JP2004264483A - トナー - Google Patents

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JP2004264483A
JP2004264483A JP2003053760A JP2003053760A JP2004264483A JP 2004264483 A JP2004264483 A JP 2004264483A JP 2003053760 A JP2003053760 A JP 2003053760A JP 2003053760 A JP2003053760 A JP 2003053760A JP 2004264483 A JP2004264483 A JP 2004264483A
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Rie Miyazaki
宮崎理絵
Takuya Kadota
門田拓也
▲高▼野秀裕
Hidehiro Takano
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Abstract

【課題】定着特性におけるトナーの高温オフセットをより一層効果的に抑制しつつ、記録媒体の定着部材への巻付きをより確実に防止できるトナーを提供する。
【解決手段】用紙Pが加熱ローラ10と加圧ローラ20の間を通過するとき、加熱ローラ10が用紙P上の未定着のトナーT面に接触して加熱することで、この未定着のトナーTが定着される。このとき、加熱ローラ10と加圧ローラ20のニップ部Nのニップ形状が加熱ローラ10側に凸となる形状とされている。また、トナーの動的緩和弾性率における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比である損失正接tanδが、温度120℃において1.7以上で5.0以下に設定されている。これにより、高温オフセットを防止しつつ、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きが防止される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電画像を加熱定着により定着するために使用するトナーの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法として、感光体上に静電荷像を形成し、次いで該静電荷像を現像ローラ上に担持したトナーを用いて現像し、感光体上に現像されたトナー画像を、直接、または中間転写体を介して紙等の記録媒体上に転写し、更に、記録媒体上のトナー画像を加熱ローラー等の定着部材により紙等の記録媒体に圧着加熱して定着する方法が知られている。
【0003】
ところで、このような加熱定着を行う定着器に用いられるトナーとしては、高品質の定着画像を得るために、加熱定着後に定着器の出口で記録媒体が定着部材から確実に剥離して、記録媒体が定着部材へ巻き付かないこと、加熱ローラに溶融トナーが付着する、いわゆる高温オフセット現象を生じないこと等の優れた定着特性が要求される。
【0004】
加熱ローラを使用した定着にあっては、トナーの定着性、耐オフセット性を制御する要因として、トナーの結着樹脂の動的粘弾性特性における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″が影響することは良く知られている。貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″は、一般的な粘弾性を有する物質の振動実験において複素弾性率で定義される粘弾性特性であり、複素弾性率の実数部分を貯蔵弾性率G′、虚数部分を損失弾性率G″といい、具体的には貯蔵弾性率G′はトナーの弾性の度合を示す指標とされ、また、損失弾性率G″は粘性の度合を示す指標とされている。
【0005】
また、一般に、ポリマーからなる結着樹脂を含有するトナーは、一定歪みを与えた場合、発生する応力が指数的に減衰する応力緩和挙動を示す。そこで、定着ローラへのトナーのオフセットや紙等の記録媒体上のトナーの定着強度等のトナー画像の定着性の改良や着色剤の分散性の改良を目的として、従来、これらのトナーの特性を定量的に確認するために、前述の動的粘弾性測定から求められるトナーの緩和弾性率および緩和時間が用いられている。
【0006】
このようなトナーの応力緩和挙動は、結着樹脂の粘弾性や樹脂内に分散された離型剤等の構造、大きさ、量等の影響を大きく受けるため、トナーの溶融状態を応力緩和挙動、つまり緩和弾性率G(t)および緩和時間を用いて表すことができる。そこで、トナー定着時のトナーの溶融状態を粘弾性特性である緩和弾性率G(t)および緩和時間を用いて表すことで、トナー画像の定着性および離型剤等の分散性やOHP透明性をそれぞれ改良することが提案されている。
【0007】
すなわち、この提案のトナーでは、トナーの結着樹脂が持つ動的粘弾性特性の測定より求めた緩和時間0.01secにおける初期緩和弾性率G(t=0.01)を所定の範囲に規定するとともに、定着時の加熱時間Dtを考慮してこの初期緩和弾性率G(t=0.01)と緩和時間0.1secにおける緩和弾性率G(t=0.1)との比G(r)[G(t=0.01)/G(t=0.1)]を所定の範囲に規定することで、定着シートの剥離性、定着像の付着性、定着像の折り曲げ耐性、トナー内の離型剤分散性、トナー内の着色剤分散性、OHP透明性等の定着特性に優れるものにすることが提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。
【0008】
一方、加熱定着を行う定着器における定着部材の定着ニップ部は種々異なるニップ形状がある。例えば、定着部材である加熱ローラと加圧ローラおよび加圧ベルトの定着ニップ部が加熱ヒータ側に凸のニップ形状を有している定着器が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】
特許第3241003号公報(段落番号[0020]、[0030]、[0031]、[0151])
【特許文献2】
特許第3322095号公報(段落番号[0022]ないし[0026]、図面[図1]、[図3])
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように種々異なるニップ形状は、定着器からの排紙時に記録媒体の排紙方向に影響を大きく与える。例えば、前述の特許文献2における定着器では、前述のように加熱ローラと加圧ベルトとの定着ニップ部は、加熱ヒータ側に凸のニップ形状であることから、記録媒体の排紙方向が加熱ヒータから強制的に剥離される方向となる傾向がある。そして、この傾向のため、加熱定着後に記録媒体上のトナーが強制的に剥離され、加熱ローラ側に付着したトナーと記録媒体側に付着したトナーとの泣き別れによるトナーの高温オフセットが生じやすくなる。
【0010】
しかしながら、前述の特許文献1に提案されているトナーでは、トナー定着時のトナーの溶融状態を、定着時の加熱時間Dtが考慮された緩和弾性率G(t)および一定緩和時間経過後の緩和弾性率G(t)の比G(r)を用いて表すことで、トナー画像の定着強度等の定着性を改良することが開示されているものの、特許文献2に開示のような定着器のニップ形状については何ら考慮されておらず、加熱定着後のトナーの泣き別れによる高温オフセットをより効果的に防止することは難しいという問題がある。
【0011】
また、特許文献2に開示の定着器のような定着ニップ部が加熱ヒータ側に凸のニップ形状を有する定着器では、記録媒体が加熱ローラから剥離する傾向にあるが、それでも、記録媒体の加熱ローラへの巻付きをより確実に防止することが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、定着特性におけるトナーの高温オフセットをより一層効果的に抑制しつつ、記録媒体の定着部材への巻付きをより確実に防止できるトナーを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のトナーは、主たる加熱手段と加圧手段とのニップ部で前記主たる加熱手段が記録媒体上の未定着トナー面に接触してこの未定着トナーを定着し、前記ニップ部のニップ形状が前記主たる加熱手段側に凸となるオイルレス定着器を備える画像形成装置に使用されるトナーにおいて、動的緩和弾性率における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比である損失正接tanδ(=G″/G′)が、温度120℃において1.7以上で5.0以下であることを特徴としている。
また、請求項2の発明は、離型剤の含有量が3wt%以下であることを特徴としている。
【0013】
【発明の作用および効果】
このように構成された本発明のトナーにおいては、オイルレス定着器の主たる加熱手段により記録媒体上の未定着トナーがトナー定着面側から加熱定着される。そして、オイルレス定着器の定着ニップ形状が主たる加熱手段側に凸となる形状であるため、記録媒体が定着ニップ出口から定着ニップ形状の凸形状に倣って排出されるようになる。このため、記録媒体上の定着トナーは主たる加熱手段から強制的に剥離されようとする。そして、定着ニップ出口から排出された記録媒体上の定着トナーの温度は低下するようになる。
【0014】
しかし、本発明のトナーは、動的緩和弾性率における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比である損失正接tanδが、温度120℃において1.7以上であることから、定着ニップ出口から移動して温度が低下したトナーの粘性を示す損失弾性率G″が貯蔵弾性率G′より大きくなる。このように損失弾性率G″が貯蔵弾性率G′より大きくなることで、定着ニップ内で溶融したトナーが定着ニップ出口後において主たる加熱手段から容易に剥離するようになる。
【0015】
ところが、定着ニップ出口後の温度が低下したトナーの損失弾性率G″が大き過ぎると粘性が強くなって軟らか過ぎるため、前述のように記録媒体上の定着トナーが主たる加熱手段から強制的に剥離されようとすることから、加熱手段と記録媒体との間でトナーの泣き別れが発生しやすくなる。また、定着ニップ出口後の温度が低下したトナーの貯蔵弾性率G′が小さ過ぎると、粘性を示す損失弾性率G″との差が大きくなり、粘性の支配が強くなり過ぎて、同様にトナーの泣き別れが発生しやすくなる。
そこで、定着ニップ出口後の温度が低下したトナーの弾性を示す貯蔵弾性率G′と粘性を示す損失弾性率G″のバランスが良くなるように、トナーの損失正接tanδを、温度120℃において1.7以上でかつ5.0以下に設定することで、定着ニップ出口後において記録媒体が加熱手段から剥離する際、トナーの泣き別れによる高温オフセットをより効果的に防止できる。
【0016】
