JP2004267238A - シューズのミッドソール構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】足趾の第1〜第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを防止して、足趾の背屈を防止し、足趾の蹴り出し動作を促進させる。
【解決手段】シューズのミッドソール構造体1において、踵部A、中足部Bおよび前足部Cを有する軟質弾性部材製のミッドソール2と、ミッドソール2の前足部Cに配置され、ミッドソール2よりも硬度が高い硬質プレート3とを設ける。硬質プレート3は、着用者の足の第1趾中足骨MB1 の骨頭部から第5趾中足骨MB5 の骨頭部にかけての部位をカバーする領域に配置されている。硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで15〜80度に設定され、ミッドソール2の硬度は、アスカーのCスケールで45〜70度に設定される。
【選択図】 図1
【解決手段】シューズのミッドソール構造体1において、踵部A、中足部Bおよび前足部Cを有する軟質弾性部材製のミッドソール2と、ミッドソール2の前足部Cに配置され、ミッドソール2よりも硬度が高い硬質プレート3とを設ける。硬質プレート3は、着用者の足の第1趾中足骨MB1 の骨頭部から第5趾中足骨MB5 の骨頭部にかけての部位をカバーする領域に配置されている。硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで15〜80度に設定され、ミッドソール2の硬度は、アスカーのCスケールで45〜70度に設定される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シューズのミッドソール構造体に関し、詳細には、足趾の背屈を防止するための構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部で足趾を動きやすくしたシューズとして、たとえば特開2002−142804号公報に示すようなものが提案されている。このシューズは、中底のつま先部分に段差を設けることにより、足趾の収容空間を広くして、足趾の可動スペースを確保している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−142804号公報(図4参照)
【0004】
また、特開2001−70004号公報に示すものでは、足趾を載せる凹所を靴底に形成することにより、足趾を動きやすくするとともに、足趾の付け根部分の窪みに係合するような突条部を靴底に設けることにより、足趾を曲がりやすくして、足趾のグリップ力を増大させている。
【0005】
【特許文献2】
特開2001−70004号公報(段落番号[0016]参照)
【0006】
さらに、実開平3−79704号公報に示すものでは、着用者の足趾が接する中底爪先部の硬度を中底踏付部の硬度よりも低くすることにより、中底爪先部を足趾の動きに応じて圧縮変形させて、足趾の自由度を大きくするとともに、中底爪先部に対して足趾の引っ掛かりを生じさせて走行時のキック力を高めるようにしている。
【0007】
【特許文献3】
実開平3−79704号公報(第2図参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記各公報に記載のものでは、いずれも足趾にのみ着目しており、足趾が直接接触するソール領域に改良を施すことに専念している。その一方、足の踵部から着地して前足部に荷重が移動していく際において、足の拇趾球部から子趾球部にかけての足裏の踏付部に対応するミッドソール領域が上下方向に圧縮変形しやすい場合には、各足趾の中足骨骨頭部が下方に過度に沈み込み、その結果、足趾が必要以上に上方に反り上がる、いわゆる背屈の現象が生じる。歩行時または走行時にこのような背屈が生じると、背屈していない状態に足趾を戻す必要が生じ、その結果、接地面を蹴り出す動作にロスが生じることになる。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、第1中足骨から第5中足骨の各骨頭部の下方への沈み込みを防止でき、足趾の背屈を防止できるシューズのミッドソール構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るシューズのミッドソール構造体は、着用者の足の踵部、土踏まず部および前足部にそれぞれ対応する踵部、中足部および前足部を有する軟質弾性部材製のミッドソールを備えている。そして、着用者の足の第1趾ないし第5趾の各中足骨骨頭部をカバーするミッドソール領域に、ミッドソールよりも硬度が高い硬質プレートが設けられている。
【0011】
請求項1の発明によれば、第1から第5中足骨の各骨頭部をカバーするミッドソール領域に高硬度の硬質プレートが設けられるので、足の踵部から前足部への荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形が抑制されて、第1から第5中足骨骨頭部が下方に沈み込むのを防止でき、これにより、足趾の背屈を防止できる。その結果、各足趾が使いやすくなって、歩行が容易になる。
【0012】
請求項2の発明では、硬質プレートが樹脂またはラバー素材から構成されており、硬質プレートの硬度がJISK6253Dスケールで15〜80度であり、ミッドソールの硬度がアスカーのCスケールで45〜70度である。
【0013】
