JP2004265373A - ノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びプログラムを実現するものである。
【解決手段】制御対象の温度の検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御すると共に、当該検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御しながら、制御対象の温度の変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御するようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】制御対象の温度の検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御すると共に、当該検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御しながら、制御対象の温度の変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御するようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びプログラムに関し、例えばパーソナルコンピュータに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータに搭載されるCPU(Central Processing Unit)は、その動作速度が年々高速化され、それに伴い、消費電力及び発熱量が増加している。かかるCPUの温度上昇を抑えてCPUを安全に動作させるために、パーソナルコンピュータにCPU冷却用のファン(以下、これを単にファンと呼ぶ)を取り付けてCPUの放熱を制御するのが一般的である。
【0003】
その際、ファンの動作時に発生する音響をユーザがノイズとして感じる場合があり、当該ノイズを低減する手法をユーザに提供するようにしてユーザビリティの向上を図るようになされている。
【0004】
このノイズ低減の手法として、CPUの温度制御モードに応じてファンの制御モードを切り替えることにより、ファンの動作時に発生するノイズを低減させる手法が提案されている。
【0005】
そして近年では、CPUの動作速度の低下と電動ファンの回転という2つの冷却機能を、CPUの動作性能を極力低下させずにCPUの温度を低下させるモードと、ノイズ源となる電動ファンを極力使用せずにCPUの温度を低下させるモードとを、ユーザの選択に応じて有効に組み合わせることにより、CPUの過熱を効果的に防止するようにしたものが提案されている。
(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−110085号公報(第6頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CPUは比熱比が低い素子の集合体であるため、負荷に応じて、CPUの温度が急激に変化する。また、最近のCPUは、多段階の動作電圧に応じた動作速度(周波数)を持っているため、発熱量が急激に変化するため、CPUの温度変化が非常に大きなものになっている。これは、消費電力は、CPUの動作電圧の2乗と動作周波数と電流を乗算した値に比例し、発熱量はその消費電力に比例するためである。
【0008】
また、CPU冷却用ファンを駆動するとノイズが発生するが、そのファン制御として、例えば、CPU温度に応じてファンの稼働率及び回転数を制御する方法を用いると、前述の通り、CPUの温度変化が激しいことから、ファンの稼働率が激しく変動してしまう。ファンの稼働率が短時間に変動すると、発生するノイズの周波数が変動する。ファンの発する定常的なノイズに対して、人は徐々に適応しノイズに対して鈍感になっていくが、ノイズの量的または質的変化に対しては敏感に反応する。すなわち、ノイズの量的または質的変化は、仮にその絶対的な音量が小さいとしても大音量の定常的なノイズと同様にノイズとして知覚されやすい。
【0009】
また、昨今のCPUの発熱量は非常に大きいため、それに応じて冷却用のファンが強力なものになっている。故に、ファン駆動時(特に高速回転時)のノイズが非常に大きくなるという課題がある。
【0010】
ところが、ファンの動作時に発生するノイズを低減する手法をユーザに提供することはユーザビリティの向上に繋がるが、上述のような従来技術の手法では、かかる2種類のノイズを両方とも低減させるには実用上未だ不十分であった。
【0011】
というのも、CPUの動作速度を高めるとCPUが発熱し冷却のためファンを回さなければならず、逆にファンの回転による騒音を抑えるにはCPUの発熱を抑制するためCPUの動作速度を抑えなければならないというトレードオフの関係にあるが、ユーザが使用環境、使用用途等に応じてファンの騒音とCPUのパフォーマンスとのトレードオフ関係を細かく選択する手法は、未だユーザに提供されていないのが課題であった。
【0012】
また、最近のCPUには動作周波数及び電圧を動的に切り替えることの出来るものがあるが、その最高及び最低周波数を除く中間周波数での動作はあまり積極的に使われていないのが現状である。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びプログラムを提案しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、制御対象の温度を検知するセンサ手段と、制御対象を冷却するためのファンとを有するノイズ低減装置において、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第1の制御手段と、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御する第2の制御手段とを設け、第2の制御手段は、制御対象の温度の変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御するようにした。
【0015】
この結果このノイズ低減装置では、制御対象の動作点制御により間接的にファンの回転速度の抑制を図ることができるためファンの高速回転に伴うノイズの抑制が可能である。またファンの高速回転時のノイズの抑制を可能にするのみではなく回転数の変化時に生じるノイズの低減も可能である。
【0016】
また本発明においては、制御対象の温度を検知する第1のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第2のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御しながら、制御対象の温度変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップとを設けるようにした。
【0017】
この結果このノイズ低減方法及びそのプログラムでは、制御対象の動作点制御により間接的にファンの回転速度の抑制を図ることができるためファンの高速回転に伴うノイズの抑制が可能である。またファンの高速回転時のノイズの抑制を可能にするのみではなく回転数の変化時に生じるノイズの低減も可能である。
【0018】
さらに本発明においては、ユーザの操作により制御対象の放熱設計範囲内に閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として制御対象の動作点を制御するようにした。
【0019】
この結果このノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びそのプログラムでは、ファンが高速回転することによって発生するノイズを抑制し、また制御対象の温度変動に伴うファンの回転速度の急激な変動によるノイズを抑制することで、従来技術の課題であったかかる2種類のノイズを抑制することができ、さらにファンの騒音とCPUのパフォーマンスとのトレードオフの関係を細かく選択する手法をユーザに提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0021】
(1)第1の実施の形態
(1−1)パーソナルコンピュータの内部構成
図1において、1は全体としてパーソナルコンピュータの内部構成を示し、CPU2と、チップセット(Chipset)3と、組込み用コントローラ(Embedded Controller)でなる放熱制御部4とを有する。
【0022】
このCPU2の近傍には、当該CPU2の温度を検知するサーマルセンサ5と、当該CPU2を冷却するためのファン6とが設けられ、サーマルセンサ5の検知結果が放熱制御部4に与えられるようになされている。
【0023】
チップセット3は、メモリやPCI(Peripheral Component Interconnect)バス等を制御する部分(以下、これをノースブリッジと呼ぶ)3Aと、ISA(Industry Standard Architecture )バスや各種インターフェイス等を制御する部分(以下、これをサウスブリッジと呼ぶ)3Bとからなる。
【0024】
このうちノースブリッジ3Aには、CPU2がバス7を介して接続されると共に、グラフィックコントローラ8がAGP(Accelerated Graphics Port)からなるインタフェース9を介して接続され、さらに例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)からなるメインメモリ10がバス11を介して接続されている。
【0025】
またサウスブリッジ3Bには、放熱制御部4がLPC(Low Pin Count)12を介して接続され、当該放熱制御部4は、サーマルセンサ5からの検知結果に基づいて、ファン6の回転制御(以下、これをアクティブクーリング(Active Cooling)制御と呼ぶ)及びソフトウェア的なCPU2自体の制御(以下、これをパッシブクーリング(Passive Cooling)制御と呼ぶ)の一方又は双方を実行するようになされている。
【0026】
ここでパーソナルコンピュータ用の電力制御インターフェースとして、ACPI(Advanced Configuration and Power management Interface)仕様が採用されている場合には、パーソナルコンピュータ内の各デバイスがOS(Operating System)やBIOS(Basic Input/Output System)と連携をとって、当該各デバイスの消費電力を管理するようになされている。
【0027】
このACPI仕様では、図2に示すように、AML(ACPI Machine Language)20と呼ばれるデバイスの状態遷移に対応する実行内容を記述したコードを用いて、放熱制御部4から得られる通知をトリガとして、当該通知内容を間接的にOS21に働きかけるようになされている。
【0028】
また放熱制御部4は、サーマルセンサ5の検知結果に基づいてCPU2の温度を監視しながら、当該温度がCPU2自体の制御が必要とされる所定温度(以下、これを閾値温度と呼ぶ)以上であるか否かを判断し、この判断結果に応じてCPU2の動作周波数及び動作電圧(以下、これを動作点と呼ぶ)の制御機構を働かせるようになされている。
