JP2004261691A - 脱酸素水の製造方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】窒素ガスの純度差分をロスなく利用し、低コストで水中溶存酸素を効率よく低減できる脱酸素水の製造方法および装置を提供する。
【解決手段】気液接触部1を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔4の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔4の下部より窒素ガスを導入し、脱酸素塔4の気液接触部1内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることにより、高効率で原水中の溶存酸素を低減できる。
【選択図】 図2
【解決手段】気液接触部1を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔4の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔4の下部より窒素ガスを導入し、脱酸素塔4の気液接触部1内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることにより、高効率で原水中の溶存酸素を低減できる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボイラー給水、飲料水製造用、半導体超純水製造用あるいは各種試験研究用等に用いる脱酸素水の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
脱酸素水の製造方法としては、水と窒素ガスを気液接触させ、窒素ガスの純度差分(分圧差分)を利用し、水中に溶存している酸素を効率よく窒素ガス中に移行させて低減する方法が知られている。
【0003】
例えば、気液分離空間に原水を導入するに先立ち、溶存酸素抽出ガスを、原水供給量に対する抽出ガス供給量の比として定義される抽出ガス供給率を所定の範囲内に維持しながら供給し、前記溶存酸素抽出ガスを導入した原水を混合装置に導入して、前記原水と前記溶存酸素抽出ガスとを前記混合装置で混合撹拌したガス混合液を生成し、このガス混合液を前記気液分離空間内に導入して前記ガス混合液中の溶存酸素を分離する脱気方法、原水を導入する導入管路に配置された原水供給量検出手段と、前記導入管路内の原水中に溶存酸素抽出ガスを供給可能な抽出ガス供給機構と、前記導入管路における前記抽出ガス供給機構の下流側に、前記導入管路に供給される溶存酸素抽出ガスを前記原水と混合撹拌してガス混合液を生成する混合装置と、ガス混合液から原水中の溶存酸素を分離する気液分離槽とを設けてある脱気装置(特開2001−347102号公報)がある。
【0004】
また、水位を所定範囲内に維持しながら原水を受け入れる原水受入機構を備える給水槽と、前記給水槽に受け入れた原水を供給する原水供給管路で前記給水槽に接続され、前記原水を脱酸素処理した後の脱気水を給水利用箇所に供給する給水管路に接続してある脱気槽とを備え、前記原水供給管路に、前記原水に溶存酸素抽出ガスを供給して混合する酸素抽出ガス混合機構を設けて、前記酸素抽出ガスを混合した原水を前記脱気槽で気液分離し、前記原水中の溶存酸素を低減する給水の脱酸素装置であって、閉鎖空間を形成する水槽の内部を二分割する区画壁を設けて、その区画壁で分割された一方の空間で前記給水槽を形成すると共に、他方の空間で前記脱気槽を形成して、前記区画壁と前記水槽の天井との間の空間を、前記脱気槽の上方に形成される気相空間と前記給水槽の上方に形成される気相空間とを連通する連通空間に形成、あるいは前記区画壁に、前記脱気槽と前記給水槽との両者の水位下の位置に、前記脱気槽内の脱気水を前記給水槽に向かう一方向に、所定の条件下で通流する通水管路を設けた給水の脱酸素装置(特開2002−86136号公報)が知られている。
【0005】
液体と気体とを気液接触させる気液接触装置としては、原水を液送ポンプを介してスタチックミキサー内に圧送し、気体と原水とを混合して原水中の除去対象物質を気体中に物質移動させて除去する装置、あるいは原水が貯留されたタンク内にスタチックミキサーを浸漬し、気体配管をスタチックミキサーの下部に配置し、気体配管を介してスタチックミキサー内に気体を供給し、原水を気体と共にミキサー内を上昇させて水の循環流を生じさせ、ミキサー内で気体と原水とを混合させて気体中に酸素を移動させる装置が知られている。
【0006】
また、管壁部内に螺旋状羽根部が配置されてその管軸方向に流体が通流する複数個の流体通路が前記羽根部により形成され、その管軸方向を垂直にして配置された静止型流体混合器と、液体を前記流体混合器よりも高い位置からその静水圧差により前記流体混合器に供給する液体供給手段と、前記流体混合器内に気体を通流させる気体供給手段とを有する気液接触装置(特開平5−15753号公報)、が知られている。
【0007】
