JP2004267359A - 内視鏡手術用レトラクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器をできるだけ大きな接触面積により的確に把持・牽引することができ、手術部位の視野展開を確保し得る内視鏡手術用レトラクタの提供。
【解決手段】基端と末端とを有する金属製の伸長外筒と;先端には先端部が鉤状となった金属辨を備え、末端はハンドル部材に螺合される螺旋部を設けた前記伸長外筒内に嵌入されるに十分な長さの金属棒からなる、左右対称形を有する一対の牽引鉤と;前記牽引鉤を螺合する概略中央部において屈折するハンドル部材とからなり、
前記伸長外筒と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させたことを特徴とする内視鏡手術下にて手術空間を開放保持するための内視鏡手術用レトラクタ。
【選択図】 図4
【解決手段】基端と末端とを有する金属製の伸長外筒と;先端には先端部が鉤状となった金属辨を備え、末端はハンドル部材に螺合される螺旋部を設けた前記伸長外筒内に嵌入されるに十分な長さの金属棒からなる、左右対称形を有する一対の牽引鉤と;前記牽引鉤を螺合する概略中央部において屈折するハンドル部材とからなり、
前記伸長外筒と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させたことを特徴とする内視鏡手術下にて手術空間を開放保持するための内視鏡手術用レトラクタ。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹腔内における手術、特に内視鏡下における可視領域および術部開放領域を確保するために使用するレトラクタ(Retractor)に関する。
【0002】
【従来の技術】
腹腔内における内視鏡手術(Endoscopic operation)等に使用するレトラクタは、腹腔内に挿入されて、臓器組織を把持・牽引する用具であり、臓器を把持・牽引することにより手術野を展開させて、手術を容易ならしめるために使用されている。
【0003】
例えば、大腸癌の手術においては、腹腔鏡補助下大腸切除術が行われており、この場合には、例えば3〜4本のトロカール(Trocar)を使用する手術が一般的であり、そのうち1本にはカニューレ内に腹腔鏡(ビデオ)が挿入され、残りのトロカールのカニューレ内にレトラクタが挿入され、術部の視野展開、腫瘍部位の摘出等が行われている。
【0004】
従来、この手術において臓器の把持・牽引を行い、手術部位の視野展開のために使用されているレトラクタは、先端部が鉤状となった一本または扇状に開く4〜5本の金属辨を有するものであり、鉤状となった金属辨により臓器の一部を把持・牽引している(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−200040号公報
【0006】
ところが、手術野の展開を確保するのに必要な把持・牽引効果を得るためには、臓器をできるだけ広い接触面積で把持・牽引する必要がある。しかしながら、腹腔内へのアクセスのためのポーチであるトロカールの外経が5mmあるいは11mmのものが主流であり、必然的に臓器を把持・牽引するために使用されるレトラクタ先端部の金属辨の幅は最大でも10mm程度のものでしかなく、したがって臓器との接触面積が小さなものや金属の厚さ制限のため、十分な強度、把持力を持たないものであり、臓器に損傷を与えないで牽引等をするには手伎的な困難さがあった。
【0007】
また、特に大腸癌摘出手術のなかでも結腸、S腸等の直腸癌の摘出術では、手術部位が骨盤内にあるため、的確な視野展開が必要とされているが、従来のレトラクタによる骨盤内の臓器の牽引が困難なものであることより、多くの施設では腹腔鏡補助下大腸切除術の適用には、その使用を敬遠しているのが現状である。そのためには、腹腔内へのアクセスのためのポーチを大きくする、あるいはトロカールの使用を多くするなどの手段を講じればよいが、低侵襲手術を行うにはポーチを大きくすることはあまり好ましいものではない。また、手術後において穿刺傷口を縫合する必要があり、美容的にもトロカールの使用を多くすることは、種々の問題を残すものである。
【0008】
したがって、腹腔内における内視鏡手術、特に腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、トロカールの使用をできる限り少ないものとし、さらに的確に骨盤内での臓器の把持・牽引を可能にする内視鏡手術用レトラクタの開発の要望が高いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる要望に対応するべく、従来から行われているトロカールを使用した腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器をできるだけ大きな接触面積により的確に把持・牽引することができ、手術部位の視野展開を確保し得る、内視鏡手術用レトラクタを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は、その具体的態様において、以下の構成からなる内視鏡手術用レトラクタを提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、基端と末端とを有する実質的に剛直な金属製の伸長外筒と;
