JP2004260770A - 画像処理方法および画像処理装置 - Google Patents

画像処理方法および画像処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004260770A
JP2004260770A JP2003052179A JP2003052179A JP2004260770A JP 2004260770 A JP2004260770 A JP 2004260770A JP 2003052179 A JP2003052179 A JP 2003052179A JP 2003052179 A JP2003052179 A JP 2003052179A JP 2004260770 A JP2004260770 A JP 2004260770A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
error
block
image
image block
dot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003052179A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyasu Mori
徳康 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Naltec Inc
Original Assignee
Naltec Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Naltec Inc filed Critical Naltec Inc
Priority to JP2003052179A priority Critical patent/JP2004260770A/ja
Publication of JP2004260770A publication Critical patent/JP2004260770A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】多値画像を2値化画像に変換して印刷する際に、少ないメモリ容量で即座に印刷を開始できる画像処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像処理方法は、画像ブロックを2値化した際にはY方向の後の画像ブロックに伝播する誤差を第2のブロック伝播誤差群Eg2を記録し、画像ブロックを2値化した際にはX方向の後の画像ブロックに伝播する誤差を第1のブロック伝播誤差群Eg1として記録する。したがって、ある画像ブロックB5を2値化する際には予め記録されている第1の伝播誤差群Eg1および第2のブロック伝播誤差群Eg2を利用することにより、画像ブロックB5に対する2値化処理を余計な誤差計算を行うことなく即座に開始できる。これにより、多値画像を2値化画像に変換して印刷する際に、少ないメモリ容量で高速の印刷が可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、多値画像を2値化画像に変換する画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多値の画像を2値化画像に変換する方法として誤差拡散法が知られている。この誤差拡散法は、ある1つの画素(またはドット、ピクセル)を注目画素としたときに、この注目画素で生じた濃度誤差を周囲の画素に振り分け、全体として誤差が最小になるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−77612号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
誤差拡散法では、誤差を周囲の画素、すなわち、誤差を2次元の方向に拡散するので、ある範囲に含まれるドットは誤差拡散の影響を受ける。したがって、ライン毎に印刷するなどのシーケンシャルな動作を伴う印刷方法であると、誤差が拡散する範囲と、あるタイミングで印刷する範囲(たとえば、ライン幅)とが、すべてのタイミングにおいて矛盾することなく解決されていないと、誤差の伝播が中断されることになり画質が劣化する。すなわち、ある範囲を印刷するタイミングでは、その範囲の誤差拡散による2値化処理が終了していると共に、誤差が伝播する他の範囲においても2値化処理が終了している必要がある。このためには、十分に大きな容量のメモリを用意し、誤差拡散と印刷処理との間に、処理時間および処理データ量に十分な余裕ができるようなシステムおよび制御方法を採用する必要がある。その結果、印刷処理が誤差拡散の制約を受けて待たされることになるので、印刷を開始するタイミングが遅くなり、それが印刷速度の低下として感じられることになる。この問題は処理速度の速い高価なCPUあるいは専用LSIを用いて誤差拡散の処理速度を上げることにより向上できるかもしれないが、ハードウェアのコストが高騰してしまう。
【0005】
誤差拡散の範囲とは独立して、あるタイミングで印刷されるライン幅などの印刷する単位と同じあるいはそれに近い、ある有限の範囲または限定された範囲のデータを任意に誤差拡散できるようになれば、その有限の範囲に対して誤差拡散処理が終了したら即座に印刷処理を開始できる。このような処理を実現できれば、必要なメモリ容量も小さくて済み、印刷速度を上げることができる。
【0006】
特開2002−77612号公報に開示された方法では、ブロック単位で誤差拡散処理を開始するために、ある注目画素の近傍の数ドット前の画素に遡って注目画素に伝播されるべき誤差を擬似的に計算してから注目画素の処理を開始する。
【0007】
しかしながら、この方法であると、有限の範囲を誤差拡散をするために、その周りのデータを必要とし、重なり合う部分の誤差拡散を繰り返し計算することになるので、有限の範囲を小さくすればするほど、誤差拡散の計算量は増加する。したがって、ブロック単位で2値化できるというメリットはあり、メモリ容量を低減できる可能性があるが、ページ全体でみると、誤差拡散の処理時間は増加するのでページ全体の印刷速度は低下する。
【0008】
一方、誤差拡散の処理時間の増加を低減するために、数ドット前の画素に遡って擬似的な誤差を計算する量を減らすと、誤差の拡散する範囲は限定されたものとなる。したがって、ページ全体にわたり誤差を拡散する処理とは異なり、ブロック単位で処理する誤差にギャップが生ずるために筋が入るなどの画質の劣化が生じる。
【0009】
そこで、本発明においては、ある有限の範囲、すなわちブロック毎のデータを個別に誤差拡散でき、少ないメモリ容量で2値化処理ができると共に、印刷を開始するタイミングを早めて印刷速度を高めることができる画像処理方法および画像処理装置を提供することを目的としている。また、ブロック毎に筋が入るなどの画質を劣化させることなく多値画像を2値化画像に変換して高速で印刷できる画像処理方法および画像処理装置を提供することも本発明の目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、ブロック単位で2値化する際に、それぞれのブロックから2次元方向に伝播する誤差をブロック伝播誤差として適当なストレージに記憶し、そのブロック伝播誤差の影響を受ける他のブロックを2値化する際に、ブロック伝播誤差を使用してブロック単位で2値化できるようにしている。
【0011】