さらに、回転するインペラーの背面に発生する負圧を利用して、連続的に気体を処理液中に導入し、微細気泡を発生させて微細気泡中の有害成分と処理液とを反応させる装置も公知である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2001−347102号公報、特開2002−86136号公報に開示の方法および装置は、溶存酸素抽出ガスと原水とを並流で混合撹拌したガス混合液を気液分離槽に送給してガス混合液中の溶存酸素を分離するため、気液分離槽が大型化すると共に、溶存酸素抽出ガスと原水とを加圧して混合撹拌する必要があり、運転コストが嵩むという問題がある。また、原水を液送ポンプを介してスタチックミキサー内に圧送し、溶存酸素抽出ガスと原水とを混合して原水中の酸素を溶存酸素抽出ガス中に物質移動させて除去する装置は、原水に対する溶存酸素抽出ガスの比率が大きく、装置コストが高くなる。
【0009】
また、空気配管を介してスタチックミキサー内に気体を供給し、原水を気体と共にミキサー内を上昇させて水の循環流を生じさせる装置は、並流で気液接触させるため、気液接触効率が低い。
【0010】
特開平5−15753号公報に開示の気液接触装置は、液体と気体とを並流接触させるもので液体と気体との接触効率が低く、脱酸素水の製造装置としては十分でない。また、回転するインペラーの背面に発生する負圧を利用して、連続的に気体を処理液中に導入し、微細気泡を発生させる装置は、処理時間が長くなり、装置が大きくなる。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、窒素ガスの純度差分をロスなく利用し、低コストで水中溶存酸素を効率よく低減できる脱酸素水の製造方法および装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の脱酸素水の製造方法の特徴は、脱酸素水の製造方法において、気液接触部を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔の下部より窒素ガスを導入し、気液接触部内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることにある。
【0013】
このように、気液接触部を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔の下部より窒素ガスを導入し、気液接触部内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることによって、気液接触部を通流する間に下方向に流下する原水と、微細な気泡となって原水中を上昇する窒素ガスが右および左方向の回転および分割、合流、反転および剪断応力作用を連続的に繰り返しながら、原水と窒素ガスは怒涛のように激しく接触、撹拌、混合され、原水中の溶存酸素が窒素ガス中に移行し、脱酸素されることとなる。
【0014】
また、本発明の脱酸素水の製造装置の特徴は、脱酸素水の製造装置であって、気液接触部を垂直方向に組合せ、前記気液接触部間に気液分離板を配置した脱酸素塔の上部に原水の供給管と窒素ガス抜き出し管を、脱酸素塔の下部に貯水槽を接続すると共に、貯水槽に窒素ガス供給管と処理水抜き出し管を接続したことにある。
【0015】
このように、気液接触部を垂直方向に組合せ、前記気液接触部間に気液分離板を配置した脱酸素塔の上部に原水の供給管と窒素ガス抜き出し管を、脱酸素塔の下部に貯水槽を接続すると共に、貯水槽に窒素ガス供給管と処理水抜き出し管を接続したことによって、気液接触部を通流する間に原水と窒素ガスは回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら接触、撹拌、混合し、気液分離板で水中から窒素ガスが分離されたのち、順次下方の気液接触部で水と窒素ガスが右および左方向の回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら接触、撹拌、混合し、気液分離板あるいは貯水槽で水中から窒素ガスが分離される際に水中の溶存酸素は窒素ガス中に移行分離し、脱酸素処理される。
【0016】
本発明における気液接触部の特徴は、静止型混合器を配置したことにある。この静止型混合器は、多数の孔を設けた複数の右捻り羽根を有するミキシングエレメントと、多数の孔を設けた複数の左捻り羽根を有するミキシングエレメントを上下交互に配置したことにある。このように、静止型混合器を配置したことによって、気液接触部を通流する間に原水と窒素ガスは回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら接触、撹拌、混合し、気液分離板で水中から窒素ガスが分離される。また、静止型混合器は、多数の孔を設けた複数の右捻り羽根を有するミキシングエレメントと、多数の孔を設けた複数の左捻り羽根を有するミキシングエレメントを上下交互に配置したことによって、気液接触部を通流する間に下方向に流下する原水と、微細な気泡となって原水中を上昇する窒素ガスが右および左方向の回転および分割、合流、反転ならびに剪断応力作用を連続的に繰り返しながら、原水と窒素ガスは怒涛のように激しく接触、撹拌、混合され、原水中の溶存酸素が窒素ガス中に移行し、脱酸素される。
【0017】
