JP2004267203A - 改変した金属酵素 - Google Patents

改変した金属酵素 Download PDF

Info

Publication number
JP2004267203A
JP2004267203A JP2003408573A JP2003408573A JP2004267203A JP 2004267203 A JP2004267203 A JP 2004267203A JP 2003408573 A JP2003408573 A JP 2003408573A JP 2003408573 A JP2003408573 A JP 2003408573A JP 2004267203 A JP2004267203 A JP 2004267203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
enzyme
metal
substituted
coordinated
wild type
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003408573A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4478865B2 (ja
Inventor
Tadayasu Matsumura
肇庸 松村
Seiji Takeshima
誠嗣 竹嶋
Takahide Kishimoto
高英 岸本
Masanori Oka
岡  正則
Tadashi Yoshimoto
忠 芳本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2003408573A priority Critical patent/JP4478865B2/ja
Publication of JP2004267203A publication Critical patent/JP2004267203A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4478865B2 publication Critical patent/JP4478865B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】
本発明は、金属を配位している金属酵素において、その配位金属を他に置換することによって酵素特性の改変を行うものである。
【解決手段】
金属を配位している金属酵素において、野生型で配位している金属の全部および一部が少なくとも1種以上の他の金属に置換されていることを特徴とする、置換前の酵素と比較して酵素特性に違いがある酵素、および、金属を配位している金属酵素において、野生型で配位している金属の全部および一部を少なくとも1種以上の他の金属に置換することを特徴とする、置換前の酵素と比較して酵素特性に違いが生じる酵素を作製する方法。

