JP2004261470A - ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単且つ正確にゴルフクラブヘッドの重量調整を行い、高性能なゴルフクラブヘッドを安価に製造する方法の提供。
【解決手段】ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体11とフェース部材12とを有し、これらが接合された後に重量調整される。重量調整は、ヘッド本体11に一体的に設けられた肉厚部23が切削等されることによって行われる。肉厚部23は、凸条により構成されている。肉厚部23は、特にゴルフクラブヘッド10のサイド部20に形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体11とフェース部材12とを有し、これらが接合された後に重量調整される。重量調整は、ヘッド本体11に一体的に設けられた肉厚部23が切削等されることによって行われる。肉厚部23は、凸条により構成されている。肉厚部23は、特にゴルフクラブヘッド10のサイド部20に形成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術の分野】
この発明は、ゴルフクラブヘッド、より詳しくは金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフクラブは、ゴルフクラブシャフトの先端にゴルフクラブヘッドが取り付けられることによって構成されており、ゴルファーは、ゴルフクラブシャフトを高速で振ることによってゴルフクラブヘッドをボールに当てる。したがって、ゴルフクラブの所期の性能(設計者が意図するボールの飛行)が実現されるためには、ゴルフクラブヘッドは、精度の高い重量管理が要求される。
つまり、ゴルフクラブヘッドは、その製造上、予め設計された組立完成重量(より詳細には、組立工程及び仕上工程を経て製品として完成されたゴルフクラブヘッド全体における重量配分)に精度良く仕上げられる必要がある。
【0003】
金属製ゴルフクラブヘッドは、通常、ヘッド本体(ボディとも称される)、フェイス部、クラウン部等のゴルフクラブヘッドを構成する複数の部品を備えている。各部品は、一般に鋳造や鍛造等により形成され、これらが所要の手段(溶接等)により接合され、組み立てられる。その後、ゴルフクラブヘッドは、所要の重量調整が行われることによって上記予め設計された組立完成重量に調整され、最後に、その全面に研磨処理等(仕上処理)が行われる。
ゴルフクラブヘッドの製造工程において、重量調整の方法は、従来から種々提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1に開示されたゴルフクラブヘッドの重量調整方法では、まず、ゴルフクラブヘッドの構成部品(例えば上記ヘッド本体等)が予め組立部品重量よりも軽量に構成される。ここで、「組立部品重量」とは、ゴルフクラブヘッドが予め設計された組立完成重量に調整された状態における当該構成部品の重量(すなわち、ゴルフクラブヘッド全体として重量調整処理が施された後の当該構成部品の重量)である。
このように意図的に軽量化された構成部品が組み立てられると、必然的にゴルフクラブヘッドの組立完成時の重量は、予め設計された組立完成重量よりも軽くなり、ゴルフクラブヘッドは、所期の性能を発揮することはできない。
そのため、ゴルフクラブヘッドは、所要のウェイトが装着されることによって上記重量調整処理が施される。これにより、組み立てられたゴルフクラブヘッドは上記予め設計された組立完成重量に調整される。
【0005】
また、特許文献2に開示されたゴルフクラブヘッドの重量調整方法は、上記ウェイトとしてバッジが採用され、これがヘッド本体に設けられるというものである。
さらに、特許文献3に開示されたゴルフクラブヘッドの重量調整方法は、上記ウェイトとして、常温で固化するが加熱により流動状態となる液体が採用され、これがゴルフクラブヘッドの内部に流し込まれるというものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−9742号公報
【特許文献2】
特開平11−244433号公報
【特許文献3】
特開2000−325507号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、従来のゴルフクラブヘッドの重量調整は、構成部品が予め組立部品重量よりも軽量に構成されることによってゴルフクラブヘッド自体が予め設計された組立完成重量よりも軽く構成され、その後に、所要のウェイトが装着されることによってゴルフクラブヘッドが予め設計された組立完成重量まで重量化されるという手法により行われていた。
【0008】
しかし、従来の手法では、ゴルフクラブヘッドが重量化されるために、別部材としてウェイトが構成されなければならなず、そのために、ゴルフクラブヘッドの部品点数が増え、製造工程が複雑になるという問題があった。
しかも、別部材がゴルフクラブヘッドに後付けされるから、高精度の重量調整が容易でない。そのため、重量調整が高精度に行われるためには、他種類のウェイトが容易されなければならず、結果として、ゴルフクラブヘッドの製造コストの上昇を招くという問題があった。
加えて、ゴルフクラブヘッドの内部に液体となったウェイトが流し込まれる場合には、打球音が悪化するという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、簡単且つ安価にゴルフクラブヘッドを精度良く製造することができ、しかも打球音の悪化が生じないゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的が達成されるため、本願に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、複数の構成部品を備え、これらが所定の要領で組み立てられることによって、予め設計された組立完成重量に調整されるゴルフクラブヘッドの製造方法であって、上記複数の構成部品のうち少なくとも一の構成部品が予め組立部品重量よりも重く構成され、これらの組立工程において上記少なくとも一の構成部品が減量されることによって、予め設計された組立完成重量に調整されることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、ゴルフクラブヘッドは、その構成部品が組立部品重量よりも予め一定量だけ重く構成され、これが組立工程において減量されることによって、予め設計された組立完成重量に調整される。構成部品の減量は、機械加工又は手作業による切削処理又は研磨処理等により行われる。
