやすいノズルを含む吐出ヒータグループ(GrMin)を抵抗Rankが1のグループとした時に、該GrMinのヒータ抵抗値や配線抵抗値に対して、他の吐出ヒータグループのヒータ抵抗値や配線抵抗値がどれだけ変化しているかを表す値であり、抵抗Rankが1のグループ(GrMin)での最適な駆動パルス幅を印字ランク測定で測定されたパルス幅(実施の形態では0.70μs)として、他の吐出ヒータグループを該抵抗Rankに基づいて駆動パルス幅補正することで最適な駆動パルス幅設定をおこなう。
【0085】
算出された各吐出ヒータグループの抵抗Rank値は、記録ヘッドの記憶手段に記憶される。
【0086】
以上で、記録ヘッドの記憶手段には、記録ヘッド毎に印字ランクと、吐出ヒータグループ毎の抵抗Rank値が記憶された。
【0087】
本実施の形態のインクジェット記録装置では、この印字ランク値と抵抗Rank値を用いて、図1のフローチャートに従って吐出ヒータグループ毎に駆動パルス幅の最適化をおこなう。
【0088】
すなわち、記録ヘッドの記憶手段より印字ランクを読出し、図8の印字ランクテーブルよりパルス幅(Pth)を求める。次に、吐出ヒータグループ毎の抵抗Rankを記録ヘッドの記憶手段より読出し、該抵抗Rankと補正パルス幅の関係をあらわすテーブル図2よりヒータ抵抗補正パルス幅(P補)を求める。以上で求められたPthとP補を合計した値が該吐出ヒータグループにおける基本パルス幅(Pw)となる。
【0089】
ここでPwを基本パルス幅としているのは、実際の画像記録に際しては、このPwを基本パルス幅として、さらに、公知の技術である記録ヘッド温度によるパルス幅変調制御(PWM制御)や、同時駆動ヒータ数に応じた電圧降下分を補正するパルス幅変調制御をおこなってヘッドを駆動するからである。これらの制御の詳細は公知であるのでここでは省略する。
【0090】
また、本実施の形態では、印字ランク値と抵抗Rank値を一旦記録ヘッドの記憶手段に記憶させているが、これは、インクジェット記録装置から記録ヘッドを取り外しても、記録ヘッドに印字ランク値と抵抗Rank値が残るようにするためであり、このランク情報を記録ヘッドの記憶手段に残すことで、例えば、記録ヘッドを一旦インクジェット記録装置から取り外して再び装着したような場合でも、一度印字ランク値と抵抗Rank値を算出した記録ヘッドにおける該ランク算出工程の重複を省くことができる。
【0091】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0092】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0093】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0094】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0095】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0096】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0097】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0098】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0099】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のインクジェット記録装置、及び、記録ヘッドは、記録ヘッド内の吐出ヒータを数グループに分割し、そのグループ毎に駆動パルス幅を最適化する構成を持ち、特に、記録ヘッドが長尺、多ノズル、高密度化するに伴い問題となる記録ヘッド内でのヒータ特性やノズル形状のバラツキに対して、前記グループ毎に駆動パルス幅を最適化することで、安定したインク滴の吐出と、吐出ヒータの長寿命化を図る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る抵抗Rankと補正パルス幅の関係をあらわすテーブルを示す図である。
【図3】抵抗測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】印字ランクの判定処理を示すフローチャートである。
【図5】印字ランクの読取り方法について説明する図である。
【図6】印字ランク測定用のチャートを示す図である。
【図7】吐出ヒータと、GRダミー配線抵抗(配線抵抗+TrON抵抗)と電源との関係を示す回路図である。
【図8】印字ランクテーブルを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るプリンタの内部機構を示す概略図である。
【図10】本発明の実施形態に係る印字ヘッドを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係るキャリッジを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係るキャリッジを示す斜視図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット方式の記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の記録装置は、画像情報に基づいて、紙やプラスチック薄板等の記録媒体(被記録材)上にドットパターンからなる画像を記録していくように構成されている。