Description

本発明は、金属を配位している金属酵素において、その配位金属を他に置換することによって酵素特性の改変を行うものである。
酵素は、古くから食品業界や化学業界等、数多くの産業において生体触媒として利用されてきた。そして、自然界から得られる天然型の酵素は、その産業上の求めにより、安定性や基質特異性等が向上するよう人為的な改変が加えられてきた。産業用途上不十分な特性を改変する努力は、酵素の種類に限定されるものではない。酵素特性改変の手段としては、例えば、タンパク質レベルでの改変手段として、タンパク質を構成する特定のアミノ酸を他の化合物で修飾する方法がある。また、遺伝子レベルでの改変手段としては、酵素をコードする遺伝子DNAの塩基配列を改変することにより、アミノ酸の置換、付加、欠失を行う方法がある。
しかしながら、これらの手法を用いて改変を実施しても、その産業上の要請に応えられない場合があった。例えば、カルシウムを配位している金属酵素であるピロロキノリンキノン(PQQ)依存性グルコース脱水素酵素(以下PQQGDHとも記載)は、グルコースを酸化してグルコノラクトンを生成するという反応を触媒する点、及び反応系の溶存酸素の影響を受けず、補酵素添加を必要としない酵素特性を有する点より、血糖の生化学診断薬はもちろん血糖センサー等幅広い用途が期待されてきた。しかしながら、産業用途上使用するには、安定性が不十分であったり、基質特異性が広く他の糖も基質なるので測定精度が不十分であったりと、酵素特性の改変が必要とされた。そこで、これまで上記手段を用いて種々の特性改良が実施されてきたが、酵素特性の改変効果は限定的なものであり、産業用途上の要求性を必ずしも満足させるものではなかった(例えば、特許文献1〜4参照。)。アミノ酸を改変の標的として特性の改変を試みることに効果の限界があると推測される。
また、亜鉛を配位している金属酵素であるクレアチニンアミドヒドロラーゼは、筋疾患や腎疾患の指標であるクレアチニン等の測定に用いられている。これまでにシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)PS−7株やアルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)TE3581株等の産生するクレアチニンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子が分離され、遺伝子工学的技術による該酵素の大量供給及びクレアチニン測定への利用が知られている(例えば、特許文献5〜6参照。)。シュードモナス・プチダの産生するクレアチニンアミドヒドロラーゼは、EDTAによるキレート処理で調製したアポ型酵素に、野生型酵素に配位している亜鉛と異なる種類の金属を添加することで、野生型酵素で配位している金属を添加するよりも高い比活性が得られることが示されている(非特異特許文献1。)。しかしながらこの場合、アポ型酵素の活性化に寄与しているものの、添加した金属がアポ型酵素に配位しているか否かの知見はなく、更に反応系に添加された過剰の遊離した金属が、分析に必要な他の成分、例えば発色色素の非特異的反応が生じるといった、悪影響を及ぼす懸念があった。
特開2001−346587号公報 特開2000−350588号公報 特開2000−312588号公報 特開2001−197888号公報 特開平3−19690号公報 特開平9−154574号公報 J. Biochem.86,p1109−1117(1979)
そこで、我々は金属を配位している金属酵素が特定の金属を配位しており、その金属が酵素の反応や安定化に必須である点に着目し、金属を配位している金属酵素の配位金属を他の金属に置換することにより特性改変を実施できるのではないかと考えた。種々検討を実施した結果、金属を配位している金属酵素の配位金属を他の種々の金属に各々置換することで、安定性や基質親和性あるいは比活性の向上が図れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
項1.
金属を配位している金属酵素において、野生型で配位している金属の全部および一部が少なくとも1種以上の他の金属に置換されていることを特徴とする、置換前の酵素と比較して酵素特性の向上が認められる酵素
項2.
野生型で配位している金属がアルカリ土類金属である、項1に記載の酵素
項3.
野生型で配位している金属が、マグネシウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、モリブデン、銀、カドミウム、バリウムからなる群より選ばれるいずれか1種以上の金属に置換されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酵素
項4.
野生型で配位している金属と他の金属がヘテロに配位していることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の酵素
項5.
安定性、基質に対するKm値、比活性、基質特異性、至適pH、至適温度からなる群より選ばれる、少なくとも一つの酵素特性において、置換前の酵素と比較して酵素特性の向上があることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の酵素
項6.
野生型で配位している金属がマグネシウムに置換されている、置換前の酵素と比較して比活性の向上が認められる、項5記載の酵素
項7.
野生型で配位している金属がマンガンに置換されている、置換前の酵素と比較して比活性の向上が認められる、項5記載の酵素
項8.
野生型で配位している金属が鉄に置換されている、置換前の酵素と比較して基質に対するKm値の低下が認められる、項5記載の酵素
項9.
野生型で配位している金属がカドミウムに置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、項5記載の酵素
項10.
野生型で配位している金属が銅に置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、項5記載の酵素
項11.
野生型で配位している金属が亜鉛に置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、項5記載の酵素
項12.
野生型で配位している金属がバリウムに置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、項5記載の酵素
項13.
金属酵素が酸化還元酵素である、項1〜12のいずれかに記載の酵素
項14.
金属酵素が脱水素酵素である、項1〜12のいずれかに記載の酵素
項15.
金属酵素がピロロキノリンキノン(以下ピロロキノリンキノンをPQQとも記載)を補酵素とする脱水素酵素である項14に記載の酵素
項16.
金属酵素がピロロキノリンキノンを補酵素とするグルコース脱水素酵素(以下グルコース脱水素酵素をGDHとも記載)である項15に記載の酵素
項17.
項16記載のグルコース脱水素酵素を含むグルコースアッセイキット
項18.
請求項16記載のグルコース脱水素酵素を含むグルコースセンサー
項19.
金属酵素が加水分解酵素である、項1〜12のいずれかに記載の酵素
項20.
金属酵素がクレアチニンアミドヒドロラーゼである項19に記載の酵素
項21.
項20記載のクレアチニンアミドヒドロラーゼを含むクレアチニンアッセイキット
項22.
金属酵素において、野生型で配位している金属の全部および一部を少なくとも1種以上の他の金属に置換することを特徴とする、置換前の酵素と比較して酵素特性の向上が認められる酵素を作製する方法
