JP2004264122A - 超音波検査方法および超音波検査治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検査体のスミ肉溶接部の近傍の検査部位に対して、精度良く欠陥の大きさを検出することができる超音波検査方法を提供することである。
【解決手段】被検査体11の表面上に被検査体11の検査部位を中心としてほぼ等距離で所定の角度を保って2個の探触子14a、14bを配置し、一方の探触子14aから被検査体11の裏面で反射する反射波が検査部位に向くように超音波を送信し、一方の探触子14aから送信されて被検査体11の裏面、検査部位および被検査体11の裏面で反射された超音波を他方の探触子14bで受信し、他方の探触子14bで受信した超音波に基づいて被検査体11の検査部位を検査する。
【選択図】 図1
【解決手段】被検査体11の表面上に被検査体11の検査部位を中心としてほぼ等距離で所定の角度を保って2個の探触子14a、14bを配置し、一方の探触子14aから被検査体11の裏面で反射する反射波が検査部位に向くように超音波を送信し、一方の探触子14aから送信されて被検査体11の裏面、検査部位および被検査体11の裏面で反射された超音波を他方の探触子14bで受信し、他方の探触子14bで受信した超音波に基づいて被検査体11の検査部位を検査する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉厚の薄い被検査体の欠陥を検査する超音波探傷に係り、特にスミ肉溶接部の疲労き裂を探傷するのに適した超音波検査方法および超音波検査治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電プラントにおいては、プラント構成機器の健全性を評価するために超音波検査(UT)が実施されている。例えば、蒸気管や給排水管は、被検査体である配管の表面に超音波探触子(以下単に探触子という)を設置し、探触子から被検査体内部に超音波を送信して、被検査体内部の欠陥部位からの反射波を受信し、被検査体内部の欠陥を検出するようにしている。
【0003】
一般に、超音波検査は、探触子から被検査体に対して所定の屈折角で超音波を送信し、欠陥部位からの反射波を探触子で受信して欠陥部位を検出する斜角法で行われる。例えば、1個の探触子を用いて直接的に欠陥部位に超音波を送信し欠陥部位からの反射波を直接的に受信する直射法や、探触子からの超音波を一旦被検査体の裏面で反射させて欠陥部位に送信し、欠陥部位からの反射波を被検査体の裏面で反射させて受信する反射法が用いられる。また、2個の探触子を用いて、一方の探触子を送信用探触子として使用し、他方の探触子を受信用として使用するタンデム探傷法も用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、探触子から被検査体に対して所定の屈折角で超音波を送信する斜角法では、被検査体の表面部の欠陥部位が検査できない場合があることから、被検査体の表面を超音波検査できるSH波探傷法が開発されている。このSH波探傷法は、被検査体の表面直下を被検査体表面に平行に伝搬するSH波を発振できる表面SH波探触子を用い、建築業界の鉄骨溶接などのスミ肉溶接部の超音波検査を行うものであり、鉄骨溶接などのスミ肉溶接部の欠陥の有無を評価するものである(非特許文献2参照)。
【0005】
【非特許文献1】
社団法人 日本非破壊検査協会 「非破壊検査技術シリーズ 超音波探傷試験II」 1990 p66 p81
【0006】
【非特許文献2】
社団法人 日本非破壊検査協会 「非破壊検査 検査と材料評価」 VOL.52,No.1 Jan.2003 p3、p4
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このSH波探傷法ではスミ肉溶接部の欠陥の有無は検出できるが、被検査体の表面直下を被検査体表面に平行に伝搬するSH波であるため、欠陥の深さ方向(表面からの肉厚方向)の欠陥の大きさの評価をすることが困難である。また、探触子を被検査体に接触させる場合に使用する接触媒質の粘性が高いので探触子の走査が難しく、適用される分野が限定されている。
【0008】
発電プラントにおいては、例えば、ボイラ管を始め様々の機器にスミ肉溶接部が存在し、そのスミ肉溶接部のルート部には溶け込み不足が発生する場合が多く、これを起点として母材の肉厚方向に疲労き裂が進展し、場合によっては貫通に至る可能性がある。このことから、欠陥の有無だけでなく欠陥の肉厚方向の大きさを評価できることが望まれる。従って、発電プラントの各種機器のスミ肉溶接部の超音波検査にはSH波探傷法は不向きである。
【0009】
一方、欠陥の大きさを評価できる超音波検査として、汎用的に用いられている一探触子法の直射法や二探触子法のタンデム探傷法では、被検査体の検査部位がスミ肉溶接部であることから幾何的な制約があり、探傷不能領域が生じて欠陥の大きさを評価できない場合がある。また、一探触子法の一回反射法による超音波検査では、探傷不能領域が生じ難いものの、ノイズが多く発生し欠陥の大きさを誤って評価する一因となる。
【0010】
図5は被検査体の検査部位がスミ肉溶接部である場合の斜角法による超音波検査の説明図であり、図5(a)は一探触子法の直射法の説明図、図5(b)は一探触子法の一回反射法の説明図、図5(c)は二探触子法のタンデム探傷法の説明図、図5(d)は二探触子法のV反射法の説明図である。