【0003】
記録装置は、記録方式により、インクジェット方式、ワイヤドット方式、サーマル方式、レーザービーム方式等に分けることができる。近年、数多くの記録装置が使用されるようになり、これらの記録装置に対して、高速記録、高解像度、高画像品質、低騒音などが要求されている。
【0004】
このような要求に応える記録装置として、インクジェット方式の記録装置を挙げることができる。このインクジェット記録装置では、記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)滴を吐出飛翔させ、これを記録媒体に付着させて記録するように構成されている為に非接触で記録が可能であり、このために幅広い媒体に対して安定した記録画像を得ることができる。
【0005】
このインクジェット記録装置の中でも、熱エネルギーを利用して液滴を形成して記録を行う方法は、構造が簡単なため、ノズルの高密度化が容易であるという利点を持つ。
【0006】
熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の動作原理は、ヒータにパルス状の電流を流し、このとき発生する熱によってインクを局所的に沸騰(発泡)させ、インクが液体から気体に変化する際の急激な体積膨張による衝撃波によってインクをノズルより飛翔させるものである。
【0007】
この方法は構造が簡単な一方で、ヒータがヒータの保護膜を介してインクに接しているために、ヒータ面上(ヒータ保護膜上)にインクの焦げが付着(コゲーション)していくつかの問題点が発生する。たとえばヒータ面上の一様性が失われるために発泡の均一性も失われ吐出方向が乱れたり(よれ)、インクに対する熱伝導率が低下して発泡が十分に行われず吐出量の低下(ショボ)を引き起こしたりといった記録ヘッドの寿命の低下に関わる問題点が発生する。ここでヒータ保護膜は、インクとヒータが直接触れている場合にヒータがインクに侵食されるのを防ぐために皮膜される保護膜である。
【0008】
このショボを回避するため、駆動パルスの幅を、通常は必要最小限+αとして駆動を行うのであるが、この必要最小限の駆動パルスの幅+αが大きすぎるとヒータ面上の温度が上がりすぎてコゲーションが促進されてしまうという問題が生じる。
【0009】
ここで必要最小限の駆動パルス幅とは、ノズルからインクを飛翔させることが可能な最も短い駆動パルス幅を表し、この必要最小限の駆動パルス幅だけでは、インクがノズルからギリギリ飛翔するだけで、例えばヘッド温度によってインク粘度が変わったり、インクから水分が蒸発することでインクが増粘したりすると、インクが飛翔しなかったり、不安定となるため、通常はインクの飛翔を安定化するための+αの駆動パルス幅を与えて駆動する。
【0010】
ところで、各ヒータを駆動する必要最小限の駆動パルス幅は、主に以下二つの記録ヘッド製造時に発生するバラツキによって影響を受けるため、記録ヘッド単位、或いは、ヒータ単位で補正してやる必要がある。
【0011】
一つ目は、ヒータサイズや配線抵抗値やヒータ保護膜の厚みなどの製造バラツキである(以下総称してヒータ特性と呼ぶ。)。これらの値は、ヒータ上でインク発砲が起るのに必要な駆動パルス幅に大きく影響し、吐出口Aからインクを飛翔させることが可能な必要最小限の駆動パルス幅を決める場合に最も大きな影響を与える要因である。
【0012】
また、二つ目には、製造時のノズル形状のバラツキである。製造時のノズル形状のバラツキは、ヒータ上でインク発砲が起った際の、ノズルからのインク飛翔のしやすさに影響を与える。例えば、ヒータとノズル口との距離が長ければ、短いものに比べて大きなインク発砲を起こしてやらないとノズルからインクが飛翔しない。
【0013】
コゲーションの促進を抑えるためには、このような製造上のバラツキに応じて必要最小限の駆動パルス幅を最適化してやり、ヒータに与える投入エネルギー量が必要以上に大きくならないように設定してやることが必要である。
【0014】
この為、適正な駆動条件を決定する方法として、記録ヘッド単位で上記必要最小限の駆動パルス幅を補正する手段としては、記録ヘッド毎にランク分けをおこないランクに応じて最適な駆動条件を設定する方法が提案されている。
【0015】
この方法は、ヒータ数の比較的少ない記録ヘッドであれば、記録ヘッド内の個々のヒータ特性に大きなバラツキが生じにくいために有効である。
【0016】
しかし、高密度化、多ノズル化、長尺ヘッド化に伴い一つの記録ヘッド内に設けられたヒータ数が増加してくると、記録ヘッド内での個々のヒータ特性のバラツキが大きくなり、記録ヘッド内のヒータ個々のバラツキに対する補正が必要となる。
【0017】
こうした問題に対して、ヒータ単位で上記必要最小限の駆動パルス幅を補正する手段としては、ヒータや基板配線の抵抗値を測定し、測定された抵抗値に応じた駆動条件設定をヒータ個々に設定する方法などが提案されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
このようにインクジェット記録装置においては、適切な駆動条件を設定しないと「よれ」や「コゲーション」などが発生し、記録ヘッドの耐久性を損なう大きな要因となり、特に長尺、多ノズル、高密度の記録ヘッドでは、記録ヘッド内に設けられた複数個のヒータを細分化して個々に適切な駆動条件を設定してやる必要がある。
