JP2004262180A - スライサ切断方法とそのための設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】テスト切断によるウエハの無駄を防止しつつ、特定結晶面方位の主面を有するウエハを単結晶インゴットから切り出すスライサ切断方法を提供する。
【解決手段】単結晶インゴットを特定結晶面に平行にスライサで切断する方法は、第1のインゴットをステージ上に載置してスライサで第1の切断を行い、平面検知センサを第1インゴットの第1切断面に適用してその第1切断平面を特定し、第1インゴットに代えて第2のインゴットをステージ上に載置し、平面検知センサを第2インゴットの端面に適用してその端面が第1切断平面に平行になるようにステージを調整し、第2インゴットの端面とその第2インゴット内の特定の結晶方位面との間の既知の幾何学的関係に基づいてステージを再調整してその特定結晶方位面が第1切断平面に平行になるように設定し、その後に第2インゴットに対してそのスライサで第2の切断を行う。
【選択図】 図4
【解決手段】単結晶インゴットを特定結晶面に平行にスライサで切断する方法は、第1のインゴットをステージ上に載置してスライサで第1の切断を行い、平面検知センサを第1インゴットの第1切断面に適用してその第1切断平面を特定し、第1インゴットに代えて第2のインゴットをステージ上に載置し、平面検知センサを第2インゴットの端面に適用してその端面が第1切断平面に平行になるようにステージを調整し、第2インゴットの端面とその第2インゴット内の特定の結晶方位面との間の既知の幾何学的関係に基づいてステージを再調整してその特定結晶方位面が第1切断平面に平行になるように設定し、その後に第2インゴットに対してそのスライサで第2の切断を行う。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は単結晶インゴットのスライサによる切断方法とそのための設備に関し、特に、半導体や誘電体などの柱状単結晶インゴットからウエハを切り出すスライサ切断方法とそのための設備の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
円柱状や角柱状の単結晶インゴットからウエハを切り出す場合、一般には内周刃スライサまたは外周刃スライサなどのスライサ、さらにはワイヤソーまたはマルチワイヤソーなどが用いられる。
【0003】
ところで、電子部品用に用いられる半導体または誘電体などのウエハは、その主面が特定の結晶学的方位を有すべきことを求められる場合が多い。たとえば、柱状単結晶インゴットから切り出されるべきウエハが特定の結晶面Cに平行な主面方位を有すべき場合、その柱状インゴットはスライサによってその結晶面Cに平行に切断されなければならない。
【0004】
ところで、例えば半導体単結晶の柱状インゴットが回転引き上げ法などによって成長させられた場合、その成長インゴットの径が変化している両端部が切断除去されて、ほぼ一定径の円柱状インゴットにされる。こことき、インゴットの両端部は、そのインゴットの長手方向の軸にほぼ直交する面に平行に切断される。このようにインゴットの両端部が切除されるのは、インゴットの成長端部は不純物が高くて格子欠陥密度も高いことが多いからである。
【0005】
次に、そのように両端部が切除されたインゴットのその平端面から、第1のテストウエハが切り出される。この第1のテストウエハは、半導体インゴットにおけるキャリヤの移動度のような電気的特性や結晶方位などを調べるために用いられる。すなわち、第1のテストウエハにX線回折を適用することによって、インゴットの結晶方位を知ることができる。
【0006】
このように第1のテストウエハによって結晶方位が特定されたインゴットからは、特定方位の結晶面に平行な主面を有するウエハが例えばスライサによって切り出される。そのように特定方位の主面を有するウエハをインゴットからスライサで切り出す従来の方法が、図5と図6の模式的な斜視図で図解されている。なお、本願の図面において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表わしている。
【0007】
図5において、インゴット1は傾角調整ステージ2上に載置される。その傾角調整ステージ2は、水平回転ステージ(図示せず)上に設置されている。インゴット1の結晶方位は、前述のような第1のテストウエハの測定から既に知られている。しかし、インゴット中の特定の結晶面1C(図中において影付された仮想面として表わされている)に平行な主面を有するウエハが切り出されるべき場合、そのインゴットの結晶方位に関する何らかの印を付与していたとしても、目視によって結晶面1Cと内周刃スライサ10の面とが正確に平行になるように傾角調整ステージ2と回転ステージとを調整することは容易ではない。
【0008】
また、スライサ10は白色矢印で示されているように回転させられるとともに、インゴット1に対して相対的に移動させられ、そのような動作によってインゴット1からウエハが切り出される。したがって、たとえ結晶面1Cとスライサ10の面とが正確に平行になるように初期設定できたとしても、実際に切り出されたウエハの主面が結晶面1Cに正確に一致していないこともあり得る。そのような理由としては、実際の切断のときにスライサにかかる応力の影響などが考えられる。