【0011】
図5(a)に示すように、被検査体11に別部材12がスミ肉溶接で溶接されており、一探触子法の直射法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合を考える。まず、探触子14をスミ肉部13に当接させ超音波16を所定の屈折角θで送信することになる。通常、屈折角は最大で70°程度であるので検査部位の欠陥15が小さい場合には超音波が欠陥15に入射できない探傷不能領域が生じ、探触子14はその反射波を受信することができない。すなわち、検査部位の欠陥15が探傷不能領域内である場合には欠陥15を検出することができない。
【0012】
また、図5(b)に示すように、一探触子法の一回反射法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合には、探傷不能領域が生じ難いが、探触子14と欠陥15との距離が長くなり、超音波の送信波と反射波とが干渉することがあるので、ノイズが多く発生し検査精度が落ちる。ノイズの大きさによっては検出不能になったり欠陥15の大きさを誤って評価したりすることがある。
【0013】
図6は、一探触子法の一回反射法による超音波検査の測定結果の説明図であり、図6(a)は被検査体が平板である場合の測定結果の説明図、図6(b)は被検査体が配管の場合の測定結果の説明図である。欠陥15の先端部15aおよび欠陥15の根本部15bでの反射波の大きさが大きくなっていることが分かるが、ノイズ17も混入している。
【0014】
次に、図5(c)に示すように、二探触子法のタンデム探傷法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合には、2個の探触子14a、14bを用意し、一方の探触子14aをスミ肉部13に当接させ、他方の探触子14bを一方の探触子14aと距離を保って配置する。そして、一方の探触子14aから超音波16を所定の屈折角θで送信し、他方の探触子14bで一方の探触子14aからの超音波16を受信することになる。この場合も、一探触子法の直射法の場合と同様に、屈折角は70°程度であるので検査部位の欠陥15が小さい場合には超音波が欠陥15に当たらない探傷不能領域が生じ、検査部位の欠陥15が探傷不能領域内である場合には欠陥15を検出することができない。
【0015】
図5(d)に示すように、二探触子法のV反射法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合には、検査部位を挟んで2個の探触子14a、14bを配置することになるが、被検査体11に別部材12をスミ肉溶接しているので、一方の探触子14aを被検査体11の表面に配置することができない。
【0016】
ノイズを含まないという点では二探触子法のタンデム探傷法が優れているが探傷不能領域が生じる。特に、ボイラ管のように肉厚が薄い被検査体11を超音波検査する場合には、肉厚に対して探傷不能領域の比率が大きくなり、超音波検査で欠陥15を検出できる範囲が狭くなる。図7は一探触子法の直射法で超音波検査をした場合の探傷不能領域の大きさの説明図である。いま、被検査体11はボイラ管であるとし、ボイラ管の肉厚をd、スミ肉溶接部13の脚長をa、探触子14の超音波入射点をb、探傷不能領域の深さをh、探触子14の屈折角をθとする。この場合の探傷不能領域の深さhは下記の(1)式で示される。
【0017】
h=(a+b)/tanθ …(1)
スミ肉溶接部13の脚長aはボイラ管の場合には通常5mm以上であり、探触子14の超音波入射点bは5mm〜10mm程度である。また、探触子14の屈折角θは45°、60°、70°のものがある。この条件の下で探傷不能領域の深さhを最小にするための条件、a=5mm、b=5mm、θ=70°を選択すると、探傷不能領域の最小の深さhは(1)式から、約3.64mmとなる。一方、被検査体11であるボイラ管の肉厚dは7mm程度であるので、探傷不能領域の比率は50%を超えてしまい、欠陥15の適正な検出ができない。
【0018】
このように、スミ肉溶接部の欠陥部位を超音波検査しようとした場合には、一探触子法の直射法や二探触子法のタンデム探傷法では探傷不能領域が生じ、また、一探触子法の一回反射法による超音波検査では、ノイズが多く発生し欠陥の大きさを精度良く検出することが難しい。また、二探触子法のV反射法では、一方の探触子を被検査体の表面に配置することができないので、超音波検査を行うことができない。
【0019】
本発明の目的は、被検査体のスミ肉溶接部の近傍の検査部位に対して、精度良く欠陥の大きさを検出することができる超音波検査方法および超音波検査治具を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る超音波検査方法は、被検査体の表面上に前記被検査体の検査部位を中心としてほぼ等距離で所定の角度を保って2個の探触子を配置し、前記2個の探触子の一方の探触子から前記被検査体の裏面で反射する反射波が前記検査部位に向くように超音波を送信し、前記一方の探触子から送信されて前記被検査体の裏面、前記検査部位および前記被検査体の裏面で反射された超音波を他方の探触子で受信し、前記他方の探触子で受信した超音波に基づいて前記被検査体の検査部位を検査することを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