JP2004263601A - 圧縮機のピストン構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピストンの軸回りの回転を規制することはもとより、ピストン強度の信頼性を向上させ、また、潤滑性が良好な圧縮機のピストン構造を提供する。
【解決手段】ピストン14がシリンダボア内で往復動する際、ピストン14の軸回りに回転力が付加されたとき、ブリッジ部142の外周面に突出したピストン回転規制部144がフロントハウジング12の内面に接触してピストンの軸回りの回転を抑制する。このように、回転規制がブリッジ部142の外周面の一部分のみで行われ摩擦面積が従来と比較して狭くなっているため、ピストン摩耗が過剰となることがない。
【選択図】 図3
【解決手段】ピストン14がシリンダボア内で往復動する際、ピストン14の軸回りに回転力が付加されたとき、ブリッジ部142の外周面に突出したピストン回転規制部144がフロントハウジング12の内面に接触してピストンの軸回りの回転を抑制する。このように、回転規制がブリッジ部142の外周面の一部分のみで行われ摩擦面積が従来と比較して狭くなっているため、ピストン摩耗が過剰となることがない。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダボア内で往復動するピストンにおいてピストンの回転規制部を有する圧縮機のピストン構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回転規制部が形成されたピストンを有する圧縮機として特開2002−61569号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
この公報に記載された圧縮機は、外部エンジンの回転駆動力がハウジング内に配置されたシャフトに伝達され、この駆動力がシャフトに固着された斜板を揺動回転させるようになっている。
【0004】
また、斜板の周縁にはシリンダボア内に収容されたピストンが連結している。このピストンは、シリンダボア内で往復動して冷媒を吸入圧縮するピストン本体と、ピストン本体の基端に形成され回転斜板の周縁が摺動自在に保持されるブリッジ部とを備えており、斜板の揺動回転によりピストンを往復動させるようになっている。また、ブリッジ部の外周面(回転規制部)がハウジングの内周面に接触するように配置されており、ピストンの軸回りの回転をその摩擦抵抗により抑制するようになっている。
【0005】
【特許文献】
特開2002−61569号公報
【0006】
【発明が解決しよとする課題】
しかしながら、前記従来のピストン構造では、ブリッジ部の外周面全体が回転規制部となっており、摩擦抵抗が過剰となっている。特に、CO2を冷媒とする圧縮機においては、ピストン強度の信頼性が低下し、また、ピストン自体の推進力が大きく低下するという問題点を有していた。
【0007】
本発明の目的は前記従来の問題点に鑑み、ピストンの軸回りの回転を規制することはもとより、ピストン強度の信頼性を向上させ、また、潤滑性が良好な圧縮機のピストン構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、シリンダボア内で往復動して冷媒を吸入圧縮するピストン本体と、ピストン本体の基端に形成され回転斜板の周縁が摺動自在に保持されるブリッジ部とを備え、ブリッジ部の外周面に圧縮機ハウジングの内面に接触するピストン回転規制部を形成した圧縮機のピストン構造において、ピストン回転規制部はブリッジ部の外周面から突出して形成した構造となっている。
【0009】
本発明によれば、ピストンがシリンダボア内で往復動する際、ピストンの軸回りに回転力が付加されたとき、ブリッジ部の外周面に突出したピストン回転規制部が圧縮機ハウジングの内面に接触してピストンの軸回りの回転を抑制する。このように、回転規制がブリッジ部の外周面の一部分のみで行われ摩擦面積が従来と比較して狭くなっているため、ピストン摩耗が過剰となることがない。
【0010】
また、ピストン回転規制部はブリッジ部の外周面のうち軸方向一端側又は他端側(請求項2)、ブリッジ部の周方向一端側又は他端側(請求項3)の何れでも良く、また、ピストン回転規制部が複数個あってもよい(請求項4)。
【0011】
更に、ピストン回転規制部は先端面と圧縮機ハウジングの内面との間の摩擦抵抗を均一にするため、互いの面が対応するよう形成してもよいし(請求項5)、また、ピストン回転規制部の摩耗を防止するため表面処理するようにしてもよい(請求項6)。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は本発明に係る圧縮機のピストン構造の一実施形態を示すもので、図1は片頭ピストン型斜板式圧縮機の断面図、図2の(a)(b)(c)(d)は片頭ピストンの構造を示す図、図3はブリッジ部とフロントハウジングとの接触状態を示す断面図である。なお、図2の(b)は図2の(a)のb−b線矢視方向の断面図、図2の(d)は図2の(a)のd−d線矢視方向の断面図である。本実施形態では圧縮機のうち、CO2冷媒を用いる片頭ピストン型斜板式圧縮機(以下、圧縮機と称す)を一例として掲げて以下説明する。