ミッドソールの硬度をアスカーのCスケールで45〜70度としたのは、ミッドソールとしてのクッション性および安定性を確保するためであって、70度よりも大きいと、硬すぎてクッション性に欠けることになり、また45度より小さいと、軟らかすぎて着地時および荷重移動時の歩行安定性および走行安定性に欠けることになるからである。
【0014】
硬質プレートの硬度をJISK6253Dで15〜80度としたのは、15度より小さいと、着地時および荷重移動時において、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また80度より大きいと、硬すぎて足当たり感が極端に低下することになるからである。
【0015】
請求項3の発明に記載されているように、硬質プレートの硬度は、JISK6253Dスケールで25〜35度であるのが好ましく、ミッドソールの硬度は、アスカーのCスケールで50〜60度であるのが好ましい。
【0016】
請求項4の発明では、硬質プレートが、ミッドソールの上面に形成された凹部に配置されている。
【0017】
この場合には、硬質プレートがミッドソール上面に配置されることにより、荷重移動の際に、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを最も直接的に防止でき、その結果、足趾の背屈を効果的に防止できる。また、この場合には、硬質プレートによって、ミッドソールが局部的に大きく圧縮変形するのを防止でき、ミッドソールの圧縮変形量を均一にできる。さらに、この場合には、硬質プレートを配置したミッドソール領域の厚みを薄くできるので、荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0018】
請求項5の発明では、硬質プレートが、ミッドソールの下面に形成された凹部に配置されている。
【0019】
この場合には、硬質プレートがミッドソール下面に配置されることにより、荷重移動の際には、中足骨骨頭部すなわち踏付部に対する柔らかな足当たり感を確保しつつ、足趾の背屈を防止できる。また、この場合には、請求項4の発明と同様に、硬質プレートを配置したミッドソール領域の厚みを薄くできるので、荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0020】
請求項6の発明では、硬質プレートがミッドソールの内部に埋設されている。
【0021】
この場合には、荷重移動の際に、踏付部に対する柔らかな足当たり感を確保しつつ、足趾の背屈を防止でき、またミッドソールの圧縮変形量をほぼ均一にできる。さらに、この場合には、請求項4および5の発明と同様に、硬質プレートを配置したミッドソール領域の厚みを薄くできるので、荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0022】
請求項7の発明では、硬質プレートが配置された部位における当該ミッドソール構造体の厚みをtとするとき、硬質プレートの厚みが(0.1〜0.5)×tであり、当該硬質プレートが配置された部位のミッドソールの厚みが(0.9〜0.5)×tである。
【0023】
硬質プレートが配置された部位のミッドソール単体の厚みを当該部位のミッドソール構造体全体の厚みtの50%以上90%以下としたのは、90%より大きいと、硬質プレートによる各足趾の中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また50%より小さいと、ミッドソールとしてのクッション性および足当たり性が極端に低下することになるからである。
【0024】
請求項8の発明の発明に記載されているように、硬質プレートの厚みは(0.1〜0.2)×tであるのが好ましく、また、当該硬質プレートが配置されたミッドソールの厚みは(0.9〜0.8)×tであるのが好ましい。
【0025】
請求項9の発明では、硬質プレートが、ミッドソールの成形時にインサート成形されている。これにより、製造工程を簡略化できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図8は、本発明によるシューズのミッドソール構造体を説明するための図であって、図1は本発明によるミッドソール構造体における硬質プレートの位置を足の骨格図との関係で示す平面図、図2は本発明の一実施態様によるミッドソール構造体の平面図、図3はそのIII−III 線断面図、図4は図2のIV−IV 線断面図、図5は本発明の他の実施態様によるミッドソール構造体の平面図、図6はそのVI−VI 線断面図、図7は図5のVII−VII 線断面図、図8は本発明によるミッドソール構造体を備えたシューズにおける足圧・せん断力分布図である。なお、図1中、添字は各足趾を示しており、MBは中足骨を、MJは中足趾節関節をそれぞれ示している。また、各図において、同一符号は同一または相当部分を示している。
【0027】
〔全体構造の説明〕
図1に示すように、本発明によるミッドソール構造体1は、着用者の足の踵部、土踏まず部および前足部にそれぞれ対応する踵部A、中足部Bおよび前足部Cを有する軟質弾性部材製のミッドソール2と、ミッドソール2の前足部Cに設けられた、ミッドソール2よりも硬度が高い硬質プレート(斜線部分)3とから構成されている。
【0028】
硬質プレート3は、薄板状の部材であって、足の第1趾中足骨MB1 の骨頭部から第5趾中足骨MB5 の骨頭部にかけての部位をカバーする領域に配置されている。
【0029】
ミッドソール2は、一般に、良好なクッション性を備えた軟質弾性部材から構成されるが、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体が用いられる。
【0030】