明に係る超音波検査治具は、被検査体の表面上に探触子が接触するようにそれぞれ前記探触子を保持する一対の治具本体と、前記一対の治具本体を開閉自在に接合し前記被検査体の検査部位を中心とした前記探触子間の角度を調節する蝶番と、前記治具本体に設けられ前記被検査体の検査部位から前記探触子までの距離を調節するためのスライド部と、前記探触子を保持し前記スライド部と係合して前記探触子を前記治具本体に取り付けるための保持部材とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明に係る超音波検査治具は、請求項2の発明において、前記保持部材と前記スライド部との取り付けおよび前記保持部材と前記探触子との間の取り付けは、取り付け面に対して回転調整自在としたことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法の説明図であり、図1(a)は平板の被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合の一部切り欠き正面図、図1(b)は図1(a)の矢印A方向から見た一部切り欠き平面図、 図1(c)は図1(a)の矢印B方向から見た一部切り欠き側面図である。
【0024】
図1(a)に示すように、平板の被検査体11に別部材12がスミ肉溶接で溶接されており、そのスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合について説明する。まず、被検査体の表面上に2個の探触子14a、14bを配置する。すなわち、図1(b)に示すように、被検査体11の表面上に被検査体11の検査部位(図1(b)では欠陥15の位置)を中心として、ほぼ等距離で所定の角度αを保って2個の探触子14a、14bを配置する。
【0025】
次に、図1(c)に示すように、一方の探触子14aから被検査体11の裏面(X1点)で反射する反射波16bが検査部位(欠陥15)に向くように超音波16aを送信する。被検査体11の裏面(X1点)で反射した反射波16bは、検査部位(欠陥15)で反射して反射波16cとなり、さらに、被検査体11の裏面(X2点)で反射して反射波16dとなって他方の探触子14bで受信される。そして、他方の探触子14bで受信した超音波に基づいて被検査体11の検査部位(欠陥15)を検査することになる。
【0026】
以上の説明は、被検査体11が平板である場合について説明したが、配管のように円筒形状である被検査体11に対しても適用できる。図2は、円筒形状の被検査体11に本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法を適用した場合の説明図であり、図2(a)は一部切り欠き斜視図、図2(b)はY−Y’線での断面図である。図2では別部材12およびスミ肉溶接部13の図示を省略している。この場合も、図1に示した平板の被検査体11の場合と同様に、円筒形状の被検査体11の表面上に被検査体11の検査部位(欠陥15)を中心として、ほぼ等距離で所定の角度αを保って2個の探触子14a、14bを配置し、一方の探触子14aから被検査体11の裏面(X1点)で反射する反射波16bが検査部位(欠陥15)に向くように超音波16aを送信する。これにより、検査部位(欠陥15)で反射した反射波16cを被検査体11の裏面(X2点)で反射し、その反射波16dを他方の探触子14bで受信する。
【0027】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法では、2個の探触子14a、14bをスミ肉溶接部13に対してV字型に配置し、一方の探触子14aから超音波を送信し、検査部位(欠陥15)からの反射波16c、16dを他方の探触子14bで受信する。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法による超音波検査の測定結果の説明図であり、図3(a)は被検査体が平板である場合の測定結果の説明図、図3(b)は被検査体が配管の場合の測定結果の説明図である。ノイズ17も混入がほとんどなく、欠陥15の先端部15aおよび欠陥15の根本部15bでの反射波の大きさが大きくなっていることが分かる。
【0029】
第1の実施の形態によれば、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部近傍に発生した欠陥15を探傷不能領域が生じることなく検出できる。探傷不能領域が生じないので、特に、肉厚が薄い被検査体11に対して有効である。また、超音波の送信波と反射波とが干渉することがないのでノイズの発生が抑制でき、欠陥15の大きさも精度良く検出できる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図4は本発明の第2の実施の形態に係る超音波検査治具の説明図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は被検査体に配置した場合の平面図である。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態の超音波検査方法を実現するために、2個の探触子14a、14bを被検査体11の表面に配置するための超音波検査治具18である。
【0031】