【0019】
しかしながら、従来の駆動条件設定方法の内、記録ヘッド内の個々のヒータを細分化して駆動条件を設定してやる方式では、前述の記録ヘッド製造バラツキに対する考慮が不十分である。例えば、ヒータや基板配線の抵抗値を測定し、測定された抵抗値に応じた駆動条件をヒータ個々に設定してやる方法では、前述の記録ヘッド製造バラツキの内、ヒータサイズや配線抵抗値のバラツキは考慮されているが、ヒータ保護膜の厚みやノズル形状の製造バラツキは考慮されていない。
【0020】
ヒータ特性の内、ヒータ保護膜の厚みは、ヒータで発生した熱をインクに伝える熱伝導率に影響し、インク発砲が起るのに必要な駆動パルス幅に影響を与えるため、駆動条件を最適化するために考慮すべき要因である。また、ノズル形状のバラツキが駆動条件に与える影響に関しては前述している。
【0021】
本発明は、このような技術背景の下になされたもので、長尺、多ノズル、高密度化する記録ヘッドにおいて、ヒータ保護膜の厚みやノズル形状の製造バラツキを考慮して、且つ、記録ヘッド内に設けられた複数個のヒータを細分化して個々に適切な駆動条件を設定してやることによって、安定したインク滴の吐出をおこなうための駆動条件を設定できる記録ヘッド、及び、インクジェット記録装置を提供することを主たる目的とするものである。
【0022】
また、本発明の他の目的は、ヒータの長寿命化を図ることができる記録ヘッド、及び、インクジェット記録装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、
電気熱変換体から発生する熱エネルギーを利用してインクを吐出させる複数のノズルを有する記録ヘッドを用いて記録媒体上に記録をおこなうインクジェット記録装置であって、
該記録ヘッドの電気熱変換体を数グループに分割し、グループ毎に最適な駆動条件を設定できる構成を有し、該記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値と、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値と、から前記グループ毎に最適な駆動条件を設定することを特徴とする。
【0024】
また、前記電気熱変換体を駆動する駆動信号のパルス幅を段階的に減少させて前記複数のノズルよりインクを吐出させる工程と、該工程によるインクの吐出の有無を判断することにより前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値を決定する工程を有することを特徴とする。
【0025】
また、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値は、前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体を含むグループにおける電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出される算出値と、各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出される算出値と、の差に応じてランクが決定されることを特徴とする。
【0026】
また、前記記録ヘッドは記憶手段を有しており、前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値と、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値は、一旦、前記記憶手段に記憶され、該記憶手段に記憶した前記二つのランク情報に基づいて最適な駆動条件を前記グループ毎に設定することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
図9は、本実施の形態のシリアル方式インクジェットカラープリンターを示す。記録ヘッド1は、複数のノズル列を有しインク滴を吐出することにより記録媒体上にドット形成により画像記録を行うデバイスであり、(本図では、記録ヘッド固定レバーに被われて直接図中には示されていない。)キャリッジ3に着脱自在になっている。
【0029】
本例では、2Bk(黒)、2c(シアン)、2m(マゼンタ)、2y(イエロー)の各々のインクタンクに貯蔵された4色分のインク滴を吐出可能なように、各々のインク色に対応した印字ヘッド100が一体となって記録ヘッド1を形成している。フレキシブルケーブル10によりプリンタ本体の電気回路から印字ヘッドに伝達される印字データに伴い、各印字ヘッド100から異なる色インクが吐出され、これらのインク滴の混色により記録媒体12上に色画像が形成される。
【0030】
例えば、レッド(以下R)を作る場合、まずマゼンタ(以下M)が記録媒体12上に着弾され、そのあとMのドット上にイエロー(以下Y)が着弾されてレッドのドットとして見えるようになる。以下同様に、グリーン(以下G)の場合はC、Yの順番に、ブルー(以下B)の場合はC、Mの順番にそれぞれ着弾し色を形成する。ただし、各印字ヘッド100は一定間隔(P1)をもって配置されているため、例えば、Gのベタ印字をするときCを印字した後、2*P1分遅れてYの印字が行われる。即ち、Cベタの上にYベタを印字することになる。
【0031】