このため、本発明の画像処理方法は、2次元画像を複数に分割した画像ブロックを構成する各ドットを2値化する際に、第1の方向に先行するドットから伝播する第1の誤差群および第2の方向に先行するドットから伝播する第2の誤差群を利用する画素処理工程を有し、この画素処理工程は、当該画像ブロックに対して先行して2値化された先の画像ブロックの誤差拡散の影響を受けるドットについては、第1の方向の先の画像ブロックを2値化する際に求められた第1のブロック伝播誤差群から第1の誤差群を選択可能にする第1の入力工程と、第2の方向の先の画像ブロックを2値化する際に求められた第2のブロック伝播誤差群から第2の誤差群を選択可能にする第2の入力工程とを備えている。さらに、画素処理工程は、当該画像ブロックに対して後で2値化される第1の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を第1のブロック伝播誤差群として記録する第1の出力工程と、第2の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を第2のブロック伝播誤差群として記録する第2の出力工程とを備えている。これら第1および第2の入力工程は同時に行っても良い。また、第1および第2の出力工程を同時に行うことが可能である。
【0012】
この画像処理方法は、2次元画像を複数に分割した画像ブロックを構成する各ドットを2値化する際に、第1の方向に先行するドットから伝播する第1の誤差群および第2の方向に先行するドットから伝播する第2の誤差群を利用する画素処理部と、当該画像ブロックに対して先行して2値化された先の画像ブロックの誤差拡散の影響を受けるドットについては、第1の方向の先の画像ブロックを2値化する際に求められた第1のブロック伝播誤差群から第1の誤差群を選択可能にする第1のデータ入力部と、第2の方向の先の画像ブロックを2値化する際に求められた第2のブロック伝播誤差群から第2の誤差群を選択可能にする第2のデータ入力部と、当該画像ブロックに対して後で2値化される第1の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を第1のブロック伝播誤差群として記録する第1のデータ出力部と、第2の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を第2のブロック伝播誤差群として記録する第2のデータ出力部とを有する画像処理装置を用いることにより実行できる。
【0013】
第1の誤差群を格納する第1のメモリと、第2の誤差群を格納する第2のメモリとを有する画像処理装置においては、第1のデータ入力部は、第1のブロック伝播誤差群を第1のメモリにセットし、第2のデータ入力部は、第2のブロック伝播誤差群を第2のメモリにセットする。誤差群に複数の誤差値が含まれる場合は、個々にセットしても良く、一群のデータをセットすることも可能である。
【0014】
本発明の画像処理は、上記の処理を行う専用回路を備えたLSIで実行することも可能であり、また、コンピュータまたは汎用のCPUを備えた汎用LSIにおいて行うことも可能である。コンピュータまたは汎用のCPUを用いて本発明の処理を実行させるプログラムとしては、2次元画像を複数に分割した画像ブロックを構成する各ドットを2値化する際に、第1の方向に先行するドットから伝播する第1の誤差群が記録された第1のメモリの値、および第2の方向に先行するドットから伝播する第2の誤差群が記録された第2のメモリの値を利用する画像処理工程をコンピュータで実行する命令を有し、さらに、この画像処理工程は、当該画像ブロックに対して先行して2値化された先の画像ブロックの誤差拡散の影響を受けるドットについては、第1の方向の先の画像ブロックを2値化する際に求められた第1のブロック伝播誤差群を第1のメモリにセットして第1の誤差群を利用可能とする第1の入力工程と、第2の方向の先の画像ブロックを2値化する際に求められた第2のブロック伝播誤差群を第2のメモリにセットして第2の誤差群を利用可能とする第2の入力工程と、当該画像ブロックに対して後で2値化される第1の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を第1のブロック伝播誤差群としてストレージに記録する第1の出力工程と、第2の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を第2のブロック伝播誤差群としてストレージに記録する第2の出力工程とを備えているプログラムを提供する。
【0015】
この画像処理プログラムは、ROMなどの適当な記録媒体に記録して提供することができ、パーソナルコンピュータにインストールしたり、CPUで実行可能にすることにより、本発明の画像処理方法を実行できる。この画像処理用プログラムは、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して提供することも可能である。
【0016】
あるドットを2値化処理すると、誤差が周囲のドット、すなわち、2次元方向に伝播する。このため、ある方向を第1の方向、それに直交する方向を第2の方向としたとき、複数のドットが含まれる長方形あるいは正方形の画像ブロックを2値化すると、後の画像ブロックに伝播する誤差は、第1の方向に伝播する誤差は第2の方向に連なった誤差群となり、第2の方向に伝播する誤差は第1の方向に連なった誤差群となる。本発明の画像処理装置および画像処理方法では、先行する画像ブロックを2値化した際に、これら2つの方向の誤差群を第1のブロック伝播誤差群と第2のブロック伝播誤差群として記録する。したがって、後続の画像ブロックを2値化する際には、それに隣接する、先行する画像ブロックの第1および第2のブロック伝播誤差群が用意されている。このため、再計算しなくても、その画像ブロックに含まれるドットを2値化処理のために必要な誤差が既に準備されており、さらに、その誤差は先行する画像ブロックを2値化処理した誤差なので精度の高い誤差群である。したがって、これらの第1および第2のブロック伝播誤差群から後続の画像ブロックの各ドットを2値化する第1および第2の誤差群を選択することにより、後続の画像ブロックに含まれるドットの2値化処理を即座に、そして精度良く実行できる。
【0017】
このため、本発明の画像処理方法により、冗長な処理を経ずに限られた範囲の画像ブロックを独立して2値化処理することが可能となる。すなわち、画像ブロックを2値化するために数ドット前に遡って擬似的な誤差を計算する処理は不要であり、その擬似的な誤差による画像ブロック間の偏差の発生も防止できる。したがって、本発明の画像処理方法により、有限の範囲を独立して2値化できるので、印刷処理を開始するタイミングを早くすることができる。さらに、第1および第2のブロック伝播誤差群を記憶するだけで後続の画像ブロックに誤差を伝播できるので、誤差伝播のために必要なメモリあるいはストレージの容量を低減できる。
【0018】
したがって、本発明の画像処理装置と、この画像処理装置により2値化された画像データを印刷する手段とを有する印刷装置により、2値化処理された画像を少ないメモリ容量で素早く印刷を開始できる印刷装置を提供できる。
【0019】
誤差拡散は2次元方向に伝播するので、誤差伝播関数によっては、第1の方向の先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差や、第2の方向の先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差も発生することがある。このような誤差の伝播を無視すると、画像ブロックの境界における誤差に偏差が発生するので画像ブロックの境界に筋が入るなどの画質の劣化を招く。しかしながら、先行する画像ブロックに後続する画像ブロックから誤差を戻すことは不可能である。
