JP2004261024A - ペプチド修飾多糖類を用いる遺伝子治療剤 - Google Patents

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Seiji Shinkai
征治 新海
Masami Mizu
雅美 水
Kazuro Sakurai
和朗 櫻井
Kazuya Komoto
一也 甲元
Sosuke Numata
宗典 沼田
Takahiro Matsumoto
貴博 松本
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Abstract

【課題】遺伝子が関与する各種の疾患に対してアンチセンス医薬を適用する場合に有効なオリゴヌクレオチドを、安全でトランスフェクション効果の高い新しいタイプのキャリアーと複合体化し、遺伝子治療剤として提供することにある。
【解決手段】細胞膜に対して親和性を有し、かつトランスフェクション効果の高いペプチド鎖を修飾基として多糖類に導入することにより、新規なキャリアーが得られる。これを、対象とする疾患の遺伝子配列に実質的に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドと複合体化したものを治療薬として用いると、疾患の抑制率が高く、かつ毒性の少ない結果が得られる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疾患の原因遺伝子およびウイルス遺伝子のmRNAと配列特異的に対合し、それらの作用を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療効果を、より高く発現させるための試薬を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞の増殖などの機能はいろいろな機構により制御されている。最も重要な制御因子に、サイトカインと呼ばれるレセプター特異的な蛋白質がある。その蛋白質は特異的な膜結合受容体に結合し、細胞内にシグナルを伝達して、遺伝子の発現を制御することで、細胞の多くの機能を調節する。
【0003】
アンチセンス療法は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド(一般的にはmRNA)の核酸機能の制御因子としての使用に関連している。アンチセンスオリゴヌクレオチド、即ち標的とされているセンス核酸の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドは、核酸の機能を調節するために、多くの異なった方法で機能することができる。標的核酸がmRNAである場合、mRNAから蛋白質への翻訳を妨害、またはリボソームの結合もしくは転位を阻害することによって構能してもよい。標的核酸がDNAであれば、mRNAへの転写を妨害してもよい。配列特異的アンチセンス機構によるmRNAの産生、及び/または機能を阻害することに加えて、あるオリゴヌクレオチド、特にホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、部分的に非配列特異的機構に帰する作用も示すことがありうる。
そのような機構は、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの抗ウイルス作用としての影響のいくつかを説明するものとして、報告されている。
【非特許文献1】Stein, et al., Pharmac. Ther. 52: 365−384(1991) : Majumdar, et al., Biochemistry, 28, 1340(1989)
【0004】
近年、遺伝子工学の進歩に対応して、アンチセンス療法が盛んに研究されており、アンチセンス医薬に関する文献・特許が多数報告されつつある。既に開発段階に入っている医薬品の候補として、次のようなものが挙げられ、各種の癌や白血病、エイズや肝炎などのウイルス性疾患、乾癬、クローン病、喘息、リウマチなど多岐に及んでいる。
ている。
【0005】
開発中の主なアンチセンス医薬(対象疾患;物質名・商品名;対象遺伝子等)癌;Oncomyc−NG;c−myc、
大腸癌、固形癌;GEM231;PKA−RIα、
固形癌;MG98;DNAメチル・トランスフェラーゼ、
肺癌、卵巣癌、前立腺癌、大腸癌、乳癌、脳腫瘍、悪性黒色腫;ISIS3521;PKC−α、
乳癌、肺癌、大腸癌、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌;ISIS5132;c−raf、
肺癌、直腸癌、膵臓癌;ISIS2503;H−ras、
腎臓癌;GTI2040;リボヌクレオチド還元酵素、
固形癌、放射線療法に耐性の癌;LE−AON;c−raf、
固形癌、リンパ腫;INX−3280;c−myc、
固形癌、リンパ腫;GTI2501;リボヌクレオチド還元酵素、
悪性黒色腫、リンパ腫、前立腺癌、大腸癌、肺癌、乳癌、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病;Genesense;細胞死抑制遺伝子BCL−2、
白血病;INX3001;c−myb
冠動脈手術後の再狭窄防止;Resten−NG;c−myc、
血管再狭窄抑制;デコイ;E2F、
アンチセンス経口薬、クローン病、リウマチ、乾癬;ISIS104838;腫瘍壊死因子TNF−α、
クローン病、リウマチ、乾癬、腎移植拒絶反応、潰瘍性大腸炎;ISIS2302;細胞接着因子ICAM−1、