キャリッジ3は、不図示の位置検知手段によりキャリッジの走査速度及び印字位置を検出して主走査方向の移動制御を行う。この動力源はキャリッジ駆動モータであり、タイミングベルト8により動力が伝達されてキャリッジ3がガイド軸6、7上を矢印a,b方向に移動する。この主走査動作中に印字が行われる。桁方向の印字動作には片方向印字と両方向印字がある。通常、片方向印字はキャリッジがホームポジション(以下HP)から反対方向に移動する時(往方向)のみ印字し、HPに戻る方向(復方向)は印字動作を行わない。すなわち高精度の印字が可能となる。それに対して両方向印字は、往、復両方向とも印字動作を行う。よって高速度の印字が可能になる。
【0032】
不図示の紙送りモータにより駆動されたプラテンローラ11は、副走査方向(同図矢印c方向)に記録媒体12を搬送し、所定の印字位置に到達すると上記印字ヘッド列による印字動作が行われる。
【0033】
次に記録ヘッド1について述べる。
【0034】
図11および図12示すように、キャリッジ3内にはK、C、M、Yのインクを各々吐出する4つの印字ヘッド100(図10)と、インクを貯蔵、供給するインクタンク2bk、2c、2m、2yとが搭載されている。これら4つのインクタンクは各々キャリッジ3に着脱可能な構成で、インクが無くなった時点で新たなインクタンクを色別に交換することができる。
【0035】
記録ヘッド固定レバー4は、記録ヘッド1をキャリッジ3に位置決め固定するためのものであり、キャリッジ3のボス3bと記録ヘッド固定レバー4の穴4aが回転自在に嵌合しており、記録ヘッド1は上記レバーの開閉によって交換可能になる。また、記録ヘッド固定レバー4とキャリッジ3のストッパ3dが噛み合うことによって上記記録ヘッド1をキャリッジ3上に正確に固定することができる。
【0036】
記録ヘッド1上部の接点群111は、不図示の記録ヘッド固定レバーにある対応接点群と接合する。これら接点群が接合することにより、記録装置本体から各印字ヘッド100に駆動信号を送信することができると同時に、記録装置本体と各印字ヘッド100に搭載された記憶手段(後述)との間でヘッド特性情報の送受信が可能となる。
【0037】
図10を用いて印字ヘッド100の詳細について説明する。
【0038】
20Cはダイオードセンサで、これによって印字ヘッド100の温度を検出することができる。
【0039】
また、低温時のインクの高粘度化等に伴う吐出不良を防止するために、後述する吐出ヒータとは別に印字ヘッド全体を加熱する電気熱変換体(サブヒータ20F)が配置されている。このサブヒータ20Fは、前記ダイオードセンサ20Cによって検出された印字ヘッド100の温度が一定の温度以下の場合に不図示の制御回路によって駆動され、印字ヘッド100を一定の温度以上に保温し、インクの粘度を下げ、不良吐出を防止する。
【0040】
印字ヘッド100には、インク滴を吐出させるノズルNが列状に配列されている。本実施の形態の印字ヘッドでは256個のノズルNが設けられている。ここで256という数字は説明を簡単にするために用いた数字であり、本発明の適用はこの数に限定されるものではない。
【0041】
また、各ノズルに対応して印加電圧を供給することによって熱エネルギーを発生させる電気熱変換体B(以下吐出ヒータ)と吐出ヒータへの駆動電圧のON/OFFを制御するトランジスタがヒータボード20G上に配設されており、画像データに基づいて、この吐出ヒータBへ駆動パルスを印加することによって、前記吐出ヒータBが加熱され、ヒータ上部のインクが液体から気体に変化する際の急激な体積膨張による衝撃波によってインクを吐出口Aより飛翔させる。
【0042】
また、該印字ヘッド100には、各々に印字ヘッドの様々な特性情報を記憶可能な記憶手段(不図示)が設けられており、本発明で印字ヘッド毎の駆動パルス条件を決定する際に使用する二つのランク情報(詳細は後述)もその特性情報の一つとしてここに記憶される。本実施の形態では説明の簡略化のため、他のヘッド特性情報に関しては省略する。
【0043】
吐出ヒータBでの発生エネルギー(Watt/時)は、印加電圧をV(Volt)、吐出ヒータ抵抗値をR(Ω)としたときV^2/Rで算出できるので、印字ヘッド100の製造時にヒータ抵抗値にバラツキが生じると吐出ヒータBの発生エネルギー(Watt/時)は変化する。
【0044】
また、印加電圧V(Volt)は、吐出ヒータBの両端電圧であり、吐出ヒータに電圧を供給する配線中の抵抗のバラツキや、配線の途中に設けられたトランジスタのON抵抗値にバラツキがある場合、配線中での電圧降下の影響を受けて印加電圧V(Volt)自体も変化する。すなわち吐出ヒータBの発生エネルギー(Watt/時)は、印字ヘッド100の製造時に生じる配線抵抗やトランジスタON抵抗のバラツキによっても影響を受ける。
【0045】
各吐出ヒータBの表面にはヒータ保護膜(不図示)が皮膜されており、インクと吐出ヒータが直接接している場合に起るインクのヒータ腐食を防止する役目を果たす。このヒータ保護膜の厚みバラツキは、吐出ヒータで発生した熱をインクに伝える熱伝導度にも影響を与えるため、印字ヘッド製造時に発生するヒータ保護膜の厚みバラツキは、ヒータ上でインク発砲を起こすために吐出ヒータBでどれだけのエネルギーを発生させる必要があるかに影響を与える。
【0046】