先端には先端部が鉤状となった金属辨を備え、末端は金属製のハンドル部材に螺合される螺旋部を設けた前記伸長外筒内に嵌入されるに十分な長さを有する金属棒からなる、左右対称形を有する一対の牽引鉤と;
前記牽引鉤を螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材とからなり、
前記伸長外筒の基端には曲柄を備え、末端には、前記伸長外筒内に挿入された牽引鉤の回動を固定する固定溝が設けられており
前記伸長外筒と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させた、
ことを特徴とする内視鏡手術下において手術空間を開放保持するための内視鏡手術用レトラクタを提供する。
【0012】
すなわち、本発明は、従来から使用されていた先端部が鉤状となった一本の金属辨を有するレトラクタに代えて、左右対称形を有する一対の金属辨を使用すること、そのうえで、かかる一対の金属辨を左右に水平に開くことにより臓器との接触面積を倍にさせ、的確に骨盤内の臓器を把持・牽引し得る用に構成したことに特徴がある。
【0013】
したがって、従来から多くの施設で、骨盤内における臓器の牽引の困難さから敬遠していた、直腸癌に対する腹腔鏡補助下大腸切除術においても、簡便に使用しうるものであり、手術野の展開を確実に確保できる利点を有するものである。
【0014】
本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタにおいては、より具体的な態様としての請求項2にかかる発明は、前記伸長外筒の末端に設けられた固定溝が、左右対称形を有する一対の牽引鉤の金属辨を、重ねて閉じた状態で固定する固定溝と、左右に開いた状態で固定する固定溝の両者からなるものである。
【0015】
すなわち、具体的には、腹腔内へのアクセスのためのポートサイズを大きくすること無く、左右対称形を有する一対の牽引鉤の金属辨を使用し、その挿入に際しては金属辨を重ね合わせて固定し、臓器の把持・牽引の際には、金属辨を左右に開いて固定させることにより、臓器との接触面積を倍にさせ、従来から使用されているトロカールに的確に適用し得るよう構成されたものである。このように本発明の内視鏡手術用レトラクタは、レトラクタの末端において金属辨が、蝶の羽根の動きに類する閉開動作、すなわちEndo−Butterfly様の動きをみせる点に特徴がある。
【0016】
また、請求項3にかかる発明は、前記金属製の伸長外筒の外径が、従来から使用されているトロカールに挿入されるに十分なものである内視鏡手術用レトラクタである。具体的には、従来から使用されているトロカールである5mmまたは12mm、特に12mmのトロカールに挿入されるに十分な外径を有する内視鏡手術用レトラクタである。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記金属製の伸長外筒の長さが200〜300mmである内視鏡手術用レトラクタである。すなわち、腹腔内における内視鏡手術、特に腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器への到達と、外部から的確にその牽引ができ得る長さを有するものであればよい。
【0018】
さらにまた、請求項5に記載の発明は、前記牽引鉤を構成する金属棒先端部に設けた金属辨が、長さが15〜30mmを有し、幅が10〜14mmを有するものである内視鏡手術用レトラクタである。すなわち、本発明のレトラクタは、金属棒先端部に設けた金属辨により骨盤内の臓器を把持・牽引することになるが、そのためには金属辨先端部が鉤状に屈曲され、臓器を把持するのに十分な長さとして10〜30mm程度を有していればよい。10mm未満であると、臓器の把持・牽引に不十分なものであり、また30mmを超える長さまでは必要とされない。
【0019】
一方その幅は、従来から使用されているトロカールを介して挿入されることより、その幅は10mm程度が好ましいが、最近の腹腔内へのアクセスのためのポートとして15mmのものも登場していることより、かかるトロカールに適用し得る幅を有するものであればよい。
【0020】
上記により提供される本発明の内視鏡手術用レトラクタにあっては、より具体的な構成としての請求項6に記載の発明は、前記の金属製の伸長外筒、先端部が鉤状となった金属辨、金属製のハンドル部材ならびに金属棒のそれぞれの金属が、ステンレススチールからなるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したとおりレトラクタの先端部に左右対称形を有する一対の金属辨を設け、該一対の金属辨を左右に開くこと、すなわち、Endo−Butterfly様の動きをみせ、その結果、一対の金属辨により新たな倍の面積を有する金属辨を先端部に形成させることにより、臓器との接触面積を大きくし、的確に臓器の把持・牽引を確保することができるものである。
【0022】
以下に、本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタについて、添付図面を参照にしながらその詳細を説明する。なお、以下の構成を有する限り、本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタは種々の変形も可能であり、かかる変形も本発明の技術的範囲に包含されるものである点に注意すべきである。
【0023】