サイトメガロウイルス性網膜炎(エイズ患者);Vitravene(欧米で認可済);CMV、
HIV(エイズウイルス);GEM92;HIV、
HIV(エイズウイルス);HGTV43;HIV、
HCV(C型肝炎ウイルス);ISIS14803; HCV、
HCV(C型肝炎ウイルス);HEPTAZYME;HCV、
喘息;EPI2010;アデノシンA1受容体、
薬物代謝酵素;AVI−4557;P450、
【非特許文献2】横山勇生他, 日経バイオビジネス, 2002年, 1月号, p40;大津敬他, 実験医学, 18, No.12(増刊), 172(2000)
【0006】
オリゴヌクレオチドを用いる治療方法の開発は、現在広く行われている。治療薬としてのオリゴヌレオチドの正確な作用機構の決定は困難であるが、多数の機構が提案されており、これらの異なる機構のいずれかまたはすべてが協調して作用し所望の結果を生じると考えられている。作用機構の一つはアンチセンスに基づいている。一般的に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNA、mRNAまたはmRNA前駆体等の標的核酸に見いだされる特異的な配列に対し相補的な配列を有するように設計されている。標的核酸の特異的な配列とのハイブリッド形成により、アンチセンスオリゴヌクレオチドはDNAの蛋白質コード化機能を中断する。配列特異的アンチセンス機構に加え、ある修飾されたオリゴヌクレオチドは非配列特異的機構を介して核酸の機能を阻害することが可能である。いくつかの場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果と同じ塩基をランダム化された順序で含む「対照」オリゴヌクレオチドのそれとの比較の結果、対照オリゴヌクレオチドもまた蛋白質生産の阻害を示す。このような非配列特異的機構の正確な機構は未知であるが、これらの効果は対照オリゴヌクレオチドによる他の必須遺伝子の偶然阻害に起因すると考えられている。
【非特許文献3】Milligan, et al., Antisense Therapeutics; Development of Antisense Therapeutics, Annals of the New York Akademy of Sciences, p.229−241
【0007】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを実際に医薬として使用する場合、前記配列特異性の他にも、実際的な問題が幾つか挙げられる。まず、血清、細胞、組織由来のヌクレアーゼに耐性があること。次に、無毒性で、製造コストが安価であること。標的組織や細胞へ送達できるような適当な薬物動態を有すること。細胞膜、小胞オルガネラ膜、核膜を通過できること。高い特異性と親和性をもって高次構造を有するRNA分子の標的領域へ侵入すること。そして、標的蛋白質の翻訳過程を最大限、阻止できるようにすることなどである。
【非特許文献4】横山和尚, 医学の歩み, 184, No.3, 225(1998)
【0008】
以上のような実際的な要求を満たすため、多角的な工夫が行なわれている。アンチセンスヌクレオチドは、一般に、疾患原因遺伝子およびウイルス遺伝子のmRNAと配列特異的にハイブリッド形成することにより、mRNAの転写、翻訳を阻害するものであり、RNAとDNAがある。その中で、医薬用にはDNAの方が多く用いられている。天然型の核酸を適用する以外に、人工的に修飾した、修飾オリゴヌクレオチドが多く開発されている。生理学的安定性の改良で代表的なものに、ホスホジエステル結合の酸素の一部または全部を硫黄原子で置換したホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート型のオリゴヌクレオチドがある。そのほか、ボラノホスフェート、ホスホロセレネート、アミデート結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドやメチルホスホロエート(M−オリゴ)、ペプチド核酸型の修飾化合物(PNA)も知られている。
【0009】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのような核酸を治療薬として使用する場合、細胞内への導入効率をあげるため、一般に、遺伝子キャリアーが併用される。当初、レトロウイルスまたはアデノウイルスが、遺伝子キャリアーとしてin vitroでは極めて見込みのある結果を与えたが、これら天然由来のウイルスの炎症性、免疫原的性質、ならびに突然変異誘発および細胞ゲノム中への組み込みの危険性が原因して、これらのin vivoにおける使用は制限されている。
【非特許文献5】Mulligan, Science, 260, 926−932(1993)
【非特許文献6】Miller, Nature, 357, 455−460(1992)
【非特許文献7】Crystal, Science, 270, 404−410(1995)
【0010】
そこで、天然由来の遺伝子キャリアーの代替物として、ウイルス系よりも取り扱いが簡単であるのみならず、細胞へDNAを確実に効率良く集中させることが可能な人工材料の非ウイルスキャリアーの使用か提示された。
【非特許文献8】Tomlinson and Rolland, J. Contr. Rel., 39, 357−372(1996)
【0011】
