JP2004261067A - フォンビルブランド因子切断酵素機能の検出方法 - Google Patents

フォンビルブランド因子切断酵素機能の検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】vWF−CPの発現と組織の関係を検討し、より確実なvWF−CPの生理学的な機能及び意義を見出すことを課題とした。
【解決手段】血小板中のvWF−CPmRNAの発現を見出した。定量的評価を可能とするReal−timePCRは、六人の健康被験者において、すべての該被験者の血小板では恒常的な量をもってADAMTS13mRNAが存在することを示した。血小板中のvWF−CPmRNAの存在は、血管損傷の部位における血小板機能の調節におけるvWF−CPの重要な役割を意味し、そしてこの酵素の定量及び/又は機能の分析のための有用なツールを提供できる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォンビルブランド因子切断酵素機能の検出方法に関する。特に、検体として血液、詳しくは血液から得られる血小板分画、更に詳しくは血小板を使用することを特徴とするフォンビルブランド因子切断酵素(以下、vWF−CPと略称することもある)のmRNAをマーカーとするvWF−CP機能の検出方法であり、この方法を使う診断方法及び検査手段に関わる。
【0002】
【従来の技術】
フォンビルブラント因子(以下、vWFと略称することもある)は、血管内皮細胞と巨核球で産出され、血液中だけでなく、内皮細胞下のマトリックスにも存在する蛋白質であり、血小板蛋白質GPIbと血管内皮組織の間に介在してこれらを結合させる接着因子として、止血において重要な役割を果たす。また、vWFは、血液凝固第VIII因子と複合体を形成しキャリア蛋白質として機能している。
【0003】
循環血流中のvWFの15%〜25%は血小板のα顆粒中に保存されている。トロンビン又はADPによる内皮細胞若しくは血小板への刺激が、高重合vWF(以下、UL−vWFと略称することもある)を血液中へ遊離する。高重合vWFは、それよりサイズが小さい低重合vWFよりも高い活性を示す。このことは、低重合vWFは血小板凝集惹起能が弱いが、高重合vWFは血小板凝集惹起能が強いことを示している。つまり、血液中の低重合vWFの割合が高い(高重合vWFに対して)状態の時に、微小血管で損害を受けると血小板凝集作用が弱く、出血時間延長傾向となる。逆に、血液中の高重合vWFの割合が高い状態では、全身の微小血管に血栓を生じて、血栓症の症状を伴うさまざまな疾病となる。
【0004】
血液中のvWFの重合サイズの割合は、フォンビルブラント因子切断酵素(vWF−CP)の機能及び/又は発現量に依存している。該切断酵素は、vWFのチロシン842とメチオニン843残基間のペプチド結合を切断することにより、500〜20000kDaのサイズの範囲の重合体に分解する(非特許文献1及び2)。
【0005】
vWFの量的異常と質的異常による疾患としては、フォンビルブランド病が挙げられる。フォンビルブランド病の臨床的所見としては、出血時間延長、第VIII因子活性低下、血小板粘着能の低下等が挙げられる。フォンビルブランド病には、主にvWFの量的な異常である1型と質的異常を伴う2型がある。1型は血液のvWFが量的に減少しているが、重合体の構造は正常を示す型であり、1型患者の血液ではvWFの高重合体の欠如を特徴としている。
【0006】
最近の研究では、血栓性血小板減少性紫斑病(以下TTP)患者の血液中で高重合vWFの割合が高い状態であることが報告されている。これは、vWF切断酵素活性の低下により高重合vWFが増加した状態であり、循環血流中での血小板凝集、それに続く微小血栓を形成する。高重合vWFの割合が高い状態の素因は、vWF−CPに対する後天性自己抗体によっておこされるvWF−CP活性の損失によるもの(非特許文献3及び4)、またはTTPの先天性形態をもつ患者のvWF−CPの先天的な欠損によるるもの(非特許文献5)である。また、TTPは血小板減少、細小血管障害性溶血性貧血、動遥性精神症状、腎機能障害及び発熱の5徴候を特徴とする疾患である。
【0007】