一方、前述のノズル形状もまた印字ヘッド製造上でバラツキが生じる箇所である。ノズル形状のバラツキは、ノズルからのインク飛翔のしやすさに影響を与える。例えば、吐出ヒータBと吐出口Aとの距離が長いノズルでは、短いノズルに比べて大きなインク発砲を起こしてやらないと吐出口Aからインクが飛翔しない。つまり、吐出ヒータBと吐出口Aとの距離が長いノズルでは、距離が短いノズルに比べて吐出ヒータBに大きなエネルギーを投入してやる必要がある。
【0047】
このように最適な駆動パルスを設定する上で、ノズル形状のバラツキによるインクの飛翔しやすさの影響も考慮する必要がある。
【0048】
こうした製造上の様々なバラツキに対して本発明のインクジェット記録装置、及び、記録ヘッドでは、ヒータ保護膜の厚みバラツキやノズル形状のバラツキに対して記録ヘッド毎に駆動パルス幅を最適化し、ヒータ抵抗値のバラツキや、配線抵抗やトランジスタON抵抗のバラツキに対しては記録ヘッド内の吐出ヒータを数グループに分割し、そのグループ毎に駆動パルス幅を最適化することで、安定したインク滴の吐出と、吐出ヒータの長寿命化を図る。
【0049】
本実施の形態の記録ヘッドでは、256個の吐出ヒータを、16個の吐出ヒータ毎に16グループに分け、グループ毎に別々の駆動パルス幅を設定できるように構成されており、前記16個のグループ単位で最適な駆動パルス幅を設定することができる。
【0050】
前述したが、256や16という数字は、説明を簡単にするために用いた数字の一例であり、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【0051】
また、1グループ内に含まれる16個の吐出ヒータは、位置的に連続したものでも良いし、位置的に不連続な吐出ヒータによるくくりでも良い。本実施の形態の印字ヘッドでは、グループ内の各吐出ヒータにおける前述の各バラツキが、ある程度似た傾向にある集団となるようにするために位置的に連続したくくりで16個の吐出ヒータ毎に16グループが構成されている。
【0052】
また、前述のバラツキの内、特に、ヒータ抵抗値のバラツキや、配線抵抗やトランジスタON抵抗のバラツキは吐出ヒータ毎に生じる可能性を持っているので、理想的には吐出ヒータ毎に駆動パルス設定を最適化することが望ましいが、例えば本実施の形態のように256個の吐出ヒータを持った記録ヘッドでは256個の駆動条件を設定することになり、駆動制御上も回路構成上も複雑で処理時間的にも現実的ではない。かといって、必要以上に多い吐出ヒータの数のくくりでグループを構成してしまうと、グループ内でのバラツキが大きくなり、グループ単位でパルス幅の最適化をおこなう意味が薄れてしまう。
【0053】
一つのグループ内に含まれる吐出ヒータの数は、制御や回路設計が必要以上に複雑化することがないように、グループ内におけるバラツキを許容できる範囲で可能な限り多くすることが好ましい。
【0054】
また本実施の形態の記録ヘッドでは、グループ毎に吐出ヒータの設けられていない配線とトランジスタのセット(ダミー配線)が設けられている(不図示)。該ダミー配線は、インクを吐出させるための各ノズルに設けられている吐出ヒータ、配線、トランジスタと同様の条件で、吐出ヒータだけを無くして作成したもので、一定電圧を印加して、この抵抗値を測定することで、配線抵抗値とトランジスタON抵抗値の合計抵抗値(ダミー配線抵抗値)をグループ毎の大よその代表値として検出することができる。
【0055】
次に、本実施の形態のインクジェット記録装置における印字ヘッド100の駆動パルス設定手順の詳細を以下に述べる。
【0056】
本実施の形態のインクジェット記録装置における駆動パルス設定では、最初に図4のフローチャートで示す手順で印字ランクを測定する。印字ランク測定は、記録ヘッド内の最も少ない投入エネルギーでインク吐出されるノズル(吐出ヒータ)における最適な基本パルス幅を測定するものであり、印字による実際のインク吐出の確認により駆動パルスの最適化をおこなうので、ヒータ保護膜の厚みやノズル形状等が記録ヘッド毎にバラツキを持っていても、測定する記録ヘッドにおける最適な駆動パルス幅を見つけることができる。
【0057】
以下、図3のフローチャートに従って印字ランクの測定方法を説明する。
【0058】
まず、吐出ヒータを駆動するための電源電圧(VH)を印字ランク測定用の電源電圧(Vth)に設定する。印字ランク測定用の電源電圧(Vth)は、通常に画像を印字する際の電源電圧(VH)−αである。印字ランク測定では、後述するがインクの吐出がギリギリ確認される最も短い駆動パルス幅を測定することとなるので、通常に画像を印字する際の電源電圧(VH)は、ヘッド温度に伴うインク粘度変化や、インクの水分蒸発によるインク増粘や、ヘッド駆動電源の振れ等を考慮して+αのマージンを持たせてやるためである。
【0059】
次に、記録ヘッド温度を所定の温度以上に保温する。記録ヘッドの保温は前述したようにインク吐出不良が起きないようにインク粘度を一定値以下に下げることが目的であり、最適な保温温度はインクの物性や記録ヘッドの吐出パワー等などの条件によって決まる。本実施の形態のインクジェット記録装置では記録ヘッドの温度が30℃以上になるように保温制御する。また、この保温温度は印字ランク測定用に特別に設定された温度ではなく、通常に画像を印字する際の保温温度と同じである。
【0060】
ヘッド保温制御によって記録ヘッドの温度が30℃以上に保温されると、印字ランク測定用のチャートの印字がおこなわれる。本実施の形態での印字ランク測定用のチャートは、図5の(a)で示すように256本のノズルの一本一本に対応した横線を階段状に並べたパターンを一つの印字パターンとして、該印字パターンを図6のように32パターン並べたものである。
