JP2004265331A - 3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】動きのある3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合の計算コストの低減を図る。
【解決手段】3次元描画プログラムは、アプリケーションよりアニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域の指定を受けてラスタライズ対象領域を設定する。最初のフレームでは、アプリケーションから通知されたすべての3次元オブジェクトの描画処理を行うが、次のフレームからはラスタライズ処理の前に、まずフレームバッファのラスタライズ対象領域をクリアした後、3次元モデルデータの座標変換、描画要素生成までを行い、ラスタライズ対象領域内の描画要素のみを対象にラスタライズ処理を行う。これにより動きのある3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【選択図】 図6
【解決手段】3次元描画プログラムは、アプリケーションよりアニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域の指定を受けてラスタライズ対象領域を設定する。最初のフレームでは、アプリケーションから通知されたすべての3次元オブジェクトの描画処理を行うが、次のフレームからはラスタライズ処理の前に、まずフレームバッファのラスタライズ対象領域をクリアした後、3次元モデルデータの座標変換、描画要素生成までを行い、ラスタライズ対象領域内の描画要素のみを対象にラスタライズ処理を行う。これにより動きのある3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元オブジェクトを演算により描画する3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
時間とともに変化する(アニメーションする)3次元画像を描画するとき、画面の一部の物体(3次元オブジェクト)だけが動き、それ以外の3次元オブジェクトは静止している状況が多くある。この場合でも、従来はフレーム毎にすべての3次元オブジェクトを描画し直すことが行われていた。しかし、静止している3次元オブジェクトまでを再描画することは無意味であり、計算コストの無益な増大を招いていた。
【0003】
このような課題の解決策として、3次元空間内の前後の画像のうち、後の画像が停止したときに、この後の画像を一時記憶し、次にこの後の画像が動くまでは、一時記憶した画像を表示エリアに転送することによって、前の画像のみ3次元描画を行う方法(たとえば特許文献1を参照)や、ディスプレイに出力される画像データが展開される表フレームバッファと、表フレームバッファからの読み出し時に描画処理の結果が書き出され、描画処理が完了したら画像データを表フレームバッファに転送する裏フレームバッファと、一コマの画像中の静止部分の画像データを格納し、繰り返し裏フレームバッファに転送する退避バッファとを用いて、レンダリング処理対象を動きのあるモデルのみに限定する方法(たとえば特許文献1を参照)がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−109911号公報(段落0007)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−195136号公報(段落0027)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、無意味な再描画を回避できる画像が前後の画像のうちの後の画像に限定されており、前後関係のない複数の3次元オブジェクトのうちの一部だけが動くような状況については考慮されていない。また、特許文献2に記載の方法は、フレームサイズのバッファが画像データの分だけでも3つ必要であるなど、必要なリソース量がかさむというデメリットが考えられる。
【0007】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、アニメーションする3次元オブジェクトと動きのない3次元オブジェクトとを同時に表示する場合の計算コストの低減を図ることのできる3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、フレームサイズの複数のバッファを用いた場合の、バッファ間でのデータ転送量を低減して、計算コストの低減、描画速度の向上を図ることのできる3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明にかかる3次元描画システムは、3次元オブジェクトの描画を行う描画手段と、前記描画手段によって描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データが格納されるバッファと、前記バッファに格納された画像データを表示する表示部と、前記フレーム中の更新領域を設定する設定手段と、複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するバッファ更新手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の3次元描画システムにおいて、前記フレーム中の更新領域が時間の経過に伴って変化する3次元オブジェクトの表示に必要な領域であることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、たとえば、アニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる3次元描画システムは、3次元オブジェクトの描画を行う描画手段と、前記描画手段により描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データが格納される第1のバッファと、前記第1のバッファから転送される前記フレーム単位の画像データが格納される第2のバッファと、前記第2のバッファに格納された画像データを表示する表示部と、前記フレーム中の更新領域を設定する設定手段と、複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新し、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するバッファ更新手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の3次元描画システムにおいて、前記フレーム中の更新領域が時間の経過に伴って変化する3次元オブジェクトの表示に必要な領域であることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0015】