本発明における気液分離板の特徴は、円盤の中心に貫通パイプを設け、該貫通パイプの周辺に原水処理量に応じて円盤上面に所定の深さに水を一時貯留するよう孔径を調整した厚み方向の孔を穿孔したことにある。このように、円盤の中心に貫通パイプを設け、該貫通パイプの周辺に原水処理量に応じて円盤上面に所定の深さに水を一時貯留するよう孔径を調整した厚み方向の孔を穿孔したことによって、気液接触部で激しく接触、撹拌、混合された原水と窒素ガス混合物は、円盤上面の一時貯留部で一時貯留される間に、原水中から窒素ガスが溶存酸素と共に分離される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本願発明における脱酸素水の製造装置は、例えば、図1に示すように、気液接触部1を管2内に垂直方向に組合せ、前記気液接触部1、1間に気液分離板3を配置した脱酸素塔4の下部に処理水槽5を接続する。脱酸素塔4の上部には、原水供給管6を、頂部には排気管7を接続する。そして、処理水槽5には、窒素ガス供給管8と処理水を抜き出すための処理水ポンプ9、気泡混入防止板10を設けている。
【0019】
また、図2に示すように、気液接触部1を管2内に垂直方向に組合せ、前記気液接触部1、1間に気液分離板3を配置した脱酸素塔4の下部に貯水槽11を接続する。脱酸素塔4の上部には、原水供給管6を、頂部には排気管7を接続する。同様に気液接触部1を垂直方向に組合せ、前記気液接触部1、1間に気液分離板3を配置した脱酸素塔12の下部に処理水槽13を接続する。そして、脱酸素塔4と脱酸素塔12は、直列となるよう脱酸素塔12の上部に貯水槽11の処理水14をポンプ15を介して配管16により供給し、脱酸素塔12の頂部の排気を配管17により貯水槽11に導入する。また、処理水槽13には、窒素ガス供給管18と処理水を処理水槽13から抜き出すための処理水ポンプ19、気泡混入防止板20を設けている。
【0020】
本願発明における気液接触部としては、図3に示すように、多数の孔21を設けた複数枚の右捻り羽根22を有するミキシングエレメント23と多数の孔21を設けた複数枚の左捻り羽根24を有するミキシングエレメント25を交互に上下に3個配置したものを静止型混合器の基本構造とする。ミキシングエレメント23、25は、孔21を多数穿孔した右捻りまたは左捻りの羽根22、24を複数枚、例えば6枚組合せて6個の原水通路に仕切ったものである。原水と窒素ガスは、複数個のミキシングエレメント23、25を通過する間に、右捻り羽根22および左捻り羽根24による右および左方向の回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら、各羽根22、24に穿孔した孔21を通過して微細気泡となって原水中を上昇する窒素ガスと接触、撹拌、混合し、原水中の溶存酸素は窒素ガス中に移行する。なお、ミキシングエレメント23および25の配置の基本構造は、上記3個に限定されることはなく、2個、4個、6個等を配置して気液接触部を構成してもよい。
【0021】
また、垂直方向に組合せた気液接触部の間に配置する気液分離板3としては、図4に示すように、脱酸素塔の内径と同外径の円盤31の中心に貫通パイプ32を設け、該パイプ32の周辺に原水処理量に応じて円盤上に所定の深さ、例えば50mmの深さに水が一時貯留されるよう孔径を調整した4個の孔33を穿孔し、円盤31上面に水の一時貯留部34を設けたもので、水の一時貯留部34で水中に混入した微細気泡の窒素ガスを分離した後、順次孔33を介して下部の気液接触部に流下する構造である。したがって、下部の気液接触部に供給される水は、気液分離板3の一時貯留部34で混入した微細気泡の窒素ガスが分離される。
【0022】
本発明の脱酸素水の製造装置は、例えば、前記図1に示すように、気液接触部1を垂直方向に2段組み合せた脱酸素塔4の下部に処理水槽5を配置したもの、あるいは前記図2に示すように、気液接触部1を垂直方向に3段組み合せた脱酸素塔4、12を直列に配置したもの、その他要求される処理水の溶存酸素レベルに応じて、気液接触部1の段数、脱酸素塔の塔数を変更することができる。
【0023】
また、処理水槽5、13に設けた気泡混入防止板10、20は、処理水ポンプ9、19で処理水を抜き出す際、脱酸素塔4または12から流下した処理水に混入した気泡がそのまま抜き出されるのを防止すべく、処理水ポンプ9、19のサクション上部を覆うように設ける。
【0024】
【実施例】
図5に示すように、6枚の羽根を捻り角度180°で右捻り、左捻り、右捻りの順に上下方向に交互にミキシングエレメントを配置した気液接触部41を垂直方向に3段組合せ、各気液接触部41、41の間に気液分離板42を配置した脱酸素塔43、44を貯水槽45を介して2塔直列に組合せ、1塔目の脱酸素塔43の上部に溶存酸素8.4mg/l、水温20℃の原水46を0.2m3/m2・Hrで供給し、1塔目の脱酸素塔43下部の貯水槽45に流下した処理水をポンプ47で2塔目の脱酸素塔44の上部に供給し、2塔目の脱酸素塔44下部の処理水槽48に窒素純度99.9%の窒素ガス49を0.03Nm3/m2・Hr(気液比0.15)で導入し、2塔目の脱酸素塔44の頂部からの窒素ガスを1塔目の脱酸素塔43下部の貯水槽45に管50供給し、1塔目の脱酸素塔43の頂部から窒素ガスを抜き出し、2塔目の脱酸素塔44下部の処理水槽48に流下した処理水中の溶存酸素を東亜デイ・ケイ・ケー社製の溶存酸素測定器(DO−32A)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0025】