【0020】
そこで、本発明においては、後続の画素ブロックの画像処理工程において、第1の方向の先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差があれば、その誤差を画像ブロックの第2の方向に伝播し、第2の方向の先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差があれば、その誤差を画像ブロックの第1の方向に隣接するドットに伝播するようにする。先行する画素ブロックに反映される誤差を先行する画素ブロックとの境界をなすドットに伝播することにより先行する画像ブロックとの間の誤差の偏差を抑制することが可能となり、画像ブロックの境界で筋が発生することを防止できる。したがって、本発明の画像処理方法は、先行する画像ブロックに誤差が伝播するような誤差伝播関数を用いた2値化処理にも適応でき、筋やむらのない高画質の2値化画像を印刷できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係る画像処理方法の概要を示してある。この画像処理方法では、多値の2次元画像10をマトリクス状に長方形あるいは正方形の複数の画像ブロックBに分割して2値化する。したがって、各々の画像ブロックBには複数のドットが含まれている。なお、以下の説明では、第1の方向をX方向、行方向または横方向、第2の方向をY方向、列方向または縦方向とする。
【0022】
図1において、左上から右下に向けて2値化処理する場合、あるドットを処理する際は、X方向に先行するドット(図面の左側において隣接するドットであって、左側のドットだけではなく、この左側の上下のドットを含む)から伝播する誤差と、さらに、Y方向に先行するドット(図面の上側において隣接するドットであって、真上のドットだけではなく、その真上のドットの左右のドットを含む)から伝播する誤差を含めて2値化する。
【0023】
図2に誤差マトリクスの一例を示してある。この誤差マトリクス18では、あるドットd0を2値化処理する際に発生した誤差の1/16、3/16、および5/16がX方向に伝播し、7/16がY方向に伝播する。このため、図1に示した画像ブロックB5を2値化する際は、画像ブロックB5を構成する各ドットのうち、左に隣接する画像ブロックB4との境界となる1列分のドットと、上に隣接する画像ブロックB2との境界となる1行分のドットとは少なくとも先行して2値化された画像ブロックB4およびB2から伝播される誤差の影響を受けることになる。
【0024】
本発明に係る画像処理方法では、ある画像ブロック(たとえば画像ブロックB2)を2値化した際に、X方向の後続の画像ブロック(たとえば画像ブロックB3)に含まれるドットに伝播する誤差を第1のブロック伝播誤差群Eg1として記録する。また、その画像ブロックB2を2値化した際に、Y方向の後の画像ブロック(たとえば画像ブロックB5)に含まれるドットに伝播する誤差を第2のブロック伝播誤差群Eg2として記録する。したがって、本発明の画像処理方法によれば、各画像ブロックB1〜B9を、各画像ブロック毎に2値化処理することが可能である。このため、ブロックB1〜B9を、ブロックB1、B2の順番で2値化しても良く、ブロックB1、B4の順番で2値化することも可能である。また、ブロック伝播誤差群Eg1およびEg2を記憶すれば、他の画像ブロックに対する誤差伝播は処理される状況となるので、後続の他の画像ブロックの2値化処理を待たずに先行する画像ブロックのデータを印刷したり、破棄することができる。さらに、いったんブロック伝播誤差群Eg1およびEg2が記憶されれば、その後はどの画像ブロックからであっても必要に応じて2値化することができる。したがって、本発明の画像処理方法によれば、画像の2値化を狭い範囲でほぼ独立して実行できるようになるので、2値化後のデータをすべて記憶しておくようなメモリ容量は不要であり、また、誤差伝播が終了するまですべてのドットにおける誤差を保存するようなメモリ容量も不要となる。
【0025】
この画像処理方法は、画像を部分的に2値化する処理のすべてにおいて有用であるが、特に、画像を、Y方向を走査方向として印刷する際に、画像ブロックをB1、B2の方向に2値化しなくても良く、画像ブロックB1、B4の方向に2値化できるので印刷をスタートする時間を大幅に短縮できるというメリットがある。さらに、画像ブロックB1、B4の順番で印刷するときに、本来の2値化処理の順番にそって、画像ブロックB2、B3を2値化してそれらをデータとして保持していなくても良いので、メモリ容量も大幅に削減できる。
【0026】
図3に、本発明の画像処理方法により2値化したデータを印刷するプリンタを示してある。本例のプリンタ1は、パーソナルコンピュータなどのホスト装置やデジタルカメラなどの周辺機器から多値の画像データφ1を取得して、2値化して印刷する。画像データφ1は、コンパクトフラッシュ(登録商標)やメモリスティック(登録商標)などのストレージに入出力可能なインターフェイス、またはホスト装置との通信を可能とするUSBなどの通信インターフェイス11を介して得ることができる。多値画像データφ1がJPEGなどの適当なフォーマットで圧縮されている場合は、それを伸長する機能も本例のプリンタ1は備えている。
【0027】
プリンタ1は、印刷用紙2にインク滴を吐出する複数のノズル3を備えた印刷ヘッド4と、この印刷ヘッド4をシャフト5に沿って紙幅方向に往復動するためのモータ7と、印刷用紙2を紙送り方向にフィードするローラ6を駆動するためのモータ8を有している。また、プリンタ1は、CPU、RAM、ROMなどによって構成される制御部12を有しており、この制御部12によりモータ7および8が制御され、さらに、ノズル3からインク滴を吐出するタイミングが制御される。プリンタ1はメモリ13を備えており、このメモリ13は、インターフェイス11から取得した多値画像データφ1を記録する部分13c、第1および第2のブロック伝播誤差群を記録する部分13a、2値化された印刷データφ2を記憶する部分13bを備えている。さらに、プリンタ1は、ブロック内のドットを2値化する際の伝播誤差を記録するレジスタ群RSGを備えている。このレジスタ群RSGは、メモリ13の一部を用いて実現することも可能である。また、ブロック伝播誤差群Eg1およびEg2を共通のメモリ13に記録しており、第1のブロック伝播誤差群Eg1が記録される領域が第1のメモリに相当し、第2のメモリブロック伝播誤差群Eg2が記録される領域が第2のメモリに相当する。
【0028】
制御部12は、多値画像データφ1を2値化して印刷用データφ2に変換する画像処理装置15と、印刷データφ2に基づいてモータ7、8およびヘッド4を制御してプリントアウトする機構制御部16とを備えている。画像処理装置15は、画像データφ1を複数に分割した画像ブロックの単位で2値化する画素処理部21と、ドットを縦方向に拡大する機能25aおよびドットを横方向に拡大する機能25bを備えた拡大処理部25と、後続の画像ブロックに伝播する誤差(ブロック伝播誤差群Eg1およびEg2)をメモリに出力する誤差データ出力部23と、メモリ13に記録されているブロック伝播誤差群Eg1およびEg2を、画像ブロックを2値化する際に用いられるワーク用のレジスタ群に初期セットする誤差データ入力部22とを有している。