現在、非ウイルス性の人工キャリアーとしてよく検討されているのはポリエチレンイミン(PEI)である。多数の異なった付着細胞および浮遊細胞ライン中では、3次元的分岐構造のカチオンポリマーであるPEIは、ある場合には平均以上のトランスフェクション率を引き起こす結果になった。
【非特許文献9】Boussif et al., Gene Therapy, , 1074−1080(1996)
【0012】
例えば3T3繊維芽細胞の95%形質転換がin vitroで達成された。In vivoでの遺伝子のマウス脳中へのPEI仲介伝達では、ニューロンおよびグリア細胞中のリポーター遺伝子およびBc12遺伝子の長期発現が起こる結果になり、アデノウイルスによる遺伝子伝達の場合と同じ程度のものであった。
【非特許文献10】Abdallah et al., Hum. Gene Ther., , 1947−1954(1996)
【0013】
また、PEIと同様、窒素の置換基で修飾された、種々のカチオン性ポリマー、カチオン性脂質などが遺伝子キャリー、トランスフェクション剤、薬物担体などという名称で、最近、多数の特許が出願されるようになってきた。
【0014】
しかしながら、PEIのようなカチオン性ポリマーの安全性についてはほとんど確認されていないのが現状である。カチオン性を付与するには、通常、アミノ基の存在が不可欠であるが、アミノ基を有する物質は生理活性が高く、体内毒性等の危険性が考えられる。事実、今まで検討されたいかなるカチオン性ポリマーも未だ実用に供されておらず、医薬品添加物辞典等に記載されていない。
【非特許文献11】医薬品添加物辞典
【非特許文献12】日本医薬品添加剤協会縄集、薬事日報社
【0015】
しかるに、筋肉内注射製剤の臨床薬として実際に使用されている多糖類に、β−1,3−グルカンが存在する。この多糖は天然では3重螺旋構造をとっていることが古くから知られている。
【非特許文献13】Theresa M. McIntire and David A. Brant, J. Am. Chem. Soc., 120, 6909(1998)
【0016】
さらに、この多糖は、既に生体内での安全性が確認されており、筋肉内注射薬として約20年の使用実績がある。
【非特許文献14】清水, 陳, 荷見, 増淵, Biotherapy, , 1390(1990);長谷川, Oncology and Chemotherapy, , 225(1992)
【0017】
このようなβ−1,3−グルカンを化学修飾して、DNA等の生体材料とのコンジュゲイトを作成し、これを遺伝子キャリアーに使用できることが知られている。この先行技術には、天然のβ−1,3−グルカン、すなわち、3重螺旋構造を有するβ−1,3−グルカンをそのまま使用し、これと生化学活性のある材料を、共有結合を介して、β−1,3−グルカン/生体材料のコンジュゲイトを製造する方法が述ベられている。
【特許文献1】PCT/US95/14800
【0018】
また、最近、本発明者らにより、β−1,3−グルカンまたはβ−1,3−キシラン系の多糖類が、人工的に処理されることで、各種の核酸と新しいタイブの複合体を形成することが見出された。
【特許文献2】PCT/JP00/02228
【非特許文献15】櫻井, 新海, J. Am. Chem. Soc., 122, 4520(2000);木村, 甲元, 櫻井, 新海, Chem. Lett., 1242(2000)
【0019】
もともと天然もしくは水中で3重螺旋として存在するこの多糖を、極性溶媒に溶解して1本鎖にした後、1本鎖の核酸を加え、溶媒を水に戻すこと(再生過程)によって、核酸1本・多糖2本からなる、3重螺旋型の複合体が形成されるのである。このような多糖と遺伝子の複合体は、主に、水素結合を介して形成されると考えられる。
【非特許文献16】櫻井和朗, 井口律子, 木村太郎, 甲元一也, 水雅美, 新海征治, Polym. Preprints Jpn., 49, 4054(2000)
【0020】
天然の多糖類を使用した場合の核酸との複合体における結合エネルギーは、ケースによってはさほど強くなく、比較的容易に複合体が解離する。また、予め多糖類に各種官能基を導入して核酸との複合体の安定性をより強くする方法も開発されている。さらに、これらの多糖類と核酸の3重螺旋型複合体は、細胞膜の透過性およびヌクレアーゼ耐性があり、遺伝子キャリアーとして使える可能性が高いことが本発明者らによって明らかにされていた。
【特許文献3】[PCT/JP00/07875]
【0021】
β−1,3−結合を有する多糖は、β−1,3−グルカンが代表的なもので、シゾフィラン、カードラン、パーキマン、グリホラン、スクレログルカン、レンチナンまたはラミナランなどが属し、これらが本発明に使用される。これらの多糖は、分子量が数百から数十万の広範囲にわたるポリマーとして得られるが、本発明の基剤としては、分子量2000以上のものが適する。
【0022】
上記の多糖類は、天然のままでも遺伝子キャリアーに使用できるが、通常、そのままでは、トランスフェクション効果が必ずしも十分ではないため、適当な化学修飾を行う必要がある。核酸と結合性のある官能基としては、アミノ基で代表されるカチオン性官能基、アミノ酸官能基、インターカレーター性官能基などの導入法が提示されている。
【特許文献4】[PCT/JP02/02228]
【0023】