【0009】
そこで、従来では図5に示されているように、傾角調整ステージ2上に載置されたインゴット1のテスト切断として、第2のテストウエハ1Wがスライサ10によって実際に切り出される。そして、その第2テストウエハ1Wの切断面に対してX線回折を適用し、ステージ2上のインゴット1の結晶方位と切断面1Aとの関係が調べられる。
【0010】
その後、図6に示されているように、第2のテストウエハ1WのX線測定で確認されたインゴット1中の特定結晶面1Cが図5中の実際の切断面1Aに平行になるように、傾角調整ステージ2と水平回転ステージとが調整される。この調整の後に、特定結晶面1Cの主面を有するウエハが、スライサ10によってインゴット1から実際に切り出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、特定結晶面1Cの主面を有するウエハをインゴット1からスライサ10で切り出す場合に、従来ではテスト切断によって第2テストウエハ1Wを切り出している。しかし、この第2テストウエハ1Wは、特定結晶面1Cの主面を有していないので、目的ウエハとして利用することができず、テスト切断後には無駄なウエハになる。
【0012】
そこで、本発明は、テスト切断による第2テストウエハ1Wの無駄を防止しつつ、特定の結晶面方位1Cの主面を有するウエハを単結晶インゴット1から正確かつ簡便にに切り出すことができるスライサ切断方法とそのための設備を提供することを目的としている。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−331518号公報
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、柱状の単結晶インゴットをその特定結晶面に平行にスライサで切断する方法は、任意の第1のインゴットをステージ上に載置してスライサで第1の切断を行い、平面の方位を特定し得る平面検知センサを第1インゴットの第1切断面に適用することによってその第1切断面を含む第1切断平面を特定し、第1インゴットに代えて第2のインゴットをステージ上に載置し、平面検知センサを第2インゴットの端面に適用してその端面が第1切断平面に平行になるようにステージを調整し、第2インゴットの端面とその第2インゴット内の特定の結晶方位面との間の既知の幾何学的関係に基づいてステージを再調整することによってその特定結晶方位面が第1切断平面に平行になるように設定し、その後に第2インゴットに対してそのスライサで第2の切断をすることを特徴としている。
【0015】
そうすることによって、特定結晶面に対して高い精度で平行な主面を有するウエハを簡便に切り出すことが可能になる。なお、第1インゴットとしては無価値のダミーインゴットを用いることができる。
【0016】
また、そのようなスライサ切断方法は、ステージと、スライサと、平面検知センサとを備えたスライサ切断設備において実施することができる。平面検知センサは、同一直線上にない3点以上の複数の測定点の位置を検知することによって、それら複数の測定点を含む平面の方位を特定することができる。平面検知センサは、鉛直方向に2点と水平方向に2点の位置を検知し得る4つのポイントセンサを含んでいることが好ましい。
【0017】
スライサ切断設備は側壁とその側壁に脱着可能なガイドレールを含むことができ、平面検知センサはそのガイドレール上で摺動させ得る。平面検知センサは、特定した平面の方位に関するデータを処理するためのデータ処理システムに接続されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1から図4を参照して、本発明の一実施形態によるスライサ切断方法とそのための設備が、模式的な側面図で図解されている。
【0019】
まず、図1において、無価値のダミーインゴット1Dが傾角調整ステージ2上に載置される。そして、白色矢印で示されているように、そのダミーインゴット1Dに対してスライサ10が相対的に昇降させられ、実際にダミーテストウエハ1DWが切断される。その結果、ダミーインゴット1Dの残部において切断端面1Aが形成される。
【0020】
図2において、スライサ切断設備の側壁20に対してガイドレール21が装着され、その上に平面検知センサ22が摺動可能に載置される。この平面検知センサ22は、同一直線上にはない3点以上の位置を検知し得る複数のポイントセンサを含んでいる。なお、図2においては、2つのポイントセンサ22a、22bのみが例示されている。
【0021】
平面検知センサ22は、ガイドレール21上で摺動可能であり、ダミーインゴット1Dの切断端面1Aに適用される。そのとき、ポイントセンサ22a、22bの各々は小さな球面の触子を有し、その触子が切断端面1Aに接触させられる。こうして、同一直線状にない3点以上の位置が検知され、それによって切断端面1Aの面方位が特定される。なお、平面検知センサ22は、検知された複数点の位置から面方位を算出する演算装置、それらのデータを保存する記憶装置、およびデータを表示する表示装置などを含むデータ処理システム(図示せず)に接続されている。
【0022】