【0013】
まず、この圧縮機1の全体構造を図1を参照して説明する。圧縮機10はリアハウジング11と圧縮機ハウジング(フロントハウジング12)とを有し、フロントハウジング12のリアハウジング11側にはボルト等によりシリンダブロック13が連結されている。このシリンダブロック13には円筒状のシリンダボア131が複数形成され、各シリンダボア131にはそれぞれCO2冷媒用の片頭ピストン14が往復直線運動ができるよう収容されている。リアハウジング11には冷媒の吸入室111及び吐出室112が形成され、各室111,112が弁体を介してシリンダボア131に連通しており、片頭ピストン14の往復動によりシリンダボア131で冷媒が吸入圧縮される。フロントハウジング12にはシリンダブロック13からフロントハウジング12の外方に突出したシャフト121が貫通している。このシャフト121はシリンダブロック13及びフロントハウジング12に介装されたベアリング132,122を介して軸支され、その先端は電磁クラッチ15に連結している。電磁クラッチ15はそのプーリ151が図示しない自動車エンジンのベルトに連結しており、エンジンにて出力された回転力が電磁クラッチ15を通じてシャフト121に伝達されるようになっている。
【0014】
このシャフト121に伝達された回転運動はフロントハウジング12のクランク室123内に設置された運動変換機構16により往復直線運動に変換される。即ち、運動変換機構16はシャフト121に固着されたロータ161と、ロータ161の軸方向一端にコイルバネ162を介して支持された滑りスリーブ163と、滑りスリーブ163に連結ピン164で連結された環状の斜板165と、斜板165の周縁を摺動自在に保持する一対のシュー166と、斜板165とシャフト121に摺動自在に連結したドライバ部材167とを有している。このシュー166は後述する片頭ピストン14のブリッジ部142内に摺動自在に配置されており、斜板165と片頭ピストン14とを連結するようになっている。
【0015】
ここで、エンジンの回転力が電磁クラッチ15を通じてシャフト121に伝達されたときは、シャフト121の回転力によりロータ161及びドライバ部材167が回転する。このドライバ部材167の回転により斜板165が回転する。斜板165はシャフト121に対して傾斜した状態で回転するため、その斜板165の傾斜幅の分、片頭ピストン14が直線方向に往復動する。なお、この運動変換機構16はクランク室123の圧力とシリンダボア131の吸入圧力との差圧に対応して斜板165の傾き角が変化し、片頭ピストン14のストロークが変更可能となっている。
【0016】
以上のような圧縮機構造は従来の圧縮機構造と同様であり、本発明に係る圧縮機10の特徴的構造は片頭ピストン14の構造にある。この構造を主に図2及び図3を参照して説明する。
【0017】
片頭ピストン14はシリンダボア131内に往復動自在に配置されたピストン本体141と、ピストン本体141の基端に形成されたブリッジ部142とを有している。このブリッジ部142は断面略コ字状に形成したもので、その内部は一対のシュー166が摺動できるよう、上下面及び背面に各シュー166の球面形状に対応する球面状の保持面143を形成している。また、ブリッジ部142の外周面は円弧状に形成されており、その円弧面の径はピストン本体141の径よりも大きくなっている。また、ブリッジ部142の外周面の上部(ブリッジ部142の外周面のうちピストン本体141寄り)には、図2の(c)に示すように、左右に間隔をおいて2個のピストンピストン回転規制部144が形成されている。
【0018】
このピストン回転規制部144はブリッジ部142の外周面に四角形状に突出したものとなっている。ピストン回転規制部144の先端面は図3に示すようにフロントハウジング12の内周面の曲面に対応するよう形成され、また、ピストン回転規制部144の周側面と先端面との交わる部分の角度は鈍角となっている。
【0019】
本実施形態によれば、ピストン回転規制部144がブリッジ部142の外周面の一部となっているため、従来のピストン回転規制部と比較して摩擦抵抗が小さく、ピストン回転規制部144の過剰な摩耗を防止することができる。
【0020】
また、ピストン回転規制部144の先端面がフロントハウジング12の内周面の曲面に対応するよう形成され、また、ピストン回転規制部144の周側面と先端面との交わる部分の角度が鈍角となっているため、この点でも過剰な摩耗が防止されている。
【0021】
更に、ブリッジ部142の外周面のうち、各ピストン回転規制部144の間には隙間ができ、この隙間を通じて潤滑油が流通可能になっているため、シリンダボア131とピストン本体141との間に潤滑油が円滑に導かれ、ピストン14の潤滑性が良好となる。
【0022】