なお、金属を配位している金属酵素において、その配位金属を他の金属に置換したという報告には次のようなものがある。PQQ依存性メタノール脱水素酵素において配位カルシウムをストロンチウムに置換した例(例えば、非特許文献1参照)、及びPQQ依存性グルコース脱水素酵素において配位カルシウムをバリウムに置換した例(例えば、非特許文献2参照)、あるいはPQQ依存性グルコース脱水素酵素において配位カルシウムをマグネシウム、マンガン、亜鉛等に置換した例(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、これらはいずれも酵素の反応機構を解明する目的で実施されたに過ぎない。金属置換により酵素特性を改変し、金属置換酵素を産業用途上使用しようという目的で実施された例はない。また、過去の例では、いずれも置換目的の金属に均一(ホモ)になることを意図して金属置換が実施されており、本発明に記載するように置換目的の金属が置換後に野生型で配位している金属とヘテロになるように置換されたという報告はない。
さらに、PQQ依存性グルコース脱水素酵素を使用した例では、いずれも酵素特性の低下が認められており、本発明に記載するような酵素特性の向上は認められていない。本発明者は、この違いは上記の金属配位状態の違いに起因すると考察する。
Biochem.J.1994,300,175−182 Biochemistry 2000,39, 9384−9392 Biosci,Biotech,Biochem,59,1548−1555,1995
上述したように、本発明において実施例から明らかなように、金属を配位している金属酵素において、その配位金属を他に置換することによって酵素特性の改変を行うものである。
本発明の改変金属酵素の基になる、金属を配位している金属酵素とは、特に限定されるものではないが、好ましくはアルカリ土類金属を配位している金属酵素である。
別の観点から好ましくは酸化還元酵素である。さらに好ましくは脱水素酵素であり、中でも好ましくはピロロキノリンキノンを補酵素とする脱水素酵素であり、特に好ましくはピロロキノリンキノンを補酵素とするグルコース脱水素酵素である。
更に別の観点から好ましくは加水分解酵素である。さらに好ましくはクレアチニンアミドヒドロラーゼである。
本発明の野生型で配位している金属及び野生型金属酵素とは、自然界で存在している時に金属を配位している酵素に含まれている金属及びその状態の酵素を指す
本願発明でいう「酵素特性」とは、特に限定されないが、実用上考慮すべき特性として、安定性、Km値、比活性、基質特異性、至適pH、至適温度からなる群より選ばれる、少なくとも一つが、代表的なものとして挙げられる。
本願発明でいう「酵素特性の向上」とは、本願発明を実施した場合に、適当な方法で特性を評価した結果が、本願発明を実施していない場合と比べて優位なことをいう。
特性評価の方法については、当業者における常識の範囲内であり、かつ、両者の差が明らかになる条件であれば任意に設定してよいし、目的に応じて、さらに好ましい条件を選択することもできる。
本発明における安定性とは、一定状態における保存後の酵素活性の残存割合で評価される。例えば、本願発明を実施した場合の活性残存率が、本願発明を実施していない場合と比べて高い場合、安定性が向上したと判断される。通常、安定性は低下するより向上するほうが、使用形態(キットやセンサーなど)を考えた場合、好ましい。
本願発明においては、0.1%TritonX−100、0.1%BSAを含むPIPES―NaOH緩衝液(pH6.5)中で35℃、7日間保存を行うことが好ましい。なお、保存における、酵素の濃度は、特に限定されないが、酵素の使用目的に応じて、その酵素が本来の性能を保持できる範囲に設定されていればよい。
本発明におけるある物質に対するKm値(ミカエリス定数)は、酵素の基質となりうる物質との親和性に関連する指標の1つであり、公知の方法で測定することができる。
本発明における比活性とは、単位重量の酵素分子あたりの活性であり、より詳しくは精製酵素1mgあたりの酵素活性の単位である。
本発明における基質特異性とは、酵素の基質に対する選択性の幅のことである。「酵素の基質特異性に違いがある」とは、少なくとも2つ以上の基質に対する反応性の相対比が、比較対象の基質間で異なることをいう。反応性は、活性測定を行ったときの測定感度等種々の公知の方法で評価することができる。
本発明の金属置換酵素の製造法は、特に限定されないが、以下に示すような手順で製造することが可能である。まず、金属酵素をコードする遺伝子を遺伝子発現用ベクター(例えばプラスミド)に挿入し、これを適当な宿主(例えば大腸菌)に形質転換する。この際のプラスミドとしては、例えば、エシェリシア・コリィ(Eschrichia coli)を宿主微生物とする場合にはpBluescript、pUC18などが使用できる。宿主微生物としては、例えば、エシェリシア・コリィC600、エシェリシア・コリィJM109、エシェリシア・コリィDH5アルファなどが利用できる。宿主微生物に組換えベクターを移入する方法としては、例えば宿主微生物がエシェリシア属に属する微生物の場合には、カルシウムイオンの存在下で組換えDNAの移入を行なう方法などを採用することができ、更にエレクトロポレーション法を用いても良い。更には、市販のコンピテントセル(例えば、コンピテントハイJM109;東洋紡績製)を用いても良い。
こうして得られた形質転換体である微生物は、栄養培地で培養されることにより、多量の組換えタンパク質を安定して生産し得る。形質転換体である宿主微生物の培養形態は宿主の栄養生理的性質を考慮して培養条件を選択すればよく、通常多くの場合は液体培養で行うが、工業的には通気撹拌培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては微生物の培養に通常用いられるものが広く使用され得る。なお、本発明においては、置換目的の金属を組換えタンパク質の生成量以上に添加した条件下で培養することが必要である。あるいは野生型で配位している金属が微生物の生育にとって必須ではない金属である場合は、野生型で配位している金属を含まず、かつ置換目的の金属を過剰に添加した条件下で培養してもよい。すなわち、組換えタンパク質発現時に置換目的の金属を野生型で配位している金属の代りに取り込ませる。なお、金属酵素の種類によっては、組換えタンパク質発現後に、野生型で配位している金属を他の金属に置換可能なもの、あるいは特定の処理を施さなければ金属を配位しないものもあるが、そのような酵素に関しては培養の手段を選ばない。その他、炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコ−ス,シュークロース、ラクトース、マルトース、フラクトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物などが使用される。リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩や、特定のアミノ酸、特定のビタミンなども必要に応じて使用される。本発明培養温度は菌が発育し、改変蛋白質を生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリシア・コリィの場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養時間は条件によって多少異なるが、組換えタンパク質が最高収量に達する時期を見計らって適当時期に培養を終了すればよく、通常は6〜48時間程度である。培地pHは菌が発育し組換えタンパク質を生産する範囲で適宜変更し得るが、特に好ましくはpH6.0〜9.0程度である。
