JP2004264169A - 原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】炉心流量変化のみにより広い範囲に亘り反応度を制御し得ると共に、構造が簡素で原子炉容器の圧力バウンダリーとの接続配管が不要な原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備を提供する。
【解決手段】密度や材質、サイズ及び個数の異なる中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内で炉心流量の変化により浮上、落下させたり、炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置して純水を格納排出せしめたり、原子炉容器の頂部に冷却用ダクトを設けてプール水またはタンク水を導くようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】密度や材質、サイズ及び個数の異なる中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内で炉心流量の変化により浮上、落下させたり、炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置して純水を格納排出せしめたり、原子炉容器の頂部に冷却用ダクトを設けてプール水またはタンク水を導くようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に一体型小型炉に適用して最適な、原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加圧水型の原子炉においては、炉心の反応度制御や崩壊熱除去が行われている。
【0003】
図7は、従来の原子炉における制御棒部分の部分破断図である。
【0004】
図中101は制御棒を示し、ステンレス鋼管内に中性子吸収材102を内蔵させて構成されている。103は複数本の上記制御棒101を束ねて保持するスパイダで、このスパイダ103により制御棒101を図示のように保持して制御棒クラスタが構成されている。
【0005】
ところで、一般に、加圧水型の原子炉の炉心の反応度制御は、図7に示すような中性子吸収材102を内蔵する制御棒101を複数本束ねた制御棒クラスタを、制御棒駆動装置(図示せず)により炉心内で上下方向に移動することにより行うか、あるいは化学体積制御設備(図示せず)により、原子炉の冷却材の一部を原子炉容器外に取り出し、冷却材の中性子吸収材(ボロン)の濃度を変化させたり、あるいはボロン水を原子炉容器内に注入することにより行われている。
【0006】
また、原子炉停止時の崩壊熱は、崩壊熱除去設備(図示せず)を用いて原子炉の冷却材の一部を原子炉容器外に取り出すことにより、熱交換器を通して崩壊熱を除去するようにしている。
【0007】
また、原子炉の運転停止における炉心の反応度制御においては、中性子吸収球体を中性子吸収要素として使用し、冷却材の流れが所定値より高いときには冷却材の流れにより中性子吸収要素を炉心の上部に流動床状として浮遊させ、冷却材の流れが所定値よりも減少したときは、炉心内へ中性子吸収要素を降下させて、原子炉の運転を停止させるようにしたものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、炉心と径方向ブランケットとの間に反射体案内管を設け、可動型反射体をその反射体案内管の内部を軸方向に移動できるようにし、反射体が無い部分の反射体案内管の内部は冷却材で満たし、反射体駆動装置を用いて可動反射体を炉心に挿入したり、あるいは炉心から引抜いたりして炉心反応度を制御するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
また、原子炉圧力容器の上蓋の表面を覆う保温材の部分に貫通穴を明けておくとともに、貫通穴を経由して冷却空気を送り込んで、上蓋と保温材との間隙に空気流を発生させて上蓋の表面を強制冷却し、原子炉圧力容器の上蓋を速やかに効果的に冷却して、原子炉停止後の待機時間を短くするとともに、冷却機器の着脱作業性を向上させて準備作業の簡略化を図るようにしたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開昭56−162087号公報(特許請求の範囲1,2、Fig1〜3)
【特許文献2】
特開昭63−61184号公報(第3頁右上下欄、第1図a,b)
【特許文献3】
特開平8−248173号公報(要約、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
近年、安全性の向上、コスト低減を目的とし、原子炉容器内に蒸気発生器又は冷却ポンプを内蔵した一体型小型炉が検討されている。この原子炉概念では、原子炉の冷却材の喪失事故を避けるため、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管を極力排除する必要がある。このため、圧力バウンダリーに接続配管が必要とされる従来の化学体積制御設備を反応度制御に用いることはできない。
【0012】
この場合、不足分の反応度を図7に示すような制御棒クラスタで補おうとした場合、多数の制御棒と制御棒駆動装置が必要とされ、原子炉容器内への配置設計上、制御棒駆動装置のスペースの確保等による原子炉容器の肥大化が制約条件になり、またコストの上昇を招く。このため、一体型小型炉では構造が簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管が不要な反応度制御設備が求められている。
【0013】
なお、中性子吸収球体を中性子吸収要素として使用し、冷却材の流れにより単にその中性子吸収要素を浮遊又は降下させたON−OFF的な制御では段階的な制御ができず、可動反射体を反射体駆動装置により反射体案内管の内部を単に軸方向に移動させる従来の反応度制御においては、複雑な構造の駆動装置を要する。このため、より広い範囲に亘り反応度を制御し得、簡素な構造の反応度制御設備が求められている。
【0014】
また、従来の崩壊熱除去設備は、原子炉容器の圧力バウンダリーとの接続配管が必要であるが、一体型小型炉では圧力バウンダリーへの接続配管が不要な崩壊熱除去設備が求められている。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、炉心流量変化のみにより広い範囲に亘り反応度を制御し得ると共に、構造が簡素で原子炉容器の圧力バウンダリーとの接続配管が不要な、原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備を提供することを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では以下の(1),(2),(3)の手段を講じた。
