JP2004264098A - 位置測定システム用ゲージ - Google Patents
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Abstract
【課題】
【解決手段】ゲージ(1)に入力された照射光(5)が出射する明場(8)と入力された照射光(5)が出射されない暗場(11)とからなり、かつ、明場(8)と暗場(11)とは同一平面に配列されているピッチ構造(3)を有し、2つの領域の少なくとも一方で投射された前記照射光(5)はゲージ(1)に形成された少なくとも一方の面(9或いは10)によって反射されて前記の面の方向に屈折される、位置測定システムのためのゲージ(1)である。
【選択図】 図2
【解決手段】ゲージ(1)に入力された照射光(5)が出射する明場(8)と入力された照射光(5)が出射されない暗場(11)とからなり、かつ、明場(8)と暗場(11)とは同一平面に配列されているピッチ構造(3)を有し、2つの領域の少なくとも一方で投射された前記照射光(5)はゲージ(1)に形成された少なくとも一方の面(9或いは10)によって反射されて前記の面の方向に屈折される、位置測定システムのためのゲージ(1)である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振幅回折格子として形成され、ゲージに入力された照射光が出射する明場(bright field)と入力光が出射しない暗場(dark field)とからなるピッチ構造を有し、明場と暗場とは1つの平面に配列される、位置測定システム用ゲージに関する。
【0002】
【従来の技術】
スケール(目盛板)やインデクスディスク等の、長さや角度測定のためのフォトエレクトリック位置測定装置用のゲージは、本体を形成するピッチキャリアと、その上のピッチ構造とからなることが望ましい。そのピッチ構造は適当な走査単位で走査されて、変位に依存した変調信号を発生する。これは、光学走査理論に基いて、透過光法や入射光法によって行われる。技術雑誌「F&M Feinwerktechnik und Messtechnik,Jg.88,Heft7,S.333〜388」には入射光測定システムの多くの利点が記載されている。透過光測定システムと比較した主要な利点は、設置が容易、低価格、およびロバストなことである。
【0003】
得られる情報により、複数のタイプの構造やコーディングを区別し得る。並列や直列に配列された基準マークや絶対コーディング構造の有無に拘らず、純粋な付加構造が代表的である。
【0004】
更に、振幅ピッチ構造、位相ピッチ構造、光回折ピッチ構造、及びそれらの組合せ等の、多様なピッチ設計が知られている。ドイツ特許出願第19,639,499号およびドイツ特許出願第19,502,727号には、位相回折格子は振幅回折格子と比較してより高い変調を許容すると記載されている。従来の位相回折格子はステップグリッドからなる。これらの引例はステップグリッドを形成するための多様な製法も論じている。すでに明らかなように、これらの方法はすべて非常に複雑で従って高価である。
【0005】
従って、殆どの場合、技術的に簡単な振幅回折格子が使用される。英国特許第0,160,784号には振幅回折格子をフォトリソグラフィで製造する方法が記載されている。位相回折格子よりも安価であるが、やはり多大な、非常に高価な特殊技術と特殊な装置を必要とする。更に、その回折格子は入射光用にのみ適している。
【0006】
フォトリソグラフィにより構造作製される薄い金属層システムを使用して、好ましくは、透過光法における精密なピッチのために現在広く使用されているガラスピッチキャリア上に、ピッチを形成するための技術的基本は、1997年9月のハイデンハイム(Heidenheim)社の小冊子「角度測定システム」に記載されているが、すべて60年代や70年代にさかのぼり、殆ど変化していない。この場合も製造法はやはり複雑で高価である。
【0007】
PWBテクノロジのProduct Overview2001中に記載されているように、ポリエステル膜上の光乳液を基に作製される振幅回折格子におけるピッチはそれほど複雑ではない。しかしながらこのピッチは、ベース材料(ピッチキャリア)としてシート状の従来の膜材料が使用される場合は低精密であり、ベース材料としてガラスフォトプレートが使用される場合は非常に高価である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のタイプのゲージ、かつ、精密な用途に適合する安価な製造法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるとそれは、暗場や明場に入射された照射光は、暗場或いは明場の面に対して傾斜した、ゲージ上の少なくとも一方の面によって反射される、上述のタイプのゲージによって達成される。従って、本発明によるゲージは、入射光法と透過光法との双方に使用され得る。
【0010】
透過光法において、ゲージに入力された照射光は明場で透過され、その照射光は明光の放射に応答する検出器によって検出され得る領域を提供する。しかしながら、暗場では透過は起こらないので検出器は検知しない。入射光法では逆である。照射光は明場でのみ検出器に逆反射され、暗場では逆反射は起こらない。
【0011】
透過光法は、明場と暗場とのコントラストが大きく、従って深い変調が可能なので、応用の面では有利である。しかしながら、透過光法の不利な点は、位置測定システムのゲージを逆側から接近させることである。この点では、入射光法は操作し易い。本発明のゲージは両方法に同等に適しているので、多様な応用の際の要求に良く適応するという利点がある。
【0012】
下記の本発明や利点の記載において、特に述べない限り透過光法におけるゲージの使用について説明する。
本発明は傾斜面の2つの異なる作用理論を提供する。第1 の作用理論によると、傾斜面は1つ以上の暗場を生成し、明場と共にゲージのピッチ構造を形成する役目をする。第2の可能性によると、傾斜面は、ゲージの光入力面に向かった照射光をゲージ内で屈折させる。従って、照射光は光入力側に相対して位置する光出力側には出力されない。この第2の作用理論については後述する。
【0013】
傾斜面の第1の作用理論によると、透過光法においては、その傾斜面は、検出装置のある光出力側に出ずに、ゲージの光入力側に向かう照射光を屈折することにより、ゲージ内で暗場を発生する役目をする。従って、この領域では照射光は透過されず、暗場が形成される。しかしながら、ゲージ上に傾斜面が形成されないと、照射光は光出力側に透過されて、明場がゲージの光出力側に出現する。
【0014】