【0029】
本例の画像処理装置15においては、後述するように、Y方向にブロック間で伝播する誤差Eg2を入力するY方向の誤差データ入力部(第2のデータ入力部)22yと、Y方向にブロック間で伝播する誤差Eg2を出力するY方向の誤差データ記憶部(第2のデータ出力部)23yとがハードウェアで実現され、画素処理部21と共に1つのチップ29に搭載されている。一方、X方向にブロック間で伝播する誤差群Eg1を入力するX方向の誤差データ入力部(第1のデータ入力部)22xと、X方向にブロック間で伝播する誤差群Eg1を出力するX方向の誤差データ記憶部(第1のデータ出力部)23xとはソフトウェアにより実現されている。
【0030】
すなわち、上位の印刷用のアプリケーションあるいはファームウェアにより実現されるX方向の誤差データ入力部22xにより、所望の画像ブロックを2値化する際に、その画像ブロックBの2値化に必要なブロック伝播誤差群Eg1がワーク用のX方向の伝播誤差を記憶するレジスタ群RSGにセットされる。また、上位の印刷用のアプリケーションあるいはファームウェアにより実現されるX方向の誤差データ出力部23xにより、その画像ブロックの2値化が終了するとレジスタ群RSGの値をブロック間で伝播する誤差群Eg1としてメモリ13に出力される。
【0031】
図4に画像処理装置15の概略を示してある。本例の画像処理装置15は、画像ブロックの単位で画像データφ1を2値化する画素処理部21が、1つの画像処理用のチップ(LSIあるいはASIC)29として提供されており、レジスタ群RSGをワーキング用のメモリとして利用して2値化を行う。この画像処理チップ29は、X方向に32ドット、Y方向に4ドットの区画を1つの画像ブロックBとして処理する。レジスタ群RSGは、誤差値(たとえば8ビット)ERn(nは0〜33)を保持可能な34個のレジスタを備えている。すなわち、Y方向のドットの個数より2つ多い34個のレジスタ群RSTnがX方向に伝播する誤差(第1の誤差群)を記憶するために用意されている。その他に3つのレジスタRST34、RST35およびRST36が他のブロックとの境界領域のドットの誤差を伝播するために設けられている。
【0032】
また、この画像処理チップ29は、Y方向の誤差データ入力部22yと、Y方向の誤差データ出力部23yと、Y方向に伝播する誤差(第2の誤差群)を記憶するためのレジスタ(フリップフロップ)RST39を備えている。レジスタRST39に対しては、最初のY方向のドットを処理する際に、すなわち、最初のROWの処理の前に、誤差データ入力部22yにより、Y方向にブロック間で伝播する誤差(第2のブロック伝播誤差)Eg2がセットされる。また、誤差データ出力部23yにより、最後のY方向のドットを処理した後、すなわち、最後のROWの処理の後にY方向に続く画像ブロックBに伝播する誤差がメモリ13に出力される。第2のブロック伝播誤差Eg2の入出力を一括して行い、メモリ13とのアクセス時間を短くするために、第2のブロック伝播誤差Eg2を一時的にストアするレジスタ群を設けることも可能であり、そのレジスタ群とメモリ13との入出力を第1のブロック伝播誤差Eg1と同様にソフトウェアで行うことも可能である。
【0033】
本例では、画像処理部21はY方向に連続するドット、すなわち列方向に連続する一連のドットを処理し、列の処理が終了すると行方向に1つ移動して次の列方向に連続した一連のドットを処理する。あるドットから隣接するドットに伝播させる誤差は、図2に示した誤差マトリクス18に従う。したがって、画素処理部21は、画像データφ1を2値化処理した際に発生した誤差から、3/16誤差EA、5/16誤差EB、1/16誤差EC、7/16誤差EDを生成する。これらの誤差のうち、7/16誤差EDを除いた3つの誤差EA、EBおよびECは、行方向に隣接する次の列のドットに伝播するものであり、画像処理チップ29から第1の伝播誤差としてレジスタ群RSTnに出力される。レジスタ群RSTnのレジスタRST0〜33の内の32個は次の列のドットに対応付けられており、前の列の1つのドットから斜め上方向に伝播される誤差EA、横方向に伝播される誤差EB、斜め下方向に伝播される誤差ECの伝播は、その都度、対応するのレジスタRST0〜33の内に32個で加算される。したがって、画像処理部21において1つの列の処理が終了するレジスタRST0〜33の内の32個には次の列のドットに対してX方向に伝播する第1の誤差群が用意される。
【0034】
一方、7/16誤差EDは下のドットに伝播するものであり、画像処理チップ29の内部において、レジスタRST39を介して次の列方向に続くドットの2値化処理の入力として利用される。
【0035】
図5(a)に、画素処理部21とレジスタ群RSGとの関係を示してある。X方向への誤差を一時的に記憶するレジスタ群RSTn(nは0〜33)は、画素処理部21が、図示したようにチェーン状に連続してアクセスできるようにアレンジされている。すなわち、最終のレジスタRST33に続いてレジスタRST0にアクセスできるようになっている。したがって、このレジスタ群RSTnをサイクリックに使用して、前に計算された誤差を失わずに、次の列に伝播する誤差を蓄積することができる。たとえば、最初の列の1番目のドット(0)から32番目のドット(31)の誤差はレジスタRST0〜33の内、レジスタRST0〜31にセットする。レジスタRST0に記憶されていたER0を利用してドット0を2値化処理した誤差のEA成分は、レジスタRST32に出力し、EB成分はレジスタRST33に出力し、EC成分はレジスタRST0に出力する。レジスタRST32および33は利用されていないので、すでにセットされている誤差群に影響を与えることなく記憶できる。レジスタRST0の誤差はすでに利用されたので、このレジスタRST0を書き換えても問題はない。
【0036】
このようにドット(0)からドット(31)までの2値化処理を行うと、X方向に伝播する第1の誤差群はレジスタRST0〜33のうち、レジスタRST33からレジスタRST30に格納される。したがって、図5(b)に示すように、次の列を2値化処理するときはレジスタRST33〜30をER0〜31として利用することにより、同一の回路、すなわち、同一の画素処理部21により前の列の誤差を利用して2値化処理を実行できる。この際、最後のドット(31)から斜め下方向に伝播される成分ECは、レジスタRST36に記憶され、次の列の最後のドット(31)から下方に伝播される成分EDとの合計が下方の画像ブロックに伝播されるブロック伝播誤差Eg2としてY方向の誤差データ出力部23yから出力される。したがって、ドット(31)を計算した際にレジスタRST31に出力されるデータは意味を持たず、次の列の誤差計算においては無視される。
【0037】
また、ドット(0)を計算した際にレジスタRST32に出力されるEA成分は、本来、先行する画像ブロックに反映される誤差データであり、そのままでは意味を持たない。したがって、次の列の誤差計算においては無視される。その代わり、本例においては、レジスタRST35に出力してストアし、1つ後の列の最初のドット(0)に7/16(すなわちドット(0)の誤差の3/16×7/16)を伝播させ、2つ後の列の最初のドット(0)に残りの3/16(すなわちドット(0)の誤差の3/16×9/16×3/16)を伝播させる。これにより、先行する画像ブロックの最終行のドットに本来反映させる誤差から伝播する誤差をこの画像ブロックの先頭行、すなわち、先行する画像ブロックとの境界のドット行に反映させることができる。