【0017】
すなわち、手段(1)に係る原子炉の反応度制御設備は、密度あるいは材質の異なる中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材からなるサイズ及び個数の異なる球形の中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内に挿入し、それらを燃料集合体内に複数配置して、炉心流量の変化により、上記中性子吸収球または金属棒を案内管内の軸方向位置に浮上、落下させることにより炉心反応度を可変とした。
【0018】
従って、手段(1)においては、各案内管に挿入する中性子吸収球の中性子吸収材の密度や材質、吸収球のサイズ、及び吸収球の個数等を変化させること、及び各案内管の上下の流路孔の径や孔数、形状、配置等の組み合せにより異なる流路形状に変化させることにより、浮上、落下により炉心部に存在する中性子吸収球の数量を炉心流量によって変化させたり、中性子吸収材を内蔵する金属棒を炉心流量によって浮上、落下させたりすることにより、反応度を段階的に変化させ、これにより、炉心流量変化のみにより、広い範囲に亘り炉心反応度を制御することができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0019】
また、手段(2)に係る原子炉の反応度制御設備は、炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置し、通常時は上記制御容器内に純水を格納することにより中性子反射体として機能させ、異常時や燃料取替時にはその制御容器内に格納した純水を原子炉容器外に排出することにより負の反応度を添加するようにした。
【0020】
従って、手段(2)においては、通常運転時はこの制御容器内の炉心の高さ部分を純水で満たし、炉心から漏れてくる中性子を炉心側に反射させることにより炉心反応度を大きな値に保つ。一方、異常時には接続する配管の弁を開くことにより、制御容器内に格納した純水を減圧沸騰により原子炉容器外に排出して制御容器内を蒸気相とし、炉心から漏れてくる中性子を制御容器外側面を覆う中性子吸収材に吸収させることにより、炉心反応度を減少させて、動的機器なしに、異常時あるいは燃料取替時に負の反応度を与えることができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要で、手段(1)の反応度制御設備の後備系として利用することができる。
【0021】
また、手段(3)に係る原子炉の崩壊熱除去設備は、蒸気ドームを有する原子炉において、原子炉容器の頂部にカバーによって構成される冷却用ダクトを設け、その冷却用ダクトに接続して上端がプール水面の上部に開口する配管と、冷却用ダクトにプール水またはタンク水を供給する弁を有する配管を設け、通常運転時は上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱し、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことによりプール水またはタンク水を導き、原子炉容器の蒸気ドーム部を冷却して原子炉停止後の崩壊熱を除去するようにした。
【0022】
従って、手段(3)においては、通常運転時には上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱することで原子炉容器の頂部からの放熱を断ち、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことにより、プール水またはタンク水を冷却用ダクトの間隙に導き、原子炉容器の蒸気ドーム部の蒸気を凝縮熱伝達により冷却して原子炉停止後の炉心の崩壊熱を除去することができる。冷却用ダクトに流入したプール水またはタンク水は、原子炉容器側から輸送される崩壊熱により蒸発し、上部に設けた配管よりプール水面の上部に放出される。このように、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を自己加圧小型一体炉に適用した場合の実施の形態を、図1から図6に基いて説明する。
【0024】
図1は本発明を自己加圧小型一体炉に適用した場合の実施の形態に係る原子炉の全体概念図である。
【0025】
図1に示すように、原子炉はプール水1の中に設置されており、原子炉容器2はその頂部を除き断熱材3で覆われて通常運転時の熱放出を最小限としている。炉心4で加熱された冷却材Rはライザ5を上昇し、上部で流れの方向を反転し、蒸気発生器6で発生熱を主給水−主蒸気のラインにおいて2次系冷却材に伝えた後、蒸気発生器6の下に設けられた小型の原子炉冷却材ポンプ7により再び炉心4に導かれるようになっている。
【0026】
なお、本願の請求項1に係る発明は、この炉心4を構成する燃料集合体に、請求項2に係る発明は炉心4の周囲に、請求項3に係る発明は原子炉容器2の頂部にそれぞれ設けた設備である。
【0027】
図2は本発明の実施の形態に係る中性子吸収球を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【0028】
図2に示すように、密度あるいは材質の異なる炭化硼素または銀インジュームカドミューム等の中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材であるハフニュウム等からなる球形の中性子吸収球8を多数挿入した案内管9は燃料集合体N内に設置されており、案内管9の上部には浮上した中性子吸収球8を格納するための空間Sが設けられている。また、案内管9の上下開口端には、中性子吸収球8が通り抜けないように多孔板10が設けられている。
【0029】
この各案内管9に挿入する中性子吸収球8のサイズは、直径3mm〜10mmの間で変化させ、挿入する中性子吸収球8の個数も、最も多く挿入した状態の25〜100%の範囲で変化させている。また、案内管9の上下には流路孔11が設けられている。各案内管9に設ける流路孔11の径や孔数、形状、配置等の組み合わせにより、上下で異なる流路形状に変化させている。
【0030】
