JP2004264739A - 光フィルタ及び光フィルタモジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光フィルタ1は光を合分波する光フィルタ素子4と、光フィルタ素子4の光入射面側に配置され、常光に対する屈折率がnoで異常光に対する屈折率がneであり、板厚がdの第1の複屈折板2と、第1の複屈折板2の光学軸に直交する光学軸を有し、第1の複屈折板2に隣接して光フィルタ素子4の光入射面側に配置され、第1の複屈折板2と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第2の複屈折板3とを備え、第1及び第2の複屈折板2、3は、光の波長をλとし、任意の整数をMとすると、2(no−ne)d=(M+1/2)λの関係式を満足するように構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光計測等で使用される光フィルタ及び光フィルタモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光を合分波する誘電体多層膜を有している光フィルタは光通信システムで利用されている。光フィルタは入射光を透過光及び反射光に分波する機能や所定の光透過域又は光反射域のみの光を取り出す機能を有している。例えば、光通信システムの1つである波長多重分割伝送(Wavelength DivisionMultiplexing:WDM)システムでは狭帯域バンドパスフィルタ(Narrow Band Pass Filter:NBPF)が使用されている。NBPFには透過波長帯域の合わせ精度、低透過損失、反射域への急峻な変化及び透過帯域幅の高い平坦性等の高精度な波長特性が求められる。NBPFを含む光学系に収束光又は発散光を入射させると、角度分布を有する光がNBPFを透過することになる。所定の波長に対して所定の誘電体層厚に積層された光学膜に光が斜めに透過すると、設計光路長と実際の光路長とが異なってしまうためNBPFの波長特性は変化する。従って、NBPFの光学特性を劣化させないためには入射光の位相波面が比較的平坦な平行光(コリメート光)を入射させるのが一般的である。また、光フィルタ面での反射光を元の光路からずらすためには、所定の角度で光フィルタに光を入射させる必要があるので、一般に光フィルタは光の入射角度に合わせて設計される。しかし、NBPFの場合には高精度な波長特性が要求されるので斜め入射型の設計及び製造は困難である。従って、NBPFでは光を垂直に入射する垂直入射型が用いられている。
【0003】
ところで、近年のインターネット等の普及に伴い、一般加入者宅まで光ファイバ通信網を構築して高速な通信環境を提供する計画(Fiber To TheHome計画:FTTH計画)に代表されるアクセス系には高速大容量通信が可能なシステムが求められる。幹線系の高密度波長多重分割伝送(Dense Wavelength Division Multiplexing:DWDM)システムは高速大容量通信を可能とするが、高価な構成部品を必要とする。従って、DWDMシステムと同様の構成でアクセス系のシステムを構築すると、システム全体の高コスト化に繋がってしまう。このため安価な部品で構成してシステムを低コスト化する低密度波長多重分割伝送(Coarse Wavelength Division Multiplexing:CWDM)等の提案がなされている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2670310号公報
【特許文献2】
特開平11−218617号公報
【特許文献3】
特開平9−21912号公報
【特許文献4】
特開平9−105824号公報
【特許文献5】
特開平11−2725号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
光通信システムを低コスト化する構成として、レンズ系を使用しない光フィルタモジュールが知られている。例えば、特許文献1及び2で開示されている光フィルタモジュールは、光射出口が対向した2本の光ファイバがフェルールコネクタに接着固定され、当該光ファイバ間に設けられた溝に光フィルタが挿入された形状を有している。当該光フィルタモジュールはレンズ系がない分だけ小型・低コスト化が可能である。光ファイバからの射出光は角度成分を有する発散光であるため、当該発散光をNBPFに直接入射すると、光フィルタの角度依存性により光フィルタモジュールの光学特性が劣化してしまう。この光学特性の劣化を改善するために、光学系にコア拡大光ファイバを用いた光ファイバモジュールが知られている(特許文献2参照)。コア拡大光ファイバからの射出光はモードフィールド径の拡大に伴って広がり角が小さくなり平行光に近付くため、NBPFの光学特性の劣化を減少させる効果を有している。また、WDM通信システムに用いられる光フィルタには、反射波長域を元の光路や別の光路に導く構成のものと、反射波長域を使用しないものがある。反射光を元の光路に戻さないシステムで用いられる光フィルタモジュールは、上記の構成でいうと、光路上に光フィルタを斜めに配置する必要がある。但し、光ファイバ及び光フィルタがフェルールコネクタに一体形成されているため、光路に対して光フィルタが斜めに挿入されると光軸ずれが生じ、透過波長域の接続損失が増大してしまう。
【0006】
図7は、CWDMシステムに使用される光フィルタモジュール32の概念図を示している。図7(a)は、光フィルタモジュール32の構成例を示している。光フィルタモジュール32は単一モード光ファイバ(Single Mode Fiber:SMF)である射出側光ファイバ33を有している。さらに光フィルタモジュール32は光フィルタとして特定波長の光を透過させるNBPF34を有している。NBPF34は基板35と基板35上に形成された誘電体多層膜36とを有している。またさらに光フィルタモジュール32はNBPF34を透過した光(透過光40)を受光して電気信号に変換するフォトダイオード(Photo Diode:PD)37を有している。NBPF34は光入射面が光路に直交するようにして、射出側光ファイバ33とPD37との間に設けられた不図示の溝に挿入されている。
【0007】