硬質プレート3は、たとえば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、またはラバー素材から構成される。
【0031】
この場合には、足の各足趾の中足骨MB1 〜MB5 の骨頭部に対応するミッドソール領域に高硬度の硬質プレート3が設けられるので、歩行時または走行時において、足の踵部から前足部への荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向(図1紙面垂直方向)の変形を抑制でき、第1から第5中足骨骨頭部が下方に沈み込むのを防止できる。これにより、足趾の背屈を防止できる。その結果、各足趾が使いやすくなって、歩行が容易になる。
【0032】
〔第1の実施態様〕
図2および図3に示すように、この第1の実施態様によるミッドソール構造体1においては、軟質弾性部材製のミッドソール2が、上方に配置されるとともに踵部から前足部で延設された上部ミッドソール20と、上部ミッドソール20の踵部において下方に配置された下部ミッドソール21とから構成されている。また硬質プレート3は、上部ミッドソール20の上面20aに形成された凹部20cに嵌め込まれており、硬質プレート3の上面3aは、上部ミッドソール20の上面20aと面一に配置されている。硬質プレート3は、たとえば、上部ミッドソール20の成形時にインサート成形されており、これにより、製造工程を簡略化できる。なお、硬質プレート3および上部ミッドソール20をそれぞれ別個に成形した後、両者を接着するようにしてもよい。
【0033】
上部ミッドソール20には、その全周に沿って上方に立ち上がる巻き上げ部20bが形成されている。巻き上げ部20bは、図示しない甲被部の取付けの際にその接着面を提供している。また、上部ミッドソール20の前足部の下面および下部ミッドソール21の下面には、それぞれアウトソール4,5が固着されている。
【0034】
上部ミッドソール20の踵部から中足部を通って前足部の一部にかけての領域には、前後方向(図3上下方向)に延びる波形状を有する波形シート6が設けられている。この波形シート6は、着地時に上部ミッドソール20が左右方向に横ずれ変形するのを抑制するための部材である。
【0035】
硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで15〜80度の範囲に設定され、上下部ミッドソール20,21の硬度は、アスカーのCスケールで45〜70度の範囲に設定されている。
【0036】
ここで、上下部ミッドソール20,21の硬度をアスカーのCスケールで45〜70度としたのは、ミッドソールとしてのクッション性および安定性を確保するためであって、70度よりも大きいと、硬すぎてクッション性に欠けることになり、また45度より小さいと、軟らかすぎて着地時および荷重移動時の歩行安定性および走行安定性に欠けることになるからである。
【0037】
硬質プレート3の硬度をJISK6253Dで15〜80度としたのは、15度より小さいと、着地時および荷重移動時において、足趾の各中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また80度より大きいと、硬すぎて足当たり感が極端に低下することになるからである。
【0038】
好ましくは、上下部ミッドソール20,21の硬度は、アスカーのCスケールで50〜60度に設定され、硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで25〜35度に設定される。この第1の実施態様では、上下部ミッドソール20,21の硬度は、アスカーのCスケールで55度に設定され、硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで30度に設定されている。
【0039】
図4に示すように、硬質プレート3が配置された部位におけるミッドソール構造体1の厚みをtとするとき、硬質プレート3の厚みt1 は0.1t〜0.5tの範囲に設定されており、硬質プレート3が配置された部位の上部ミッドソール20の厚みt2 は、硬質プレート3の厚みt1 に対応して、0.9t〜0.5tの範囲に設定されている。
【0040】
ここで、硬質プレート3が配置された部位の上部ミッドソール20単体の厚みt2 を当該部位のミッドソール構造体1全体の厚みtの50%以上90%以下としたのは、90%より大きいと、硬質プレート3による各足趾の中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また50%より小さいと、ミッドソールとしてのクッション性および足当たり性が極端に低下することになるからである。
【0041】
好ましくは、硬質プレート3の厚みt1 は0.1t〜0.2tの範囲に設定され、硬質プレート3が配置された上部ミッドソール20の厚みt2 は0.9t〜0.8tの範囲に設定される。この第1の実施態様では、硬質プレート3の厚みt1 は0.15tに設定され、上部ミッドソール20の厚みt2 は0.85tに設定されている。
【0042】
この第1の実施態様においては、硬質プレート3が上部ミッドソール20の上面20aに配置されていることにより、荷重移動の際に、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを最も直接的に防止でき、その結果、足趾の背屈を効果的に防止できる。また、硬質プレート3によって、上部ミッドソール20が局部的に大きく圧縮変形するのを防止でき、上部ミッドソール20の圧縮変形量を均一にできる。さらに、硬質プレート3を配置した上部ミッドソール領域の厚みを薄くしたことにより、荷重移動の際に上部ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できるようになる。