これらにより、図1に示す原子炉冷却材ポンプ7の運転台数や回転数による炉心流量変化により、案内管9内を浮上する中性子吸収球8の数量を段階的に変化させ、減速材温度や燃焼、負荷の変化による広い範囲に亘り、炉心流量変化のみにより、炉心反応度の制御を可能としている。
【0031】
また、原子炉トリップ時には原子炉冷却材ポンプ7をトリップし、炉心流量を減少させることにより中性子吸収球8を案内管9によって炉心4内に重力で落下させ、負の反応度を添加するようにしている。
【0032】
なお、図2の(a)は炉心流量が流量小の状態を示し、中性子吸収球8は案内管9の下部に落下しているが、図2の(b)は炉心流量が流量大の状態を示し、中性子吸収球8は案内管9の上部の空間S内に浮上している。
【0033】
但し、炉心流量が(a)〜(b)間にある場合には、浮上し炉心部に存在する中性子吸収球8の数量は、炉心流量変化に応じて段階的に変化し、炉心反応度を広範囲に亘り可変としている。
【0034】
次に図3は本発明の実施の形態に係る中性子吸収材を内蔵した金属棒を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【0035】
中性子吸収材を内蔵した金属棒12は案内管9内に挿入され、その案内管9は燃料集合体N内に設置されている。
【0036】
なお、中性子吸収材を内蔵した金属棒12の上端部には、図示のような形状のフロート部Fが形成されており、案内管9の直径は、テーパ部より上部が下部よりも太く形成されて、金属棒12が炉心流量によって浮き上がりやすいように配慮されている。
【0037】
従って、これらの形状寸法等に応じて、案内管9の上下の流路形状が異なるように構成され、炉心流量変化により、上記金属棒12をガイド線Gに沿って案内管9内の軸方向位置に段階的に浮上、落下させるようにしている。
【0038】
なお、上記案内管9の上下開口端には、金属棒12が通り抜けないように多孔板10が設けられている。
【0039】
但し、上記金属棒12のフロート部Fや案内管9の形状寸法等は、図示の形態に限定されるものではなく、必要に応じて内部に浮力増大のために空隙を設けるなど任意に設計し得ることは言うまでもない。
【0040】
また、図3の(a)は炉心流量が流量小の状態を示し、金属棒12は案内管9の下部に落下しているが、図3の(b)は炉心流量が流量大の状態を示し、金属棒12は案内管9の上部に浮上している。
【0041】
但し、炉心流量が(a)〜(b)間にある場合には、浮上する金属棒12の位置は、炉心流量変化に応じて段階的に変化し、炉心反応度を広範囲に亘り可変としている。
【0042】
次に図4は本発明の実施の形態に係る反射体領域を利用した原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【0043】
炉心4の外周部には、純水(液相)Wを格納するための制御容器13が配置されている。また、制御容器13の外側面は、制御容器13内の純水Wが原子炉容器2外に排出された場合、負の反応度が添加されるようにハフニュウム製の中性子吸収材14で覆われている。
【0044】
なお、制御容器13には、純水Wを注入するための純水注入配管15と純水Wを排出するための純水排出配管16が別に設けられている。
【0045】
図5は図4に示す原子炉の反応度制御設備における配管図である。
【0046】
図示のように、純水注入配管15は止め弁17を介して原子炉容器2に接続され、その付け根部には熱膨張を吸収するためのフレキシブルジョイント18を介して制御容器13に直付けの逆止弁19が設けられており、逆流防止機構が構成されている。
【0047】
また、純水排出配管16は逃し弁20を介して原子炉容器2に接続され、その付け根部には熱膨張を吸収するためのフレキシブルジョイント18を介して制御容器13に直付けの逆止弁19が設けられており、逆流防止機構が構成されている。
【0048】
従って、純水注入配管15の止め弁17を開けば、純水Wは外部から制御容器13内に導かれるが逆流防止機構があるため逆流することはない。また、純水排出配管16の逃し弁20を開いて純水Wを排出するが、逆流防止機構があるため、排出後に再び純水Wが制御容器13内に逆流することはない。
【0049】
また、仮に純水注入、排出時にフレキシブルジョイント18等、原子炉容器内で損傷が生じても止め弁17や逃し弁20を閉じることにより、原子炉冷却材の原子炉容器外への放出を最小限とすることができる。
【0050】
ところで、原子炉容器2を密閉後、プラント起動前に反射体領域に純水Wを注入するが、この際、制御容器13の上部には図4に示すように熱膨張及び蒸気相Vの形成のための空隙が残されている。
【0051】
プラント起動とともに制御容器13内の純水Wの温度は、原子炉容器2内の冷却材Rの温度に追随して変化し、制御容器13内の圧力も自己加圧により原子炉容器2の圧力に追随して上昇し、通常運転時はほぼ原子炉容器2側と等しい圧力に保たれている。
【0052】
しかしながら異常時には純水排出配管16の逃し弁20を開放し、制御容器13内の純水Wを減圧沸騰させて原子炉容器2外に放出することにより、負の反応度を添加するようにしている。また、燃料交換時は、予め高温状態で制御容器13内の純水Wを排出することにより、反応度を十分に負とする。
【0053】
なお、図4の(a)は通常運転時の状態を示し、通常運転時にはこの制御容器13内の炉心4の高さ部分を純水Wで満たし、炉心4から漏れてくる中性子を炉心4側に反射させることにより炉心反応度を大きな値に保っている。
【0054】
また、図4の(b)は異常時の状態を示し、異常時には制御容器13内を蒸気相Vとし、炉心4から漏れてくる中性子を制御容器13の外側面を覆う中性子吸収材14に吸収させることにより、炉心反応度を減少させている。
【0055】
次に、図6は本発明の実施の形態に係る原子炉の崩壊熱除去設備の説明図である。
【0056】
蒸気ドーム21を有する原子炉において、原子炉容器2の頂部には、カバーによって構成される冷却用ダクト22が設けられている。
【0057】
また、冷却用ダクト22の上部には、図1に示すように上端がプール水1の水面の上部に開口した配管23が接続されており、冷却用ダクト22の下部には、冷却用ダクト22にプール水1またはタンク水を供給する弁24を有する配管25が接続されている。
【0058】
従って、通常運転時には、冷却用ダクト22に接続された配管25の弁24を閉止することにより、冷却用ダクト22を空気あるいは蒸気で満たして断熱効果により原子炉容器2からの熱放出を防ぐことができる。なお、頂部以外の原子炉容器2の外表面にはプール水1との間に断熱材3を設けることにより、これらの部位からの放熱を最小限としている。
【0059】