【0029】
具体的には放熱制御部4は、CPU2の温度が閾値温度以上であると判断したとき、その旨をAML20へ通知するようにして、当該AML20がかかる通知内容をさらにOS21へ通知する。この結果、OS21は、AML20からの通知内容に応じてCPU2の動作点を下げたり、より一層放熱が必要であると判断した場合には、サウスブリッジを介したクロック数の低減を図る等のパッシブクーリング制御を実行することにより、実質的にCPU2の動作周波数を下げるようになされている。
【0030】
また放熱制御部4は、サーマルセンサ5の検知結果に基づいて、CPU2の温度に応じたCPU冷却用のファン6の回転速度を計算しながら、アクティブクーリング制御を実行する。その際に、放熱制御部4はファン6の回転速度の履歴を保持し、LPF(Low Pass Filter)を適用することで時間軸方向の高周波成分が除去されるようにファンの回転速度を制御するようになされている。
【0031】
(1−2)パッシブクーリング制御処理手順
実際に放熱制御部4は、CPU2の動作が開始されると、図3に示すようなパッシブクーリング制御処理手順RT1をステップSP0から開始し、続くステップSP1において、サーマルセンサ5からCPU2の温度の検知結果を取得した後、ステップSP2に進んで、CPU2の温度が閾値温度より低いか否かを判断する。
【0032】
このステップSP2において肯定結果を得ると、放熱制御部4は、CPU2のパフォーマンスを下げる必要がないと判断して、ステップSP3に進んで、AML20に通知をした場合にセットされるフラグをクリアした後、再度ステップSP1に戻る。
【0033】
これに対してステップSP2において否定結果を得ると、このことはCPU2の温度が閾値温度と同じ又は高いことを表しており、このとき放熱制御部4は、ステップSP4に進んで、当該CPU2の温度が閾値温度より高いか否かを判断する。
【0034】
このステップSP4において肯定結果を得ると、放熱制御部4は、ステップSP5に進んで、フラグがクリアされているか否かを判断し、クリアされている場合のみ、ステップSP6に進んで、AML20にCPU2の温度が閾値温度を上回ったことを通知する。続いて放熱制御部4は、ステップSP7に進んで、フラグをセットした後、再度ステップSP1に戻る。
【0035】
一方、ステップSP5において否定結果が得られた場合、このことはフラグがセットされていることを表しており、放熱制御部4は、再度ステップSP1に戻る。
【0036】
また一方、上述したステップSP4において否定結果が得られた場合には、放熱制御部4は、CPU2の温度が閾値温度と同じであると判断して、そのままステップSP1に戻る。
【0037】
このように放熱制御部4は、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、当該CPU2の温度が閾値温度より高い場合にはその旨をAML20に通知することにより、当該AML20を通じてOS21にパッシブクーリング制御を行わせる。OS21は、CPU2の温度が閾値温度に近づくように、CPU2のパフォーマンスを制御する。
【0038】
なお放熱制御部4がフラグのセット又はクリアを行うのは、AML20への通知が重複するのを未然に防止するためである。
【0039】
またOS21は、放熱制御部4からAML20を介してCPU2の温度が閾値温度より高い旨の通知を受けると、AML20を介して放熱制御部4に制御対象の温度を取得し、CPU2の温度が閾値温度を下回るまで、CPU2のパフォーマンスを制限する。
【0040】
また放熱制御部4は、CPU2の温度が閾値温度より高い旨の通知をAML20を介してOS21に通知する場合に限らず、ユーザの指定等により閾値温度が変更された場合にも、その閾値温度の更新通知をAML20を介してOS21に通知するようになされている。これにより複数レベルでの閾値温度の切替えが可能である。
【0041】
実際にOS21の上位層であるユーティリティ(アプリケーションソフトウェア)は、ユーザの操作を直接反映させるソフトウェアであり、システムの熱設計値である閾値温度の上限及び下限を放熱制御部4から取得する処理を実行するようになされている。この上限及び下限の間に分布する多段階の閾値温度の選択肢よりユーザが選択した閾値温度を基準として、パッシブクーリング制御を働かせるようになされている。アプリケーションソフトウェアのユーザインターフェースは多段階の閾値温度に対応したものであれば、実際の閾値温度の提示に限るものではない。たとえば1、2、3、4、5のような数値を表示し、これに多段階の閾値温度の選択肢を対応させたり、その効果を表す表記を提示し多段階の閾値温度の選択肢を対応させてもよい。
【0042】
その際、ユーザに提示する多段階の閾値温度の選択肢は、上限及び下限の間を等分割して決定するのみならず、これより一層人間の感覚に近づけるように、上限及び下限の間を指数関数的に分割して決定することなども可能である。
【0043】
アプリケーションソフトウェアは、ユーザに対して上述した多段階の閾値温度を提示し、ユーザの選択した温度をパッシブクーリングの閾値温度として放熱制御部4に対して通知し、変更要求する処理を実行するようになされている。
【0044】
実際に放熱制御部4とアプリケーションソフトウェアとは、図4に示すようなタイミングチャートで相互にやり取りしながら、多段階で閾値温度を変更可能にするためのインターフェースをユーザに提供するようになされている。
【0045】
まずアプリケーションソフトウェアが閾値温度の下限取得要求を放熱制御部4に送出すると、当該下限取得要求を受け取った放熱制御部4は、ファン6の回転開始温度にオフセットを持たせた値をアプリケーションソフトウェアに通知することにより、当該通知を受けたアプリケーションソフトウェアは、ファン6の回転開始温度にオフセットを持たせた値を閾値温度の下限として取得することができる。
【0046】
またアプリケーションソフトウェアが閾値温度の上限取得要求を放熱制御部4に送出すると、当該上限取得要求を受け取った放熱制御部4は、閾値温度の熱設計値をアプリケーションソフトウェアに通知することにより、当該通知を受けたアプリケーションソフトウェアは、熱設計値を閾値温度の上限として取得することができる。
【0047】
さらにアプリケーションソフトウェアは、ユーザにより選択された閾値温度を放熱制御部4に送出する。放熱制御部4は、アプリケーションソフトウェアから通知された閾値温度を設定値として受信した後、当該設定値が放熱設計範囲内にあるか否かを確認して、放熱設計範囲内にある場合のみ当該閾値温度を設定することができる。
【0048】
ここで図5において、横軸にCPU2の温度をとり、縦軸にファン6の駆動率(duty)をとったグラフを示す。このグラフでは、CPU2の温度tempに対するファン6の駆動率yは、次式
【0049】
【数1】
【0050】
で表される比例関数として得られる。このファン6の駆動率yにおいて、dはファン6を駆動するCPU2の最低温度を表し、aは比例関係を決定する勾配aを表す。CPU2の放熱設計範囲は、最低温度dより少し高い温度d1からファン6の駆動率100〔%〕に対応する飽和温度dm未満の温度d2までの範囲で設定されるようになされている。
【0051】
また放熱制御部4は、閾値温度の更新要求をする旨の通知をAML20を介してOS21に送出することにより、当該OS21において閾値温度の更新要求を受信させることができる。
【0052】
閾値温度の更新要求を受けるとOS21は、閾値温度の取得要求をする旨の通知をAML20を介して放熱制御部4に送出することにより、OS21は閾値温度を取得することができる。
【0053】
このようにパーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、パッシブクーリング制御及びアクティブクーリング制御を組み合わせてCPU2の温度を制御する。またパッシブクーリング制御は、ユーザの選択した閾値温度が、制御対象およびシステムの放熱設計範囲内である場合にこの温度を有効な閾値として制御を行う。パッシブクーリングの閾値温度を多段階の選択肢の中から設定するユーザインターフェースを提供することにより、ファン6の騒音とCPU2のパフォーマンスの関係を細かく選択する手法をユーザに提供することができる。
【0054】
(1−3)アクティブクーリング制御処理手順
実際に放熱制御部4は、CPU2の動作が開始されると、図6に示すようなアクティブクーリング制御処理手順RT2をステップSP10から開始し、続くステップSP11において、サーマルセンサ5からCPU2の温度の検知結果を取得した後、ステップSP12に進んで、当該CPU2の温度に応じたCPU冷却用のファン6の回転速度を計算する。
【0055】
続いて放熱制御部4は、ステップSP13に進んで、FIFO(First In First Out)方式のバッファに所定時間(例えば1秒)単位でファン6の回転速度の値を逐次保存(緩衝記憶)させる。
【0056】
そして放熱制御部4は、ステップSP14に進んで、過去の所定時間分(例えば4秒間分)のファン6の回転速度の値に対する平均値をとることにより、当該平均値を現在駆動しようとするファン6の回転速度とする。
【0057】
このように放熱制御部4は、ファン6の回転速度履歴に基づいて現在駆動しようとするファン6の回転速度を算出するようなローパスフィルタ(LPF)処理を実行することにより、CPU2の動作点を積極的に制御して当該CPU2の発熱量を制御する際に温度が閾値付近で上がったり下がったりを繰り返すという事態が起きたときでも、CPU2の温度の変動に伴うファン6の回転の急激な変動部分を滑らかに抑えることができる。
【0058】
実験上、ローパスフィルタ処理を使用する前におけるCPU2の温度F1とファン6の駆動率(duty)F2との時間的な遷移を図7(A)に示す。この図7(A)においてローパスフィルタ処理を使用すると、図7(B)のよう、CPU2の温度F1´で温度変動が激しいにもかかわらず、ファン6の駆動率F2´では、変動率が滑らかに抑えられていることがわかる。
【0059】
具体的なローパスフィルタのアルゴリズムについて、過去の時間的な度合いをnとしたときの任意の時点i(i:0、1、…、n−1)(現在を0とする)でのファン6の回転速度をduty〔i〕とすると、ファン6の回転速度にローパスフィルタ(LPF)をかけた値DUTYは、次式
【0060】
【数2】
【0061】
のように表すことができる。かかるファン6の平均値をとる方法によるローパスフィルタ処理を用いることにより、一般的な高速フーリエ変換(FFT)を用いた高周波成分の除去方法よりも演算量を低減することができる。
【0062】
この後、放熱制御部4は、ステップSP15において、上述のような回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理によって算出された回転速度でファン6を駆動させながら、再度ステップSP11に戻る。
【0063】