【0043】
〔第2の実施態様〕
図5ないし図7に示すように、この第2の実施態様においては、硬質プレート3が上部ミッドソール20の下面に配置されている点のみが前記第1の実施態様と異なっている。硬質プレート3は、上部ミッドソール20の下面20dに形成された凹部20c′に嵌め込まれている。なお、前記第1の実施態様の場合と同様に、上下部ミッドソール20,21の硬度はアスカーのCスケールで55度に設定され、硬質プレート3の硬度はJISK6253Dスケールで30度に設定されており、硬質プレート3の厚みは0.15tに設定され、上部ミッドソール20の厚みは0.85tに設定されている。
【0044】
この第2の実施態様においては、硬質プレート3が上部ミッドソール20の下面20dに配置されていることにより、荷重移動の際には、踏付部に対する柔らかな足当たり感を上部ミッドソール20により確保しつつ、足趾の背屈を防止できる。また、硬質プレート3を配置した上部ミッドソール領域の厚みを薄くしたことにより、荷重移動の際に上部ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0045】
〔第3の実施態様〕
図示していないが、硬質プレート3は、上部ミッドソール20の内部に埋設するようにしてもよい。この場合、硬質プレート3は、たとえば、上下に分割された上部ミッドソール20の間に挟み込まれて接着されることにより、上部ミッドソール20内に配置される。
【0046】
この第3の実施態様においては、荷重移動の際には、踏付部に対する柔らかな足当たり感を上部ミッドソール20の上面20aで確保しつつ、足趾の背屈を防止でき、また上部ミッドソール20の圧縮変形量をほぼ均一にできる。さらに、硬質プレート3を配置した上部ミッドソール領域の厚みが同様に薄くなるので、荷重移動の際に上部ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、各足趾の第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0047】
次に、第1ないし第3の実施態様におけるミッドソール構造体を備えたシューズを用いて、実際に足圧を測定した結果を図8に示す。また、従来のミッドソールを備えたシューズを用いて、同様に足圧を測定した結果を図9に示す。
これら図8および図9は、踵着地時から前足部への荷重移動時をへてつま先部から離地するまでの間の足圧の時系列的変化を示しており、図中、色が濃い領域ほど圧力が高いことを示している。また、図中の矢印は、接地面に作用するせん断力を示している。
【0048】
図8および図9を比較して明らかなように、図9では、第1趾の足圧が低いのに対し、図8では第1趾の足圧が高くなっている。これは、荷重移動の際に第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みが抑制されて、足趾の背屈が防止された結果、各足趾が使いやすくなって、とくに第1趾の蹴り出しが強くなったことによるものと考えられる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、各足趾の中足骨骨頭部をカバーするミッドソール領域に高硬度の硬質プレートが設けられるので、足の踵部から前足部への荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形を抑制して、各足趾の第1中足骨骨頭部から第5中足骨骨頭部が下方に沈み込むのを防止でき、これにより、足趾の背屈を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるミッドソール構造体における硬質プレートの位置を足の骨格図との関係で示す平面図である。
【図2】本発明の一実施態様によるミッドソール構造体の平面図である。
【図3】図2のIII−III 線断面図である。
【図4】図2のIV−IV 線断面図である。
【図5】本発明の他の実施態様によるミッドソール構造体の平面図である。
【図6】図5のVI−VI 線断面図である。
【図7】図5のVII−VII 線断面図である。
【図8】本発明によるミッドソール構造体を備えたシューズにおける足圧・せん断力分布図である。
【図9】図8の比較例を示しており、従来のシューズにおける足圧・せん断力分布図である。
【符号の説明】
1: ミッドソール構造体
2: ミッドソール
20: 上部ミッドソール
20a: 上面
20c: 凹部
21: 下部ミッドソール
3: 硬質プレート
A: 踵部
B: 中足部
C: 前足部
MB: 中足骨
MJ: 中足趾節関節
t,t1 ,t2 : 厚み
【発明の属する技術分野】
本発明は、シューズのミッドソール構造体に関し、詳細には、足趾の背屈を防止するための構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
内部で足趾を動きやすくしたシューズとして、たとえば特開2002−142804号公報に示すようなものが提案されている。このシューズは、中底のつま先部分に段差を設けることにより、足趾の収容空間を広くして、足趾の可動スペースを確保している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−142804号公報(図4参照)
【0004】
また、特開2001−70004号公報に示すものでは、足趾を載せる凹所を靴底に形成することにより、足趾を動きやすくするとともに、足趾の付け根部分の窪みに係合するような突条部を靴底に設けることにより、足趾を曲がりやすくして、足趾のグリップ力を増大させている。