本発明にかかる3次元描画方法は、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データをバッファに格納するステップと、前記バッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するステップとを有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、たとえばアニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【0017】
また、本発明にかかる3次元描画方法は、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データを第1のバッファに格納するステップと、前記第1のバッファに格納された前記フレーム単位の画像データを第2のバッファに転送するステップと、前記第2のバッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新するステップと、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータに、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データをバッファに格納するステップと、前記バッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するステップとを実行させることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、たとえばアニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【0021】
また、本発明にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータに、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データを第1のバッファに格納するステップと、前記第1のバッファに格納された前記フレーム単位の画像データを第2のバッファに転送するステップと、前記第2のバッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新するステップと、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するステップとを実行させることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0024】
図1に、本発明の第1の実施形態である3次元描画システムを採用したデジタルビデオカメラレコーダの外観を示す斜視図である。
【0025】
このデジタルビデオカメラレコーダ1は、利用者が片手で持って操作可能な形状とサイズの本体2を有する。本体2にはレンズ部3および表示部4などが設けられている。この表示部4の画面には、撮影されている被写体、装着されている記憶媒体から再生した画像が表示されるほか、デジタルビデオカメラレコーダ1に実行させる機能をユーザに選択させるための3次元オブジェクトであるアイコンメニューなどが表示される。
【0026】
図2は、図1のデジタルビデオカメラレコーダ1における表示部4の詳細を示す平面図である。
【0027】
同図に示すように、表示部4は矩形筐体5を備えており、この矩形筐体5の一つの面には、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどのディスプレイ装置6の表示画面が配置されている。また、矩形筐体5の側面には、ディスプレイ装置6の画面に表示される3次元オブジェクトに対して選択などの各種の操作を行ったり、ポインティングカーソルを移動させて画面上の任意の座標領域を選択する操作を行うためのジョグダイヤルなどのダイヤル式入力装置7や、タッチパネルセンサなどのタッチ式入力装置(図示せず)が設けられている。
【0028】
図3は、図1のデジタルビデオカメラレコーダ1の電気的な構成を示すものである。レンズ部3はCPU20からの制御信号によって自動絞り制御、自動焦点制御が行われる。CCD(ChargeCoupledDevice)11の出力信号はA/D変換器12にてデジタル映像信号に変換された後、映像信号処理部13に送られる。映像信号処理部13はデジタル映像信号から画素毎のRGB信号を生成し、画像データ切替部15を通じてディスプレイ装置6に出力する。
【0029】
CPU20のバス10にはメインメモリ16、ROM21(ReadOnlyMemory)21、映像圧縮符号・復号化部17および画像データ切替部15が接続されている。メインメモリ16はたとえばDRAM(DynamicRandomAccessMemory)などからなる高速な読み書きが可能なメモリである。ROM21は各種のプログラムやデータなどを固定的に格納した不揮発性のメモリである。映像圧縮符号・復号化部17は、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)を使用して静止画を圧縮または伸張したり、MPEG(Moving Picture Experts Group)を使用して動画を圧縮または伸張したりする回路モジュールである。画像データ切替部15は、画像データの転送先の切り替えを行う。
【0030】
さらに、バス10には、メモリスティック、スマートメディア、磁気テープ、ハードディスクドライブなどの記憶媒体に対する読み書きを行う記憶媒体読み書き部18と、上記のダイヤル式入力装置7などが、それぞれのインタフェース部(I/F)22、23を介して接続されている。
【0031】
CPU20は、バス10を通じて各部間の情報のやりとりを制御するとともに、ROM21からメインメモリ16に必要なプログラムやデータをロードし、そのプログラムに従ってデジタルビデオカメラレコーダ1の制御や各種のデータ処理を行う。
【0032】
次に、このデジタルビデオカメラレコーダ1のディスプレイ装置6に3次元アイコンなどの3次元オブジェクトを表示させる場合の3次元描画について説明する。
【0033】