また、従来法として、図6に示すように、外径150mm、長さ250mmの向流接触塔51a〜51fを6塔直列に配列し、各向流接触塔51aの下部にそれぞれ60μの散気ノズル52a〜52fを配置し、1塔目の向流接触塔51aの上部に溶存酸素8.4mg/l、水温20℃の原水53を0.2m3/m2・Hrで供給し、各向流接触塔51a〜51fの下部に散気ノズル52a〜52fを介して窒素純度99.9%の窒素ガス54をそれぞれ0.03Nm3/m2・Hr(気液比0.15)で導入し、1塔目の向流接触塔51aの下部から静水圧で2塔目の向流接触塔51bの上部に処理原水が供給できるよう、1塔目の向流接触塔51aの液面を2200mm、2塔目の向流接触塔51bの液面を2100mmに調整し、3〜6塔目の向流接触塔51c〜51fも同様に前段の向流接触塔の液面より100mm低くし、6塔目の向流接触塔51fの下部から抜き出した処理水55中の溶存酸素を前記と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0026】
さらに、比較例として、図7に示すように、6枚の捻り羽根(捻り角度180°)を有するミキシングエレメントを、右捻り、左捻り、右捻りの順に上下方向に交互に配置した気液接触部61を3段組合せた脱酸素塔62、63を2塔直列に組合せ、1塔目の脱酸素塔62の上部に溶存酸素8.4mg/l、水温20℃の原水64を0.2m3/m2・Hrで供給し、1塔目の脱酸素塔62下部の貯水槽65に流下した処理水をポンプ66で2塔目の脱酸素塔63の上部に供給し、2塔目の脱酸素塔63下部の処理水槽67に窒素純度99.9%の窒素ガス68を0.03Nm3/m2・Hr(気液比0.15)で導入し、2塔目の脱酸素塔63の頂部からの窒素ガスを配管69により1塔目の脱酸素塔62下部の貯水槽65に供給し、1塔目の脱酸素塔62の頂部からの排気を抜き出し、2塔目の脱酸素塔63下部の処理水槽67に流下した処理水70中の溶存酸素を前記と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、垂直方向に3段組み合せた各気液接触部の間に気液分離板を配置した脱酸素塔を2塔直列に配置した本発明法の場合は、処理水溶存酸素が0.19mg/lであるのに対し、向流接触塔を6塔直列に配列し、各向流接触塔の下部にそれぞれ60μの散気ノズルを配置した従来法の場合は、処理水溶存酸素が0.93mg/lであった。また、垂直方向に3段組み合せた各気液接触部の間に気液分離板を配置しなかった比較例の場合は、処理水溶存酸素が0.82mg/lであり、従来法の場合と大差がなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の脱酸素水の製造方法および装置は、高効率気液接触可能な気液接触部を多段に組合せ、原水と窒素ガスを対向流接触させることにより、窒素ガスの純度差分をロスなく利用し、水中溶存酸素を効率よく低減でき、用途に応じた脱酸素水を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱酸素水製造装置の一例を示すシステムフローである。
【図2】本発明の脱酸素水製造装置の他の一例を示すシステムフローである。
【図3】本発明で用いる気液接触部の静止型混合器の一例を示すもので、(a)図は基本構造図、(b)図は右捻りミキシングエレメントの斜視図、(c)図は左捻りミキシングエレメントの斜視図ある。
【図4】本発明で用いる気液分離板の一例を示すもので、(a)図は平面図、(b)図は断面図である。
【図5】実施例で本発明法として用いた脱酸素水製造装置のシステムフローである。
【図6】実施例で従来法として用いた脱酸素水製造装置のシステムフローである。
【図7】実施例で比較例として用いた脱酸素水製造装置のシステムフローである。
【符号の説明】
1、41、61 気液接触部
2 管
3、42 気液分離板
4、12、43、44、62、63 脱酸素塔
11、45、65 貯水槽
6 原水供給管
7 排気管
5、13、48、67 処理水槽
14、55、70 処理水
15、47、66 ポンプ
16、17、69 配管
8、18 窒素ガス供給管
9、19 処理水ポンプ
10、20 気泡混入防止板
21 小孔
22 右捻り羽根
23、25 ミキシングエレメント
24 左捻り羽根
31 円盤
32 貫通パイプ
33 孔
34 一時貯留部
51a〜51f 向流接触塔
52a〜52f 散気ノズル
46、53、64 原水
54、68 窒素ガス
【発明の属する技術分野】
この発明は、ボイラー給水、飲料水製造用、半導体超純水製造用あるいは各種試験研究用等に用いる脱酸素水の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
脱酸素水の製造方法としては、水と窒素ガスを気液接触させ、窒素ガスの純度差分(分圧差分)を利用し、水中に溶存している酸素を効率よく窒素ガス中に移行させて低減する方法が知られている。
【0003】