培養物中の組換えタンパク質を生産する菌体を含む培養液をそのまま採取し利用することもできるが、一般には常法に従って組換えタンパク質が培養液中に存在する場合は、濾過,遠心分離などにより、組換えタンパク質含有溶液と微生物菌体とを分離した後に利用される。組換えタンパク質が菌体内に存在する場合には、得られた培養物から濾過または遠心分離などの手段により菌体を採取し、次いでこの菌体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊し、また必要に応じてEDTA等のキレート剤及びまたは界面活性剤を添加して組換えタンパク質を可溶化し、水溶液として分離採取する。この様にして得られた組換えタンパク質含有溶液を、例えば、減圧濃縮、膜濃縮、更に硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどの塩析処理、或いは親水性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトンなどによる分別沈澱法により沈澱せしめればよい。また、加熱処理や等電点処理も有効な精製手段である。吸着剤或いはゲル濾過剤などによるゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーにより、精製された金属置換酵素を得ることができる。なお、上述の通り、金属酵素が組換えタンパク質発現後に、野生型で配位している金属を他の金属に置換可能なもの、あるいは特定の処理を施さなければ金属を配位しないものである場合は、本精製後にそれぞれの酵素に適した処理を実施することで、目的とする金属置換酵素を得ることが出来る。
グルコースアッセイキット
本発明はまた、本発明に従う金属置換されたピロロキノリンキノンを補酵素とするグルコース脱水素酵素を含むグルコースアッセイキットを特徴とする。本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従うグルコース脱水素酵素を少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明のグルコース脱水素酵素に加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明に従うグルコース脱水素酵素は種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。好ましくは本発明のグルコース脱水素酵素はホロ化した形態で提供されるが、アポ酵素の形態で提供し、使用時に該金属とピロロキノリンキノンを添加し、ホロ化することもできる。
グルコースセンサー
本発明はまた、本発明に従う金属置換されたピロロキノリンキノンを補酵素とするグルコース脱水素酵素を用いるグルコースセンサーを特徴とする。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。好ましくは本発明のグルコース脱水素酵素はホロ化した形態で電極上に固定化するが、アポ酵素の形態で固定化し、ピロロキノリンキノンを別の層としてまたは溶液中で提供することもできる。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明のグルコース脱水素酵素をカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
グルコース濃度の測定は、以下のようにして行うことができる。恒温セルに緩衝液を入れ、PQQおよび配位金属、およびメディエーターを加えて一定温度に維持する。メディエーターとしては、フェリシアン化カリウム、フェナジンメトサルフェートなどを用いることができる。作用電極として本発明のグルコース脱水素酵素を固定化した電極を用い、対極(例えば白金電極)および参照電極(例えばAg/AgCl電極)を用いる。カーボン電極に一定の電圧を印加して、電流が定常になった後、グルコースを含む試料を加えて電流の増加を測定する。標準濃度のグルコース溶液により作製したキャリブレーションカーブに従い、試料中のグルコース濃度を計算することができる。
クレアチニンアッセイキット
本発明はまた、本発明に従う金属置換されたクレアチニンアミドヒドロラーゼを含むクレアチニンアッセイキットを特徴とする。
本発明のクレアチニンアッセイキットは、上記の金属置換されたクレアチニンアミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、サルコシンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、および過酸化水素検出試薬を含む。過酸化水素検出試薬とは、サルコシンオキシダーゼにより生成する過酸化水素をペルオキシダーゼの存在下で、生成色素として測定する試薬であり、酸化系発色試薬及び必要に応じて4−アミノアンチピリンや3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンなどのカップラーを含む。本発明の過酸化水素測定試薬は、各種の市販のものなどを用いることができるが、特に限定されるものではない。更に上記のクレアチニンアッセイキットは、金属塩、蛋白質、アミノ酸、糖類、有機酸などを安定化剤として使用することもできる。また通常、試薬性能に悪影響を及ぼさない範囲で防腐剤や界面活性剤を添加し、適当な緩衝液と共に使用される。緩衝液の種類、濃度およびpHは、各試薬成分の保存および酵素反応など目的に応じて一種もしくは複数が選択されるが、いずれの緩衝液を用いるに際しても、酵素反応時のpHとしては5.0〜10.0の範囲で使用されることが好ましい。
本発明により、従来のクレアチニンアッセイキットに比べて正確性に優れ、および/または経済的に有利な試薬を供給することが可能となる。例えば、本発明の金属置換され、安定性の向上したクレアチニンアミドヒドロラーゼを用いることで、クレアチニンアミドヒドロラーゼの劣化に伴う試薬寿命を延長させることができ、同時に測定の正確性と精密性の向上が期待できる。また例えば、本発明の金属置換され、比活性が向上若しくクレアチニンに対するKm値が低下したクレアチニンアミドヒドロラーゼを用いることで、クレアチニンアッセイキット中への必要酵素添加量、ひいては試薬に掛かるコストを低減させることができ、安価な試薬の供給が可能となる。更にはキットに添加されたクレアチニンアミドヒドロラーゼが原因で引き起こされる、クレアチニンアッセイキットの濁りや試薬ブランク上昇のリスクを低減させることも期待できる。
以下、野生型においてカルシウムを配位するピロロキノリンキノン(PQQ)依存性のグルコース脱水素酵素、及び野生型において亜鉛を配位するクレアチニンアミドヒドロラーゼにおいて、各々配位金属のカルシウム及び亜鉛を他の金属に置換した実施例により、本発明を具体的に説明する。言うまでもなく本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>PQQ依存性グルコース脱水素酵素遺伝子の発現プラスミドの構築
アシネトバクター バウマンニ(Acinetobacter baumannii) NCIMB11517株由来のPQQ依存性のグルコース脱水素酵素をコードする構造遺伝子を、発現ベクターpBluescript SK(−)のマルチクローニング部位に挿入し、発現プラスミドpNPG14を構築した。その塩基配列を配列表の配列番号2に、また該塩基配列から推定されるPQQ依存性グルコース脱水素酵素のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示す。
<実施例2>金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素の取得