また、異常時に炉心4の冷却や減圧が必要とされる場合には、原子炉トリップ後、弁24を開放してプール水1またはタンク水を冷却用ダクト22の間隙に導いて原子炉容器2の頂部を冷却する。これにより、蒸気ドーム21の内表面での蒸気の凝縮熱伝達と蒸気ドーム21外表面での対流熱伝達により原子炉容器2内を減圧するとともに、崩壊熱を除去することができる。
【0060】
なお、この崩壊熱除去による減圧が不十分な場合に備え、原子炉容器2には図1に示すように安全弁26を設け、バックアップ機能として安全弁26が吹いた場合に放出される原子炉容器2内の冷却材Rは、密封された圧力逃しタンク27内に格納して安全を確保するようにしている。
【0061】
【発明の効果】
本願の請求項1に係る原子炉の反応度制御設備は、密度あるいは材質の異なる中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材からなるサイズ及び個数の異なる球形の中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内に挿入し、それらを燃料集合体内に複数配置して炉心流量の変化により、上記中性子吸収球または金属棒を案内管内の軸方向位置に浮上、落下させることにより炉心反応度を可変に構成されているので、各案内管に挿入する中性子吸収球の中性子吸収材の密度や材質、吸収球のサイズ、及び吸収球の個数等を変化させること、及び各案内管の上下の流路孔の径や孔数、形状、配置等の組み合せにより異なる流路形状に変化させることにより、浮上、落下により炉心部に存在する中性子吸収球の数量を炉心流量によって変化させたり、中性子吸収材を内蔵する金属棒を炉心流量によって浮上、落下させたりすることにより、反応度を段階的に変化させ、これにより、炉心流量変化のみにより、広い範囲に亘り炉心反応度を制御することができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0062】
また、請求項2に係わる原子炉の反応度制御設備は、炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置し、通常時は上記制御容器内に純水を格納することにより中性子反射体として機能させ、異常時や燃料取替時にはその制御容器内に格納した純水を原子炉容器外に排出することにより負の反応度を添加するように構成されており、通常運転時はこの制御容器内の炉心の高さ部分を純水で満たし、炉心から漏れてくる中性子を炉心側に反射させることにより炉心反応度を大きな値に保つ。一方、異常時には接続する配管の弁を開くことにより、制御容器内に格納した純水を減圧沸騰により原子炉容器外に排出して制御容器内を蒸気相とし、炉心から漏れてくる中性子を制御容器外側面を覆う中性子吸収材に吸収させることにより、炉心反応度を減少させて、動的機器なしに、異常時あるいは燃料取替時に負の反応度を与えることができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要で請求項1に係る反応度制御設備の後備系として利用することができる。
【0063】
また、請求項3に係る原子炉の崩壊熱除去設備は、蒸気ドームを有する原子炉において、原子炉容器の頂部にカバーによって構成される冷却用ダクトを設け、その冷却用ダクトに接続して上端がプール水面の上部に開口する配管と、冷却用ダクトにプール水またはタンク水を供給する弁を有する配管を設け、通常運転時は上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱し、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことによりプール水またはタンク水を導き、原子炉容器の蒸気ドーム部を冷却して原子炉停止後の崩壊熱を除去するように構成されているので、通常運転時には上記弁を閉じることにより、冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱することで、原子炉容器の頂部からの放熱を断ち、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことにより、プール水またはタンク水を冷却用ダクトの間隙に導き、原子炉容器の蒸気ドーム部の蒸気を凝縮熱伝達により冷却して原子炉停止後の炉心の崩壊熱を除去することができる。冷却用ダクトに流入したプール水またはタンク水は、原子炉容器側から輸送される崩壊熱により蒸発し、上部に設けた配管よりプール水面の上部に放出される。このように、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0064】
従って本願は、特に一体型小型炉に適用して実用上極めて有効な、原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自己加圧小型一体炉に適用した場合の実施の形態に係る原子炉の全体概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中性子吸収球を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る中性子吸収材を内蔵した金属棒を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る反射体領域を利用した原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【図5】図4に示す原子炉の反応度制御設備における配管図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る原子炉の崩壊熱除去設備の説明図である。
【図7】従来の原子炉における制御棒部分の部分破断図である。
【符号の説明】
1 プール水
2 原子炉容器
3 断熱材
4 炉心
5 ライザ
6 蒸気発生器
7 原子炉冷却材ポンプ
8 中性子吸収球
9 案内管
10 多孔板
11 流路孔
12 中性子吸収材を内蔵した金属棒
13 制御容器
14 中性子吸収材
15 純水注入配管
16 純水排出配管
17 止め弁
18 フレキシブルジョイント
19 逆止弁
20 逃し弁
21 蒸気ドーム
22 冷却用ダクト
23 配管
24 弁
25 配管
26 安全弁
27 圧力逃しタンク
101 制御棒
102 中性子吸収材
103 スパイダ
R 冷却材
N 燃料集合体
S 空間
W 純水(液相)
V 蒸気相
F フロート部
G ガイド線