【0005】
【特許文献2】
特開2001−70004号公報(段落番号[0016]参照)
【0006】
さらに、実開平3−79704号公報に示すものでは、着用者の足趾が接する中底爪先部の硬度を中底踏付部の硬度よりも低くすることにより、中底爪先部を足趾の動きに応じて圧縮変形させて、足趾の自由度を大きくするとともに、中底爪先部に対して足趾の引っ掛かりを生じさせて走行時のキック力を高めるようにしている。
【0007】
【特許文献3】
実開平3−79704号公報(第2図参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記各公報に記載のものでは、いずれも足趾にのみ着目しており、足趾が直接接触するソール領域に改良を施すことに専念している。その一方、足の踵部から着地して前足部に荷重が移動していく際において、足の拇趾球部から子趾球部にかけての足裏の踏付部に対応するミッドソール領域が上下方向に圧縮変形しやすい場合には、各足趾の中足骨骨頭部が下方に過度に沈み込み、その結果、足趾が必要以上に上方に反り上がる、いわゆる背屈の現象が生じる。歩行時または走行時にこのような背屈が生じると、背屈していない状態に足趾を戻す必要が生じ、その結果、接地面を蹴り出す動作にロスが生じることになる。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、第1中足骨から第5中足骨の各骨頭部の下方への沈み込みを防止でき、足趾の背屈を防止できるシューズのミッドソール構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るシューズのミッドソール構造体は、着用者の足の踵部、土踏まず部および前足部にそれぞれ対応する踵部、中足部および前足部を有する軟質弾性部材製のミッドソールを備えている。そして、着用者の足の第1趾ないし第5趾の各中足骨骨頭部をカバーするミッドソール領域に、ミッドソールよりも硬度が高い硬質プレートが設けられている。
【0011】
請求項1の発明によれば、第1から第5中足骨の各骨頭部をカバーするミッドソール領域に高硬度の硬質プレートが設けられるので、足の踵部から前足部への荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形が抑制されて、第1から第5中足骨骨頭部が下方に沈み込むのを防止でき、これにより、足趾の背屈を防止できる。その結果、各足趾が使いやすくなって、歩行が容易になる。
【0012】
請求項2の発明では、硬質プレートが樹脂またはラバー素材から構成されており、硬質プレートの硬度がJISK6253Dスケールで15〜80度であり、ミッドソールの硬度がアスカーのCスケールで45〜70度である。
【0013】
ミッドソールの硬度をアスカーのCスケールで45〜70度としたのは、ミッドソールとしてのクッション性および安定性を確保するためであって、70度よりも大きいと、硬すぎてクッション性に欠けることになり、また45度より小さいと、軟らかすぎて着地時および荷重移動時の歩行安定性および走行安定性に欠けることになるからである。
【0014】
硬質プレートの硬度をJISK6253Dで15〜80度としたのは、15度より小さいと、着地時および荷重移動時において、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また80度より大きいと、硬すぎて足当たり感が極端に低下することになるからである。
【0015】
請求項3の発明に記載されているように、硬質プレートの硬度は、JISK6253Dスケールで25〜35度であるのが好ましく、ミッドソールの硬度は、アスカーのCスケールで50〜60度であるのが好ましい。
【0016】
請求項4の発明では、硬質プレートが、ミッドソールの上面に形成された凹部に配置されている。
【0017】
この場合には、硬質プレートがミッドソール上面に配置されることにより、荷重移動の際に、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを最も直接的に防止でき、その結果、足趾の背屈を効果的に防止できる。また、この場合には、硬質プレートによって、ミッドソールが局部的に大きく圧縮変形するのを防止でき、ミッドソールの圧縮変形量を均一にできる。さらに、この場合には、硬質プレートを配置したミッドソール領域の厚みを薄くできるので、荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0018】
請求項5の発明では、硬質プレートが、ミッドソールの下面に形成された凹部に配置されている。
【0019】
この場合には、硬質プレートがミッドソール下面に配置されることにより、荷重移動の際には、中足骨骨頭部すなわち踏付部に対する柔らかな足当たり感を確保しつつ、足趾の背屈を防止できる。また、この場合には、請求項4の発明と同様に、硬質プレートを配置したミッドソール領域の厚みを薄くできるので、荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0020】
請求項6の発明では、硬質プレートがミッドソールの内部に埋設されている。
【0021】
この場合には、荷重移動の際に、踏付部に対する柔らかな足当たり感を確保しつつ、足趾の背屈を防止でき、またミッドソールの圧縮変形量をほぼ均一にできる。さらに、この場合には、請求項4および5の発明と同様に、硬質プレートを配置したミッドソール領域の厚みを薄くできるので、荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0022】