発現プラスミドpNPG14をエシェリシア・コリィDH5アルファ(E.coli DH5α)に形質転換し、100μg/mlアンピシリンナトリウムを含むLB寒天培地上に形質転換体を得た。該形質転換体を、100μg/mlアンピシリンナトリウム、及び置換目的の金属イオンが1.2mM含まれる生産培地(2% ポリペプトン、3% 酵母エキス、1% グリセロール、0.23% リン酸2水素カリウム、1.25% リン酸水素2カリウム、pH7.0)に植菌し、37℃、24時間振とう培養を実施し、PQQ依存性グルコース脱水素酵素を発現した。具体的には、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、鉄、バリウム及びコントロールとしてカルシウムを添加して検討した。培地添加量は50ml/500ml坂口フラスコであり、振とう数は180回転/分であった。
培養終了後、菌体を回収し、菌体内タンパクとしてPQQ依存性グルコース脱水素酵素が発現したことを確認した。そこで、回収した菌体を50mM リン酸緩衝液(pH7.0)でO.D.660=100となるように懸濁後、超音波破砕により菌体を破砕し、さらに遠心分離により上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液をHiTrap−SP(アマシャム−バイオサイエンス社)イオン交換カラムクロマトグラフィーにより分離・精製した。次いで50mM リン酸緩衝液(pH7.0)で透析した後にHiTrap−DEAE(アマシャム−バイオサイエンス社)イオン交換カラムクロマトグラフィーにより非吸着画分を回収し、精製酵素標品を得た。本方法により得られた標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一なバンドを示した。
本来PQQ依存性グルコース脱水素酵素は、基質結合部位に補酵素PQQとカルシウムイオンを含むが、エシェリシア・コリィはPQQを産生する能力がないので、上記酵素はアポ型酵素であり、このままでは基質結合部位に補酵素PQQと金属イオンを含まない。そこで、該精製酵素溶液に、30μM PQQ、及び250μM 各置換目的金属イオンを添加し、30℃、30分反応することで、各目的金属イオンを配位したホロ型の金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素を取得した。なお、反応後に、50mM リン酸緩衝液(pH7.0)で緩衝化したG−25脱塩カラムにて脱塩することにより、未反応のPQQと金属イオンを除去した。具体的には、配位金属がマグネシウムに置換したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Mg−GDH)、配位金属がマンガンに置換したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Mn−GDH)、配位金属が銅に置換したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Cu−GDH)、配位金属が亜鉛に置換したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Zn−GDH)、配位金属が鉄に置換したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Fe−GDH)、配位金属がバリウムに置換したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Ba−GDH)、及びコントロールとして野生型と同じカルシウムを配位したPQQ依存性グルコース脱水素酵素(Ca−GDH)を取得した。
なお、各金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素に含まれる配位金属が、カルシウムから置換目的の金属に置換されたことの確認は、最終的なホロ型酵素中に含まれる金属含量を測定することにより実施することにした。具体的には、Mg−GDH、Zn−GDH、Fe−GDHに含まれるカルシウム含量と各々置換目的の金属含量をICP発光分光分析法求めることにより、目的とした金属への配位置換が出来たかどうかを判断した。
<結果>
金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素中の単位タンパク量あたりに含まれる金属含有比(モル比)
・ Mg−GDH
Ca:Mg=1:1
・ Zn−GDH
Ca:Zn=1:5
・ Fe−GDH
Ca:Fe=1:9
いずれも置換目的の金属への配位置換を確認した。なお、野生型配位金属であるCaとのヘテロな配位が確認されたが、これは培養での酵素生産時に培地中のCaを配位したことに起因すると考えられる。このヘテロな金属配位が本発明の特徴であり、酵素特性向上に寄与していると考える。
<実施例3>金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素の特性確認
金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素の比活性、Km値、保存安定性を確認した。以下に活性測定法、各特性確認法、及びその結果を示す。
PQQ依存性グルコース脱水素酵素活性の測定方法
・ 測定原理
PQQ依存性グルコース脱水素酵素
D−グルコース+PMS→ D−グルコノ−1,5−ラクトン + PMS(red)
2PMS(red) + NTB → 2PMS + ジホルマザン
フェナジンメトサルフェート(PMS)(red)によるニトロテトラゾリウムブルー(NTB)の還元により形成されたジホルマザンの存在は、570nmで分光光度法により測定した。(redは還元型を示す。)
・ 単位の定義
1単位は、以下に記載の条件下で1分当たりジホルマザンを0.5ミリモル形成させるPQQ依存性グルコース脱水素酵素の酵素量をいう。
(3)方法
試薬
A.D−グルコース溶液:1M(1.8g D−グルコース(分子量180.16)/10mlH2O)
B.PIPES−NaOH緩衝液, pH6.5:50mM(60mLの水中に懸濁した1.51gのPIPES(分子量302.36)を、5N NaOHに溶解し、2.2mlの10% Triton X−100を加える。5N NaOHを用いて25℃でpHを6.5±0.05に調整し、水を加えて100mlとした。)
C.PMS溶液:3.0mM(9.19mgのフェナジンメトサルフェート(分子量817.65)/10mlHO)
D.NTB溶液:6.6mM(53.96mgのニトロテトラゾリウムブルー(分子量817.65)/10mlHO)
E.酵素希釈液:1mM CaCl, 0.1% Triton X−100, 0.1% BSAを含む50mM PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5)
手順
・ 遮光ビンに以下の反応混合物を調製し、氷上で貯蔵した(用事調製)
0.9ml D−グルコース溶液 (A)
25.5ml PIPES−NaOH緩衝液(pH6.5) (B)
2.0ml PMS溶液 (C)
1.0ml NTB溶液 (D)
Figure 2004267203
・ 3.0mlの反応混合液を試験管(プラスチック製)に入れ、37℃で5分間予備加温した。
・ 0.1mlの酵素溶液を加え、穏やかに反転して混合した。
・ 570nmでの水に対する吸光度の増加を37℃に維持しながら分光光度計で4〜5分間記録し、曲線の初期直線部分からの1分当たりのΔODを計算した(ODテスト)
同時に、酵素溶液に代えて酵素希釈液(E)加えることを除いては同一の方法を繰り返し、ブランク(ΔODブランク)を測定した。