例えば、気液分離空間に原水を導入するに先立ち、溶存酸素抽出ガスを、原水供給量に対する抽出ガス供給量の比として定義される抽出ガス供給率を所定の範囲内に維持しながら供給し、前記溶存酸素抽出ガスを導入した原水を混合装置に導入して、前記原水と前記溶存酸素抽出ガスとを前記混合装置で混合撹拌したガス混合液を生成し、このガス混合液を前記気液分離空間内に導入して前記ガス混合液中の溶存酸素を分離する脱気方法、原水を導入する導入管路に配置された原水供給量検出手段と、前記導入管路内の原水中に溶存酸素抽出ガスを供給可能な抽出ガス供給機構と、前記導入管路における前記抽出ガス供給機構の下流側に、前記導入管路に供給される溶存酸素抽出ガスを前記原水と混合撹拌してガス混合液を生成する混合装置と、ガス混合液から原水中の溶存酸素を分離する気液分離槽とを設けてある脱気装置(特開2001−347102号公報)がある。
【0004】
また、水位を所定範囲内に維持しながら原水を受け入れる原水受入機構を備える給水槽と、前記給水槽に受け入れた原水を供給する原水供給管路で前記給水槽に接続され、前記原水を脱酸素処理した後の脱気水を給水利用箇所に供給する給水管路に接続してある脱気槽とを備え、前記原水供給管路に、前記原水に溶存酸素抽出ガスを供給して混合する酸素抽出ガス混合機構を設けて、前記酸素抽出ガスを混合した原水を前記脱気槽で気液分離し、前記原水中の溶存酸素を低減する給水の脱酸素装置であって、閉鎖空間を形成する水槽の内部を二分割する区画壁を設けて、その区画壁で分割された一方の空間で前記給水槽を形成すると共に、他方の空間で前記脱気槽を形成して、前記区画壁と前記水槽の天井との間の空間を、前記脱気槽の上方に形成される気相空間と前記給水槽の上方に形成される気相空間とを連通する連通空間に形成、あるいは前記区画壁に、前記脱気槽と前記給水槽との両者の水位下の位置に、前記脱気槽内の脱気水を前記給水槽に向かう一方向に、所定の条件下で通流する通水管路を設けた給水の脱酸素装置(特開2002−86136号公報)が知られている。
【0005】
液体と気体とを気液接触させる気液接触装置としては、原水を液送ポンプを介してスタチックミキサー内に圧送し、気体と原水とを混合して原水中の除去対象物質を気体中に物質移動させて除去する装置、あるいは原水が貯留されたタンク内にスタチックミキサーを浸漬し、気体配管をスタチックミキサーの下部に配置し、気体配管を介してスタチックミキサー内に気体を供給し、原水を気体と共にミキサー内を上昇させて水の循環流を生じさせ、ミキサー内で気体と原水とを混合させて気体中に酸素を移動させる装置が知られている。
【0006】
また、管壁部内に螺旋状羽根部が配置されてその管軸方向に流体が通流する複数個の流体通路が前記羽根部により形成され、その管軸方向を垂直にして配置された静止型流体混合器と、液体を前記流体混合器よりも高い位置からその静水圧差により前記流体混合器に供給する液体供給手段と、前記流体混合器内に気体を通流させる気体供給手段とを有する気液接触装置(特開平5−15753号公報)、が知られている。
【0007】
さらに、回転するインペラーの背面に発生する負圧を利用して、連続的に気体を処理液中に導入し、微細気泡を発生させて微細気泡中の有害成分と処理液とを反応させる装置も公知である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2001−347102号公報、特開2002−86136号公報に開示の方法および装置は、溶存酸素抽出ガスと原水とを並流で混合撹拌したガス混合液を気液分離槽に送給してガス混合液中の溶存酸素を分離するため、気液分離槽が大型化すると共に、溶存酸素抽出ガスと原水とを加圧して混合撹拌する必要があり、運転コストが嵩むという問題がある。また、原水を液送ポンプを介してスタチックミキサー内に圧送し、溶存酸素抽出ガスと原水とを混合して原水中の酸素を溶存酸素抽出ガス中に物質移動させて除去する装置は、原水に対する溶存酸素抽出ガスの比率が大きく、装置コストが高くなる。
【0009】
また、空気配管を介してスタチックミキサー内に気体を供給し、原水を気体と共にミキサー内を上昇させて水の循環流を生じさせる装置は、並流で気液接触させるため、気液接触効率が低い。
【0010】
特開平5−15753号公報に開示の気液接触装置は、液体と気体とを並流接触させるもので液体と気体との接触効率が低く、脱酸素水の製造装置としては十分でない。また、回転するインペラーの背面に発生する負圧を利用して、連続的に気体を処理液中に導入し、微細気泡を発生させる装置は、処理時間が長くなり、装置が大きくなる。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消し、窒素ガスの純度差分をロスなく利用し、低コストで水中溶存酸素を効率よく低減できる脱酸素水の製造方法および装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の脱酸素水の製造方法の特徴は、脱酸素水の製造方法において、気液接触部を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔の下部より窒素ガスを導入し、気液接触部内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることにある。
【0013】