このように放熱制御部4は、サーマルセンサ5の検知結果に基づいて、CPU2の温度に応じたCPU冷却用のファン6の回転速度を計算してアクティブクーリング制御を実行すると共に、回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を常時実行しながらCPU2の温度の変動に伴うファン6の回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御を実行する。
【0064】
(1−4)第1の実施の形態による動作及び効果
以上の構成において、パーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、当該CPU2の温度が閾値温度より高い場合にはCPU2自体のパフォーマンスをソフトウェア的に制御するパッシブクーリング制御を行うことにより、CPU2の温度(発熱量)を低減させることができる。
【0065】
これに加えてパーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいてCPU冷却用のファン6の回転速度を制御するアクティブクーリング制御を実行しながら、ファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を常時実行して、ファン6の回転数を制御するようにしたことにより、CPU2の温度の変動に伴って、ファン6の回転速度の急激な変動をすることにより発生するノイズを抑制することができる。
【0066】
以上の構成によれば、パーソナルコンピュータ1において、パッシブクーリング制御及びアクティブクーリング制御を組み合わせてCPU2の温度を制御することにより、当該CPU2のパフォーマンスを考慮したファン6の回転速度の低減を図ることが可能である。またファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を常時実行してファン6の回転速度制御を行うことによりCPU2の温度変動に伴うファン6の回転速度の急激の変動を抑制することが可能である。この結果、ファン6の高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズを低減させることができる。
【0067】
(2)第2の実施の形態
第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態とは、パーソナルコンピュータ1の内部構成は同一であるが、パッシブクーリング制御処理について異なる。
【0068】
複数の動作点をサポートするCPU2において、OS21がその動作点を制御する場合、OS21には遷移させることが可能なCPU2の動作点のリスト(以下、これをCPU周波数遷移リストと呼ぶ)が保持されている。
【0069】
そこで複数レベルの閾値温度をCPU周波数遷移リストに対応させるようにすれば、多段階でCPU2の動作点を制御するようにして当該CPU2の温度を制御することができる。
【0070】
具体的なCPU2の動作点の制御としては、複数のCPU2の動作点を選択可能な場合には、CPU2の温度が所定レベルの閾値温度を下回るまで徐々に消費電量の少ない動作点(CPU2の発熱量が少なく、かつCPU2のパフォーマンスが低い)へ下げていく手法が挙げられる。
【0071】
この他にも、選択可能なCPU2の動作点のうち最も消費電力の少ない動作点へ遷移することによりできるだけ早くCPU2の温度を下げさせる手法もある。また段階的にヒステリシスを持たせて、CPU2の温度の変化履歴によって遷移させる動作点を制御する手法もある。さらに筐体の放熱特性からCPU2の温度や時間をパラメータとする動作点を制御する演算式を生成し、当該演算式を用いて遷移させる動作点を決定する手法もある。
【0072】
このように第2の実施の形態では、複数レベルの閾値温度を基準として、CPU2の温度が別の所定レベルの閾値温度よりも下回ったときにも、放熱制御部4がAML20を介してその旨をOS21に通知するようにしたことにより、各レベルの閾値温度を用いた段階的なCPU2の温度制御を行なわせることができる。
【0073】
以上の構成において、パーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、パッシブクーリング制御及びアクティブクーリング制御を組み合わせてCPU2の温度を制御することに加えて、当該パッシブクーリング制御の際に、ユーザの操作により複数レベルの閾値温度が設定されたとき、当該閾値温度の上限及び下限がCPU2の放熱設計範囲内である場合にのみ、これら複数レベルの閾値温度を有効な設定値とする。
【0074】
そして複数レベルの閾値温度をCPU周波数遷移リストに対応させることにより、当該複数レベルの閾値温度を基準として多段階でCPU2の動作点を制御するようにして当該CPU2の温度を制御することができる。この結果、ファン6の回転速度をCPU2の処理速度に応じた多段階で制御し得る分、ファン6の回転数の変化を滑らかにすることでファン6の高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズをもより一層低減させることができる。
【0075】
以上の構成によれば、パーソナルコンピュータ1において、パッシブクーリング制御の際に、ユーザにより設定された複数レベルの閾値温度をCPU周波数遷移リストに対応させて、当該複数レベルの閾値温度を基準として多段階でCPU2の動作点を制御するようにして当該CPU2の温度を制御するようにしたことにより、ファン6の回転速度をCPU2の処理速度に応じた多段階で制御し得る分、ファン6の回転数の変化を滑らかにすることでファン6の高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズをもより一層低減させることができ、かくしてファン6の騒音とCPU2のパフォーマンスとのトレードオフの関係を細かく選択する手法をユーザに提供することができる。
【0076】
(3)他の実施の形態
なお上述のように第1及び第2の実施の形態においては、CPU(制御対象)2の温度を検知するサーマルサンサ(センサ手段)5と、CPU(制御対象)2を冷却するためのCPU冷却用のファン6とを有するノイズ低減装置を、図1に示すパーソナルコンピュータ1の内部構成のように構成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなるノイズ低減装置に広く適用するようにしても良い。
【0077】
また上述のように第1及び第2の実施の形態においては、サーマルセンサ(センサ手段)5から得られる検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度が所定の閾値より高いときに、CPU(制御対象)2の動作点を下げるように制御する第1の制御手段として、放熱制御部4及びOS21を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、組込みコントローラである放熱制御部4がない場合には、当該放熱制御部4に代えて制御対象であるCPU2自身が同様の役割を果たすようにしても良い。また第1の制御手段は、CPU2の輻射熱による周辺デバイスの温度上昇を抑えるためにCPU2の動作点を制御するようにしても良い。
【0078】
また図2に示すようなOS21がない場合には、図2との対応部分に同一符号を付して示す図8のように、OS21に代えて制御対象であるCPU2自身が同様の役割を果たすようにしても良い。この場合、CPU2には、MSR(Model Specific Register)からなるレジスタ2Aを用いて情報を一時的に記憶させながら上述したパッシブクーリング制御を実行させるようにすれば良い。
【0079】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、サーマルセンサ(センサ手段)5から得られる検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度に応じてファン6の回転を制御する第2の制御手段として、放熱制御部4を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、組込みコントローラである放熱制御部4がない場合には、当該放熱制御部4に代えて制御対象であるCPU2自身が同様の役割を果たすようにしても良い。
【0080】
かかる第2の制御手段としての放熱制御部4は、CPU(制御対象)2の温度の変動に伴うファン6の回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する場合において、ファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要はファン6の回転を変動の前後で滑らかになるようにすれば、この他種々の方法を広く適用するようにしても良い。
【0081】
実際に第1の実施の形態では、第2の制御手段としての放熱制御部4は、ファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理として、所定時間分(例えば4秒間分)のファン6の回転速度の値の平均値を算出する手法を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ファン6の回転速度履歴である所定時間分のファン6の回転速度の値にそれぞれ所定の重み付けをしながら平均値を算出するようにしても良い。
【0082】
この場合、具体的なローパスフィルタのアルゴリズムについて、過去の時間的な度合いをn(例えば4秒前)としたときの任意の時点i(i:0、1、…、n−1)(現在を0とする)でのファン6の回転速度をduty〔i〕とすると、ファン6の回転速度にLPFをかけた値DUTYは、現在の計算値であるduty〔0〕を重みとして付けたとき、次式
【0083】
【数3】
【0084】
のように表すことができる。重みa〔i〕について、例えば、a〔i〕=2、a〔1…n−1〕=1とすれば、現在の計算値duty(=duty〔0〕)の重みを強くすることによって、上述した第1の実施の形態のような通常の平均値のみを求める場合と比較して、よりファン6の回転数dutyの変化に一層追従し易くなり、また少ない演算量で処理が可能となる。
【0085】
例えば5秒前の回転速度よりも1秒前の回転速度の方を重視し、現在により近い回転速度の値に重み付けをして現在駆動しようとするファン6の回転速度を決定することにより、ファン6の回転速度の変動量を調整するのが目的である。
【0086】
さらに上述の第1及び第2の実施の形態において、第2の制御手段としての放熱制御部4では、CPU(制御対象)2の温度変動に伴うファン6の回転速度の急激な変動を抑える手法として、上述のようなローパスフィルタ処理によるファンノイズの軽減方法を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
CPU(制御対象)2の温度の変動が激しい領域では、ファン6の回転速度(駆動率)を一定にし、又は当該変動幅の少ない上昇率で比例させるようにして、当該ファン6を回転駆動させる手法を用いるようにしても良い。