アッセイの直前に氷冷した酵素希釈液(E)で酵素粉末を溶解し、同一の緩衝液で0.1−0.8U/mlに希釈した(該酵素の接着性のためにプラスチックチューブの使用が好ましい)
計算
活性を以下の式を用いて計算する:
体積活性(U/ml)={ΔOD/min(ΔODテスト− ΔODブランク)×Vt×df}/(20.1×1.0×Vs)
重量活性(U/mg)=(U/ml)×1/C
Vt:総体積(3.1ml)
Vs:サンプル体積(1.0ml)
20.1:ジホルマザンの1/2ミリモル分子吸光係数
1.0:光路長(cm)
df:希釈係数
C:溶液中の酵素濃度(c mg/ml)
比活性の測定
単位液量あたりのタンパク含量をBradford法プロテインアッセイキット(Biorad社製)を用いて測定した。上記活性測定法により単位液量あたりの活性値を測定し、単位液量あたりの活性値を単位液量あたりのタンパク含量で割ることで、各金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素の比活性を求めた。
Km値の測定
上記活性測定法において、反応試薬中のグルコース濃度を2,4,8,12,16,20mMと変化させ、各基質濃度とその時の酵素活性値より、各金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素のKm値を測定した。
保存安定性の測定
各金属置換PQQ依存性グルコース脱水素酵素を、0.1%TritonX−100、0.1%BSAを含む50mM PIPES―NaOH緩衝液(pH6.5)に、酵素濃度5U/mlとなるように添加し、35℃にて7日間保存後に酵素活性を測定し、添加時の酵素濃度と比較することにより残存活性率を求めた。
<結果>
Figure 2004267203
<実施例4>金属置換クレアチニンアミドヒドロラーゼの取得
シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)PS−7株由来のクレアチニンアミドヒドロラーゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターpCNH521(特許第2527035号公報)により、エシェリシア・コリィJM109(E.coli JM109)を形質転換し、100μg/mlアンピシリンナトリウムを含むLB寒天培地上に形質転換体を得た。該形質転換体を、100μg/mlアンピシリンナトリウムを含むLB培地(1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、1% 塩化ナトリウム、pH7.4)5mlに植菌し、30℃、16時間振とう培養を行った後、該培養液を100μg/mlアンピシリンナトリウム、及び塩化マンガン5mMを含むLB培地(1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、1% 塩化ナトリウム、pH7.4)500mlに接種し、37℃、16時間振とう培養を実施しクレアチニンアミドヒドロラーゼを発現した。
培養終了後、菌体を回収し、回収した菌体を50mM リン酸緩衝液(pH7.5)100mlに懸濁後、超音波破砕により菌体を破砕し、さらに遠心分離により上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液
にポリエチレンイミンを用いて用いて除核酸処理を施した後、硫酸アンモニウムを用いた塩析分画を行った。塩析沈殿物を20mlの50mM リン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、60℃、30分間熱処理後、遠心分離により不溶物を除去した。遠心上清を50mM リン酸緩衝液(pH7.5)で透析した後、同緩衝液で平衡化したHiTrap−DEAE(アマシャム−バイオサイエンス社)イオン交換カラムクロマトグラフィーに供し、0.1〜0.3Mの塩化ナトリウム濃度勾配溶出により、クレアチニンアミドヒドロラーゼ活性画分を得た。このクレアチニンアミドヒドロラーゼ画分を限外濾過により濃縮した後、50mM リン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したセファデックスG−25にてゲル濾過し、Mnにより置換された精製酵素標品(Mn−CNH)を得た。本方法により得られた標品は、SDS−PAGE的にほぼ単一なバンドを得た。
比較の為に、亜鉛を配位した野生型クレアチニンアミドヒドロラーゼ(Zn−CNH)は、形質転換体培養時に、クレアチニンアミドヒドロラーゼ生産培地に100μg/mlアンピシリンナトリウムを含むLB培地(1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、1% 塩化ナトリウム、pH7.4)を用い、それ以外は上記と同様の方法により取得した。
尚、クレアチニンアミドヒドロラーゼの活性測定は、下記試薬を使用し、下記測定条件で行った。
試薬
試薬A:0.1Mクレアチン溶液(1.49gのクレアチニン(メルク社製)を50mMリン酸緩衝液pH7.5に溶解し、100mlとする)
試薬B:0.5N NaOH水溶液
試薬C:1.0%ピクリン酸水溶液
測定条件
試験管に試薬A0.9mlを採り、37℃で約5分間予備加温した後、0.1mlの酵素溶液を加えて反応を開始させる。37℃で正確に10分間反応させた後、直ちに反応液0.1mlを採り、試薬B1.9ml中へ加える。これに試薬C1.0mlを加え、25℃で20分間放置後、520nmにおける吸光度を測定する(ODテスト)。盲検は氷令した試薬Aに酵素溶液をを添加後直ちに反応液の0.1mlを採り、試薬B1.9ml中へ加え、25℃で20分間放置後、520nmにおける吸光度を測定する(ODブランク)。
計算
下記の計算により酵素活性を算出する。
体積活性(U/ml)={ΔOD/min(ΔODテスト− ΔODブランク)×Vt×10×df}/(4.65×1.0×10×Vs)
重量活性(U/mg)=(U/ml)×1/C
Vt:総体積(3.0ml)
Vs:サンプル体積(0.1ml)
4.65:Creatinine−picrateのミリモル分子吸光係数
1.0:光路長(cm)
10:反応液量(1.0ml)/採取液量(0.1ml)、反応時間(10分間)
df:希釈係数
C:溶液中の酵素濃度(c mg/ml)
取得した野生型及び金属置換クレアチニンアミドヒドロラーゼに含まれる配位金属は、原子吸光分析により測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2004267203
表3より、野生型のクレアチニンアミドヒドロラーゼが、一分子に2個の亜鉛イオンが配位しているのに対し、Mn置換クレアチニンアミドヒドロラーゼは、一分子にマンガンと亜鉛が1個ずつヘテロに配位していることが確認された。
<実施例5>金属置換クレアチニンアミドヒドロラーゼの特性確認
比活性の測定
単位液量あたりのタンパク含量を280nmにおける吸光度により測定した。上記活性測定法により単位液量あたりの活性値を測定し、単位液量あたりの活性値を単位液量あたりのタンパク含量で割ることで、野生型及び金属置換クレアチニンアミドヒドロラーゼの比活性を求めた。その結果を表4に示す。
Figure 2004267203
表4より、亜鉛が配位した野生型クレアチニンアミドヒドロラーゼに比べて、本発明の金属置換クレアチニンアミドヒドロラーゼの比活性が大幅に向上していることが確認された。
本発明の改変した金属酵素は、比活性やKm値、保存安定性などの向上により、臨床検査や食品分析など幅広い用途分野に利用することが出来、産業界に寄与することが大である。