射出側光ファイバ33から射出した射出光38は光フィルタ34に入射する。図7(b)は、横軸を光の波長とし縦軸を光強度として射出光38の波長特性を例示している。図7(b)に示すように射出光38は広帯域で略一定の光強度を有している。NBPF34に入射した射出光38のうち特定波長帯域の光はNBPF34を透過してPD37で受光される。図7(c)は、横軸を光の波長とし縦軸を光強度として透過光40の波長特性を例示している。図7(c)に示すように透過光40は特定の波長帯域で強い光強度を有している。一方、当該特定波長帯域以外の光はNBPF34で反射して射出側光ファイバ33に戻る。図7(d)は、横軸を波長とし縦軸を光強度としてNBPF34で反射した光(反射光39)の波長特性を例示している。図7(d)に示すように反射光39は上記特定波長帯域以外で強い光強度を有している。この反射光39はクロストークの発生や、不図示の光源のレーザダイオードの発振を不安定にする要因となる。また、NBPF34からの反射光39を射出側光ファイバ33に戻さないために光アイソレータ(不図示)を用いるとCWDMシステムが高価になってしまう。
【0008】
図8は、NBPF34からの反射光41を射出側光ファイバ33に戻さないために光フィルタモジュール43の光路に対してNBPF34を斜めに配置した光フィルタモジュール43の概念図を示している。なお、本説明において図7に示した光フィルタモジュール32の構成要素及び同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0009】
図8(a)は、NBPF34を斜めに配置した光フィルタモジュール43の構成例を示している。図8(b)は、横軸を光の波長とし縦軸を光強度として射出側光ファイバ33から射出される射出光44の波長特性を例示している。図8(b)に示すように射出光44は広帯域で略一定の光強度を有している。図8(a)に示すようにNBPF34を斜めに配置すると射出側光ファイバ33へ戻る反射光41を減少させることができる。ところが、こうしてしまうと上述のように、NBPF34の透過波長域の波長特性及び透過損失の劣化や光軸ずれによる接続損失増大の問題が生じてしまう。例えば、図8(c)は、横軸を光の波長とし縦軸を光強度としてNBPF34を透過した光(透過光42)の波長特性を例示している。図8(c)に示すように透過光42は特定波長域のみ強い光強度を有しているが透過波長帯域のシフト、帯域幅の減少が起こり、NBPF34の光入射面を光路に直交するように配置した際の透過光40の光強度より減少してしまう。このように、光フィルタモジュール32、43に設けた溝にNBPF34を埋め込む構成では光学系に依存する劣化要因が無視できず、特性劣化の増大はCWDMシステム設計において問題となる。
【0010】
PD37に代わって入射側光ファイバ(不図示)を用いた光フィルタモジュール32、43においても、光学系の光軸に対してNBPF34の光入射面を略直交させた場合は、射出側光ファイバ33から入射側光ファイバへの光軸ずれを減少させて光を伝搬させることができる。しかし、NBPF34表面やNBPF34内の誘電体多層膜36の界面等で生じる反射光39が射出側光ファイバ33へ結合しやすく、高い反射減衰量を得ることは困難である。一方、反射光41を低減するために、光学系の光軸に対してNBPF34の光入射面を斜めにした場合は、入射光44がNBPF34で屈折して光軸ずれが生じるため入射側光ファイバの挿入損失が増大する。また、NBPF34を斜めに設置するためには光フィルタモジュール43に斜めに溝を設ける必要があり、光学系の形状の制約及び高コスト化の要因となる。
【0011】
上述の通り、NBPF34に代表される光フィルタの波長特性は入射角度依存性を有している。光軸に対して光フィルタの入射面を角度θだけ傾けて光の入射角を増加させると、光フィルタを通過する光の光路長は長くなる。しかし入射光と多重反射光との間で干渉を起こす光路長差はcosθだけ短くなり、光フィルタの波長特性は短波長側にシフトする。光束径の小さいコリメート系(微小光学系)ではNBPF34を傾けると無限多重反射でブロードニング(光の急激な広がり、波面変形)が生じる。ブロードニングは透過域の損失の増大や波長特性の劣化を引き起こす。
【0012】
光通信システムに波長特性の劣化に対する設計マージンがあれば、光フィルタの光の入射角度による波長特性の劣化は大きな障害とならない。しかし反射光が光通信システムの安定性に障害を及ぼす場合は光フィルタによる反射を防止するために光フィルタを斜めに配置する必要が出てくる。この場合、入射角度依存性の小さい光フィルタを使用すれば波長特性の劣化を減らすことができ、光通信システムにおいて光フィルタの波長特性の劣化は大きな問題とならない。しかし、DWDM、CWDM等の光通信システムに使用されるNBPF34は入射角に対する波長特性劣化が大きいため、光フィルタへ垂直に光を入射することが要求される。
【0013】
このように低損失で反射特性に優れ、さらに光学系の形状の制約や安価な光フィルタモジュールを得るためには光フィルタに対して略垂直に光を入射しながらも反射光を減らす必要がある。
【0014】
本発明の目的は、透過波長特性の劣化が少なく、反射光を入射側に戻さない安価な光フィルタ及び光フィルタモジュールを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、光を合分波する光フィルタ素子と、前記光フィルタ素子の光入射面側に配置され、常光に対する屈折率がnoで異常光に対する屈折率がneであり、板厚がdの第1の複屈折板と、前記第1の複屈折板の光学軸に直交する光学軸を有し、前記第1の複屈折板に隣接して前記光フィルタ素子の光入射面側に配置され、前記第1の複屈折板と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第2の複屈折板とを備え、前記第1及び第2の複屈折板は、光の波長をλとし、任意の整数をMとすると、2(no−ne)d=(M+1/2)λの関係式を満足することを特徴とする光フィルタによって達成される。
【0016】
上記本発明の光フィルタにおいて、前記第1の複屈折板を透過して前記光フィルタ素子で反射されて再び前記第1の複屈折板を透過する光と前記第2の複屈折板を透過して前記光フィルタ素子で反射されて再び前記第2の複屈折板を透過する光との相対的な光路差がλ/2であることを特徴とする。
【0017】
上記本発明の光フィルタにおいて、 前記第1の複屈折板の光学軸に直交する光学軸を有し、前記第1の複屈折板と対向して前記光フィルタ素子の光射出面側に配置され、前記第1の複屈折板と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第3の複屈折板と、前記第2の複屈折板の光学軸に直交する光学軸を有し、前記第2の複屈折板と対向し且つ前記第3の複屈折板と隣接して前記光フィルタ素子の光射出面側に配置され、前記第1の複屈折板と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第4の複屈折板とを有していること特徴とする。
【0018】