フォンビルブラント因子切断酵素の研究では、vWF−CPの部分的精製と該蛋白質の性質が特定された(非特許文献1及び2)後、すぐにヒトvWF−CPの精製がなされた。このことが、そのN末端アミノ酸配列の決定、またvWF−CPをコードするcDNA配列の決定を可能とした。vWF−CPはメタロプロテアーゼADAMTSファミリーに分類され、ADAMTS13と命名された。命名の由来は、トロンボスポンジンタイプ1(TSP1)モチーフをもつディスインテグリン様でありそしてメタロプロテアーゼドメインから構成されているからである(非特許文献6及び7)。
【0008】
Zhengら、Levyら、そしてSoejimaらのグループは、ノーザンブロット法分析を使い、ADAMTS13のmRNA発現分布を報告した(非特許文献6、8及び9)。4.7kbADAMTS13転写産物は特異的に肝臓で検出された。また、2.3kbに近い転写産物は、胎盤でわずかに検出された(非特許文献8)。これらのデータは、血液中のvWF−CPが肝臓由来であるかもしれないことを示唆している。ADAMTS13の部分cDNAは脳と前立腺から分離されている。卵巣における強いRT−PCRシグナルと他の器官での変量的発現は、ADAMTS13における他の潜在的な機能の根拠となるかもしれない(非特許文献8)。ADAMTS13の弱いmRNA発現は、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、小腸、そして末梢血白血球で明らかにされた。半定量PCR分析による、ヒト器官パネルにおけるADAMTS13mRNA発現のレベルが報告されている。骨髄での発現は低いレベルではあるが見られる、しかし末梢血白血球での発現は否定された(非特許文献10)。いずれの報告でも、血小板中での発現については知られていない。ADAMTS13はvWFを分解するが、他の基質については知られていない。上記述べた器官で発現するADAMTS13の生理学的関連についてはまだ明らかではない。
【0009】
以下に、ここで引用した文献を列記する。
【先行文献】
【非特許文献1】Blood. 87:4223−4234,1996
【非特許文献2】Blood. 87:4235−4244,1996
【非特許文献3】N Engl J Med. 339:1585−1594,1998
【非特許文献4】N Engl J Med. 339:1578−1584,1998
【非特許文献5】Blood. 89:3097−3103,1997
【非特許文献6】J Biol Chem. 276:41059−41063,2001
【非特許文献7】Blood. 98:1662−1666,2001
【非特許文献8】Nature. 413:488−494,2001
【非特許文献9】J Biochem (Tokyo). 130:475−480,2001
【非特許文献10】Blood. 100:3626−3632,2002
【非特許文献11】Br.J.Haematol. 102:829−840,1998
【0010】
【発明の課題】
本発明者らは、上記のようなvWF−CP(ADAMTS13)の発現と組織の関係を検討し、より確実なvWF−CP(ADAMTS13)の生理学的な機能及び意義を見出すことを課題とした。また、血液中のvWF−CPの機能と発現量を測定できる検出方法を検討し、vWF−CPの機能と発現量を素因とした疾病の断診断方法及び検査手段を確立することを課題とした。
【0011】
【課題の解決手段】
本発明者らは、血小板血栓形成の観点から、血小板中のvWF−CPの存在と機能に焦点をあてた。その結果、血液中の血小板にvWF−CPをコードするmRNAの有意な存在を確認し本発明を完成した。
【0012】
つまり本発明は、以下からなる。
1.検体として血液を使用することを特徴とするフォンビルブランド因子切断酵素(以下vWF−CP)のmRNAをマーカーとするvWF−CP機能の検出方法。
2.検体として末梢血液から得られる血小板分画を使用することを特徴とするvWF−CPのmRNAをマーカーとするvWF−CP機能の検出方法。
3.血小板中のvWF−CPのmRNAをマーカーとする前記1の方法。
4.PCR法による前記1から3のいずれかの1項の方法。
5.前記1〜4の方法を使う以下の診断方法。
1)易血栓性の診断。
2)血栓症の疾病素因の予測診断。
3)血栓性微小血管障害の疾病素因の予測診断。
4)遺伝子異常診断。
6.血小板中のvWF−CPのmRNAを使用することを特徴とする、当該vWF−CPのmRNA転写物が機能性蛋白質として生じるかを検討するための手段。