また、最近の研究成果として、特定のアミノ酸配列を含むペプチドが細胞膜に対して親和性を示すことが知られている。例えば、細胞の表面に存在する接着蛋白にインテグリンがあるが、この蛋白は、細胞外マトリックスに対する細胞の接着をつかさどる受容体であり、この細胞機能調節作用が注目されている。この膜タンパク質のスーパーファミリーであるインテグリンは細胞の接着や加入に重要な役割を果たしており、インテグリン結合に有効と認められているペプチドとしてRGD配列(配列番号1)が知られている。これは、アミノ酸残基の配列がアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)となっている、多くのペプチドがインテグリン結合リガンドに保存されていることに由来する。そして、RGDを含む配列のペプチドを、既知のカチオン性キャリアーに導入することによって、遺伝子のトランスフェクション効果を上げる試みが、文献に現れている。ちなみに、以下のインテグリン結合性ペプチドのアミノ酸残基の配列が特許に例示されている。
GGCRGDMFGCGG[K]16(配列番号14)
GGCRGDMFGCG[K]16(配列番号15)
GGCRGDMFGC[K]16(配列番号16)
[K]16GACRGDMFGCA(配列番号17)
CRGDMFGC(配列番号18)
GGCRGDMFGC(配列番号19)
GGCRGDMFGCG(配列番号20)
GGCRGDMFGCA(配列番号21)
GACRGDMFGCA(配列番号22)
GACDCRGDCFCA(配列番号23)
【特許文献5】特表2002−502243
【0024】
また、次の配列はRGDを含まないが、上記の例と同様に、インテグリン結合性のペプチド鎖であり、本発明の多糖系遺伝子キャリアーの修飾基として効果的に導入することができる。
GACRRETAWACA(配列番号24)、
GACRRETAWACG(配列番号25)、
CRRETTAWAC(配列番号26)、
GACQIDSPCA(配列番号27)、
GACRRETAWACGKGACRRETAWACG(配列番号28)
【0025】
さらに、次に例示する配列は細胞膜透過性をもつペプチドとして知られているものである。
ウイルス由来のもの:
HIV−1 Tatペプチド48−60番目のGRKKRRQRRRPPQ(配列番号3)、
HIV−1 Revペプチド34−50番目のTRQARRNRRRRWRERQR(配列番号4)、
FHV(flock house virus)Coatペプチド35−49番目のRRRRNRTRRNRRRVR(配列番号5)、
BMW(borme mosaic virus) Gagペプチド7−25番目のKMTRAQRRAAARRNRWTAR(配列番号6)、
HTLV−II(human T cell leukemia virus) Rexペプチド4−16番目のTRRQRTRRARRNR(配列番号7)、
CCMV(cowpea chlorotic mottle virus) Gagペプチド7−25番目のKLTRAQRRAAARKNKRNTR(配列番号8)、
ファージ由来のもの:
P22(P22ファージ) N−ペプチド14−30番目のNAKTRRRERRRKLAIER(配列番号9)、λ(ラムダファージ) N−ペプチド1−22番目のMDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN(配列番号10)、
φ(ファイファージ) 21N−ペプチド12−29番目のTAKTRYKARRAELIAERR(配列番号11)、
その他のもの:
酵母PRP6−ペプチド129−144番目のTRRNKRNRIQEQLNRK配列番号12)、
ショウジョウバエ(Drosophia) Antペプチド(Antennapedia:転写因子)43−58番目のRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号13、48−56番目が特に重要)、
オリゴアルギニン RRRRRRRR(配列番号2、8個が最も重要、直鎖または分岐)
【非特許文献17】二木史朗, 蛋白質・核酸・酵素, 47, 1415−1419(2002)
【非特許文献18】Stephen Fawell et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 664−668 (1994)
【非特許文献19】Daniele Derossi et al., J. Biol. Chem., 271, 18188−18193 (1996)
【非特許文献20】Daniele Derossi et al., Trends in Cell Biology, , 84−87 (1998)
【非特許文献21】Shiroh Futaki et al., Biochemistry, 41, 7925−7930 (2002)
【非特許文献22】Shiroh Futaki et al., J. Biol. Chem., 276, 5836−5840 (2001)
【0026】
それらと一部に重複するものもあるが、核局在化タンパク質またはペプチド、融合誘導ペプチドまたはタンパク質、レセプター−リガンドペプチドまたはタンパク質、輸送ペプチドまたはタンパク質、ウイルス性ペプチドまたはタンパク質として分類されている多くのアミノ酸配列、標的化物質と記載されているペプチドまたはタンパク質の中のアミノ酸配列、および核酸の凝縮レベルで作用する化合物などが文献に例示されている。
【特許文献5】特表2001−517939
【特許文献6】特表2002−518313
【特許文献7】特表平11−500431