【0087】
具体的には図5との対応部分に同一の符号を付して示す図9において、CPU2の温度がd〜dxの範囲が温度変動が激しい場合に、当該範囲内ではファン6の駆動率を一定の値に保つようにし、CPU2の温度がdx以上では上述した式(1)の比例関数でファン6の駆動率をCPU2の温度に比例させるようにすれば、変動の激しい温度範囲d〜dxにおけるファン6のノイズを抑制させることができる。またCPU2の温度範囲d〜dxを式(1)よりも格段と小さい勾配(図8の点線)で比例させるようにしても、ファン6のノイズを軽減させることができる。
【0088】
さらに上述のように第2の実施の形態においては、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21は、ユーザの操作により複数レベルの閾値が設定されたとき、当該各閾値の上限及び下限がCPU(制御対象)2の放熱設計範囲内である場合にのみ、複数レベルの閾値を有効な設定値とし、複数レベルの閾値を基準として多段階でCPU(制御対象)2の動作点を制御するようにした場合について述べたが、要は、ユーザの操作により制御対象の放熱設計範囲内に閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として制御対象の動作点を制御するようにして、ファンの回転を制御対象の動作に応じた多段階で制御することができれば、この他種々の制御方法にも広く適用するようにしても良い。
【0089】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21は、上述のようにパッシブクーリング制御を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CPU(制御対象)2の冷却開始点を低く設定して早期に冷却を開始し、当該CPU(制御対象)2の温度を下げて当該CPU(制御対象)2の発熱を抑制するようにして、より一層効率良くCPU(制御対象)2の冷却を行っても良い。
【0090】
さらには、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21によるパッシブクーリング制御と、第2の制御手段としての放熱制御部4によるアクティブクーリング制御とによりCPU(制御対象)2の温度制御を行う際に、当該各制御の調整をユーザの選択により可能として所望の動作環境を提供するようにしても良い。
【0091】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、制御対象としてCPU2を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他のプロセッサ等のパッシブクーリング制御が可能な種々のデバイスに広く適用することができる。特にプロセッサを制御対象とした場合には、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21は、当該プロセッサの周波数、電圧又は消費電力の少なくとも1以上を低減させるように制御対象の動作点を制御すれば良い。また図2において、CPU(制御対象)2とノースブリッジ3Aとを分けて構成にした場合について述べたが、CPU2及びノースブリッジ3Aが一体形成されたものを適用しても良い。
【0092】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、CPU(制御対象)2の温度を検知する第1のステップと、当該第1のステップの検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度が所定の閾値より高いときに、CPU(制御対象)2の動作点を下げるように制御する第2のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度に応じてファン6の回転を制御しながら、CPU(制御対象)2の温度変動に伴うファン6の回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な種々の記録媒体にも適用することができる。
【0093】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、制御対象の温度を検知するセンサ手段と、制御対象を冷却するためのファンとを有するノイズ低減装置において、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第1の制御手段と、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御する第2の制御手段とを設け、第2の制御手段は、制御対象の温度の変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御するようにしたことにより、制御対象の動作を考慮したファンの回転速度の低減を図ることでファンの高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズを低減させることができ、かくして制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減装置を実現できる。
【0094】
また本発明によれば、電子機器のノイズ低減方法において、制御対象の温度を検知する第1のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第2のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御しながら、制御対象の温度変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップとを設けるようにしたことにより、制御対象の動作を考慮したファンの回転速度の低減を図ることでファンの高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズを低減させることができ、かくして制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減方法及びそのプログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパーソナルコンピュータの内部構成を示す略線的なブロック図である。
【図2】図1に示すパーソナルコンピュータの階層的な内部構成を示す略線図である。
【図3】パッシブクーリング制御処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図4】ユーザに対してインターフェースを提供するための説明に供するタイミングチャートである。
【図5】CPUの放熱設計範囲の説明に供するグラフである。
【図6】アクティブクーリング制御処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図7】LPF使用によるファンの駆動率の変動抑制の説明に供するグラフである。
【図8】他の実施の形態によるパーソナルコンピュータの階層的な内部構成を示す略線図である。
【図9】CPU温度の変動除去方法の説明に供するグラフである。
【符号の説明】
1……パーソナルコンピュータ、2……CPU、3……チップセット、4……放熱制御部、5……サーマルセンサ、6……ファン、RT1……パッシブクーリング制御処理手順、RT2……アクティブクーリング制御処理手順。
【発明の属する技術分野】
本発明はノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びプログラムに関し、例えばパーソナルコンピュータに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータに搭載されるCPU(Central Processing Unit)は、その動作速度が年々高速化され、それに伴い、消費電力及び発熱量が増加している。かかるCPUの温度上昇を抑えてCPUを安全に動作させるために、パーソナルコンピュータにCPU冷却用のファン(以下、これを単にファンと呼ぶ)を取り付けてCPUの放熱を制御するのが一般的である。
【0003】
その際、ファンの動作時に発生する音響をユーザがノイズとして感じる場合があり、当該ノイズを低減する手法をユーザに提供するようにしてユーザビリティの向上を図るようになされている。
【0004】
このノイズ低減の手法として、CPUの温度制御モードに応じてファンの制御モードを切り替えることにより、ファンの動作時に発生するノイズを低減させる手法が提案されている。
【0005】
そして近年では、CPUの動作速度の低下と電動ファンの回転という2つの冷却機能を、CPUの動作性能を極力低下させずにCPUの温度を低下させるモードと、ノイズ源となる電動ファンを極力使用せずにCPUの温度を低下させるモードとを、ユーザの選択に応じて有効に組み合わせることにより、CPUの過熱を効果的に防止するようにしたものが提案されている。
(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−110085号公報(第6頁、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CPUは比熱比が低い素子の集合体であるため、負荷に応じて、CPUの温度が急激に変化する。また、最近のCPUは、多段階の動作電圧に応じた動作速度(周波数)を持っているため、発熱量が急激に変化するため、CPUの温度変化が非常に大きなものになっている。これは、消費電力は、CPUの動作電圧の2乗と動作周波数と電流を乗算した値に比例し、発熱量はその消費電力に比例するためである。
【0008】
また、CPU冷却用ファンを駆動するとノイズが発生するが、そのファン制御として、例えば、CPU温度に応じてファンの稼働率及び回転数を制御する方法を用いると、前述の通り、CPUの温度変化が激しいことから、ファンの稼働率が激しく変動してしまう。ファンの稼働率が短時間に変動すると、発生するノイズの周波数が変動する。ファンの発する定常的なノイズに対して、人は徐々に適応しノイズに対して鈍感になっていくが、ノイズの量的または質的変化に対しては敏感に反応する。すなわち、ノイズの量的または質的変化は、仮にその絶対的な音量が小さいとしても大音量の定常的なノイズと同様にノイズとして知覚されやすい。
【0009】
また、昨今のCPUの発熱量は非常に大きいため、それに応じて冷却用のファンが強力なものになっている。故に、ファン駆動時(特に高速回転時)のノイズが非常に大きくなるという課題がある。
【0010】
ところが、ファンの動作時に発生するノイズを低減する手法をユーザに提供することはユーザビリティの向上に繋がるが、上述のような従来技術の手法では、かかる2種類のノイズを両方とも低減させるには実用上未だ不十分であった。
【0011】