図4は、このときメインメモリ16に確保されるプログラムおよびデータの格納領域を示す図である。同図に示すように、メインメモリ16には、少なくとも基本プログラム領域24、3次元描画プログラム領域25、アプリケーションプログラム領域26、フレームバッファ領域27などが設定される。基本プログラム領域24には、デジタルビデオカメラレコーダ1を動作させるための基本的なプログラムが格納される。3次元描画プログラム領域25は、3次元オブジェクトの描画を行う3次元描画プログラムが格納される領域である。アプリケーションプログラム領域26は、3次元オブジェクトを用いて特定の情報処理を行うアプリケーションプログラムが格納される領域である。フレームバッファ領域27は、ディスプレイ装置6の画面に表示させる表示データが格納される領域である。
【0034】
図5は、3次元描画プログラムによる代表的な3次元モデルデータの描画処理の手順を示す図である。
【0035】
3次元描画プログラムは、アプリケーションプログラムによって指定された、アイコンなどの3次元オブジェクトのモデルデータ31をROM21から読み込み、3次元オブジェクトのすべての部位の三次元座標を2次元座標に変換する(座標変換32)。3次元オブジェクトのモデルデータ31は、たとえばポリゴン(多角形平面)や点・線・面などの図形要素の3次元座標上の位置、線や面の属性、色のデータなどで構成されるものである。次に、3次元描画プログラムは、2次元座標に変換された3次元オブジェクトデータを図形要素の単位で視点から遠い順にソートして見えるべき部位のみを最終的に残す陰面処理を行う(描画要素生成33)。続いて、3次元描画プログラムは、陰面処理を施した3次元オブジェクトデータに基づいてフレームバッファ領域(カラーバッファ)にピクセル毎の色番号を書き込む(ラスタライズ34)。そして、このフレームバッファ領域に格納されたピクセル毎の色番号に基づいて、RGB値と色番号との関係が格納されているカラーテーブルから該当するRGB値を呼び出し、表示デバイスで扱うことのできるビデオ信号に変換してディスプレイ装置6に表示する(3次元オブジェクト表示35)。
【0036】
本実施形態では、上記のような3次元描画処理において、ラスタライズ対象とすべき領域を更新領域として設定できるようになっている。ラスタライズ対象領域は、たとえば、3次元オブジェクトを用いて特定の情報処理を行うアプリケーションプログラムによって指定される。その際、アプリケーションプログラムは、アニメーションするアイコンなどの3次元オブジェクトの表示に必要な領域を一意にラスタライズ対象領域として指定する。
【0037】
ここで、アニメーションする3次元オブジェクトとアニメーションしない3次元オブジェクトとを同時にディスプレイ装置6に表示させる場合を考える。
【0038】
図6は、本実施形態の3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
アプリケーションプログラムは、3次元描画プログラムに対して、描画対象となる複数の3次元オブジェクトのモデルデータとそれらの表示位置を指定する。この際、アプリケーションプログラムは、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を3次元描画プログラムに通知する。3次元描画プログラムは、このアプリケーションプログラムから通知された3次元オブジェクトの表示に必要な領域をラスタライズ対象領域(更新領域)として設定する(ステップ601)。
【0040】
3次元描画プログラムは、最初のフレームでは、アプリケーションプログラムから通知されたすべての3次元オブジェクトの描画処理すなわち座標変換、描画要素生成、ラスタライズを順に行う(ステップ602〜605)。
【0041】
3次元描画プログラムは、次フレームすなわち最初のフレーム以外のフレームのラスタライズ処理を開始する前に、フレームバッファのラスタライズ対象領域のみをクリアする(ステップ607)。すなわち、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のみをクリアし、その他の領域であるアニメーションしない全ての3次元オブジェクトを含む領域の画像データはフレームバッファにそのまま残しておく。
【0042】
次に、3次元描画プログラムは、アプリケーションプログラムにより指定された描画対象である3次元オブジェクトのモデルデータについて、3次元座標から2次元座標への座標変換(ステップ608)、描画要素生成(ステップ609)を順に行う。続いて、3次元描画プログラムは、生成した個々の描画要素がラスタライズ対象領域内のものであるかどうかを判断し(ステップ610)、ラスタライズ対象領域内の描画要素のみをメインメモリ16に記録する(ステップ611)。そして3次元描画プログラムは、今回の描画対象である3次元オブジェクトについての描画要素生成が完了したところで(ステップ607のNO)、メインメモリ16に記録されているすべての描画要素についてラスタライズ処理を行う(ステップ612)。
【0043】
このようにしてアニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のデータだけを更新し、複数フレーム間にわたって変化のない3次元オブジェクトのフレーム毎の再描画を行わないようにすることで、トータルの計算コストを低減でき、描画速度を向上させることができる。
【0044】
図7は、本実施形態の3次元描画プログラムの別の処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
図6に示した3次元描画プログラムによる処理の流れでは、次フレーム以降の描画処理において、ラスタライズ対象領域のクリアを座標変換前に行うようにしたが、図7に示すように、描画対象である3次元オブジェクトのすべての描画要素生成が完了した後のステップ711でラスタライズ対象領域をクリアするようにしてもよい。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0047】
図8は、本実施形態の3次元描画システムを実現するハードウェア構成の例を示す図である。もちろん、この構成は、図1に示したデジタルビデオカメラレコーダ1にも採用し得るものである。
【0048】
同図に示すように、この3次元描画システムは、CPU21と、メインメモリ16と、VRAM(Video RAM)41と、これらを接続するバス10とで構成される。VRAM41は、ディスプレイ装置6に出力される画像データが展開される第2のバッファとしてのフレームバッファ領域42を含むメモリである。メインメモリ16には、VRAM41からの表示のための読み出し時に描画のための書き込みが行われる第1のバッファである裏バッファ43が設けられている。
【0049】