図4の(a)(b)(c)(d)及び図5の(a)(b)(c)(d)は片頭ピストン14の変形例を示すものである。図4の(a)に示す片頭ピストン14aはブリッジ部142の外周面の上部でブリッジ部142の背面に向かって左側にピストン回転規制部144aを1個形成したものである。図4の(b)に示す片頭ピストン14bはブリッジ部142の外周面の上部でブリッジ部142の背面に向かって右側にピストン回転規制部144bを1個形成したものである。図4の(c)に示す片頭ピストン14cはブリッジ部142の外周面の下部でブリッジ部142の背面に向かって左側にピストン回転規制部144cを1個形成したものである。図4の(d)に示す片頭ピストン14dはブリッジ部142の外周面の下部でブリッジ部142の背面に向かって右側にピストン回転規制部144dを1個形成したものである。以上のように、ピストン回転規制部144a,144b,144c,144dを1個設けるようにしても良い。
【0023】
図5の(a)に示す片頭ピストン14eはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって左側にピストン回転規制部144eを上下に2個形成したものである。図5の(b)に示す片頭ピストン14fはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって右側にピストン回転規制部144fを上下に2個形成したものである。図5の(c)に示す片頭ピストン14gはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって左側全体にピストン回転規制部144gを縦長に1個形成したものである。図5の(d)に示す片頭ピストン14hはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって右側全体にピストン回転規制部144gを縦長に1個形成したものである。以上のように、ピストン回転規制部144e,144fのように上下に2個形成するようにしても良いし、また、ピストン回転規制部144g,144hのように縦長に形成するようにしても良い。
【0024】
なお、ピストン回転規制部材144,144a〜144hはこれら限定されるものではなく、ブリッジ部142の外周面の一部に突出して形成されていれば何れの構造でも良い。また、前記実施形態ではCO2冷媒用の片頭ピストン14,14a〜14hについて説明したが、フロン冷媒用、アンモニア冷媒用、プロパン、ブタン等の炭化水素冷媒用の片頭ピストンにも同様に適用できることは言うまでもない。更に、片頭ピストン14,14a〜14hは鉄系又はアルミニウム(アルミニウム合金を含む)材料からなるピストン素地で構成されているが、ピストン回転規制部材144,144a〜144hの耐摩耗性を考慮し、ピストン回転規制部材144,144a〜144hの外面を表面処理、例えば耐摩耗性材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)でコーティングして(例えば、20μm〜40μmの均一な膜厚)、ピストン回転規制部材144,144a〜144hの摩耗を抑制するようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ピストン回転規制部がブリッジ部の外周面の一部に突出して形成されているので、従来のピストン回転規制部と比較して摩擦抵抗が小さく、ピストン回転規制部の過剰な摩耗を防止することができる。また、ピストン回転規制部の周囲は潤滑油が流通可能になっているため、シリンダボアとピストン本体との間に潤滑油が円滑に導かれ、ピストンの潤滑性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】片頭ピストン型斜板式圧縮機の断面図
【図2】片頭ピストンの構造を示す図
【図3】ブリッジ部とフロントハウジングとの接触状態を示す断面図
【図4】片頭ピストンの変形例を示す背面図
【図5】片頭ピストンの他の変形例を示す背面図
【符号の説明】
10…斜板式圧縮機、12…フロントハウジング、13…シリンダブロック、14,14a〜14h…片頭ピストン、131…シリンダボア、141…ピストン本体、142…ブリッジ部、144,144a〜144h…ピストン回転規制部、165…斜板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダボア内で往復動するピストンにおいてピストンの回転規制部を有する圧縮機のピストン構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の回転規制部が形成されたピストンを有する圧縮機として特開2002−61569号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
この公報に記載された圧縮機は、外部エンジンの回転駆動力がハウジング内に配置されたシャフトに伝達され、この駆動力がシャフトに固着された斜板を揺動回転させるようになっている。
【0004】
また、斜板の周縁にはシリンダボア内に収容されたピストンが連結している。このピストンは、シリンダボア内で往復動して冷媒を吸入圧縮するピストン本体と、ピストン本体の基端に形成され回転斜板の周縁が摺動自在に保持されるブリッジ部とを備えており、斜板の揺動回転によりピストンを往復動させるようになっている。また、ブリッジ部の外周面(回転規制部)がハウジングの内周面に接触するように配置されており、ピストンの軸回りの回転をその摩擦抵抗により抑制するようになっている。