このようにして、本発明のトナーによれば、定着ニップ形状を主たる加熱手段側に凸となる形状にすることと、120℃におけるトナーの損失正接tanδを1.7以上でかつ5.0以下に設定することを有機的に組み合わせることで、オイルレス定着器においてトナーの高温オフセットの生じない良好な定着特性を確保することができるようになる。
特に、本発明のトナーによれば、離型剤の含有量が3%以下に設定して、離型剤の使用量を低減し、あるいは離型剤を使用しなくても、トナーの高温オフセットを効果的に防止できるとともに、透明性の良好な画像を得ることができる。
【0017】
また、定着ニップ形状が主たる加熱手段側に凸となる形状であるため、記録媒体上の定着トナーは加熱手段から強制的に剥離されようとすることから、記録媒体の加熱手段への巻付きが抑制される傾向にはあるが、本発明のトナーの損失正接tanδを1.7以上でかつ5.0以下に設定することで、トナーの高温オフセットを防止しつつ、記録媒体の加熱手段への巻付きをより確実に防止できるようになる。
【0018】
上述したように、本発明のトナーは、加熱体と接触するにも係わらず、その弾性や粘性の増加により加熱体に付着(オフセット)することなく記録媒体に定着され、高温における耐オフセット性に優れるので、加熱手段の表面にはシリコンオイル等の離型剤塗布を不要とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明にかかるトナーが使用される定着器の一例を模式的に示し、(a)はその正面図、(b)は(a)におけるIB部分の部分拡大図である。
図1(a)に示す定着器は、本発明におけるオイルレス定着器として使用することができるものである。図中、10は加熱ローラ(加熱手段)、11は金属製のパイプ、12はパイプ11の外周面に設けられた伝熱性の弾性体、13はパイプ11の内部に挿通されたヒータ、14はパイプ11の内周面に接触する高熱伝導部材、20は加圧ローラ(加圧手段)、21は軸、22は軸21の回りに装着された加圧部材、Pは用紙(記録媒体)、Tは用紙P上のトナー画像のトナー、Nは各ローラ10,20が圧接する部位である定着ニップ部である。この例の定着器では加熱ローラ10が1つであり、したがってこの加熱ローラ10が本発明の主たる加熱手段に相当している。なお、ヒータ13および高熱伝導部材14からのパイプ11への伝熱構造は、特開2002−268430号公報に開示の加熱ローラと実質的に同じでこの公開公報を参照すれば容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【0020】
この定着器の各ローラ10,20は互いに圧接されている。その場合、図1(b)に拡大して示すように、加圧ローラ20の加圧部材22により加熱ローラ10の弾性体12が弾性的に凹んでいる。したがって、この定着器における定着ニップ部Nの形状は、加熱ローラ10および加圧ローラ20の両回転軸と直交する断面内において、主たる加熱手段である加熱ローラ10側に凸の形状{図1(a)および(b)においては、上側に突出する形状}となっている。なお、この凸形状を定義する断面は、加熱ローラおよび加圧ローラを用いない定着器の場合における断面は、この両回転軸と直交する断面と実質的に同等の断面である。
【0021】
この定着器においては、加熱ローラ10を反時計方向に回転させると、この加熱ローラ10の回転に従動して加圧ローラ20が時計方向に回転する。両ローラ10,20の回転状態で、図示しない転写手段でトナー画像が転写された用紙Pを加熱ローラ10と加圧ローラ20との定着ニップ部Nに矢印で示す方向(図において右方)に通過させつつ加熱ローラ10のヒータ13で加熱することで、用紙P上にトナー画像が定着される。このとき、高熱伝導ローラ14により、加熱ローラ10の軸線方向における温度分布の均一化が効率よく図られている。
【0022】
なお、図1(a)および(b)に示す定着器では、ヒータ13が用紙Pのトナー像側(定着面側)にのみ設けられて用紙Pをそのトナー像側から加熱しているが、本発明のトナーが使用される定着器は、ヒータ13に加えて、用紙Pのトナー像側(定着面側)と反対側(定着面の背面側)にもヒータを設けて用紙Pをその定着面の裏面側からも補助的に加熱するようにもできる。この場合には、加えて、用紙Pの定着面側に直接接触して加熱する加熱ローラ10が主たる加熱手段となる。
また、この例の定着器では定着部材として加熱ローラ10および加圧ローラ20の2つのローラを用いているが、ベルトとローラを有する定着器を用いることもできる。
【0023】
本発明のトナーは、定着領域における動的粘弾性特性を制御できる結着樹脂が用いられている。このトナーの結着樹脂は、動的粘弾性特性の動的緩和弾性率における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比である損失正接tanδが、温度120℃において1.7以上で5.0以下に設定され、好ましくは、1.9以上で4.5以下に設定されている。
【0024】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は高分子ポリマーからなるが、一般に、高分子ポリマーの性状はトナーの溶融状態において粘弾性特性を有する。図2に示すように、この粘弾性特性の1つである緩和弾性率G(t)[Pa]は、後述する応力緩和測定において、ある歪みを与えたとき、トナーの応力が時間t[sec]とともに緩和されていくことから、この緩和時間t[sec]とともに小さくなっていく特性を呈する。
【0025】
以下に、このような粘弾性特性を示すトナーにおける結着樹脂として、従来から知られているポリエステル樹脂を用いた結着樹脂を例として、本発明のトナーを説明する。
この例のトナーは、ポリエステル樹脂中に着色剤や荷電制御剤とを混練・微粉砕してトナー粒子とされている。そして、この結着樹脂は着色剤粒子等をトナー粒子中に保持し、定着に際しては定着ローラーでの熱と圧力で軟化し、紙等の転写材にトナー粒子を付着させる機能を有するが、低温定着を目的として、結着樹脂の分子量を低くし軟化温度を下げると、ガラス転移温度の低下や強度低下が生じ、着色剤の保持性や耐オフセット性、定着像強度、さらには保存性等が低下する。
【0026】
[トナーの構成材料]
本発明のトナーは、少なくとも、主成分としての樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう)を含む原料を用いて製造することができる。
以下、本発明のトナーの製造に用いられる原料の各成分について説明する。
【0027】
1.樹脂(バインダー樹脂)
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、主として、ポリエステル系樹脂で構成されたものである。樹脂中におけるポリエステル系樹脂の含有量は、50wt%以上であるのが好ましく、80wt%以上であるのがより好ましい。
一般に、ポリエステル系樹脂は、アルコール成分(2個以上の水酸基を有するものを含む)とカルボン酸成分(2価以上のカルボン酸またはその誘導体等を含む)とで構成されるものである。
【0028】
アルコール成分としては、2個以上の水酸基を有するものを用いることができ、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、またはポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類、またはソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上の多価アルコール類が挙げられる。
【0029】
特に、本発明では、主としてアルコール成分が、2個の水酸基を有する脂肪族ジオールで構成されたものであることを特徴とする。なお、アルコール成分が、3個以上の水酸基を有する脂肪族アルコールで構成されたものであってもよい。2個以上の水酸基を有する脂肪族アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
このように、本発明では、主としてアルコール成分が、脂肪族ジオールで構成されたものであるが、その50mol%以上が脂肪族ジオールで構成されたものであるのが好ましく、その80mol%以上が脂肪族ジオールで構成されたものであるのがより好ましい。
【0030】
カルボン酸成分としては、例えば、2価以上のカルボン酸またはその誘導体(例えば、酸無水物、低級アルキルエステル等)等を用いることができ、例えば、o−フタル酸(フタル酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエステル等)等が挙げられる。
【0031】
特に、本発明では、カルボン酸成分が、2価のジカルボン酸で構成されたものであるのが好ましい。
2価のジカルボン酸としては、例えば、o−フタル酸(フタル酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエステル等)等が挙げられる。
【0032】
また、本発明では、ポリエステル系樹脂として、以下で説明するようなブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとを含むものを用いるのが特に好ましい。以下、これらについて詳細に説明する。
【0033】
1−1.ブロックポリエステル
ブロックポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮合してなる結晶性ブロックと、前記結晶性ブロックより結晶性の低い非晶性ブロックとを有するブロック共重合体で構成されたものである。
【0034】
▲1▼結晶性ブロック
結晶性ブロックは、非晶性ブロックや非晶性ポリエステルに比べて、高い結晶性を有している。すなわち、分子配列構造が、非晶性ブロックや非晶性ポリエステルに比べて強固で安定したものである。このため、結晶性ブロックは、トナー全体としての強度を向上させるのに寄与する。その結果、最終的に得られるトナーは、機械的ストレスに強く、耐久性、保存性に優れたものとなる。
ところで、結晶性の高い樹脂は、一般に、結晶性の低い樹脂に比べて、いわゆるシャープメルト性を有している。すなわち、結晶性の高い樹脂は、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったとき、結晶性の低い樹脂に比べて、吸熱ピークがシャープな形状として現れる性質を有している。
【0035】
一方、結晶性ブロックは、上述したように、結晶性の高いものである。したがって、結晶性ブロックは、ブロックポリエステルにシャープメルト性を付与する機能を有する。このため、最終的に得られるトナーは、後述する非晶性ポリエステルが十分に軟化するような、比較的高い温度(ブロックポリエステルの融点付近の温度)においても、優れた形状の安定性を保持することができる。したがって、このようなブロックポリエステルを用いた場合には、幅広い温度領域で十分な定着性(定着強度)を発揮することができる。