というのも、CPUの動作速度を高めるとCPUが発熱し冷却のためファンを回さなければならず、逆にファンの回転による騒音を抑えるにはCPUの発熱を抑制するためCPUの動作速度を抑えなければならないというトレードオフの関係にあるが、ユーザが使用環境、使用用途等に応じてファンの騒音とCPUのパフォーマンスとのトレードオフ関係を細かく選択する手法は、未だユーザに提供されていないのが課題であった。
【0012】
また、最近のCPUには動作周波数及び電圧を動的に切り替えることの出来るものがあるが、その最高及び最低周波数を除く中間周波数での動作はあまり積極的に使われていないのが現状である。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びプログラムを提案しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、制御対象の温度を検知するセンサ手段と、制御対象を冷却するためのファンとを有するノイズ低減装置において、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第1の制御手段と、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御する第2の制御手段とを設け、第2の制御手段は、制御対象の温度の変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御するようにした。
【0015】
この結果このノイズ低減装置では、制御対象の動作点制御により間接的にファンの回転速度の抑制を図ることができるためファンの高速回転に伴うノイズの抑制が可能である。またファンの高速回転時のノイズの抑制を可能にするのみではなく回転数の変化時に生じるノイズの低減も可能である。
【0016】
また本発明においては、制御対象の温度を検知する第1のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第2のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御しながら、制御対象の温度変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップとを設けるようにした。
【0017】
この結果このノイズ低減方法及びそのプログラムでは、制御対象の動作点制御により間接的にファンの回転速度の抑制を図ることができるためファンの高速回転に伴うノイズの抑制が可能である。またファンの高速回転時のノイズの抑制を可能にするのみではなく回転数の変化時に生じるノイズの低減も可能である。
【0018】
さらに本発明においては、ユーザの操作により制御対象の放熱設計範囲内に閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として制御対象の動作点を制御するようにした。
【0019】
この結果このノイズ低減装置、ノイズ低減方法及びそのプログラムでは、ファンが高速回転することによって発生するノイズを抑制し、また制御対象の温度変動に伴うファンの回転速度の急激な変動によるノイズを抑制することで、従来技術の課題であったかかる2種類のノイズを抑制することができ、さらにファンの騒音とCPUのパフォーマンスとのトレードオフの関係を細かく選択する手法をユーザに提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0021】
(1)第1の実施の形態
(1−1)パーソナルコンピュータの内部構成
図1において、1は全体としてパーソナルコンピュータの内部構成を示し、CPU2と、チップセット(Chipset)3と、組込み用コントローラ(Embedded Controller)でなる放熱制御部4とを有する。
【0022】
このCPU2の近傍には、当該CPU2の温度を検知するサーマルセンサ5と、当該CPU2を冷却するためのファン6とが設けられ、サーマルセンサ5の検知結果が放熱制御部4に与えられるようになされている。
【0023】
チップセット3は、メモリやPCI(Peripheral Component Interconnect)バス等を制御する部分(以下、これをノースブリッジと呼ぶ)3Aと、ISA(Industry Standard Architecture )バスや各種インターフェイス等を制御する部分(以下、これをサウスブリッジと呼ぶ)3Bとからなる。
【0024】
このうちノースブリッジ3Aには、CPU2がバス7を介して接続されると共に、グラフィックコントローラ8がAGP(Accelerated Graphics Port)からなるインタフェース9を介して接続され、さらに例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)からなるメインメモリ10がバス11を介して接続されている。
【0025】
またサウスブリッジ3Bには、放熱制御部4がLPC(Low Pin Count)12を介して接続され、当該放熱制御部4は、サーマルセンサ5からの検知結果に基づいて、ファン6の回転制御(以下、これをアクティブクーリング(Active Cooling)制御と呼ぶ)及びソフトウェア的なCPU2自体の制御(以下、これをパッシブクーリング(Passive Cooling)制御と呼ぶ)の一方又は双方を実行するようになされている。
【0026】
ここでパーソナルコンピュータ用の電力制御インターフェースとして、ACPI(Advanced Configuration and Power management Interface)仕様が採用されている場合には、パーソナルコンピュータ内の各デバイスがOS(Operating System)やBIOS(Basic Input/Output System)と連携をとって、当該各デバイスの消費電力を管理するようになされている。
【0027】
このACPI仕様では、図2に示すように、AML(ACPI Machine Language)20と呼ばれるデバイスの状態遷移に対応する実行内容を記述したコードを用いて、放熱制御部4から得られる通知をトリガとして、当該通知内容を間接的にOS21に働きかけるようになされている。
【0028】
また放熱制御部4は、サーマルセンサ5の検知結果に基づいてCPU2の温度を監視しながら、当該温度がCPU2自体の制御が必要とされる所定温度(以下、これを閾値温度と呼ぶ)以上であるか否かを判断し、この判断結果に応じてCPU2の動作周波数及び動作電圧(以下、これを動作点と呼ぶ)の制御機構を働かせるようになされている。
【0029】
具体的には放熱制御部4は、CPU2の温度が閾値温度以上であると判断したとき、その旨をAML20へ通知するようにして、当該AML20がかかる通知内容をさらにOS21へ通知する。この結果、OS21は、AML20からの通知内容に応じてCPU2の動作点を下げたり、より一層放熱が必要であると判断した場合には、サウスブリッジを介したクロック数の低減を図る等のパッシブクーリング制御を実行することにより、実質的にCPU2の動作周波数を下げるようになされている。
【0030】
また放熱制御部4は、サーマルセンサ5の検知結果に基づいて、CPU2の温度に応じたCPU冷却用のファン6の回転速度を計算しながら、アクティブクーリング制御を実行する。その際に、放熱制御部4はファン6の回転速度の履歴を保持し、LPF(Low Pass Filter)を適用することで時間軸方向の高周波成分が除去されるようにファンの回転速度を制御するようになされている。
【0031】
(1−2)パッシブクーリング制御処理手順
実際に放熱制御部4は、CPU2の動作が開始されると、図3に示すようなパッシブクーリング制御処理手順RT1をステップSP0から開始し、続くステップSP1において、サーマルセンサ5からCPU2の温度の検知結果を取得した後、ステップSP2に進んで、CPU2の温度が閾値温度より低いか否かを判断する。
【0032】
このステップSP2において肯定結果を得ると、放熱制御部4は、CPU2のパフォーマンスを下げる必要がないと判断して、ステップSP3に進んで、AML20に通知をした場合にセットされるフラグをクリアした後、再度ステップSP1に戻る。
【0033】
これに対してステップSP2において否定結果を得ると、このことはCPU2の温度が閾値温度と同じ又は高いことを表しており、このとき放熱制御部4は、ステップSP4に進んで、当該CPU2の温度が閾値温度より高いか否かを判断する。
【0034】
このステップSP4において肯定結果を得ると、放熱制御部4は、ステップSP5に進んで、フラグがクリアされているか否かを判断し、クリアされている場合のみ、ステップSP6に進んで、AML20にCPU2の温度が閾値温度を上回ったことを通知する。続いて放熱制御部4は、ステップSP7に進んで、フラグをセットした後、再度ステップSP1に戻る。
【0035】
一方、ステップSP5において否定結果が得られた場合、このことはフラグがセットされていることを表しており、放熱制御部4は、再度ステップSP1に戻る。
【0036】
また一方、上述したステップSP4において否定結果が得られた場合には、放熱制御部4は、CPU2の温度が閾値温度と同じであると判断して、そのままステップSP1に戻る。
【0037】
このように放熱制御部4は、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、当該CPU2の温度が閾値温度より高い場合にはその旨をAML20に通知することにより、当該AML20を通じてOS21にパッシブクーリング制御を行わせる。OS21は、CPU2の温度が閾値温度に近づくように、CPU2のパフォーマンスを制御する。
【0038】
なお放熱制御部4がフラグのセット又はクリアを行うのは、AML20への通知が重複するのを未然に防止するためである。
【0039】
またOS21は、放熱制御部4からAML20を介してCPU2の温度が閾値温度より高い旨の通知を受けると、AML20を介して放熱制御部4に制御対象の温度を取得し、CPU2の温度が閾値温度を下回るまで、CPU2のパフォーマンスを制限する。
【0040】
また放熱制御部4は、CPU2の温度が閾値温度より高い旨の通知をAML20を介してOS21に通知する場合に限らず、ユーザの指定等により閾値温度が変更された場合にも、その閾値温度の更新通知をAML20を介してOS21に通知するようになされている。これにより複数レベルでの閾値温度の切替えが可能である。
【0041】
実際にOS21の上位層であるユーティリティ(アプリケーションソフトウェア)は、ユーザの操作を直接反映させるソフトウェアであり、システムの熱設計値である閾値温度の上限及び下限を放熱制御部4から取得する処理を実行するようになされている。この上限及び下限の間に分布する多段階の閾値温度の選択肢よりユーザが選択した閾値温度を基準として、パッシブクーリング制御を働かせるようになされている。アプリケーションソフトウェアのユーザインターフェースは多段階の閾値温度に対応したものであれば、実際の閾値温度の提示に限るものではない。たとえば1、2、3、4、5のような数値を表示し、これに多段階の閾値温度の選択肢を対応させたり、その効果を表す表記を提示し多段階の閾値温度の選択肢を対応させてもよい。