このようにVRAM41と裏バッファ43とを用いて、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域の画像データだけを更新する方法を説明する。
【0050】
図9は、このVRAM41と裏バッファ43とを用いて、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のデータだけを更新する場合の3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
アプリケーションプログラムは、3次元描画プログラムに対して、描画対象となる複数の3次元オブジェクトのモデルデータとそれらの表示座標を指定する。この際、アプリケーションプログラムは、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を3次元描画プログラムに通知する。3次元描画プログラムは、このアプリケーションプログラムから通知された3次元オブジェクトの表示に必要な領域をラスタライズ対象領域として設定する(ステップ901)。
【0052】
3次元描画プログラムは、最初のフレームでは、アプリケーションプログラムから通知されたすべての3次元オブジェクトの描画処理すなわち座標変換、描画要素生成、ラスタライズを順に行う(ステップ902〜905)。
【0053】
3次元描画プログラムは、次フレームすなわち最初のフレーム以外のフレームの描画処理でも同様に、描画対象である全ての3次元オブジェクトのモデルデータについて、3次元座標から2次元座標への座標変換(ステップ907)、描画要素生成(ステップ908)を順に行うが、このとき、ステップ909の判定を通して、予め設定されているラスタライズ対象領域内の描画要素のみをメインメモリ16内に記録し(ステップ910)、その他の領域の描画要素はキャンセルする。
【0054】
ステップ906の判定で、全ての描画対象の3次元オブジェクトの描画要素の生成が完了したところで、3次元描画プログラムは、裏バッファ43のラスタライズ対象領域の内容をクリアし(ステップ911)、そのクリアした裏バッファ43のラスタライズ対象領域に、メインメモリ16に記録されている描画要素のラスタライズ処理を行う(ステップ912)。そして、裏バッファ43のラスタライズ対象領域の画像データをVRAM41のフレームバッファ領域42に転送してコピーする(ステップ913)。
【0055】
このようにして、裏バッファ43においてアニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のデータだけを更新し、複数フレーム間にわたって変化のない3次元オブジェクトのフレーム毎の再描画を行わないようにするとともに、裏バッファ43からVRAM41へのデータ転送量がラスタライズ対象領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0056】
本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。また、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である3次元描画システムを採用したデジタルビデオカメラレコーダの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のデジタルビデオカメラレコーダにおける表示部の詳細を示す平面図である。
【図3】図1のデジタルビデオカメラレコーダの電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】ディスプレイ装置に3次元オブジェクトを表示させる場合にメインメモリに確保されるプログラムおよびデータの格納領域を示す図である。
【図5】代表的な3次元モデルデータの描画処理の手順を示す図である。
【図6】第1の実施形態における3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態における3次元描画プログラムの処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる第2の実施形態の3次元描画システムを実現するハードウェア構成の例を示す図である。
【図9】第1の実施形態における3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルビデオカメラレコーダ
6 ディスプレイ装置
16 メインメモリ
20 CPU
24 基本プログラム領域
25 3次元描画プログラム領域
26 アプリケーションプログラム領域
27 フレームバッファ領域
40 3次元オブジェクト
41 VRAM
42 フレームバッファ領域
43 裏バッファ
【発明の属する技術分野】
本発明は、3次元オブジェクトを演算により描画する3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
時間とともに変化する(アニメーションする)3次元画像を描画するとき、画面の一部の物体(3次元オブジェクト)だけが動き、それ以外の3次元オブジェクトは静止している状況が多くある。この場合でも、従来はフレーム毎にすべての3次元オブジェクトを描画し直すことが行われていた。しかし、静止している3次元オブジェクトまでを再描画することは無意味であり、計算コストの無益な増大を招いていた。
【0003】
このような課題の解決策として、3次元空間内の前後の画像のうち、後の画像が停止したときに、この後の画像を一時記憶し、次にこの後の画像が動くまでは、一時記憶した画像を表示エリアに転送することによって、前の画像のみ3次元描画を行う方法(たとえば特許文献1を参照)や、ディスプレイに出力される画像データが展開される表フレームバッファと、表フレームバッファからの読み出し時に描画処理の結果が書き出され、描画処理が完了したら画像データを表フレームバッファに転送する裏フレームバッファと、一コマの画像中の静止部分の画像データを格納し、繰り返し裏フレームバッファに転送する退避バッファとを用いて、レンダリング処理対象を動きのあるモデルのみに限定する方法(たとえば特許文献1を参照)がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−109911号公報(段落0007)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−195136号公報(段落0027)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、無意味な再描画を回避できる画像が前後の画像のうちの後の画像に限定されており、前後関係のない複数の3次元オブジェクトのうちの一部だけが動くような状況については考慮されていない。また、特許文献2に記載の方法は、フレームサイズのバッファが画像データの分だけでも3つ必要であるなど、必要なリソース量がかさむというデメリットが考えられる。