請求項7の発明では、硬質プレートが配置された部位における当該ミッドソール構造体の厚みをtとするとき、硬質プレートの厚みが(0.1〜0.5)×tであり、当該硬質プレートが配置された部位のミッドソールの厚みが(0.9〜0.5)×tである。
【0023】
硬質プレートが配置された部位のミッドソール単体の厚みを当該部位のミッドソール構造体全体の厚みtの50%以上90%以下としたのは、90%より大きいと、硬質プレートによる各足趾の中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また50%より小さいと、ミッドソールとしてのクッション性および足当たり性が極端に低下することになるからである。
【0024】
請求項8の発明の発明に記載されているように、硬質プレートの厚みは(0.1〜0.2)×tであるのが好ましく、また、当該硬質プレートが配置されたミッドソールの厚みは(0.9〜0.8)×tであるのが好ましい。
【0025】
請求項9の発明では、硬質プレートが、ミッドソールの成形時にインサート成形されている。これにより、製造工程を簡略化できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図8は、本発明によるシューズのミッドソール構造体を説明するための図であって、図1は本発明によるミッドソール構造体における硬質プレートの位置を足の骨格図との関係で示す平面図、図2は本発明の一実施態様によるミッドソール構造体の平面図、図3はそのIII−III 線断面図、図4は図2のIV−IV 線断面図、図5は本発明の他の実施態様によるミッドソール構造体の平面図、図6はそのVI−VI 線断面図、図7は図5のVII−VII 線断面図、図8は本発明によるミッドソール構造体を備えたシューズにおける足圧・せん断力分布図である。なお、図1中、添字は各足趾を示しており、MBは中足骨を、MJは中足趾節関節をそれぞれ示している。また、各図において、同一符号は同一または相当部分を示している。
【0027】
〔全体構造の説明〕
図1に示すように、本発明によるミッドソール構造体1は、着用者の足の踵部、土踏まず部および前足部にそれぞれ対応する踵部A、中足部Bおよび前足部Cを有する軟質弾性部材製のミッドソール2と、ミッドソール2の前足部Cに設けられた、ミッドソール2よりも硬度が高い硬質プレート(斜線部分)3とから構成されている。
【0028】
硬質プレート3は、薄板状の部材であって、足の第1趾中足骨MB1 の骨頭部から第5趾中足骨MB5 の骨頭部にかけての部位をカバーする領域に配置されている。
【0029】
ミッドソール2は、一般に、良好なクッション性を備えた軟質弾性部材から構成されるが、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体が用いられる。
【0030】
硬質プレート3は、たとえば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、またはラバー素材から構成される。
【0031】
この場合には、足の各足趾の中足骨MB1 〜MB5 の骨頭部に対応するミッドソール領域に高硬度の硬質プレート3が設けられるので、歩行時または走行時において、足の踵部から前足部への荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向(図1紙面垂直方向)の変形を抑制でき、第1から第5中足骨骨頭部が下方に沈み込むのを防止できる。これにより、足趾の背屈を防止できる。その結果、各足趾が使いやすくなって、歩行が容易になる。
【0032】
〔第1の実施態様〕
図2および図3に示すように、この第1の実施態様によるミッドソール構造体1においては、軟質弾性部材製のミッドソール2が、上方に配置されるとともに踵部から前足部で延設された上部ミッドソール20と、上部ミッドソール20の踵部において下方に配置された下部ミッドソール21とから構成されている。また硬質プレート3は、上部ミッドソール20の上面20aに形成された凹部20cに嵌め込まれており、硬質プレート3の上面3aは、上部ミッドソール20の上面20aと面一に配置されている。硬質プレート3は、たとえば、上部ミッドソール20の成形時にインサート成形されており、これにより、製造工程を簡略化できる。なお、硬質プレート3および上部ミッドソール20をそれぞれ別個に成形した後、両者を接着するようにしてもよい。
【0033】
上部ミッドソール20には、その全周に沿って上方に立ち上がる巻き上げ部20bが形成されている。巻き上げ部20bは、図示しない甲被部の取付けの際にその接着面を提供している。また、上部ミッドソール20の前足部の下面および下部ミッドソール21の下面には、それぞれアウトソール4,5が固着されている。
【0034】
上部ミッドソール20の踵部から中足部を通って前足部の一部にかけての領域には、前後方向(図3上下方向)に延びる波形状を有する波形シート6が設けられている。この波形シート6は、着地時に上部ミッドソール20が左右方向に横ずれ変形するのを抑制するための部材である。
【0035】
硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで15〜80度の範囲に設定され、上下部ミッドソール20,21の硬度は、アスカーのCスケールで45〜70度の範囲に設定されている。
【0036】