【0061】
印字パターンとしては特に図5の(a)に示すパターンに限定されるものではなく、ノズル一本一本の吐出/不吐出が確認できる印字パターンを用いれば良い。
【0062】
図6の測定用チャート中で印字パターン毎に記された1から32までのrankは、その印字パターンを印字する際に不図示の駆動パルス設定手段によって設定される駆動パルス幅のランク(=印字ランク)を示している。印字ランクと各印字ランクで設定される駆動パルス幅(Pth)との関係は、ヘッド製造時のバラツキの範囲を考慮して、予め、図8に示すテーブルで設定されている。
【0063】
まず、不図示の駆動パルス設定手段が記録ヘッドの256本のノズルに対して共通の駆動パルスPthMaxすなわち印字ランク32を設定し、その後、印字ランク32に対応した印字パターンrank32(図6)を印字する。次に印字ランクを1つ下げた駆動パルス幅を全ノズル共通で設定し、それに対応した印字パターンrank31(図6)を印字する。この手順を繰返し、PthMinすなわち印字ランク1の駆動パルス幅の設定における印字パターンrank1の印字が終了すると、印字ランク測定用のチャート印字が終了する。
【0064】
印字された印字ランク測定用のチャートを使って、測定者は印字ランクを読取る。図5を用いて、ある記録ヘッドにおける印字結果を例に、印字ランクの読取り方法について説明する。図5(a)は印字パターンrank32(駆動パルス幅PthMax)の印字結果であり、全てのノズルに対応する横線が全て正常に印字できている。すなわち、この記録ヘッドでは駆動パルス幅PthMaxの時、ノズル形状やヒータ特性に対して十分なエネルギー投入がされている状態にあり、256本の全てのノズルから正常にインク吐出がおこなえていることが分る。徐々に駆動パルス幅を狭めていき(印字ランクを下げていき)図5(b)で示す印字ランク15(駆動パルス幅0.74μs)になると、ノズルによっては投入エネルギー量が不足してインクが正常に吐出できず、印字パターンがかすれはじめる。さらに駆動パルス幅を狭め、印字ランク11(駆動パルス幅0.70μs)図5(c)では、3本のノズルでのみ横線が印字され、次の印字ランク10(不図示)では1本のノズルからも印字がおこなわれなかった。この時、この記録ヘッドでの印字ランクは、印字が確認された最も低いランクである印字ランク11と読取る。
【0065】
すなわち、この記録ヘッドのノズル形状、ヒータ保護膜の厚み、ヒータ抵抗、配線抵抗において、記録ヘッドの有する複数のノズルの内で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえるノズルにおける最適パルス幅は、0.70μsであると判別された。
【0066】
こうして読取られた印字ランクは、ホストとなる外部機器上のユーザーインターフェイス等を介してインクジェット記録装置本体に入力し、記録ヘッドの記憶手段に印字ランク値として記憶される。
【0067】
また、本実施の形態ではユーザーが測定用チャートによって印字ランクを判定する例を示しているが、測定用チャートをスキャナー等で読取り印字ランクを自動判別する方法や、光学センサーを使って直接記録ヘッドのノズルからインクが吐出したかどうかを判別することで印字ランクを自動判別する方法などを用いても良い。
【0068】
以上の手順で記録ヘッド毎の印字ランク値の測定が終わると、次に図−3に示すフローチャートに従って、記録ヘッド内の各吐出ヒータグループの抵抗Rankを測定する。
【0069】
まず、記録ヘッド温度を所定の温度(30℃)以上に保温する。この保温の意味は印字ランクの測定の場合と同じである。
【0070】
ヘッド保温制御によって記録ヘッドの温度が30℃以上に保温されると、インクジェット記録装置に設けられた定電圧測定手段A(不図示)によって、前述した16組の吐出ヒータグループ毎に設けられたダミー配線(GRダミー配線1〜16)の配線抵抗値(GRダミー配線抵抗値Rd1〜Rd16)を測定する。このGRダミー配線抵抗値(Rd)を測定することで、そのグループにおける大よその配線抵抗値とトランジスタON抵抗値(以下TrON抵抗値)の合計抵抗値を検出することができる。
【0071】
次にインクジェット記録装置に設けられた定電圧測定手段B(不図示)によって、256個の吐出ヒータに対して、各吐出ヒータでの吐出ヒータ抵抗と配線抵抗とTrON抵抗値の合計値である回路抵抗値(Rx1〜Rx256)を順番に測定し、16組の吐出ヒータグループ毎に、グループ内で最も小さい回路抵抗値(RxMin1〜RxMin16)を求める。
【0072】
該RxMin1〜RxMin16とGRダミー配線抵抗値(Rd1〜Rd16)より、グループ毎に最も小さい抵抗値の吐出ヒータにおけるヒータ抵抗値(Rh1〜Rh16)が算出される。すなわち、Rh1=RxMin1−Rd1である。
【0073】
次に、以上で算出された16組の吐出ヒータグループ毎のRh、及び、Rdを使って、最も短い駆動パルス幅でインク発砲が発生するノズルを含むヒータグループを特定する。
【0074】
今、図7に示すように、吐出ヒータから発生するエネルギーをE、吐出ヒータの両端電圧をV1、流れる電流をI、パルス幅をP1とすると、
E=V1*I*P1
である。
【0075】