断面の方位を正確かつ簡便に特定するためには、平面検知センサ22は、水平方向に2つのポイントセンサと垂直方向に2つのポイントセンサを含むことが好ましい。そうすれば、例えばインゴットの円形、楕円形、または矩形の断面の面方位を特定する場合に、水平方向の2つのポイントセンサをその断面の幅方向の両端近傍に適用すると同時に、垂直方向の2つのポイントセンサをその断面の上下方向の両端近傍に適用することができる。そして、その断面に対する一回の平面検知センサ22の適用によって、断面の水平方向の傾斜と垂直方向の傾斜とを高い精度で同時に特定することができる。
【0023】
以上のようにして、平面検知センサ22によって特定されたダミーインゴット1Dの断面1Aに関する面方位データは、図示されていないデータ処理システムに保存される。
【0024】
図3において、平面検知センサ22をガイドレール21上で摺動させて、ダミーインゴット1Dの断面1Aから離脱させる。そして、傾角調整ステージ2上のダミーインゴット1Dが、単結晶インゴット1に置き換えられる。なお、この単結晶インゴット1においては、前述のような第1のテストウエハのX線測定によって、端面1aと特定結晶面1Cとの角度関係が既知である。
【0025】
その後、ガイドレール21上で平面検知センサ22を摺動させて、それを単結晶インゴット1の端面1aに適用する。すなわち、平面検知センサ22中の各ポイントセンサの触子が端面1aに接触させられる。そして、それらのポイントセンサの触子に接触している端面1aの面方位が、データ処理システムに保存されている断面1Aの面方位に一致するように傾角調整ステージ2および回転ステージが調整される。これによって、単結晶インゴット1の端面1aは、ダミーインゴット1Dの実際の切断面1Aと平行に設定され得る。
【0026】
図4では、インゴット1において既知である端面1aと特定結晶面1Cとの角度関係が平面検知センサ22のデータ処理システムにおいて考慮され、その特定結晶面1Cが切断面1Aに平行になるように、平面検知センサ22中の複数のポイントセンサの触子先端によって特定される平面にインゴット1の端面1aが一致するように、傾角調整ステージ2および回転ステージが再調整される。
【0027】
その後、平面検知センサ22をガイドレール21上で摺動させて単結晶インゴット1の端面1aから離脱させるとともに、そのガイドレール21が側壁20から取り外される。そして、ダミーインゴット1Dを切断した場合と同様にして、スライサ10によって、単結晶インゴット1から目的ウエハが切り出される。
【0028】
なお、以上の実施形態においては断面に対して機械的に接触する触子を有するポイントセンサを含む平面検知センサを利用する場合について説明されたが、光学的に位置を検知するポイントセンサを含む平面検知センサを利用してもよいことは言うまでもない。そのような、光学的ポイントセンサには半導体レーザを利用することができる。また、機械的触子を利用する平面検知センサの実例としては、株式会社キーエンスから販売されているグラフィックアナログコントローラRJ−800を入手することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、テスト切断によるテストウエハの無駄を防止しつつ、特定の結晶面方位の主面を有するウエハを単結晶インゴットから正確かつ簡便にに切り出すことができるスライサ切断方法とそのための設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における初期ステップを図解する模式的な側面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における図1のステップに続くステップを図解する模式的な側面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における図2のステップに続くステップを図解する模式的な側面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における図3のステップに続くステップを図解する模式的な側面図である。
【図5】従来のスライサ切断方法における初期ステップを図解する模式的な斜視図である。
【図6】従来のスライサ切断方法における図5のステップに続くステップを図解する模式的な斜視図である。
【符号の説明】
1 単結晶インゴット、1a 端面、1A ダミー切断面、1C 特定結晶面、1D ダミーインゴット、2 傾角調整ステージ、10 スライサ、20 スライサ切断設備の側壁、21 ガイドレール、22 平面検知センサ、22a、22b ポイントセンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は単結晶インゴットのスライサによる切断方法とそのための設備に関し、特に、半導体や誘電体などの柱状単結晶インゴットからウエハを切り出すスライサ切断方法とそのための設備の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
円柱状や角柱状の単結晶インゴットからウエハを切り出す場合、一般には内周刃スライサまたは外周刃スライサなどのスライサ、さらにはワイヤソーまたはマルチワイヤソーなどが用いられる。
【0003】