【0007】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、アニメーションする3次元オブジェクトと動きのない3次元オブジェクトとを同時に表示する場合の計算コストの低減を図ることのできる3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、フレームサイズの複数のバッファを用いた場合の、バッファ間でのデータ転送量を低減して、計算コストの低減、描画速度の向上を図ることのできる3次元描画システム、3次元描画方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明にかかる3次元描画システムは、3次元オブジェクトの描画を行う描画手段と、前記描画手段によって描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データが格納されるバッファと、前記バッファに格納された画像データを表示する表示部と、前記フレーム中の更新領域を設定する設定手段と、複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するバッファ更新手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の3次元描画システムにおいて、前記フレーム中の更新領域が時間の経過に伴って変化する3次元オブジェクトの表示に必要な領域であることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、たとえば、アニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる3次元描画システムは、3次元オブジェクトの描画を行う描画手段と、前記描画手段により描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データが格納される第1のバッファと、前記第1のバッファから転送される前記フレーム単位の画像データが格納される第2のバッファと、前記第2のバッファに格納された画像データを表示する表示部と、前記フレーム中の更新領域を設定する設定手段と、複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新し、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するバッファ更新手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の3次元描画システムにおいて、前記フレーム中の更新領域が時間の経過に伴って変化する3次元オブジェクトの表示に必要な領域であることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0015】
本発明にかかる3次元描画方法は、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データをバッファに格納するステップと、前記バッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するステップとを有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、たとえばアニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【0017】
また、本発明にかかる3次元描画方法は、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データを第1のバッファに格納するステップと、前記第1のバッファに格納された前記フレーム単位の画像データを第2のバッファに転送するステップと、前記第2のバッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新するステップと、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータに、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データをバッファに格納するステップと、前記バッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するステップとを実行させることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、たとえばアニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。
【0021】
また、本発明にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータに、3次元オブジェクトの描画を行うステップと、前記描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データを第1のバッファに格納するステップと、前記第1のバッファに格納された前記フレーム単位の画像データを第2のバッファに転送するステップと、前記第2のバッファに格納された画像データを表示するステップと、前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新するステップと、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するステップとを実行させることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。
【0024】
図1に、本発明の第1の実施形態である3次元描画システムを採用したデジタルビデオカメラレコーダの外観を示す斜視図である。
【0025】
このデジタルビデオカメラレコーダ1は、利用者が片手で持って操作可能な形状とサイズの本体2を有する。本体2にはレンズ部3および表示部4などが設けられている。この表示部4の画面には、撮影されている被写体、装着されている記憶媒体から再生した画像が表示されるほか、デジタルビデオカメラレコーダ1に実行させる機能をユーザに選択させるための3次元オブジェクトであるアイコンメニューなどが表示される。
【0026】
図2は、図1のデジタルビデオカメラレコーダ1における表示部4の詳細を示す平面図である。