Claims (22)

  1. 金属を配位している金属酵素において、野生型で配位している金属の全部および一部が少なくとも1種以上の他の金属に置換されていることを特徴とする、置換前の酵素と比較して酵素特性の向上が認められる酵素
  2. 野生型で配位している金属がアルカリ土類金属である、請求項1に記載の酵素
  3. 野生型で配位している金属が、マグネシウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ストロンチウム、モリブデン、銀、カドミウム、バリウムからなる群より選ばれるいずれか1種以上の金属に置換されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酵素
  4. 野生型で配位している金属と他の金属がヘテロに配位していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の酵素
  5. 安定性、基質に対するKm値、比活性、基質特異性、至適pH、至適温度からなる群より選ばれる、少なくとも一つの酵素特性において、置換前の酵素と比較して酵素特性の向上があることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酵素
  6. 野生型で配位している金属がマグネシウムに置換されている、置換前の酵素と比較して比活性の向上が認められる、請求項5記載の酵素
  7. 野生型で配位している金属がマンガンに置換されている、置換前の酵素と比較して比活性の向上が認められる、請求項5記載の酵素
  8. 野生型で配位している金属が鉄に置換されている、置換前の酵素と比較して基質に対するKm値の低下が認められる、請求項5記載の酵素
  9. 野生型で配位している金属がカドミウムに置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、請求項5記載の酵素
  10. 野生型で配位している金属が銅に置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、請求項5記載の酵素
  11. 野生型で配位している金属が亜鉛に置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、請求項5記載の酵素
  12. 野生型で配位している金属がバリウムに置換されている、置換前の酵素と比較して安定性の向上が認められる、請求項5記載の酵素
  13. 金属酵素が酸化還元酵素である、請求項1〜12のいずれかに記載の酵素
  14. 金属酵素が脱水素酵素である、請求項1〜12のいずれかに記載の酵素
  15. 金属酵素がピロロキノリンキノン(以下ピロロキノリンキノンをPQQとも記載)を補酵素とする脱水素酵素である請求項14に記載の酵素
  16. 金属酵素がピロロキノリンキノンを補酵素とするグルコース脱水素酵素(以下グルコース脱水素酵素をGDHとも記載)である請求項15に記載の酵素
  17. 請求項16記載のグルコース脱水素酵素を含むグルコースアッセイキット
  18. 請求項16記載のグルコース脱水素酵素を含むグルコースセンサー
  19. 金属酵素が加水分解酵素である、請求項1〜12のいずれかに記載の酵素
  20. 金属酵素がクレアチニンアミドヒドロラーゼである請求項19に記載の酵素
  21. 請求項20記載のクレアチニンアミドヒドロラーゼを含むクレアチニンアッセイキット
  22. 金属酵素において、野生型で配位している金属の全部および一部を少なくとも1種以上の他の金属に置換することを特徴とする、置換前の酵素と比較して酵素特性の向上が認められる酵素を作製する方法
JP2003408573A 2003-02-19 2003-12-08 改変した金属酵素 Expired - Lifetime JP4478865B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003408573A JP4478865B2 (ja) 2003-02-19 2003-12-08 改変した金属酵素