ここで、上下部ミッドソール20,21の硬度をアスカーのCスケールで45〜70度としたのは、ミッドソールとしてのクッション性および安定性を確保するためであって、70度よりも大きいと、硬すぎてクッション性に欠けることになり、また45度より小さいと、軟らかすぎて着地時および荷重移動時の歩行安定性および走行安定性に欠けることになるからである。
【0037】
硬質プレート3の硬度をJISK6253Dで15〜80度としたのは、15度より小さいと、着地時および荷重移動時において、足趾の各中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また80度より大きいと、硬すぎて足当たり感が極端に低下することになるからである。
【0038】
好ましくは、上下部ミッドソール20,21の硬度は、アスカーのCスケールで50〜60度に設定され、硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで25〜35度に設定される。この第1の実施態様では、上下部ミッドソール20,21の硬度は、アスカーのCスケールで55度に設定され、硬質プレート3の硬度は、JISK6253Dスケールで30度に設定されている。
【0039】
図4に示すように、硬質プレート3が配置された部位におけるミッドソール構造体1の厚みをtとするとき、硬質プレート3の厚みt1 は0.1t〜0.5tの範囲に設定されており、硬質プレート3が配置された部位の上部ミッドソール20の厚みt2 は、硬質プレート3の厚みt1 に対応して、0.9t〜0.5tの範囲に設定されている。
【0040】
ここで、硬質プレート3が配置された部位の上部ミッドソール20単体の厚みt2 を当該部位のミッドソール構造体1全体の厚みtの50%以上90%以下としたのは、90%より大きいと、硬質プレート3による各足趾の中足骨骨頭部の下方への沈み込みを抑制する効果が少なく、また50%より小さいと、ミッドソールとしてのクッション性および足当たり性が極端に低下することになるからである。
【0041】
好ましくは、硬質プレート3の厚みt1 は0.1t〜0.2tの範囲に設定され、硬質プレート3が配置された上部ミッドソール20の厚みt2 は0.9t〜0.8tの範囲に設定される。この第1の実施態様では、硬質プレート3の厚みt1 は0.15tに設定され、上部ミッドソール20の厚みt2 は0.85tに設定されている。
【0042】
この第1の実施態様においては、硬質プレート3が上部ミッドソール20の上面20aに配置されていることにより、荷重移動の際に、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みを最も直接的に防止でき、その結果、足趾の背屈を効果的に防止できる。また、硬質プレート3によって、上部ミッドソール20が局部的に大きく圧縮変形するのを防止でき、上部ミッドソール20の圧縮変形量を均一にできる。さらに、硬質プレート3を配置した上部ミッドソール領域の厚みを薄くしたことにより、荷重移動の際に上部ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できるようになる。
【0043】
〔第2の実施態様〕
図5ないし図7に示すように、この第2の実施態様においては、硬質プレート3が上部ミッドソール20の下面に配置されている点のみが前記第1の実施態様と異なっている。硬質プレート3は、上部ミッドソール20の下面20dに形成された凹部20c′に嵌め込まれている。なお、前記第1の実施態様の場合と同様に、上下部ミッドソール20,21の硬度はアスカーのCスケールで55度に設定され、硬質プレート3の硬度はJISK6253Dスケールで30度に設定されており、硬質プレート3の厚みは0.15tに設定され、上部ミッドソール20の厚みは0.85tに設定されている。
【0044】
この第2の実施態様においては、硬質プレート3が上部ミッドソール20の下面20dに配置されていることにより、荷重移動の際には、踏付部に対する柔らかな足当たり感を上部ミッドソール20により確保しつつ、足趾の背屈を防止できる。また、硬質プレート3を配置した上部ミッドソール領域の厚みを薄くしたことにより、荷重移動の際に上部ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0045】
〔第3の実施態様〕
図示していないが、硬質プレート3は、上部ミッドソール20の内部に埋設するようにしてもよい。この場合、硬質プレート3は、たとえば、上下に分割された上部ミッドソール20の間に挟み込まれて接着されることにより、上部ミッドソール20内に配置される。
【0046】
この第3の実施態様においては、荷重移動の際には、踏付部に対する柔らかな足当たり感を上部ミッドソール20の上面20aで確保しつつ、足趾の背屈を防止でき、また上部ミッドソール20の圧縮変形量をほぼ均一にできる。さらに、硬質プレート3を配置した上部ミッドソール領域の厚みが同様に薄くなるので、荷重移動の際に上部ミッドソール領域の上下方向の変形量を低減でき、各足趾の第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みをより効果的に防止できる。
【0047】
次に、第1ないし第3の実施態様におけるミッドソール構造体を備えたシューズを用いて、実際に足圧を測定した結果を図8に示す。また、従来のミッドソールを備えたシューズを用いて、同様に足圧を測定した結果を図9に示す。
これら図8および図9は、踵着地時から前足部への荷重移動時をへてつま先部から離地するまでの間の足圧の時系列的変化を示しており、図中、色が濃い領域ほど圧力が高いことを示している。また、図中の矢印は、接地面に作用するせん断力を示している。