【0042】
その際、ユーザに提示する多段階の閾値温度の選択肢は、上限及び下限の間を等分割して決定するのみならず、これより一層人間の感覚に近づけるように、上限及び下限の間を指数関数的に分割して決定することなども可能である。
【0043】
アプリケーションソフトウェアは、ユーザに対して上述した多段階の閾値温度を提示し、ユーザの選択した温度をパッシブクーリングの閾値温度として放熱制御部4に対して通知し、変更要求する処理を実行するようになされている。
【0044】
実際に放熱制御部4とアプリケーションソフトウェアとは、図4に示すようなタイミングチャートで相互にやり取りしながら、多段階で閾値温度を変更可能にするためのインターフェースをユーザに提供するようになされている。
【0045】
まずアプリケーションソフトウェアが閾値温度の下限取得要求を放熱制御部4に送出すると、当該下限取得要求を受け取った放熱制御部4は、ファン6の回転開始温度にオフセットを持たせた値をアプリケーションソフトウェアに通知することにより、当該通知を受けたアプリケーションソフトウェアは、ファン6の回転開始温度にオフセットを持たせた値を閾値温度の下限として取得することができる。
【0046】
またアプリケーションソフトウェアが閾値温度の上限取得要求を放熱制御部4に送出すると、当該上限取得要求を受け取った放熱制御部4は、閾値温度の熱設計値をアプリケーションソフトウェアに通知することにより、当該通知を受けたアプリケーションソフトウェアは、熱設計値を閾値温度の上限として取得することができる。
【0047】
さらにアプリケーションソフトウェアは、ユーザにより選択された閾値温度を放熱制御部4に送出する。放熱制御部4は、アプリケーションソフトウェアから通知された閾値温度を設定値として受信した後、当該設定値が放熱設計範囲内にあるか否かを確認して、放熱設計範囲内にある場合のみ当該閾値温度を設定することができる。
【0048】
ここで図5において、横軸にCPU2の温度をとり、縦軸にファン6の駆動率(duty)をとったグラフを示す。このグラフでは、CPU2の温度tempに対するファン6の駆動率yは、次式
【0049】
【数1】
【0050】
で表される比例関数として得られる。このファン6の駆動率yにおいて、dはファン6を駆動するCPU2の最低温度を表し、aは比例関係を決定する勾配aを表す。CPU2の放熱設計範囲は、最低温度dより少し高い温度d1からファン6の駆動率100〔%〕に対応する飽和温度dm未満の温度d2までの範囲で設定されるようになされている。
【0051】
また放熱制御部4は、閾値温度の更新要求をする旨の通知をAML20を介してOS21に送出することにより、当該OS21において閾値温度の更新要求を受信させることができる。
【0052】
閾値温度の更新要求を受けるとOS21は、閾値温度の取得要求をする旨の通知をAML20を介して放熱制御部4に送出することにより、OS21は閾値温度を取得することができる。
【0053】
このようにパーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、パッシブクーリング制御及びアクティブクーリング制御を組み合わせてCPU2の温度を制御する。またパッシブクーリング制御は、ユーザの選択した閾値温度が、制御対象およびシステムの放熱設計範囲内である場合にこの温度を有効な閾値として制御を行う。パッシブクーリングの閾値温度を多段階の選択肢の中から設定するユーザインターフェースを提供することにより、ファン6の騒音とCPU2のパフォーマンスの関係を細かく選択する手法をユーザに提供することができる。
【0054】
(1−3)アクティブクーリング制御処理手順
実際に放熱制御部4は、CPU2の動作が開始されると、図6に示すようなアクティブクーリング制御処理手順RT2をステップSP10から開始し、続くステップSP11において、サーマルセンサ5からCPU2の温度の検知結果を取得した後、ステップSP12に進んで、当該CPU2の温度に応じたCPU冷却用のファン6の回転速度を計算する。
【0055】
続いて放熱制御部4は、ステップSP13に進んで、FIFO(First In First Out)方式のバッファに所定時間(例えば1秒)単位でファン6の回転速度の値を逐次保存(緩衝記憶)させる。
【0056】
そして放熱制御部4は、ステップSP14に進んで、過去の所定時間分(例えば4秒間分)のファン6の回転速度の値に対する平均値をとることにより、当該平均値を現在駆動しようとするファン6の回転速度とする。
【0057】
このように放熱制御部4は、ファン6の回転速度履歴に基づいて現在駆動しようとするファン6の回転速度を算出するようなローパスフィルタ(LPF)処理を実行することにより、CPU2の動作点を積極的に制御して当該CPU2の発熱量を制御する際に温度が閾値付近で上がったり下がったりを繰り返すという事態が起きたときでも、CPU2の温度の変動に伴うファン6の回転の急激な変動部分を滑らかに抑えることができる。
【0058】
実験上、ローパスフィルタ処理を使用する前におけるCPU2の温度F1とファン6の駆動率(duty)F2との時間的な遷移を図7(A)に示す。この図7(A)においてローパスフィルタ処理を使用すると、図7(B)のよう、CPU2の温度F1´で温度変動が激しいにもかかわらず、ファン6の駆動率F2´では、変動率が滑らかに抑えられていることがわかる。
【0059】
具体的なローパスフィルタのアルゴリズムについて、過去の時間的な度合いをnとしたときの任意の時点i(i:0、1、…、n−1)(現在を0とする)でのファン6の回転速度をduty〔i〕とすると、ファン6の回転速度にローパスフィルタ(LPF)をかけた値DUTYは、次式
【0060】
【数2】
【0061】
のように表すことができる。かかるファン6の平均値をとる方法によるローパスフィルタ処理を用いることにより、一般的な高速フーリエ変換(FFT)を用いた高周波成分の除去方法よりも演算量を低減することができる。
【0062】
この後、放熱制御部4は、ステップSP15において、上述のような回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理によって算出された回転速度でファン6を駆動させながら、再度ステップSP11に戻る。
【0063】
このように放熱制御部4は、サーマルセンサ5の検知結果に基づいて、CPU2の温度に応じたCPU冷却用のファン6の回転速度を計算してアクティブクーリング制御を実行すると共に、回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を常時実行しながらCPU2の温度の変動に伴うファン6の回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御を実行する。
【0064】
(1−4)第1の実施の形態による動作及び効果
以上の構成において、パーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、当該CPU2の温度が閾値温度より高い場合にはCPU2自体のパフォーマンスをソフトウェア的に制御するパッシブクーリング制御を行うことにより、CPU2の温度(発熱量)を低減させることができる。
【0065】
これに加えてパーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいてCPU冷却用のファン6の回転速度を制御するアクティブクーリング制御を実行しながら、ファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を常時実行して、ファン6の回転数を制御するようにしたことにより、CPU2の温度の変動に伴って、ファン6の回転速度の急激な変動をすることにより発生するノイズを抑制することができる。
【0066】
以上の構成によれば、パーソナルコンピュータ1において、パッシブクーリング制御及びアクティブクーリング制御を組み合わせてCPU2の温度を制御することにより、当該CPU2のパフォーマンスを考慮したファン6の回転速度の低減を図ることが可能である。またファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を常時実行してファン6の回転速度制御を行うことによりCPU2の温度変動に伴うファン6の回転速度の急激の変動を抑制することが可能である。この結果、ファン6の高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズを低減させることができる。
【0067】
(2)第2の実施の形態
第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態とは、パーソナルコンピュータ1の内部構成は同一であるが、パッシブクーリング制御処理について異なる。
【0068】
複数の動作点をサポートするCPU2において、OS21がその動作点を制御する場合、OS21には遷移させることが可能なCPU2の動作点のリスト(以下、これをCPU周波数遷移リストと呼ぶ)が保持されている。
【0069】
そこで複数レベルの閾値温度をCPU周波数遷移リストに対応させるようにすれば、多段階でCPU2の動作点を制御するようにして当該CPU2の温度を制御することができる。
【0070】
具体的なCPU2の動作点の制御としては、複数のCPU2の動作点を選択可能な場合には、CPU2の温度が所定レベルの閾値温度を下回るまで徐々に消費電量の少ない動作点(CPU2の発熱量が少なく、かつCPU2のパフォーマンスが低い)へ下げていく手法が挙げられる。
【0071】
この他にも、選択可能なCPU2の動作点のうち最も消費電力の少ない動作点へ遷移することによりできるだけ早くCPU2の温度を下げさせる手法もある。また段階的にヒステリシスを持たせて、CPU2の温度の変化履歴によって遷移させる動作点を制御する手法もある。さらに筐体の放熱特性からCPU2の温度や時間をパラメータとする動作点を制御する演算式を生成し、当該演算式を用いて遷移させる動作点を決定する手法もある。
【0072】
このように第2の実施の形態では、複数レベルの閾値温度を基準として、CPU2の温度が別の所定レベルの閾値温度よりも下回ったときにも、放熱制御部4がAML20を介してその旨をOS21に通知するようにしたことにより、各レベルの閾値温度を用いた段階的なCPU2の温度制御を行なわせることができる。
【0073】
以上の構成において、パーソナルコンピュータ1では、サーマルセンサ5から得られるCPU2の温度に基づいて、パッシブクーリング制御及びアクティブクーリング制御を組み合わせてCPU2の温度を制御することに加えて、当該パッシブクーリング制御の際に、ユーザの操作により複数レベルの閾値温度が設定されたとき、当該閾値温度の上限及び下限がCPU2の放熱設計範囲内である場合にのみ、これら複数レベルの閾値温度を有効な設定値とする。
【0074】