【0013】
【発明の実施の態様】
本発明の特徴は、vWF−CPの測定にあたり検体として血液を使うこと、特に血小板中のvWF−CPのmRNAをマーカーとする。血液から血小板分画及び血小板を得る方法としては、遠心分離法、ゲルろ過法、密度差を用いる方法およびフィルター法等が挙げられる。また、検体としては、血液より調製される血小板多血漿(Platelet rich plasma)を用いることもできる。血液中の血小板の分画は遠心分離で分画され、血小板ペレットを分取し、試験に供される。血小板ペレットから、血小板RNAの分取は、H. Anbo等の方法〔Br.J.Haematol.102(1998),829−840〕に詳しく記載されている。分取されたRNAは、次いで逆転写PCRによって増幅される。増幅法は、市販試薬キットに準じて行えば十分である。逆転写のためのプライマーは、配列表1及び2に示した。このプライマーは、vWF−CPのエクソン1〜7に一致し、cDNAの増幅に使われる。これらの増幅されたcDNAは、市販の試薬を用いてPCRによって更に増幅される。フォーワードプライマーには配列表3、リバースプライマーには配列表4で示される各ヌクレオチドを使用した。本発明では、Real−timePCRによって増幅を行い好結果を得た。マーカープライマーとして、レポーター色素とクエンチャー色素が結合した蛍光オリゴヌクレオチド(配列表5)を使用した。
【0014】
本発明では、vWF−CPのエキソン1〜7に一致するプライマーをRT−PCRに使用し、そして増幅したDNA断片の塩基配列を決定した。さらに、エキソン15−16に位置する蛍光オリゴヌクレオチドをReal−timePCRで使用した。これらの結果は、試験サンプル中のゲノムDNAのコンタミネーションの可能性はまったくなく、少なくもエキソン15−16と一致するADAMTS13mRNAは血小板中で発現していることを証明していた。
【0015】
Real−timePCRとは、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化した装置を用いて、PCRでの増幅産物量の生成過程をリアルタイムでモニタリング、解析する方法である。本発明においては、特異的プローブの5’上流にレポーター色素(FAM)、3’下流にクエンチャー色素(TAMRA)が結合している蛍光オリゴヌクレオチドを用いてPCRによる増幅を行った。また、FAMとは波長が異なるTETなどの蛍光物質を変異体vWF−CPmRNA検出用プローブとして用いれば、遺伝子の点変異検出への応用も可能になり、vWF−CPmRNAの遺伝子異常診断も可能となる。
【0016】
以上の様な手段で、本発明は、血液中での、特に血小板での、ADAMTS13mRNAの発現を初めて見出した。さらに、ADAMTS13mRNA発現の定量評価をするための有用な方法としてReal−timePCRを確立した。本発明のデータから、ADAMTS13mRNAは、六人の健康被験者において、恒常的にほとんど差がなく、血小板中で発現することが示された。
【0017】
本発明の結果は、血小板がADAMTS13mRNAを保持していることを明確にし、間接的にはADAMTS13蛋白質が血小板に存在していることを示した。血小板中のvWF−CPは、vWFの重合体構造を決定するための調節因子であることが考えられるため、血小板中のvWF−CP活性、特にvWF−CPのmRNA量を測定することは易血栓性の診断になると考える。
【0018】
局所組織中の血小板血栓形成は血小板由来のvWFの性質によるものであり、本発明の血小板中のvWF−CPの活性を評価するための方法の確立、特に本発明のvWF−CPのmRNA量を測定することは血栓症の疾病素因を予測するために有用である。更に、血栓性微小血管障害の疾病素因の予測診断ができる。ここで言う該素因としては、vWF−CP活性異常、血管内皮細胞障害および血液凝固異常等が挙げられる。
【0019】
本発明に係る診断方法及び検査手段においては、血液中のvWF−CPのmRNA量を定量的に測定できることにより、患者の血液中のvWF−CPmRNA量と健康検体の血液中のvWF−CPmRNA量を比較することにより、血液中のvWF重合体の量の診断及び検査が可能となる。よって、上記に示すようにvWFの量的異常による易血栓性の診断、血栓症の疾病素因の予測診断、更に血栓性微小血管障害の疾病素因の予測診断が可能となった。