同様の理論が入射光法において使用されるゲージにも用いられる。上述の如く、入射光法においては、照射光源と検出器とはゲージの同一側に配置されており、照射光が検出側に向かわずにゲージを通過する領域は、暗場となる。入射光法においては、明場は、傾斜面が、ゲージ方向に向かう照射光を検出装置へ屈折させる領域に形成される。従って、透過光法の理論とは反対に、入射光法においては、傾斜面は明場を生成する効果を有する。
【0015】
傾斜面における反射は多様な方法で達成され得る。従って、傾斜面に、例えば薄いクロム膜等の反射被覆を施すことは可能である。しかしながら、反射のために、ゲージ材料とその周辺の空気との間の屈折率の差異を利用して、照射光の全反射に適する方法で傾斜面を形成すると非常に簡単である。従って、薄膜被覆を施す工程が削除され、ゲージの製造コストが軽減される。
【0016】
特に、ゲージの多様な寸法の明場と暗場との製造を容易にするために、ゲージ中の凹部の境界として傾斜面を形成すると好都合である。この方法により、ゲージの高精密加工は機械的ツールを使用して達成し得るので、簡単な方法で高精密なピッチ構造が得られる。複雑なリソグラフィ工程は除外され得る。
【0017】
従って、傾斜面が上記の機能を果たす範囲で、ゲージの多様な形状の凹みが考えられる。傾斜面はV字傾斜が好ましい。なぜならこれが、屈折率に大きな差異があり、全反射し易い2つの物質の境界を形成し、従って明場と暗場との間の良いコントラストが得られる簡単な方法である。
【0018】
本発明の別の実施例において、一対の傾斜面が反射とプリズム構造としての役割とを果たすために使用される前述のV型凹みの配列は、1度の操作で作製され得る。従って、製造の観点からは、ゲージ中のV字型凹みの境界でプリズム構造を有する傾斜面を形成することが好ましい。
【0019】
一つの面に、傾斜面と場の領域とが直列に配列されたその領域は、ゲージのピッチ構造を形成し、付加システム中で同様の寸法を有するのが一般的である。しかしながら、例えば、基準マークを形成するために異なる寸法になっても良い。傾斜面によって限定される領域の寸法の変化は、ゲージの材料中の対応する深さにV型凹みをカットすることにより得られる。また、傾斜面を有する領域は、互いに直接隣接する複数のV型凹みを配列することにより拡がる。その結果、照射方向を横切る長手方向から見ると、ゲージの表面はジグザグのプロファイルになる。
【0020】
ゲージ中に一定の深さのV型凹みをカットすると、ゲージの一方の面に、傾斜面の領域と隣接する平面との間に平行な境界線が得られる。しかし、角度測定のためのディスク型ゲージにおいては、明場と暗場との間で同様な走査状態を得るためには、半径に独立で、放射状に拡がる境界線を有する明場と暗場とが必要である。これは、ディスク形状のゲージの中心に向かって深さが減少するV型凹みを組み込むことによって達成される。
【0021】
この様に、他の領域とは異なる寸法の明場や暗場の基準マークと、例えば、互いに隣接して配列されている明場や暗場による複数の線を有する絶対コーディング化と、は共にディスク形状のゲージと直線状のゲージとに形成され得る。
【0022】
ゲージの構造形成された表面の汚れを防止するために、層を付加的に被覆することが望ましい。これにより、水滴、油滴、蒸気等の汚れ粒子の沈積を防止する。このような汚れ防止は、傾斜面の屈折条件が変化し、それによる全反射の阻害を防止するので有効である。
【0023】
別の実施例において、構造形成された面よりも汚れ難くて清浄化しやすい、平坦表面を形成しても良い。好都合なことに、表面の平坦化は、ゲージの凹みに屈折率がゲージ物質と大きく異なる部品を詰めることにより達成される。この方法により、一方では平坦表面が得られ、他方では、ゲージの凹みの傾斜面での全反射が常に維持され得る。また、傾斜面は、例えば光不透過ワニスやクロム被覆等の被覆によっても形成され得る。或いは、詰める部品の物質に拘らず全反射を保証するために、部品が詰められる前の傾斜面の間に空隙が保証されればよい。
【0024】
ゲージの長寿命化のために、ゲージ材料は可能な限り安定で強いことが望ましい。寸法の安定性についても同じことが言える。他方では、機械加工のためには、加工しやすい、即ち軟らかい材料が有利である。これらの本質的に相反する要求は、例えば、ガラスのような熱的や機械的に安定な材料から形成されるピッチキャリアと、プラスチックのピッチ構造とからなるゲージによって達成され得る。従って、複合体のゲージが形成される。
【0025】
透過光法においては、ピッチ構造は一方では、明場と暗場との間のコントラストが強いことにより、より高い読み取り精度が可能であり、他方では、両側からアクセス可能なゲージという点で、透過光法は入射光法のための位置測定装置よりも不利なので、両方法の利点を組み合わせることが望ましい。結局、上記のゲージ上の傾斜面の第2の作用理論が使用される。そのようなゲージは照射光の入力のための光入力面と入力光の検出のための検出面とからなり、その入力面と検出面とは、相互に相対してはいない面に位置し、傾斜面は、照射光を光入力面から検出面に屈折させるために形成される。
【0026】
これは、ピッチ構造は、透過光モードで働くが、光入力と検出とがゲージの相対する面に配置される必要が無いところでは許容される。例えば、傾斜面に入力される光の角度や傾斜面から出力される光の角度は、45°に選択され、従って、照射源と検出装置とは互いに90°の角度で配置される。
【0027】
この方法におけるゲージ構造においては、照射装置と検出装置とは、透過光法においては互いに相対しては配置されないほうが良い。そのゲージは相対する二面からアクセスされる必要は無い。
【0028】
応用上の利点があるならば、ピッチ構造は光入力面の領域に配置されてもよい。しかしながら、ピッチ構造は検出面に配置されるほうがよい。それにより、より精密な読み出しが得られる。ピッチ構造が検出装置により接近して配置され、照射光の屈折による散乱が回避される。
【0029】
長手方向の微小な機械的および温度変化による寸法精密度が必要なので、特に非常に長い寸法の場合、スケール用に選択される材料は高機械的弾性率が要求される。他方において、ゲージの簡単な製造のためには、プラスチック材料等の低機械的弾性率を有する加工し易い材料が望まれる。これらの相反する要求を満たすためには、高精密ピッチ構造はガラスで作製され、ピッチキャリアは光学的に透明なプラスチック材料、好ましくはポリアミド、で作製する。結局、長い、低価格で軽量の押し出しプロファイルが使用され得る。しかしながら、スケールの温度依存性を軽減し、機械的強度を付与するために、ピッチキャリアは、例えば、鋼のような収納プロファイルにピッチキャリアを接着させてもよい。更に、ピッチキャリアとピッチ本体との間の光路を向上させるために、ピッチ本体は、非揮発性液侵油を使用して、ピッチキャリアのグルーブに挿入してもよい。