このように、気液接触部を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔の下部より窒素ガスを導入し、気液接触部内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることによって、気液接触部を通流する間に下方向に流下する原水と、微細な気泡となって原水中を上昇する窒素ガスが右および左方向の回転および分割、合流、反転および剪断応力作用を連続的に繰り返しながら、原水と窒素ガスは怒涛のように激しく接触、撹拌、混合され、原水中の溶存酸素が窒素ガス中に移行し、脱酸素されることとなる。
【0014】
また、本発明の脱酸素水の製造装置の特徴は、脱酸素水の製造装置であって、気液接触部を垂直方向に組合せ、前記気液接触部間に気液分離板を配置した脱酸素塔の上部に原水の供給管と窒素ガス抜き出し管を、脱酸素塔の下部に貯水槽を接続すると共に、貯水槽に窒素ガス供給管と処理水抜き出し管を接続したことにある。
【0015】
このように、気液接触部を垂直方向に組合せ、前記気液接触部間に気液分離板を配置した脱酸素塔の上部に原水の供給管と窒素ガス抜き出し管を、脱酸素塔の下部に貯水槽を接続すると共に、貯水槽に窒素ガス供給管と処理水抜き出し管を接続したことによって、気液接触部を通流する間に原水と窒素ガスは回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら接触、撹拌、混合し、気液分離板で水中から窒素ガスが分離されたのち、順次下方の気液接触部で水と窒素ガスが右および左方向の回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら接触、撹拌、混合し、気液分離板あるいは貯水槽で水中から窒素ガスが分離される際に水中の溶存酸素は窒素ガス中に移行分離し、脱酸素処理される。
【0016】
本発明における気液接触部の特徴は、静止型混合器を配置したことにある。この静止型混合器は、多数の孔を設けた複数の右捻り羽根を有するミキシングエレメントと、多数の孔を設けた複数の左捻り羽根を有するミキシングエレメントを上下交互に配置したことにある。このように、静止型混合器を配置したことによって、気液接触部を通流する間に原水と窒素ガスは回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら接触、撹拌、混合し、気液分離板で水中から窒素ガスが分離される。また、静止型混合器は、多数の孔を設けた複数の右捻り羽根を有するミキシングエレメントと、多数の孔を設けた複数の左捻り羽根を有するミキシングエレメントを上下交互に配置したことによって、気液接触部を通流する間に下方向に流下する原水と、微細な気泡となって原水中を上昇する窒素ガスが右および左方向の回転および分割、合流、反転ならびに剪断応力作用を連続的に繰り返しながら、原水と窒素ガスは怒涛のように激しく接触、撹拌、混合され、原水中の溶存酸素が窒素ガス中に移行し、脱酸素される。
【0017】
本発明における気液分離板の特徴は、円盤の中心に貫通パイプを設け、該貫通パイプの周辺に原水処理量に応じて円盤上面に所定の深さに水を一時貯留するよう孔径を調整した厚み方向の孔を穿孔したことにある。このように、円盤の中心に貫通パイプを設け、該貫通パイプの周辺に原水処理量に応じて円盤上面に所定の深さに水を一時貯留するよう孔径を調整した厚み方向の孔を穿孔したことによって、気液接触部で激しく接触、撹拌、混合された原水と窒素ガス混合物は、円盤上面の一時貯留部で一時貯留される間に、原水中から窒素ガスが溶存酸素と共に分離される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本願発明における脱酸素水の製造装置は、例えば、図1に示すように、気液接触部1を管2内に垂直方向に組合せ、前記気液接触部1、1間に気液分離板3を配置した脱酸素塔4の下部に処理水槽5を接続する。脱酸素塔4の上部には、原水供給管6を、頂部には排気管7を接続する。そして、処理水槽5には、窒素ガス供給管8と処理水を抜き出すための処理水ポンプ9、気泡混入防止板10を設けている。
【0019】
また、図2に示すように、気液接触部1を管2内に垂直方向に組合せ、前記気液接触部1、1間に気液分離板3を配置した脱酸素塔4の下部に貯水槽11を接続する。脱酸素塔4の上部には、原水供給管6を、頂部には排気管7を接続する。同様に気液接触部1を垂直方向に組合せ、前記気液接触部1、1間に気液分離板3を配置した脱酸素塔12の下部に処理水槽13を接続する。そして、脱酸素塔4と脱酸素塔12は、直列となるよう脱酸素塔12の上部に貯水槽11の処理水14をポンプ15を介して配管16により供給し、脱酸素塔12の頂部の排気を配管17により貯水槽11に導入する。また、処理水槽13には、窒素ガス供給管18と処理水を処理水槽13から抜き出すための処理水ポンプ19、気泡混入防止板20を設けている。
【0020】