上記本発明の光フィルタにおいて、前記第1の複屈折板、前記光フィルタ素子及び前記第3の複屈折板を透過した光と前記第2の複屈折板、前記光フィルタ素子及び前記第4の複屈折板を透過した光との光路長が等しいことを特徴とする。
上記本発明の光フィルタにおいて、前記光フィルタ素子は誘電体多層膜であることを特徴とする。
上記本発明の光フィルタにおいて、前記光フィルタ素子は誘電体多層膜であることを特徴とする。
上記本発明の光フィルタにおいて、前記第1乃至第4の複屈折板は1/4波長板であることを特徴とする。
【0019】
上記目的は、光を合分波する光フィルタ素子及び複数の複屈折板を有する光フィルタと、伝送された光を射出する第1の光伝送素子と、入射された光を伝送する第2の光伝送素子とを有していることを特徴とする光フィルタモジュールによって達成される。
【0020】
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記光フィルタは請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光フィルタであることを特徴とする。
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記光フィルタは前記第1の光伝送素子と前記第2の光伝送素子との間に配置されていることを特徴とする。
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記第1及び第2の光伝送素子は光ファイバであることを特徴する光フィルタモジュール。
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記光ファイバは光出力端のモードフィールド径が拡大していることを特徴する。
【0021】
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記光ファイバはグレーデッドインデックス光ファイバが、単一モード光ファイバの光軸上に配置されていることを特徴する。
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記第1及び第2の光伝送素子は光導波路であることを特徴する。
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記光導波路の光出力端のコア層が拡大していることを特徴する。
上記本発明の光フィルタモジュールにおいて、前記第1の光伝送素子と前記光フィルタとの間、及び前記第2の光伝送素子と前記光フィルタとの間にさらにレンズを有していることを特徴する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による光フィルタ及び光フィルタモジュールについて図1乃至図6を用いて説明する。まず、本実施の形態による光フィルタ1の概略の構成について図1を用いて説明する。光フィルタ1は誘電体多層膜やフォトニック結晶等の光フィルタ機能を発揮する光フィルタ素子4を有している。さらに光フィルタ1は第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3を有している。第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3は隣接し、それぞれの光学軸が互いに直交するように光フィルタ素子4の光入射面に光学接着剤で接着されている。例えば第1の複屈折板2の光学軸は紙面に平行な方向に配置されており、第2の複屈折板3の光学軸は紙面に垂直な方向に配置されている。光フィルタ素子4の光射出面側は所定波長の光を透過させる基板5に光学接着剤で接着されている。第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3は同一材料で形成されており、常光に対する屈折率はno、異常光に対する屈折率はneである。第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3は略同一の板厚dを有しており、当該板厚dは、2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たしている。ここで、λは光の波長であり、Mは任意の整数である。光フィルタ1の光入射面は光路に直交し、第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3が光ファイバ6の光射出口に対向するように光フィルタ1は配置されている。
【0023】
次に、光フィルタ1の動作について説明する。光ファイバ6はコア層6a及びクラッド層6bを有している。光ファイバ6のコア層6a端面(光射出口)から射出した光の略半分は第1の複屈折板2に入射し、第1の複屈折板2を透過して光フィルタ素子4に入射する。光ファイバ6の光射出口から射出した残余の光は第2の複屈折板3に入射し、第2の複屈折板3を透過して光フィルタ素子4に入射する。
【0024】
第1の複屈折板2に入射した光のうち、第1の複屈折板2の光学軸に平行な偏波成分の光(以下、光α1という)は第1の複屈折板2内を異常光として透過して光フィルタ素子4入射表面で一部が反射され、再び第1の複屈折板2を異常光として透過して光ファイバ6の光射出口から光ファイバ6内に進入する。ここで、光α1の第1の複屈折板2内での光路長はne×2dとなる。一方、第2の複屈折板3に入射した光のうち、第1の複屈折板2の光学軸に平行な偏波成分の光(以下、光α2という)は第2の複屈折板3内を常光として透過して光フィルタ素子4入射表面で一部が反射され、再び第2の複屈折板3を常光として透過して光ファイバ6の光射出口から光ファイバ6内に進入する。ここで、光α2の第2の複屈折板3内での光路長はno×2dになる。従って、光フィルタ素子4入射表面で反射した光α1及び光α2の光路差は2(no−ne)dになる。このとき、光フィルタ1の第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3は2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たすように形成されているので、反射光は干渉して打ち消し合うため射出側光ファイバ6に結合しない。
【0025】