【0030】
本発明の問題点は、位置測定システムのためのゲージを製造する方法によって更に解決された。振幅回折格子は、ゲージに入力された照射光が出射する明場と、入射光が出射されない暗場と、からなるピッチ構造として形成され、明場と暗場とは1つの平面に配列され、明場や暗場に入射された照射光はゲージ上の少なくとも1つの面によって反射され、明場或いは暗場の面に向かう。ゲージは、射出成形、押し出し、温エンボス加工や冷エンボス加工、或いは鋳込みによって製造される。これらはゲージの鋳込みで得られるか、容易に達成できる機械加工によって高精密なゲージが形成されるので、これらの製造法はすべてゲージ上の傾斜面を形成する安価な手段である。
【0031】
特に安価な製造法は、先ず前記の製造法の1つによってピッチ本体を作製し、次に機械的、熱的に安定な材料から作製されるピッチキャリアに強固に接着させる。例えば、そのようなゲージの複合材料構造は、ピッチキャリアと組み合わせて容易に製造されるピッチ構造であり、両材料の利点によって非常に抵抗性があり寸法安定性がある。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例についてより詳細に説明する。
図1は、透過光理論で動作する位置測定装置の概略図であり、本発明の説明に必要なスケール形状のゲージからなる。この位置測定装置は、透過光法を使用する走査ヘッド2によって走査されるピッチ構造3からなる透明なピッチキャリアを有するスケール1を備える。このピッチ構造3は明場と暗場とからなる。構造は後述する。
【0033】
走査ヘッド2は照射装置4を含み、透過光法においては、照射側からスケール1に平行光5を照射し、検出装置6はスケール1の照射側と相対するピッチ構造3を走査する。ピッチ構造3は付加的グリッドピッチを備える。
【0034】
透過光法に使用されるピッチ構造3の詳細の概念図を図2に示した。グリッド構造とも呼ばれるこの付加的ピッチ構造3において、水平場7によって形成された明場8は、1つの平面に配置されており水平に表現されているが、暗場11とは殆ど同一寸法である。暗場11は全反射面9,10によって形成され、水平場7の面に対して傾斜している。照射面から明場8の水平場7に出射された光5は、妨害を受けずに通過し得る。従って、明場8は照射装置から相対する検出器に光を照射する。しかしながら、傾斜面9,10の領域では、照射側からの出射光は全反射されるのでスケール1を通過しない。2つの隣接面9,10はプリズム構造を形成し、出射光が各傾斜面9,10で90°屈折すべく配置されている。
【0035】
照射側に入力された平行光5は、ピッチ構造3内のプリズム構造の対応する傾斜面9や10で、90°で2回反射され、照射側に戻る。従って検出器を通過しない。これにより、図3に示すように、照射側と相対する検出器側に、光を照射しない暗場11が形成される。
【0036】
明場と暗場との列がピッチ構造3を形成する。図3は検出器側から見た、透過光法での付加的ピッチ構造を示し、光が照射される明場8と、光が照射されず従って影で示した暗場11を有する。検出器側で得られる光走査信号はフォトダイオードや他の電気部品によって従来法(不図示)で電気信号に変換され、その信号は制御装置や評価用カウンタに送られる。
【0037】
スケール1の材料としてポリアミドが使用される場合、水平場7の平面に対して45°の角度で傾斜する面9,10は材料内の光路で要求される全反射を保証する。プリズム構造は反射層の付加を必要としない。その全反射によって良い反射条件は達成され、ピッチ構造3の明場8と暗場11との間の強いコントラストが得られる。この配置の更なる利点は、ピッチ構造3を有するスケールは、例えば射出成形やエンボス等により、非常に低コストで製造され得ることである。
【0038】
スケール1は入射光法にも使用され得る。走査装置はスケールの照射装置側に配置される。傾斜面に入力された平行光は照射と走査との装置に反射されて傾斜面9,10が明場を形成し、入力光は水平場7の領域では通過し、従って水平場7は暗場である。従って、透過光法と入射光法とでは、明場と暗場とが単に交代するだけで、同様のスケールが使用され得る。
【0039】
図4は基準マークを有するピッチ構造の断面図である。このような基準マークは、これがなければ、明場12と暗場14との一定長さが変化してしまうという性格のものである。図4の実施例において2倍長の暗場で表されている基準マークは、この暗場のためにプリズム構造の数が、他の暗場と較べて、直接相互に隣接して2倍になっている。
【0040】
図5は、検出器側から見た、光照射明場12と光を照射しない暗場13とを含む、透過光モードにおける図4のピッチ構造を示す。長い暗場13(図5の右側)は基準マークを形成する。
【0041】
図6は、透過光で絶対コーディング化したスケールのピッチ構造を示す。14から15、および15から16の絶対トラックは、それぞれブリッジ/ギャップ比が1:2の例である。これらのトラックは2倍コーディングであり、絶対位置情報を提供する。
【0042】
暗場17は図2に対応するプリズム構造によって形成される。明場18と同様に、20μmの基本長を有する。明場19と暗場18とを有する絶対トラック15の明暗場は、絶対トラック14の明暗場の2倍の長さであって、各明場19は40μm長である。各暗場20には、2つの同じ45°のプリズム構造が直列に配列されており、この暗場20も又40μm長である。
【0043】
絶対トラック16では、直列に並んだ基本長20μmのプリズム構造を4つ有する、長さが80μmの明場21が配列しており、従って暗場22も80μmの長さである。
【0044】
図7、8は、円の切片の形状のピッチ構造からなるコーディングディスク23の形状の角度測定用のゲージを示す。図7は、ポリアミド等の光透過性プラスチック材料からなり、明場24と暗場25とを有する、コーディングディスク23の平面図である。半径とは独立して、明場24と暗場25との間の走査条件を同一にするために、ケーキの形状をしている。結局、図8に示すプリズム構造26は、中心から周縁まで連続して深さを増大させた材料で形成されているので、放射線状の幅はコーディングディスク23の中心に向かって減少する。
【0045】