【0020】
血小板由来のvWF−CPが不完全発現である場合には、通常発現である血液のvWF−CPに対して拮抗阻害によって局所組織中の血栓形成を促進する可能性をもっている。また、血小板由来の不完全発現vWF−CPは、疾患における、診断ターゲットマーカーとして利用できる可能性がある。不完全発現vWF−CPの判定は、例えば、血小板由来のvWF−CPをコードするmRNA又はcDNAを自体公知の遺伝子組換え技術を用い蛋白質を発現させてその機能を判定可能である。また、その機能により遺伝子異常を確認することができる。その手段の一として、遠藤等のコムギ胚芽無細胞蛋白質合成手段と組合わせて検定することは簡便な方法である。無論、大腸菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞等の系で、蛋白質を発現させてその機能を判定することは有用である。
【0021】
完全長ADAMTS13mRNAが血小板で発現しているかどうかを決定するために、さらなる検討は意義がある。加えて、血小板構造中のADAMTS13の局在についての形態的研究は、血小板中のADAMTS13の詳しい知見を得るための手掛かりとなる。また本発明は、血小板中で、当該転写物が機能性蛋白質として生じるかを検討するための良いツールとなることを見出した。
【0022】
TTP患者の血小板に結合するvWF−CPの自己抗体の存在は、TTP患者の病因を複雑にする自己免疫性血小板減少の可能性の根拠となる。該抗体の存在は治療における重要な焦点となる。血小板に結合する抗vWF−CP抗体は、TTPの診断において重要なツールとなる可能性がある。
【0023】
本発明によって、vWF−CPのmRNAが末梢血から容易に入手できることは、vWF−CP欠損患者における遺伝子異常の意義を容易に調べることが出来る。例えば、ゲノムでスプライシング異常を来たす変異が見つかった場合、血小板mRNAを調べればRNAレベルでどのような異常につながるかの判定が可能となる。
【0024】
上記結論として、本発明からなる血小板中のvWF−CPの存在の確認は、血小板血栓形成の病因を分析するための意義のある事実であることは間違いない。
【0025】
【実施例】
以下、製造例、実験例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0026】
実施例1:
1)解析の材料
測定用検体は血液を用いた。血液は過去及び現在に病歴のない六人の被験者から採取した血液を用いた。すべての実験において、六人の被験者にインフォームド・コンセントを行った。
【0027】
2)血小板のmRNAの解析
血小板RNAは、H.Anbo等の方法〔Br.J.Haematol.102(1998),829−840〕に少し変更を加えて分離した。血小板多血漿(PRP)は、最終量の10分の1量の3.8%クエン酸ナトリウム濃度になるように採取した静脈血を調製し、つづいて室温において15分間700rpmで遠心分離した。血小板ペレット(血小板分画)は、さらにPRPを室温において7分間2000rpmで遠心分離することによって得た。血小板ペレットは、TRIZOL(Invitrogen)で処理した。
【0028】
全RNAは、クロロホルムで溶解した血小板ペレットから抽出され、そしてイソプロパノールで沈殿させた。乾燥させた血小板RNAは、RNaseフリーの水で溶解した。RNAの分解をさけるために、できるだけ早く、血小板RNAを逆転写PCRによって増幅させた。血小板RNAの3μgを70℃、10分間で加熱し、製造元の使用説明書に従って最終容量20μlのthe TrueScript II Reverse Transcriptase kit (Sawady Tequnology, Tokyo)を用いて42℃、65分間で逆転写反応を行った。
【0029】
逆転写PCRには、逆転写用の特別なオリゴヌクレオチドプライマーを用いた。vWF−CPのエクソン1−7に一致し、cDNAの増幅ためのプライマーは、RT1(5’−ATGCACCAGCGTCACCCCCG−3’)(配列番号1)であるセンスプライマーであり、RT2(5’−AATGGTGACTCCCAGGTCGA−3’)(配列番号2)であるアンチセンスプライマーである。
【0030】