第1の複屈折板2に入射した光のうち、第1の複屈折板2の光学軸に垂直な偏波成分の光(以下、光β1という)は第1の複屈折板2内を常光として透過して光フィルタ素子4入射表面で一部が反射され、再び第1の複屈折板2を常光として透過して光ファイバ6の光射出口から光ファイバ6内に進入する。ここで、光β1の第1の複屈折板2内での光路長はno×2dとなる。一方、第2の複屈折板3に入射した光のうち、第1の複屈折板2の光学軸に垂直な偏波成分の光(以下、光β2という)は第2の複屈折板3内を異常光として透過して光フィルタ素子4入射表面で一部が反射され、再び第2の複屈折板3を異常光として透過して光ファイバ6の光射出口から光ファイバ6内に進入する。ここで、光β2の第2の複屈折板3内での光路長はne×2dになる。従って、光フィルタ素子4入射表面で反射した光β1及び光β2の光路差は2(no−ne)dになる。このとき、光フィルタ1の第1の複屈折板2及び第2の複屈折板3は2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たすように形成されているので、反射光は干渉して打ち消し合うため射出側光ファイバ6に結合しない。
【0026】
このように、本発明の光フィルタ1によれば、光フィルタ1に入射した光が光フィルタ素子4で反射しても、反射光同士で干渉して打ち消し合うため射出側光ファイバ6へ戻る反射光を大幅に減らすことができる。
【0027】
以下、実施例を用いてより具体的に説明する。
[実施例1]
図2は本実施例による光フィルタ7及び光フィルタモジュール14の概略の構成を示している。本実施例の光フィルタ7は光フィルタ機能を発揮する誘電体多層膜の光フィルタ素子10を有している。さらに光フィルタ7は第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9を有している。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は隣接し、それぞれの光学軸が互いに直交するように光フィルタ素子10の光入射面に光学接着剤で接着されている。例えば第1の水晶1/4波長板8の光学軸は紙面に平行な方向に配置されており、第2の水晶1/4波長板9の光学軸は紙面に垂直な方向に配置されている。光フィルタ素子10は所定波長の光を透過させる基板11上に成膜されている。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は同一材料で形成されており、常光に対する屈折率はno、異常光に対する屈折率はneである。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は略同一の板厚dを有しており、当該板厚dは、2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たしている。ここで、λは光の波長であり、Mは任意の整数である。
【0028】
光フィルタモジュール14は光フィルタ7に光を入射する第1の光伝送素子として例えば射出側光ファイバ12を有している。射出側光ファイバ12は単一モード光ファイバであり、コア層12a及びクラッド層12bを有している。さらに光フィルタモジュール14は光フィルタ7を透過した光を受光するフォトダイオード13を有している。射出側光ファイバ12のコア層12a端面(光射出口)とフォトダイオード13の受光面は対向して配置され、両者の間に光フィルタ7が挿入されている。光フィルタ7の光入射面は光路と直交している。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は射出側光ファイバ12の光射出口に対向して配置されている。射出側光ファイバ12の光射出口から射出した光の略半分は第1の水晶1/4波長板8に入射し、第1の水晶1/4波長板8を透過して光フィルタ素子10に入射する。射出側光ファイバ12の光射出口から射出した残余の光は第2の水晶1/4波長板9に入射し、第2の水晶1/4波長板9を透過して光フィルタ素子10に入射する。
【0029】
次に、光フィルタモジュール14の動作について説明する。第1の水晶1/4波長板8に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に平行な偏波成分の光(以下、光α1という)は第1の水晶1/4波長板8内を異常光として透過して光フィルタ素子10入射表面で一部が反射され、再び第1の水晶1/4波長板8を異常光として透過して射出側光ファイバ12の光射出口から射出側光ファイバ12内に進入する。ここで、光α1の第1の水晶1/4波長板8内での光路長はne×2dとなる。一方、第2の水晶1/4波長板9に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に平行な偏波成分の光(以下、光α2という)は第2の水晶1/4波長板9内を常光として透過して光フィルタ素子10入射表面で一部が反射され、再び第2の水晶1/4波長板9を常光として透過して射出側光ファイバ12の光射出口から射出側光ファイバ12内に進入する。ここで、光α2の第2の水晶1/4波長板9内での光路長はno×2dになる。従って、光フィルタ素子10入射表面で反射した光α1及び光α2の光路差は2(no−ne)dになる。このとき、光フィルタ7の第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たすように形成されているので、反射光は干渉して打ち消し合うため射出側光ファイバ12に結合しない。
【0030】
第1の水晶1/4波長板8に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に垂直な偏波成分の光(以下、光β1という)は第1の水晶1/4波長板8内を常光として透過して光フィルタ素子10入射表面で一部が反射され、再び第1の水晶1/4波長板8を常光として透過して射出側光ファイバ12の光射出口から射出側光ファイバ12内に進入する。ここで、光β1の第1の水晶1/4波長板8内での光路長はne×2dとなる。一方、第2の水晶1/4波長板9に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に垂直な偏波成分の光(以下、光β2という)は第2の水晶1/4波長板9内を異常光として透過して光フィルタ素子10入射表面で一部が反射され、再び第2の水晶1/4波長板9を異常光として透過して射出側光ファイバ12の光射出口から射出側光ファイバ12内に進入する。ここで、光β2の第2の水晶1/4波長板9内での光路長はno×2dになる。従って、光フィルタ素子10入射表面で反射した光β1及び光β2の光路差は2(no−ne)dになる。このとき、光フィルタ7の第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たすように形成されているので、反射光は干渉して打ち消し合うため射出側光ファイバ12に結合しない。
【0031】