また、このような結晶性ブロックを有することにより、トナー中に、高硬度で適度な大きさの結晶を析出させることができる。このような結晶が存在すると、トナーの形状の安定性が特に優れたものとなり、機械的ストレスに対し、特に優れた安定性を示すものとなる。また、このような結晶がトナー中に存在すると、後述するような外添剤が、トナー粒子(母粒子)の表面付近に、より確実に保持されることとなり(外添剤が母粒子中に埋没するのを効果的に防止することができ)、外添剤が有する機能(例えば、優れた流動性、帯電性の付与等の効果)を十分に発揮させることができる。
【0036】
以下、結晶性ブロックを構成する成分について説明する。
結晶性ブロックを構成するアルコール成分としては、2個以上の水酸基を有するものを用いることができ、中でも水酸基を2個有するジオール成分であるのが好ましい。このような水酸基を2個有するジオール成分としては、例えば、芳香環構造を有する芳香族ジオールや、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられ、芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールAや、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等)等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
【0037】
このように、結晶性ブロックを構成するジオール成分は、特に限定されないが、少なくともその一部が脂肪族ジオールであるのが好ましく、その80mol%以上が脂肪族ジオールであるのがより好ましく、その90mol%以上が脂肪族ジオールであるのがさらに好ましい。これにより、ブロックポリエステル(結晶性ブロック)の結晶性を特に高いものとすることができ、上述した効果がさらに顕著なものとなる。
【0038】
また、結晶性ブロックを構成するジオール成分は、炭素数が3〜7の直鎖状の分子構造を有し、その両端に水酸基を有するもの(一般式:HO−(CH−OHで表されるジオール(ただし、n=3〜7))を含むのが好ましい。このようなジオール成分が含まれることにより、結晶性が向上し、摩擦係数が低下するため、機械的ストレスに強く、耐久性や保存性に特に優れたものとなる。このようなジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられるが、この中でも1,4−ブタンジオールが好ましい。1,4−ブタンジオールを含むことにより、前述した効果は特に顕著なものとなる。
【0039】
結晶性ブロックを構成するジオール成分として1,4−ブタンジオールを含む場合、結晶性ブロックを構成するジオールの50mol%以上が1,4−ブタンジオールであるのがより好ましく、その80mol%以上が1,4−ブタンジオールであるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0040】
結晶性ブロックを構成するカルボン酸成分としては、2価以上のカルボン酸またはその誘導体(例えば、酸無水物、低級アルキルエステル等)等を用いることができるが、2価のジカルボン酸またはその誘導体等を用いるのが好ましい。このような2価のジカルボン酸成分としては、例えば、o−フタル酸(フタル酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエステル等)等が挙げられる。
【0041】
このように、結晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分は、特に限定されないが、少なくともその一部がテレフタル酸骨格を有するものであるのが好ましく、その50mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがより好ましく、その80mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがさらに好ましい。これにより、最終的に得られるトナーは、トナーとして求められる各種特性のバランスが特に優れたものとなる。
【0042】
ブロックポリエステル中における結晶性ブロックの含有率は、特に限定されないが、5〜60mol%であるのが好ましく、10〜40mol%であるのがより好ましい。結晶性ブロックの含有率が前記下限値未満であると、ブロックポリエステルの含有量等によっては、上述したような結晶性ブロックを有することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、結晶性ブロックの含有率が前記上限値を超えると、相対的に非晶性ブロックの含有率が低下するため、ブロックポリエステルと、後述する非晶性ポリエステルとの相溶性が低下する可能性がある。
なお、結晶ブロックは、上記のようなアルコール成分、カルボン酸成分以外の成分を含むものであってもよい。
【0043】
上記のような結晶性ブロックを有するブロックポリエステルの平均分子量(重量平均分子量)Mwは、特に限定されないが、1×10〜3×10であるのが好ましく、1.2×10〜1.5×10であるのがより好ましい。平均分子量Mwが前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーの機械的強度が低下し、十分な耐久性(保存性)が得られない可能性がある。また、平均分子量Mwが小さすぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する傾向を示す。一方、平均分子量Mwが前記上限値を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の転写材(記録媒体)への濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
【0044】
ブロックポリエステルのガラス転移点Tは、特に限定されないが、50〜75℃であるのが好ましく、55〜70℃であるのがより好ましい。ガラス転移点が前記下限値未満であると、トナーの保存性(耐熱性)が低下し、使用環境等によっては、トナー粒子間での融着が発生する場合がある。一方、ガラス転移点が前記上限値を超えると、低温定着性や透明性が低下する。また、ガラス転移点が高すぎると、後述するような熱球形化処理の効果が十分に発揮されない可能性がある。なお、ガラス転移点は、JIS K 7121に準拠して測定することができる。
【0045】
ブロックポリエステルの軟化点T1/2は、特に限定されないが、90〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましい。軟化点が前記下限値未満であると、トナーとしての保存性が低下し、十分な耐久性が得られない可能性がある。また、軟化点が低すぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する傾向を示す。一方、軟化点が前記上限値を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の転写材(記録媒体)への濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。なお、軟化点T1/2は、例えば、フローテスタを用い、サンプル量:1g、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、荷重:20kgf、予熱時間:300秒、測定開始温度:50℃、昇温速度:5℃/分という条件で測定したときに得られる解析用フローチャートのh/2に相当するフロー曲線上の点の温度として求めることができる。
【0046】
ブロックポリエステルの融点T(後述する示差走査式熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値Tmp)は、特に限定されないが、190℃以上であるのが好ましく、190〜230℃であるのがより好ましい。融点が190℃未満であると、耐オフセット性の向上等の効果が十分に得られない可能性がある。また、融点が高すぎると、後述する混練工程等において、材料温度を比較的高い温度にしなければならなくなる。その結果、樹脂材料のエステル交換反応が進行しやすくなり、樹脂設計を最終的に得られるトナーに十分に反映させることが困難になる場合がある。なお、融点は、例えば、示差走査熱量分析(DSC)による吸熱ピークの測定により求めることができる。
【0047】
また、最終的に得られるトナーが、後述するような定着ローラを有する定着装置で用いられるものである場合、ブロックポリエステルの融点(後述する示差走査式熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値Tmp)をT(B)[℃]、定着ローラの表面の標準設定温度をTfix[℃]としたとき、Tfix≦T(B)≦(Tfix+100)の関係を満足するのが好ましく、(Tfix+10)≦T(B)≦(Tfix+70)の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、後述する定着装置の定着ローラへのトナーの付着を効果的に防止することができる。また、ブロックポリエステルは、前述したように適度な大きさの結晶を作りやすい性質を有しているため、記録媒体へのトナーの定着後にも、安定性、耐久性を維持することができる。特に、ブロックポリエステルを後述する非晶性ポリエステルと組み合わせて用いる場合、定着時に、後述する非晶性ポリエステルが十分に軟化することができる。このため、記録媒体へのトナーの定着性(定着強度)を十分に高めることができ、さらに、トナーの低温定着性も優れたものとなる。また、ブロックポリエステルは、高硬度な結晶を作りやすいものであるため、トナーは、定着後の安定性にも優れたものとなる。
【0048】
また、ブロックポリエステルの融点は、後述する非晶性ポリエステルの軟化点より高いのが好ましい。これにより、最終的に得られるトナーの形状の安定性が向上し、機械的ストレスに対し、特に優れた安定性を示すものとなる。また、ブロックポリエステルの融点が後述する非晶性ポリエステルの軟化点より高いと、例えば、後述する熱球形化処理において、ブロックポリエステルにより、トナー製造用粉末の形状の安定性をある程度確保しつつ、非晶性ポリエステルを十分に軟化させることができる。その結果、熱球形化処理を効率良く行うことができ、比較的容易に、最終的に得られるトナー(トナー粒子)の円形度を比較的高いものとすることができる。
【0049】
ところで、前述したように、ブロックポリエステルは、結晶性の高い結晶性ブロックを有しているため、比較的結晶性の低い樹脂材料(例えば、後述する非晶性ポリエステル等)に比べて、いわゆるシャープメルト性を有している。