このように、予め重く設定された構成部品を減量することよって重量調整が行われるから、従来のように、予め軽く設定された構成部品にウェイトを設ける場合に比べて、重量調整が簡単且つ高精度に行われる。
【0012】
(2) 上記少なくとも一の構成部品は、減量されるための減量代部が当該構成部品と一体的に形成されるのが好ましい。
この構成では、構成部品のうち減量される部分が当該構成部品の成形時に一体的に構成される。したがって、減量される部材は、従来のように別部材として構成され、これが後付により接合されるものではないから、ゴルフクラブヘッドの製造コストが低減される。
【0013】
さらに、上記減量代部は、当該構成部品に形成された肉厚凸条部により構成されているのが好ましい。
この構成では、減量代部が簡単な構造であり、当該構成部品の成形コストも実質的に上昇することはない。
しかも、減量代部が肉厚凸条部により構成されることにより、減量される部分がゴルフクラブヘッドの一定の部位に集中されることになる。したがって、減量作業がきわめて簡単である。
【0014】
また、上記減量代部は、ゴルフクラブヘッドのサイド部に形成されるのが好ましい。
仮に、減量代部がクラウン部に設けられると、ゴルフクラブヘッドの重心位置が高くなる。また、減量代部がソール部に設けられると、減量によってフック角が大きく変化してしまう。さらに、減量代部がフェイス部に設けられると、ゴルフクラブヘッドの反発係数が大きく変化してしまう。
しかし、減量代部がサイド部に設けられることによって、上記不都合は生じず、減量によるゴルフクラブヘッドの性能変化は、最小となる。
【0015】
(3) 上記少なくとも一の構成部品の減量は、各構成部品が接合された後に行われるのが好ましい。
この構成では、各構成部品が組み立てられ、その仕上作業において減量されるから、重量調整がきわめて正確に行われるという利点がある。したがって、ゴルフクラブヘッドの組立完成重量が、予め設計された重量に正確に調整される。
【0016】
(4) また、上記各構成部品が接合された後に、まず全面を仕上げる仕上処理が施され、当該仕上処理の後に、上記少なくとも一の構成部品が減量されるのが好ましい。
この構成では、各構成部品が接合されることにより構成されたゴルフクラブヘッドは、仕上処理によってその全面が仕上げられ、商品としての完成度が向上する。しかも、当該仕上処理の後に構成部品の減量処理が行われるので、ゴルフクラブヘッドは、予め設計された組立完成重量にきわめて正確に調整される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッド10の分解斜視図である。
このゴルフクラブヘッド10は、ドライバー用ヘッドであり、2つの構成部品から構成されている。すなわち、ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体11と、フェース部材12とを備えて構成され、フェース部材12がヘッド本体11の前面部13に接合されることにより、製品としてのゴルフクラブヘッド10が完成される。
【0019】
本実施形態の特徴とするところは、ゴルフクラブヘッド10の製造方法にある。すなわち、このゴルフクラブヘッド10は、後に詳述される要領で製造され、これにより、ゴルフクラブヘッド10は、その重量が予め設計された組立完成重量にきわめて精度良く調整されるようになっている。
【0020】
ヘッド本体11は、同図が示すように中空状に形成されている。ヘッド本体11は、上記前面部13と、クラウン部16と、ソール部19と、サイド部20とを備えている。これらは、一体的に形成されている。
クラウン部16は、前面部13の上縁14に連続して形成され、ヘッド本体11の上面15を構成する。また、クラウン部16の端部には、シャフト取付部21が形成されている。シャフト取付部21は、同図が示すように円筒状に形成されており、クラウン部16から斜め上方へ突出形成されている。ゴルフクラブシャフト(図示せず)は、シャフト取付部21に挿通され、支持されるようになっている。
【0021】
ソール部19は、前面部13の下縁17に連続して形成され、ヘッド本体11の底面18を構成する。そして、サイド部20は、前面部13、クラウン部16及びソール部19が互いに滑らかに連続するように形成されている。サイド部20のうち、上記前面部13と反対側の壁面を構成する部分は、特にバックフェース部とも称される。また、サイド部20のうち、上記シャフト取付部21に連続する部分は特にヒール部とも称され、ヒール部の反対側壁面を構成する部分は特にトウ部とも称される。
【0022】
また、フェース部材12は、同図が示すように略平板状に形成されており、そのサーフェイス部22は、所定の曲率半径の曲面に形成されている。
フェース部材12は、ヘッド本体11の上記前面部13に取り付けられることによって、ゴルフクラブヘッド10のフェイス部を構成する。
【0023】
図2は、ゴルフクラブヘッド10の要部斜視図であり、サイド部20の構造が詳細に図示されている。
同図が示すように、ゴルフクラブヘッド10のサイド部20には、肉厚部23(肉厚凸条部)が形成されている。
図3は、ゴルフクラブヘッド10に形成された肉厚部23の正面図である。
この肉厚部23は、細長の凸条として構成されている。肉厚部23は、サイド部20のうち、ヒール部からバックフェース部に連続するように形成されている。
【0024】
肉厚部23は、本実施形態では、ヘッド本体11と一体的に形成されており、その幅寸法は、中央部において若干小さくなるように設定されている。また、肉厚部23の両端部24,25は、滑らかな円弧状に形成されている。
この肉厚部23は、ヘッド本体11の重量調整に用いられる。ゴルフクラブヘッド10は、後述されるように、ヘッド本体11にフェース部材12が取り付けられることにより組み立てられるが、ゴルフクラブヘッド10が所期の性能を発揮するためには、ゴルフクラブヘッド10の重量バランスが重要な要素となる。
【0025】
すなわち、ゴルフクラブヘッド10が所期の性能を発揮するためには、ゴルフクラブヘッド10の組立時において、組立完成重量が予め設計された重量に正確に調整される必要がある。この肉厚部23は、ゴルフクラブヘッド10の重量調整を行うためのものであり、そのため、予めヘッド本体11と一体的に形成され、ゴルフクラブヘッド10の組立時において、適宜切削又は研磨されるようになっている。
換言すれば、この肉厚部23は、ゴルフクラブヘッド10の組立時において、ヘッド本体11が減量されるための減量代部として機能し、所定量減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量が上記予め設計された組立完成重量に調整される。