一方、第1の水晶1/4波長板8及び光フィルタ素子10を透過した光α1と第2の水晶1/4波長板9及び光フィルタ素子10を透過した光α2の光路差は、(no−ne)dである。光フィルタ7の第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たすように形成されているため、光α1は光α2に対して相対的に1/4波長ずれる。また、第1の水晶1/4波長板8及び光フィルタ素子10を透過した光β1と第2の水晶1/4波長板9及び光フィルタ素子10を透過した光β2との光路差は、(no−ne)dである。従って、光β1は光β2に対して相対的に1/4波長ずれる。このように、第1の水晶1/4波長板8の透過光は第2の水晶1/4波長板9の透過光に対して相対的に1/4波長ずれるが、フォトダイオード13の受光面が光フィルタ7から透過した光の出射角より大きければ十分受光することができる。なお、フォトダイオード13の代わりに高開口数の多モード光ファイバであっても当該透過光を十分受光することができる。
【0032】
本実施例の光フィルタモジュール14によれば、第1の水晶1/4波長板8を透過し光フィルタ素子10入射表面で反射して再び第1の水晶1/4波長板8を透過した光は第2の水晶1/4波長板9を透過し光フィルタ素子10入射表面で反射して再び第2の水晶1/4波長板9を透過した光と干渉して打ち消し合うため、光フィルタ7で反射した光の射出側光ファイバ12への戻り量を大幅に減らすことができる。また、第1の水晶1/4波長板8の透過光と第2の水晶1/4波長板9の透過光は相対的に1/4波長ずれるが、フォトダイオード13の受光面が光フィルタ7を透過した光の出射角より大きければ、透過光を受光することは十分可能である。
【0033】
[実施例2]
本実施例による光フィルタ15及び光フィルタモジュール19について図3を用いて説明する。本実施例の光フィルタ15は実施例1の光フィルタ7に対してさらに第3の水晶1/4波長板16及び第4の水晶1/4波長板17を配置した点に特徴を有している。さらに実施例1の光フィルタモジュール14がフォトダイオード13を備えているのに対して、本実施例の光フィルタモジュール19は第2の光伝送素子として入射側光ファイバ18を備えている点に特徴を有している。入射側光ファイバ18は例えば単一モード光ファイバである。図3は、本実施例による光フィルタ15及び光フィルタモジュール19の概略の構成を示している。本説明において図1に示した実施例1による光フィルタ7及び光フィルタモジュール14の構成要素及び同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0034】
第3の水晶1/4波長板16は第1の水晶1/4波長板8の光学軸に直交する光学軸を有し、第1の水晶1/4波長板8と対向して基板11の光射出面側に光学接着剤で接着されている。第4の水晶1/4波長板17は第2の水晶1/4波長板9の光学軸に直交する光学軸を有し、第2の水晶1/4波長板9と対向し且つ第3の水晶1/4波長板16と隣接して基板11の光射出面側に光学接着剤で接着されている。従って、第3の水晶1/4波長板16の光学軸は紙面に垂直な方向に配置されており、第4の水晶1/4波長板17の光学軸は紙面に水平な方向に配置されている。第1乃至第4の水晶1/4波長板8、9、16、17は同一材料で形成されており、常光に対する屈折率はno、異常光に対する屈折率はneである。第1乃至第4の水晶1/4波長板8、9、16、17は略同一の板厚dを有しており、当該板厚dは、2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たしている。ここで、λは光の波長であり、Mは任意の整数である。
【0035】
光フィルタモジュール19は射出側光ファイバ12と入射側光ファイバ18を有している。入射側光ファイバ18はコア層18a及びクラッド層18bを有している。射出側光ファイバ12と入射側光ファイバ18のそれぞれの端面は対向し且つ中心軸が一致している。光フィルタ15は射出側光ファイバ12と入射側光ファイバ18との間に設けられている不図示の溝に挿入されている。光フィルタ15の光入射面は光路と直交している。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は射出側光ファイバ12の光射出口に対向して配置されている。第3の水晶1/4波長板16及び第4の水晶1/4波長板17は入射側光ファイバ18のコア層18a端面(光入射口)に対向して配置されている。射出側光ファイバ12の光射出口から射出した光の略半分は第1の水晶1/4波長板8に入射し、第1の水晶1/4波長板8を透過して光フィルタ素子10に入射する。射出側光ファイバ12の光射出口から射出した残余の光は第2の水晶1/4波長板9に入射し、第2の水晶1/4波長板9を透過して光フィルタ素子10に入射する。
【0036】
次に、光フィルタモジュール19の動作について説明する。射出側光ファイバ12から射出した光が光フィルタ15の光フィルタ素子10で反射されて射出側光ファイバ12に戻る過程は実施例1と同様である。従って、本実施例の光フィルタモジュール19も光フィルタ15で反射する光は射出側光ファイバ12に結合しない。
【0037】
第1の水晶1/4波長板8に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に平行な偏波成分の光(以下、光α1という)は第1の水晶1/4波長板8内を異常光として透過して光フィルタ素子10に入射する。光フィルタ素子10を透過した光α1の一部は第3の水晶1/4波長板16を常光として透過する。ここで、光α1の第1及び第3の水晶1/4波長板8、16内での光路長は(ne+no)×dとなる。一方、第2の水晶1/4波長板9に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に平行な偏波成分の光(以下、光α2という)は第2の水晶1/4波長板9内を常光として透過して光フィルタ素子10に入射する。光フィルタ素子10を透過した光α2の一部は第4の水晶1/4波長板17を異常光として透過する。ここで、光α2の第2及び第4の水晶1/4波長板9、17内での光路長は(no+ne)×dとなる。従って、光α1の光路長は光α2の光路長と等しく位相差が生じないため、光フィルタ15の透過光は入射側光ファイバ18に良好に結合できる。
【0038】