【0038】
図4に示した画像処理チップ29の構成をさらに詳しく説明する。画像処理チップ29に搭載された画素処理部21は、画素値と誤差値の和から2値化データを計算する2値化部50と、2値化されなかった誤差から、他のドットの伝播する誤差を計算する誤差処理部40とを備えている。2値化部50は、レジスタRST39を介してY方向に伝播される誤差成分ED(第2の誤差群)が設定されるアキュームレータ51と、レジスタ群RSTnを介してX方向に伝播される誤差成分EA〜ECの和(第1の誤差群)が設定されるアキュームレータ52と、アキュームレータ51および52の和を計算する加算器54と、メモリ13から該当するドットの8ビットの画像データを取得する画像データ入力部53と、加算器54から出力された誤差と、入力された画像データの和を計算する加算器55と、加算器55の出力を閾値により2値化する演算器56と、2値化されたデータをメモリ13に出力する出力部58と、2値化されなかった誤差が設定されるアキュームレータ57とを備えている。
【0039】
誤差処理部40は、2値化部50で2値化した際に求められたアキュームレータ57の8ビットの誤差を、1/4誤差、1/8誤差、1/16誤差に分配する演算器41、42および43と、演算器42で算出された1/8誤差と、演算器43で算出された1/16誤差を加算して3/16の誤差成分EAを生成する加算器44と、演算器41で算出された1/4誤差と、演算器43で算出された1/16誤差を加算して5/16の誤差EBを生成する加算器45と、演算器42で算出された1/8誤差と、加算器45で生成された5/16誤差を加算して7/16の誤差成分EDを生成する加算器46とを備えている。1/16の誤差成分ECは演算器43の出力が用いられる。また、これらの誤差EA〜EDを所定のレジスタに出力する出力回路部47a〜47dを備えている。
【0040】
さらに、画素処理部21は、境界領域の誤差を計算する境界値処理部60を備えている。この例では、先行する画像ブロックとの関係において、Y方向、すなわち、斜め上方向に伝播する誤差の処理が残される。したがって、レジスタRST35に格納された1つ前の列の最初のドット(0)の誤差値から7/16の値を求める演算器61と、その残りをレジスタRST34に出力する演算器63と、レジスタRST34に格納された2つ前の列のドット(0)の誤差の残りから3/16を計算する演算器62とを備えている。演算器61の出力と演算器62の出力は、Y方向の誤差データ入力回路22yにおいて、加算器65によりブロック伝播誤差Eg2の値と加算されて最初のドット(0)の誤差値としてレジスタRST39に格納される。
【0041】
また、画像処理チップ29には、Y方向の誤差データ入力回路22yと共にY方向の誤差データ出力回路23yが搭載されている。誤差データ出力回路23yは、レジスタRST36に格納された1つ前の列の最終ドット(31)から斜め下方に伝達される誤差成分ECと、その列の最終ドット(31)から下方に伝播される誤差成分EDとの和を計算する加算器66を備えており、この加算器66の出力がY方向に続く後続の画像ブロックに伝播するブロック伝播誤差群Eg2としてメモリ13に記憶される。
【0042】
図6にプリンタ1における印刷処理のフローチャートを示してある。まず、ステップ71において、印刷指示があってから、ステップ72において、2値化前の画像データ(多値画像のデータ)が取得されると、ステップ73において、印刷モードが確認される。たとえば、等倍の印刷、4倍に拡大した印刷、8倍に拡大した印刷などの印刷サイズのモードが確認される。等倍モードにおいては、1つの8ビットの画素データが1ドットに変換されて印刷される。4倍モードにおいては、1つの8ビットの画素データが縦4ドット、横4ドットに拡大して印刷される。したがって、この4倍モードにおいては縦4ドットおよび横4ドットを画素処理部21において計算する際に画素アキュームレータ53に入力される値は同じになる。8倍モードにおいては、1つの8ビットの画素データが縦8ドット、横8ドットに拡大して印刷される。これらの横方向および縦方向の拡大は拡大処理部25により行われる。
【0043】
これらの印刷モードにしたがってステップ74において画像ブロックの単位で2値化処理が行われる。ステップ75において印刷ヘッド4で1ライン分の印刷ができる印刷データφ2が準備されると、ステップ76で印刷が即座に開始される。ステップ77において、全範囲が印刷されると印刷ジョブが終了する。
【0044】
図7にステップ74における画像ブロック単位での2値化処理のフローチャートを示してある。また、図8は所定のドットが2値化されたときに誤差が伝播される様子を示してある。なお、図8においては縦横にそれぞれ4倍して印刷する4倍モードのときの誤差伝播の例を示してある。まず、ステップ81において、メモリ13に記憶された先行する画像ブロックからX方向に伝播する第1のブロック伝播誤差群Eg1をレジスタRSTnにセットする(第1の入力工程)。すなわち、第1の伝播誤差群Eg1が第1の誤差群として選択または利用される。ステップ82において、アキュームレータ52にレジスタRSTnから2値化するドットに対応する誤差値をセットする。ステップ83において、アキュームレータ53に、画像データφ1から2値化するドットに対応する画素値をセットする。ステップ84において、列の最初のドットを2値化する場合は、ステップ85において、アキュームレータ51に、レジスタRST39を介して、Y方向に伝播する第2のブロック伝播誤差群Eg2から該当する列の誤差値をセットする(第2の入力工程)。すなわち、第2の伝播誤差群Eg2が第2の誤差群として選択または利用される。この際、境界値処理部60の機能により第2のブロック伝播誤差Eg2に加えて境界に沿って伝播される誤差も含まれた値がアキュームレータ51にセットされる。列の最初のドットでない場合は、ステップ86において、前のドットを2値化した際の誤差成分EDがアキュームレータ51にセットされる。
【0045】
次に、ステップ87において、アキュームレータにセットされた誤差値および画素値の和が閾値、たとえば、256階調の半分(128)より大きい場合は、ステップ88において、そのドットが「1」、すなわち、黒に設定される。一方、小さい場合は、ステップ89において、そのドットは「0」、すなわち、白ドットに設定される。さらに、ステップ90において、他のドットに伝播する誤差成分EA〜EDが計算される。ステップ91において列の最後のデータまでこの処理が繰り返される。本例では、32ドット分繰り返すことにより1列の処理が終了する。このため、ステップ92において、Y方向に後続する次の画像ブロックに伝播するブロック誤差群Eg2をメモリ13に記録する(第2の出力工程)。
【0046】
ステップ93において、画像ブロックBに次の列が残っている場合は、ステップ82に戻って次の列の各ドットに対して上記の処理を繰り返す。そして、画像ブロックBに含まれるすべての列の処理が終了すると、ステップ94において、レジスタRSTnに出力されたX方向に伝播する誤差群をブロック伝播誤差Eg1としてメモリ13に出力する(第1の出力工程)。X方向に連続する画像ブロックBを2値化処理する場合は、レジスタRSTnにセットされた誤差群をブロック伝播誤差Eg1として利用できるので、ステップ94を省略することも可能である。
【0047】