図4(a)に示すように、超音波検査治具18は、蝶番19で接合された一対の治具本体20a、20bを有する。一対の治具本体20a、20bは、被検査体11の表面上にそれぞれ探触子14a、14bが接触するように、それぞれの探触子14a、14bを保持するものであり、治具本体20a、20bのスライド部21a、21bに、探触子14a、14bを保持するための保持部材22a、22bが取り付けられて、それぞれの探触子14a、14bを保持する。
【0032】
保持部材22a、22bのスライド部21a、21bへの取り付けは、取付具23a、23bにより、取り付け位置を調整することにより行われる。また、探触子14a、14bの保持部材22a、22bへの取り付けは、調整具24a、24bで行われる。保持部材22a、22bは、図4(a)に示すように、探触子14a、14bが治具本体20a、20bの下方に位置するように、探触子14a、14bを保持しており、被検査体11の表面に探触子14a、14bを配置した状態では、治具本体20a、20bが被検査体11の表面に接触しないようにしている。
【0033】
また、図4(b)に示すように、保持部材22a、22bは探触子14a、14bの位置が治具本体20a、20bに対して平行ではなく外側方向に向けて所定の角度βをもって配置されている。これにより、蝶番19の頂点が検査部位(欠陥15)と重複することを避けるようにしている。
【0034】
そして、保持部材22a、22bのスライド部21a、21bへの取り付け位置を調整することにより、被検査体11の検査部位(欠陥15)から探触子14a、14bまでの距離を調節し、蝶番19の開度γを調節することにより、被検査体11の検査部位(欠陥15)を中心とした探触子14a、14b間の角度αを調節する。
【0035】
また、配管など曲率のある被検査体11上に、探触子14a、14bを配置する場合には、スライド部21a、21bへの取付具23a、23bおよび保持部材22a、22bへの調整具24a、24bの取付位置を回転調節することにより、被検査体11の曲率に合わせて探触子14a、14bを配置する。
【0036】
一方、探触子として、本出願人の先の特許出願(特願2003−9170号)の探触子を用いる場合には、スライド部21a、21bへの取付具23a、23bおよび保持部材22a、22bへの調整具24a、24bの取付位置を回転調節する必要がない。すなわち、特願2003−9170号の探触子は、探触子自体が柔軟性を有し、様々な曲率を有した被検査体に対して、被検査体11との間に隙間が生じないように配置できるものである。
【0037】
従って、この探触子14a、14bを使用する場合には、回転調整ができる取付具23a、23bや調整具24a、24bを用いる必要がなく、直接的に治具本体20a、20bに探触子14a、14bを取り付けるようにして良い。なお、この場合においても、被検査体11の表面に探触子14a、14bを配置した状態では、治具本体20a、20bが被検査体11の表面に接触しないように、探触子14a、14bを取り付けることになる。
【0038】
第2の実施の形態によれば、被検査体11が平板でない配管など曲率のある被検査体11であっても、その曲率に合わせて探触子を配置することができるので、配管など曲率のある被検査体11のスミ肉溶接部に対して適正に超音波検査を行うことができる。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の超音波検査方法によれば、被検査体のスミ肉溶接部近傍の一方側から、探傷不能領域が生じることなくスミ肉部溶接部の欠陥の大きさを検出することができる。また、超音波の送信波と反射波とが干渉することがないのでノイズの発生が抑制でき、欠陥15の大きさも精度良く検出できる。
【0040】
本発明の超音波検査治具によれば、配管など曲率のある被検査体のスミ肉溶接部に対しても、2個の探触子を被検査体のスミ肉溶接部近傍の一方側から保持できるので、配管など曲率のある被検査体のスミ肉溶接部に対しても適正に超音波検査を行うことができる。
【0041】
これにより、発電プラントの設備の劣化及び損傷程度を正確に評価することができるので、設備の交換時期を適正に判断できる。例えば、ボイラ管は過去の実績から使用期間を考慮に入れ安全性を見込んで交換しているが、欠陥の発生していないボイラ管を安全性を見込んで早期に交換をすることがなくなり、無用なコストの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法の説明図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法を円筒形状の被検査体に適用した場合の説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法による超音波検査の測定結果の説明図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る超音波検査治具の説明図。
【図5】被検査体の検査部位がスミ肉溶接部である場合の斜角法による超音波検査の説明図。
【図6】一探触子法の一回反射法による超音波検査の測定結果の説明図。
【図7】一探触子法の直射法で超音波検査をした場合の探傷不能領域の大きさの説明図。
【符号の説明】
11…被検査体、12…別部材、13…スミ肉溶接部、14…探触子、15…欠陥、16…超音波、17…ノイズ、18…超音波検査治具、19…蝶番、20…治具本体、21…スライド部、22…保持部材、23…取付具、24…調整具