ところで、電子部品用に用いられる半導体または誘電体などのウエハは、その主面が特定の結晶学的方位を有すべきことを求められる場合が多い。たとえば、柱状単結晶インゴットから切り出されるべきウエハが特定の結晶面Cに平行な主面方位を有すべき場合、その柱状インゴットはスライサによってその結晶面Cに平行に切断されなければならない。
【0004】
ところで、例えば半導体単結晶の柱状インゴットが回転引き上げ法などによって成長させられた場合、その成長インゴットの径が変化している両端部が切断除去されて、ほぼ一定径の円柱状インゴットにされる。こことき、インゴットの両端部は、そのインゴットの長手方向の軸にほぼ直交する面に平行に切断される。このようにインゴットの両端部が切除されるのは、インゴットの成長端部は不純物が高くて格子欠陥密度も高いことが多いからである。
【0005】
次に、そのように両端部が切除されたインゴットのその平端面から、第1のテストウエハが切り出される。この第1のテストウエハは、半導体インゴットにおけるキャリヤの移動度のような電気的特性や結晶方位などを調べるために用いられる。すなわち、第1のテストウエハにX線回折を適用することによって、インゴットの結晶方位を知ることができる。
【0006】
このように第1のテストウエハによって結晶方位が特定されたインゴットからは、特定方位の結晶面に平行な主面を有するウエハが例えばスライサによって切り出される。そのように特定方位の主面を有するウエハをインゴットからスライサで切り出す従来の方法が、図5と図6の模式的な斜視図で図解されている。なお、本願の図面において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表わしている。
【0007】
図5において、インゴット1は傾角調整ステージ2上に載置される。その傾角調整ステージ2は、水平回転ステージ(図示せず)上に設置されている。インゴット1の結晶方位は、前述のような第1のテストウエハの測定から既に知られている。しかし、インゴット中の特定の結晶面1C(図中において影付された仮想面として表わされている)に平行な主面を有するウエハが切り出されるべき場合、そのインゴットの結晶方位に関する何らかの印を付与していたとしても、目視によって結晶面1Cと内周刃スライサ10の面とが正確に平行になるように傾角調整ステージ2と回転ステージとを調整することは容易ではない。
【0008】
また、スライサ10は白色矢印で示されているように回転させられるとともに、インゴット1に対して相対的に移動させられ、そのような動作によってインゴット1からウエハが切り出される。したがって、たとえ結晶面1Cとスライサ10の面とが正確に平行になるように初期設定できたとしても、実際に切り出されたウエハの主面が結晶面1Cに正確に一致していないこともあり得る。そのような理由としては、実際の切断のときにスライサにかかる応力の影響などが考えられる。
【0009】
そこで、従来では図5に示されているように、傾角調整ステージ2上に載置されたインゴット1のテスト切断として、第2のテストウエハ1Wがスライサ10によって実際に切り出される。そして、その第2テストウエハ1Wの切断面に対してX線回折を適用し、ステージ2上のインゴット1の結晶方位と切断面1Aとの関係が調べられる。
【0010】
その後、図6に示されているように、第2のテストウエハ1WのX線測定で確認されたインゴット1中の特定結晶面1Cが図5中の実際の切断面1Aに平行になるように、傾角調整ステージ2と水平回転ステージとが調整される。この調整の後に、特定結晶面1Cの主面を有するウエハが、スライサ10によってインゴット1から実際に切り出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、特定結晶面1Cの主面を有するウエハをインゴット1からスライサ10で切り出す場合に、従来ではテスト切断によって第2テストウエハ1Wを切り出している。しかし、この第2テストウエハ1Wは、特定結晶面1Cの主面を有していないので、目的ウエハとして利用することができず、テスト切断後には無駄なウエハになる。
【0012】
そこで、本発明は、テスト切断による第2テストウエハ1Wの無駄を防止しつつ、特定の結晶面方位1Cの主面を有するウエハを単結晶インゴット1から正確かつ簡便にに切り出すことができるスライサ切断方法とそのための設備を提供することを目的としている。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−331518号公報
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、柱状の単結晶インゴットをその特定結晶面に平行にスライサで切断する方法は、任意の第1のインゴットをステージ上に載置してスライサで第1の切断を行い、平面の方位を特定し得る平面検知センサを第1インゴットの第1切断面に適用することによってその第1切断面を含む第1切断平面を特定し、第1インゴットに代えて第2のインゴットをステージ上に載置し、平面検知センサを第2インゴットの端面に適用してその端面が第1切断平面に平行になるようにステージを調整し、第2インゴットの端面とその第2インゴット内の特定の結晶方位面との間の既知の幾何学的関係に基づいてステージを再調整することによってその特定結晶方位面が第1切断平面に平行になるように設定し、その後に第2インゴットに対してそのスライサで第2の切断をすることを特徴としている。