ここで、回路全体にかかる電圧をV、吐出ヒータ抵抗をR1、GRダミー配線抵抗(配線抵抗+TrON抵抗)をR2、とすると、
V1=V*R1/(R1+R2)
I=V/(R1+R2)
であるから、
E=R1/(R1+R2)^2*V^2*P1
となる。
【0076】
この式から、R1/(R1+R2)^2で算出される値が大きいほど、短い駆動パルス幅でインクを吐出できることが分かる。
【0077】
つまりノズル形状やヒータ保護膜の厚みが同じであれば、Rh/(Rh+Rd)^2が最も大きい吐出ヒータグループが、最も短い駆動パルス幅でインクを飛翔できるノズルを含む吐出ヒータグループであるといえる。
【0078】
従って、本実施の形態では前述した手順で算出された16組の各吐出ヒータグループのRh、及び、Rdを使って、吐出ヒータグループ毎に(Rh/(Rh+Rd)^2)*10^5(0以下は繰上げ)(この式で算出された値をRKとする。)を計算し、この値が最も大きい(RKが最大=RKMax)のグループを算出することで、最も短い印加パルス幅でインクを飛翔できるノズルを含む吐出ヒータグループ(GrMin)を特定する。
【0079】
ここで、*10^5としているのは計算を簡単にするためである。
【0080】
一つの記録ヘッド内では、ノズル形状やヒータ保護膜にそれ程大きなバラツキが生じないとすると、一つのヘッド内でインクを吐出しやすいノズルと吐出し難いノズルが生じるのは、ヒータ抵抗や配線抵抗のバラツキによるものであるから、このGrMinは、前述の印字ランク測定において、印字ランク11(駆動パルス幅0.70μs)図5(c)でインクの吐出が確認された(横線が印字された。)3本のノズルを含むグループであり、このGrMinの最適な駆動パルス幅は0.70μs(印字ランク11)であるということになる。
【0081】
本実施の形態の記録ヘッドでは設計上の吐出ヒータ抵抗値の中心が100Ωであり、製造上で±15%(85Ω〜115Ω)のバラツキを持つものとする。また、設計上の配線抵抗値とトランジスタON抵抗値の合計値の中心は40Ωであり、製造上で±10%(36Ω〜44Ω)のバラツキを持つものとする。この時、考えうる最大バラツキ範囲でのRKMax=581となり、RKMin=455である。
【0082】
次に、RKMaxと各吐出ヒータグループのRKの差を任意の定数(本実施の形態では4)で均等分割することにより各吐出ヒータグループを抵抗Rankに振り分ける。
【0083】
すなわち抵抗Rankは、
抵抗Rank=(RKMax−RK)/4(0以下は繰上げ)
で計算され、考えうる最大バラツキ範囲(RKMax=581、RKMin=455)では、32の抵抗Rankに振り分けられる。(図2)
定数4は、RKMaxとRKの差分(=Rtとする。)に対して、どの程度の差が生じた時に駆動パルス幅の補正をおこなうかを決定する定数であり、駆動パルスの補正をおこないたい分解能に応じて最適に決定される。本実施の形態ではRKMaxとRKの差分で4毎に駆動パルス幅を0.01μs補正している。
【0084】
抵抗Rankは、記録ヘッド内で最も吐出しやすいノズルを含む吐出ヒータグループ(GrMin)を抵抗Rankが1のグループとした時に、該GrMinのヒータ抵抗値や配線抵抗値に対して、他の吐出ヒータグループのヒータ抵抗値や配線抵抗値がどれだけ変化しているかを表す値であり、抵抗Rankが1のグループ(GrMin)での最適な駆動パルス幅を印字ランク測定で測定されたパルス幅(実施の形態では0.70μs)として、他の吐出ヒータグループを該抵抗Rankに基づいて駆動パルス幅補正することで最適な駆動パルス幅設定をおこなう。
【0085】
算出された各吐出ヒータグループの抵抗Rank値は、記録ヘッドの記憶手段に記憶される。
【0086】
以上で、記録ヘッドの記憶手段には、記録ヘッド毎に印字ランクと、吐出ヒータグループ毎の抵抗Rank値が記憶された。
【0087】
本実施の形態のインクジェット記録装置では、この印字ランク値と抵抗Rank値を用いて、図1のフローチャートに従って吐出ヒータグループ毎に駆動パルス幅の最適化をおこなう。
【0088】
すなわち、記録ヘッドの記憶手段より印字ランクを読出し、図8の印字ランクテーブルよりパルス幅(Pth)を求める。次に、吐出ヒータグループ毎の抵抗Rankを記録ヘッドの記憶手段より読出し、該抵抗Rankと補正パルス幅の関係をあらわすテーブル図2よりヒータ抵抗補正パルス幅(P補)を求める。以上で求められたPthとP補を合計した値が該吐出ヒータグループにおける基本パルス幅(Pw)となる。
【0089】
ここでPwを基本パルス幅としているのは、実際の画像記録に際しては、このPwを基本パルス幅として、さらに、公知の技術である記録ヘッド温度によるパルス幅変調制御(PWM制御)や、同時駆動ヒータ数に応じた電圧降下分を補正するパルス幅変調制御をおこなってヘッドを駆動するからである。これらの制御の詳細は公知であるのでここでは省略する。
【0090】
また、本実施の形態では、印字ランク値と抵抗Rank値を一旦記録ヘッドの記憶手段に記憶させているが、これは、インクジェット記録装置から記録ヘッドを取り外しても、記録ヘッドに印字ランク値と抵抗Rank値が残るようにするためであり、このランク情報を記録ヘッドの記憶手段に残すことで、例えば、記録ヘッドを一旦インクジェット記録装置から取り外して再び装着したような場合でも、一度印字ランク値と抵抗Rank値を算出した記録ヘッドにおける該ランク算出工程の重複を省くことができる。