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に一体型小型炉に適用して最適な、原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加圧水型の原子炉においては、炉心の反応度制御や崩壊熱除去が行われている。
【0003】
図7は、従来の原子炉における制御棒部分の部分破断図である。
【0004】
図中101は制御棒を示し、ステンレス鋼管内に中性子吸収材102を内蔵させて構成されている。103は複数本の上記制御棒101を束ねて保持するスパイダで、このスパイダ103により制御棒101を図示のように保持して制御棒クラスタが構成されている。
【0005】
ところで、一般に、加圧水型の原子炉の炉心の反応度制御は、図7に示すような中性子吸収材102を内蔵する制御棒101を複数本束ねた制御棒クラスタを、制御棒駆動装置(図示せず)により炉心内で上下方向に移動することにより行うか、あるいは化学体積制御設備(図示せず)により、原子炉の冷却材の一部を原子炉容器外に取り出し、冷却材の中性子吸収材(ボロン)の濃度を変化させたり、あるいはボロン水を原子炉容器内に注入することにより行われている。
【0006】
また、原子炉停止時の崩壊熱は、崩壊熱除去設備(図示せず)を用いて原子炉の冷却材の一部を原子炉容器外に取り出すことにより、熱交換器を通して崩壊熱を除去するようにしている。
【0007】
また、原子炉の運転停止における炉心の反応度制御においては、中性子吸収球体を中性子吸収要素として使用し、冷却材の流れが所定値より高いときには冷却材の流れにより中性子吸収要素を炉心の上部に流動床状として浮遊させ、冷却材の流れが所定値よりも減少したときは、炉心内へ中性子吸収要素を降下させて、原子炉の運転を停止させるようにしたものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、炉心と径方向ブランケットとの間に反射体案内管を設け、可動型反射体をその反射体案内管の内部を軸方向に移動できるようにし、反射体が無い部分の反射体案内管の内部は冷却材で満たし、反射体駆動装置を用いて可動反射体を炉心に挿入したり、あるいは炉心から引抜いたりして炉心反応度を制御するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
また、原子炉圧力容器の上蓋の表面を覆う保温材の部分に貫通穴を明けておくとともに、貫通穴を経由して冷却空気を送り込んで、上蓋と保温材との間隙に空気流を発生させて上蓋の表面を強制冷却し、原子炉圧力容器の上蓋を速やかに効果的に冷却して、原子炉停止後の待機時間を短くするとともに、冷却機器の着脱作業性を向上させて準備作業の簡略化を図るようにしたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開昭56−162087号公報(特許請求の範囲1,2、Fig1〜3)
【特許文献2】
特開昭63−61184号公報(第3頁右上下欄、第1図a,b)
【特許文献3】
特開平8−248173号公報(要約、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
近年、安全性の向上、コスト低減を目的とし、原子炉容器内に蒸気発生器又は冷却ポンプを内蔵した一体型小型炉が検討されている。この原子炉概念では、原子炉の冷却材の喪失事故を避けるため、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管を極力排除する必要がある。このため、圧力バウンダリーに接続配管が必要とされる従来の化学体積制御設備を反応度制御に用いることはできない。
【0012】
この場合、不足分の反応度を図7に示すような制御棒クラスタで補おうとした場合、多数の制御棒と制御棒駆動装置が必要とされ、原子炉容器内への配置設計上、制御棒駆動装置のスペースの確保等による原子炉容器の肥大化が制約条件になり、またコストの上昇を招く。このため、一体型小型炉では構造が簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管が不要な反応度制御設備が求められている。
【0013】
なお、中性子吸収球体を中性子吸収要素として使用し、冷却材の流れにより単にその中性子吸収要素を浮遊又は降下させたON−OFF的な制御では段階的な制御ができず、可動反射体を反射体駆動装置により反射体案内管の内部を単に軸方向に移動させる従来の反応度制御においては、複雑な構造の駆動装置を要する。このため、より広い範囲に亘り反応度を制御し得、簡素な構造の反応度制御設備が求められている。
【0014】
また、従来の崩壊熱除去設備は、原子炉容器の圧力バウンダリーとの接続配管が必要であるが、一体型小型炉では圧力バウンダリーへの接続配管が不要な崩壊熱除去設備が求められている。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、炉心流量変化のみにより広い範囲に亘り反応度を制御し得ると共に、構造が簡素で原子炉容器の圧力バウンダリーとの接続配管が不要な、原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備を提供することを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明では以下の(1),(2),(3)の手段を講じた。
【0017】
すなわち、手段(1)に係る原子炉の反応度制御設備は、密度あるいは材質の異なる中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材からなるサイズ及び個数の異なる球形の中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内に挿入し、それらを燃料集合体内に複数配置して、炉心流量の変化により、上記中性子吸収球または金属棒を案内管内の軸方向位置に浮上、落下させることにより炉心反応度を可変とした。
【0018】
従って、手段(1)においては、各案内管に挿入する中性子吸収球の中性子吸収材の密度や材質、吸収球のサイズ、及び吸収球の個数等を変化させること、及び各案内管の上下の流路孔の径や孔数、形状、配置等の組み合せにより異なる流路形状に変化させることにより、浮上、落下により炉心部に存在する中性子吸収球の数量を炉心流量によって変化させたり、中性子吸収材を内蔵する金属棒を炉心流量によって浮上、落下させたりすることにより、反応度を段階的に変化させ、これにより、炉心流量変化のみにより、広い範囲に亘り炉心反応度を制御することができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0019】