【0027】
同図に示すように、表示部4は矩形筐体5を備えており、この矩形筐体5の一つの面には、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどのディスプレイ装置6の表示画面が配置されている。また、矩形筐体5の側面には、ディスプレイ装置6の画面に表示される3次元オブジェクトに対して選択などの各種の操作を行ったり、ポインティングカーソルを移動させて画面上の任意の座標領域を選択する操作を行うためのジョグダイヤルなどのダイヤル式入力装置7や、タッチパネルセンサなどのタッチ式入力装置(図示せず)が設けられている。
【0028】
図3は、図1のデジタルビデオカメラレコーダ1の電気的な構成を示すものである。レンズ部3はCPU20からの制御信号によって自動絞り制御、自動焦点制御が行われる。CCD(ChargeCoupledDevice)11の出力信号はA/D変換器12にてデジタル映像信号に変換された後、映像信号処理部13に送られる。映像信号処理部13はデジタル映像信号から画素毎のRGB信号を生成し、画像データ切替部15を通じてディスプレイ装置6に出力する。
【0029】
CPU20のバス10にはメインメモリ16、ROM21(ReadOnlyMemory)21、映像圧縮符号・復号化部17および画像データ切替部15が接続されている。メインメモリ16はたとえばDRAM(DynamicRandomAccessMemory)などからなる高速な読み書きが可能なメモリである。ROM21は各種のプログラムやデータなどを固定的に格納した不揮発性のメモリである。映像圧縮符号・復号化部17は、たとえばJPEG(Joint Photographic Experts Group)を使用して静止画を圧縮または伸張したり、MPEG(Moving Picture Experts Group)を使用して動画を圧縮または伸張したりする回路モジュールである。画像データ切替部15は、画像データの転送先の切り替えを行う。
【0030】
さらに、バス10には、メモリスティック、スマートメディア、磁気テープ、ハードディスクドライブなどの記憶媒体に対する読み書きを行う記憶媒体読み書き部18と、上記のダイヤル式入力装置7などが、それぞれのインタフェース部(I/F)22、23を介して接続されている。
【0031】
CPU20は、バス10を通じて各部間の情報のやりとりを制御するとともに、ROM21からメインメモリ16に必要なプログラムやデータをロードし、そのプログラムに従ってデジタルビデオカメラレコーダ1の制御や各種のデータ処理を行う。
【0032】
次に、このデジタルビデオカメラレコーダ1のディスプレイ装置6に3次元アイコンなどの3次元オブジェクトを表示させる場合の3次元描画について説明する。
【0033】
図4は、このときメインメモリ16に確保されるプログラムおよびデータの格納領域を示す図である。同図に示すように、メインメモリ16には、少なくとも基本プログラム領域24、3次元描画プログラム領域25、アプリケーションプログラム領域26、フレームバッファ領域27などが設定される。基本プログラム領域24には、デジタルビデオカメラレコーダ1を動作させるための基本的なプログラムが格納される。3次元描画プログラム領域25は、3次元オブジェクトの描画を行う3次元描画プログラムが格納される領域である。アプリケーションプログラム領域26は、3次元オブジェクトを用いて特定の情報処理を行うアプリケーションプログラムが格納される領域である。フレームバッファ領域27は、ディスプレイ装置6の画面に表示させる表示データが格納される領域である。
【0034】
図5は、3次元描画プログラムによる代表的な3次元モデルデータの描画処理の手順を示す図である。
【0035】
3次元描画プログラムは、アプリケーションプログラムによって指定された、アイコンなどの3次元オブジェクトのモデルデータ31をROM21から読み込み、3次元オブジェクトのすべての部位の三次元座標を2次元座標に変換する(座標変換32)。3次元オブジェクトのモデルデータ31は、たとえばポリゴン(多角形平面)や点・線・面などの図形要素の3次元座標上の位置、線や面の属性、色のデータなどで構成されるものである。次に、3次元描画プログラムは、2次元座標に変換された3次元オブジェクトデータを図形要素の単位で視点から遠い順にソートして見えるべき部位のみを最終的に残す陰面処理を行う(描画要素生成33)。続いて、3次元描画プログラムは、陰面処理を施した3次元オブジェクトデータに基づいてフレームバッファ領域(カラーバッファ)にピクセル毎の色番号を書き込む(ラスタライズ34)。そして、このフレームバッファ領域に格納されたピクセル毎の色番号に基づいて、RGB値と色番号との関係が格納されているカラーテーブルから該当するRGB値を呼び出し、表示デバイスで扱うことのできるビデオ信号に変換してディスプレイ装置6に表示する(3次元オブジェクト表示35)。
【0036】
本実施形態では、上記のような3次元描画処理において、ラスタライズ対象とすべき領域を更新領域として設定できるようになっている。ラスタライズ対象領域は、たとえば、3次元オブジェクトを用いて特定の情報処理を行うアプリケーションプログラムによって指定される。その際、アプリケーションプログラムは、アニメーションするアイコンなどの3次元オブジェクトの表示に必要な領域を一意にラスタライズ対象領域として指定する。
【0037】
ここで、アニメーションする3次元オブジェクトとアニメーションしない3次元オブジェクトとを同時にディスプレイ装置6に表示させる場合を考える。
【0038】
図6は、本実施形態の3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
アプリケーションプログラムは、3次元描画プログラムに対して、描画対象となる複数の3次元オブジェクトのモデルデータとそれらの表示位置を指定する。この際、アプリケーションプログラムは、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を3次元描画プログラムに通知する。3次元描画プログラムは、このアプリケーションプログラムから通知された3次元オブジェクトの表示に必要な領域をラスタライズ対象領域(更新領域)として設定する(ステップ601)。
【0040】
3次元描画プログラムは、最初のフレームでは、アプリケーションプログラムから通知されたすべての3次元オブジェクトの描画処理すなわち座標変換、描画要素生成、ラスタライズを順に行う(ステップ602〜605)。
【0041】
