JP2004262313A - ルーフ装置付き低速走行用小型車両及び低速走行用小型車両のルーフ装置 - Google Patents
ルーフ装置付き低速走行用小型車両及び低速走行用小型車両のルーフ装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】固定側フレームに対してルーフ材を取り付けた可動側フレームをルーフ材が座席部の上方を覆った状態とバックレストの背面側に収納された状態とに回動可能とし、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき可動側フレームを固定側フレームに自動ロックする保持装置を設け、この保持装置は座席部に対するルーフ材の前後方向の傾きを変更する機構を備えたこと。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、座席部の上方を覆う状態と収納した状態とを形成できるルーフ装置付き低速走行用小型車両及び低速走行用小型車両のルーフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から歩行の代わりにゆっくりした速度で走行できる低速走行用小型車両が使用されている。このような低速走行用小型車両の使用に際して、雨天のときには運転している人が雨に濡れないように、また日差しが強い場合には日除けに、と運転している人を保護することが望まれる。従来、低速走行用小型車両の座席上方を覆うように広げてルーフを形成するものも存在するが、折り畳みが蛇腹式であるため複数の蛇腹を形成するためのフレームが必要となる(例えば、特許文献1)。
【0003】
この複数の蛇腹フレームは、一箇所で支柱に回動可能に軸支されており、この蛇腹フレームは開閉によって円運動をするため、支柱よりも前方へ広がる蛇腹は、円弧状のルーフを形成することになる。このため、支柱が低い場合は、ルーフの先端が座席に座った人の目線の前方を覆い鬱陶しくなるため、これを避けるためには、支柱を高くするか蛇腹フレームの回動半径を大きくする必要がある。このようにすると装置の背が高く大きくなり、折り畳んでもコンパクト化し難い。
【0004】
また、左右の支柱パイプに対して蛇腹フレームを取り付けた他のパイプが挿入されて相互にスライド可能に構成して、座席の背部に低く収納する方式では、支柱パイプに対してこの他のパイプをスライドさせてルーフを所定の高さにセットし、その後にルーフを広げる操作が必要となり、ルーフを開閉する操作と上下方向への移動との分離した操作が必要である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−255166号公報(第2〜4頁、図1〜9図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような点に鑑みて、従来の蛇腹機構とは異なる機構を採用することによって、ルーフ材を低速走行用小型車両の座席部の上方を覆う状態と、低速走行用小型車両の座席部のバックレスト背部に収納した状態とに安定した回動操作が可能なルーフ装置及びこのルーフ装置を備えた低速走行用小型車両を提供する。そして、ルーフ材を折り畳むことなくバックレスト背部に収納できるフレーム構造を提供するものである。また、ルーフの前後方向の傾きを運転者に応じて変更可能とした低速走行用小型車両のルーフ装置を提供する。更に、上記二つの状態に安定して固定できる構成とする。更にまた、バックレスト背部に物品収納容器を取り付けた場合にも、ルーフ材を支持するルーフフレームがこの物品収納容器に当接しない構成として、ルーフがバックレストの背部に大きく出っ張らないような収納が可能な低速走行用小型車両のルーフ装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両であって、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆うように広がった状態と前記ルーフ材が広がった状態で前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記固定側フレームは、前記車体に固定され前記バックレストの背面側に立ち上がった左右一対の第2固定側フレームと、この第2固定側フレームと相互に着脱自在な挿入関係にあって前記バックレストの背面側に沿って立ち上がった左右一対の第1固定側フレームを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に広がった状態に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記第1固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記バックレストの背面側には物品収納容器が取り付けられ、前記支持フレームと前記ルーフフレームは、前記バックレストの背面側に収納されたとき前記物品収納容器の周辺部に位置する形状をなし、前記ルーフ材には、その天井部分に前記物品収納容器が侵入可能に蓋部分によって開閉する開口を形成し、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態へ回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする保持装置を設けたことを特徴とする。
【0008】
これによって、ルーフを座席部の上方を覆う状態と、座席部の背面部に収納した状態とを安定して行えるため、上記のように支柱に対して複数の蛇腹フレームを回動させる蛇腹方式に比して、ルーフ材を折り畳むことなくルーフを座席部の上方へセットした状態と座席の背部への収納との操作が簡単になり、構造もコンパクト化することができる。また第2固定側フレームの形状を低速走行用小型車両の車種に応じた形状にすることによって、第1固定側フレームや可動側フレームの形状を変更することなく他の車種の低速走行用小型車両1に適用できるため、本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置を低速走行用小型車両1の複数の車種に適応できることとなる。また、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき、可動側フレームを固定側フレームに自動ロックするため、固定操作が容易となる。また、バックレストの背面側に物品収納容器を取り付けた場合にも、ルーフ材を支持するルーフフレームがこの物品収納容器に当接しないので、ルーフがバックレストの背部に大きく出っ張らないような収納が可能となり、ルーフフレームが邪魔になって物品収納容器に物品を収納し難くなるという問題もない。また、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき、可動側フレームを固定側フレームに自動ロックするため、ルーフを座席部の上方に安定保持できると共にその操作が容易である。