結晶性を表す指標としては、例えば、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったときのピークの中心値をTmp[℃]、ショルダーピーク値をTms[℃]としたときに、ΔT=Tmp−Tmsで表されるΔT値等が挙げられる。このΔT値が小さいほど結晶性が高い。
【0050】
ブロックポリエステルのΔT値は、50℃以下であるのが好ましく、20℃以下であるのがより好ましい。Tmp[℃]、Tms[℃]の測定条件は特に限定されないが、例えば、試料となるブロックポリエステルを、昇温速度:10℃/分で200℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温して測定することができる。
【0051】
また、ブロックポリエステルは、後述する非晶性ポリエステルより結晶性が高い。したがって、非晶性ポリエステルのΔT値をΔT[℃]、ブロックポリエステルのΔT値をΔT[℃]としたとき、ΔT>ΔTの関係を満足する。特に、本発明では、ΔT−ΔT>10の関係を満足するのが好ましく、ΔT−ΔT>30の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、上述した効果はより顕著なものとなる。ただし、非晶性ポリエステルの結晶性が特に低い場合、TmpまたはTmsの少なくとも一方が測定困難(判別困難)であることがある。このような場合、ΔTは∞[℃]とする。
【0052】
ブロックポリエステルは示差走査熱量分析による融点の吸熱ピークの測定を行ったときに求められる融解熱Eが5mJ/mg以上であるのが好ましく、15mJ/mg以上であるのがより好ましい。融解熱Eが5mJ/mg未満であると、結晶性ブロックを有することによる前述したような効果が十分に発揮されない可能性がある。ただし、融解熱としては、ガラス転移点の吸熱ピークの熱量は含まないものとする。融点の吸熱ピークの測定条件は特に限定されないが、例えば、試料となるブロックポリエステルを、昇温速度:10℃/分で200℃まで昇温し、さらに、降温速度:10℃/分で降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温したときに測定される値を融解熱として求めることことができる。
【0053】
また、ブロックポリエステルは、リニア型ポリマー(架橋構造を有さないポリマー)であるのが好ましい。リニア型ポリマーは、架橋型のものに比べて、摩擦係数が小さい。これにより、特に優れた離型性が得られ、トナーの転写効率がさらに向上する。
なお、ブロックポリエステルは、前述した結晶性ブロック、非晶性ブロック以外のブロックを有するものであってもよい。
【0054】
1−2.非晶性ポリエステル
非晶性ポリエステルは、前述したブロックポリエステルより低い結晶性を有するものである。
非晶性ポリエステルは、主として、トナーを構成する各成分(例えば、後述するような着色剤、ワックス、帯電防止剤等)の分散性や、トナー製造時における混練物の粉砕性、トナーの定着性(特に、低温定着性)、透明性、機械的特性(例えば、弾性、機械的強度等)、帯電性、耐湿性等の機能を向上させるのに寄与する成分である。言い換えると、以下で詳述するような非晶性ポリエステルがトナー中に含まれないと、前記のようなトナーとして求められる特性を十分に発揮するのが困難となる場合がある。
【0055】
以下、非晶性ポリエステルを構成する成分について説明する。
非晶性ポリエステルを構成するアルコール成分としては、2個以上の水酸基を有するものを用いることができ、中でも水酸基を2個有するジオールであるのが好ましい。このような水酸基を2個有するジオール成分としては、例えば、芳香環構造を有する芳香族ジオールや、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
【0056】
非晶性ポリエステルを構成するカルボン酸成分としては、2価以上のカルボン酸またはその誘導体(例えば、酸無水物、低級アルキルエステル等)等を用いることができるが、2価のジカルボン酸またはその誘導体等を用いるのが好ましい。このような2価のジカルボン酸成分としては、例えば、o−フタル酸(フタル酸)、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの誘導体(例えば、無水物、低級アルキルエステル等)等が挙げられる。
【0057】
このように、非晶性ポリエステルを構成するジカルボン酸成分は、特に限定されないが、少なくともその一部がテレフタル酸骨格を有するものであるのが好ましく、その80mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがより好ましく、その90mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがさらに好ましい。これにより、最終的に得られるトナーは、トナーとして求められる各種特性のバランスが特に優れたものとなる。
【0058】
また、非晶性ポリエステルを構成するモノマー成分は、その50mol%以上(より好ましくは、80mol%以上)が、前述した非晶性ブロックを構成するモノマー成分と同一であるのが好ましい。すなわち、非晶性ポリエステルは、非晶性ブロックと同様のモノマー成分で構成されたものであるのが好ましい。これにより、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとの相溶性が、特に優れたものとなる。ただし、ここでの「モノマー成分」は、ブロックポリエステル、非晶性ポリエステルの製造に用いるモノマーを指すものではなく、ブロックポリエステル、非晶性ポリエステル中に含まれるモノマー成分のことを指す。
なお、非晶性ポリエステルは、上記のようなジオール成分、ジカルボン酸成分以外の成分を含むものであってもよい。
【0059】
非晶性ポリエステルの平均分子量(重量平均分子量)Mwは、特に限定されないが、5×10〜4×10であるのが好ましく、8×10〜2.5×10であるのがより好ましい。平均分子量Mwが前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーの機械的強度が低下し、十分な耐久性(保存性)が得られない可能性がある。また、平均分子量Mwが小さすぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する傾向を示す。一方、平均分子量Mwが前記上限値を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の転写材(記録媒体)への濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
非晶性ポリエステルのガラス転移点Tは、特に限定されないが、50〜75℃であるのが好ましく、55〜70℃であるのがより好ましい。ガラス転移点が前記下限値未満であると、トナーの保存性(耐熱性)が低下し、使用環境等によっては、トナー粒子間での融着が発生する場合がある。一方、ガラス転移点が前記上限値を超えると、低温定着性や透明性が低下する。また、ガラス転移点が高すぎると、後述するような熱球形化処理の効果が十分に発揮されない可能性がある。なお、ガラス転移点は、JIS K 7121に準拠して測定することができる。
【0060】
非晶性ポリエステルの軟化点T1/2は、特に限定されないが、90〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜130℃であるのがさらに好ましい。軟化点が前記下限値未満であると、トナーとしての保存性が低下し、十分な耐久性が得られない可能性がある。また、軟化点が低すぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する傾向を示す。一方、軟化点が前記上限値を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の転写材(記録媒体)への濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
【0061】
また、非晶性ポリエステルの軟化点をT1/2(A)[℃]、前述したブロックポリエステルの融点をT(B)としたとき、T(B)>(T1/2(A)+60)の関係を満足するのが好ましく、(T1/2(A)+60)<T(B)<(T1/2(A)+150)の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、例えば、比較的高い温度において、ブロックポリエステルがトナー粒子の形状の安定性をある程度確保しつつ、非晶性ポリエステルが十分に軟化することができる。これにより、トナーの定着温度付近での、トナー粒子の粘度を比較的低いものとし、かつ、トナーの応力緩和時間を長くすることができる。その結果、本発明のトナーを後述するような定着装置で用いた場合における定着性を、特に優れたものにすることができる。また、上記のような関係を満足することにより、例えば、後述する熱球形化処理をより効率良く行うことができ、得られるトナー(粒子)の円形度をさらに向上させることができる。また、上記のような関係を満足することにより、トナーはより幅広い温度領域において、優れた定着性を発揮することができる。
【0062】
なお、軟化点T1/2は、例えば、フローテスタを用い、サンプル量:1g、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、荷重:20kgf、予熱時間:300秒、測定開始温度:50℃、昇温速度:5℃/分という条件で測定したときに得られる、解析用フローチャートのh/2に相当するフロー曲線上の点の温度として求めることができる。
【0063】
また、非晶性ポリエステルは、リニア型ポリマー(架橋構造を有さないポリマー)であるのが好ましい。リニア型ポリマーは、架橋型のものに比べて、摩擦係数が小さい。これにより、特に優れた離型性が得られ、トナーの転写効率がさらに向上する。
【0064】
以上説明したように、ブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとを併用した場合、前述したような、ブロックポリエステルが有する特長と、非晶性ポリエステルが有する特長とを両立することができる。これにより、最終的に得られるトナーは、機械的ストレスに強く(十分な物理的安定性を有し)、かつ、幅広い温度領域で十分な定着性(定着強度)を発揮することが可能なものとなる。
【0065】
ブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとの配合比は、重量比で5:95〜45:55であるのが好ましく、10:90〜30:70であるのがより好まし。ブロックポリエステルの配合比が低くなりすぎると、前述したような相乗効果が十分に発揮されず、トナーの耐オフセット性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。一方、非晶性ポリエステルの配合比が低くなりすぎると、前述したような相乗効果が十分に発揮されず、十分な低温定着性や透明性が得られない可能性がある。また、非晶性ポリエステルの配合比が低くなりすぎると、例えば、トナーの製造方法の粉砕工程において、効率良く、均一な大きさに粉砕するのが困難となる場合がある。