【0015】
そうすることによって、特定結晶面に対して高い精度で平行な主面を有するウエハを簡便に切り出すことが可能になる。なお、第1インゴットとしては無価値のダミーインゴットを用いることができる。
【0016】
また、そのようなスライサ切断方法は、ステージと、スライサと、平面検知センサとを備えたスライサ切断設備において実施することができる。平面検知センサは、同一直線上にない3点以上の複数の測定点の位置を検知することによって、それら複数の測定点を含む平面の方位を特定することができる。平面検知センサは、鉛直方向に2点と水平方向に2点の位置を検知し得る4つのポイントセンサを含んでいることが好ましい。
【0017】
スライサ切断設備は側壁とその側壁に脱着可能なガイドレールを含むことができ、平面検知センサはそのガイドレール上で摺動させ得る。平面検知センサは、特定した平面の方位に関するデータを処理するためのデータ処理システムに接続されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1から図4を参照して、本発明の一実施形態によるスライサ切断方法とそのための設備が、模式的な側面図で図解されている。
【0019】
まず、図1において、無価値のダミーインゴット1Dが傾角調整ステージ2上に載置される。そして、白色矢印で示されているように、そのダミーインゴット1Dに対してスライサ10が相対的に昇降させられ、実際にダミーテストウエハ1DWが切断される。その結果、ダミーインゴット1Dの残部において切断端面1Aが形成される。
【0020】
図2において、スライサ切断設備の側壁20に対してガイドレール21が装着され、その上に平面検知センサ22が摺動可能に載置される。この平面検知センサ22は、同一直線上にはない3点以上の位置を検知し得る複数のポイントセンサを含んでいる。なお、図2においては、2つのポイントセンサ22a、22bのみが例示されている。
【0021】
平面検知センサ22は、ガイドレール21上で摺動可能であり、ダミーインゴット1Dの切断端面1Aに適用される。そのとき、ポイントセンサ22a、22bの各々は小さな球面の触子を有し、その触子が切断端面1Aに接触させられる。こうして、同一直線状にない3点以上の位置が検知され、それによって切断端面1Aの面方位が特定される。なお、平面検知センサ22は、検知された複数点の位置から面方位を算出する演算装置、それらのデータを保存する記憶装置、およびデータを表示する表示装置などを含むデータ処理システム(図示せず)に接続されている。
【0022】
断面の方位を正確かつ簡便に特定するためには、平面検知センサ22は、水平方向に2つのポイントセンサと垂直方向に2つのポイントセンサを含むことが好ましい。そうすれば、例えばインゴットの円形、楕円形、または矩形の断面の面方位を特定する場合に、水平方向の2つのポイントセンサをその断面の幅方向の両端近傍に適用すると同時に、垂直方向の2つのポイントセンサをその断面の上下方向の両端近傍に適用することができる。そして、その断面に対する一回の平面検知センサ22の適用によって、断面の水平方向の傾斜と垂直方向の傾斜とを高い精度で同時に特定することができる。
【0023】
以上のようにして、平面検知センサ22によって特定されたダミーインゴット1Dの断面1Aに関する面方位データは、図示されていないデータ処理システムに保存される。
【0024】
図3において、平面検知センサ22をガイドレール21上で摺動させて、ダミーインゴット1Dの断面1Aから離脱させる。そして、傾角調整ステージ2上のダミーインゴット1Dが、単結晶インゴット1に置き換えられる。なお、この単結晶インゴット1においては、前述のような第1のテストウエハのX線測定によって、端面1aと特定結晶面1Cとの角度関係が既知である。
【0025】
その後、ガイドレール21上で平面検知センサ22を摺動させて、それを単結晶インゴット1の端面1aに適用する。すなわち、平面検知センサ22中の各ポイントセンサの触子が端面1aに接触させられる。そして、それらのポイントセンサの触子に接触している端面1aの面方位が、データ処理システムに保存されている断面1Aの面方位に一致するように傾角調整ステージ2および回転ステージが調整される。これによって、単結晶インゴット1の端面1aは、ダミーインゴット1Dの実際の切断面1Aと平行に設定され得る。
【0026】
図4では、インゴット1において既知である端面1aと特定結晶面1Cとの角度関係が平面検知センサ22のデータ処理システムにおいて考慮され、その特定結晶面1Cが切断面1Aに平行になるように、平面検知センサ22中の複数のポイントセンサの触子先端によって特定される平面にインゴット1の端面1aが一致するように、傾角調整ステージ2および回転ステージが再調整される。
【0027】
その後、平面検知センサ22をガイドレール21上で摺動させて単結晶インゴット1の端面1aから離脱させるとともに、そのガイドレール21が側壁20から取り外される。そして、ダミーインゴット1Dを切断した場合と同様にして、スライサ10によって、単結晶インゴット1から目的ウエハが切り出される。
【0028】