【0026】
なお、本実施形態では、肉厚部23は、前述のような形状に形成されているが、ヘッド本体11の減量代部として機能するためには、他の形状に形成されていてもよいことは勿論である。
また、肉厚部23は、上記サイド部20に形成されているが、これに限定されるものではなく、ソール部19やクラウン部16等にも形成され得る。
【0027】
ゴルフクラブヘッド10は、次のようにして製造される。
本実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、上記ヘッド本体11及びフェース部材12が別々に構成され、これらが組み立てられる。
ヘッド本体11は、例えば、鍛造のほか鋳造等によって成形される。本実施形態では、ヘッド本体11は、ロストワックス製法による精密鋳造によって、上記肉厚部23と共に一体的に成形されている。
【0028】
前述のように、ゴルフクラブヘッド10が所期の性能を発揮するためには、組立完成重量が予め設計された重量に調整される必要があり、したがって、ヘッド本体11が組立部品重量に精度良く調整されている必要がある。そのために、後述される重量調整作業が行われるのであるが、ヘッド本体11は、予め組立部品重量よりも所定重量だけ重く成形される。
【0029】
図4は、図3におけるIV−IV断面図であり、肉厚部23の肉厚寸法等が示されている。
ヘッド本体11が組立部品重量よりも重く成形されるために、上記肉厚部23が一体的に形成される。本実施形態では、この肉厚部23の肉厚寸法t1は、0.3mm以上に設定されるが、好ましくは、0.5mm以上、より好ましくは、1.0mm以上に設定される。また、寸法t1の上限値については、その他のゴルフクラブヘッドの重量に関係する諸要素の能力によって設定され得るものであるが、材料コストや製造コストの観点から、5mm以下に設定され得る。ただし、好ましくは、寸法t1の上限値は、3mm以下、より好ましくは、2mm以下に設定される。
なお、肉厚部23を含めたヘッド本体11の全肉厚寸法t2は、1.2mmに設定されるが、好ましくは、1.5mm以上に設定される。また、寸法t2の上限値は、6mm以下に設定され得るが、好ましくは、4mm以下、より好ましくは、3mm以下に設定される。
【0030】
肉厚部23の肉厚寸法t1が上記寸法に設定されることによって、肉厚部23の重量は、2g以上に設定される。ただし、好ましくは、肉厚部23の重量は、4g以上、より好ましくは、5g以上に設定される。
また、肉厚部23の重量の上限値は、その他のゴルフクラブヘッドの重量に関係する諸要素の能力によって設定され得るものであるが、材料コストや製造コストの観点から、20g以下に設定される。ただし、好ましくは、肉厚部23の重量の上限は、15g以下、より好ましくは、10g以下に設定される。
【0031】
ヘッド本体11を構成する材料は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金等の金属材料が採用され得るが、本実施形態では、チタン合金(Ti−6Al−4V)が採用されている。かかる材料は、低比重であり且つ機械的強度が高いため、クラウン部16、ソール部19及びサイド部20の肉厚寸法が小さく設定され、軽量且つ高強度のヘッド本体11が実現される。
【0032】
一方、フェース部材12は、プレス加工により成形されている。もっとも、フェース部材12は、ヘッド本体11と同様に、鍛造や鋳造等によっても成形され得るる。
フェース部材12を構成する材料は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金等の金属材料が採用され得るが、本実施形態では、ヘッド本体11と同様にチタン合金(Ti−6Al−4V)が採用されている。フェース部材12がチタン合金により構成されることにより、ゴルフクラブヘッド10は、軽量であり、高耐久性及び高反発性を備えたものとなる。
【0033】
このように成形されたヘッド本体11に対して、フェース部材12が接合される。図1が示すように、フェース部材12は、矢印26の方向に沿ってヘッド本体11の前面部13にぴったりと当接される。両者の接合は、典型的には、溶接により行われ、接合部は、丁寧に仕上げられる。
ヘッド本体11が前述のように組立部品重量よりも重く成形されていることから、ヘッド本体11にフェース部材12が接合された時点におけるゴルフクラブヘッド10の重量は、予め設計された組立完成重量よりも重い。
【0034】
ヘッド本体11に対して、フェース部材12が接合された状態で、ゴルフクラブヘッド10の表面(全面)に仕上処理が施される。この仕上処理は、既知の研磨作業により行われる。これにより、ゴルフクラブヘッド10は、その全面が仕上げられ、商品としての完成度が向上する。
【0035】
次に、肉厚部23の表面27が研磨作業又は切削作業によって削られる。この作業は、手作業又は機械加工により行われる。これにより、肉厚部23が所定重量分だけ減量される。そして、肉厚部23が所定量だけ削られることによって、ゴルフクラブヘッド10全体として、その重量が上記予め設計された組立完成重量に調整される。
このように、ヘッド本体11及びフェース部材12が成形され、且つこれらが接合された後、所要の減量処理が行われることによって、ゴルフクラブヘッド10が完成される。
【0036】
本実施形態に係るゴルフクラブヘッド10では、その構成部品(すなわちヘッド本体11)が組立部品重量よりも予め一定量だけ重く構成され、これが減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量が予め設計された組立完成重量に調整される。したがって、従来のように、予め軽く設定された構成部品にウェイトを設ける場合に比べて、重量調整が簡単且つ高精度に行われる。その結果、高性能なゴルフクラブヘッド10が製造される。
しかも、従来のように別部材として構成されたウェイトが用いられることはないので、ゴルフクラブヘッド10の部品点数も削減される。これにより、ゴルフクラブヘッド10の製造コストが低減され、安価なゴルフクラブヘッド10が製造される。
加えて、従来のように、流動状のウェイトがヘッド本体11に流し込まれることもないので、打球音が悪化することもない。
【0037】
本実施形態では、ヘッド本体11が減量されるために、ヘッド本体11に減量代部が設けられるので、当該減量作業(すなわち、上記研磨又は切削作業)がきわめて簡単である。したがって、ゴルフクラブヘッド10の製造コストが大幅に上昇することはない。