また、手段(2)に係る原子炉の反応度制御設備は、炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置し、通常時は上記制御容器内に純水を格納することにより中性子反射体として機能させ、異常時や燃料取替時にはその制御容器内に格納した純水を原子炉容器外に排出することにより負の反応度を添加するようにした。
【0020】
従って、手段(2)においては、通常運転時はこの制御容器内の炉心の高さ部分を純水で満たし、炉心から漏れてくる中性子を炉心側に反射させることにより炉心反応度を大きな値に保つ。一方、異常時には接続する配管の弁を開くことにより、制御容器内に格納した純水を減圧沸騰により原子炉容器外に排出して制御容器内を蒸気相とし、炉心から漏れてくる中性子を制御容器外側面を覆う中性子吸収材に吸収させることにより、炉心反応度を減少させて、動的機器なしに、異常時あるいは燃料取替時に負の反応度を与えることができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要で、手段(1)の反応度制御設備の後備系として利用することができる。
【0021】
また、手段(3)に係る原子炉の崩壊熱除去設備は、蒸気ドームを有する原子炉において、原子炉容器の頂部にカバーによって構成される冷却用ダクトを設け、その冷却用ダクトに接続して上端がプール水面の上部に開口する配管と、冷却用ダクトにプール水またはタンク水を供給する弁を有する配管を設け、通常運転時は上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱し、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことによりプール水またはタンク水を導き、原子炉容器の蒸気ドーム部を冷却して原子炉停止後の崩壊熱を除去するようにした。
【0022】
従って、手段(3)においては、通常運転時には上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱することで原子炉容器の頂部からの放熱を断ち、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことにより、プール水またはタンク水を冷却用ダクトの間隙に導き、原子炉容器の蒸気ドーム部の蒸気を凝縮熱伝達により冷却して原子炉停止後の炉心の崩壊熱を除去することができる。冷却用ダクトに流入したプール水またはタンク水は、原子炉容器側から輸送される崩壊熱により蒸発し、上部に設けた配管よりプール水面の上部に放出される。このように、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を自己加圧小型一体炉に適用した場合の実施の形態を、図1から図6に基いて説明する。
【0024】
図1は本発明を自己加圧小型一体炉に適用した場合の実施の形態に係る原子炉の全体概念図である。
【0025】
図1に示すように、原子炉はプール水1の中に設置されており、原子炉容器2はその頂部を除き断熱材3で覆われて通常運転時の熱放出を最小限としている。炉心4で加熱された冷却材Rはライザ5を上昇し、上部で流れの方向を反転し、蒸気発生器6で発生熱を主給水−主蒸気のラインにおいて2次系冷却材に伝えた後、蒸気発生器6の下に設けられた小型の原子炉冷却材ポンプ7により再び炉心4に導かれるようになっている。
【0026】
なお、本願の請求項1に係る発明は、この炉心4を構成する燃料集合体に、請求項2に係る発明は炉心4の周囲に、請求項3に係る発明は原子炉容器2の頂部にそれぞれ設けた設備である。
【0027】
図2は本発明の実施の形態に係る中性子吸収球を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【0028】
図2に示すように、密度あるいは材質の異なる炭化硼素または銀インジュームカドミューム等の中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材であるハフニュウム等からなる球形の中性子吸収球8を多数挿入した案内管9は燃料集合体N内に設置されており、案内管9の上部には浮上した中性子吸収球8を格納するための空間Sが設けられている。また、案内管9の上下開口端には、中性子吸収球8が通り抜けないように多孔板10が設けられている。
【0029】
この各案内管9に挿入する中性子吸収球8のサイズは、直径3mm〜10mmの間で変化させ、挿入する中性子吸収球8の個数も、最も多く挿入した状態の25〜100%の範囲で変化させている。また、案内管9の上下には流路孔11が設けられている。各案内管9に設ける流路孔11の径や孔数、形状、配置等の組み合わせにより、上下で異なる流路形状に変化させている。
【0030】
これらにより、図1に示す原子炉冷却材ポンプ7の運転台数や回転数による炉心流量変化により、案内管9内を浮上する中性子吸収球8の数量を段階的に変化させ、減速材温度や燃焼、負荷の変化による広い範囲に亘り、炉心流量変化のみにより、炉心反応度の制御を可能としている。
【0031】
また、原子炉トリップ時には原子炉冷却材ポンプ7をトリップし、炉心流量を減少させることにより中性子吸収球8を案内管9によって炉心4内に重力で落下させ、負の反応度を添加するようにしている。
【0032】
なお、図2の(a)は炉心流量が流量小の状態を示し、中性子吸収球8は案内管9の下部に落下しているが、図2の(b)は炉心流量が流量大の状態を示し、中性子吸収球8は案内管9の上部の空間S内に浮上している。
【0033】
但し、炉心流量が(a)〜(b)間にある場合には、浮上し炉心部に存在する中性子吸収球8の数量は、炉心流量変化に応じて段階的に変化し、炉心反応度を広範囲に亘り可変としている。
【0034】
次に図3は本発明の実施の形態に係る中性子吸収材を内蔵した金属棒を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【0035】
中性子吸収材を内蔵した金属棒12は案内管9内に挿入され、その案内管9は燃料集合体N内に設置されている。
【0036】
なお、中性子吸収材を内蔵した金属棒12の上端部には、図示のような形状のフロート部Fが形成されており、案内管9の直径は、テーパ部より上部が下部よりも太く形成されて、金属棒12が炉心流量によって浮き上がりやすいように配慮されている。
【0037】