【0066】
また、樹脂(バインダー樹脂)は、前述したポリエステル系樹脂以外の成分を含むものであってもよい。
ポリエステル系樹脂以外の樹脂成分(第3の樹脂成分)としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
原料中における樹脂の含有量は、特に限定されないが、50〜98wt%であるのが好ましく、85〜97wt%であるのがより好ましい。樹脂の含有量が前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーにおいて、樹脂が有する機能(例えば、幅広い温度領域での良好な定着性等)が十分に発揮されない可能性がある。一方、樹脂の含有量が前記上限値を超えると、着色剤等の樹脂以外の成分の含有量が相対的に低下し、発色等のトナーの特性を十分に発揮するのが困難となる。
【0068】
着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールエローS、ハンザイエローG、パーマネントエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.45432)、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド、C.I.ベーシックレッド、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組合せて用いることができる。
【0069】
本発明のトナーは、フロー軟化点(Tm)が95℃〜155℃、好ましくは100℃〜145℃、さらに好ましくは110℃〜135℃の範囲にある。フロー軟化点(Tm)が95℃より低いと耐フィルミング性に劣るものとなり、また、155℃より高いと低温定着性に劣るものとなる。
また、ガラス転移温度(Tg)は40℃〜70℃、好ましくは45℃〜67℃、さらに好ましくは50℃〜60℃の範囲にある。ガラス転移温度(Tg)が40℃より低いと保存性に劣るものとなり、また、70℃より高いとそれにともなってTmが上昇し、低温定着性に劣るものとなる。
【0070】
本発明における結着樹脂は、分子間結合力が大きく、高結晶性ポリマーであるため、分子量を低下させTmを下げる分子設計をした時のTgの低下幅を小さくすることができ、低Tmと高Tgを両立させることができ、また、50%流出点における溶融粘度が2×10 〜3×10 Pa・sとでき、オイルレス定着用トナーとして適したものとできる。
【0071】
このように構成された本発明のトナーにおいては、このトナーによるトナー画像を、例えば前述の図1(a)および(b)に示す定着器を用いて定着する場合、主たる加熱手段である加熱ローラ10により用紙P上のトナー画像の未定着のトナーTが加熱定着される。そして、定着ニップ部Nのニップ形状が加熱ローラ10側に凸となる形状であるため、用紙Pが定着ニップ部Nの出口からこのニップ部Nの凸形状に倣って排出されるようになる。このため、用紙P上の定着トナーT′は加熱ローラ10から強制的に剥離されようとする。そして、定着ニップ出口から排出された用紙P上の定着トナーT′の温度は低下する。
【0072】
このとき、本発明のトナーは、動的緩和弾性率における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比である損失正接tanδが、温度120℃において1.7以上であることから、定着ニップ出口から移動して温度が低下したトナーの粘性の度合いを示す損失弾性率G″が貯蔵弾性率G′より大きくなる。このように損失弾性率G″が貯蔵弾性率G′より大きくなることで、定着ニップ内で溶融したトナーを定着ニップ出口後において主たる加熱ローラ10から容易に剥離することができるようになる。
【0073】
ところが、定着ニップ出口後の温度が低下したトナーT′の損失弾性率G″が大き過ぎると粘性が強くなって軟らか過ぎるため、用紙P上の定着トナーT′が加熱ローラ10から強制的に剥離されようとすることから、加熱ローラ10と用紙Pとの間でトナーTの泣き別れが発生しやすくなる。また、定着ニップ出口後の温度が低下したトナーT′の貯蔵弾性率G′が小さ過ぎると、粘性の度合いを示す損失弾性率G″との差が大きくなり、粘性の支配が強くなり過ぎて、同様にトナーの泣き別れが発生しやすくなる。
そこで、定着ニップ出口後の温度が低下したトナーT′の弾性を示す貯蔵弾性率G′と粘性を示す損失弾性率G″のバランスが良くなるように、トナーTの損失正接tanδを、温度120℃において1.7以上でかつ5.0以下に設定することで、定着ニップ出口後において用紙Pが加熱ローラ10から剥離する際、トナーT′の泣き別れによる高温オフセットをより効果的に防止できる。
【0074】
このようにして、本発明のトナーによれば、定着ニップ形状を主たる加熱ローラ10側に凸となる形状にすることと、120℃におけるトナーTの損失正接tanδを1.7以上でかつ5.0以下に設定することを有機的に組み合わせることで、オイルレス定着器においてトナーTの高温オフセットの生じない良好な定着特性を確保することができるようになる。
【0075】
また、定着ニップ形状が主たる加熱手段側に凸となる形状であるため、用紙P上の定着トナーTが加熱ローラ10から強制的に剥離されようとすることから、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きが抑制される傾向にはあるが、トナーTの損失正接tanδを1.7以上でかつ5.0以下に設定することで、トナーTの高温オフセットを防止しつつ、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きをより確実に防止できるようになる。
【0076】
更に、トナーは、加熱ローラ10と接触しているにも係わらず、その弾性や粘性の増加により加熱ローラ10に付着(オフセット)することなく用紙Pに定着され、高温における耐オフセット性に優れるので、加熱ローラ10の表面にはシリコンオイル等の離型剤塗布を不要とすることができる。
【0077】
更に、本発明のトナーは、荷電制御剤(CCA)、必要に応じて離型剤、分散剤、磁性粒子等を含有してもよく、また、樹脂を形成した後適宜混練により配合してもよい。
荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の荷電を与え得るものであれば、特に限定されず有機あるいは無機の各種のものを用いることができる。
【0078】
正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンベースEX{オリエント化学工業(株)製}、第4級アンモニウム塩P−51{オリエント化学工業(株)製}、ニグロシン ボントロンN−01{オリエント化学工業(株)製}、スーダンチーフシュバルツBB(ソルベントブラック3: Color Index 26150)、フェットシュバルツHBN(C.I. NO.26150)、ブリリアントスピリッツシュバルツTN(ファルベン・ファブリッケン・バイヤ社製)、ザボンシュバルツX(ファルベルケ・ヘキスト社製)、さらにアルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料などが挙げられる。中でも第4級アンモニウム塩P−51が好ましい。
【0079】
また、負荷電制御剤としては、例えば、オイルブラック(Color Index 26150)、オイルブラックBY{オリエント化学工業(株)製}、ボントロンS−22{オリエント化学工業(株)製}、サリチル酸金属錯体E−81{オリエント化学工業(株)製}、チオインジゴ系顔料、銅フタロシアニンのスルホニルアミン誘導体、スピロンブラックTRH{保土谷化学工業(株)製}、ボントロンS−34{オリエント化学工業(株)製}、ニグロシンSO[オリエント化学工業(株)製]、セレスシュバルツ(R)G(ファルベン・ファブリケン・バイヤ社製)、クロモーゲンシュバルツET00(C.I.NO.14645)、アゾオイルブラック(R)(ナショナル・アニリン社製)などが挙げられる。中でも、サリチル酸金属錯体E−81が好ましい。
これらの荷電制御剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができるが、結着樹脂に添加する荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
【0080】
また、本発明のトナーに用いられるウレタン結合やウレア結合を有する樹脂およびポリエステル樹脂はそれらの分子量範囲により熱溶融特性に優れ、また、定着温度領域での粘弾性特性により離型剤を不要とするが、添加する場合には、結着樹脂100重量部に対して3重量部(3wt%)以下であり、好ましくは、0〜2wt%ある。
このように、離型剤の含有量を3wt%以下に設定して、離型剤の使用量を低減しても、あるいは離型剤を使用しなくても、効果的にトナー高温オフセットおよび記録媒体の巻付きを効果的に防止できるとともに、透明性の良好な画像を得ることができる。
【0081】
離型剤としては、具体的にはパラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖〔CH(CH11またはCH(CH12以上の脂肪族炭素鎖〕を有する長鎖カルボン酸、そのエステル脂肪酸金属塩、脂肪酸アシド、脂肪酸ビスアシド等を例示し得る。異なる低軟化点化合物を混合して用いても良い。具体的には、パラフィンワックス(日本石油社製)、パラフィンワックス(日本精蝋社製)、マイクロワックス(日本石油社製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋社製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋社製)、PE−130(ヘキスト社製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学社製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学社製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学社製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。脂肪酸金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等がある。
【0082】