しかも、上記減量代部が肉厚部23によって構成されるから、ヘッド本体11の製造コストも大幅に上昇することはなく、ゴルフクラブヘッド10の低廉化が促進される。加えて、減量代部が肉厚部23により構成されるから、上記減量作業は、当該肉厚部23のみを研磨又は切削することにより行われる。したがって、減量作業が手作業で行われる場合であっても、当該作業がきわめて簡単であるという利点がある。
【0038】
特に、減量される部分(肉厚部23)がゴルフクラブヘッド10のサイド部20に形成されているので、当該減量作業によるゴルフクラブヘッド10の性能の変化が最小限に抑えられるという利点もある。
具体的には、仮に、減量される部分がクラウン部16に設けられると、ゴルフクラブヘッド10の重心位置が高くなり、また、ソール部に設けられると、減量によってフック角が大きく変化してしまう。さらに、減量される部分がフェイス部に設けられると、ゴルフクラブヘッド10の反発係数が大きく変化してしまう。これらのことは、ゴルフクラブヘッド10の性能にとって必ずしも悪影響を与えるものではないが、ゴルフクラブヘッド10の重心位置等の変化は、極力避けられるべきである。
【0039】
さらに、本実施形態では、ヘッド本体11の減量は、ヘッド本体11にフェース部材12が接合された後に行われるので、ゴルフクラブヘッド10の重量調整がきわめて正確に行われるという利点がある。
もっとも、ヘッド本体11の重量が組立部品重量に調整された後に、フェース部材12が接合される場合も考えられるが、フェース部材12が溶接により接合される場合には、溶接による重量変化が生じることになる。この場合は、再度重量調整が必要となる場合も考えられるが、この場合であっても、ゴルフクラブヘッド10の所期の性能は実現される。
【0040】
加えて、本実施形態では、ゴルフクラブヘッド10の全面の仕上処理が行われた後に、前述の減量処理が行われる。つまり、ゴルフクラブヘッド10の減量処理が組立工程における最終段階で行われるので、ゴルフクラブヘッド10の重量調整は、より一層正確なものとなる。その結果、ゴルフクラブヘッド10は、設計者の意図する性能が正確に発揮される。
もっとも、上記全面の仕上処理は、上記減量処理の後に行われてもよいことは、勿論である。
【0041】
なお、厳密な意味においては、上記全面の仕上処理が施されることによってゴルフクラブヘッド10が減量されることになるが、この仕上処理による減量は微小であり、しかも仕上処理が重量調整を目的とするものではない。すなわち、仕上処理によって減量の程度が調整されるものでもなく、また、この仕上処理によって重量調整が行われようとされた場合に、仕上処理の程度が大きくされたり小さくされたりすると、仕上処理に差が生じるという不具合が発生してしまう。
つまり、そもそも仕上処理は、「減量」という目的を有するものでもなければ、それを実現できる処理でもなく、実質上、仕上処理によってゴルフクラブヘッド10の減量がなされるものではなく、この全面の仕上処理による減量は、本発明において、「組立完成重量の調整」という概念から除外されるものである。
【0042】
なお、本実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体11及びフェース部材12の2つの構成部品からなるが、さらに多数の構成部品に分割され、これらが接合されて組み立てられていてもよいことは勿論である。
すなわち、ゴルフクラブヘッドは、通常、2個〜5個の構成部品から構成されるものであり、本実施形態に係るゴルフクラブヘッド10も2個〜5個の構成部品から構成され得る。そして、それら構成部品のうち少なくとも1つの構成部品が減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量が予め設計された組立完成重量に調整されるのであるが、生産性等の観点から、単一の構成部品のみが減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量調整が行われるのが望ましい。
【0043】
また、本実施形態に係るゴルフクラブヘッド10は、ドライバー用として構成されているが、本発明は、ドライバー用ヘッドにのみ適用されるものではなく、他の種々のゴルフクラブのヘッドにも適用され得ることは勿論である。
さらに、本実施形態では、上記減量代部として肉厚部23が設けられているが、商品としてのゴルフクラブヘッドには、そのサイド部にブランド名が付されることがある。例えば、「SRIXON」というブランドを表す文字が、ゴルフクラブヘッド10のサイド部20に浮き彫り状に形成されることがある。この場合、この文字部分は、サイド部20にヘッド本体11と一体的に形成されることになるので、当該文字部分部分が上記減量代部として機能することができる。
その場合には、改めて肉厚部23を設ける必要がなく、ヘッド本体11の成形工程が特に複雑になることもない。したがって、ゴルフクラブヘッド10の製造コストは、上昇しないという利点がある。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、構成部品が予め重く構成され、これが減量されることよって重量調整が行われるから、ゴルフクラブヘッドの重量調整が簡単且つ高精度に行われる。その結果、高精度に重量調整されたゴルフクラブヘッドが製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの要部斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドに形成された肉厚部の正面図である。
【図4】図4は、図3におけるIV−IV断面図である。
【符号の説明】
10・・・ゴルフクラブヘッド
11・・・ヘッド本体
12・・・フェース部材
16・・・クラウン部
19・・・ソール部
20・・・サイド部
23・・・肉厚部
27・・・表面
【発明の属する技術の分野】
この発明は、ゴルフクラブヘッド、より詳しくは金属製ゴルフクラブヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフクラブは、ゴルフクラブシャフトの先端にゴルフクラブヘッドが取り付けられることによって構成されており、ゴルファーは、ゴルフクラブシャフトを高速で振ることによってゴルフクラブヘッドをボールに当てる。したがって、ゴルフクラブの所期の性能(設計者が意図するボールの飛行)が実現されるためには、ゴルフクラブヘッドは、精度の高い重量管理が要求される。
つまり、ゴルフクラブヘッドは、その製造上、予め設計された組立完成重量(より詳細には、組立工程及び仕上工程を経て製品として完成されたゴルフクラブヘッド全体における重量配分)に精度良く仕上げられる必要がある。