【0009】
また本発明は、運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態へ前記可動側フレームが回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする保持装置を設け、この保持装置は、前記座席部に対する前記ルーフ材の前後方向の傾きを変更する機構を備えたことを特徴とする。
【0010】
これによって、ルーフを座席部の上方を覆う状態と、座席部の背面部に収納した状態とを安定して行えるため、上記のように支柱に対して複数の蛇腹フレームを回動させる蛇腹方式に比して、ルーフ材を折り畳むことなくルーフを座席部の上方へセットした状態と座席の背部への収納との操作が簡単になり、構造もコンパクト化することができる。また、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき、可動側フレームを固定側フレームに自動ロックするため、固定操作が容易となる。また保持装置に設けた機構によって、座席部に対するルーフ材の前後方向の傾きを変更することができ、ルーフを座った人に適した傾きにすることが容易となる。そして、このルーフの前後方向の傾きを変更できる機構を保持装置に設けることによって、運転者の頭上の圧迫感を少なくできると共に、その装置や機構がコンパクトになる。
【0011】
また本発明は、運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態へ前記可動側フレームが回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする第1保持装置と、前記ルーフ材が前記バックレストの背面側に収納されるように前記可動側フレームが回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする第2保持装置とを設け、前記第1保持装置は、前記座席部に対する前記ルーフ材の前後方向の傾きを変更する機構を備えたことを特徴とする。
【0012】
これによって、上記の作用に加えて、第1保持装置と第2保持装置とによって、ルーフが座席部の上方を覆った状態とバックレストの背面側に収納された状態を安定して保持できるため、低速走行用小型車両の走行中も安全である。
【0013】
また本発明は、運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、この可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に広がった状態に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記バックレストの背面側には物品収納容器が取り付けられ、前記支持フレームと前記ルーフフレームは、前記ルーフ材が前記バックレストの背面側に収納されたとき前記物品収納容器の周辺部に位置する構成をなすことを特徴とする。
【0014】
これによって、バックレストの背面側に物品収納容器を取り付けた場合にも、ルーフ材を支持するルーフフレームがこの物品収納容器に当接しないので、ルーフがバックレストの背部に大きく出っ張らないような収納が可能となり、ルーフフレームが邪魔になって物品収納容器に物品を収納し難くなるという問題もない低速走行用小型車両のルーフ装置を提供できる。
【0015】
なお、本発明は上記の他に以下の構成をもつ。即ち、低速走行用小型車両のルーフ装置は、運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームとを備え、この支持フレームは、上部が前記ルーフフレームの後部に軸結合され下部が前記固定側フレームの中間部に軸結合された縦方向支持フレームと、上端部が前記ルーフフレームの左右側部に軸結合され下端部が前記固定側フレームの上部に軸結合された傾斜方向支持フレームとを備え、前記左右の固定側フレームの中間部を相互に近づく方向へ屈曲させ、この屈曲部の上部外側において前記縦方向支持フレームの下端部が軸結合され、前記ルーフ材が前記バックレストの背面側に収納された状態において、前記固定側フレームの上部と前記縦方向支持フレームとが背面視で重なる状態となることを特徴とする。
【0016】
このように、ルーフを座席部の上方を覆う状態と、座席部の背面部に収納した状態とを安定して行えるため、上記のように支柱に対して複数の蛇腹フレームを回動させる蛇腹方式に比して、ルーフ材を折り畳むことなくルーフを座席部の上方へセットした状態と座席の背部への収納との操作が簡単になり、構造もコンパクト化することができる。
【0017】
また本発明の前記保持装置は、複数のロック孔が前後方向に配列されて前記固定側フレームに取り付けた板状ソケットと、前記ロック孔に選択的に係脱可能にバネによって突出状態に付勢される前記可動側フレームに取り付けたロックピンの組み合わせで構成され、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆う状態へ前記可動側フレームが回動したとき前記ロックピンは前記ロック孔に自動ロックされ、前記ロックピンを前記バネ力に抗して前記ロック孔から脱出させたとき前記ルーフ材を前記バックレストの背面側に収納可能とした構成を有する。
【0018】
これによって、ロックピンと板状ソケットの組み合わせによって簡単な自動ロック装置が達成でき、板状ソケットに複数のロック孔を前後方向に配列するだけでルーフの傾きを変更できるため、機構が簡単になる。そして、ロックピンをバネ力に抗してロック孔から脱出させることによって、ルーフをバックレストの背面側に収納可能であり、安定した自動ロックが得られると共にロックの解除操作が簡単な構成となる。
【0019】