本例の画像処理装置15では、これらの処理を図4に示した画像処理用LSI29を用いてハードウェアとソフトウェアとで行っているが、上記の各ステップをすべてソフトウェアで行うことも可能である。すなわち、適当なリソースを備えたコンピュータ、あるいは適当なリソースと共にデータ処理装置を構成するCPUにおいて上記の処理を実行する命令を有するプログラムとして本発明を提供することが可能であり、CD−ROMなどの適当な記録媒体に記録して提供したり、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して提供できる。
【0048】
このように、本例の画像処理装置15では、1つの画像を複数に分割した画像ブロックのドットを2値化する際に、X方向およびY方向の後の画像ブロックに伝播する誤差値を第1のブロック伝播誤差群Eg1と第2のブロック伝播誤差群Eg2として記録するようにしている。したがって、後の画像ブロックに含まれるドットを2値化する際には既に用意されているブロック伝播誤差群Eg1およびEg2を用いて2値化することが可能であり、先の画像ブロックと後の画像ブロックとを連続して処理しなくても画像ブロック単位で2値化することができる。また、画像ブロックを2値化するために、数ドット前のドットに遡って擬似的な誤差を計算するような余分な処理は不要であり、小さな画像ブロックに分割したとしても誤差計算量が増えることもない。したがって、有限の範囲の画像ブロックに含まれるドットを、画像ブロック単位で無駄なく、高速で2値化できる。
【0049】
これにより、画像を有限の範囲に分けて印刷するプリンタにおいては、印刷する範囲の2値化データ、すなわち印刷データを即座に用意できる。このため、画像処理装置15を搭載することにより、多値画像を2値画像に変換して短時間に印刷を開始するプリンタ1を提供できる。すなわち、画像処理装置15により、あるタイミングで印刷されるライン幅と同じあるいはそれに近い有限の範囲のデータを任意に2値化処理することが可能になり、誤差が影響する範囲をすべて2値化しなくても印刷を開始することができる。また、誤差が影響する範囲のデータをすべて保持する必要はなく、ブロック伝播誤差Eg1およびEg2を記憶する程度のメモリ容量あるいはストレージ容量を確保すれば良いので、少ないメモリ容量で高速の印刷が可能なプリンタ1を提供できる。
【0050】
図9に本例の画像処理装置15を用いた印刷処理の一例を示してある。この印刷処理では、画像ブロックB00に含まれるドットを2値化処理し、X方向の後の画像ブロックB01に伝播する第1のブロック伝播誤差群Eg1とY方向の後の画像ブロックB04に伝播する第1のブロック伝播誤差群Eg2とを記録する。次に、Y方向の後の画像ブロックB04の2値化処理し、X方向の後の画像ブロックB05に伝播する第1のブロック伝播誤差群Eg1を記録する。ただし、2値化したデータは記録しない。次に、1行目に戻って画像ブロックB02の2値化処理して、X方向の後の画像ブロックB02に伝播する第1のブロック伝播誤差群Eg1を記録し、Y方向の後の画像ブロックB05に伝播する第2のブロック伝播誤差群E2を記録する。このようような順序で2値化処理およびブロック伝播誤差Eg1およびEg2を記録することにより、2行目の画像ブロックB05〜B07の各々に伝播する第1のブロック伝播誤差群Eg1および第2のブロック伝播誤差群Eg2が用意される。したがって、2行目の画像ブロックは、画像ブロックB07、画像ブロックB06、画像ブロックB05、画像ブロックB04の順序で2値化処理することが可能になり、矢印で示すような双方向印刷が可能になる。
【0051】
誤差拡散のように周囲の画素との演算順序に依存関係がある方式の場合、双方印刷の逆方向時には通常、1行分作りおきした2値データを印刷するしかないが、上記のような処理方法を採用することにより、X方向の画像ブロックの数、すなわち、分割数をnとしたときに、作りおきした2値データをバッファリングするためのメモリ容量を1/nに削減できる。図9に示した例では、メモリ容量を1/4に削減できる。
【0052】
なお、この方法であれば、X方向に分割する数を増やせば2値データをバッファリングするために必要な容量をさらに減らすことができるが、各画像ブロックの第1のブロック伝播誤差群Eg1および第2のブロック伝播誤差群Eg2を保存する領域は増えることになる。このため、プリンタに搭載するメモリ容量との関係から分割数を決定することが望ましい。
【0053】
また、図9では、画像ブロックをX方向に2値化処理しているが、画像ブロックをY方向に2値化処理する場合であっても、第1のブロック伝播誤差Eg1および第2のブロック伝播誤差Eg2を記録しておくことにより、Y方向に印刷する際でも双方向印刷することが可能である。
【0054】
図10にドットを拡大するときの処理、すなわち、図7に示したステップ83における画素値の設定の処理をフローチャートを用いて示してある。まず、ステップ121において、拡大処理部25の横方向の拡大機能25bにより行方向の画素設定が行われ、ステップ122において、拡大処理部25の縦方向の拡大機能25aにより列方向の画素設定が行われる。そして、ステップ123において、横方向の倍数の分だけステップ122の縦方向の画素設定が行われることになる。行または横方向に画素を拡大する場合、1列分のドットの2値化処理を連続して必要回数実行すればよい。また、この場合に、画素値は同じなので1回設定すれば画素値の再設定は不要である。計算に用いられる直前の列(カラム)から伝播される第1のブロック伝播誤差群Eg1はレジスタ群RSGにあるので、ブロックBの最初の列を処理するときを除きブロック誤差群Eg1の再設定も不要である。
【0055】
図11に、縦または列方向の画素設定の処理をフローチャートにより示してある。本例のプリンタ1は、列方向に32ドット分の誤差を記録できるレジスタ群RSTnを持っている。このため、ステップ101において、縦方向に8倍に拡大して印刷する場合は、ステップ102〜ステップ105において、画素処理部21の画素アキュームレータ53に対して8回同じドットの画素値が入力されるようにする。また、ステップ106において、縦方向に4倍で拡大して印刷する場合は、ステップ107〜114において、画素処理部21の画素アキュームレータ53に対して4回同じドットの画素値が入力されるようにする。これにより、縦4倍モードにおいては、1つの画素データを縦4ドットに拡大して印刷でき、縦8倍モードにおいては、1つの画素データを縦8ドットに拡大して印刷できる。その他のモードであれば、ステップ115において、そのモードに従った画素を選択することにより適当な倍率で拡大することが可能である。このため、拡大する倍率は8倍や4倍に限定されずに、レジスタ群RSTnの数により自由に選択することが可能である。
【0056】
なお、本例の画像処理装置15では、画像ブロックを構成する各ドットを左から右に向けて2値化しているが、右から左に向けて2値化することも可能である。さらに、多値画像の全てに対して誤差拡散処理を行って、すべての画像ブロックについて、第1のブロック伝播誤差群Eg1および第2のブロック伝播誤差群Eg2を適当なストレージに記録しても良い。このようにすると、任意の画像ブロックから2値化処理を開始することができる。ただし、この方法の場合、第1および第2のブロック伝播誤差群を記録するメモリ領域が増えるので、必要なメモリ容量が増える可能性がある。