【0005】
【特許文献】
特開2002−61569号公報
【0006】
【発明が解決しよとする課題】
しかしながら、前記従来のピストン構造では、ブリッジ部の外周面全体が回転規制部となっており、摩擦抵抗が過剰となっている。特に、CO2を冷媒とする圧縮機においては、ピストン強度の信頼性が低下し、また、ピストン自体の推進力が大きく低下するという問題点を有していた。
【0007】
本発明の目的は前記従来の問題点に鑑み、ピストンの軸回りの回転を規制することはもとより、ピストン強度の信頼性を向上させ、また、潤滑性が良好な圧縮機のピストン構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、請求項1の発明は、シリンダボア内で往復動して冷媒を吸入圧縮するピストン本体と、ピストン本体の基端に形成され回転斜板の周縁が摺動自在に保持されるブリッジ部とを備え、ブリッジ部の外周面に圧縮機ハウジングの内面に接触するピストン回転規制部を形成した圧縮機のピストン構造において、ピストン回転規制部はブリッジ部の外周面から突出して形成した構造となっている。
【0009】
本発明によれば、ピストンがシリンダボア内で往復動する際、ピストンの軸回りに回転力が付加されたとき、ブリッジ部の外周面に突出したピストン回転規制部が圧縮機ハウジングの内面に接触してピストンの軸回りの回転を抑制する。このように、回転規制がブリッジ部の外周面の一部分のみで行われ摩擦面積が従来と比較して狭くなっているため、ピストン摩耗が過剰となることがない。
【0010】
また、ピストン回転規制部はブリッジ部の外周面のうち軸方向一端側又は他端側(請求項2)、ブリッジ部の周方向一端側又は他端側(請求項3)の何れでも良く、また、ピストン回転規制部が複数個あってもよい(請求項4)。
【0011】
更に、ピストン回転規制部は先端面と圧縮機ハウジングの内面との間の摩擦抵抗を均一にするため、互いの面が対応するよう形成してもよいし(請求項5)、また、ピストン回転規制部の摩耗を防止するため表面処理するようにしてもよい(請求項6)。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は本発明に係る圧縮機のピストン構造の一実施形態を示すもので、図1は片頭ピストン型斜板式圧縮機の断面図、図2の(a)(b)(c)(d)は片頭ピストンの構造を示す図、図3はブリッジ部とフロントハウジングとの接触状態を示す断面図である。なお、図2の(b)は図2の(a)のb−b線矢視方向の断面図、図2の(d)は図2の(a)のd−d線矢視方向の断面図である。本実施形態では圧縮機のうち、CO2冷媒を用いる片頭ピストン型斜板式圧縮機(以下、圧縮機と称す)を一例として掲げて以下説明する。
【0013】
まず、この圧縮機1の全体構造を図1を参照して説明する。圧縮機10はリアハウジング11と圧縮機ハウジング(フロントハウジング12)とを有し、フロントハウジング12のリアハウジング11側にはボルト等によりシリンダブロック13が連結されている。このシリンダブロック13には円筒状のシリンダボア131が複数形成され、各シリンダボア131にはそれぞれCO2冷媒用の片頭ピストン14が往復直線運動ができるよう収容されている。リアハウジング11には冷媒の吸入室111及び吐出室112が形成され、各室111,112が弁体を介してシリンダボア131に連通しており、片頭ピストン14の往復動によりシリンダボア131で冷媒が吸入圧縮される。フロントハウジング12にはシリンダブロック13からフロントハウジング12の外方に突出したシャフト121が貫通している。このシャフト121はシリンダブロック13及びフロントハウジング12に介装されたベアリング132,122を介して軸支され、その先端は電磁クラッチ15に連結している。電磁クラッチ15はそのプーリ151が図示しない自動車エンジンのベルトに連結しており、エンジンにて出力された回転力が電磁クラッチ15を通じてシャフト121に伝達されるようになっている。
【0014】
このシャフト121に伝達された回転運動はフロントハウジング12のクランク室123内に設置された運動変換機構16により往復直線運動に変換される。即ち、運動変換機構16はシャフト121に固着されたロータ161と、ロータ161の軸方向一端にコイルバネ162を介して支持された滑りスリーブ163と、滑りスリーブ163に連結ピン164で連結された環状の斜板165と、斜板165の周縁を摺動自在に保持する一対のシュー166と、斜板165とシャフト121に摺動自在に連結したドライバ部材167とを有している。このシュー166は後述する片頭ピストン14のブリッジ部142内に摺動自在に配置されており、斜板165と片頭ピストン14とを連結するようになっている。
【0015】
ここで、エンジンの回転力が電磁クラッチ15を通じてシャフト121に伝達されたときは、シャフト121の回転力によりロータ161及びドライバ部材167が回転する。このドライバ部材167の回転により斜板165が回転する。斜板165はシャフト121に対して傾斜した状態で回転するため、その斜板165の傾斜幅の分、片頭ピストン14が直線方向に往復動する。なお、この運動変換機構16はクランク室123の圧力とシリンダボア131の吸入圧力との差圧に対応して斜板165の傾き角が変化し、片頭ピストン14のストロークが変更可能となっている。