【発明の属する技術分野】
本発明は、肉厚の薄い被検査体の欠陥を検査する超音波探傷に係り、特にスミ肉溶接部の疲労き裂を探傷するのに適した超音波検査方法および超音波検査治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電プラントにおいては、プラント構成機器の健全性を評価するために超音波検査(UT)が実施されている。例えば、蒸気管や給排水管は、被検査体である配管の表面に超音波探触子(以下単に探触子という)を設置し、探触子から被検査体内部に超音波を送信して、被検査体内部の欠陥部位からの反射波を受信し、被検査体内部の欠陥を検出するようにしている。
【0003】
一般に、超音波検査は、探触子から被検査体に対して所定の屈折角で超音波を送信し、欠陥部位からの反射波を探触子で受信して欠陥部位を検出する斜角法で行われる。例えば、1個の探触子を用いて直接的に欠陥部位に超音波を送信し欠陥部位からの反射波を直接的に受信する直射法や、探触子からの超音波を一旦被検査体の裏面で反射させて欠陥部位に送信し、欠陥部位からの反射波を被検査体の裏面で反射させて受信する反射法が用いられる。また、2個の探触子を用いて、一方の探触子を送信用探触子として使用し、他方の探触子を受信用として使用するタンデム探傷法も用いられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、探触子から被検査体に対して所定の屈折角で超音波を送信する斜角法では、被検査体の表面部の欠陥部位が検査できない場合があることから、被検査体の表面を超音波検査できるSH波探傷法が開発されている。このSH波探傷法は、被検査体の表面直下を被検査体表面に平行に伝搬するSH波を発振できる表面SH波探触子を用い、建築業界の鉄骨溶接などのスミ肉溶接部の超音波検査を行うものであり、鉄骨溶接などのスミ肉溶接部の欠陥の有無を評価するものである(非特許文献2参照)。
【0005】
【非特許文献1】
社団法人 日本非破壊検査協会 「非破壊検査技術シリーズ 超音波探傷試験II」 1990 p66 p81
【0006】
【非特許文献2】
社団法人 日本非破壊検査協会 「非破壊検査 検査と材料評価」 VOL.52,No.1 Jan.2003 p3、p4
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このSH波探傷法ではスミ肉溶接部の欠陥の有無は検出できるが、被検査体の表面直下を被検査体表面に平行に伝搬するSH波であるため、欠陥の深さ方向(表面からの肉厚方向)の欠陥の大きさの評価をすることが困難である。また、探触子を被検査体に接触させる場合に使用する接触媒質の粘性が高いので探触子の走査が難しく、適用される分野が限定されている。
【0008】
発電プラントにおいては、例えば、ボイラ管を始め様々の機器にスミ肉溶接部が存在し、そのスミ肉溶接部のルート部には溶け込み不足が発生する場合が多く、これを起点として母材の肉厚方向に疲労き裂が進展し、場合によっては貫通に至る可能性がある。このことから、欠陥の有無だけでなく欠陥の肉厚方向の大きさを評価できることが望まれる。従って、発電プラントの各種機器のスミ肉溶接部の超音波検査にはSH波探傷法は不向きである。
【0009】
一方、欠陥の大きさを評価できる超音波検査として、汎用的に用いられている一探触子法の直射法や二探触子法のタンデム探傷法では、被検査体の検査部位がスミ肉溶接部であることから幾何的な制約があり、探傷不能領域が生じて欠陥の大きさを評価できない場合がある。また、一探触子法の一回反射法による超音波検査では、探傷不能領域が生じ難いものの、ノイズが多く発生し欠陥の大きさを誤って評価する一因となる。
【0010】
図5は被検査体の検査部位がスミ肉溶接部である場合の斜角法による超音波検査の説明図であり、図5(a)は一探触子法の直射法の説明図、図5(b)は一探触子法の一回反射法の説明図、図5(c)は二探触子法のタンデム探傷法の説明図、図5(d)は二探触子法のV反射法の説明図である。
【0011】
図5(a)に示すように、被検査体11に別部材12がスミ肉溶接で溶接されており、一探触子法の直射法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合を考える。まず、探触子14をスミ肉部13に当接させ超音波16を所定の屈折角θで送信することになる。通常、屈折角は最大で70°程度であるので検査部位の欠陥15が小さい場合には超音波が欠陥15に入射できない探傷不能領域が生じ、探触子14はその反射波を受信することができない。すなわち、検査部位の欠陥15が探傷不能領域内である場合には欠陥15を検出することができない。
【0012】
また、図5(b)に示すように、一探触子法の一回反射法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合には、探傷不能領域が生じ難いが、探触子14と欠陥15との距離が長くなり、超音波の送信波と反射波とが干渉することがあるので、ノイズが多く発生し検査精度が落ちる。ノイズの大きさによっては検出不能になったり欠陥15の大きさを誤って評価したりすることがある。
【0013】