更に本発明では、複数のロック孔が前後方向に配列されて前記固定側フレームに取り付けた第1板状ソケットと、この第1板状ソケットの下方において前記固定側フレームに取り付けたロック孔を有する第2板状ソケットと、前記各ロック孔に係脱可能なるようバネによって突出状態に付勢され前記可動側フレームに取り付けたロックピンを備え、前記第1保持装置は前記第1板状ソケットと前記ロックピンとの組み合わせで構成され、前記第2保持装置は前記第2板状ソケットと前記ロックピンとの組み合わせで構成され、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆う状態へ前記可動側フレームが回動したとき前記ロックピンが前記第1板状ソケットのロック孔の一つに自動ロックされて第1ロック状態となり、この第1ロック状態を解除して前記可動側フレームの回動にて前記ルーフ材が前記バックレストの背面側へ回動したとき、前記ロックピンが前記第2板状ソケットのロック孔に自動ロックされて第2ロック状態となる構成を有する。
【0020】
これによって、第1保持装置と第2保持装置は、共通のロックピンによって自動ロック装置が構成できるため、装置が簡素化されると共に、ルーフが座席部の上方を覆った状態とバックレストの背面側に収納された状態を安定して保持できるため、低速走行用小型車両の走行中も安全である。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本願発明の実施の形態について説明する。各図は本発明の実施形態を示す。図1は本発明低速走行用小型車両のルーフ装置の分解斜視図、図2は本発明低速走行用小型車両のルーフ装置のフレームとルーフ構成の背面斜視図、図3は本発明低速走行用小型車両のルーフ装置のルーフをバックレストの背面側に収納した状態のフレーム状態を示す背面斜視図、図4は本発明低速走行用小型車両のルーフ装置のルーフをバックレストの背面側に収納した状態のルーフ材と物品収納容器との関係を示す背面斜視図、図5は本発明低速走行用小型車両のルーフ装置を座席部の上方にセットした状態を示す側面状態の説明図、図6は運転者の頭部側方を覆う部分を備えたルーフ材が座席部の上方にセットされた状態を示す側面状態の説明図、図7は運転者の頭部側方を覆う部分を備えたルーフ材が座席部の上方にセットされた状態を示す背面視での説明図、図8は本発明低速走行用小型車両のルーフ装置を座席部の上方にセットした状態を保持する保持装置の説明図、図9は本発明のルーフの傾き変更機構を備えた保持装置の説明図、図10は本発明の第1固定側フレームと第2固定側フレームとの結合部分の説明図、図11は図10のA―A断面図、図12は本発明に係るヘッドレストの展開図、図13はヘッドレストの取り付け状態の側面図、図14はヘッドレストの取り付け状態を示す斜視図、図15は本発明に係るルーフの平面図、図16は本発明に係るルーフ材の引張り用紐部分の構成を示す斜視図である。
【0022】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。低速走行用小型車両1は、車体5の後部には車軸によって車体5の左右側に支持された後輪6と、車体5の前部にハンドル7によって左右に回動操作可能に支持した前輪8を備え、再充電可能な2次電池を動力源として後輪6を駆動して前進及び後退できる仕組みであり、人の歩行の代わりとして利用できるものである。低速走行用小型車両1の前進及び後退の切り替えは、切り替えスイッチによって低速走行用小型車両1の回転方向を前進と後退に切り替えることによって行える。また、低速走行用小型車両1の動力源は、内燃機関等のエンジンを用いるものでもよい。低速走行用小型車両1の始動と停止は、スイッチのON、OFFによって行える。更に必要に応じて低速走行用小型車両1を停止せしめるブレーキ装置が設けられる。
【0023】
本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置は、低速走行用小型車両1の座席部2のバックレスト4に沿って上方へ延びて回動機構を構成する部材によって、ルーフ3が座席部2の上方を覆う状態とバックレスト4の背面側に収納された状態とをとる点に一つの特徴がある。
【0024】
即ち、本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置は、運転者が着座する座席部2の後部に運転者の背もたれとなるバックレスト4を備え座席部2の上方を覆うルーフ3を備えた低速走行用小型車両1において、ルーフ3のシート状のルーフ材3Aをフレーム構成にて支持したものであり、このフレーム構成は、低速走行用小型車両1の車体5に下部が固定されバックレスト4の背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレーム10と、ルーフ3が座席部2の上方を覆った状態とバックレスト4の背面側に収納された状態とに回動可能に固定側フレーム10に対して軸結合された可動側フレーム11とを備える。可動側フレーム11は、ルーフ材3Aをルーフ状に張った状態に保持するルーフフレーム14と、このルーフフレーム14と軸結合16、18されてルーフフレーム14を固定側フレーム10に回動可能に支持する支持フレーム12を備える。この支持フレーム12は、上部がルーフフレーム14の後部に軸結合17され下部が固定側フレーム10の中間部に軸結合16された縦方向支持フレーム12Aと、一端側がルーフフレーム14の左右側部に軸結合19され他端側が固定側フレーム10の上部に軸結合18された傾斜方向支持フレーム12Bとを備える。ルーフ3が座席部2の上方を覆った状態において並列する固定側フレーム10と縦方向支持フレーム12Aとの間隔を広げるように、固定側フレーム10と縦方向支持フレーム12Aの少なくとも一方のフレームが屈曲Rされた形状である。
【0025】
上記構成の本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置を更に詳しく説明する。ルーフ3はルーフ材3Aとこれを保持するルーフフレーム14とで構成される。ルーフフレーム14は、ルーフ3の下部周縁を巡るルーフ枠材14Aと、ルーフ枠材14Aの前辺と後辺に渡る天井材14Bとで構成し、天井材14Bはルーフ枠材14Aの前辺と後辺の左右端部寄りの位置に結合されて後部が高く前部に向けて低くなる曲線状をなす。これによって、ルーフ材3Aは、天井材14Bによって上方に膨らんだ状態に保持され、下部周縁3Lがルーフ枠材14Aの下側に係止して取り付けられている。
【0026】