図1には、本発明の一実施例に基づく内視鏡手術用レトラクタを構成する、基端と末端とを有する実質的に剛直な金属製の伸長外筒(外筒の一部を省略)の正面図を示し、図2には、図1に示した伸長外筒内に嵌入される左右対称形を有する一対の牽引鉤(金属棒の一部を省略)の正面図を示し、図3には、図2に示した一対の牽引鉤をそれぞれ螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材の正面図を示した。
【0024】
本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタの構成は、基本的には、図1に示した伸長外筒と、図2に示した左右対称形を有する一対の牽引鉤と、図3に示したハンドル部材からなるものである。
【0025】
図1中、1は基端2と末端3とを有する実質的に剛直な金属製の細管4からなる伸長外筒であり、基端2には、曲柄5を備え、末端3には伸長外筒1内に挿入される牽引鉤の回動を固定する固定溝6、6が設けられている。なお、当該伸長外筒は、その外経がトロカールを通して腹腔内に挿入されるに十分な外径を有しており、その長さは、腹腔内における内視鏡手術、特に腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器への到達と、外部から的確にその牽引ができ得る長さとして、200〜300mm程度を有している。
【0026】
一方、図2中、10は上記の伸長外筒1内に嵌入される左右対称形を有する一対の金属鉤であり、該金属鉤10は、伸長外筒1ないに嵌入されるに十分な長さを有する金属棒15、15からなり、その先端11、11には、先端部が鉤状となった金属辨12、12を備え、末端13、13には、図3に示した金属製のハンドル部材に螺合される螺旋部14、14が設けられている。
【0027】
金属辨12、12は、その長さaが15〜30mmを有し、幅bはトロカールを通して腹腔内に挿入されるに十分な幅として10〜15mm程度を有するものである。また、金属辨12は略1〜3mm程度の厚みを有する金属板から構成され、金属棒15に強固に一体化されている。この金属辨12、12の先端部16、16は腹腔内の臓器を確実に把持・牽引し得る形状として鉤状に曲げられている。なお、金属棒15の長さは、図1に示した伸長外筒内に嵌入された場合に先端部に設けた金属辨12を伸長外筒1の外部で固定するとともに、伸長外筒1の基端部側外部で金属製のハンドル部材に螺合し、かつ、前記伸長外筒1と、該伸長外筒内に嵌入された牽引鉤10の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させるのに十分な長さを有していればよい。
【0028】
また、図3中、20は図2に示した前記牽引鉤10,10を螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材である。ハンドル部材20、20の末端部21、21には、図2に示した牽引鉤10,10を螺旋受けする部分が構成され、その概略中央部において、例えばピン22、22を介して90°に屈折され、屈折された部分が、ハンドル部を構成するようになっている。
【0029】
図4に、以上の図1から図3に説明した伸長外筒1、牽引鉤10および金属製のハンドル部材20により組み立てられた本発明の内視鏡手術用レトラクタの正面図を示した。なお、図中においては伸長外筒の一部を省略してある。
すなわち、本発明の内視鏡手術用レトラクタ100は、伸長外筒1の内部に左右対称形を有する一対の牽引鉤10が嵌入され、牽引鉤10と金属棒の末端で金属製のハンドル部材20が螺合され、かつ、前記伸長外筒1と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤10の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材20に螺合された牽引鉤10の末端金属棒部分にスプリング30、30が外挿されている。
【0030】
図4に示した状態は、ハンドル部材20は、その概略中央部において90°に屈曲されてハンドル部を構成しており、金属辨12、12は左右に開いた状態で伸長外筒末端に設けられた固定溝6、6に固定された状態を示している。
すなわち、本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタは、かかる図4に示した金属辨12、12を左右に開いた状態固定し、伸長外筒の基端に設けた曲柄を握ることにより自由に腹腔内部を、トロカールを介して移動させ、手術部位の臓器、例えば、直腸、S腸等の直腸を、金属辨12の先端部で曲げられた鉤状形状により、把持・牽引するのである。
【0031】
したがって、臓器の把持・牽引に際しては、図2に示した金属辨の幅bに対して2倍の長さであるlを確保するものであり、必然的に臓器との接触面積が大きなものとなり、従来のレトラクタに比較して、確実に臓器の把持・牽引をすることができる。
なお、腹腔部に設けたトロカールは、腹部の組織を介してある程度四方に自由な動きを確保し得るものであるから、一箇所のトロカールにより所望の視野展開の確保ができるのである。
【0032】
図5に、本発明の内視鏡手術用レトラクタ100を、トロカールを通して腹腔内に挿入するための状態の図を示した。なお、図中においては伸長外筒の一部を省略してある。