3次元描画プログラムは、次フレームすなわち最初のフレーム以外のフレームのラスタライズ処理を開始する前に、フレームバッファのラスタライズ対象領域のみをクリアする(ステップ607)。すなわち、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のみをクリアし、その他の領域であるアニメーションしない全ての3次元オブジェクトを含む領域の画像データはフレームバッファにそのまま残しておく。
【0042】
次に、3次元描画プログラムは、アプリケーションプログラムにより指定された描画対象である3次元オブジェクトのモデルデータについて、3次元座標から2次元座標への座標変換(ステップ608)、描画要素生成(ステップ609)を順に行う。続いて、3次元描画プログラムは、生成した個々の描画要素がラスタライズ対象領域内のものであるかどうかを判断し(ステップ610)、ラスタライズ対象領域内の描画要素のみをメインメモリ16に記録する(ステップ611)。そして3次元描画プログラムは、今回の描画対象である3次元オブジェクトについての描画要素生成が完了したところで(ステップ607のNO)、メインメモリ16に記録されているすべての描画要素についてラスタライズ処理を行う(ステップ612)。
【0043】
このようにしてアニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のデータだけを更新し、複数フレーム間にわたって変化のない3次元オブジェクトのフレーム毎の再描画を行わないようにすることで、トータルの計算コストを低減でき、描画速度を向上させることができる。
【0044】
図7は、本実施形態の3次元描画プログラムの別の処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
図6に示した3次元描画プログラムによる処理の流れでは、次フレーム以降の描画処理において、ラスタライズ対象領域のクリアを座標変換前に行うようにしたが、図7に示すように、描画対象である3次元オブジェクトのすべての描画要素生成が完了した後のステップ711でラスタライズ対象領域をクリアするようにしてもよい。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0047】
図8は、本実施形態の3次元描画システムを実現するハードウェア構成の例を示す図である。もちろん、この構成は、図1に示したデジタルビデオカメラレコーダ1にも採用し得るものである。
【0048】
同図に示すように、この3次元描画システムは、CPU21と、メインメモリ16と、VRAM(Video RAM)41と、これらを接続するバス10とで構成される。VRAM41は、ディスプレイ装置6に出力される画像データが展開される第2のバッファとしてのフレームバッファ領域42を含むメモリである。メインメモリ16には、VRAM41からの表示のための読み出し時に描画のための書き込みが行われる第1のバッファである裏バッファ43が設けられている。
【0049】
このようにVRAM41と裏バッファ43とを用いて、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域の画像データだけを更新する方法を説明する。
【0050】
図9は、このVRAM41と裏バッファ43とを用いて、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のデータだけを更新する場合の3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
アプリケーションプログラムは、3次元描画プログラムに対して、描画対象となる複数の3次元オブジェクトのモデルデータとそれらの表示座標を指定する。この際、アプリケーションプログラムは、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を3次元描画プログラムに通知する。3次元描画プログラムは、このアプリケーションプログラムから通知された3次元オブジェクトの表示に必要な領域をラスタライズ対象領域として設定する(ステップ901)。
【0052】
3次元描画プログラムは、最初のフレームでは、アプリケーションプログラムから通知されたすべての3次元オブジェクトの描画処理すなわち座標変換、描画要素生成、ラスタライズを順に行う(ステップ902〜905)。
【0053】
3次元描画プログラムは、次フレームすなわち最初のフレーム以外のフレームの描画処理でも同様に、描画対象である全ての3次元オブジェクトのモデルデータについて、3次元座標から2次元座標への座標変換(ステップ907)、描画要素生成(ステップ908)を順に行うが、このとき、ステップ909の判定を通して、予め設定されているラスタライズ対象領域内の描画要素のみをメインメモリ16内に記録し(ステップ910)、その他の領域の描画要素はキャンセルする。
【0054】
ステップ906の判定で、全ての描画対象の3次元オブジェクトの描画要素の生成が完了したところで、3次元描画プログラムは、裏バッファ43のラスタライズ対象領域の内容をクリアし(ステップ911)、そのクリアした裏バッファ43のラスタライズ対象領域に、メインメモリ16に記録されている描画要素のラスタライズ処理を行う(ステップ912)。そして、裏バッファ43のラスタライズ対象領域の画像データをVRAM41のフレームバッファ領域42に転送してコピーする(ステップ913)。
【0055】
このようにして、裏バッファ43においてアニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域のデータだけを更新し、複数フレーム間にわたって変化のない3次元オブジェクトのフレーム毎の再描画を行わないようにするとともに、裏バッファ43からVRAM41へのデータ転送量がラスタライズ対象領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【0056】
本発明は、上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アニメーションする3次元オブジェクトと静止している3次元オブジェクトとを同時に表示する場合に、アニメーションする3次元オブジェクトの表示に必要な領域を更新領域として設定することで、静止している3次元オブジェクトの無意味な再描画を行う必要がなくなり、計算コストを低減することができる。また、第1のバッファから第2のバッファへのデータ転送量が更新領域分に制限されることによって、トータルの計算コストを低減することができ、描画速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である3次元描画システムを採用したデジタルビデオカメラレコーダの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のデジタルビデオカメラレコーダにおける表示部の詳細を示す平面図である。