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、遺伝子が関与する各種の疾患に対してアンチセンス医薬を適用する場合に有効なオリゴヌクレオチドを、安全でトランスフェクション効果の高い新しいタイプのキャリアーと複合体化し、遺伝子治療剤として提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
細胞膜に対して親和性を有し、かつトランスフェクション効果の高いペプチド鎖を修飾基として多糖類に導入することにより、新規なキャリアーが得られる。これを、対象とする疾患の遺伝子配列に実質的に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドと複合体化したものを治療薬として用いると、疾患の抑制率が高く、かつ毒性の少ない結果が得られる。
【0029】
本発明は、アンチセンスDNAを用いる遺伝子治療の分野に適用され、疾患の治療効果が高く、かつ安全で実用性に富む試薬を提供するものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明で、糖の修飾剤として用いるペプチド鎖の種類は、細胞の表面と親和性を有するアミノ酸配列を持つものであれば、特に限定されるものではない。上記の背景技術において例示したものから選択することができる。
【0031】
ペプチド鎖による多糖の化学修飾において、ペプチド鎖には対象となる糖への結合性官能基を有していることが必要である。結合性官能基およびスペーサーには特に制約はないが、マイケル付加反応によりマレインイミド基へ共有結合として固定化できるチオールを有するシステインを含むペプチド鎖は、好適な例である。糖の側鎖に対するペプチドの導入率(置換率)に関しては、ペプチドの種類などにより一概には言えないが、約0.1%以上とするのが治療効果の点で望ましい。
【0032】
ペプチド修飾多糖類を天然または非天然型アンチセンスオリゴヌクレオチドと複合体化し、遺伝子治療剤として調製する方法は、ペプチド修飾のない多糖の場合と基本的に同じで、本発明者らによる先行出願特許に、詳細に開示されている方法で可能である。
【特許文献8】PCT/JP00/07875
【特許文献9】PCT/JP02/02228
【0033】
生成する複合体は、通常、水溶液として得られるので、限外ろ過法などの比較的簡単な方法で必要な純度に精製された後、治療向けに効果的に使用される。治療剤としての調製法、キャラクタリゼーションおよびin vitro試験における投与の方法と細胞増殖抑制の評価は、実施例において詳細に例示する。なお、生成した複合体は、ペプチド修飾多糖類の2本鎖とアンチセンスオリゴヌクレオチドの1本鎖から成る、主として水素結合に因る3重螺旋構造を有している。
【0034】
【実施例】
実施例1
β−1 3−グルカン(シゾフィラン: SPG )の調製 3重螺旋構造のシゾフィランを文献記載の定法に従って製造した。すなわち、ATCC(American Type Culture Collection)から入手したSchizophyllum commune. Fries(ATCC 44200)を、最小培地を用いて7日間静置培養した後、細胞成分および不溶残渣を遠心分離して得られた上清を超音波処理して分子量45万の3重螺旋シゾフィランを得た。
【非特許文献23】Gregory G. Martin, Michael F. Richardson, Gordon C. Cannon and Charles L. McCormick, Am. Chem. Soc. Polymer Prepr. 38(1)253−254(1997)
【非特許文献24】Kengo Tabata, Wataru Ito, Takemasa Kojima, Shozo Kawabata and Akira Misaki, Carbohydrate Research, 89, 121−135(1981)
【0035】
実施例2
結合性官能基を含むペプチドの合成 ペプチド鎖によるシゾフィランの化学修飾において、ペプチド鎖にはシゾフィランへの結合性官能基を有していることが必要である。結合性官能基およびスペーサーには特に制約はないが、ここでは、例としてマイケル付加反応によりマレインイミド基へ共有結合として固定化できるチオールを有するシステインを含むペプチド鎖の合成を以下に示す。
【0036】
ペプチドの配列としては、細胞膜に対する親和性が高いことが知られているアルギニンオリゴマーの8量体を合成し、そのペプチドをR8と表記する(配列番号2)。また、細胞接着因子が認識することが知られているアルギニン−グリシン−アスパラギン酸の配列(RGD:配列番号1)のペプチドをそれぞれ合成した。ペプチドの詳細な配列は図1に示す通りで、N末端にシステインを導入している。
【0037】
ペプチド鎖はFmoc法に従って合成し、精製はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて行った(精製条件:日立L−7100、ODSカラム(YMC社製)、溶離液はアセトニトリル/蒸留水(共に0.1vol%のトリフルオロ酢酸を含む)= 5/95を40分かけて20/80にグラジエントした)。
【非特許文献25】固相合成ハンドブック,メルク株式会社
【0038】
同定はMALDI−TOF MS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析計)にて行い、結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
Figure 2004261024