この場合にあっても、本発明の内視鏡手術用レトラクタ100は、伸長外筒1の内部に左右対称形を有する一対の牽引鉤10が嵌入されており、また、牽引鉤10と金属棒の末端で金属製のハンドル部材20が螺合され、かつ、前記伸長外筒1と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤10の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材20に螺合された牽引鉤10の末端金属棒部分にスプリング30、30が外挿されている。
【0033】
トロカールを介して腹腔内の挿入される本発明の内視鏡手術用レトラクタは、当該トロカール内部を挿入し得る状態として、図5に示した状態のものであり、したがって、かかる状態では金属辨12は、伸長外筒1の外径以上に外部に出ている部分が無いため、トロカール内部を介して腹腔内へ挿入することができるのである。
【0034】
以上のようにして構成される本発明の内視鏡手術用レトラクタにおいて、金属辨12、12について、その閉じ状態から左右への開き状態への変化は、以下のようにして行われる。金属性のハンドル部材20をスプリング30、30を介して押し込むことにより、金属辨が伸長外筒の末端に設けられた固定溝からはずれ、自由な動きをみせ、金属辨12、12が左右に開いた後には、その状態でスプリング30、30の付勢力により固定溝6、6に固定されるのである。
【0035】
かかる、金属辨12、12が重ねられた状態での本発明の内視鏡手術用レトラクタにおける、図5中矢印B方向から見た拡大状態図を図6(b)に、また金属辨12、12が左右に開いた状態での本発明の内視鏡手術用レトラクタにおける、図4中矢印A方向から見た拡大状態図を図6(a)に示した。なお、図中の符号はこれまでのものと同一である。
したがって、伸長外筒1の末端3において設けられている複数の固定溝6、6・・・は、金属辨12、12が重ねられた状態での固定溝と、金属辨12、12が左右に開いた状態での固定溝を確保するものであればよい。
【0036】
以上のようにして構成される本発明の内視鏡手術用レトラクタは、その使用後にあって腹腔内部からトロカールを介して取り出される段階では、トロカールを介して挿入した時と同様に金属辨12、12が重ねられて固定溝に固定され、取り出されることとなる。
取り出された本発明の内視鏡手術用レトラクタは、図1に示した伸長外筒1、図2に示した牽引鉤10、図3に示した金属性のハンドル部材20、さらにはスプリング30、30に分解され、洗浄、消毒された後、乾燥後、再度の別の手術に使用し得る。
【0037】
本発明で提供される内視鏡手術用レトラクタを実際に使用し、直腸癌の摘出手術を行ったところ、これまでのレトラクタでは骨盤内の臓器の把持・牽引することが困難であったものが、容易に把持・牽引することができ、手術部の視野展開確保することができ、その結果、手術時間の大幅な短縮が認められ、患者に対する肉体的負担の軽減は多大なものであった。
【0038】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明は非常に簡単な部材のみからなるものでありながら、これまでの内視鏡手術用レトラクタと比較して、臓器との接触面を大きなものとする点で、確実に臓器の把持・牽引を確保できる利点を有している。
【0039】
また、既に記載したような種々の利点を有し、特に、大腸癌摘出手術のなかでも結腸、S腸等の直腸癌の摘出術では、手術部位が骨盤内にあるため、的確な視野展開が必要とされている一方、従来のレトラクタによる骨盤内の臓器の牽引が困難なものであることより、多くの施設では腹腔鏡補助下大腸切除術の適用を敬遠しているのが現状下では、低侵襲の手術を可能にするものであり、看者に対する負担を軽減し、その医療技術上に多大の貢献を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内視鏡手術用レトラクタを構成する、伸長外筒(外筒の一部を省略)の正面図である。
【図2】本発明の内視鏡手術用レトラクタに係る、図1に示した伸長外筒内に嵌入される左右対称形を有する一対の牽引鉤(金属棒の一部を省略)の正面図である。
【図3】本発明の内視鏡手術用レトラクタ係る、図2に示した一対の牽引鉤をそれぞれ螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材の正面図である。
【図4】本発明の内視鏡手術用レトラクタについて、手術時の使用に係る金属辨を開いた状態の正面図である。
【図5】本発明の内視鏡手術用レトラクタについて、トロカール挿入時、または取除き時の使用に係る金属辨を重ねた状態の正面図である。
【図6】図中(a)は図4の矢印A方向からの正面図を、(b)は図5の矢印B方向からの正面図である。
【符号の説明】
1 伸長外筒
5 曲柄
6、6 固定溝
12 金属辨
14 螺旋部
15 金属棒
16 先端部(鉤状形状)
20 ハンドル部材
30 スプリング
100 内視鏡手術用レトラクタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、腹腔内における手術、特に内視鏡下における可視領域および術部開放領域を確保するために使用するレトラクタ(Retractor)に関する。
【0002】
【従来の技術】
腹腔内における内視鏡手術(Endoscopic operation)等に使用するレトラクタは、腹腔内に挿入されて、臓器組織を把持・牽引する用具であり、臓器を把持・牽引することにより手術野を展開させて、手術を容易ならしめるために使用されている。