従って、これらの形状寸法等に応じて、案内管9の上下の流路形状が異なるように構成され、炉心流量変化により、上記金属棒12をガイド線Gに沿って案内管9内の軸方向位置に段階的に浮上、落下させるようにしている。
【0038】
なお、上記案内管9の上下開口端には、金属棒12が通り抜けないように多孔板10が設けられている。
【0039】
但し、上記金属棒12のフロート部Fや案内管9の形状寸法等は、図示の形態に限定されるものではなく、必要に応じて内部に浮力増大のために空隙を設けるなど任意に設計し得ることは言うまでもない。
【0040】
また、図3の(a)は炉心流量が流量小の状態を示し、金属棒12は案内管9の下部に落下しているが、図3の(b)は炉心流量が流量大の状態を示し、金属棒12は案内管9の上部に浮上している。
【0041】
但し、炉心流量が(a)〜(b)間にある場合には、浮上する金属棒12の位置は、炉心流量変化に応じて段階的に変化し、炉心反応度を広範囲に亘り可変としている。
【0042】
次に図4は本発明の実施の形態に係る反射体領域を利用した原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【0043】
炉心4の外周部には、純水(液相)Wを格納するための制御容器13が配置されている。また、制御容器13の外側面は、制御容器13内の純水Wが原子炉容器2外に排出された場合、負の反応度が添加されるようにハフニュウム製の中性子吸収材14で覆われている。
【0044】
なお、制御容器13には、純水Wを注入するための純水注入配管15と純水Wを排出するための純水排出配管16が別に設けられている。
【0045】
図5は図4に示す原子炉の反応度制御設備における配管図である。
【0046】
図示のように、純水注入配管15は止め弁17を介して原子炉容器2に接続され、その付け根部には熱膨張を吸収するためのフレキシブルジョイント18を介して制御容器13に直付けの逆止弁19が設けられており、逆流防止機構が構成されている。
【0047】
また、純水排出配管16は逃し弁20を介して原子炉容器2に接続され、その付け根部には熱膨張を吸収するためのフレキシブルジョイント18を介して制御容器13に直付けの逆止弁19が設けられており、逆流防止機構が構成されている。
【0048】
従って、純水注入配管15の止め弁17を開けば、純水Wは外部から制御容器13内に導かれるが逆流防止機構があるため逆流することはない。また、純水排出配管16の逃し弁20を開いて純水Wを排出するが、逆流防止機構があるため、排出後に再び純水Wが制御容器13内に逆流することはない。
【0049】
また、仮に純水注入、排出時にフレキシブルジョイント18等、原子炉容器内で損傷が生じても止め弁17や逃し弁20を閉じることにより、原子炉冷却材の原子炉容器外への放出を最小限とすることができる。
【0050】
ところで、原子炉容器2を密閉後、プラント起動前に反射体領域に純水Wを注入するが、この際、制御容器13の上部には図4に示すように熱膨張及び蒸気相Vの形成のための空隙が残されている。
【0051】
プラント起動とともに制御容器13内の純水Wの温度は、原子炉容器2内の冷却材Rの温度に追随して変化し、制御容器13内の圧力も自己加圧により原子炉容器2の圧力に追随して上昇し、通常運転時はほぼ原子炉容器2側と等しい圧力に保たれている。
【0052】
しかしながら異常時には純水排出配管16の逃し弁20を開放し、制御容器13内の純水Wを減圧沸騰させて原子炉容器2外に放出することにより、負の反応度を添加するようにしている。また、燃料交換時は、予め高温状態で制御容器13内の純水Wを排出することにより、反応度を十分に負とする。
【0053】
なお、図4の(a)は通常運転時の状態を示し、通常運転時にはこの制御容器13内の炉心4の高さ部分を純水Wで満たし、炉心4から漏れてくる中性子を炉心4側に反射させることにより炉心反応度を大きな値に保っている。
【0054】
また、図4の(b)は異常時の状態を示し、異常時には制御容器13内を蒸気相Vとし、炉心4から漏れてくる中性子を制御容器13の外側面を覆う中性子吸収材14に吸収させることにより、炉心反応度を減少させている。
【0055】
次に、図6は本発明の実施の形態に係る原子炉の崩壊熱除去設備の説明図である。
【0056】
蒸気ドーム21を有する原子炉において、原子炉容器2の頂部には、カバーによって構成される冷却用ダクト22が設けられている。
【0057】
また、冷却用ダクト22の上部には、図1に示すように上端がプール水1の水面の上部に開口した配管23が接続されており、冷却用ダクト22の下部には、冷却用ダクト22にプール水1またはタンク水を供給する弁24を有する配管25が接続されている。
【0058】
従って、通常運転時には、冷却用ダクト22に接続された配管25の弁24を閉止することにより、冷却用ダクト22を空気あるいは蒸気で満たして断熱効果により原子炉容器2からの熱放出を防ぐことができる。なお、頂部以外の原子炉容器2の外表面にはプール水1との間に断熱材3を設けることにより、これらの部位からの放熱を最小限としている。
【0059】
また、異常時に炉心4の冷却や減圧が必要とされる場合には、原子炉トリップ後、弁24を開放してプール水1またはタンク水を冷却用ダクト22の間隙に導いて原子炉容器2の頂部を冷却する。これにより、蒸気ドーム21の内表面での蒸気の凝縮熱伝達と蒸気ドーム21外表面での対流熱伝達により原子炉容器2内を減圧するとともに、崩壊熱を除去することができる。
【0060】
なお、この崩壊熱除去による減圧が不十分な場合に備え、原子炉容器2には図1に示すように安全弁26を設け、バックアップ機能として安全弁26が吹いた場合に放出される原子炉容器2内の冷却材Rは、密封された圧力逃しタンク27内に格納して安全を確保するようにしている。
【0061】
【発明の効果】
本願の請求項1に係る原子炉の反応度制御設備は、密度あるいは材質の異なる中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材からなるサイズ及び個数の異なる球形の中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内に挿入し、それらを燃料集合体内に複数配置して炉心流量の変化により、上記中性子吸収球または金属棒を案内管内の軸方向位置に浮上、落下させることにより炉心反応度を可変に構成されているので、各案内管に挿入する中性子吸収球の中性子吸収材の密度や材質、吸収球のサイズ、及び吸収球の個数等を変化させること、及び各案内管の上下の流路孔の径や孔数、形状、配置等の組み合せにより異なる流路形状に変化させることにより、浮上、落下により炉心部に存在する中性子吸収球の数量を炉心流量によって変化させたり、中性子吸収材を内蔵する金属棒を炉心流量によって浮上、落下させたりすることにより、反応度を段階的に変化させ、これにより、炉心流量変化のみにより、広い範囲に亘り炉心反応度を制御することができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0062】