ルーフ材3Aは、水滴を弾くシート部材で構成され、有機または無機の繊維を織ったシートや、1層又は複数層の合成樹脂製シート等によって形成される。ルーフ材3Aは、4つのコーナ部の一つに引っ張り操作用の紐3Bを取り付けている。また、ルーフ材3Aの下部周縁3Lは、ルーフ枠材14Aに係止する部分が破損しないように重ね合わせによって補強されており、ルーフ枠材14Aで囲まれた領域よりも若干小さい開口がルーフ材3Aの下側に形成されるような寸法関係にある。これによって、ルーフ材3Aのルーフフレーム14への取り付けに際しては、ルーフ材3Aの下部周縁部3Lの大半をルーフ枠材14Aの下側に係止した状態で、未だルーフ枠材14Aに係止していない後隅部に取り付けたループ状の紐3Bを引っ張ってルーフ材3Aを伸張させつつ、その後隅部をルーフ枠材14Aの下側に係止する方法でルーフ枠材14に取り付ける。このため、ルーフ材3Aは若干の伸張性を有する材質が好ましく、その一つとしてナイロン製が好ましい。なお、ルーフ材3Aの下部周縁部3Lには紐状ゴムを取り付けて、この紐状ゴムの縮み作用によってルーフ枠材14Aに係止するように構成することもできる。
【0027】
本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置は、使用の必要性がないときは取外すことができるように着脱可能である。そのために、車体5に固定された左右一対の第2固定側フレーム102に対して左右一対の第1固定側フレーム101が着脱可能である。具体的には、固定側フレーム10を上下に2分割した構成である。即ち、固定側フレーム10は金属製又は合成樹脂製のパイプ材でもって左右一対に構成され、図に示すように、固定側フレーム10は、車体5に固定される左右一対の第2固定側フレーム102と、この第2固定側フレーム102と相互に着脱自在な挿入関係にある左右一対の第1固定側フレーム101の組み合わせにて構成している。この第2固定側フレーム102は、その取り付けの安定性を向上させるために略L字状をなし、この略L字状の下辺先端部が座席部2の下側において車体5に固定される。具体的には、座席部2内からバックレスト4内に渡って設けた金属製の座席骨格材が車体5に取り付けられ、この座席骨格材にボルトネジ15Aによって固定され、第2固定側フレーム102の上部がバックレスト4の背面側にボルトネジ15Bによって固定されている。
【0028】
第2固定側フレーム102のバックレスト4の背面側への具体的な取り付け構造は、左右一対の第2固定側フレーム102の上端部には、その外側に嵌め合わせたパイプ状のブラケット102Aが溶接されており、このブラケット102Aに溶接にて取り付けたフランジ22をボルトネジ15Bによってバックレスト4の背面側に固定した構成である。左右一対の第1固定側フレーム101は、その上端部と下部が水平状態の横方向連結辺10A、10Bによって連結されていて、バックレスト4の背面側の左右両側に沿って上方に延びている。
【0029】
左右一対の第1固定側フレーム101と第2固定側フレーム102の結合は、左右一対の第2固定側フレーム102の上端部に固定したブラケット102A内へ左右一対の第1固定側フレーム101の下端部を挿入し、ブラケット102Aを貫通するボルトネジ20が第1固定側フレーム101にバーリング形成したネジ部21に螺合することにより固定している。ブラケット102Aの上端開口は、第1固定側フレーム101に嵌め合わせたゴム等の可撓性カバー23によって覆われ、雨水等が浸入しない構成である。ボルトネジ20は、その頭部に窪ませた六角ボルトレンチの嵌合部20Aを形成しており、六角ボルトレンチを嵌合部20Aに嵌め合わせて締め付け及び緩め操作ができるが、工具なしにボルトネジ20を締め付け及び緩め操作できるようにするために、ボルトネジ20の頭部のセンターを横切って直線状の溝20Bが形成されている。このため、この直線状の溝20Bにコインやその他の板状の物を嵌めることにより、ボルトネジ20を締め付け及び緩め操作できる。
【0030】
可動側フレーム11を構成する支持フレーム12A、12Bは、金属製又は合成樹脂製のパイプ材でもって左右一対に構成され、縦方向支持フレーム12Aは上部がルーフフレーム14の後部に軸結合17され、下部が第1固定側フレーム101の中間部に軸結合16されている。また傾斜方向支持フレーム12Bは、一端側がルーフフレーム14の左右側部に軸結合19され、他端側が第1固定側フレーム101の上端部に溶接にて固定した連結辺10Aに軸結合18されている。左右の縦方向支持フレーム12A相互は、水平状態の横方向連結辺12Cによって連結されて補強された構成である。
【0031】
本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置は、ルーフ3をフレーム構成にて支持したものであり、具体的には、シート状のルーフ材3Aをフレーム構成にて支持したものである。このフレーム構成を小型化するために、各フレームが近接した組み合わせとなる。このため、ルーフ3即ち、ルーフ材3Aが座席部2の上方を覆った状態において固定側フレーム10の第1固定側フレーム101の上部と縦方向支持フレーム12Aとが並列し近接する。実施形態では、左右の第1固定側フレーム101はその中間部が平面上で相互に近づく方向に屈曲部Rを形成し、この屈曲部Rの上方に位置する第1固定側フレーム101の上部直線部101Bの外側側面にフランジ16Aが溶接され、このフランジ16Aの外側の先端寄りに縦方向支持フレーム12Aの下端部が回動自在に軸結合16された構成である。このため、ルーフ材3Aが座席部2の上方を覆った状態では、第1固定側フレーム101の上部直線部101Bと縦方向支持フレーム12Aとは斜め方向に並列して間隔Tが存在するが、この間隔Tは十分広くなると共に、この屈曲部Rによって、ルーフ材3Aがバックレスト4の背面側へ収納された状態では、屈曲部Rの上方に位置する第1固定側フレーム101の下部直線部101Aと縦方向支持フレーム12Aとは、低速走行用小型車両1の背面視において重なる状態となる。この場合、縦方向支持フレーム12Aの縦方向軸線Q1と第1固定側フレーム101の下部直線部101Aの軸線Q2とが低速走行用小型車両1の背面視において重なる状態が好ましい形態である。
【0032】
左右固定側フレーム101の下部相互の略間隔いっぱいの横幅を有するバスケット(物品収納容器)200が、バックレスト4の背面にボルト螺子15Bでもって取り付けられている。具体的には、上面開口のバスケット(物品収納容器)200は、収納容積を大きくするために、左右の第1固定側フレーム101と第2固定側フレーム102の下部相互間隔いっぱいの横幅を有する状態である。
【0033】
上記のように屈曲部Rによって、左右方向への縦方向支持フレーム12Aの張り出しが少なく、且つ第1固定側フレーム101の下部直線部101A相互間に取り付けられるバスケット(物品収納容器)200の横幅が、左右の下部直線部101A相互間隔いっぱいの大きさであっても、後述のようにルーフ3をバックレスト4の背面側へ収納した場合にも、縦方向支持フレーム12Aがこのバスケット(物品収納容器)200に衝突することはない。このため大きなバスケット(物品収納容器)200の取り付けができ、買い物などの便利さが増す。