【0003】
金属製ゴルフクラブヘッドは、通常、ヘッド本体(ボディとも称される)、フェイス部、クラウン部等のゴルフクラブヘッドを構成する複数の部品を備えている。各部品は、一般に鋳造や鍛造等により形成され、これらが所要の手段(溶接等)により接合され、組み立てられる。その後、ゴルフクラブヘッドは、所要の重量調整が行われることによって上記予め設計された組立完成重量に調整され、最後に、その全面に研磨処理等(仕上処理)が行われる。
ゴルフクラブヘッドの製造工程において、重量調整の方法は、従来から種々提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1に開示されたゴルフクラブヘッドの重量調整方法では、まず、ゴルフクラブヘッドの構成部品(例えば上記ヘッド本体等)が予め組立部品重量よりも軽量に構成される。ここで、「組立部品重量」とは、ゴルフクラブヘッドが予め設計された組立完成重量に調整された状態における当該構成部品の重量(すなわち、ゴルフクラブヘッド全体として重量調整処理が施された後の当該構成部品の重量)である。
このように意図的に軽量化された構成部品が組み立てられると、必然的にゴルフクラブヘッドの組立完成時の重量は、予め設計された組立完成重量よりも軽くなり、ゴルフクラブヘッドは、所期の性能を発揮することはできない。
そのため、ゴルフクラブヘッドは、所要のウェイトが装着されることによって上記重量調整処理が施される。これにより、組み立てられたゴルフクラブヘッドは上記予め設計された組立完成重量に調整される。
【0005】
また、特許文献2に開示されたゴルフクラブヘッドの重量調整方法は、上記ウェイトとしてバッジが採用され、これがヘッド本体に設けられるというものである。
さらに、特許文献3に開示されたゴルフクラブヘッドの重量調整方法は、上記ウェイトとして、常温で固化するが加熱により流動状態となる液体が採用され、これがゴルフクラブヘッドの内部に流し込まれるというものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−9742号公報
【特許文献2】
特開平11−244433号公報
【特許文献3】
特開2000−325507号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、従来のゴルフクラブヘッドの重量調整は、構成部品が予め組立部品重量よりも軽量に構成されることによってゴルフクラブヘッド自体が予め設計された組立完成重量よりも軽く構成され、その後に、所要のウェイトが装着されることによってゴルフクラブヘッドが予め設計された組立完成重量まで重量化されるという手法により行われていた。
【0008】
しかし、従来の手法では、ゴルフクラブヘッドが重量化されるために、別部材としてウェイトが構成されなければならなず、そのために、ゴルフクラブヘッドの部品点数が増え、製造工程が複雑になるという問題があった。
しかも、別部材がゴルフクラブヘッドに後付けされるから、高精度の重量調整が容易でない。そのため、重量調整が高精度に行われるためには、他種類のウェイトが容易されなければならず、結果として、ゴルフクラブヘッドの製造コストの上昇を招くという問題があった。
加えて、ゴルフクラブヘッドの内部に液体となったウェイトが流し込まれる場合には、打球音が悪化するという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、簡単且つ安価にゴルフクラブヘッドを精度良く製造することができ、しかも打球音の悪化が生じないゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的が達成されるため、本願に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、複数の構成部品を備え、これらが所定の要領で組み立てられることによって、予め設計された組立完成重量に調整されるゴルフクラブヘッドの製造方法であって、上記複数の構成部品のうち少なくとも一の構成部品が予め組立部品重量よりも重く構成され、これらの組立工程において上記少なくとも一の構成部品が減量されることによって、予め設計された組立完成重量に調整されることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、ゴルフクラブヘッドは、その構成部品が組立部品重量よりも予め一定量だけ重く構成され、これが組立工程において減量されることによって、予め設計された組立完成重量に調整される。構成部品の減量は、機械加工又は手作業による切削処理又は研磨処理等により行われる。
このように、予め重く設定された構成部品を減量することよって重量調整が行われるから、従来のように、予め軽く設定された構成部品にウェイトを設ける場合に比べて、重量調整が簡単且つ高精度に行われる。
【0012】
(2) 上記少なくとも一の構成部品は、減量されるための減量代部が当該構成部品と一体的に形成されるのが好ましい。
この構成では、構成部品のうち減量される部分が当該構成部品の成形時に一体的に構成される。したがって、減量される部材は、従来のように別部材として構成され、これが後付により接合されるものではないから、ゴルフクラブヘッドの製造コストが低減される。
【0013】
さらに、上記減量代部は、当該構成部品に形成された肉厚凸条部により構成されているのが好ましい。
この構成では、減量代部が簡単な構造であり、当該構成部品の成形コストも実質的に上昇することはない。
しかも、減量代部が肉厚凸条部により構成されることにより、減量される部分がゴルフクラブヘッドの一定の部位に集中されることになる。したがって、減量作業がきわめて簡単である。
【0014】
また、上記減量代部は、ゴルフクラブヘッドのサイド部に形成されるのが好ましい。
仮に、減量代部がクラウン部に設けられると、ゴルフクラブヘッドの重心位置が高くなる。また、減量代部がソール部に設けられると、減量によってフック角が大きく変化してしまう。さらに、減量代部がフェイス部に設けられると、ゴルフクラブヘッドの反発係数が大きく変化してしまう。
しかし、減量代部がサイド部に設けられることによって、上記不都合は生じず、減量によるゴルフクラブヘッドの性能変化は、最小となる。
【0015】
(3) 上記少なくとも一の構成部品の減量は、各構成部品が接合された後に行われるのが好ましい。
この構成では、各構成部品が組み立てられ、その仕上作業において減量されるから、重量調整がきわめて正確に行われるという利点がある。したがって、ゴルフクラブヘッドの組立完成重量が、予め設計された重量に正確に調整される。
【0016】