【0048】
図8および図9を比較して明らかなように、図9では、第1趾の足圧が低いのに対し、図8では第1趾の足圧が高くなっている。これは、荷重移動の際に第1から第5中足骨骨頭部の下方への沈み込みが抑制されて、足趾の背屈が防止された結果、各足趾が使いやすくなって、とくに第1趾の蹴り出しが強くなったことによるものと考えられる。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、各足趾の中足骨骨頭部をカバーするミッドソール領域に高硬度の硬質プレートが設けられるので、足の踵部から前足部への荷重移動の際に当該ミッドソール領域の上下方向の変形を抑制して、各足趾の第1中足骨骨頭部から第5中足骨骨頭部が下方に沈み込むのを防止でき、これにより、足趾の背屈を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるミッドソール構造体における硬質プレートの位置を足の骨格図との関係で示す平面図である。
【図2】本発明の一実施態様によるミッドソール構造体の平面図である。
【図3】図2のIII−III 線断面図である。
【図4】図2のIV−IV 線断面図である。
【図5】本発明の他の実施態様によるミッドソール構造体の平面図である。
【図6】図5のVI−VI 線断面図である。
【図7】図5のVII−VII 線断面図である。
【図8】本発明によるミッドソール構造体を備えたシューズにおける足圧・せん断力分布図である。
【図9】図8の比較例を示しており、従来のシューズにおける足圧・せん断力分布図である。
【符号の説明】
1: ミッドソール構造体
2: ミッドソール
20: 上部ミッドソール
20a: 上面
20c: 凹部
21: 下部ミッドソール
3: 硬質プレート
A: 踵部
B: 中足部
C: 前足部
MB: 中足骨
MJ: 中足趾節関節
t,t1 ,t2 : 厚み
Claims (9)
- シューズのミッドソール構造体であって、
着用者の足の踵部、土踏まず部および前足部にそれぞれ対応する踵部、中足部および前足部を有する軟質弾性部材製のミッドソールを備え、
前記ミッドソールにおいて、着用者の足の第1趾ないし第5趾の各中足骨骨頭部をカバーする領域に、前記ミッドソールよりも硬度が高い硬質プレートが設けられている、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項1において、
前記硬質プレートが樹脂またはラバー素材から構成されるとともに、その硬度がJISK6253Dスケールで15〜80度であり、前記ミッドソールの硬度がアスカーのCスケールで45〜70度である、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項2において、
前記硬質プレートの硬度がJISK6253Dスケールで25〜35度であり、前記ミッドソールの硬度がアスカーのCスケールで50〜60度である、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記硬質プレートが、前記ミッドソールの上面に形成された凹部に配置されている、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記硬質プレートが、前記ミッドソールの下面に形成された凹部に配置されている、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記硬質プレートが、前記ミッドソールの内部に埋設されている、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項4ないし6のいずれかにおいて、
前記硬質プレートが配置された部位における当該ミッドソール構造体の厚みをtとするとき、前記硬質プレートの厚みが(0.1〜0.5)×tであり、当該硬質プレートが配置された部位の前記ミッドソールの厚みが(0.9〜0.5)×tである、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項7において、
前記硬質プレートの厚みが(0.1〜0.2)×tであり、当該硬質プレートが配置された前記ミッドソールの厚みが(0.9〜0.8)×tである、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。 - 請求項4ないし6のいずれかにおいて、
前記硬質プレートが、前記ミッドソールの成形時にインサート成形されている、
ことを特徴とするシューズのミッドソール構造体。
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WO2009066834A1 (en) * | 2007-11-20 | 2009-05-28 | Young Jin Moon | Shoes with elasticity enhancing structure for promoting secretion of growth hormone and enhancing performance |
WO2024013860A1 (ja) * | 2022-07-12 | 2024-01-18 | 株式会社アシックス | フットウェア |
-
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- 2003-03-05 JP JP2003057999A patent/JP2004267238A/ja active Pending
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