図9はガラス−プラスチック複合体からなるスケールを概念的に示す断面図である。特に、長さ測定装置においては、測定対象とゲージとの熱膨張係数の差異は好ましくない影響を与える。ゲージの膨張係数はピッチキャリアの材料で決められるので、非常に小さな熱膨張係数が得られる石英ガラスやゼロドゥア(zerodur)、或いは鋼と良く適応するために特殊なタイプのフリントガラスを使用してピッチキャリアを作製する。
【0046】
図9の実施例において、一方では本発明のピッチ構造を光学プラスチック材料で安価に製造し得るために、他方では低熱膨張係数のゲージを得るために、2mm厚の安価なホウ酸フロートガラス製からなるピッチキャリア27と、0. 3mm厚のポリカーボネート層からなるピッチ本体28と、からなる複合材料のスケールが使用されている。特別に製造したホットエンボスツールを使用して、ピッチキャリア27中の構造体29が、例えば、ドイツ国のイェノプティク(Jenoptik)AG,イェナ(Jena)が提供している、市場で入手可能なホットエンボス機械で製造され、上記の暗場が形成される。従って、複合体のスケール形状の高寸法精度のゲージや、複合体の精密な角度ピッチが、容易に安価な技術で製造され得る。
【0047】
図10は、汚れ防止ゲージの実施例である。蒸気や油滴等の透明な汚れ粒子がプリズム構造に沈積すると、プリズム構造境界での全反射条件が阻害され、光が規定の方法で屈折されない。これは、暗場での迷い光を発生させる。このため、プリズム構造は、市場で入手可能な光不透過光学ワニス等で被覆され、ピッチキャリアの表面は適合する部品30を施して平坦化される。例えば、高粘性光学ワニスはナイフ被覆によって簡単に施される。又、ワニスは反射もし得るので、全反射条件が維持される。表面を平坦化することにより、阻害する汚れ粒子の付着を大幅に減少させ、汚れを容易に除去し得るという利点が得られる。
【0048】
多くの応用において、特に長さ測定システムにおいて、透過光法で必要なスケールの自由配列はしばしば阻害がある。図11は透過光理論で動作する位置測定装置を示す。入射光理論と同様に、照射装置と走査ヘッドとの配列は、スケールの同一側にある。
【0049】
ピッチキャリア31では、長手方向に伸びた2つの光反射面32,33を有し、相互に90°の角度のプリズムで配列している、光透過性ポリアミド射出成形部品が使用される。走査装置36の照射装置34によって照射された平行光は、反射面32に45°で投射され、90°曲げられて、ピッチキャリア内で反射面33に全反射される。更に、図2,3に引用した実施例で述べたのと同様に、光はそこに45°で投射され、90°曲げられて、ピッチキャリア内でピッチ構造体37を通過する。フォトダイオードアレー38を備える検出装置36は、ピッチ構造体によって透過された照射光を検出し、位置依存測定信号を発する。ゲージのピッチキャリア31はこのようにしてビーム偏向をする。
【0050】
場合によれば、検出装置3とフォトダイオードアレー38とは、例えば、互いに90°の角度で配列されて、単一ビームの偏向も可能である。
図12は、図11による位置測定法に使用されるゲージの断面図である。一方では、特に長大ゲージでは、光透過性プラスチックを使用して要求される測定精度を得ることは困難である。なぜならば、プラスチック材料は高熱膨張係数を有するので、特に、温度に依存する測定エラーは制御困難である。他方では、ゲージ中に直接エンボスされたピッチ構造体においては、低機械的弾性率により、達成され得る測定精度はそれほど高くない。これらの問題点は、ピッチキャリア39として、2面の光学研磨反射面40,41を有し、長さ方向に伸びる、光透過性ポリアミドの押し出しで作製した、分割した支持部品を使用することによって改善され得る。このピッチキャリア39は、長大サイズでも、押し出し法と同様に特別に安価に製造される。
【0051】
ピッチキャリアの反射面40,41は互いに90°の角度で傾斜している。照射装置によって照射された光42は、反射面40で45°の角度で投射され、そこで90°曲げられ、ピッチキャリア内で反射面41に全反射される。そこで、光42は45°の角度で再び投射され90°曲げられ、薄いクロム層のピッチ構造体44を備えるガラス本体43に通る。ポリアミドピッチキャリア39とガラス本体43との間の光路を改良するために、薄い、不揮発性シリコーン油を浸液として、ガラス本体43を受けるために特に形成された溝45中に入れる。
【0052】
安定性を改良し、熱膨張を減少させるために、ピッチキャリア39は硬化接着剤48によって鋼の特別の受け面47に接着される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゲージを使用した透過光位置測定の測定配置の概略の断面図。
【図2】本発明による付加ピッチからなるスケールの概略の断面図。
【図3】付加ピッチからなるスケールの平面図。
【図4】本発明による基準マーク構造からなるスケールの概略の断面図。
【図5】基準マーク構造からなるスケールの詳細平面図。
【図6】複数の測定トラック中の絶対ピッチからなるスケールの詳細平面図。
【図7】くさび状のピッチマークからなるインデックスディスクの平面図。
【図8】くさび状のピッチマークからなるインデックスディスクの断面図。
【図9】ガラス− プラスチック複合体からなるスケールの概略の断面図。
【図10】台形のピッチマーク構造が平坦化されたスケールの概略の断面図。
【図11】ピッチ構造が透過光で走査され、照射と走査とが同一面からなされる、本発明によるスケールを備えた位置測定装置の概略図。
【図12】ビームを屈折させる押し出しピッチピッチキャリアとガラスキャリアとの概略図。
【図13】実装部品を集積した透明ピッチキャリアの断面図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、振幅回折格子として形成され、ゲージに入力された照射光が出射する明場(bright field)と入力光が出射しない暗場(dark field)とからなるピッチ構造を有し、明場と暗場とは1つの平面に配列される、位置測定システム用ゲージに関する。
【0002】
【従来の技術】
スケール(目盛板)やインデクスディスク等の、長さや角度測定のためのフォトエレクトリック位置測定装置用のゲージは、本体を形成するピッチキャリアと、その上のピッチ構造とからなることが望ましい。そのピッチ構造は適当な走査単位で走査されて、変位に依存した変調信号を発生する。これは、光学走査理論に基いて、透過光法や入射光法によって行われる。技術雑誌「F&M Feinwerktechnik und Messtechnik,Jg.88,Heft7,S.333〜388」には入射光測定システムの多くの利点が記載されている。透過光測定システムと比較した主要な利点は、設置が容易、低価格、およびロバストなことである。