図6は、一探触子法の一回反射法による超音波検査の測定結果の説明図であり、図6(a)は被検査体が平板である場合の測定結果の説明図、図6(b)は被検査体が配管の場合の測定結果の説明図である。欠陥15の先端部15aおよび欠陥15の根本部15bでの反射波の大きさが大きくなっていることが分かるが、ノイズ17も混入している。
【0014】
次に、図5(c)に示すように、二探触子法のタンデム探傷法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合には、2個の探触子14a、14bを用意し、一方の探触子14aをスミ肉部13に当接させ、他方の探触子14bを一方の探触子14aと距離を保って配置する。そして、一方の探触子14aから超音波16を所定の屈折角θで送信し、他方の探触子14bで一方の探触子14aからの超音波16を受信することになる。この場合も、一探触子法の直射法の場合と同様に、屈折角は70°程度であるので検査部位の欠陥15が小さい場合には超音波が欠陥15に当たらない探傷不能領域が生じ、検査部位の欠陥15が探傷不能領域内である場合には欠陥15を検出することができない。
【0015】
図5(d)に示すように、二探触子法のV反射法にて、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合には、検査部位を挟んで2個の探触子14a、14bを配置することになるが、被検査体11に別部材12をスミ肉溶接しているので、一方の探触子14aを被検査体11の表面に配置することができない。
【0016】
ノイズを含まないという点では二探触子法のタンデム探傷法が優れているが探傷不能領域が生じる。特に、ボイラ管のように肉厚が薄い被検査体11を超音波検査する場合には、肉厚に対して探傷不能領域の比率が大きくなり、超音波検査で欠陥15を検出できる範囲が狭くなる。図7は一探触子法の直射法で超音波検査をした場合の探傷不能領域の大きさの説明図である。いま、被検査体11はボイラ管であるとし、ボイラ管の肉厚をd、スミ肉溶接部13の脚長をa、探触子14の超音波入射点をb、探傷不能領域の深さをh、探触子14の屈折角をθとする。この場合の探傷不能領域の深さhは下記の(1)式で示される。
【0017】
h=(a+b)/tanθ …(1)
スミ肉溶接部13の脚長aはボイラ管の場合には通常5mm以上であり、探触子14の超音波入射点bは5mm〜10mm程度である。また、探触子14の屈折角θは45°、60°、70°のものがある。この条件の下で探傷不能領域の深さhを最小にするための条件、a=5mm、b=5mm、θ=70°を選択すると、探傷不能領域の最小の深さhは(1)式から、約3.64mmとなる。一方、被検査体11であるボイラ管の肉厚dは7mm程度であるので、探傷不能領域の比率は50%を超えてしまい、欠陥15の適正な検出ができない。
【0018】
このように、スミ肉溶接部の欠陥部位を超音波検査しようとした場合には、一探触子法の直射法や二探触子法のタンデム探傷法では探傷不能領域が生じ、また、一探触子法の一回反射法による超音波検査では、ノイズが多く発生し欠陥の大きさを精度良く検出することが難しい。また、二探触子法のV反射法では、一方の探触子を被検査体の表面に配置することができないので、超音波検査を行うことができない。
【0019】
本発明の目的は、被検査体のスミ肉溶接部の近傍の検査部位に対して、精度良く欠陥の大きさを検出することができる超音波検査方法および超音波検査治具を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る超音波検査方法は、被検査体の表面上に前記被検査体の検査部位を中心としてほぼ等距離で所定の角度を保って2個の探触子を配置し、前記2個の探触子の一方の探触子から前記被検査体の裏面で反射する反射波が前記検査部位に向くように超音波を送信し、前記一方の探触子から送信されて前記被検査体の裏面、前記検査部位および前記被検査体の裏面で反射された超音波を他方の探触子で受信し、前記他方の探触子で受信した超音波に基づいて前記被検査体の検査部位を検査することを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明に係る超音波検査治具は、被検査体の表面上に探触子が接触するようにそれぞれ前記探触子を保持する一対の治具本体と、前記一対の治具本体を開閉自在に接合し前記被検査体の検査部位を中心とした前記探触子間の角度を調節する蝶番と、前記治具本体に設けられ前記被検査体の検査部位から前記探触子までの距離を調節するためのスライド部と、前記探触子を保持し前記スライド部と係合して前記探触子を前記治具本体に取り付けるための保持部材とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明に係る超音波検査治具は、請求項2の発明において、前記保持部材と前記スライド部との取り付けおよび前記保持部材と前記探触子との間の取り付けは、取り付け面に対して回転調整自在としたことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法の説明図であり、図1(a)は平板の被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合の一部切り欠き正面図、図1(b)は図1(a)の矢印A方向から見た一部切り欠き平面図、 図1(c)は図1(a)の矢印B方向から見た一部切り欠き側面図である。
【0024】