【0034】
また、第1固定側フレーム101と縦方向支持フレーム12Aとの間隔Tが狭い場合には、この部分で低速走行用小型車両のルーフ装置を回動操作する作業者の指が挟まれる虞がある。しかし、上記の構成によって、この間隔Tを作業者の指が挟まれない程度に広げることが容易となり、小型化を図りつつ安全な操作が達成できるフレーム構成となる。
【0035】
また、本発明は、運転者が着座する座席部2の後部に運転者の背もたれとなるバックレスト4を備え座席部2の上方を覆うシート状のルーフ材3Aをフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、低速走行用小型車両1の車体5に下部が固定されバックレスト4の背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレーム10と、取り付けられたルーフ材3Aが座席部2の上方を覆った状態とバックレスト4の背面側に収納された状態とに回動可能に固定側フレーム10に対して軸結合された可動側フレーム11とを備え、可動側フレーム11は、ルーフ材3Aをルーフ状に保持するルーフフレーム14と、このルーフフレーム14と軸結合されてルーフフレーム14を固定側フレーム10に回動可能に支持する支持フレーム12を備え、ルーフ材3Aが座席部2の上方を覆った状態へ可動側フレーム11が回動したとき可動側フレーム11を固定側フレーム10に自動ロックする保持装置24を設け、この保持装置24は、座席部2に対するルーフ材3Aの前後方向の傾きを変更する機構を備えたことを特徴とする。
【0036】
保持装置24は、固定側フレーム10に対して可動側フレーム11を座席部2の上方にルーフ3をセットした状態に保持する作用をする。図において、ルーフ3が座席部2の上方を覆う正規の状態において、固定側フレーム10の連結辺10Aに固定した固定側保持部材である板状ソケット25に形成した複数のロック孔26A、26Bに対して、抜き差し自在な可動側保持部材であるロックピン27が可動側フレーム11に取り付けられた構成である。ロックピン27は、可動側フレーム11の連結辺12Cを貫通して取り付けた支持管28を貫通しており、支持管28内には、ロックピン27の先端が常時突出した状態になるように付勢するコイルバネ29が設けられている。
【0037】
これによって、ロックピン27は板状ソケット25の孔26A又は26Bに挿入された状態を保持し、正規状態にルーフ3を安定に保持する。コイルバネ29に抗してロックピン27を矢印P方向へ引くことによって、板状ソケット25の孔26A又は26Bからロックピン27を外すことができる。
【0038】
上記の構成において、ルーフ3を座席部2の上方を覆う状態とバックレスト4の背面側に収納した状態とに移動できる構成について説明する。ルーフ3が座席部2の上方を覆う正規の状態からルーフ3をバックレスト4の背面側に収納する場合には、コイルバネ29に抗してロックピン27のノブ27Aを掴んで矢印P方向へ引いて、係止している板状ソケット25の孔26A又は26Bからロックピン27を外す。このロックピン27が外れた状態で、図2に厚肉矢印で示すように、可動側フレーム11を後方へ回動させることによって、ルーフ3が後方へ回動する。具体的には、連結部16を軸にして縦方向支持フレーム12Aを後方へ回動させることによって、傾斜方向支持フレーム12Bが連結部18を軸にして後方へ回動し、それに伴ってルーフ3が連結部17、19を軸にして後方へ回動する。
【0039】
このような回動を経て、ルーフ3がバックレスト4の背面側へ縦方向に収納される。この収納状態では、縦方向支持フレーム12Aは固定側フレーム10の後側、即ち第1固定側フレーム101及び第2固定側フレーム102の後側に移動し、可動側フレーム11とルーフ3はバックレスト4の背面に沿って収納された状態となる。この収納状態は、固定側フレーム10の連結辺10Bに取り付けた板状ソケット50に形成したロック孔50Aにロックピン27を挿入することによって安定保持が可能となる。この収納状態では、ルーフ材3Aがルーフフレーム14に取り付けられて広がったままの状態であり、バックレスト4の背面側に収納された支持フレーム12の12A、12Bとルーフフレーム14の14A、14Bは、ルーフ3がバックレスト4の背面側に収納されたとき、図3に示すように、物品収納容器200の周辺部に位置する。このため、可動側フレーム11を構成する支持フレーム12とルーフフレーム14は、バックレスト4に近づいた状態に収納できるため、低速走行用小型車両1の背面側へのフレームの張り出しが少なくなる。
【0040】
図3の収納状態から再びルーフ3を座席部2の上方に広げる場合には、板状ソケット50の孔からロックピン27を引き上げて外した状態において、上記と逆の操作によってルーフ3を上方へ移動させ、板状ソケット25の孔26A又は26Bにロックピン27を挿入することによって、座席部2の上方にルーフ3をセットした状態に安定保持が可能となる。
【0041】
板状ソケット25は、上記の回動操作によってロックピン27が近づく端部は、ロックピン27が衝突しないように、ロックピン27が徐々にコイルバネ29に抗して引っ込むように傾斜面25Aを形成しており、上記の回動操作によってロックピン27は自動的に板状ソケット25の孔26A又は26Bに嵌り込む。また、板状ソケット50についても同様に、ロックピン27が近づく端部にはロックピン27が衝突しないようにロックピン27が徐々にコイルバネ29に抗して引っ込むような傾斜面を形成している。
【0042】
また、板状ソケット25には二つのロック孔26A、26Bを前後方向に形成している。ロックピン27が後方のロック孔26Aに係合した状態は、ルーフ3が第1の状態であり、またロックピン27が前方のロック孔26Bに係合した状態は、ルーフ3の前端部が第1の状態よりも上方へ高く上がった第2の状態である。これによって、座席部2に着座した人の座高に合わせて第1の状態か第2の状態かに設定することができるため、ルーフ3の前後方向の傾きを低速走行用小型車両1を使用する人によって変更することができる。
【0043】