【0003】
得られる情報により、複数のタイプの構造やコーディングを区別し得る。並列や直列に配列された基準マークや絶対コーディング構造の有無に拘らず、純粋な付加構造が代表的である。
【0004】
更に、振幅ピッチ構造、位相ピッチ構造、光回折ピッチ構造、及びそれらの組合せ等の、多様なピッチ設計が知られている。ドイツ特許出願第19,639,499号およびドイツ特許出願第19,502,727号には、位相回折格子は振幅回折格子と比較してより高い変調を許容すると記載されている。従来の位相回折格子はステップグリッドからなる。これらの引例はステップグリッドを形成するための多様な製法も論じている。すでに明らかなように、これらの方法はすべて非常に複雑で従って高価である。
【0005】
従って、殆どの場合、技術的に簡単な振幅回折格子が使用される。英国特許第0,160,784号には振幅回折格子をフォトリソグラフィで製造する方法が記載されている。位相回折格子よりも安価であるが、やはり多大な、非常に高価な特殊技術と特殊な装置を必要とする。更に、その回折格子は入射光用にのみ適している。
【0006】
フォトリソグラフィにより構造作製される薄い金属層システムを使用して、好ましくは、透過光法における精密なピッチのために現在広く使用されているガラスピッチキャリア上に、ピッチを形成するための技術的基本は、1997年9月のハイデンハイム(Heidenheim)社の小冊子「角度測定システム」に記載されているが、すべて60年代や70年代にさかのぼり、殆ど変化していない。この場合も製造法はやはり複雑で高価である。
【0007】
PWBテクノロジのProduct Overview2001中に記載されているように、ポリエステル膜上の光乳液を基に作製される振幅回折格子におけるピッチはそれほど複雑ではない。しかしながらこのピッチは、ベース材料(ピッチキャリア)としてシート状の従来の膜材料が使用される場合は低精密であり、ベース材料としてガラスフォトプレートが使用される場合は非常に高価である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のタイプのゲージ、かつ、精密な用途に適合する安価な製造法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によるとそれは、暗場や明場に入射された照射光は、暗場或いは明場の面に対して傾斜した、ゲージ上の少なくとも一方の面によって反射される、上述のタイプのゲージによって達成される。従って、本発明によるゲージは、入射光法と透過光法との双方に使用され得る。
【0010】
透過光法において、ゲージに入力された照射光は明場で透過され、その照射光は明光の放射に応答する検出器によって検出され得る領域を提供する。しかしながら、暗場では透過は起こらないので検出器は検知しない。入射光法では逆である。照射光は明場でのみ検出器に逆反射され、暗場では逆反射は起こらない。
【0011】
透過光法は、明場と暗場とのコントラストが大きく、従って深い変調が可能なので、応用の面では有利である。しかしながら、透過光法の不利な点は、位置測定システムのゲージを逆側から接近させることである。この点では、入射光法は操作し易い。本発明のゲージは両方法に同等に適しているので、多様な応用の際の要求に良く適応するという利点がある。
【0012】
下記の本発明や利点の記載において、特に述べない限り透過光法におけるゲージの使用について説明する。
本発明は傾斜面の2つの異なる作用理論を提供する。第1 の作用理論によると、傾斜面は1つ以上の暗場を生成し、明場と共にゲージのピッチ構造を形成する役目をする。第2の可能性によると、傾斜面は、ゲージの光入力面に向かった照射光をゲージ内で屈折させる。従って、照射光は光入力側に相対して位置する光出力側には出力されない。この第2の作用理論については後述する。
【0013】
傾斜面の第1の作用理論によると、透過光法においては、その傾斜面は、検出装置のある光出力側に出ずに、ゲージの光入力側に向かう照射光を屈折することにより、ゲージ内で暗場を発生する役目をする。従って、この領域では照射光は透過されず、暗場が形成される。しかしながら、ゲージ上に傾斜面が形成されないと、照射光は光出力側に透過されて、明場がゲージの光出力側に出現する。
【0014】
同様の理論が入射光法において使用されるゲージにも用いられる。上述の如く、入射光法においては、照射光源と検出器とはゲージの同一側に配置されており、照射光が検出側に向かわずにゲージを通過する領域は、暗場となる。入射光法においては、明場は、傾斜面が、ゲージ方向に向かう照射光を検出装置へ屈折させる領域に形成される。従って、透過光法の理論とは反対に、入射光法においては、傾斜面は明場を生成する効果を有する。
【0015】
傾斜面における反射は多様な方法で達成され得る。従って、傾斜面に、例えば薄いクロム膜等の反射被覆を施すことは可能である。しかしながら、反射のために、ゲージ材料とその周辺の空気との間の屈折率の差異を利用して、照射光の全反射に適する方法で傾斜面を形成すると非常に簡単である。従って、薄膜被覆を施す工程が削除され、ゲージの製造コストが軽減される。
【0016】
特に、ゲージの多様な寸法の明場と暗場との製造を容易にするために、ゲージ中の凹部の境界として傾斜面を形成すると好都合である。この方法により、ゲージの高精密加工は機械的ツールを使用して達成し得るので、簡単な方法で高精密なピッチ構造が得られる。複雑なリソグラフィ工程は除外され得る。
【0017】
従って、傾斜面が上記の機能を果たす範囲で、ゲージの多様な形状の凹みが考えられる。傾斜面はV字傾斜が好ましい。なぜならこれが、屈折率に大きな差異があり、全反射し易い2つの物質の境界を形成し、従って明場と暗場との間の良いコントラストが得られる簡単な方法である。
【0018】
本発明の別の実施例において、一対の傾斜面が反射とプリズム構造としての役割とを果たすために使用される前述のV型凹みの配列は、1度の操作で作製され得る。従って、製造の観点からは、ゲージ中のV字型凹みの境界でプリズム構造を有する傾斜面を形成することが好ましい。
【0019】
一つの面に、傾斜面と場の領域とが直列に配列されたその領域は、ゲージのピッチ構造を形成し、付加システム中で同様の寸法を有するのが一般的である。しかしながら、例えば、基準マークを形成するために異なる寸法になっても良い。傾斜面によって限定される領域の寸法の変化は、ゲージの材料中の対応する深さにV型凹みをカットすることにより得られる。また、傾斜面を有する領域は、互いに直接隣接する複数のV型凹みを配列することにより拡がる。その結果、照射方向を横切る長手方向から見ると、ゲージの表面はジグザグのプロファイルになる。