【0016】
以上のような圧縮機構造は従来の圧縮機構造と同様であり、本発明に係る圧縮機10の特徴的構造は片頭ピストン14の構造にある。この構造を主に図2及び図3を参照して説明する。
【0017】
片頭ピストン14はシリンダボア131内に往復動自在に配置されたピストン本体141と、ピストン本体141の基端に形成されたブリッジ部142とを有している。このブリッジ部142は断面略コ字状に形成したもので、その内部は一対のシュー166が摺動できるよう、上下面及び背面に各シュー166の球面形状に対応する球面状の保持面143を形成している。また、ブリッジ部142の外周面は円弧状に形成されており、その円弧面の径はピストン本体141の径よりも大きくなっている。また、ブリッジ部142の外周面の上部(ブリッジ部142の外周面のうちピストン本体141寄り)には、図2の(c)に示すように、左右に間隔をおいて2個のピストンピストン回転規制部144が形成されている。
【0018】
このピストン回転規制部144はブリッジ部142の外周面に四角形状に突出したものとなっている。ピストン回転規制部144の先端面は図3に示すようにフロントハウジング12の内周面の曲面に対応するよう形成され、また、ピストン回転規制部144の周側面と先端面との交わる部分の角度は鈍角となっている。
【0019】
本実施形態によれば、ピストン回転規制部144がブリッジ部142の外周面の一部となっているため、従来のピストン回転規制部と比較して摩擦抵抗が小さく、ピストン回転規制部144の過剰な摩耗を防止することができる。
【0020】
また、ピストン回転規制部144の先端面がフロントハウジング12の内周面の曲面に対応するよう形成され、また、ピストン回転規制部144の周側面と先端面との交わる部分の角度が鈍角となっているため、この点でも過剰な摩耗が防止されている。
【0021】
更に、ブリッジ部142の外周面のうち、各ピストン回転規制部144の間には隙間ができ、この隙間を通じて潤滑油が流通可能になっているため、シリンダボア131とピストン本体141との間に潤滑油が円滑に導かれ、ピストン14の潤滑性が良好となる。
【0022】
図4の(a)(b)(c)(d)及び図5の(a)(b)(c)(d)は片頭ピストン14の変形例を示すものである。図4の(a)に示す片頭ピストン14aはブリッジ部142の外周面の上部でブリッジ部142の背面に向かって左側にピストン回転規制部144aを1個形成したものである。図4の(b)に示す片頭ピストン14bはブリッジ部142の外周面の上部でブリッジ部142の背面に向かって右側にピストン回転規制部144bを1個形成したものである。図4の(c)に示す片頭ピストン14cはブリッジ部142の外周面の下部でブリッジ部142の背面に向かって左側にピストン回転規制部144cを1個形成したものである。図4の(d)に示す片頭ピストン14dはブリッジ部142の外周面の下部でブリッジ部142の背面に向かって右側にピストン回転規制部144dを1個形成したものである。以上のように、ピストン回転規制部144a,144b,144c,144dを1個設けるようにしても良い。
【0023】
図5の(a)に示す片頭ピストン14eはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって左側にピストン回転規制部144eを上下に2個形成したものである。図5の(b)に示す片頭ピストン14fはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって右側にピストン回転規制部144fを上下に2個形成したものである。図5の(c)に示す片頭ピストン14gはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって左側全体にピストン回転規制部144gを縦長に1個形成したものである。図5の(d)に示す片頭ピストン14hはブリッジ部142の外周面でブリッジ部142の背面に向かって右側全体にピストン回転規制部144gを縦長に1個形成したものである。以上のように、ピストン回転規制部144e,144fのように上下に2個形成するようにしても良いし、また、ピストン回転規制部144g,144hのように縦長に形成するようにしても良い。
【0024】