本願発明における気液接触部としては、図3に示すように、多数の孔21を設けた複数枚の右捻り羽根22を有するミキシングエレメント23と多数の孔21を設けた複数枚の左捻り羽根24を有するミキシングエレメント25を交互に上下に3個配置したものを静止型混合器の基本構造とする。ミキシングエレメント23、25は、孔21を多数穿孔した右捻りまたは左捻りの羽根22、24を複数枚、例えば6枚組合せて6個の原水通路に仕切ったものである。原水と窒素ガスは、複数個のミキシングエレメント23、25を通過する間に、右捻り羽根22および左捻り羽根24による右および左方向の回転および分割、合流、反転、剪断応力作用を連続的に繰り返しながら、各羽根22、24に穿孔した孔21を通過して微細気泡となって原水中を上昇する窒素ガスと接触、撹拌、混合し、原水中の溶存酸素は窒素ガス中に移行する。なお、ミキシングエレメント23および25の配置の基本構造は、上記3個に限定されることはなく、2個、4個、6個等を配置して気液接触部を構成してもよい。
【0021】
また、垂直方向に組合せた気液接触部の間に配置する気液分離板3としては、図4に示すように、脱酸素塔の内径と同外径の円盤31の中心に貫通パイプ32を設け、該パイプ32の周辺に原水処理量に応じて円盤上に所定の深さ、例えば50mmの深さに水が一時貯留されるよう孔径を調整した4個の孔33を穿孔し、円盤31上面に水の一時貯留部34を設けたもので、水の一時貯留部34で水中に混入した微細気泡の窒素ガスを分離した後、順次孔33を介して下部の気液接触部に流下する構造である。したがって、下部の気液接触部に供給される水は、気液分離板3の一時貯留部34で混入した微細気泡の窒素ガスが分離される。
【0022】
本発明の脱酸素水の製造装置は、例えば、前記図1に示すように、気液接触部1を垂直方向に2段組み合せた脱酸素塔4の下部に処理水槽5を配置したもの、あるいは前記図2に示すように、気液接触部1を垂直方向に3段組み合せた脱酸素塔4、12を直列に配置したもの、その他要求される処理水の溶存酸素レベルに応じて、気液接触部1の段数、脱酸素塔の塔数を変更することができる。
【0023】
また、処理水槽5、13に設けた気泡混入防止板10、20は、処理水ポンプ9、19で処理水を抜き出す際、脱酸素塔4または12から流下した処理水に混入した気泡がそのまま抜き出されるのを防止すべく、処理水ポンプ9、19のサクション上部を覆うように設ける。
【0024】
【実施例】
図5に示すように、6枚の羽根を捻り角度180°で右捻り、左捻り、右捻りの順に上下方向に交互にミキシングエレメントを配置した気液接触部41を垂直方向に3段組合せ、各気液接触部41、41の間に気液分離板42を配置した脱酸素塔43、44を貯水槽45を介して2塔直列に組合せ、1塔目の脱酸素塔43の上部に溶存酸素8.4mg/l、水温20℃の原水46を0.2m3/m2・Hrで供給し、1塔目の脱酸素塔43下部の貯水槽45に流下した処理水をポンプ47で2塔目の脱酸素塔44の上部に供給し、2塔目の脱酸素塔44下部の処理水槽48に窒素純度99.9%の窒素ガス49を0.03Nm3/m2・Hr(気液比0.15)で導入し、2塔目の脱酸素塔44の頂部からの窒素ガスを1塔目の脱酸素塔43下部の貯水槽45に管50供給し、1塔目の脱酸素塔43の頂部から窒素ガスを抜き出し、2塔目の脱酸素塔44下部の処理水槽48に流下した処理水中の溶存酸素を東亜デイ・ケイ・ケー社製の溶存酸素測定器(DO−32A)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0025】
また、従来法として、図6に示すように、外径150mm、長さ250mmの向流接触塔51a〜51fを6塔直列に配列し、各向流接触塔51aの下部にそれぞれ60μの散気ノズル52a〜52fを配置し、1塔目の向流接触塔51aの上部に溶存酸素8.4mg/l、水温20℃の原水53を0.2m3/m2・Hrで供給し、各向流接触塔51a〜51fの下部に散気ノズル52a〜52fを介して窒素純度99.9%の窒素ガス54をそれぞれ0.03Nm3/m2・Hr(気液比0.15)で導入し、1塔目の向流接触塔51aの下部から静水圧で2塔目の向流接触塔51bの上部に処理原水が供給できるよう、1塔目の向流接触塔51aの液面を2200mm、2塔目の向流接触塔51bの液面を2100mmに調整し、3〜6塔目の向流接触塔51c〜51fも同様に前段の向流接触塔の液面より100mm低くし、6塔目の向流接触塔51fの下部から抜き出した処理水55中の溶存酸素を前記と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0026】
さらに、比較例として、図7に示すように、6枚の捻り羽根(捻り角度180°)を有するミキシングエレメントを、右捻り、左捻り、右捻りの順に上下方向に交互に配置した気液接触部61を3段組合せた脱酸素塔62、63を2塔直列に組合せ、1塔目の脱酸素塔62の上部に溶存酸素8.4mg/l、水温20℃の原水64を0.2m3/m2・Hrで供給し、1塔目の脱酸素塔62下部の貯水槽65に流下した処理水をポンプ66で2塔目の脱酸素塔63の上部に供給し、2塔目の脱酸素塔63下部の処理水槽67に窒素純度99.9%の窒素ガス68を0.03Nm3/m2・Hr(気液比0.15)で導入し、2塔目の脱酸素塔63の頂部からの窒素ガスを配管69により1塔目の脱酸素塔62下部の貯水槽65に供給し、1塔目の脱酸素塔62の頂部からの排気を抜き出し、2塔目の脱酸素塔63下部の処理水槽67に流下した処理水70中の溶存酸素を前記と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、垂直方向に3段組み合せた各気液接触部の間に気液分離板を配置した脱酸素塔を2塔直列に配置した本発明法の場合は、処理水溶存酸素が0.19mg/lであるのに対し、向流接触塔を6塔直列に配列し、各向流接触塔の下部にそれぞれ60μの散気ノズルを配置した従来法の場合は、処理水溶存酸素が0.93mg/lであった。