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、あるいは酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst wax PE520、Hoechst wax PE130、Hoechstwax PE190(ヘキスト社製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業社製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst wax PED121、Hoechst wax PED153、Hoechst wax PED521、Hoechst wax PED522、同Ceridust 3620、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同Ceridust 3715(ヘキスト社製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業社製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wachs PP230(ヘキスト社製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業社製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、ビスコールTS−200(三洋化成工業社製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスなどが例示される。これらの離型剤は、単独であるいは複数種組合せて使用することができる。必要に応じて添加される離型剤としては、セイコーインストルメント(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値である軟化点(融点)が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものを使用するとよい。
【0083】
本発明におけるトナー母粒子は、上記で得た組成物を、混練・溶融した後、微粉砕手段により粉砕・分級して得られるが、その流動性を向上させる為に、流動性向上剤を外添してもよい。
流動性向上剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末を用いることができる。例えばフツ素系樹脂粉末、すなわちフツ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末、アクリル樹脂系微粉末など;又は脂肪酸金属塩、すなわちステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛など;又は金属酸化物、すなわち酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛など;又は微粉末シリカ、すなわち湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、それらシリカにシランカツプリング剤、チタンカツプリング剤、シリコンオイルなどにより表面処理をほどこした処理シリカなどがあり、これらは1種或いは2種以上の混合物で用いられる。
【0084】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒユームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl + 2H + O → SiO + 4HCl
【0085】
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いる事によってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得る事も可能であり、それらも包含する。その粒径は平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内である事が望ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物の気相酸化法により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。日本アエロジル社製の「AEROSIL 130」、以下、同 200、同300、同 380、TT600、MOX170、MOX80、COK84等が挙げられ、また、CABOT Co.社製の「Ca−O−SiL M−5」、以下、同 MS−7、同 MS−75、同 HS−5、同 EH−5等が挙げられ、また、WACKER−CHEMIE GMBH社製の「Wacker HDK N 20V15」、以下、同 N20E、同 T30、同 T40、ダウコーニングCo.社の「D−C Fine Silica」、Fransill社の「Fransol」等が挙げられる。
【0086】
更には、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化方法としてはシリカ微粉体と反応、あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物などで化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の上記気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0087】
その様な有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチレンジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフエニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0088】
その処理シリカ微粉体の粒径としては0.003〜0.1μm、0.005〜0.05μmの範囲のものを使用することが好ましい。市販品としては、タラノツクス−500(タルコ社)、AEROSIL R−972(日本アエロジル社)などがある。
流動性向上剤の添加量としては、該樹脂粒子100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。0.01重量部未満では流動性向上に効果はなく、5重量部を超えるとカブリや文字のにじみ、機内飛散を助長する。
【0089】
本発明のトナーの製造方法は、バインダーポリマー(結着樹脂)の製造に際して上述したが、基本的には次の各工程よりなる。
(1)原料の均一混合工程
結着樹脂、荷電制御剤等の添加剤を所定量ヘンシェルミキサー20B(三井鉱山(株))に投入し、均一混合する。
(2)結着樹脂中への各添加剤の分散固定化工程
均一に混合した後、二軸混練押出機{池貝化成(株)製PCM−30}を使用して溶融混練し、結着樹脂中に各添加剤を分散固定化する。溶融混練手段としては、他に「TEM−37」{東芝機械(株)}、「KRCニーダー」{(株)栗本鉄工所}等の連続式混練機や加熱・加圧ニーダーのようなバッチ式混練機等が挙げられる。
【0090】
(3)粉砕工程
混練物を粗粉砕して粒度調整をした後、ジェット粉砕機「200AFG」{ホソカワミクロン(株)}または「IDS−2」(日本ニューマチック工業(株))を使用し、ジェットエアーによる衝突粉砕により、微粉砕し、平均粒子径1〜8μmのものとする。粉砕手段としては他に、機械式粉砕機ターボミル{川崎重工(株)}、スーパーローター{日清エンジニアリング(株)}等が挙げられる。
(4)分級工程
微粉を除去し、粒径分布のシャープ化を目的として、風力又はローター回転による粒度調整を風力分級装置「100ATP」{ホソカワミクロン(株)}又は「DSX−2」{日本ニューマチック工業(株)}又は「エルボージェット」{日鉄鉱業(株)}等を使用して行なう。
(5)外添処理工程
得られた着色樹脂粒子と流動化剤を、所定量ヘンシェルミキサー20B{三井鉱山(株)}に投入し均一混合し、トナーとする。
【0091】
このようにして得られるトナーとして、平均粒径は、3〜10μm、好ましくは5〜8μmとするとよく、これにより高精細化を可能とする。また、例えば熱風処理等により円形度を、0.93〜0.99、好ましくは0.94〜0.98のものとするとよく、これにより、流動性、クリーニング性に優れるものにできる。
【0092】
本発明のトナーの、軟化点(Tm)、ガラス転移点(Tg)、分子量、粒径,貯蔵弾性率G′、損失弾性率G″、緩和弾性率G(t)等のトナーの物性値の測定方法および定着時のトナーのオフセット良好域の評価方法はそれぞれ公知の方法が採用できるが、それらの一例を後述する実施例および比較例の説明において説明する。
【0093】
(本発明の実施例および比較例)
次に、本発明のトナーを実施例および比較例により、具体的に説明する。
まず、本発明のトナーの実施例および比較例の各トナーの物性値の測定および定着時のトナーのオフセット良好域の評価について説明する。
【0094】
(1)軟化点(Tm;融点)[℃]の測定
(株)島津製作所製「定荷重押出型細管式レオメータ フローテスタ CFD−500D」を用いて、下記条件にて測定する。
測定試料の調製 : 測定試料としてトナー約1gを圧縮成型し、フローテスタのシリンダの内径に合わせた円柱状試料とする。
測定条件 : 荷重 20kgf、ダイ穴 1mm、ダイ長さ 1mm
測定方法 : 1/2法
Tm : 結晶融解点(軟化点)に相当する吸熱が生じたピーク位置の温度とする。
【0095】
(2)ガラス転移点(Tg)[℃]の測定
トナー10mgをアルミニウム製セルにパッキングし、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」を用いて下記の条件で測定する。
測定温度 : 20℃(測定開始温度)〜200 ℃(測定終了温度))
昇温速度 : 10 ℃/min
Tg : 1回昇温させて前履歴を除去した後のDSC曲線から、ガラス転移点に相当する吸熱が生じた吸熱カーブのショルダー位置)の温度とする。
【0096】
(3)分子量および分子量分布の測定
試料調製 : トナー約10mgをTHF約10mLに溶解させる。THF不溶分をポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで除去し、GPC注入用試料とした。
装置 : HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム : TSKgel SuperHZM−M(東ソー株式会社製)
温度 : 40 ℃
溶離液 : テトラヒドロフラン(THF;関東化学社製)
流速 : 0.35 mL/min
検出器 : UV検出器(検出波長254 nm)
標準試料 : 標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
【0097】
(4)粒径(D50)の測定