図1(a)に示すように、平板の被検査体11に別部材12がスミ肉溶接で溶接されており、そのスミ肉溶接部13のルート部を検査部位として超音波検査する場合について説明する。まず、被検査体の表面上に2個の探触子14a、14bを配置する。すなわち、図1(b)に示すように、被検査体11の表面上に被検査体11の検査部位(図1(b)では欠陥15の位置)を中心として、ほぼ等距離で所定の角度αを保って2個の探触子14a、14bを配置する。
【0025】
次に、図1(c)に示すように、一方の探触子14aから被検査体11の裏面(X1点)で反射する反射波16bが検査部位(欠陥15)に向くように超音波16aを送信する。被検査体11の裏面(X1点)で反射した反射波16bは、検査部位(欠陥15)で反射して反射波16cとなり、さらに、被検査体11の裏面(X2点)で反射して反射波16dとなって他方の探触子14bで受信される。そして、他方の探触子14bで受信した超音波に基づいて被検査体11の検査部位(欠陥15)を検査することになる。
【0026】
以上の説明は、被検査体11が平板である場合について説明したが、配管のように円筒形状である被検査体11に対しても適用できる。図2は、円筒形状の被検査体11に本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法を適用した場合の説明図であり、図2(a)は一部切り欠き斜視図、図2(b)はY−Y’線での断面図である。図2では別部材12およびスミ肉溶接部13の図示を省略している。この場合も、図1に示した平板の被検査体11の場合と同様に、円筒形状の被検査体11の表面上に被検査体11の検査部位(欠陥15)を中心として、ほぼ等距離で所定の角度αを保って2個の探触子14a、14bを配置し、一方の探触子14aから被検査体11の裏面(X1点)で反射する反射波16bが検査部位(欠陥15)に向くように超音波16aを送信する。これにより、検査部位(欠陥15)で反射した反射波16cを被検査体11の裏面(X2点)で反射し、その反射波16dを他方の探触子14bで受信する。
【0027】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法では、2個の探触子14a、14bをスミ肉溶接部13に対してV字型に配置し、一方の探触子14aから超音波を送信し、検査部位(欠陥15)からの反射波16c、16dを他方の探触子14bで受信する。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法による超音波検査の測定結果の説明図であり、図3(a)は被検査体が平板である場合の測定結果の説明図、図3(b)は被検査体が配管の場合の測定結果の説明図である。ノイズ17も混入がほとんどなく、欠陥15の先端部15aおよび欠陥15の根本部15bでの反射波の大きさが大きくなっていることが分かる。
【0029】
第1の実施の形態によれば、被検査体11のスミ肉溶接部13のルート部近傍に発生した欠陥15を探傷不能領域が生じることなく検出できる。探傷不能領域が生じないので、特に、肉厚が薄い被検査体11に対して有効である。また、超音波の送信波と反射波とが干渉することがないのでノイズの発生が抑制でき、欠陥15の大きさも精度良く検出できる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図4は本発明の第2の実施の形態に係る超音波検査治具の説明図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は被検査体に配置した場合の平面図である。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態の超音波検査方法を実現するために、2個の探触子14a、14bを被検査体11の表面に配置するための超音波検査治具18である。
【0031】
図4(a)に示すように、超音波検査治具18は、蝶番19で接合された一対の治具本体20a、20bを有する。一対の治具本体20a、20bは、被検査体11の表面上にそれぞれ探触子14a、14bが接触するように、それぞれの探触子14a、14bを保持するものであり、治具本体20a、20bのスライド部21a、21bに、探触子14a、14bを保持するための保持部材22a、22bが取り付けられて、それぞれの探触子14a、14bを保持する。
【0032】
保持部材22a、22bのスライド部21a、21bへの取り付けは、取付具23a、23bにより、取り付け位置を調整することにより行われる。また、探触子14a、14bの保持部材22a、22bへの取り付けは、調整具24a、24bで行われる。保持部材22a、22bは、図4(a)に示すように、探触子14a、14bが治具本体20a、20bの下方に位置するように、探触子14a、14bを保持しており、被検査体11の表面に探触子14a、14bを配置した状態では、治具本体20a、20bが被検査体11の表面に接触しないようにしている。
【0033】
また、図4(b)に示すように、保持部材22a、22bは探触子14a、14bの位置が治具本体20a、20bに対して平行ではなく外側方向に向けて所定の角度βをもって配置されている。これにより、蝶番19の頂点が検査部位(欠陥15)と重複することを避けるようにしている。
【0034】