【0020】
ゲージ中に一定の深さのV型凹みをカットすると、ゲージの一方の面に、傾斜面の領域と隣接する平面との間に平行な境界線が得られる。しかし、角度測定のためのディスク型ゲージにおいては、明場と暗場との間で同様な走査状態を得るためには、半径に独立で、放射状に拡がる境界線を有する明場と暗場とが必要である。これは、ディスク形状のゲージの中心に向かって深さが減少するV型凹みを組み込むことによって達成される。
【0021】
この様に、他の領域とは異なる寸法の明場や暗場の基準マークと、例えば、互いに隣接して配列されている明場や暗場による複数の線を有する絶対コーディング化と、は共にディスク形状のゲージと直線状のゲージとに形成され得る。
【0022】
ゲージの構造形成された表面の汚れを防止するために、層を付加的に被覆することが望ましい。これにより、水滴、油滴、蒸気等の汚れ粒子の沈積を防止する。このような汚れ防止は、傾斜面の屈折条件が変化し、それによる全反射の阻害を防止するので有効である。
【0023】
別の実施例において、構造形成された面よりも汚れ難くて清浄化しやすい、平坦表面を形成しても良い。好都合なことに、表面の平坦化は、ゲージの凹みに屈折率がゲージ物質と大きく異なる部品を詰めることにより達成される。この方法により、一方では平坦表面が得られ、他方では、ゲージの凹みの傾斜面での全反射が常に維持され得る。また、傾斜面は、例えば光不透過ワニスやクロム被覆等の被覆によっても形成され得る。或いは、詰める部品の物質に拘らず全反射を保証するために、部品が詰められる前の傾斜面の間に空隙が保証されればよい。
【0024】
ゲージの長寿命化のために、ゲージ材料は可能な限り安定で強いことが望ましい。寸法の安定性についても同じことが言える。他方では、機械加工のためには、加工しやすい、即ち軟らかい材料が有利である。これらの本質的に相反する要求は、例えば、ガラスのような熱的や機械的に安定な材料から形成されるピッチキャリアと、プラスチックのピッチ構造とからなるゲージによって達成され得る。従って、複合体のゲージが形成される。
【0025】
透過光法においては、ピッチ構造は一方では、明場と暗場との間のコントラストが強いことにより、より高い読み取り精度が可能であり、他方では、両側からアクセス可能なゲージという点で、透過光法は入射光法のための位置測定装置よりも不利なので、両方法の利点を組み合わせることが望ましい。結局、上記のゲージ上の傾斜面の第2の作用理論が使用される。そのようなゲージは照射光の入力のための光入力面と入力光の検出のための検出面とからなり、その入力面と検出面とは、相互に相対してはいない面に位置し、傾斜面は、照射光を光入力面から検出面に屈折させるために形成される。
【0026】
これは、ピッチ構造は、透過光モードで働くが、光入力と検出とがゲージの相対する面に配置される必要が無いところでは許容される。例えば、傾斜面に入力される光の角度や傾斜面から出力される光の角度は、45°に選択され、従って、照射源と検出装置とは互いに90°の角度で配置される。
【0027】
この方法におけるゲージ構造においては、照射装置と検出装置とは、透過光法においては互いに相対しては配置されないほうが良い。そのゲージは相対する二面からアクセスされる必要は無い。
【0028】
応用上の利点があるならば、ピッチ構造は光入力面の領域に配置されてもよい。しかしながら、ピッチ構造は検出面に配置されるほうがよい。それにより、より精密な読み出しが得られる。ピッチ構造が検出装置により接近して配置され、照射光の屈折による散乱が回避される。
【0029】
長手方向の微小な機械的および温度変化による寸法精密度が必要なので、特に非常に長い寸法の場合、スケール用に選択される材料は高機械的弾性率が要求される。他方において、ゲージの簡単な製造のためには、プラスチック材料等の低機械的弾性率を有する加工し易い材料が望まれる。これらの相反する要求を満たすためには、高精密ピッチ構造はガラスで作製され、ピッチキャリアは光学的に透明なプラスチック材料、好ましくはポリアミド、で作製する。結局、長い、低価格で軽量の押し出しプロファイルが使用され得る。しかしながら、スケールの温度依存性を軽減し、機械的強度を付与するために、ピッチキャリアは、例えば、鋼のような収納プロファイルにピッチキャリアを接着させてもよい。更に、ピッチキャリアとピッチ本体との間の光路を向上させるために、ピッチ本体は、非揮発性液侵油を使用して、ピッチキャリアのグルーブに挿入してもよい。
【0030】
本発明の問題点は、位置測定システムのためのゲージを製造する方法によって更に解決された。振幅回折格子は、ゲージに入力された照射光が出射する明場と、入射光が出射されない暗場と、からなるピッチ構造として形成され、明場と暗場とは1つの平面に配列され、明場や暗場に入射された照射光はゲージ上の少なくとも1つの面によって反射され、明場或いは暗場の面に向かう。ゲージは、射出成形、押し出し、温エンボス加工や冷エンボス加工、或いは鋳込みによって製造される。これらはゲージの鋳込みで得られるか、容易に達成できる機械加工によって高精密なゲージが形成されるので、これらの製造法はすべてゲージ上の傾斜面を形成する安価な手段である。
【0031】
特に安価な製造法は、先ず前記の製造法の1つによってピッチ本体を作製し、次に機械的、熱的に安定な材料から作製されるピッチキャリアに強固に接着させる。例えば、そのようなゲージの複合材料構造は、ピッチキャリアと組み合わせて容易に製造されるピッチ構造であり、両材料の利点によって非常に抵抗性があり寸法安定性がある。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例についてより詳細に説明する。
図1は、透過光理論で動作する位置測定装置の概略図であり、本発明の説明に必要なスケール形状のゲージからなる。この位置測定装置は、透過光法を使用する走査ヘッド2によって走査されるピッチ構造3からなる透明なピッチキャリアを有するスケール1を備える。このピッチ構造3は明場と暗場とからなる。構造は後述する。
【0033】
走査ヘッド2は照射装置4を含み、透過光法においては、照射側からスケール1に平行光5を照射し、検出装置6はスケール1の照射側と相対するピッチ構造3を走査する。ピッチ構造3は付加的グリッドピッチを備える。
【0034】