【図3】図1のデジタルビデオカメラレコーダの電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】ディスプレイ装置に3次元オブジェクトを表示させる場合にメインメモリに確保されるプログラムおよびデータの格納領域を示す図である。
【図5】代表的な3次元モデルデータの描画処理の手順を示す図である。
【図6】第1の実施形態における3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態における3次元描画プログラムの処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【図8】本発明にかかる第2の実施形態の3次元描画システムを実現するハードウェア構成の例を示す図である。
【図9】第1の実施形態における3次元描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルビデオカメラレコーダ
6 ディスプレイ装置
16 メインメモリ
20 CPU
24 基本プログラム領域
25 3次元描画プログラム領域
26 アプリケーションプログラム領域
27 フレームバッファ領域
40 3次元オブジェクト
41 VRAM
42 フレームバッファ領域
43 裏バッファ
Claims (8)
- 3次元オブジェクトの描画を行う描画手段と、
前記描画手段によって描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データが格納されるバッファと、
前記バッファに格納された画像データを表示する表示部と、
前記フレーム中の更新領域を設定する設定手段と、
複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するバッファ更新手段と
を具備することを特徴とする3次元描画システム。 - 請求項1に記載の3次元描画システムにおいて、
前記フレーム中の更新領域が時間の経過に伴って変化する3次元オブジェクトの表示に必要な領域であることを特徴とする3次元描画システム。 - 3次元オブジェクトの描画を行う描画手段と、
前記描画手段により描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データが格納される第1のバッファと、
前記第1のバッファから転送される前記フレーム単位の画像データが格納される第2のバッファと、
前記第2のバッファに格納された画像データを表示する表示部と、
前記フレーム中の更新領域を設定する設定手段と、
複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新し、この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するバッファ更新手段と
を具備することを特徴とする3次元描画システム。 - 請求項3に記載の3次元描画システムにおいて、
前記フレーム中の更新領域が時間の経過に伴って変化する3次元オブジェクトの表示に必要な領域であることを特徴とする3次元描画システム。 - 3次元オブジェクトの描画を行うステップと、
前記描画された3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データをバッファに格納するステップと、
前記バッファに格納された画像データを表示するステップと、
前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、
複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するステップと
を有することを特徴とする3次元描画方法。 - 3次元オブジェクトの描画を行うステップと、
前記描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データを第1のバッファに格納するステップと、
前記第1のバッファに格納された前記フレーム単位の画像データを第2のバッファに転送するステップと、
前記第2のバッファに格納された画像データを表示するステップと、
前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、
複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新するステップと、
この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するステップと
を有することを特徴とする3次元描画方法。 - コンピュータに、
3次元オブジェクトの描画を行うステップと、
前記描画された3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データをバッファに格納するステップと、
前記バッファに格納された画像データを表示するステップと、
前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、
複数フレームにわたって、前記バッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記バッファの前記更新領域の内容を更新するステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - コンピュータに、
3次元オブジェクトの描画を行うステップと、
前記描画された前記3次元オブジェクトを含むフレーム単位の画像データを第1のバッファに格納するステップと、
前記第1のバッファに格納された前記フレーム単位の画像データを第2のバッファに転送するステップと、
前記第2のバッファに格納された画像データを表示するステップと、
前記フレーム中の更新領域を設定するステップと、
複数フレームにわたって、前記第1のバッファの前記更新領域以外の領域の画像データを消去することなく前記更新領域内の前記3次元オブジェクトをフレーム毎に描画して前記第1のバッファの前記更新領域の内容を更新するステップと、
この第1のバッファの前記更新領域の内容をフレーム周期で前記第2のバッファに転送するステップとを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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