【0091】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0092】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0093】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0094】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0095】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0096】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0097】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0098】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0099】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のインクジェット記録装置、及び、記録ヘッドは、記録ヘッド内の吐出ヒータを数グループに分割し、そのグループ毎に駆動パルス幅を最適化する構成を持ち、特に、記録ヘッドが長尺、多ノズル、高密度化するに伴い問題となる記録ヘッド内でのヒータ特性やノズル形状のバラツキに対して、前記グループ毎に駆動パルス幅を最適化することで、安定したインク滴の吐出と、吐出ヒータの長寿命化を図る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る抵抗Rankと補正パルス幅の関係をあらわすテーブルを示す図である。
【図3】抵抗測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】印字ランクの判定処理を示すフローチャートである。
【図5】印字ランクの読取り方法について説明する図である。
【図6】印字ランク測定用のチャートを示す図である。
【図7】吐出ヒータと、GRダミー配線抵抗(配線抵抗+TrON抵抗)と電源との関係を示す回路図である。
【図8】印字ランクテーブルを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るプリンタの内部機構を示す概略図である。
【図10】本発明の実施形態に係る印字ヘッドを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係るキャリッジを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施形態に係るキャリッジを示す斜視図である。
Claims (4)
- 電気熱変換体から発生する熱エネルギーを利用してインクを吐出させる複数のノズルを有する記録ヘッドを用いて記録媒体上に記録をおこなうインクジェット記録装置であって、
該記録ヘッドの電気熱変換体を数グループに分割し、グループ毎に最適な駆動条件を設定できる構成を有し、該記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値と、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値と、から前記グループ毎に最適な駆動条件を設定することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記電気熱変換体を駆動する駆動信号のパルス幅を段階的に減少させて前記複数のノズルよりインクを吐出させ、インクの吐出の有無を判断することにより前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値を決定する請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値は、前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体を含むグループにおける電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出される算出値と、各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出される算出値と、の差に応じてランクが決定されることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録ヘッドは記憶手段を有しており、前記記録ヘッドの有する複数の電気熱変換体の中で最少の投入エネルギーでインク吐出が行なえる電気熱変換体のランク値と、前記各グループの電気熱変換体の抵抗値と配線の抵抗値に応じて算出されるランク値は、一旦、前記記憶手段に記憶され、該記憶手段に記憶した前記二つのランク情報に基づいて最適な駆動条件を前記グループ毎に設定することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
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2003
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