なお、ピストン回転規制部材144,144a〜144hはこれら限定されるものではなく、ブリッジ部142の外周面の一部に突出して形成されていれば何れの構造でも良い。また、前記実施形態ではCO2冷媒用の片頭ピストン14,14a〜14hについて説明したが、フロン冷媒用、アンモニア冷媒用、プロパン、ブタン等の炭化水素冷媒用の片頭ピストンにも同様に適用できることは言うまでもない。更に、片頭ピストン14,14a〜14hは鉄系又はアルミニウム(アルミニウム合金を含む)材料からなるピストン素地で構成されているが、ピストン回転規制部材144,144a〜144hの耐摩耗性を考慮し、ピストン回転規制部材144,144a〜144hの外面を表面処理、例えば耐摩耗性材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)でコーティングして(例えば、20μm〜40μmの均一な膜厚)、ピストン回転規制部材144,144a〜144hの摩耗を抑制するようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ピストン回転規制部がブリッジ部の外周面の一部に突出して形成されているので、従来のピストン回転規制部と比較して摩擦抵抗が小さく、ピストン回転規制部の過剰な摩耗を防止することができる。また、ピストン回転規制部の周囲は潤滑油が流通可能になっているため、シリンダボアとピストン本体との間に潤滑油が円滑に導かれ、ピストンの潤滑性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】片頭ピストン型斜板式圧縮機の断面図
【図2】片頭ピストンの構造を示す図
【図3】ブリッジ部とフロントハウジングとの接触状態を示す断面図
【図4】片頭ピストンの変形例を示す背面図
【図5】片頭ピストンの他の変形例を示す背面図
【符号の説明】
10…斜板式圧縮機、12…フロントハウジング、13…シリンダブロック、14,14a〜14h…片頭ピストン、131…シリンダボア、141…ピストン本体、142…ブリッジ部、144,144a〜144h…ピストン回転規制部、165…斜板。
Claims (7)
- シリンダボア内で往復動して冷媒を吸入圧縮するピストン本体と、該ピストン本体の基端に形成され回転斜板の周縁が摺動自在に保持されるブリッジ部とを備え、該ブリッジ部の外周面に圧縮機ハウジングの内面に接触するピストン回転規制部を形成した圧縮機のピストン構造において、
前記ピストン回転規制部は前記ブリッジ部の外周面から一部突出して形成したことを特徴とする圧縮機のピストン構造。 - 前記ピストン回転規制部は前記ブリッジ部の外周面のうち前記ピストン本体寄りの一端又は該ピストン本体から離隔する側の他端の少なくとも一方に形成した
ことを特徴とする請求項1記載の圧縮機のピストン構造。 - 前記ピストン回転規制部は前記ブリッジ部の外周面のうち周方向の一端又は他端の少なくとも一方に形成した
ことを特徴とする請求項1記載の圧縮機のピストン構造。 - 前記ピストン回転規制部は複数有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項記載の圧縮機のピストン構造。 - 前記ピストン回転規制部の先端面は前記圧縮機ハウジングの内面に対応するよう形成した
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項記載の圧縮機のピストン構造。 - 前記ピストン回転規制部に表面処理が施されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項記載の圧縮機のピストン構造。 - 前記冷媒として二酸化炭素冷媒を用いた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項記載の圧縮機のピストン構造。
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---|---|---|---|
JP2003053405A JP2004263601A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 圧縮機のピストン構造 |
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JP2003053405A JP2004263601A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 圧縮機のピストン構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009099031A1 (ja) * | 2008-02-04 | 2009-08-13 | Sanden Corporation | 斜板式圧縮機 |
WO2014104420A1 (ko) * | 2012-12-26 | 2014-07-03 | 주식회사 엔엘테크 | 용량 가변형 사판식 압축기 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003053405A patent/JP2004263601A/ja not_active Withdrawn
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WO2014104420A1 (ko) * | 2012-12-26 | 2014-07-03 | 주식회사 엔엘테크 | 용량 가변형 사판식 압축기 |
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A761 | Written withdrawal of application |
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