(4) また、上記各構成部品が接合された後に、まず全面を仕上げる仕上処理が施され、当該仕上処理の後に、上記少なくとも一の構成部品が減量されるのが好ましい。
この構成では、各構成部品が接合されることにより構成されたゴルフクラブヘッドは、仕上処理によってその全面が仕上げられ、商品としての完成度が向上する。しかも、当該仕上処理の後に構成部品の減量処理が行われるので、ゴルフクラブヘッドは、予め設計された組立完成重量にきわめて正確に調整される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッド10の分解斜視図である。
このゴルフクラブヘッド10は、ドライバー用ヘッドであり、2つの構成部品から構成されている。すなわち、ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体11と、フェース部材12とを備えて構成され、フェース部材12がヘッド本体11の前面部13に接合されることにより、製品としてのゴルフクラブヘッド10が完成される。
【0019】
本実施形態の特徴とするところは、ゴルフクラブヘッド10の製造方法にある。すなわち、このゴルフクラブヘッド10は、後に詳述される要領で製造され、これにより、ゴルフクラブヘッド10は、その重量が予め設計された組立完成重量にきわめて精度良く調整されるようになっている。
【0020】
ヘッド本体11は、同図が示すように中空状に形成されている。ヘッド本体11は、上記前面部13と、クラウン部16と、ソール部19と、サイド部20とを備えている。これらは、一体的に形成されている。
クラウン部16は、前面部13の上縁14に連続して形成され、ヘッド本体11の上面15を構成する。また、クラウン部16の端部には、シャフト取付部21が形成されている。シャフト取付部21は、同図が示すように円筒状に形成されており、クラウン部16から斜め上方へ突出形成されている。ゴルフクラブシャフト(図示せず)は、シャフト取付部21に挿通され、支持されるようになっている。
【0021】
ソール部19は、前面部13の下縁17に連続して形成され、ヘッド本体11の底面18を構成する。そして、サイド部20は、前面部13、クラウン部16及びソール部19が互いに滑らかに連続するように形成されている。サイド部20のうち、上記前面部13と反対側の壁面を構成する部分は、特にバックフェース部とも称される。また、サイド部20のうち、上記シャフト取付部21に連続する部分は特にヒール部とも称され、ヒール部の反対側壁面を構成する部分は特にトウ部とも称される。
【0022】
また、フェース部材12は、同図が示すように略平板状に形成されており、そのサーフェイス部22は、所定の曲率半径の曲面に形成されている。
フェース部材12は、ヘッド本体11の上記前面部13に取り付けられることによって、ゴルフクラブヘッド10のフェイス部を構成する。
【0023】
図2は、ゴルフクラブヘッド10の要部斜視図であり、サイド部20の構造が詳細に図示されている。
同図が示すように、ゴルフクラブヘッド10のサイド部20には、肉厚部23(肉厚凸条部)が形成されている。
図3は、ゴルフクラブヘッド10に形成された肉厚部23の正面図である。
この肉厚部23は、細長の凸条として構成されている。肉厚部23は、サイド部20のうち、ヒール部からバックフェース部に連続するように形成されている。
【0024】
肉厚部23は、本実施形態では、ヘッド本体11と一体的に形成されており、その幅寸法は、中央部において若干小さくなるように設定されている。また、肉厚部23の両端部24,25は、滑らかな円弧状に形成されている。
この肉厚部23は、ヘッド本体11の重量調整に用いられる。ゴルフクラブヘッド10は、後述されるように、ヘッド本体11にフェース部材12が取り付けられることにより組み立てられるが、ゴルフクラブヘッド10が所期の性能を発揮するためには、ゴルフクラブヘッド10の重量バランスが重要な要素となる。
【0025】
すなわち、ゴルフクラブヘッド10が所期の性能を発揮するためには、ゴルフクラブヘッド10の組立時において、組立完成重量が予め設計された重量に正確に調整される必要がある。この肉厚部23は、ゴルフクラブヘッド10の重量調整を行うためのものであり、そのため、予めヘッド本体11と一体的に形成され、ゴルフクラブヘッド10の組立時において、適宜切削又は研磨されるようになっている。
換言すれば、この肉厚部23は、ゴルフクラブヘッド10の組立時において、ヘッド本体11が減量されるための減量代部として機能し、所定量減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量が上記予め設計された組立完成重量に調整される。
【0026】
なお、本実施形態では、肉厚部23は、前述のような形状に形成されているが、ヘッド本体11の減量代部として機能するためには、他の形状に形成されていてもよいことは勿論である。
また、肉厚部23は、上記サイド部20に形成されているが、これに限定されるものではなく、ソール部19やクラウン部16等にも形成され得る。
【0027】
ゴルフクラブヘッド10は、次のようにして製造される。
本実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、上記ヘッド本体11及びフェース部材12が別々に構成され、これらが組み立てられる。
ヘッド本体11は、例えば、鍛造のほか鋳造等によって成形される。本実施形態では、ヘッド本体11は、ロストワックス製法による精密鋳造によって、上記肉厚部23と共に一体的に成形されている。
【0028】
前述のように、ゴルフクラブヘッド10が所期の性能を発揮するためには、組立完成重量が予め設計された重量に調整される必要があり、したがって、ヘッド本体11が組立部品重量に精度良く調整されている必要がある。そのために、後述される重量調整作業が行われるのであるが、ヘッド本体11は、予め組立部品重量よりも所定重量だけ重く成形される。
【0029】
図4は、図3におけるIV−IV断面図であり、肉厚部23の肉厚寸法等が示されている。
ヘッド本体11が組立部品重量よりも重く成形されるために、上記肉厚部23が一体的に形成される。本実施形態では、この肉厚部23の肉厚寸法t1は、0.3mm以上に設定されるが、好ましくは、0.5mm以上、より好ましくは、1.0mm以上に設定される。また、寸法t1の上限値については、その他のゴルフクラブヘッドの重量に関係する諸要素の能力によって設定され得るものであるが、材料コストや製造コストの観点から、5mm以下に設定され得る。ただし、好ましくは、寸法t1の上限値は、3mm以下、より好ましくは、2mm以下に設定される。