そして複数レベルの閾値温度をCPU周波数遷移リストに対応させることにより、当該複数レベルの閾値温度を基準として多段階でCPU2の動作点を制御するようにして当該CPU2の温度を制御することができる。この結果、ファン6の回転速度をCPU2の処理速度に応じた多段階で制御し得る分、ファン6の回転数の変化を滑らかにすることでファン6の高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズをもより一層低減させることができる。
【0075】
以上の構成によれば、パーソナルコンピュータ1において、パッシブクーリング制御の際に、ユーザにより設定された複数レベルの閾値温度をCPU周波数遷移リストに対応させて、当該複数レベルの閾値温度を基準として多段階でCPU2の動作点を制御するようにして当該CPU2の温度を制御するようにしたことにより、ファン6の回転速度をCPU2の処理速度に応じた多段階で制御し得る分、ファン6の回転数の変化を滑らかにすることでファン6の高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズをもより一層低減させることができ、かくしてファン6の騒音とCPU2のパフォーマンスとのトレードオフの関係を細かく選択する手法をユーザに提供することができる。
【0076】
(3)他の実施の形態
なお上述のように第1及び第2の実施の形態においては、CPU(制御対象)2の温度を検知するサーマルサンサ(センサ手段)5と、CPU(制御対象)2を冷却するためのCPU冷却用のファン6とを有するノイズ低減装置を、図1に示すパーソナルコンピュータ1の内部構成のように構成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成からなるノイズ低減装置に広く適用するようにしても良い。
【0077】
また上述のように第1及び第2の実施の形態においては、サーマルセンサ(センサ手段)5から得られる検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度が所定の閾値より高いときに、CPU(制御対象)2の動作点を下げるように制御する第1の制御手段として、放熱制御部4及びOS21を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、組込みコントローラである放熱制御部4がない場合には、当該放熱制御部4に代えて制御対象であるCPU2自身が同様の役割を果たすようにしても良い。また第1の制御手段は、CPU2の輻射熱による周辺デバイスの温度上昇を抑えるためにCPU2の動作点を制御するようにしても良い。
【0078】
また図2に示すようなOS21がない場合には、図2との対応部分に同一符号を付して示す図8のように、OS21に代えて制御対象であるCPU2自身が同様の役割を果たすようにしても良い。この場合、CPU2には、MSR(Model Specific Register)からなるレジスタ2Aを用いて情報を一時的に記憶させながら上述したパッシブクーリング制御を実行させるようにすれば良い。
【0079】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、サーマルセンサ(センサ手段)5から得られる検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度に応じてファン6の回転を制御する第2の制御手段として、放熱制御部4を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、組込みコントローラである放熱制御部4がない場合には、当該放熱制御部4に代えて制御対象であるCPU2自身が同様の役割を果たすようにしても良い。
【0080】
かかる第2の制御手段としての放熱制御部4は、CPU(制御対象)2の温度の変動に伴うファン6の回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する場合において、ファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要はファン6の回転を変動の前後で滑らかになるようにすれば、この他種々の方法を広く適用するようにしても良い。
【0081】
実際に第1の実施の形態では、第2の制御手段としての放熱制御部4は、ファン6の回転速度履歴に基づくローパスフィルタ処理として、所定時間分(例えば4秒間分)のファン6の回転速度の値の平均値を算出する手法を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ファン6の回転速度履歴である所定時間分のファン6の回転速度の値にそれぞれ所定の重み付けをしながら平均値を算出するようにしても良い。
【0082】
この場合、具体的なローパスフィルタのアルゴリズムについて、過去の時間的な度合いをn(例えば4秒前)としたときの任意の時点i(i:0、1、…、n−1)(現在を0とする)でのファン6の回転速度をduty〔i〕とすると、ファン6の回転速度にLPFをかけた値DUTYは、現在の計算値であるduty〔0〕を重みとして付けたとき、次式
【0083】
【数3】
【0084】
のように表すことができる。重みa〔i〕について、例えば、a〔i〕=2、a〔1…n−1〕=1とすれば、現在の計算値duty(=duty〔0〕)の重みを強くすることによって、上述した第1の実施の形態のような通常の平均値のみを求める場合と比較して、よりファン6の回転数dutyの変化に一層追従し易くなり、また少ない演算量で処理が可能となる。
【0085】
例えば5秒前の回転速度よりも1秒前の回転速度の方を重視し、現在により近い回転速度の値に重み付けをして現在駆動しようとするファン6の回転速度を決定することにより、ファン6の回転速度の変動量を調整するのが目的である。
【0086】
さらに上述の第1及び第2の実施の形態において、第2の制御手段としての放熱制御部4では、CPU(制御対象)2の温度変動に伴うファン6の回転速度の急激な変動を抑える手法として、上述のようなローパスフィルタ処理によるファンノイズの軽減方法を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
CPU(制御対象)2の温度の変動が激しい領域では、ファン6の回転速度(駆動率)を一定にし、又は当該変動幅の少ない上昇率で比例させるようにして、当該ファン6を回転駆動させる手法を用いるようにしても良い。
【0087】
具体的には図5との対応部分に同一の符号を付して示す図9において、CPU2の温度がd〜dxの範囲が温度変動が激しい場合に、当該範囲内ではファン6の駆動率を一定の値に保つようにし、CPU2の温度がdx以上では上述した式(1)の比例関数でファン6の駆動率をCPU2の温度に比例させるようにすれば、変動の激しい温度範囲d〜dxにおけるファン6のノイズを抑制させることができる。またCPU2の温度範囲d〜dxを式(1)よりも格段と小さい勾配(図8の点線)で比例させるようにしても、ファン6のノイズを軽減させることができる。
【0088】
さらに上述のように第2の実施の形態においては、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21は、ユーザの操作により複数レベルの閾値が設定されたとき、当該各閾値の上限及び下限がCPU(制御対象)2の放熱設計範囲内である場合にのみ、複数レベルの閾値を有効な設定値とし、複数レベルの閾値を基準として多段階でCPU(制御対象)2の動作点を制御するようにした場合について述べたが、要は、ユーザの操作により制御対象の放熱設計範囲内に閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として制御対象の動作点を制御するようにして、ファンの回転を制御対象の動作に応じた多段階で制御することができれば、この他種々の制御方法にも広く適用するようにしても良い。
【0089】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21は、上述のようにパッシブクーリング制御を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CPU(制御対象)2の冷却開始点を低く設定して早期に冷却を開始し、当該CPU(制御対象)2の温度を下げて当該CPU(制御対象)2の発熱を抑制するようにして、より一層効率良くCPU(制御対象)2の冷却を行っても良い。
【0090】
さらには、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21によるパッシブクーリング制御と、第2の制御手段としての放熱制御部4によるアクティブクーリング制御とによりCPU(制御対象)2の温度制御を行う際に、当該各制御の調整をユーザの選択により可能として所望の動作環境を提供するようにしても良い。
【0091】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、制御対象としてCPU2を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他のプロセッサ等のパッシブクーリング制御が可能な種々のデバイスに広く適用することができる。特にプロセッサを制御対象とした場合には、第1の制御手段としての放熱制御部4及びOS21は、当該プロセッサの周波数、電圧又は消費電力の少なくとも1以上を低減させるように制御対象の動作点を制御すれば良い。また図2において、CPU(制御対象)2とノースブリッジ3Aとを分けて構成にした場合について述べたが、CPU2及びノースブリッジ3Aが一体形成されたものを適用しても良い。
【0092】
さらに上述のように第1及び第2の実施の形態においては、CPU(制御対象)2の温度を検知する第1のステップと、当該第1のステップの検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度が所定の閾値より高いときに、CPU(制御対象)2の動作点を下げるように制御する第2のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、CPU(制御対象)2の温度に応じてファン6の回転を制御しながら、CPU(制御対象)2の温度変動に伴うファン6の回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な種々の記録媒体にも適用することができる。
【0093】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、制御対象の温度を検知するセンサ手段と、制御対象を冷却するためのファンとを有するノイズ低減装置において、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第1の制御手段と、センサ手段から得られる検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御する第2の制御手段とを設け、第2の制御手段は、制御対象の温度の変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御するようにしたことにより、制御対象の動作を考慮したファンの回転速度の低減を図ることでファンの高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズを低減させることができ、かくして制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減装置を実現できる。