また、垂直方向に3段組み合せた各気液接触部の間に気液分離板を配置しなかった比較例の場合は、処理水溶存酸素が0.82mg/lであり、従来法の場合と大差がなかった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の脱酸素水の製造方法および装置は、高効率気液接触可能な気液接触部を多段に組合せ、原水と窒素ガスを対向流接触させることにより、窒素ガスの純度差分をロスなく利用し、水中溶存酸素を効率よく低減でき、用途に応じた脱酸素水を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱酸素水製造装置の一例を示すシステムフローである。
【図2】本発明の脱酸素水製造装置の他の一例を示すシステムフローである。
【図3】本発明で用いる気液接触部の静止型混合器の一例を示すもので、(a)図は基本構造図、(b)図は右捻りミキシングエレメントの斜視図、(c)図は左捻りミキシングエレメントの斜視図ある。
【図4】本発明で用いる気液分離板の一例を示すもので、(a)図は平面図、(b)図は断面図である。
【図5】実施例で本発明法として用いた脱酸素水製造装置のシステムフローである。
【図6】実施例で従来法として用いた脱酸素水製造装置のシステムフローである。
【図7】実施例で比較例として用いた脱酸素水製造装置のシステムフローである。
【符号の説明】
1、41、61 気液接触部
2 管
3、42 気液分離板
4、12、43、44、62、63 脱酸素塔
11、45、65 貯水槽
6 原水供給管
7 排気管
5、13、48、67 処理水槽
14、55、70 処理水
15、47、66 ポンプ
16、17、69 配管
8、18 窒素ガス供給管
9、19 処理水ポンプ
10、20 気泡混入防止板
21 小孔
22 右捻り羽根
23、25 ミキシングエレメント
24 左捻り羽根
31 円盤
32 貫通パイプ
33 孔
34 一時貯留部
51a〜51f 向流接触塔
52a〜52f 散気ノズル
46、53、64 原水
54、68 窒素ガス
Claims (5)
- 脱酸素水の製造方法において、気液接触部を垂直方向に組合せてなる脱酸素塔の上部に原水を供給し、前記脱酸素塔の下部より窒素ガスを導入し、気液接触部内で流下する原水と上昇する窒素ガスを対向流接触させることを繰り返し、原水中の溶存酸素を窒素ガス中に移行させることを特徴とする脱酸素水の製造方法。
- 脱酸素水の製造装置であって、気液接触部を垂直方向に組合せ、前記気液接触部間に気液分離板を配置した脱酸素塔の上部に原水の供給管と窒素ガス抜き出し管を、脱酸素塔の下部に接続した貯水槽に窒素ガス供給管と処理水抜き出し管を接続したことを特徴とする脱酸素水の製造装置。
- 気液接触部に静止型混合器を配置したことを特徴とする請求項2記載の脱酸素水の製造装置。
- 静止型混合器が多数の孔を設けた複数の右捻り羽根を有するミキシングエレメントと、多数の孔を設けた複数の左捻り羽根を有するミキシングエレメントを上下交互に配置したものであることを特徴とする請求項3記載の脱酸素水の製造装置。
- 気液分離板が円盤の中心に貫通パイプを設け、該貫通パイプの周辺に原水処理量に応じて円盤上面に所定の深さに水を一時貯留するよう孔径を調整した貫通孔を穿孔したものであることを特徴とする請求項2記載の脱酸素水の製造装置。
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JP2003053530A JP2004261691A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 脱酸素水の製造方法および装置 |
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JP2008523349A (ja) * | 2004-12-07 | 2008-07-03 | ウエストレイク・ペトロケミカルズ・エル・ピー | ボイラー給水の脱気の方法及び装置 |
JP2009136739A (ja) * | 2007-12-05 | 2009-06-25 | Fisheries Research Agency | 水の浄化方法とその方法に用いる泡沫分離装置 |
JP2010005484A (ja) * | 2008-06-24 | 2010-01-14 | Kurita Water Ind Ltd | 窒素置換式脱酸素装置 |
CN110203989A (zh) * | 2018-09-10 | 2019-09-06 | 西安华江环保科技股份有限公司 | 一种脱氧高纯水制备装置及工艺 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003053530A patent/JP2004261691A/ja active Pending
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