なお、肉厚部23を含めたヘッド本体11の全肉厚寸法t2は、1.2mmに設定されるが、好ましくは、1.5mm以上に設定される。また、寸法t2の上限値は、6mm以下に設定され得るが、好ましくは、4mm以下、より好ましくは、3mm以下に設定される。
【0030】
肉厚部23の肉厚寸法t1が上記寸法に設定されることによって、肉厚部23の重量は、2g以上に設定される。ただし、好ましくは、肉厚部23の重量は、4g以上、より好ましくは、5g以上に設定される。
また、肉厚部23の重量の上限値は、その他のゴルフクラブヘッドの重量に関係する諸要素の能力によって設定され得るものであるが、材料コストや製造コストの観点から、20g以下に設定される。ただし、好ましくは、肉厚部23の重量の上限は、15g以下、より好ましくは、10g以下に設定される。
【0031】
ヘッド本体11を構成する材料は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金等の金属材料が採用され得るが、本実施形態では、チタン合金(Ti−6Al−4V)が採用されている。かかる材料は、低比重であり且つ機械的強度が高いため、クラウン部16、ソール部19及びサイド部20の肉厚寸法が小さく設定され、軽量且つ高強度のヘッド本体11が実現される。
【0032】
一方、フェース部材12は、プレス加工により成形されている。もっとも、フェース部材12は、ヘッド本体11と同様に、鍛造や鋳造等によっても成形され得るる。
フェース部材12を構成する材料は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタン合金等の金属材料が採用され得るが、本実施形態では、ヘッド本体11と同様にチタン合金(Ti−6Al−4V)が採用されている。フェース部材12がチタン合金により構成されることにより、ゴルフクラブヘッド10は、軽量であり、高耐久性及び高反発性を備えたものとなる。
【0033】
このように成形されたヘッド本体11に対して、フェース部材12が接合される。図1が示すように、フェース部材12は、矢印26の方向に沿ってヘッド本体11の前面部13にぴったりと当接される。両者の接合は、典型的には、溶接により行われ、接合部は、丁寧に仕上げられる。
ヘッド本体11が前述のように組立部品重量よりも重く成形されていることから、ヘッド本体11にフェース部材12が接合された時点におけるゴルフクラブヘッド10の重量は、予め設計された組立完成重量よりも重い。
【0034】
ヘッド本体11に対して、フェース部材12が接合された状態で、ゴルフクラブヘッド10の表面(全面)に仕上処理が施される。この仕上処理は、既知の研磨作業により行われる。これにより、ゴルフクラブヘッド10は、その全面が仕上げられ、商品としての完成度が向上する。
【0035】
次に、肉厚部23の表面27が研磨作業又は切削作業によって削られる。この作業は、手作業又は機械加工により行われる。これにより、肉厚部23が所定重量分だけ減量される。そして、肉厚部23が所定量だけ削られることによって、ゴルフクラブヘッド10全体として、その重量が上記予め設計された組立完成重量に調整される。
このように、ヘッド本体11及びフェース部材12が成形され、且つこれらが接合された後、所要の減量処理が行われることによって、ゴルフクラブヘッド10が完成される。
【0036】
本実施形態に係るゴルフクラブヘッド10では、その構成部品(すなわちヘッド本体11)が組立部品重量よりも予め一定量だけ重く構成され、これが減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量が予め設計された組立完成重量に調整される。したがって、従来のように、予め軽く設定された構成部品にウェイトを設ける場合に比べて、重量調整が簡単且つ高精度に行われる。その結果、高性能なゴルフクラブヘッド10が製造される。
しかも、従来のように別部材として構成されたウェイトが用いられることはないので、ゴルフクラブヘッド10の部品点数も削減される。これにより、ゴルフクラブヘッド10の製造コストが低減され、安価なゴルフクラブヘッド10が製造される。
加えて、従来のように、流動状のウェイトがヘッド本体11に流し込まれることもないので、打球音が悪化することもない。
【0037】
本実施形態では、ヘッド本体11が減量されるために、ヘッド本体11に減量代部が設けられるので、当該減量作業(すなわち、上記研磨又は切削作業)がきわめて簡単である。したがって、ゴルフクラブヘッド10の製造コストが大幅に上昇することはない。
しかも、上記減量代部が肉厚部23によって構成されるから、ヘッド本体11の製造コストも大幅に上昇することはなく、ゴルフクラブヘッド10の低廉化が促進される。加えて、減量代部が肉厚部23により構成されるから、上記減量作業は、当該肉厚部23のみを研磨又は切削することにより行われる。したがって、減量作業が手作業で行われる場合であっても、当該作業がきわめて簡単であるという利点がある。
【0038】
特に、減量される部分(肉厚部23)がゴルフクラブヘッド10のサイド部20に形成されているので、当該減量作業によるゴルフクラブヘッド10の性能の変化が最小限に抑えられるという利点もある。
具体的には、仮に、減量される部分がクラウン部16に設けられると、ゴルフクラブヘッド10の重心位置が高くなり、また、ソール部に設けられると、減量によってフック角が大きく変化してしまう。さらに、減量される部分がフェイス部に設けられると、ゴルフクラブヘッド10の反発係数が大きく変化してしまう。これらのことは、ゴルフクラブヘッド10の性能にとって必ずしも悪影響を与えるものではないが、ゴルフクラブヘッド10の重心位置等の変化は、極力避けられるべきである。
【0039】
さらに、本実施形態では、ヘッド本体11の減量は、ヘッド本体11にフェース部材12が接合された後に行われるので、ゴルフクラブヘッド10の重量調整がきわめて正確に行われるという利点がある。
もっとも、ヘッド本体11の重量が組立部品重量に調整された後に、フェース部材12が接合される場合も考えられるが、フェース部材12が溶接により接合される場合には、溶接による重量変化が生じることになる。この場合は、再度重量調整が必要となる場合も考えられるが、この場合であっても、ゴルフクラブヘッド10の所期の性能は実現される。
【0040】
加えて、本実施形態では、ゴルフクラブヘッド10の全面の仕上処理が行われた後に、前述の減量処理が行われる。つまり、ゴルフクラブヘッド10の減量処理が組立工程における最終段階で行われるので、ゴルフクラブヘッド10の重量調整は、より一層正確なものとなる。その結果、ゴルフクラブヘッド10は、設計者の意図する性能が正確に発揮される。