透過光法に使用されるピッチ構造3の詳細の概念図を図2に示した。グリッド構造とも呼ばれるこの付加的ピッチ構造3において、水平場7によって形成された明場8は、1つの平面に配置されており水平に表現されているが、暗場11とは殆ど同一寸法である。暗場11は全反射面9,10によって形成され、水平場7の面に対して傾斜している。照射面から明場8の水平場7に出射された光5は、妨害を受けずに通過し得る。従って、明場8は照射装置から相対する検出器に光を照射する。しかしながら、傾斜面9,10の領域では、照射側からの出射光は全反射されるのでスケール1を通過しない。2つの隣接面9,10はプリズム構造を形成し、出射光が各傾斜面9,10で90°屈折すべく配置されている。
【0035】
照射側に入力された平行光5は、ピッチ構造3内のプリズム構造の対応する傾斜面9や10で、90°で2回反射され、照射側に戻る。従って検出器を通過しない。これにより、図3に示すように、照射側と相対する検出器側に、光を照射しない暗場11が形成される。
【0036】
明場と暗場との列がピッチ構造3を形成する。図3は検出器側から見た、透過光法での付加的ピッチ構造を示し、光が照射される明場8と、光が照射されず従って影で示した暗場11を有する。検出器側で得られる光走査信号はフォトダイオードや他の電気部品によって従来法(不図示)で電気信号に変換され、その信号は制御装置や評価用カウンタに送られる。
【0037】
スケール1の材料としてポリアミドが使用される場合、水平場7の平面に対して45°の角度で傾斜する面9,10は材料内の光路で要求される全反射を保証する。プリズム構造は反射層の付加を必要としない。その全反射によって良い反射条件は達成され、ピッチ構造3の明場8と暗場11との間の強いコントラストが得られる。この配置の更なる利点は、ピッチ構造3を有するスケールは、例えば射出成形やエンボス等により、非常に低コストで製造され得ることである。
【0038】
スケール1は入射光法にも使用され得る。走査装置はスケールの照射装置側に配置される。傾斜面に入力された平行光は照射と走査との装置に反射されて傾斜面9,10が明場を形成し、入力光は水平場7の領域では通過し、従って水平場7は暗場である。従って、透過光法と入射光法とでは、明場と暗場とが単に交代するだけで、同様のスケールが使用され得る。
【0039】
図4は基準マークを有するピッチ構造の断面図である。このような基準マークは、これがなければ、明場12と暗場14との一定長さが変化してしまうという性格のものである。図4の実施例において2倍長の暗場で表されている基準マークは、この暗場のためにプリズム構造の数が、他の暗場と較べて、直接相互に隣接して2倍になっている。
【0040】
図5は、検出器側から見た、光照射明場12と光を照射しない暗場13とを含む、透過光モードにおける図4のピッチ構造を示す。長い暗場13(図5の右側)は基準マークを形成する。
【0041】
図6は、透過光で絶対コーディング化したスケールのピッチ構造を示す。14から15、および15から16の絶対トラックは、それぞれブリッジ/ギャップ比が1:2の例である。これらのトラックは2倍コーディングであり、絶対位置情報を提供する。
【0042】
暗場17は図2に対応するプリズム構造によって形成される。明場18と同様に、20μmの基本長を有する。明場19と暗場18とを有する絶対トラック15の明暗場は、絶対トラック14の明暗場の2倍の長さであって、各明場19は40μm長である。各暗場20には、2つの同じ45°のプリズム構造が直列に配列されており、この暗場20も又40μm長である。
【0043】
絶対トラック16では、直列に並んだ基本長20μmのプリズム構造を4つ有する、長さが80μmの明場21が配列しており、従って暗場22も80μmの長さである。
【0044】
図7、8は、円の切片の形状のピッチ構造からなるコーディングディスク23の形状の角度測定用のゲージを示す。図7は、ポリアミド等の光透過性プラスチック材料からなり、明場24と暗場25とを有する、コーディングディスク23の平面図である。半径とは独立して、明場24と暗場25との間の走査条件を同一にするために、ケーキの形状をしている。結局、図8に示すプリズム構造26は、中心から周縁まで連続して深さを増大させた材料で形成されているので、放射線状の幅はコーディングディスク23の中心に向かって減少する。
【0045】
図9はガラス−プラスチック複合体からなるスケールを概念的に示す断面図である。特に、長さ測定装置においては、測定対象とゲージとの熱膨張係数の差異は好ましくない影響を与える。ゲージの膨張係数はピッチキャリアの材料で決められるので、非常に小さな熱膨張係数が得られる石英ガラスやゼロドゥア(zerodur)、或いは鋼と良く適応するために特殊なタイプのフリントガラスを使用してピッチキャリアを作製する。
【0046】
図9の実施例において、一方では本発明のピッチ構造を光学プラスチック材料で安価に製造し得るために、他方では低熱膨張係数のゲージを得るために、2mm厚の安価なホウ酸フロートガラス製からなるピッチキャリア27と、0. 3mm厚のポリカーボネート層からなるピッチ本体28と、からなる複合材料のスケールが使用されている。特別に製造したホットエンボスツールを使用して、ピッチキャリア27中の構造体29が、例えば、ドイツ国のイェノプティク(Jenoptik)AG,イェナ(Jena)が提供している、市場で入手可能なホットエンボス機械で製造され、上記の暗場が形成される。従って、複合体のスケール形状の高寸法精度のゲージや、複合体の精密な角度ピッチが、容易に安価な技術で製造され得る。
【0047】
図10は、汚れ防止ゲージの実施例である。蒸気や油滴等の透明な汚れ粒子がプリズム構造に沈積すると、プリズム構造境界での全反射条件が阻害され、光が規定の方法で屈折されない。これは、暗場での迷い光を発生させる。このため、プリズム構造は、市場で入手可能な光不透過光学ワニス等で被覆され、ピッチキャリアの表面は適合する部品30を施して平坦化される。例えば、高粘性光学ワニスはナイフ被覆によって簡単に施される。又、ワニスは反射もし得るので、全反射条件が維持される。表面を平坦化することにより、阻害する汚れ粒子の付着を大幅に減少させ、汚れを容易に除去し得るという利点が得られる。
【0048】
多くの応用において、特に長さ測定システムにおいて、透過光法で必要なスケールの自由配列はしばしば阻害がある。図11は透過光理論で動作する位置測定装置を示す。入射光理論と同様に、照射装置と走査ヘッドとの配列は、スケールの同一側にある。
【0049】
ピッチキャリア31では、長手方向に伸びた2つの光反射面32,33を有し、相互に90°の角度のプリズムで配列している、光透過性ポリアミド射出成形部品が使用される。走査装置36の照射装置34によって照射された平行光は、反射面32に45°で投射され、90°曲げられて、ピッチキャリア内で反射面33に全反射される。更に、図2,3に引用した実施例で述べたのと同様に、光はそこに45°で投射され、90°曲げられて、ピッチキャリア内でピッチ構造体37を通過する。フォトダイオードアレー38を備える検出装置36は、ピッチ構造体によって透過された照射光を検出し、位置依存測定信号を発する。ゲージのピッチキャリア31はこのようにしてビーム偏向をする。