第1の水晶1/4波長板8に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に垂直な偏波成分の光(以下、光β1という)は第1の水晶1/4波長板8内を常光として透過して光フィルタ素子10に入射する。光フィルタ素子10を透過した光β1の一部は第3の水晶1/4波長板16を異常光として透過する。ここで、光β1の第1及び第3の水晶1/4波長板8、16内での光路長は(no+ne)×dとなる。一方、第2の水晶1/4波長板9に入射した光のうち、第1の水晶1/4波長板8の光学軸に垂直な偏波成分の光(以下、光β2という)は第2の水晶1/4波長板9内を異常光として透過して光フィルタ素子10に入射する。光フィルタ素子10を透過した光β2の一部は第4の水晶1/4波長板17を常光として透過する。ここで、光β2の第2及び第4の水晶1/4波長板9、17内での光路長は(ne+no)×dとなる。従って、光β1の光路長は光β2の光路長と等しく位相差が生じないため、光フィルタ15の透過光は入射側光ファイバ18に良好に結合できる。
【0039】
本実施例の光フィルタモジュール19によれば、第1の水晶1/4波長板8を透過し光フィルタ素子10入射表面で反射して再び第1の水晶1/4波長板8を透過した光は第2の水晶1/4波長板9を透過し光フィルタ素子10入射表面で反射して再び第2の水晶1/4波長板9を透過した光と干渉して打ち消し合うため、反射光は射出側光ファイバ12に結合せず、光フィルタ15で反射した光の射出側光ファイバ12への戻り量を大幅に減らすことができる。また、光フィルタ15を透過した光において、第1及び第3の水晶1/4波長板8、16を透過した光と第2及び第4の水晶1/4波長板9、17を透過した光の光路長は等しく位相差が生じないため、光フィルタ15の透過光は入射側光ファイバ18に良好に結合できる。
【0040】
[実施例3]
本実施例による光フィルタ15及び光フィルタモジュール20について図4を用いて説明する。本実施例の光フィルタモジュール20は射出側光ファイバ21及び入射側光ファイバ22がコア拡大光ファイバである点に特徴を有している。本説明において、図3に示した実施例2による光フィルタ15及び光フィルタモジュール19の構成要素及び同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0041】
光フィルタモジュール20は射出側光ファイバ21と入射側光ファイバ22とを有している。射出側光ファイバ21はコア層21a及びクラッド層21bを有している。入射側光ファイバ22はコア層22a及びクラッド層22bを有している。射出側光ファイバ21と入射側光ファイバ22とは、それぞれの端面が対向し且つ中心軸が一致してフェルールキャピラリ23に接着固定されている。光フィルタ15は射出側光ファイバ21と入射側光ファイバ22との間に設けられている不図示の溝に挿入されている。光フィルタ15の光入射面は光路と直交している。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は射出側光ファイバ21のコア層21端面(光射出口)に対向して配置されている。第3の水晶1/4波長板16及び第4の水晶1/4波長板17は入射側光ファイバ22のコア層22端面(光入射口)に対向して配置されている。射出側光ファイバ21の光射出口から射出した光の略半分は第1の水晶1/4波長板8に入射し、第1の水晶1/4波長板8を透過して光フィルタ素子10に入射する。射出側光ファイバ21の光射出口から射出した残余の光は第2の水晶1/4波長板9に入射し、第2の水晶1/4波長板9を透過して光フィルタ素子10に入射する。
【0042】
次に、光フィルタモジュール20の動作について説明する。射出側光ファイバ21から射出された光が光フィルタ15の光フィルタ素子10で反射されて射出側光ファイバ21に戻る過程、及び光フィルタ15を透過した光が入射側光ファイバ22に入射する過程は実施例2と同様である。従って、光フィルタモジュール20は光フィルタモジュール19と同様の効果を得ることができる。
【0043】
ところで、コア拡大光ファイバから射出される光はモードフィールド径の拡大に伴って広がり角が小さくなり平行光に近付くため、光フィルタ15の光学特性の劣化を減少させる効果を有している。従って、光フィルタモジュール19に比べて光フィルタモジュール20は光フィルタ15で反射した光の射出側光ファイバ21への戻り量をさらに減らすことができる。また光フィルタ15の透過光は入射側光ファイバ22にさらに良好に結合できる。
【0044】
[実施例4]
本実施例による光フィルタ15及び光フィルタモジュール24について図5を用いて説明する。本実施例の光フィルタモジュール24は射出側光ファイバ25及び入射側光ファイバ28が単一モード光ファイバ26とグレーデッドインデックス光ファイバ27が接合された光ファイバである点に特徴を有している。単一モード光ファイバ26及びグレーデッドインデックス光ファイバ27はそれぞれコア層26a、27a及びクラッド層26b、27bを有している。本説明において、図3に示した実施例2による光フィルタ15及び光フィルタモジュール19の構成要素及び同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0045】
射出側光ファイバ25は光フィルタ15に光を入射する射出口部がグレーデッドインデックス光ファイバ27となるように形成されている。入射側光ファイバ28は光フィルタ15を透過した光が入射する入射口部がグレーデッドインデックス光ファイバ27となるように形成されている。
【0046】
光フィルタモジュール24は射出側光ファイバ25と入射側光ファイバ28を有している。射出側光ファイバ25と入射側光ファイバ28とは、それぞれの端面が対向し且つ中心軸が一致してフェルールキャピラリ23に接着固定されている。光フィルタ15は射出側光ファイバ25と入射側光ファイバ28との間に設けられている不図示の溝に挿入されている。光フィルタ15の光入射面は光路と直交している。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9は射出側光ファイバ25のコア層27a端面(光射出口)に対向して配置されている。第3の水晶1/4波長板16及び第4の水晶1/4波長板17は入射側光ファイバ28のコア層27a端面(光入射口)に対向して配置されている。射出側光ファイバ25の光射出口から射出した光の略半分は第1の水晶1/4波長板8に入射し、第1の水晶1/4波長板8を透過して光フィルタ素子10に入射する。射出側光ファイバ25の光射出口から射出した残余の光は第2の水晶1/4波長板9に入射し、第2の水晶1/4波長板9を透過して光フィルタ素子10に入射する。
【0047】
次に、光フィルタモジュール24の動作について説明する。射出側光ファイバ25から射出された光が光フィルタ15の光フィルタ素子10で反射されて射出側光ファイバ25に戻る過程、及び光フィルタ15を透過した光が入射側光ファイバ28に入射する過程は実施例2と同様である。従って、光フィルタモジュール24は光フィルタモジュール19と同様の効果を得ることができる。