【0040】
実施例3
ペプチド修飾多糖の合成 実施例2にて合成した、ペプチド鎖を多糖(シゾフィラン)へ導入するために図2に示す合成スキームに従って、本発明に従うペプチド修飾多糖を合成した。反応は、過ヨウ素酸酸化、還元的アミノ化、スペーサーの導入、ペプチドの導入反応の4段階からなる。ペプチドの導入率は過ヨウ素酸酸化反応により制御することが可能である。2〜4段階目では反応の進行を元素分析により評価した。結果は実施例4に示す。
【0041】
まず、実施例1で調製したシゾフィラン300mgを水300mlに溶解させ、過ヨウ素酸ナトリウム水溶液(9.87mg:シゾフィランの側鎖に対して0.1等量(10%))を加え、遮光下4℃で2日間撹拌した。反応溶液を透析膜(排除限界12000)で透析後、凍結乾燥し、白色固体を得た。得られた固体100mgを極性有機溶媒であるジメチルスルホキシド(以下DMSOと表記)10ml、28%アンモニア水溶液10mlに溶解させ、シアノ水素化ホウ素ナトリウム200mg(大過剰)を加え、室温で4日間撹拌した。反応溶液を透析膜(排除限界12000)で透析後、凍結乾燥し、白色固体を得た。この固体をDMSO 10mlに溶解させ、3−マレインイミドプロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル100mg(大過剰)を加え、窒素気流下、室温で24時間撹拌した。反応溶液を透析膜(排除限界12000)で透析後、凍結乾燥し、白色固体を得た。この固体をDMSO 5mlに溶解させた。また、実施例1にて得られたシステインを含むペプチド鎖(約50mg)を蒸留水に溶解させ、先のDMSO溶液と混合し、その溶液を室温で2日間撹拌した。反応溶液を透析膜(排除限界12000)で透析後、凍結乾燥し、ペプチド修飾多糖(シゾフィラン)を得た。
【0042】
実施例4
ペプチド修飾多糖のキャラクタリゼーション 実施例3にて得られた、ペプチド修飾多糖(ここではシゾフィラン)のキャラクタリゼーション(各反応後の導入率の窒素元素分析による評価、分子量)を行った。表2には実施例3の各素反応における窒素の元素分析を基にした官能基の導入率(ペプチド修飾率)の変化を示している。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により評価したところ、ペプチドの修飾前後において分子量の大きな変化は起こらないことを確認している。なお、以下の各修飾多糖はR8(0.3)−SPGというようにペプチド鎖の構造表記と共にかっこ内にそのペプチド鎖の導入率を示す表記であらわす。
【0043】
【表2】
Figure 2004261024
【0044】
実施例5
R8−SPG および RGD−SPG とアンチセンスオリゴヌクレオチド( DNA )との複合体(遺伝子治療剤)の調製 実施例3で合成され、実施例4で特性化されたペプチド修飾率が0.3および0.5%のR8−SPG(R8(0.3)−SPGおよびR8(0.5)−SPG)、1.0および1.3%のRGD−SPG(RGD(1.0)−SPGおよびRGD(1.3)−SPG)をそれぞれDMSOに溶解させ、濃度を19.8 mg/mlに調整し、この溶液1μl、純水3μl、10mMのトリス緩衝液(pH7.8)1μlと、アンチセンスオリゴヌクレオチド溶液(1mg/ml)5μlを混合した。得られた溶液はすべて透明で、均一であった。
【0045】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌原遺伝子として報告されているc−myb遺伝子ならびにc−raf遺伝子のセンス配列に相補的なホスホロチオエート結合を持つアンチセンス配列: 5’−GTG CCG GGG TCT TCG GGC−3’ならびに5’−TCC CGC CTG TGA CAT GCA TT−3’ の各3‘末端に40のdAをつけたシークエンス(配列番号29ならびに配列番号30)を適用した。
【非特許文献26】Barbara Majello et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 83, 9636(1986)
【非特許文献27】Alan M. Gewirtz and Bruno Calabretta, Science, 242, 1303(1988)]
【非特許文献28】Brett P. Monia et al, Nature Medicine, , 668(1996)
【0046】
実際に使用したアンチセンスオリゴヌクレオチド(固相合成品)は、3’末端に40のdAをつけたシークエンスのc−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(以下AS−c−mybと表記)とc−rafホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(以下AS−c−rafと表記)である。
【0047】
実施例6
R8−SPG および RGD−SPG とアンチセンスオリゴヌクレオチドとの複合体形成のゲル電気泳動法による確認 アンチセンスオリゴヌクレオチドは負に帯電したリン酸基が正電荷方向に電気泳動する。さらにゲルマトリックスの網目の隙間を泳動するためアンチセンスオリゴヌクレオチドがペプチド修飾多糖類と複合体を形成することにより分子量が大きくなるほど移動度は減少する。そこで、アンチセンスオリゴヌクレオチドにR8−SPGおよびRGD−SPGを添加して実施例5に記載の方法で複合体を形成させた後、MOPS緩衝液(20mM MOPS (pH 7.0)、5mM 酢酸ナトリウム、1mM EDTA、3% DMSO)中で2%アガロースゲル用いて2V/cmで1時間電気泳動させ、Gel Star Nucleic Acids Stain(BMA)で染色後、トランスイルミネーター下でその移動度を評価した。