【0057】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、ブロック単位で2値化する際に、それぞれのブロックから2次元方向に伝播する誤差をブロック伝播誤差として適当なストレージに記憶するようにしている。したがって、画像ブロックに含まれるドットを2値化する際には既に用意されているブロック伝播誤差群を用いて2値化することが可能であり、先の画像ブロックと後の画像ブロックとを連続して処理しなくても画像ブロック単位で2値化することができる。また、画像ブロックを2値化するために、数ドット前のドットに遡って擬似的な誤差を計算するような余分な処理が不要なので、小さな画像ブロックに分割したとしても誤差計算量が増えることもない。したがって、有限の範囲の画像ブロックに含まれるドットを、画像ブロック単位で無駄なく、高速で2値化できる。このため、本発明により、少ないメモリ容量で、多値画像を2値画像に変換して短時間に印刷を開始できるプリンタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理方法を説明するための図である。
【図2】誤差マトリクスを示す図である。
【図3】本発明に係る画像処理装置が搭載されたプリンタの概略を示す図である。
【図4】画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】図5(a)は画像ブロックのあるドットを2値化した際に発生した誤差がレジスタ群に反映される様子を示す図であり、図5(b)は次の列をドットを2値化処理するときに使用される誤差を説明するための図である。
【図6】本例のプリンタにおける印刷処理を示すフローチャートである。
【図7】画像ブロック単位の2値化処理を示すフローチャートである。
【図8】周囲のドットに誤差が伝播される様子を示す図である。
【図9】本発明の画像処理方法を用いて双方向印刷する様子を示す図である。
【図10】ドットを拡大する際の処理を示すフローチャートである。
【図11】縦方向にドットを拡大する際の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 プリンタ
13 メモリ
15 画像処理装置
21 画素処理部
22 誤差データ入力部
22x X方向の誤差データ入力部(第1のデータ入力部)
22y Y方向の誤差データ入力部(第2のデータ入力部)
23 誤差データ出力部
23x X方向の誤差データ記憶部(第1のデータ出力部)
23y Y方向の誤差データ記憶部(第2のデータ出力部)
40 誤差処理部
50 2値化部
60 境界値処理部
Eg1 第1のブロック伝播誤差群
Eg2 第2のブロック伝播誤差群

Claims (7)

  1. 2次元画像を複数に分割した画像ブロックを構成する各ドットを2値化する際に、第1の方向に先行するドットから伝播する第1の誤差群および第2の方向に先行するドットから伝播する第2の誤差群を利用する画素処理工程を有し、この画素処理工程は、
    当該画像ブロックに対して先行して2値化された先の画像ブロックの誤差拡散の影響を受けるドットについては、前記第1の方向の前記先の画像ブロックを2値化する際に求められた第1のブロック伝播誤差群から前記第1の誤差群を選択可能とする第1の入力工程と、
    前記第2の方向の前記先の画像ブロックを2値化する際に求められた第2のブロック伝播誤差群から前記第2の誤差群を選択可能とする第2の入力工程と、
    当該画像ブロックに対して後で2値化される前記第1の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を前記第1のブロック伝播誤差群として記録する第1の出力工程と、
    前記第2の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を前記第2のブロック伝播誤差群として記録する第2の出力工程とを備えている画像処理方法。
  2. 請求項1において、前記画素処理工程では、前記第1の方向の前記先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差があれば、その誤差を当該画像ブロックの前記第2の方向に隣接するドットに伝播し、前記第2の方向の前記先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差があれば、その誤差を当該画像ブロックの前記第1の方向に隣接するドットに伝播する、画像処理方法。
  3. 2次元画像を複数に分割した画像ブロックを構成する各ドットを2値化する際に、第1の方向に先行するドットから伝播する第1の誤差群および第2の方向に先行するドットから伝播する第2の誤差群を利用する画素処理部と、
    当該画像ブロックに対して先行して2値化された先の画像ブロックの誤差拡散の影響を受けるドットについては、前記第1の方向の前記先の画像ブロックを2値化する際に求められた第1のブロック伝播誤差群から前記第1の誤差群を選択可能とする第1のデータ入力部と、
    前記第2の方向の前記先の画像ブロックを2値化する際に求められた第2のブロック伝播誤差群から前記第2の誤差群を選択可能とする第2のデータ入力部と、
    当該画像ブロックに対して後で2値化される前記第1の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を前記第1のブロック伝播誤差群として記録する第1のデータ出力部と、
    前記第2の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を前記第2のブロック伝播誤差群として記録する第2のデータ出力部とを有する画像処理装置。
  4. 請求項3において、前記第1の誤差群を格納する第1のメモリと、前記第2の誤差群を格納する第2のメモリとを有し、
    前記第1のデータ入力部は、前記第1のブロック伝播誤差群を前記第1のメモリにセットし、前記第2のデータ入力部は、前記第2のブロック伝播誤差群を第2のメモリにセットする画像処理装置。
  5. 請求項3において、前記画素処理部は、前記第1の方向の前記先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差があれば、その誤差を当該画像ブロックの前記第2の方向に隣接するドットに伝播し、前記第2の方向の前記先の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差があれば、その誤差を当該画像ブロックの前記第1の方向に隣接するドットに伝播する画像処理装置。
  6. 請求項3に記載の画像処理装置と、この画像処理装置により2値化された画像データを印刷する手段とを有する印刷装置。
  7. 2次元画像を複数に分割した画像ブロックを構成する各ドットを2値化する際に、第1の方向に先行するドットから伝播する第1の誤差群が記録された第1のメモリの値、および第2の方向に先行するドットから伝播する第2の誤差群が記録された第2のメモリの値を利用する画素処理工程をコンピュータで実行する命令を有し、さらに、この画素処理工程は、
    当該画像ブロックに対して先行して2値化された先の画像ブロックの誤差拡散の影響を受けるドットについては、前記第1の方向の前記先の画像ブロックを2値化する際に求められた第1のブロック伝播誤差群を前記第1のメモリにセットして前記第1の誤差群を利用可能とする第1の入力工程と、
    前記第2の方向の前記先の画像ブロックを2値化する際に求められた第2のブロック伝播誤差群を前記第2のメモリにセットして前記第2の誤差群を利用可能とする第2の入力工程と、