本明細書では、粒径という場合「平均粒径D50」を意味する。
コールターマルチサイザーIII 型(コールター社製)を用い、100μmのアパチャーチューブで粒径別相対重量分布を測定することにより求める。また、シリカ粒子等の外添剤の粒径は、電子顕微鏡法による。
【0098】
(5)貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″の測定および損失正接tanδの算出
本発明のトナーの貯蔵弾性率Gおよび、損失弾性率G″は、図2(a)に示す下記の粘弾性測定装置を用い温度依存測定モードにより下記の条件で粘弾性測定を行うことで求める。
そして、本発明では、前述のように温度依存測定により120℃における貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を求める。また、求めた貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″を用いて、トナーの損失正接tanδ=G″/G′を算出した。
【0099】
粘弾性測定装置: 粘弾性測定装置は、アレス粘弾性測定システム (ARES粘弾性測定装置;レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)である。
測定温度 : 測定温度は、定着設定温度(加熱ローラの表面温度の制 御中心値)に対応して120℃〜200℃に設定した。
ジオメトリー : 上下2枚のパラレルプレート(φ25mm径)。
測定試料の調製: 測定試料は、圧縮成型したトナー約1gをパラレルプレートの下プレートに載せ、ヒーターにより測定温度に加熱し少し柔らかくなってきたところで、このトナーをパラレルプレートの上プレートで挟んで加圧する。図2(b)に示すようにパラレルプレートからはみ出したトナーはトリミングして取り除き、同図(a)に示すようにパラレルプレートの外周形状(つまり、パラレルプレートの直径)に合わせ、かつ試料の高さ(上下プレート間のギャップ)を1.0〜2.0mmに調製して円柱状試料とする。なお、図2(c)に示すように上下プレート全面にトナーが密着していない場合は不良(NG)として、測定試料とはしない。
歪み印加量 : パラレルプレートの下プレートのみを回転して歪を与える。このとき、測定温度を一定にし、歪み依存(Strain Sweep)モードで、測定試料に徐々に大きな歪み{周波数1[rad/sec](1rad/sec=(1/6.28)Hz、歪み0.1〜200%}を与える。そして、与えた歪みに対し動的粘弾性の貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″が線形領域における最大歪みを緩和弾性率測定時の測定歪みとする。そして、この最大歪みを測定温度範囲内の各所定温度について測定し、測定された最大歪みのうち最小値を設定し、その後自動測定モードに設定する。
測定モード : 温度依存測定モードで粘弾性測定を行う。
【0100】
(6)加熱ローラおよび加圧ローラの直径の測定
加熱ローラおよび加圧ローラの直径の測定は、ノギスにより測定した。
(7)ニップ幅の測定
定着器の温度を140℃に設定し、OHPシートを通過させている途中で定着器を停止させ、ニップで挟み込む。3分間放置後、OHPシートを取り出す。OHPシートについたニップ幅跡をノギスで正確に計り、定着器のニップ幅とした。
【0101】
(8)巻付きの評価方法
セイコーエプソン社製LP3000Cより定着部を外したもので、PPC用普通紙S(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)にベタ画像(トナー付着量0.4mg/cm)を作製する。これをローラ径を振った図1に示す定着器に所定の温度(180℃)と所定の定着ニップ通過時間(40msec)で通過させる。このとき、紙が定着器のローラに巻付くかあるいは巻付かないかを目視して、紙のローラへの巻付きを評価した。
【0102】
(9)定着時のオフセット良好域の評価
セイコーエプソン社製LP3000Cより定着部を外したもので、PPC用普通紙S(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)の先端から10mmの位置に2cm×2cmの四方領域にトナーを均一に付着させて未定着パッチ(トナー付着量0.4mg/cm)を作製した。これをローラ径を振った図1に示す定着器に所定の定着ニップ通過時間(40msec)で通過させる。
温度を温度領域120〜200℃で変化させて通紙し、パッチ定着器位置から定着ローラ円周分下の紙上に、目視により、低温または高温オフセット痕が生じていないと判断された温度領域をオフセット良好領域とした。
【0103】
(10)透明性(HAZE)の測定方法
セイコーエプソン社製LP3000Cより定着部を外したもので、OHPシート(XeroxFilm A4枠なし)に2cm×2cmの未定着パッチ(トナー付着量0.4mg/cm)を作製する。これをローラ径を振った図1に示す定着器に所定の温度(180℃)と所定の定着ニップ通過時間(40msec)で通過させる。定着後のパッチを濁度計(Model 1001DP 日本電色工業社製)で測定した。HAZEの数値が小さいほど透明性がよい。
【0104】
次に、本発明のトナーの実施例および比較例について説明する。実施例および比較例のトナーによる定着に使用した定着器は、前述の図1に示す定着器である。
〈トナー用樹脂の製造方法〉
まず、本発明のトナーの実施例および比較例に用いた樹脂の製造例について説明する。
〈トナー用樹脂の製造方法〉
まず、本発明のトナーの実施例および比較例に用いた樹脂の製造例について説明する。
【0105】
(樹脂1)
まず、ネオペンチルアルコール:40モル部、エチレングリコール:30モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:30モル部、テレフタル酸ジメチル:105モル部、無水フタル酸:15モル部の混合物を用意した。
2リットル4つ口フラスコに、環流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計および撹拌装置を常法に従い設置し、前記混合物1000gとエスエル化縮合触媒1gを仕込み、180℃で生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外し、真空ポンプに接続した。系内圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度200℃、撹拌回転数150rpmで撹拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物を樹脂1とした。この樹脂1の軟化点(Tm)は110℃、ガラス転移点(Tg)は62℃、重量平均分子量(Mw)は11,000であった。
【0106】
(樹脂2)
まず、樹脂1:90モル部、1,4−ブタンジオール:5モル部、テレフタル酸ジメチル:5モル部の混合物を用意した。
2リットル4つ口フラスコに、環流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計および撹拌装置を常法に従い設置し、前記混合物1000gとエスエル化縮合触媒1gを仕込み、200℃で生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応させた。蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外し、真空ポンプに接続した。系内圧力を5mmHg以下に減圧した状態で、温度220℃、撹拌回転数150rpmで撹拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物を樹脂2とした。この樹脂2の軟化点(Tm)は195℃、ガラス転移点(Tg)は64℃、重量平均分子量(Mw)21,000であった。
【0107】
〈トナーの製造方法〉
(実施例1)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、連続式2本ロール混練機{三井鉱山(株)社製}で混練した。この混練物を粉砕機{ホソカワミクロン(株)社製}で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、前述の樹脂1を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、2軸押出機{東芝機械(株)社製}で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機{ホソカワミクロン(株)社製}で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例1のトナーを得た。
この実施例1のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は30mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は35mmである。また、このときの定着ニップ幅は8.4mmである。
【0108】
(実施例2)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、前述の樹脂1を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を1重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例2のトナーを得た。
この実施例2のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は20mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は25mmである。また、このときの定着ニップ幅は6.4mmである。
【0109】
(実施例3)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、前述の樹脂1を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を2重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例3のトナーを得た。
この実施例3のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は30mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は35mmである。また、このときの定着ニップ幅は9.3mmである。
【0110】