また本発明では、固定側フレーム10を上下に2分割した構成である。即ち、固定側フレーム10は金属製又は合成樹脂製のパイプ材でもって左右一対に構成され、図に示すように、固定側フレーム10は、座席部2の下側において車体5に固定される左右一対の第2固定側フレーム102と、この第2固定側フレーム102と相互に着脱自在な挿入関係にある左右一対の第1固定側フレーム101の組み合わせにて構成している。このため、第2固定側フレーム102の形状を低速走行用小型車両1の車種に応じた形状にすることによって、第1固定側フレーム101や可動側フレーム11の形状を変更することなく他の車種の低速走行用小型車両1に適用できるため、本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置を低速走行用小型車両1の複数の車種に適応できることとなる。
【0044】
上記のルーフ材3Aは、ルーフフレーム14のルーフ枠材14Aに下端周縁部3Lが係止する形態であるが、本発明のもう一つの形態として、座席部2に着座した人の頭部の左右両側と後側をカバーするカバー部分3C、3Dを形成したルーフ材3A1を用いることができるフレーム構成である。カバー部分3C、3Dの下端部には、カバー部分3C、3Dの形状維持と補強のために、所定形状をなした金属又は合成樹脂の板状バネ性材3Wが取り付けられている。ルーフ材3A1の材質は、ルーフ材3Aと同様であり、天井部分の構成はルーフ材3Aの構成と同様である。
【0045】
ルーフフレーム14への取り付けに際しては、上記のルーフ材3Aと同様に、ルーフ材3A1の天井部分の下部周縁3Lの大半をルーフ枠材14Aの下側に係止した状態で、未だルーフ枠材14Aに係止していない後隅部に取り付けたループ状の紐3Bを引っ張ってルーフ材3A1を伸張させつつ、その後隅部をルーフ枠材14Aの下側に係止する方法でルーフ枠材14に取り付ける。そして、カバー部分3C、3Dが縦方向支持フレーム12Aと傾斜方向支持フレーム12Bとを覆うように配置し、カバー部分3Dの下端部に設けた面ファスナ材3Eを連結辺12Cに巻き付けた状態に取り付ける。面ファスナ材3Eはその接合面に多数のかぎ状繊維を備え、押圧にてこのかぎ状繊維が相互に絡み合って接合され、剥がし操作にてその接合が解除される公知又は周知の面ファスナーである。これによって、ルーフ材3A1は可動側フレーム11に取り付けられ、座席部2に着座した人の頭部の上方は勿論のこと、その人の頭部の左右両側と後側をカバーすることができる。なお、後側のカバー部分3Dには透明な窓3Fを形成することにより、座席部2に着座した人が後方を確認することができ、安全な運転ができることとなる。
【0046】
本発明では、上記のように、ルーフ3がバックレスト4の背面側へ縦方向に収納されるが、この収納状態において、ルーフ材3A、3A1がルーフフレーム14に取り付けられて広がったままの状態であり、バックレスト4の背面側に収納された支持フレーム12とルーフフレーム14は、図3に示すように、ルーフ材3A、3A1がバックレスト4の背面側に収納されたとき、物品収納容器200の周辺部に位置する。このため、可動側フレーム11を構成する支持フレーム12とルーフフレーム14は、バックレスト4に近づいた状態に収納できるため、低速走行用小型車両1の背面側へのフレームの張り出しが少なくなる。
【0047】
このように、支持フレーム12とルーフフレーム14は、物品収納容器200の周辺部に位置するようになるが、バスケット(物品収納容器)200が大きい場合には、バックレスト4の後方への張り出しが大きくなり、可動側フレーム11に伴ってルーフ3がバックレスト4の背面側へ移動したとき、ルーフ材3A又は3A1の天井部分3Mが、このバスケット(物品収納容器)200に衝突してルーフ3を正規の位置へ収納できない場合がある。この様なことを防止するためにルーフ材3A、3A1には、その天井部分3Mを開くことができるように左右の天井材14B、14B相互間に大きな開口3Nを形成し、天井材14B、14Bに沿って開口3Nを開閉するように、天井部分3Mの中間部から後部がファスナー3Gによって開閉できる蓋部分3Hを形成している。この蓋部分3Hは、その後端縁3iがルーフ材3A、3A1の後部3Jと重なり幅Wで重なり、この後端縁3i部分は左右のファスナー3G間が後方に風抜き開口3Pした状態である。この開口3Pは、低速走行用小型車両1の前方からルーフ3の内側へ吹き込む風の通り抜け口となり、この風によってルーフ材3A、3A1が上方へ煽られて外れる等の支障が生じることを防止する。ルーフ材3Aは天井部分3Mだけであるため風による煽られは少ないので、風抜き開口3Pを形成しない蓋部分3Hとすることもできる。しかし、カバー部分3C、3Dを備えたルーフ材3A1においては風が抜け難いため、風抜き開口3Pを形成することによる効果が大きい。
【0048】
上記のように、ファスナー3Gによって蓋部分3Hが開閉できるため、ルーフ3を座席部2の上方に位置させた状態では、ファスナー3Gによって蓋部分3Hを閉じておくことにより、降ってきた雨が窓3Nから侵入することを防げる。そして、可動側フレーム11とルーフ3をバックレスト4の背面側へ収納するとき、ファスナー3Gによって蓋部分3Hを開いておくことにより、ルーフ3をバックレスト4の背面側へ収納した場合にも、図4に示すように、バスケット(物品収納容器)200が開口3Nに侵入することによって蓋部分3Hが後方へ押されて逃げるため、可動側フレーム11とルーフ3をバックレスト4の背面側の正規の位置へ収納することができる。図4のようにバックレスト4の背面側へ収納した場合には、ルーフ材3A1の後側のカバー部分3Dは、バスケット(物品収納容器)200の下側へ位置し、カバー部分3Cは、バスケット(物品収納容器)200の左右両側へ位置する。
【0049】
図4のように蓋部分3Hがバスケット(物品収納容器)200の上面開口を覆った状態にすれば、バスケット(物品収納容器)200内へ塵埃が入り込まず衛生的である。また、この蓋部分3Hがバスケット(物品収納容器)200内の収納物を外から見え難くする効果もある。この状態で、蓋部分3Hを上方へ開くかバックレスト4側へ移動させることにより、バスケット(物品収納容器)200の上面開口が開くため、バスケット(物品収納容器)200への物品の収納及び取り出しを行うことができる。
【0050】