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003041181 2003-02-19
JP2003408573A JP4478865B2 (ja) 2003-02-19 2003-12-08 改変した金属酵素

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004267203A true JP2004267203A (ja) 2004-09-30
JP4478865B2 JP4478865B2 (ja) 2010-06-09

Family

ID=33134146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003408573A Expired - Lifetime JP4478865B2 (ja) 2003-02-19 2003-12-08 改変した金属酵素

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4478865B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008541103A (ja) * 2005-05-17 2008-11-20 ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス クレアチニンセンサーを二価マンガンイオン溶液で安定化または再活性化する方法
JP2021509289A (ja) * 2017-12-21 2021-03-25 メオン・メディカル・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフトMEON Medical Solutions GmbH & Co.KG クレアチニンデイミナーゼおよびその使用

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008541103A (ja) * 2005-05-17 2008-11-20 ラジオメーター・メディカル・アー・ペー・エス クレアチニンセンサーを二価マンガンイオン溶液で安定化または再活性化する方法
JP2021509289A (ja) * 2017-12-21 2021-03-25 メオン・メディカル・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフトMEON Medical Solutions GmbH & Co.KG クレアチニンデイミナーゼおよびその使用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4478865B2 (ja) 2010-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5169991B2 (ja) 改変型フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼ
US7476525B2 (en) Modified pyrroloquinoline quinone (PQQ) dependent glucose dehydrogenase with superior substrate specificity and stability
JP2010035448A (ja) 基質特異性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP2004344145A (ja) 基質特異性または安定性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP4332794B2 (ja) 基質特異性または安定性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP4478865B2 (ja) 改変した金属酵素
JP5811521B2 (ja) フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼの比活性を向上するための方法
JP4029346B2 (ja) 基質特異性または安定性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP5114756B2 (ja) 基質特異性または安定性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP2009273381A (ja) 熱安定性が向上したフラビンアデニン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP2012029677A (ja) フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼの基質特異性を改善するための方法
JP2012191882A (ja) フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼの安定性を向上するための方法
JP2006217811A (ja) 基質特異性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP4058701B2 (ja) 基質特異性または安定性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP4452988B2 (ja) ピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素の比活性を向上する方法、および、比活性の向上したピロロキノリンキノン依存性グルコース脱水素酵素
JP2007043983A (ja) 基質特異性に優れた改変型ピロロキノリンキノン依存性グルコースデヒドロゲナーゼ
JP4591074B2 (ja) 加熱処理を施した脱水素酵素
JP2006034165A (ja) Pqqgdh製造法
JP2006081407A (ja) Pqq依存性グルコースデヒドロゲナーゼの製造方法
JP2009055919A (ja) 改変型ザルコシンオキシダーゼ
JP2009072196A (ja) 改変型ザルコシンオキシダーゼ
JP2006217810A (ja) 基質特異性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP2005328793A (ja) 基質特異性に優れたピロロキノリンキノン(pqq)依存性グルコースデヒドロゲナーゼ改変体
JP2009034112A (ja) 改変型ザルコシンオキシダーゼ
JP2009095348A (ja) 改変型ザルコシンオキシダーゼ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090820

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100218

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100303

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4478865

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140326

Year of fee payment: 4

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term