【0003】
例えば、大腸癌の手術においては、腹腔鏡補助下大腸切除術が行われており、この場合には、例えば3〜4本のトロカール(Trocar)を使用する手術が一般的であり、そのうち1本にはカニューレ内に腹腔鏡(ビデオ)が挿入され、残りのトロカールのカニューレ内にレトラクタが挿入され、術部の視野展開、腫瘍部位の摘出等が行われている。
【0004】
従来、この手術において臓器の把持・牽引を行い、手術部位の視野展開のために使用されているレトラクタは、先端部が鉤状となった一本または扇状に開く4〜5本の金属辨を有するものであり、鉤状となった金属辨により臓器の一部を把持・牽引している(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−200040号公報
【0006】
ところが、手術野の展開を確保するのに必要な把持・牽引効果を得るためには、臓器をできるだけ広い接触面積で把持・牽引する必要がある。しかしながら、腹腔内へのアクセスのためのポーチであるトロカールの外経が5mmあるいは11mmのものが主流であり、必然的に臓器を把持・牽引するために使用されるレトラクタ先端部の金属辨の幅は最大でも10mm程度のものでしかなく、したがって臓器との接触面積が小さなものや金属の厚さ制限のため、十分な強度、把持力を持たないものであり、臓器に損傷を与えないで牽引等をするには手伎的な困難さがあった。
【0007】
また、特に大腸癌摘出手術のなかでも結腸、S腸等の直腸癌の摘出術では、手術部位が骨盤内にあるため、的確な視野展開が必要とされているが、従来のレトラクタによる骨盤内の臓器の牽引が困難なものであることより、多くの施設では腹腔鏡補助下大腸切除術の適用には、その使用を敬遠しているのが現状である。そのためには、腹腔内へのアクセスのためのポーチを大きくする、あるいはトロカールの使用を多くするなどの手段を講じればよいが、低侵襲手術を行うにはポーチを大きくすることはあまり好ましいものではない。また、手術後において穿刺傷口を縫合する必要があり、美容的にもトロカールの使用を多くすることは、種々の問題を残すものである。
【0008】
したがって、腹腔内における内視鏡手術、特に腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、トロカールの使用をできる限り少ないものとし、さらに的確に骨盤内での臓器の把持・牽引を可能にする内視鏡手術用レトラクタの開発の要望が高いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる要望に対応するべく、従来から行われているトロカールを使用した腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器をできるだけ大きな接触面積により的確に把持・牽引することができ、手術部位の視野展開を確保し得る、内視鏡手術用レトラクタを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は、その具体的態様において、以下の構成からなる内視鏡手術用レトラクタを提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、基端と末端とを有する実質的に剛直な金属製の伸長外筒と;
先端には先端部が鉤状となった金属辨を備え、末端は金属製のハンドル部材に螺合される螺旋部を設けた前記伸長外筒内に嵌入されるに十分な長さを有する金属棒からなる、左右対称形を有する一対の牽引鉤と;
前記牽引鉤を螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材とからなり、
前記伸長外筒の基端には曲柄を備え、末端には、前記伸長外筒内に挿入された牽引鉤の回動を固定する固定溝が設けられており
前記伸長外筒と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させた、
ことを特徴とする内視鏡手術下において手術空間を開放保持するための内視鏡手術用レトラクタを提供する。
【0012】
すなわち、本発明は、従来から使用されていた先端部が鉤状となった一本の金属辨を有するレトラクタに代えて、左右対称形を有する一対の金属辨を使用すること、そのうえで、かかる一対の金属辨を左右に水平に開くことにより臓器との接触面積を倍にさせ、的確に骨盤内の臓器を把持・牽引し得る用に構成したことに特徴がある。
【0013】
したがって、従来から多くの施設で、骨盤内における臓器の牽引の困難さから敬遠していた、直腸癌に対する腹腔鏡補助下大腸切除術においても、簡便に使用しうるものであり、手術野の展開を確実に確保できる利点を有するものである。
【0014】
本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタにおいては、より具体的な態様としての請求項2にかかる発明は、前記伸長外筒の末端に設けられた固定溝が、左右対称形を有する一対の牽引鉤の金属辨を、重ねて閉じた状態で固定する固定溝と、左右に開いた状態で固定する固定溝の両者からなるものである。
【0015】