図3に例示したアガロースゲル電気泳動の結果によると、R8−SPGおよびRGD−SPGの添加に伴って、アンチセンスオリゴヌクレオチドの移動度は減少しており、複合体の形成が確認された。
【0048】
実施例7
R8−SPG および RGD−SPG と複合体を形成させたヒト c−myb ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド( AS−c−myb )によるヒト由来黒色腫瘍細胞 A375 の増殖抑制の効果
96穴プレートに100μlの10%仔牛胎児血清を含むDMEM培地(日水製薬)に懸濁した2×10個のヒト由来黒色腫瘍細胞A375(ATCCより入手)を播種しCOインキュベーター内で37℃、5%CO下で一晩前培養後に、AS−c−mybおよび実施例5で調製したAS−c−mybとR8−SPGおよびRGD−SPGとの複合体を限外ろ過膜(排除限界3000:ミリポア)でろ過してDMSOを除去し濃度を再調整したものを添加し、37℃、5%CO下で96時間培養後、細胞数をCell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を利用し、付属のプロトコールに従って測定した。AS−c−myb無添加の穴の細胞数を生存率100%として細胞増殖を評価した。その結果を図4に示した。
図4に例示したように、AS−c−myb単独投与よりもAS−c−mybとR8−SPGおよびRGD−SPGの複合体である本発明の遺伝子治療剤の方が、20から30%程度細胞の生存率が低下している。また、同じ条件でR8−SPGおよびRGD−SPGのみを投与してもA375細胞の生存率にはほとんど影響を与えていない。
【0049】
実施例8および比較例1
ペプチド修飾多糖類と複合体を形成させた、ヒト c−myb ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド( AS−c−myb )およびヒト c−myb ホスホロチオエートのセンス鎖オリゴヌクレオチド( S−c−myb )によるヒト由来大腸癌細胞 colo205 の増殖抑制 96穴プレートに100μlの10%仔牛胎児血清を含むRPMI1640培地(日水製薬)に懸濁した2×10個のヒト由来大腸癌細胞colo205(ATCCより入手)を播種しCOインキュベーター内で37℃、5%CO下で一晩前培養後に、AS−c−mybおよび実施例5で調製したAS−c−mybとR8−SPGおよびRGD−SPGとの複合体を限外ろ過膜(排除限界3000:ミリポア)でろ過してDMSOを除去し濃度を再調整したものを添加し、37℃、5%CO下で96時間培養後、細胞数をCell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を利用し、付属のプロトコールに従って測定した。AS−c−myb無添加の穴の細胞数を生存率100%として細胞増殖を評価した。
【0050】
また、比較例としてAS−c−mybの代わりにヒトc−mybの配列の一部でありアンチセンス効果(治療効果を示さない)のないヒトc−mybホスホロチオエートのセンス鎖オリゴヌクレオチド[Alan M. Gewirtz and Bruno Calabretta Science, 242, 1303(1988)]に記載のセンス配列CAC GGC CCC AGA AGC CCGの3‘末端に40のdAをつけたシークエンス(配列番号31: 以下S c−mybと表記)を上記と同様の方法で、ヒト由来大腸癌細胞colo205の増殖抑制の効果を評価した。この結果を図5に例示した。
【0051】
図5左のように、AS−c−myb単独投与よりもAS−c−mybとR8−SPGおよびRGD−SPGの複合体である本発明の遺伝子治療剤の方が、15から25%程度細胞の生存率が低下している。一方、図5右に示すように、S−c−myb単独投与区およびR8−SPGまたはRGD−SPGとの複合体投与区では細胞の生存率はほとんど低下せず、治療効果のないオリゴヌクレオチドとの複合体形成物は、治療効果が無いことが示された。
【0052】
実施例9
R8−SPG および RGD−SPG と複合体を形成させたヒト c−raf ホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド( AS−c−raf )によるヒト由来肺癌細胞 A549 の増殖抑制の効果 96穴プレートに100μlの10%仔牛胎児血清を含むDMEM培地に懸濁した2×10個のヒト由来肺癌細胞A549(ATCCより入手)を播種しCOインキュベーター内で37℃、5%CO下で一晩前培養後に、AS−c−rafおよび実施例5で調製したAS−c−rafとR8−SPGおよびRGD−SPGとの複合体を限外ろ過膜(排除限界3000:ミリポア)でろ過してDMSOを除去し濃度を再調整したものを添加し、37℃、5%CO下で96時間培養後、細胞数をCell Counting Kit−8(同仁化学研究所)を利用し、付属のプロトコールに従って測定した。AS c−myb無添加の穴の細胞数を生存率100%として細胞増殖を評価した。その結果を図6に示した。
【0053】