【0094】
また本発明によれば、電子機器のノイズ低減方法において、制御対象の温度を検知する第1のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、制御対象の動作点を下げるように制御する第2のステップと、第1のステップの検知結果に基づいて、制御対象の温度に応じてファンの回転を制御しながら、制御対象の温度変動に伴うファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップとを設けるようにしたことにより、制御対象の動作を考慮したファンの回転速度の低減を図ることでファンの高速回転時のみならず回転数の変化時に生じるノイズを低減させることができ、かくして制御対象の動作を考慮しつつ効率良くノイズを低減し得るノイズ低減方法及びそのプログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパーソナルコンピュータの内部構成を示す略線的なブロック図である。
【図2】図1に示すパーソナルコンピュータの階層的な内部構成を示す略線図である。
【図3】パッシブクーリング制御処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図4】ユーザに対してインターフェースを提供するための説明に供するタイミングチャートである。
【図5】CPUの放熱設計範囲の説明に供するグラフである。
【図6】アクティブクーリング制御処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図7】LPF使用によるファンの駆動率の変動抑制の説明に供するグラフである。
【図8】他の実施の形態によるパーソナルコンピュータの階層的な内部構成を示す略線図である。
【図9】CPU温度の変動除去方法の説明に供するグラフである。
【符号の説明】
1……パーソナルコンピュータ、2……CPU、3……チップセット、4……放熱制御部、5……サーマルセンサ、6……ファン、RT1……パッシブクーリング制御処理手順、RT2……アクティブクーリング制御処理手順。
Claims (25)
- 制御対象の温度を検知するセンサ手段と、上記制御対象を冷却するためのファンとを有するノイズ低減装置において、
上記センサ手段から得られる検知結果に基づいて、上記制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、上記制御対象の動作点を下げるように制御する第1の制御手段と、
上記センサ手段から得られる検知結果に基づいて、上記制御対象の温度に応じて上記ファンの回転を制御する第2の制御手段と
を具え、上記第2の制御手段は、上記制御対象の温度の変動に伴う上記ファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する
ことを特徴とするノイズ低減装置。 - 上記第2の制御手段は、ローパスフィルタを用いることで上記ファンの回転速度の高周波成分を除去する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。 - 上記ローパスフィルタは、上記ファンの回転速度履歴に基づいて上記ファンの回転速度を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のノイズ低減装置。 - 上記第2の制御手段は、上記制御対象の温度の変動が激しい領域では、上記ファンの回転速度を一定にし、又は当該変動幅の少ない上昇率で比例させる
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。 - 上記第1の制御手段は、
ユーザの操作により上記制御対象の放熱設計範囲内に上記閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として上記制御対象の動作点を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。 - 上記第1の制御手段は、
上記制御対象の放熱設計範囲内の冷却開始点を低く設定して早期に冷却を開始し、当該制御対象の温度を下げて当該制御対象の発熱を抑制する
ことを特徴とする請求項5に記載のノイズ低減装置。 - 上記第1の制御手段は、
上記制御対象の温度を制御して間接的に上記ファンの回転を制御することにより、上記第2の制御手段による冷却を抑制する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。 - 上記第1及び第2の制御手段は、
各上記制御により上記制御対象の温度制御を行う際に、当該各制御の調整をユーザの選択により可能として所望の動作環境を提供する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。 - 上記制御対象はプロセッサであり、
上記第1の制御手段は、上記プロセッサの周波数、電圧又は消費電力の少なくとも1以上を低減させるように上記制御対象の動作点を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズ低減装置。 - 電子機器のノイズ低減方法において、
制御対象の温度を検知する第1のステップと、
上記第1のステップの検知結果に基づいて、上記制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、上記制御対象の動作点を下げるように制御する第2のステップと、
上記第1のステップの検知結果に基づいて、上記制御対象の温度に応じて上記ファンの回転を制御しながら、上記制御対象の温度変動に伴う上記ファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップと
を具えることを特徴とするノイズ低減方法。 - 上記第3のステップでは、ローパスフィルタを用いることで上記ファンの回転速度の変動の高周波成分を除去する
ことを特徴とする請求項10に記載のノイズ低減方法。 - 上記ローパスフィルタは、上記ファンの回転速度履歴に基づいて上記ファンの回転速度を算出する
ことを特徴とする請求項11に記載のノイズ低減方法。 - 上記第2の制御手段は、上記制御対象の温度の変動が激しい領域では、上記ファンの回転速度を一定にし、又は当該変動幅の少ない上昇率で比例させる
ことを特徴とする請求項10に記載のノイズ低減方法。 - 上記第2のステップでは、
ユーザの操作により上記制御対象の放熱設計範囲内に上記閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として上記制御対象の動作点を制御する
ことを特徴とする請求項10に記載のノイズ低減方法。 - 上記第2のステップでは、
上記制御対象の放熱設計範囲内の冷却開始点を低く設定して早期に冷却を開始し、当該制御対象の温度を下げて当該制御対象の発熱を抑制する
ことを特徴とする請求項14に記載のノイズ低減方法。 - 上記第2のステップでは、
上記制御対象の温度を制御して間接的に上記ファンの回転を制御することにより、上記第3のステップによる冷却を抑制する
ことを特徴とする請求項10に記載のノイズ低減方法。 - 上記第2及び第3のステップでは、
各上記制御により上記制御対象の温度制御を行う際に、当該各制御の調整をユーザの選択により可能として所望の動作環境を提供する
ことを特徴とする請求項10に記載のノイズ低減方法。 - 制御対象の温度を検知する第1のステップと、
上記第1のステップの検知結果に基づいて、上記制御対象の温度が所定の閾値より高いときに、上記制御対象の動作点を下げるように制御する第2のステップと、
上記第1のステップの検知結果に基づいて、上記制御対象の温度に応じて上記ファンの回転を制御しながら、上記制御対象の温度変動に伴う上記ファンの回転の急激な変動を抑えるようにフィードバック制御する第3のステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 上記第3のステップでは、ローパスフィルタを用いることで上記ファンの回転速度の変動の高周波成分を除去する
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。 - 上記ローパスフィルタは、上記ファンの回転速度履歴に基づいて上記ファンの回転速度を算出する
ことを特徴とする請求項19に記載のプログラム。 - 上記第2の制御手段は、上記制御対象の温度の変動が激しい領域では、上記ファンの回転速度を一定にし、又は当該変動幅の少ない上昇率で比例させる
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。 - 上記第2のステップでは、
ユーザの操作により上記制御対象の放熱設計範囲内に上記閾値が設定されたとき、当該閾値を基準として上記制御対象の動作点を制御する
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。 - 上記第2のステップでは、
上記制御対象の放熱設計範囲内の冷却開始点を低く設定して早期に冷却を開始し、当該制御対象の温度を下げて当該制御対象の発熱を抑制する
ことを特徴とする請求項22に記載のプログラム。 - 上記第2のステップでは、
上記制御対象の温度を制御して上記ファンの回転を制御することにより、間接的に上記第3のステップによる冷却の制御を行う
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。 - 上記第2及び第3のステップでは、
各上記制御により上記制御対象の温度制御を行う際に、当該各制御の調整をユーザの選択により可能として所望の動作環境を提供する
ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
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Cited By (2)
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FR2932946A1 (fr) * | 2008-06-23 | 2009-12-25 | Thomson Licensing | Procede de commande d'un ventilateur en fonction de la position d'un appareil, et appareil mettant en oeuvre le procede. |
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-
2003
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