cDNA溶液はGC bufferによるTaKaRa LA Taq(Takara shuzo. CO.,LTD,Shiga,JAPAN)を用いてPCRを行った。PCRは、GC buffer中の0.5Uポリメラーゼ、4μM dNTP、それぞれ0.5μM フォーワードプライマー及びリバースプライマーを含む50μl全容量で行った。サンプルは96℃、5分間で保温し、そして以下のサイクル条件で35サイクルで増幅した(サイクル条件:96℃1分間、52℃ 1分間、72℃ 1分間を1サイクルとした)。
サンプルは、エチジウムブロミドで染色した2%アガロースゲルで画分した。増幅したDNAは製造元の手順に従ってGENECLEAN II kit (Bio 101, La Jolla, CA)を用いてアガロースゲルから精製と再回収した。ヌクレオチド配列は、310 DNA anto sequencer (Applied Biosystems Inc, FosterCity, CA)を用いてan ABIPRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reactionkit (Perkin−Elmer, Chiba, Japan)により直接シークエンス法によって決定した。
【0031】
3)Real−timePCR
それぞれのサンプルからRNA分離とcDNA調製後、ターゲットcDNAと基準となるβ−アクチンcDNAを別々に5’上流にレポーター色素(FAM)、3’下流にクエンチャー色素(TAMRA)が結合している蛍光オリゴヌクレオチドを用いてPCRによる増幅を行った。PCR中、Taq DNA ポリメラーゼの5’から3’のヌクレアーゼ活性は、レポーターを遊離し、該レポーター色素の蛍光が増大し、そして該蛍光をthe ABI Model 7700Sequence Detection System蛍光検出器によって検出した。蛍光スレッシュホールドがクロッシングした後、PCR−増幅がPCR産物と一致するリニアカーブとなった。スレッシュホールド蛍光強度を設定し、これが起こったサイクルの地点をスレッシュホールドサイクルの起点として決定した。内部のポジティブ又はネガティブコントロール(ポリメラーゼなしのサンプル)は、同等な測定状態を確認するために異なった定量測定中の間、平行して行った。
【0032】
以下に使用したオリゴヌクレオチドを示す。
forward ADAMTS 13 プライマー:5’−CCCAACCTGACCAGTGTCTACA−3’ (エキソン 15)(配列番号3)、
reverse ADAMTS 13 プライマー:5’−CTTCCCAGCCACGACATAGC−3’ (エキソン 16)(配列番号4)、
プローブ:5’−FAM−ACAGGCCTCTCTTCACACACTTGGCG−TAMRA−3’ (エキソン 15−16)(配列番号5)。
【0033】
PCR反応混合物(50μl)は、0.5μM それぞれプライマー、0.25μM プローブ、TaqMan Universal Master Mix(2x)から成っている。以下のサイクル条件を使用し(サイクル条件:最初96℃10分間、続いて95℃15秒間、60℃ 1分間、72℃ 1分間を1サイクルとし、40サイクル行った)、Applied Biosystems社のthe ABI Prism 7700 sequence detection systemを用いて測定した。Real−timePCRから得られたデータは蛍光変化の割合を基にして相対的量として表した。標準曲線は、ADAMTS13cDNAを含む組換えプラスミドのモレキュラーカウントを基にして得た。
【0034】
4)結果
(1)ADAMTS13のRT−PCR分析
クエン酸血小板多血漿の血小板分画から分離した血小板RNAは、RT−PCRによって増幅した。増幅したDNAは、アガロースゲルから精製と再回収をした。予期したサイズのcDNAフラグメント(660bp)を得て、直接シークエンス法により分析した。配列決定したヌクレオチド配列は、BLAST プログラムを用いて検索したことにより、ADAMTS13cDNAと同定した。
【0035】
(2)Real−timePCR