また、請求項2に係わる原子炉の反応度制御設備は、炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置し、通常時は上記制御容器内に純水を格納することにより中性子反射体として機能させ、異常時や燃料取替時にはその制御容器内に格納した純水を原子炉容器外に排出することにより負の反応度を添加するように構成されており、通常運転時はこの制御容器内の炉心の高さ部分を純水で満たし、炉心から漏れてくる中性子を炉心側に反射させることにより炉心反応度を大きな値に保つ。一方、異常時には接続する配管の弁を開くことにより、制御容器内に格納した純水を減圧沸騰により原子炉容器外に排出して制御容器内を蒸気相とし、炉心から漏れてくる中性子を制御容器外側面を覆う中性子吸収材に吸収させることにより、炉心反応度を減少させて、動的機器なしに、異常時あるいは燃料取替時に負の反応度を与えることができ、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要で請求項1に係る反応度制御設備の後備系として利用することができる。
【0063】
また、請求項3に係る原子炉の崩壊熱除去設備は、蒸気ドームを有する原子炉において、原子炉容器の頂部にカバーによって構成される冷却用ダクトを設け、その冷却用ダクトに接続して上端がプール水面の上部に開口する配管と、冷却用ダクトにプール水またはタンク水を供給する弁を有する配管を設け、通常運転時は上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱し、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことによりプール水またはタンク水を導き、原子炉容器の蒸気ドーム部を冷却して原子炉停止後の崩壊熱を除去するように構成されているので、通常運転時には上記弁を閉じることにより、冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱することで、原子炉容器の頂部からの放熱を断ち、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことにより、プール水またはタンク水を冷却用ダクトの間隙に導き、原子炉容器の蒸気ドーム部の蒸気を凝縮熱伝達により冷却して原子炉停止後の炉心の崩壊熱を除去することができる。冷却用ダクトに流入したプール水またはタンク水は、原子炉容器側から輸送される崩壊熱により蒸発し、上部に設けた配管よりプール水面の上部に放出される。このように、構造も簡素で、原子炉容器の圧力バウンダリーに接続する配管も不要である。
【0064】
従って本願は、特に一体型小型炉に適用して実用上極めて有効な、原子炉の反応度制御設備及び崩壊熱除去設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自己加圧小型一体炉に適用した場合の実施の形態に係る原子炉の全体概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中性子吸収球を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る中性子吸収材を内蔵した金属棒を用いた原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る反射体領域を利用した原子炉の反応度制御設備を示す説明図である。
【図5】図4に示す原子炉の反応度制御設備における配管図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る原子炉の崩壊熱除去設備の説明図である。
【図7】従来の原子炉における制御棒部分の部分破断図である。
【符号の説明】
1 プール水
2 原子炉容器
3 断熱材
4 炉心
5 ライザ
6 蒸気発生器
7 原子炉冷却材ポンプ
8 中性子吸収球
9 案内管
10 多孔板
11 流路孔
12 中性子吸収材を内蔵した金属棒
13 制御容器
14 中性子吸収材
15 純水注入配管
16 純水排出配管
17 止め弁
18 フレキシブルジョイント
19 逆止弁
20 逃し弁
21 蒸気ドーム
22 冷却用ダクト
23 配管
24 弁
25 配管
26 安全弁
27 圧力逃しタンク
101 制御棒
102 中性子吸収材
103 スパイダ
R 冷却材
N 燃料集合体
S 空間
W 純水(液相)
V 蒸気相
F フロート部
G ガイド線
Claims (3)
- 密度あるいは材質の異なる中性子吸収材をステンレス鋼で被覆した、あるいは金属中性子吸収材からなるサイズ及び個数の異なる球形の中性子吸収球、または中性子吸収材を内蔵した金属棒を、上下の流路形状の異なる案内管内に挿入し、それらを燃料集合体内に複数配置して、炉心流量の変化により、上記中性子吸収球または金属棒を案内管内の軸方向位置に浮上、落下させることにより炉心反応度を可変としたことを特徴とする原子炉の反応度制御設備。
- 炉心の外周部に外側面を中性子吸収材で覆った制御容器を配置し、通常時は上記制御容器内に純水を格納することにより中性子反射体として機能させ、異常時や燃料取替時にはその制御容器内に格納した純水を原子炉容器外に排出することにより負の反応度を添加することを特徴とする原子炉の反応度制御設備。
- 蒸気ドームを有する原子炉において、原子炉容器の頂部にカバーによって構成される冷却用ダクトを設け、その冷却用ダクトに接続して上端がプール水面の上部に開口する配管と、冷却用ダクトにプール水またはタンク水を供給する弁を有する配管を設け、通常運転時は上記弁を閉じることにより冷却用ダクトを空気あるいは蒸気で満たして断熱し、異常時あるいは炉心冷却時には上記弁を開くことによりプール水またはタンク水を導き、原子炉容器の蒸気ドーム部を冷却して原子炉停止後の崩壊熱を除去することを特徴とする原子炉の崩壊熱除去設備。
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-
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