もっとも、上記全面の仕上処理は、上記減量処理の後に行われてもよいことは、勿論である。
【0041】
なお、厳密な意味においては、上記全面の仕上処理が施されることによってゴルフクラブヘッド10が減量されることになるが、この仕上処理による減量は微小であり、しかも仕上処理が重量調整を目的とするものではない。すなわち、仕上処理によって減量の程度が調整されるものでもなく、また、この仕上処理によって重量調整が行われようとされた場合に、仕上処理の程度が大きくされたり小さくされたりすると、仕上処理に差が生じるという不具合が発生してしまう。
つまり、そもそも仕上処理は、「減量」という目的を有するものでもなければ、それを実現できる処理でもなく、実質上、仕上処理によってゴルフクラブヘッド10の減量がなされるものではなく、この全面の仕上処理による減量は、本発明において、「組立完成重量の調整」という概念から除外されるものである。
【0042】
なお、本実施形態では、ゴルフクラブヘッド10は、ヘッド本体11及びフェース部材12の2つの構成部品からなるが、さらに多数の構成部品に分割され、これらが接合されて組み立てられていてもよいことは勿論である。
すなわち、ゴルフクラブヘッドは、通常、2個〜5個の構成部品から構成されるものであり、本実施形態に係るゴルフクラブヘッド10も2個〜5個の構成部品から構成され得る。そして、それら構成部品のうち少なくとも1つの構成部品が減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量が予め設計された組立完成重量に調整されるのであるが、生産性等の観点から、単一の構成部品のみが減量されることによって、ゴルフクラブヘッド10の重量調整が行われるのが望ましい。
【0043】
また、本実施形態に係るゴルフクラブヘッド10は、ドライバー用として構成されているが、本発明は、ドライバー用ヘッドにのみ適用されるものではなく、他の種々のゴルフクラブのヘッドにも適用され得ることは勿論である。
さらに、本実施形態では、上記減量代部として肉厚部23が設けられているが、商品としてのゴルフクラブヘッドには、そのサイド部にブランド名が付されることがある。例えば、「SRIXON」というブランドを表す文字が、ゴルフクラブヘッド10のサイド部20に浮き彫り状に形成されることがある。この場合、この文字部分は、サイド部20にヘッド本体11と一体的に形成されることになるので、当該文字部分部分が上記減量代部として機能することができる。
その場合には、改めて肉厚部23を設ける必要がなく、ヘッド本体11の成形工程が特に複雑になることもない。したがって、ゴルフクラブヘッド10の製造コストは、上昇しないという利点がある。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、構成部品が予め重く構成され、これが減量されることよって重量調整が行われるから、ゴルフクラブヘッドの重量調整が簡単且つ高精度に行われる。その結果、高精度に重量調整されたゴルフクラブヘッドが製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの要部斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドに形成された肉厚部の正面図である。
【図4】図4は、図3におけるIV−IV断面図である。
【符号の説明】
10・・・ゴルフクラブヘッド
11・・・ヘッド本体
12・・・フェース部材
16・・・クラウン部
19・・・ソール部
20・・・サイド部
23・・・肉厚部
27・・・表面
Claims (6)
- 複数の構成部品を備え、これらが所定の要領で組み立てられることによって、予め設計された組立完成重量に調整されるゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
上記複数の構成部品のうち少なくとも一の構成部品が予め組立部品重量よりも重く構成され、これらの組立工程において上記少なくとも一の構成部品が減量されることによって、予め設計された組立完成重量に調整されるゴルフクラブヘッドの製造方法。 - 上記少なくとも一の構成部品は、減量されるための減量代部が当該構成部品と一体的に形成される請求項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 上記減量代部は、当該構成部品に形成された肉厚凸条部により構成されている請求項2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 上記減量代部は、ゴルフクラブヘッドのサイド部に形成される請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 上記少なくとも一の構成部品の減量は、各構成部品が接合された後に行われる請求項1ないし4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
- 上記各構成部品が接合された後に全面を仕上げる仕上処理が施され、
当該仕上処理の後に、上記少なくとも一の構成部品が減量される請求項1ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003056373A JP2004261470A (ja) | 2003-03-03 | 2003-03-03 | ゴルフクラブヘッドの製造方法 |
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JP2004261470A true JP2004261470A (ja) | 2004-09-24 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103341256A (zh) * | 2013-07-06 | 2013-10-09 | 赵志强 | 一种环保型加重片 |
-
2003
- 2003-03-03 JP JP2003056373A patent/JP2004261470A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
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CN103341256A (zh) * | 2013-07-06 | 2013-10-09 | 赵志强 | 一种环保型加重片 |
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