すなわち、具体的には、腹腔内へのアクセスのためのポートサイズを大きくすること無く、左右対称形を有する一対の牽引鉤の金属辨を使用し、その挿入に際しては金属辨を重ね合わせて固定し、臓器の把持・牽引の際には、金属辨を左右に開いて固定させることにより、臓器との接触面積を倍にさせ、従来から使用されているトロカールに的確に適用し得るよう構成されたものである。このように本発明の内視鏡手術用レトラクタは、レトラクタの末端において金属辨が、蝶の羽根の動きに類する閉開動作、すなわちEndo−Butterfly様の動きをみせる点に特徴がある。
【0016】
また、請求項3にかかる発明は、前記金属製の伸長外筒の外径が、従来から使用されているトロカールに挿入されるに十分なものである内視鏡手術用レトラクタである。具体的には、従来から使用されているトロカールである5mmまたは12mm、特に12mmのトロカールに挿入されるに十分な外径を有する内視鏡手術用レトラクタである。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記金属製の伸長外筒の長さが200〜300mmである内視鏡手術用レトラクタである。すなわち、腹腔内における内視鏡手術、特に腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器への到達と、外部から的確にその牽引ができ得る長さを有するものであればよい。
【0018】
さらにまた、請求項5に記載の発明は、前記牽引鉤を構成する金属棒先端部に設けた金属辨が、長さが15〜30mmを有し、幅が10〜14mmを有するものである内視鏡手術用レトラクタである。すなわち、本発明のレトラクタは、金属棒先端部に設けた金属辨により骨盤内の臓器を把持・牽引することになるが、そのためには金属辨先端部が鉤状に屈曲され、臓器を把持するのに十分な長さとして10〜30mm程度を有していればよい。10mm未満であると、臓器の把持・牽引に不十分なものであり、また30mmを超える長さまでは必要とされない。
【0019】
一方その幅は、従来から使用されているトロカールを介して挿入されることより、その幅は10mm程度が好ましいが、最近の腹腔内へのアクセスのためのポートとして15mmのものも登場していることより、かかるトロカールに適用し得る幅を有するものであればよい。
【0020】
上記により提供される本発明の内視鏡手術用レトラクタにあっては、より具体的な構成としての請求項6に記載の発明は、前記の金属製の伸長外筒、先端部が鉤状となった金属辨、金属製のハンドル部材ならびに金属棒のそれぞれの金属が、ステンレススチールからなるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したとおりレトラクタの先端部に左右対称形を有する一対の金属辨を設け、該一対の金属辨を左右に開くこと、すなわち、Endo−Butterfly様の動きをみせ、その結果、一対の金属辨により新たな倍の面積を有する金属辨を先端部に形成させることにより、臓器との接触面積を大きくし、的確に臓器の把持・牽引を確保することができるものである。
【0022】
以下に、本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタについて、添付図面を参照にしながらその詳細を説明する。なお、以下の構成を有する限り、本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタは種々の変形も可能であり、かかる変形も本発明の技術的範囲に包含されるものである点に注意すべきである。
【0023】
図1には、本発明の一実施例に基づく内視鏡手術用レトラクタを構成する、基端と末端とを有する実質的に剛直な金属製の伸長外筒(外筒の一部を省略)の正面図を示し、図2には、図1に示した伸長外筒内に嵌入される左右対称形を有する一対の牽引鉤(金属棒の一部を省略)の正面図を示し、図3には、図2に示した一対の牽引鉤をそれぞれ螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材の正面図を示した。
【0024】
本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタの構成は、基本的には、図1に示した伸長外筒と、図2に示した左右対称形を有する一対の牽引鉤と、図3に示したハンドル部材からなるものである。
【0025】
図1中、1は基端2と末端3とを有する実質的に剛直な金属製の細管4からなる伸長外筒であり、基端2には、曲柄5を備え、末端3には伸長外筒1内に挿入される牽引鉤の回動を固定する固定溝6、6が設けられている。なお、当該伸長外筒は、その外経がトロカールを通して腹腔内に挿入されるに十分な外径を有しており、その長さは、腹腔内における内視鏡手術、特に腹腔鏡補助下大腸切除術における直腸癌の手術に際して、骨盤内の臓器への到達と、外部から的確にその牽引ができ得る長さとして、200〜300mm程度を有している。
【0026】
一方、図2中、10は上記の伸長外筒1内に嵌入される左右対称形を有する一対の金属鉤であり、該金属鉤10は、伸長外筒1ないに嵌入されるに十分な長さを有する金属棒15、15からなり、その先端11、11には、先端部が鉤状となった金属辨12、12を備え、末端13、13には、図3に示した金属製のハンドル部材に螺合される螺旋部14、14が設けられている。
【0027】