【0050】
場合によれば、検出装置3とフォトダイオードアレー38とは、例えば、互いに90°の角度で配列されて、単一ビームの偏向も可能である。
図12は、図11による位置測定法に使用されるゲージの断面図である。一方では、特に長大ゲージでは、光透過性プラスチックを使用して要求される測定精度を得ることは困難である。なぜならば、プラスチック材料は高熱膨張係数を有するので、特に、温度に依存する測定エラーは制御困難である。他方では、ゲージ中に直接エンボスされたピッチ構造体においては、低機械的弾性率により、達成され得る測定精度はそれほど高くない。これらの問題点は、ピッチキャリア39として、2面の光学研磨反射面40,41を有し、長さ方向に伸びる、光透過性ポリアミドの押し出しで作製した、分割した支持部品を使用することによって改善され得る。このピッチキャリア39は、長大サイズでも、押し出し法と同様に特別に安価に製造される。
【0051】
ピッチキャリアの反射面40,41は互いに90°の角度で傾斜している。照射装置によって照射された光42は、反射面40で45°の角度で投射され、そこで90°曲げられ、ピッチキャリア内で反射面41に全反射される。そこで、光42は45°の角度で再び投射され90°曲げられ、薄いクロム層のピッチ構造体44を備えるガラス本体43に通る。ポリアミドピッチキャリア39とガラス本体43との間の光路を改良するために、薄い、不揮発性シリコーン油を浸液として、ガラス本体43を受けるために特に形成された溝45中に入れる。
【0052】
安定性を改良し、熱膨張を減少させるために、ピッチキャリア39は硬化接着剤48によって鋼の特別の受け面47に接着される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゲージを使用した透過光位置測定の測定配置の概略の断面図。
【図2】本発明による付加ピッチからなるスケールの概略の断面図。
【図3】付加ピッチからなるスケールの平面図。
【図4】本発明による基準マーク構造からなるスケールの概略の断面図。
【図5】基準マーク構造からなるスケールの詳細平面図。
【図6】複数の測定トラック中の絶対ピッチからなるスケールの詳細平面図。
【図7】くさび状のピッチマークからなるインデックスディスクの平面図。
【図8】くさび状のピッチマークからなるインデックスディスクの断面図。
【図9】ガラス− プラスチック複合体からなるスケールの概略の断面図。
【図10】台形のピッチマーク構造が平坦化されたスケールの概略の断面図。
【図11】ピッチ構造が透過光で走査され、照射と走査とが同一面からなされる、本発明によるスケールを備えた位置測定装置の概略図。
【図12】ビームを屈折させる押し出しピッチピッチキャリアとガラスキャリアとの概略図。
【図13】実装部品を集積した透明ピッチキャリアの断面図。
Claims (17)
- 振幅回折格子として形成され、ゲージ(1)に入力された照射光(5)が出射する明場(8)と入力された照射光(5)が出射されない暗場(11)とからなり、かつ、前記明場(8)と暗場(11)とは同一平面に配列されているピッチ構造(3)を有し、2つの領域の少なくとも一方で投射された前記照射光(5)はゲージ(1)に形成された少なくとも一方の面(9或いは10)によって反射されて前記の面の方向に屈折される、位置測定システムのためのゲージ(1)。
- 傾斜面(9或いは10)は照射光(5)が全反射されるべく設計された請求項1に記載のゲージ(1)。
- 傾斜面(9或いは10)はゲージ(1)中のV形状の凹みの界面で形成される請求項1に記載のゲージ(1)。
- 傾斜面(9或いは10)はゲージ(1)中にプリズム構造を有する凹みの界面で形成される請求項1に記載のゲージ(1)。
- 前記凹みの深さは凹み自身の間で変化する請求項3または4に記載のゲージ(1)。
- 基準マーク構造を形成するために、複数の凹みが相互に直接隣接しており、それによりゲージ(1)の表面の長手方向に、照射方向に直角にジグザグプロファイルが形成された請求項3乃至5のいずれかに記載のゲージ(1)。
- ゲージ(1)の表面を平坦化するために、凹みに適合する断片を詰め、該適合する断片の屈折率はゲージ(1)の材料と大きく異なる請求項3乃至6のいずれかに記載のゲージ(1)。
- 凹みの傾斜面(9或いは10)が被覆されている請求項3乃至7のいずれかに記載のゲージ(1)。
- 絶対コーディングを作成するために、明場と暗場とを有する複数のトラックが相互に隣接して配列された請求項3乃至8のいずれかに記載のゲージ(1)。
- 本体を形成するピッチキャリア材料と、同ピッチキャリア材料に接着された、ピッチ構造を有するプラスチックピッチ体とからなる請求項1乃至9のいずれかに記載のゲージ(1)。
- 照射光(42)の入力のために形成された光入力表面および入力照射光の検出のために形成された検出面からなり、該光入力および検出表面は、相互に向かい合わずにゲージの側に配列され、前記傾斜面(32,33)はビームが光入力面から検出面に屈折されるべく形成されている、入射光法において使用される請求項1または2に記載のゲージ(1)。
- ピッチ構造が検出面上に配列されているピッチ本体(37)である請求項11に記載のゲージ(1)。
- 前記光入力面、検出面、および傾斜面(32,33)は、光透過性プラスチック材料、好ましくはポリアミド、からなるピッチキャリア(31)中に形成され、ピッチ本体(37)はガラスからなる請求項12に記載のゲージ(1)。
- ピッチキャリア(39)は鋼の収納プロファイル(47)に接着される請求項13に記載のゲージ(1)。
- ピッチ本体(43)は、ピッチキャリア(39)中のグルーブに挿入され、かつ、ピッチキャリア(39)はピッチキャリア(39)とピッチ本体(43)との間の光通過を向上させるための不揮発性浸液(46)を含む請求項13または14に記載のゲージ(1)。
- ゲージ(1)は射出成形、押し出し、ホットエンボス、コールドエンボス、或いは鋳込みによって製造される請求項1乃至15に記載のゲージ(1)の製造法。
- ピッチ本体は請求項16に記載の方法のうちの1つによって製造され、ピッチキャリアに強固に接着される請求項10に記載のゲージ(1)の製造方法。
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