また、固定側フレーム10には、座席部2に着座した人の頭部を支えるためのヘッドレスト300を設けている。具体的には、第1固定側フレーム101の上端部に溶接にて固定した連結辺10Aに、板状ソケット25が中心部から後方へ露出するように取り付けている。ヘッドレスト300は、図12に示すように、軟質材の表皮301の裏側にクッション材302が設けられた構成であり、このクッション材302は、(イ)(ロ)(ハ)の3分割構成であり、図12に示すようにクッション材302を取り付けた表皮301が開いた状態のものを図13及び図14に示すように連結辺10Aに巻きつけて取り付け、その端部を面ファスナ材303で止める構成である。面ファスナ材303は上記の面ファスナ材3Eと同様の機能構成である。この取り付け状態で、座席部2に着座した人の頭部側にクッション材(ハ)が対応する。座席部2に着座した人の頭部を保護するように、このクッション材(ハ)はクッション材(イ)(ロ)よりも十分に厚く、その厚さが約50mmである。このように、クッション材302を3分割構成とすることによって、クッション材(ハ)を所定の位置として連結辺10Aへ巻きつける取り付け作業がし易くなる。
【0051】
ヘッドレスト300は、連結辺10Aに巻きつけて取り付けられた状態で、表皮301に形成した切り欠き304へ板状ソケット25が嵌った状態であるため回転しない。
【0052】
400は杖、傘、ゲートボール用スティック等を上面開口から挿し込むことができる有底の筒体である。筒体400は、固定板402を介してボルトネジ401によってブラケット102Aに取り付けられている。
【0053】
本発明は上記の構成によって、ルーフ材3A、3A1を低速走行用小型車両の座席部2の上方を覆う状態と、低速走行用小型車両1の座席部2のバックレスト4の背部に収納した状態とに安定した回動操作が可能となる。そして、ルーフ材3A、3A1の天井部分3Mを折り畳むことなくバックレスト4の背部に収納できるフレーム構造を提供できることとなる。また、ルーフ3の前後方向の傾きを運転者に応じて変更可能であるため、運転者の頭上の圧迫感を少なくできる。更に、板状ソケット25及び板状ソケット50とロックピン27によって、上記二つの状態に安定して固定できる構成となる。更にまた、バックレスト4の背部に物品収納容器200を取り付けた場合にも、ルーフ材3A、3A1を支持するルーフフレーム14がこの物品収納容器200に当接しない構成となり、ルーフ3がバックレスト4の背部に大きく出っ張らないような収納が可能な低速走行用小型車両のルーフ装置となる。
【0054】
また、ヘッドレストをバックレスト4の上端部に設けた場合には、バックレストやヘッドレストの位置や大きさによってフレーム構成が制限される場合が生じるが、本発明では、左右の固定側フレーム10の上端部に設けた横方向連結辺10Aにヘッドレスト300を設けているため、ルーフの回動操作の邪魔にならず、フレーム構成がヘッドレスト300によって形状変更しなければならない等の制限を受けることもなく、横方向連結辺10Aを有効に利用できる。そして、板状ソケット25によって回動を制限できる構成も採れるため、自動ロック機構を有効利用でき部品点数も少ない構成となる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しないかぎり種種の変更が考えられ、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0056】
【発明の効果】
本発明では、ルーフを座席部の上方を覆う状態と、座席部の背面部に収納した状態とを一連の操作によって行える効果がある。このため、従来技術のように支柱に対して複数の蛇腹フレームを回動させる蛇腹方式に比して、ルーフ材の天井部分を折り畳むことなく、ルーフを座席部の上方へセットした状態と座席の背部への収納との操作が簡単になり、構造もコンパクト化することができる。
【0057】
そして、請求項1の発明では、第2固定側フレームの形状を低速走行用小型車両の車種に応じた形状にすることによって、第1固定側フレームや可動側フレームの形状を変更することなく他の車種の低速走行用小型車両1に適用できるため、本発明の低速走行用小型車両のルーフ装置を低速走行用小型車両1の複数の車種に適応できることとなる。また、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき、可動側フレームを固定側フレームに自動ロックするため、固定操作が容易となる。また、バックレストの背面側に物品収納容器を取り付けた場合にも、ルーフ材を支持するルーフフレームがこの物品収納容器に当接しないので、ルーフがバックレストの背部に大きく出っ張らないような収納が可能となり、ルーフフレームが邪魔になって物品収納容器に物品を収納し難くなるという問題もない。また、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき、可動側フレームを固定側フレームに自動ロックするため、ルーフを座席部の上方に安定保持できると共にその操作が容易である。
【0058】
そして、請求項2の発明では、ルーフ材が座席部の上方を覆った状態へ回動したとき可動側フレームを固定側フレームに自動ロックするため、固定操作が容易となる。また保持装置に設けた機構によって、座席部に対するルーフ材の前後方向の傾きを変更することができ、ルーフを座った人に適した傾きにすることが容易となる。そして、このルーフの前後方向の傾きを変更できる機構を保持装置に設けることによって、運転者の頭上の圧迫感を少なくできると共に、その装置や機構がコンパクトになる。
【0059】
請求項3の発明では、第1保持装置と第2保持装置とによって、ルーフが座席部の上方を覆った状態とバックレストの背面側に収納された状態を安定して保持できるため、低速走行用小型車両の走行中も安全である。また第1保持装置に設けた機構によって、座席部に対するルーフ材の前後方向の傾きを変更することができ、ルーフを座った人に適した傾きにすることが容易となり、運転者の頭上の圧迫感を少なくできると共に、その装置や機構がコンパクトになる。
【0060】
請求項4の発明では、バックレストの背面側に物品収納容器を取り付けた場合にも、ルーフ材を支持するルーフフレームがこの物品収納容器に当接しないので、ルーフがバックレストの背部に大きく出っ張らないような収納が可能となり、ルーフフレームが邪魔になって物品収納容器に物品を収納し難くなるという問題もない低速走行用小型車両のルーフ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置の分解斜視図である。
【図2】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置のフレームとルーフ構成の背面斜視図である。
【図3】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置のルーフをバックレストの背面側に収納した状態のフレーム状態を示す背面斜視図である。
【図4】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置のルーフをバックレストの背面側に収納した状態のルーフ材と物品収納容器との関係を示す背面斜視図である。