【0048】
ところで、グレーデッドインデックス光ファイバ27を適切に設計することにより、グレーデッドインデックス光ファイバ27から射出される光の広がり角を小さくし、平行光に近付けることができる。射出側光ファイバ25は光の射出口部にグレーデッドインデックス光ファイバ27を有しているため、光フィルタ15には平行光に近い光が入射され、光フィルタ15の光学特性の劣化が減少する。従って、光フィルタモジュール19に比べて光フィルタモジュール24は光フィルタ15で反射した光の射出側光ファイバ25への戻り量をさらに減らすことができる。また光フィルタ15の透過光は入射側光ファイバ28にさらに良好に結合できる。
【0049】
[実施例5]
本実施例による光フィルタ15及び光フィルタモジュール29について図6を用いて説明する。本実施例の光フィルタモジュール29は射出側光ファイバ12と光フィルタ15との間、及び光フィルタ15と入射側光ファイバ18との間にそれぞれレンズ30を備えている点に特徴を有している。本説明において、図3に示した実施例2による光フィルタ15及び光フィルタモジュール15の構成要素及び同一の作用機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0050】
光フィルタモジュール29は射出側光ファイバ12と入射側光ファイバ18を有している。射出側光ファイバ12と入射側光ファイバ18とは、それぞれの端面が対向し且つ中心軸が一致して備えられている。光フィルタ15は射出側光ファイバ12と入射側光ファイバ18との間に設けられている不図示の溝に挿入されている。さらに、射出側光ファイバ12と光フィルタ15との間、及び光フィルタ15と入射側光ファイバ18との間にそれぞれレンズ30、31が備えられている。レンズ30、31の光軸は光路に一致するように配置されている。光フィルタ15の光入射面は光路と直交している。第1の水晶1/4波長板8及び第2の水晶1/4波長板9はレンズ30を介して射出側光ファイバ12の光射出口に対向して配置されている。第3の水晶1/4波長板16及び第4の水晶1/4波長板17はレンズ31を介して入射側光ファイバ18の光入射口に対向して配置されている。射出側光ファイバ12の光射出口から射出した光の略半分はレンズ30を透過して第1の水晶1/4波長板8に入射し、第1の水晶1/4波長板8を透過して光フィルタ素子10に入射する。射出側光ファイバ12の光射出口から射出した残余の光はレンズ30を透過して第2の水晶1/4波長板9に入射し、第2の水晶1/4波長板9を透過して光フィルタ素子10に入射する。
【0051】
次に、光フィルタモジュール29の動作について説明する。射出側光ファイバ12から射出された光が光フィルタ15の光フィルタ素子10で反射されて射出側光ファイバ12に戻る過程、及び光フィルタ15を透過した光が入射側光ファイバ18に入射する過程は実施例2と同様である。従って、光フィルタモジュール29は光フィルタモジュール19と同様の効果を得ることができる。
【0052】
ところで、レンズ30は射出側光ファイバ12の射出光を平行光にするため、光フィルタ15の光学特性の劣化を減少させる効果を有している。従って、光フィルタモジュール19に比べて光フィルタモジュール29は光フィルタ15で反射した光の射出側光ファイバ12への戻り量をさらに減らすことができる。また、光フィルタ15を透過した光はレンズ31で収束されて入射側光ファイバ18に入射するため、入射側光ファイバ18にさらに良好に結合できる。
【0053】
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施形態の光フィルタモジュール14、19、20、24、29では第1及び第2の光伝送素子は光ファイバであるが、本発明はこれに限られない。例えば、第1及び第2の光伝送素子は光導波路であっても同様の効果を得ることができる。さらに光導波路の光出力端のモードフィールド径が拡大していても同様の効果を得ることができる。
【0054】
上記実施形態の光フィルタ7、15は水晶1/4波長板を有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、水晶1/4波長板の代わりに水晶1/4波長板と同様の機能を発揮する複屈折板を用いても同様の効果を得ることができる。
【0055】
上記実施形態の光フィルタ7、15では、2(no−ne)d=(M+1/2)λを満たすように第1乃至第4の水晶1/4波長板8、9、16、17は同一材料を同一の厚さdに形成しているが、本発明はこれに限られない。例えば、光フィルタ7、15は第1乃至第4の水晶1/4波長板8、9、16、17に代わって第1乃至第4の複屈折板を有しており、当該第1乃至第4の複屈折板は材料及び厚さが異なっていてもよい。第1の複屈折板を透過し光フィルタ素子10入射表面で反射して再び第1の複屈折板を透過した光の光路長と第2の複屈折板を透過し光フィルタ素子10入射表面で反射して再び第2の複屈折板を透過した光の光路長との差が相対的にλ/2に等しく、且つ第1の複屈折板、光フィルタ素子10及び第3の複屈折板内の光路長が第2の複屈折板、光フィルタ素子10及び第4の複屈折板内の光路長と等しければ、同様の効果を得ることができる。この場合、光フィルタ7、15で反射した光の射出側光ファイバ12への戻り量を大幅に減らすことができる。また、光フィルタ15の透過光は入射側光ファイバ18に良好に結合できる。
【0056】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、透過波長特性の劣化が少なく、反射光を入力側に戻さない安価な光フィルタ及び光フィルタモジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による光フィルタ1の概略構成を説明する図である。
【図2】本発明の一実施の形態における実施例1として光フィルタ7及び光フィルタモジュール14の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態における実施例2として光フィルタ15及び光フィルタモジュール19の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態における実施例3として光フィルタ15及び光フィルタモジュール20の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態における実施例4として光フィルタ15及び光フィルタモジュール24の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態における実施例5として光フィルタ15及び光フィルタモジュール29の概略構成を示す図である。