血小板分画中のADAMTS13mRNA発現を蛍光を用いたReal−timePCRによって定量分析した。ADAMTS13mRNAは六人の健康被験者において、恒常的な量でほとんど差がなく存在することが示された(図1)。PCR増幅を、ADAMTS13に対する特別なプライマーと蛍光プローブを用いて六人の被験者からのmRNAで個別に行った。時間(PCR サイクル数)に対するrelative normalized fluorescencechange(相対正常化蛍光変化△Rn)をそれぞれのサンプルにプロットした。スレッシュホールド蛍光強度を設定した後に、スレッシュホールドサイクルを決定した。相対的遺伝子発現をターゲットとする遺伝子と内部標準スレッシュホールドサイクルによって決定した。ADAMTS13(3回)のスレッシュホールドサイクルは以下の通りである。
サンプル1:23.38,29.02,28.18、
サンプル2:28.46,27.83,28.19、
サンプル3:28.79,29.05,29.39、
サンプル4:29.78,29.60,29.47、
サンプル5:28.92,29.01,28.56、
サンプル6:29.98,30.85,30.59。
【0036】
内部標準 β−アクチンのスレッシュホールドサイクルとADAMTS13のそれの比を以下に示す。
サンプル1:0.563±0.007、
サンプル2:0.570±0.005、
サンプル3:0.567±0.005、
サンプル4:0.572±0.003、
サンプル5:0.583±0.004、
サンプル6:0.563±0.007。
【0037】
これらの値は、3回の独立した測定の平均と標準偏差である(表1)。
【表1】
内部標準β−アクチンのスレッシュホールドサイクルとADAMTS13のそれの比
Figure 2004261067
【0038】
血小板中のADAMTS13mRNAの絶対量を計算するために、本発明者等は既知濃度のプラスミドcDNAサンプルの分析に基づく検量線(linearity study)を用いた(図2)。この検量線により、1ng全RNA中にADAMTS13 mRNAが5.5±2.5×10−8ng存在していることを示した。
サンプル1:6.9±2.1、
サンプル2:9.1±0.2、
サンプル3:5.2±1.0、
サンプル4:3.5±0.3、
サンプル5:6.0±0.9、
サンプル6:2.0±0.4。
これらの値は、3回の独立した測定の平均と標準偏差である。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、血小板中でのADAMTS13mRNAの発現を初めて見出した。さらに、ADAMTS13mRNA発現の定量評価をするための有用な方法としてReal−timePCRを確立した。本発明の結果は、血小板がADAMTS13mRNAを明らかに恒常的に持っていることを明確にし、量比が変化すれば何等かの血栓性疾患が疑える。また、間接的にはADAMTS13蛋白質が血小板に存在していることを示した。このことに基づき、血小板中のvWF−CP活性を測定することの生理学的意義を見出すことの基盤を確立した。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光を用いたReal−timePCRを用いた血小板中のADAMTS13mRNA発現の定量。
【図2】ADAMTS13cDNA(×10−8ng/300ngRNA)を含むプラスミドの検量線を基にした絶対量。
【配列表】
Figure 2004261067
Figure 2004261067
Figure 2004261067

Claims (6)

  1. 検体として血液を使用することを特徴とするフォンビルブランド因子切断酵素(以下vWF−CP)のmRNAをマーカーとするvWF−CP機能の検出方法。
  2. 検体として末梢血液から得られる血小板分画を使用することを特徴とするvWF−CPのmRNAをマーカーとするvWF−CP機能の検出方法。
  3. 血小板中のvWF−CPのmRNAをマーカーとする請求項1の方法。
  4. PCR法による請求項1から3のいずれか1項の方法。
  5. 請求項1〜4の方法を使う以下の診断方法。
    1)易血栓性の診断。
    2)血栓症の疾病素因の予測診断。
    3)血栓性微小血管障害の疾病素因の予測診断。
    4)遺伝子異常診断。
  6. 血小板中のvWF−CPのmRNAを使用することを特徴とする、当該vWF−CPのmRNA転写物が機能性蛋白質として生じるかを検討するための手段。
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