なお、以上の実施形態においては断面に対して機械的に接触する触子を有するポイントセンサを含む平面検知センサを利用する場合について説明されたが、光学的に位置を検知するポイントセンサを含む平面検知センサを利用してもよいことは言うまでもない。そのような、光学的ポイントセンサには半導体レーザを利用することができる。また、機械的触子を利用する平面検知センサの実例としては、株式会社キーエンスから販売されているグラフィックアナログコントローラRJ−800を入手することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、テスト切断によるテストウエハの無駄を防止しつつ、特定の結晶面方位の主面を有するウエハを単結晶インゴットから正確かつ簡便にに切り出すことができるスライサ切断方法とそのための設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における初期ステップを図解する模式的な側面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における図1のステップに続くステップを図解する模式的な側面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における図2のステップに続くステップを図解する模式的な側面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるスライサ切断方法における図3のステップに続くステップを図解する模式的な側面図である。
【図5】従来のスライサ切断方法における初期ステップを図解する模式的な斜視図である。
【図6】従来のスライサ切断方法における図5のステップに続くステップを図解する模式的な斜視図である。
【符号の説明】
1 単結晶インゴット、1a 端面、1A ダミー切断面、1C 特定結晶面、1D ダミーインゴット、2 傾角調整ステージ、10 スライサ、20 スライサ切断設備の側壁、21 ガイドレール、22 平面検知センサ、22a、22b ポイントセンサ。
Claims (7)
- 柱状の単結晶インゴットをその特定結晶面に平行にスライサで切断する方法であって、
任意の第1のインゴットをステージ上に載置して前記スライサで第1の切断を行い、
平面の方位を特定し得る平面検知センサを前記第1インゴットの前記第1切断面に適用することによって、その第1切断面を含む第1切断平面を特定し、
前記第1インゴットに代えて第2のインゴットを前記ステージ上に載置し、
前記平面検知センサを前記第2インゴットの端面に適用して、その端面が前記第1切断平面に平行になるように前記ステージを調整し、
前記第2インゴットの端面とその第2インゴット内の特定の結晶方位面との間の既知の幾何学的関係に基づいて前記ステージを再調整することによって、その特定結晶方位面が前記第1切断平面に平行になるように設定し、
その後に前記第2インゴットに対して前記スライサで第2の切断をすることを特徴とするスライサ切断方法。 - 前記第1インゴットは無価値のダミーインゴットであり、前記第1切断はテスト切断であることを特徴とする請求項1に記載のスライサ切断方法。
- 請求項1または2に記載されたスライサ切断方法を実施するための設備であって、前記ステージと、前記スライサと、前記平面検知センサとを備えたことを特徴とするスライサ切断設備。
- 前記平面検知センサは同一直線上にない3点以上の複数の測定点の位置を検知してそれら複数の測定点を含む平面の方位を特定することを特徴とする請求項3に記載のスライサ切断設備。
- 前記平面検知センサは鉛直方向に2点と水平方向に2点の位置を検知し得る4つのポイントセンサを含んでいることを特徴とする請求項4に記載のスライサ切断設備。
- 前記スライサ切断設備は側壁とその側壁に脱着可能なガイドレールを含み、前記平面検知センサは前記ガイドレール上で摺動可能であることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のスライサ切断設備。
- 前記平面検知センサは、特定した平面の方位に関するデータを処理するためのデータ処理システムに接続されていることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載のスライサ切断設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003057049A JP2004262180A (ja) | 2003-03-04 | 2003-03-04 | スライサ切断方法とそのための設備 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107848092A (zh) * | 2015-07-27 | 2018-03-27 | 信越半导体株式会社 | 工件支架及工件的切断方法 |
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2003
- 2003-03-04 JP JP2003057049A patent/JP2004262180A/ja active Pending
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