金属辨12、12は、その長さaが15〜30mmを有し、幅bはトロカールを通して腹腔内に挿入されるに十分な幅として10〜15mm程度を有するものである。また、金属辨12は略1〜3mm程度の厚みを有する金属板から構成され、金属棒15に強固に一体化されている。この金属辨12、12の先端部16、16は腹腔内の臓器を確実に把持・牽引し得る形状として鉤状に曲げられている。なお、金属棒15の長さは、図1に示した伸長外筒内に嵌入された場合に先端部に設けた金属辨12を伸長外筒1の外部で固定するとともに、伸長外筒1の基端部側外部で金属製のハンドル部材に螺合し、かつ、前記伸長外筒1と、該伸長外筒内に嵌入された牽引鉤10の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させるのに十分な長さを有していればよい。
【0028】
また、図3中、20は図2に示した前記牽引鉤10,10を螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材である。ハンドル部材20、20の末端部21、21には、図2に示した牽引鉤10,10を螺旋受けする部分が構成され、その概略中央部において、例えばピン22、22を介して90°に屈折され、屈折された部分が、ハンドル部を構成するようになっている。
【0029】
図4に、以上の図1から図3に説明した伸長外筒1、牽引鉤10および金属製のハンドル部材20により組み立てられた本発明の内視鏡手術用レトラクタの正面図を示した。なお、図中においては伸長外筒の一部を省略してある。
すなわち、本発明の内視鏡手術用レトラクタ100は、伸長外筒1の内部に左右対称形を有する一対の牽引鉤10が嵌入され、牽引鉤10と金属棒の末端で金属製のハンドル部材20が螺合され、かつ、前記伸長外筒1と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤10の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材20に螺合された牽引鉤10の末端金属棒部分にスプリング30、30が外挿されている。
【0030】
図4に示した状態は、ハンドル部材20は、その概略中央部において90°に屈曲されてハンドル部を構成しており、金属辨12、12は左右に開いた状態で伸長外筒末端に設けられた固定溝6、6に固定された状態を示している。
すなわち、本発明が提供する内視鏡手術用レトラクタは、かかる図4に示した金属辨12、12を左右に開いた状態固定し、伸長外筒の基端に設けた曲柄を握ることにより自由に腹腔内部を、トロカールを介して移動させ、手術部位の臓器、例えば、直腸、S腸等の直腸を、金属辨12の先端部で曲げられた鉤状形状により、把持・牽引するのである。
【0031】
したがって、臓器の把持・牽引に際しては、図2に示した金属辨の幅bに対して2倍の長さであるlを確保するものであり、必然的に臓器との接触面積が大きなものとなり、従来のレトラクタに比較して、確実に臓器の把持・牽引をすることができる。
なお、腹腔部に設けたトロカールは、腹部の組織を介してある程度四方に自由な動きを確保し得るものであるから、一箇所のトロカールにより所望の視野展開の確保ができるのである。
【0032】
図5に、本発明の内視鏡手術用レトラクタ100を、トロカールを通して腹腔内に挿入するための状態の図を示した。なお、図中においては伸長外筒の一部を省略してある。
この場合にあっても、本発明の内視鏡手術用レトラクタ100は、伸長外筒1の内部に左右対称形を有する一対の牽引鉤10が嵌入されており、また、牽引鉤10と金属棒の末端で金属製のハンドル部材20が螺合され、かつ、前記伸長外筒1と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤10の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材20に螺合された牽引鉤10の末端金属棒部分にスプリング30、30が外挿されている。
【0033】
トロカールを介して腹腔内の挿入される本発明の内視鏡手術用レトラクタは、当該トロカール内部を挿入し得る状態として、図5に示した状態のものであり、したがって、かかる状態では金属辨12は、伸長外筒1の外径以上に外部に出ている部分が無いため、トロカール内部を介して腹腔内へ挿入することができるのである。
【0034】
以上のようにして構成される本発明の内視鏡手術用レトラクタにおいて、金属辨12、12について、その閉じ状態から左右への開き状態への変化は、以下のようにして行われる。金属性のハンドル部材20をスプリング30、30を介して押し込むことにより、金属辨が伸長外筒の末端に設けられた固定溝からはずれ、自由な動きをみせ、金属辨12、12が左右に開いた後には、その状態でスプリング30、30の付勢力により固定溝6、6に固定されるのである。
【0035】
かかる、金属辨12、12が重ねられた状態での本発明の内視鏡手術用レトラクタにおける、図5中矢印B方向から見た拡大状態図を図6(b)に、また金属辨12、12が左右に開いた状態での本発明の内視鏡手術用レトラクタにおける、図4中矢印A方向から見た拡大状態図を図6(a)に示した。なお、図中の符号はこれまでのものと同一である。
したがって、伸長外筒1の末端3において設けられている複数の固定溝6、6・・・は、金属辨12、12が重ねられた状態での固定溝と、金属辨12、12が左右に開いた状態での固定溝を確保するものであればよい。
【0036】
以上のようにして構成される本発明の内視鏡手術用レトラクタは、その使用後にあって腹腔内部からトロカールを介して取り出される段階では、トロカールを介して挿入した時と同様に金属辨12、12が重ねられて固定溝に固定され、取り出されることとなる。