【図5】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置を座席部の上方にセットした状態を示す側面状態の説明図である。
【図6】運転者の頭部側方を覆う部分を備えた本発明のルーフ材が座席部の上方にセットされた状態を示す側面状態の説明図である。
【図7】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置を収納した背面状態の説明図である。
【図8】本発明低速走行用小型車両のルーフ装置を座席部の上方にセットした状態を保持する保持装置の説明図である。
【図9】本発明のルーフの傾き変更機構を備えた保持装置の説明図である。
【図10】本発明の第1固定側フレームと第2固定側フレームとの結合部分の説明図である。
【図11】図10のA―A断面図である。
【図12】本発明に係るヘッドレストの展開図である。
【図13】ヘッドレストの取り付け状態の側面図である。
【図14】ヘッドレストの取り付け状態を示す斜視図である。
【図15】本発明に係るルーフの平面図である。
【図16】本発明に係るルーフ材の引張り用紐部分の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・低速走行用小型車両
2・・・座席部
3・・・ルーフ
3A、3A1・・・ルーフ材
4・・・バックレスト
5・・・車体
10・・・固定側フレーム
11・・・可動側フレーム
12・・・支持フレーム
12A・・・縦方向支持フレーム
12B・・・傾斜方向支持フレーム
14・・・ルーフフレーム
14A・・・ルーフ枠材
14B・・・天井材
15A、15B・・・固定部
16、17、18、19・・・軸結合部
20・・・固定装置
24・・・保持装置
25、50・・・板状ソケット
26A、26B・・・板状ソケットの孔
27・・・ロックピン
101・・・第1固定側フレーム
102・・・第2固定側フレーム
200・・・バスケット(物品収納容器)
300・・・ヘッドレスト
Claims (4)
- 運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両であって、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆うように広がった状態と前記ルーフ材が広がった状態で前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記固定側フレームは、前記車体に固定され前記バックレストの背面側に立ち上がった左右一対の第2固定側フレームと、この第2固定側フレームと相互に着脱自在な挿入関係にあって前記バックレストの背面側に沿って立ち上がった左右一対の第1固定側フレームを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に広がった状態に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記第1固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記バックレストの背面側には物品収納容器が取り付けられ、前記支持フレームと前記ルーフフレームは、前記バックレストの背面側に収納されたとき前記物品収納容器の周辺部に位置する形状をなし、前記ルーフ材には、その天井部分に前記物品収納容器が侵入可能に蓋部分によって開閉する開口を形成し、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態へ回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする保持装置を設けたことを特徴とするルーフ装置付き低速走行用小型車両。
- 運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態へ前記可動側フレームが回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする保持装置を設け、この保持装置は、前記座席部に対する前記ルーフ材の前後方向の傾きを変更する機構を備えたことを特徴とする低速走行用小型車両のルーフ装置。
- 運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、前記可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態へ前記可動側フレームが回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする第1保持装置と、前記ルーフ材が前記バックレストの背面側に収納されるように前記可動側フレームが回動したとき前記可動側フレームを前記固定側フレームに自動ロックする第2保持装置とを設け、前記第1保持装置は、前記座席部に対する前記ルーフ材の前後方向の傾きを変更する機構を備えたことを特徴とする低速走行用小型車両のルーフ装置。
- 運転者が着座する座席部の後部に運転者の背もたれとなるバックレストを備え前記座席部の上方を覆うシート状のルーフ材をフレーム構成にて支持した低速走行用小型車両において、前記フレーム構成は、前記低速走行用小型車両の車体に下部が固定され前記バックレストの背面側の左右両側に立ち上がった固定側フレームと、取り付けられた前記ルーフ材が前記座席部の上方を覆った状態と前記バックレストの背面側に収納された状態とに回動可能に前記固定側フレームに対して軸結合された可動側フレームとを備え、この可動側フレームは、前記ルーフ材をルーフ状に広がった状態に保持するルーフフレームと、このルーフフレームと軸結合されて前記ルーフフレームを前記固定側フレームに回動可能に支持する支持フレームを備え、前記バックレストの背面側には物品収納容器が取り付けられ、前記支持フレームと前記ルーフフレームは、前記ルーフ材が前記バックレストの背面側に収納されたとき前記物品収納容器の周辺部に位置する構成をなすことを特徴とする低速走行用小型車両のルーフ装置。
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KR20210069382A (ko) * | 2019-12-03 | 2021-06-11 | 주식회사 아세아텍 | 승용관리기용 선바이저 |
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