    当該画像ブロックに対して後で2値化される前記第1の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を前記第1のブロック伝播誤差群としてストレージに記録する第1の出力工程と、
    前記第2の方向の後の画像ブロックに含まれるドットに伝播する誤差を前記第2のブロック伝播誤差群としてストレージに記録する第2の出力工程とを備えている、画像処理用プログラム。
JP2003052179A 2003-02-28 2003-02-28 画像処理方法および画像処理装置 Pending JP2004260770A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003052179A JP2004260770A (ja) 2003-02-28 2003-02-28 画像処理方法および画像処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003052179A JP2004260770A (ja) 2003-02-28 2003-02-28 画像処理方法および画像処理装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004260770A true JP2004260770A (ja) 2004-09-16

Family

ID=33117110

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003052179A Pending JP2004260770A (ja) 2003-02-28 2003-02-28 画像処理方法および画像処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004260770A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007142798A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Seiko Epson Corp 画像処理装置、プリンタドライバ、印刷システム、プログラム
JP2007142797A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Seiko Epson Corp 画像処理装置、プリンタドライバ、印刷システム、プログラム
JP2010283786A (ja) * 2009-06-08 2010-12-16 Kyocera Mita Corp 画像処理装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007142798A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Seiko Epson Corp 画像処理装置、プリンタドライバ、印刷システム、プログラム
JP2007142797A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Seiko Epson Corp 画像処理装置、プリンタドライバ、印刷システム、プログラム
JP4544142B2 (ja) * 2005-11-18 2010-09-15 セイコーエプソン株式会社 画像処理装置、プリンタドライバ、印刷システム、プログラム
JP4544141B2 (ja) * 2005-11-18 2010-09-15 セイコーエプソン株式会社 画像処理装置、プリンタドライバ、印刷システム、プログラム
JP2010283786A (ja) * 2009-06-08 2010-12-16 Kyocera Mita Corp 画像処理装置
US8451499B2 (en) 2009-06-08 2013-05-28 Kyocera Document Solutions Inc. Multi-level image conversion using error-diffusion with improved speed by processing quadrangular image segments

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006129476A5 (ja)
US8947735B2 (en) Image processing apparatus and image processing method for performing error diffusion processing for each region of an image
JP7095545B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法、および印刷装置
JP4564986B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
JP3859122B2 (ja) ハーフトーン処理装置及びハーフトーン処理方法
JP2004260770A (ja) 画像処理方法および画像処理装置
JPH11112753A (ja) 画像処理装置
JP4086556B2 (ja) 画像処理装置およびその制御方法
US20090268226A1 (en) Image forming apparatus, control method thereof, and computer program
JP2022038519A (ja) 画像処理装置、印刷装置、印刷システムおよび画像処理方法
JP2003283829A (ja) 画像処理装置および方法
Trager et al. A GPU based implementation of Direct Multi-bit Search (DMS) screen algorithm
JP2004209989A5 (ja)
JP4753253B2 (ja) 画像処理装置
JP2004320374A (ja) 画像処理装置、画像処理方法、印刷装置、印刷方法及びプログラム
JP4125025B2 (ja) 画像処理装置
JP2007194955A (ja) 画像処理装置
US20120121201A1 (en) Image processing apparatus and image processing method
Venugopal et al. FPGA based parallel architecture implementation of Stacked Error Diffusion algorithm
JP2001150739A (ja) 印刷データ生成装置
JP2004064473A (ja) 閾値マトリクスの作成方法およびカラー画像データの作成装置
JP2005223462A (ja) プルーフ画像生成装置、プルーフ画像生成方法およびプログラム
JP4581775B2 (ja) 印刷装置
JPH0648850B2 (ja) 画像処理方法
JP6134593B2 (ja) 閾値マトリクス生成方法、画像データ生成方法、画像データ生成装置、画像記録装置、プログラムおよび閾値マトリクス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070719

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071109