取り出された本発明の内視鏡手術用レトラクタは、図1に示した伸長外筒1、図2に示した牽引鉤10、図3に示した金属性のハンドル部材20、さらにはスプリング30、30に分解され、洗浄、消毒された後、乾燥後、再度の別の手術に使用し得る。
【0037】
本発明で提供される内視鏡手術用レトラクタを実際に使用し、直腸癌の摘出手術を行ったところ、これまでのレトラクタでは骨盤内の臓器の把持・牽引することが困難であったものが、容易に把持・牽引することができ、手術部の視野展開確保することができ、その結果、手術時間の大幅な短縮が認められ、患者に対する肉体的負担の軽減は多大なものであった。
【0038】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明は非常に簡単な部材のみからなるものでありながら、これまでの内視鏡手術用レトラクタと比較して、臓器との接触面を大きなものとする点で、確実に臓器の把持・牽引を確保できる利点を有している。
【0039】
また、既に記載したような種々の利点を有し、特に、大腸癌摘出手術のなかでも結腸、S腸等の直腸癌の摘出術では、手術部位が骨盤内にあるため、的確な視野展開が必要とされている一方、従来のレトラクタによる骨盤内の臓器の牽引が困難なものであることより、多くの施設では腹腔鏡補助下大腸切除術の適用を敬遠しているのが現状下では、低侵襲の手術を可能にするものであり、看者に対する負担を軽減し、その医療技術上に多大の貢献を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内視鏡手術用レトラクタを構成する、伸長外筒(外筒の一部を省略)の正面図である。
【図2】本発明の内視鏡手術用レトラクタに係る、図1に示した伸長外筒内に嵌入される左右対称形を有する一対の牽引鉤(金属棒の一部を省略)の正面図である。
【図3】本発明の内視鏡手術用レトラクタ係る、図2に示した一対の牽引鉤をそれぞれ螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材の正面図である。
【図4】本発明の内視鏡手術用レトラクタについて、手術時の使用に係る金属辨を開いた状態の正面図である。
【図5】本発明の内視鏡手術用レトラクタについて、トロカール挿入時、または取除き時の使用に係る金属辨を重ねた状態の正面図である。
【図6】図中(a)は図4の矢印A方向からの正面図を、(b)は図5の矢印B方向からの正面図である。
【符号の説明】
1 伸長外筒
5 曲柄
6、6 固定溝
12 金属辨
14 螺旋部
15 金属棒
16 先端部(鉤状形状)
20 ハンドル部材
30 スプリング
100 内視鏡手術用レトラクタ
Claims (6)
- 基端と末端とを有する実質的に剛直な金属製の伸長外筒と;
先端には先端部が鉤状となった金属辨を備え、末端は金属製のハンドル部材に螺合される螺旋部を設けた前記伸長外筒内に嵌入されるに十分な長さを有する金属棒からなる、左右対称形を有する一対の牽引鉤と;
前記牽引鉤を螺合する概略中央部において90°に屈折する金属製のハンドル部材とからなり、
前記伸長外筒の基端には曲柄を備え、末端には、前記伸長外筒内に挿入された牽引鉤の回動を固定する固定溝が設けられており
前記伸長外筒と、該伸長外筒内に挿入された牽引鉤の両者に付勢力を付与するために、前記ハンドル部材に螺合された牽引鉤の末端金属棒部分にスプリングを外挿させた、
ことを特徴とする内視鏡手術下において手術空間を開放保持するための内視鏡手術用レトラクタ。 - 前記伸長外筒の末端に設けられた固定溝が、左右対称形を有する一対の牽引鉤の金属辨を、重ねて閉じた状態で固定する固定溝と、左右に開いた状態で固定する固定溝の両者からなるものである請求項1に記載の内視鏡手術用レトラクタ。
- 前記金属製の伸長外筒の外径が、トロカールに挿入されるに十分なものである請求項1に記載の内視鏡手術用レトラクタ。
- 前記金属製の伸長外筒の長さが、200〜300mmである請求項1に記載の内視鏡手術用レトラクタ。
- 前記牽引鉤を構成する金属棒先端部に設けた金属辨が、長さが15〜30mm、幅が10〜15mmを有するものである請求項1に記載の内視鏡手術用レトラクタ。
- 金属がステンレススチールからなるものである請求項1に記載の内視鏡手術用レトラクタ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103767762A (zh) * | 2014-01-13 | 2014-05-07 | 上海市肺科医院 | 应用于单孔胸腔镜肺癌根治术中的淋巴结周围组织推开钳 |
CN106606368A (zh) * | 2016-11-23 | 2017-05-03 | 浙江省肿瘤医院 | 一种可视内镜下径向展开的经皮穿刺皮肤牵引拉钩 |
CN106606367A (zh) * | 2016-11-23 | 2017-05-03 | 浙江省肿瘤医院 | 一种可视内镜下轴向外展的经皮穿刺皮肤牵引拉钩 |
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2003
- 2003-03-06 JP JP2003060364A patent/JP2004267359A/ja active Pending
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