(実施例4)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を10重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの60重量部に、前述の樹脂1を46重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を1重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例4のトナーを得た。
この実施例4のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は30mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は35mmである。また、このときの定着ニップ幅は7.5mmである。
【0111】
(実施例5)
前述の樹脂2の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を10重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの60重量部に、前述の樹脂1を46重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を2重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、実施例5のトナーを得た。
この実施例5のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は40mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は45mmである。また、このときの定着ニップ幅は11.6mmである。
【0112】
(比較例1)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を1重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例1のトナーを得た。
この比較例1のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は30mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は35mmである。また、このときの定着ニップ幅は8.4mmである。
【0113】
(比較例2)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を2重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例2のトナーを得た。
この比較例2のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は25mmであり、加圧ローラ(PR)の直径も25mmである。また、このときの定着ニップ幅は7.1mmである。
【0114】
(比較例3)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの40重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を68重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を3重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例3のトナーを得た。
この比較例3のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は40mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は45mmである。また、このときの定着ニップ幅は8.8mmである。
【0115】
(比較例4)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を10重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの60重量部に、線状ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を46重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を5重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例4のトナーを得た。
この比較例4のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は30mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は35mmである。また、このときの定着ニップ幅は10.7mmである。
【0116】
(比較例5)
架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)の100重量部に、着色剤として顔料 TonerMagenta6B(クラリアント社製)を20重量部加えてヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の連続式2本ロール混練機で混練した。この混練物を前述の粉砕機で直径2mm程度に粗粉砕しマスターバッチとした。
得られたマスターバッチの30重量部に、架橋ポリエステル樹脂(三洋化成工業株式会社製)を76重量部、CCAとして Bontron E−81(オリヱント化学工業社製)を1重量部、および離型剤としてカルナウバワックス(日本ワックス社製)を8重量部それぞれ添加し、ヘンシェルミキサーで十分に混合した後、前述の2軸押出機で溶融混練し、常温(25℃)に冷却後、前述の粉砕・分級機で粉砕・分級し、重量D50が8μmの母粒子を作製した。この母粒子の100重量部に対して、シリカ RX200(日本アエロジル社製)を1.0重量部添加して、ヘンシェルミキサーで混合し、比較例5のトナーを得た。
この比較例5のトナーによる定着に使用した定着器の加熱ローラ(HR)の直径は40mmであり、加圧ローラ(PR)の直径は45mmである。また、このときの定着ニップ幅は11.6mmである。
【0117】
これらの実施例1ないし5および比較例1ないし5の各トナーについて、ワックス含有量[wt%]を算出するとともに、貯蔵弾性率G′および損失弾性率G″前述の方法で測定し、かつ測定したG′およびG″から損失正接tanδ=G″/G′を算出した。また、実施例および比較例の各トナーを用いて前述の定着器により定着実験を行った。この定着実験でのニップ幅[mm]を測定するとともに、オフセット良好域における温度[℃]領域および透明性(HAZE)を前述の方法で測定し、更に、紙の巻付きを前述の方法で観察した。それらの結果を、実施例1ないし5の各トナーについては表1に、また、比較例1ないし5の各トナーについては表2に示す。
【0118】
【表1】
Figure 2004264483
【0119】
【表2】
Figure 2004264483
【0120】
表1から明らかなように、実施例1ないし5の各トナーは、いずれも、損失正接tanδが、120℃において1.7以上でかつ5.0以下である。
そして、これらの実施例1ないし5の各トナーは、いずれも、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きがないことが認められた。また、実施例1ないし5の各トナーは、いずれも低温および高温オフセット痕が生じないオフセット良好域の温度領域の幅が60℃以上であり、比較的幅の広い温度領域を有することが認められた。更に、実施例1ないし5の各トナーは、いずれもHAZE値が12.4以下であり、良好な透明性を得られることが認められた。
【0121】
これに対して、表2から明らかなように、比較例1のトナーは、損失正接tanδが、120℃において1.7より小さい。そして、比較例1のトナーは、HAZE値が8.8であり、良好な透明性を得られることが認められた。
しかし、比較例1のトナーは、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きが生じることが認められた。また、比較例1のトナーは、オフセット良好域の温度領域の幅が20℃であり、比較的幅の狭い温度領域を有することが認められた。
【0122】
また、比較例2および5の各トナーは、損失正接tanδが、120℃において5より大きい。そして、比較例2および5の各トナーは、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きが生じることが認められた。また、比較例2および5の各トナーは、オフセット良好域の温度領域の幅が25℃以下であり、比較的幅の狭い温度領域を有することが認められた。更に、比較例2および5の各トナーは、HAZE値が13以上であり、透明性が良好でないことが認められた。
【0123】
また、比較例3および4の各トナーは、損失正接tanδが、120℃において1,7以上で5以下である。そして、オフセット良好域の温度領域の幅が65℃以上であり、比較的幅の広い温度領域を有することが認められた。また、比較例3および4の各トナーは、用紙Pの加熱ローラ10への巻付きが生じないとが認められた。
しかし、比較例3および4の各トナーは、HAZE値が25以上であり、透明性が良好でないことが認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトナーが使用される定着器の一例を模式的に示し、(a)はその正面図、(b)は(a)におけるIB部分の部分拡大図である。
【図2】トナーの粘弾性測定装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10…加熱ローラ、11…金属製のパイプ、12…弾性体、13…ヒータ、20…加圧ローラ、22…加圧部材、P…用紙(記録媒体)、T…トナーまたは未定着トナー、T′…定着トナー、N…定着ニップ部

Claims (2)

  1. 主たる加熱手段と加圧手段とのニップ部で前記主たる加熱手段が記録媒体上の未定着トナー面に接触してこの未定着トナーを定着し、前記ニップ部のニップ形状が前記主たる加熱手段側に凸となるオイルレス定着器を備える画像形成装置に使用されるトナーにおいて、
    動的緩和弾性率における貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″との比である損失正接tanδ(=G″/G′)が、温度120℃において1.7以上で5.0以下であることを特徴とするトナー。
  2. 離型剤の含有量が3wt%以下であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
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