そして、保持部材22a、22bのスライド部21a、21bへの取り付け位置を調整することにより、被検査体11の検査部位(欠陥15)から探触子14a、14bまでの距離を調節し、蝶番19の開度γを調節することにより、被検査体11の検査部位(欠陥15)を中心とした探触子14a、14b間の角度αを調節する。
【0035】
また、配管など曲率のある被検査体11上に、探触子14a、14bを配置する場合には、スライド部21a、21bへの取付具23a、23bおよび保持部材22a、22bへの調整具24a、24bの取付位置を回転調節することにより、被検査体11の曲率に合わせて探触子14a、14bを配置する。
【0036】
一方、探触子として、本出願人の先の特許出願(特願2003−9170号)の探触子を用いる場合には、スライド部21a、21bへの取付具23a、23bおよび保持部材22a、22bへの調整具24a、24bの取付位置を回転調節する必要がない。すなわち、特願2003−9170号の探触子は、探触子自体が柔軟性を有し、様々な曲率を有した被検査体に対して、被検査体11との間に隙間が生じないように配置できるものである。
【0037】
従って、この探触子14a、14bを使用する場合には、回転調整ができる取付具23a、23bや調整具24a、24bを用いる必要がなく、直接的に治具本体20a、20bに探触子14a、14bを取り付けるようにして良い。なお、この場合においても、被検査体11の表面に探触子14a、14bを配置した状態では、治具本体20a、20bが被検査体11の表面に接触しないように、探触子14a、14bを取り付けることになる。
【0038】
第2の実施の形態によれば、被検査体11が平板でない配管など曲率のある被検査体11であっても、その曲率に合わせて探触子を配置することができるので、配管など曲率のある被検査体11のスミ肉溶接部に対して適正に超音波検査を行うことができる。
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の超音波検査方法によれば、被検査体のスミ肉溶接部近傍の一方側から、探傷不能領域が生じることなくスミ肉部溶接部の欠陥の大きさを検出することができる。また、超音波の送信波と反射波とが干渉することがないのでノイズの発生が抑制でき、欠陥15の大きさも精度良く検出できる。
【0040】
本発明の超音波検査治具によれば、配管など曲率のある被検査体のスミ肉溶接部に対しても、2個の探触子を被検査体のスミ肉溶接部近傍の一方側から保持できるので、配管など曲率のある被検査体のスミ肉溶接部に対しても適正に超音波検査を行うことができる。
【0041】
これにより、発電プラントの設備の劣化及び損傷程度を正確に評価することができるので、設備の交換時期を適正に判断できる。例えば、ボイラ管は過去の実績から使用期間を考慮に入れ安全性を見込んで交換しているが、欠陥の発生していないボイラ管を安全性を見込んで早期に交換をすることがなくなり、無用なコストの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法の説明図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法を円筒形状の被検査体に適用した場合の説明図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る超音波検査方法による超音波検査の測定結果の説明図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る超音波検査治具の説明図。
【図5】被検査体の検査部位がスミ肉溶接部である場合の斜角法による超音波検査の説明図。
【図6】一探触子法の一回反射法による超音波検査の測定結果の説明図。
【図7】一探触子法の直射法で超音波検査をした場合の探傷不能領域の大きさの説明図。
【符号の説明】
11…被検査体、12…別部材、13…スミ肉溶接部、14…探触子、15…欠陥、16…超音波、17…ノイズ、18…超音波検査治具、19…蝶番、20…治具本体、21…スライド部、22…保持部材、23…取付具、24…調整具
Claims (3)
- 被検査体の表面上に前記被検査体の検査部位を中心としてほぼ等距離で所定の角度を保って2個の探触子を配置し、前記2個の探触子の一方の探触子から前記被検査体の裏面で反射する反射波が前記検査部位に向くように超音波を送信し、前記一方の探触子から送信されて前記被検査体の裏面、前記検査部位および前記被検査体の裏面で反射された超音波を他方の探触子で受信し、前記他方の探触子で受信した超音波に基づいて前記被検査体の検査部位を検査することを特徴とする超音波検査方法。
- 被検査体の表面上に探触子が接触するようにそれぞれ前記探触子を保持する一対の治具本体と、前記一対の治具本体を開閉自在に接合し前記被検査体の検査部位を中心とした前記探触子間の角度を調節する蝶番と、前記治具本体に設けられ前記被検査体の検査部位から前記探触子までの距離を調節するためのスライド部と、前記探触子を保持し前記スライド部と係合して前記探触子を前記治具本体に取り付けるための保持部材とを備えたことを特徴とする超音波検査治具。
- 前記保持部材と前記スライド部との取り付けおよび前記保持部材と前記探触子との間の取り付けは、取り付け面に対して回転調整自在としたことを特徴とする請求項2記載の超音波検査治具。
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