【図7】従来のCWDMシステムに使用される光フィルタモジュール32の概略構成であって、図7(a)は光フィルタモジュール32の構成例、図7(b)は射出側光ファイバ33から射出した射出光38の波長特性例、図7(c)はNBPF34の透過光40の波長特性例、図7(d)はNBPF34の反射光39の波長特性例を示す図である。
【図8】従来のCWDMシステムに使用される光フィルタモジュール43の概略構成であって、図8(a)は光フィルタ34が斜めに挿入された状態の光フィルタモジュール43の構成例、図8(b)は射出側光ファイバ33から射出した射出光44の波長特性例、図8(c)はNBPF34の透過光42の波長特性例を示す図である。
【符号の説明】
1、7、15、34 光フィルタ
2 第1の複屈折板
3 第2の複屈折板
4、10 光フィルタ素子
5、11、35 基板
6、12、21、25、33 射出側光ファイバ
6a、12a、18a、21a、22a、26a、27a コア層
6b、12b、18b、21b、22b、26b、27b クラッド層
8 第1の水晶1/4波長板
9 第2の水晶1/4波長板
13、37 フォトダイオード
14、19、20、24、29、32、43 光フィルタモジュール
16 第3の水晶1/4波長板
17 第4の水晶1/4波長板
18、22、28、37 入射側光ファイバ
23 フェルールキャピラリ
26 単一モード光ファイバ
27 グレーデッドインデックス光ファイバ
30、31 レンズ
36 誘電体多層膜
38、44 射出光
39、42 反射光
40、41 透過光
Claims (15)
- 光を合分波する光フィルタ素子と、
前記光フィルタ素子の光入射面側に配置され、常光に対する屈折率がnoで異常光に対する屈折率がneであり、板厚がdの第1の複屈折板と、
前記第1の複屈折板の光学軸に直交する光学軸を有し、前記第1の複屈折板に隣接して前記光フィルタ素子の光入射面側に配置され、前記第1の複屈折板と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第2の複屈折板とを備え、
前記第1及び第2の複屈折板は、光の波長をλとし、任意の整数をMとすると、
2(no−ne)d=(M+1/2)λ
の関係式を満足すること
を特徴とする光フィルタ。 - 請求項1記載の光フィルタにおいて、
前記第1の複屈折板を透過して前記光フィルタ素子で反射されて再び前記第1の複屈折板を透過した光と前記第2の複屈折板を透過して前記光フィルタ素子で反射されて再び前記第2の複屈折板を透過した光との相対的な光路差がλ/2であること
を特徴とする光フィルタ。 - 請求項1又は2に記載の光フィルタにおいて、
前記第1の複屈折板の光学軸に直交する光学軸を有し、前記第1の複屈折板と対向して前記光フィルタ素子の光射出面側に配置され、前記第1の複屈折板と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第3の複屈折板と、
前記第2の複屈折板の光学軸に直交する光学軸を有し、前記第2の複屈折板と対向し且つ前記第3の複屈折板と隣接して前記光フィルタ素子の光射出面側に配置され、前記第1の複屈折板と同一の屈折率no、ne及び板厚dを有する第4の複屈折板と
を有していることを特徴とする光フィルタ。 - 請求項3記載の光フィルタにおいて、
前記第1の複屈折板、前記光フィルタ素子及び前記第3の複屈折板を透過した光と前記第2の複屈折板、前記光フィルタ素子及び前記第4の複屈折板を透過した光との光路長が等しいこと
を特徴とする光フィルタ。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光フィルタにおいて、
前記光フィルタ素子は誘電体多層膜であること
を特徴とする光フィルタ。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光フィルタにおいて、
前記第1乃至第4の複屈折板は1/4波長板であること
を特徴とする光フィルタ。 - 光を合分波する光フィルタ素子及び複数の複屈折板を有する光フィルタと、
伝送された光を射出する第1の光伝送素子と、
入射された光を伝送する第2の光伝送素子と
を有していることを特徴とする光フィルタモジュール。 - 請求項7記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記光フィルタは請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光フィルタであること
を特徴とする光フィルタモジュール。 - 請求項8記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記光フィルタは前記第1の光伝送素子と前記第2の光伝送素子との間に配置されていること
を特徴とする光フィルタモジュール。 - 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記第1及び第2の光伝送素子は光ファイバであること
を特徴する光フィルタモジュール。 - 請求項10記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記光ファイバは光出力端のモードフィールド径が拡大していること
を特徴する光フィルタモジュール。 - 請求項10記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記光ファイバはグレーデッドインデックス光ファイバが単一モード光ファイバの光軸上に配置されていること
を特徴する光フィルタモジュール。 - 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記第1及び第2の光伝送素子は光導波路であること
を特徴する光フィルタモジュール。 - 請求項13記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記光導波路は光出力端のモードフィールド径が拡大していること
を特徴する光フィルタモジュール。 - 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光フィルタモジュールにおいて、
前記第1の光伝送素子と前記光フィルタとの間、及び前記第2の光伝送素子と前記光フィルタとの間にさらにレンズを有していること
を特徴する光フィルタモジュール。
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