図6に例示したように、AS−c−raf単独投与よりもAS−c−rafとR8−SPGおよびRGD−SPGの複合体である本発明の遺伝子治療剤の方が、18から26%程度細胞の生存率が低下している。また、同じ条件でR8−SPGおよびRGD−SPGのみを投与してもA549細胞の生存率にはほとんど影響を与えていない。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、遺伝子治療における新規な治療用薬剤を提供し、その調製法を開示するものである。
【配列表】
Figure 2004261024
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【図面の簡単な説明】
【図1】ペプチドR8およびRGDのアミノ酸配列を示す。
【図2】ペプチド修飾多糖(R8−SPGおよびRGD−SPG)の合成スキーム例を示す。
【図3】本発明に従う遺伝子治療剤の、R8−SPGおよびRGD−SPGとアンチセンスオリゴヌクレオチドとの複合体化を示すアガロースゲル電気泳動パターンを示している。
【図4】本発明に従う遺伝子治療剤の、R8−SPGおよびRGD−SPGとヒトc−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドとの複合体使用によるヒト由来黒色腫瘍細胞A375の増殖抑制試験の結果を示す。
【図5】
本発明に従う遺伝子治療剤の、ペプチド修飾多糖類とヒトc−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS−c−myb)との複合体使用によるヒト由来大腸癌細胞colo205の増殖抑制試験の結果を図の左側に、および治療効果を示さないヒトc−mybホスホロチオエートのセンス鎖オリゴヌクレオチド(S−c−myb)との複合体使用による結果を右側に示す。
【図6】本発明に従う遺伝子治療剤の、R8−SPGおよびRGD−SPGとヒトc−mybホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチドとの複合体使用によるヒト由来肺癌細胞A549の増殖抑制試験の結果を示す。

Claims (14)

  1. ペプチド鎖を側鎖に導入した多糖類と、核酸との複合体。
  2. ペプチド鎖が、細胞表層と親和性をもつアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1の複合体。
  3. ペプチド鎖がインテグリン結合性ペプチドのアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項2の複合体。
  4. アミノ酸配列がのRGD(配列番号1)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の複合体。
  5. ペプチド鎖が細胞膜透過性を持つペプチドのアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項2の複合体。
  6. ペプチド鎖が2個以上の塩基性アミノ酸を含む配列であることを特徴とする請求項5の複合体。
  7. ペプチド鎖がアルギニンを2個以上、好ましくは8個(配列番号2)、直鎖状連続もしくは分岐鎖の末端に含むことを特徴とする請求項6の複合体。
  8. 多糖類がβ−1,3−グルカンもしくはβ−1,3−キシランを主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜7の複合体。
  9. β−1,3−グルカンがシゾフィラン、カードラン、パーキマン、グリホラン、スクレログルカン、レンチナン又はラミナランから選ばれたものであることを特徴とする請求項8の複合体。
  10. 核酸が天然型もしくは非天然型のアンチセンスオリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項1〜9の複合体。
  11. 非天然型アンチセンスオリゴヌクレオチドが、核酸のリン酸基部分にある酸素原子の一部または全部を硫黄原子で置換したホスホロチオエート型オリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項10の複合体。
  12. 複合体が、多糖の2本鎖とヌクレオチドの1本鎖から、主に水素結合を介して生成した3重螺旋構造をとることを特徴とする請求項1〜11の複合体。
  13. 多糖の分子量が2000以上であることを特徴とする請求項1〜12の複合体。
  14. アミノ酸配列が、GRKKRRQRRRPPQ(配列番号3)、TRQARRNRRRRWRERQR(配列番号4)、RRRRNRTRRNRRRVR(配列番号5)、KMTRAQRRAAARRNRWTAR(配列番号6)、TRRQRTRRARRNR(配列番号7)、KLTRAQRRAAARKNKRNTR(配列番号8)、NAKTRRRERRRKLAIER(配列番号9)、MDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN(配列番号10)、TAKTRYKARRAELIAERR(配列番号11)、TRRNKRNRIQEQLNRK(配列番号12)、およびRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号13)から選択された配列を含むことを特徴とする、請求項5に記載の複合体。
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