JP2004259803A - 電子部品収納用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用して電子部品の特性に劣化を招来させる。
【解決手段】上面に電子部品7の搭載部を有する絶縁基体1に、搭載部を取り囲み、内側に電子部品7を収容する空所を形成するための枠体2を、間に電子部品7が電気的に接続される外部リード端子4を挟んで接合材5で接合して成り、枠体2の上面に蓋体3を封止材6で接合することによって空所に電子部品7を気密に封止する電子部品収納用容器であって、接合材5は、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%添加したものから成る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や圧電振動子等の電子部品を気密に封止して収納するための電子部品収納用容器に関し、特にガラスを溶着させて外部リード端子を容器に固定する電子部品収納用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子や圧電素子等の電子部品を収容するための電子部品収納用容器は、図2に断面図で示すように、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面の中央部に電子部品15を収容する空所を形成するための凹部11aを有し、上面の外周部にガラスから成る封止材14を被着させた絶縁基体11と、同じく電気絶縁材料から成り、その下面の中央部に電子部品15を収容する空所を形成するための凹部12aを有し、下面の外周部にガラスから成る封止材14を被着させた蓋体12と、内部に収容する電子部品15を外部の電気回路に電気的に接続するための鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成る外部リード端子13とから構成されており、絶縁基体11の上面に外部リード端子13を載置させるとともに予め被着させておいたガラスから成る封止材14を溶融させることによって外部リード端子13を絶縁基体11に仮止めし、次に絶縁基体11の凹部11a底面に半導体素子等の電子部品15を取着するとともに電子部品15の各電極をボンディングワイヤ16を介して外部リード端子13に接続し、しかる後、絶縁基体11と蓋体12とをその相対向する主面に被着させておいた各々の封止材14を溶融一体化させ、絶縁基体11と蓋体12とから成る容器17を封止することによって製品としての電子装置となる。
【0003】
なお、封止材14としては、従来一般に、酸化鉛56〜66質量%、酸化硼素4〜14質量%、酸化珪素1〜6質量%および酸化亜鉛0.5〜3質量%を含むガラス成分に、フィラーとしてコージェライト系化合物を外添加で9〜19質量%、チタン酸錫系化合物を外添加で10〜20質量%添加したものが使用されていた。しかしながら、かかる封止材14は人体に対し有害である鉛を主成分としていたため、最近では酸化錫−酸化亜鉛−燐酸系のガラスにフィラーとして低熱膨張係数のβ−ユークリプタイト固溶体や溶融石英等を外添加で5〜10質量%添加した鉛を使用しない(鉛フリー)ものが検討されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−121582号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、酸化錫−酸化亜鉛−燐酸系のガラスの軟化溶融温度が約430℃程度と高温度であること、近時の半導体素子をはじめとする電子部品は高密度化・高集積化に伴って耐熱性が低下してきたこと等から、絶縁基体と蓋体とを封止材を介して接合し、絶縁基体と蓋体とから成る容器内部に電子部品を気密に収容した場合、封止材を溶融させる熱が内部に収容する電子部品に作用して電子部品の特性に劣化を招来させ、電子部品を正常に作動させることができないという問題点を有していた。
【0006】
また、酸化錫−酸化亜鉛−燐酸系のガラスにフィラーとして低熱膨張係数のβ−ユークリプタイト固溶体や溶融石英等を外添加で5〜10質量%添加した封止材は、その線熱膨張係数が8.4×10−6〜9.6×10−6/℃であり、外部リード端子を形成する鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料の線熱膨張係数(4×10−6/℃程度)と大きく相違することから、絶縁基体と蓋体との間に外部リード端子を挟み込んで封止材を介して接合させる際、封止材と外部リード端子との間に各々の線熱膨張係数の相違に起因して応力が発生するとともに、その応力が封止材に作用して封止材にクラックが入ってしまい、その結果、電子部品収納用容器の気密封止が容易に破れ、内部に収容する電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができないという問題点を有していた。
【0007】
そこで、上記問題点を解消するために酸化錫−酸化亜鉛−燐酸系ガラスにβ−ユークリプタイト固溶体や溶融石英等のフィラーを外添加で50質量%以上添加し、封止材の線熱膨張係数を外部リード端子の線熱膨張係数に合わせることが考えられる。
【0008】
しかしながら、酸化錫−酸化亜鉛−燐酸系ガラスにβ−ユークリプタイト固溶体や溶融石英等のフィラーを外添加で50質量%以上添加すると封止材の流動性が大きく阻害され、その結果、封止材を介しての絶縁基体と蓋体との接合信頼性が劣化し、電子部品収納用容器の気密封止が容易に破れて内部に収容する電子部品を長期間にわたって正常かつ安定に作動させることができないという問題点が誘発されてしまう。
【0009】
また、従来の鉛−硼酸系の封止材は、1MHzにおけるガラスの誘電率が12以上と大きく外部リード端子間の静電容量が大きくなり、近時の信号の高速化に伴い静電容量によるノイズの発生が問題となってきている。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は絶縁基体と蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に封止し、電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる電子部品収納用容器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子部品収納用容器は、上面に電子部品の搭載部を有する絶縁基体に、前記搭載部を取り囲み、内側に前記電子部品を収容する空所を形成するための枠体を、間に前記電子部品が電気的に接続される外部リード端子を挟んで接合材で接合して成り、前記枠体の上面に蓋体を封止材で接合することによって前記空所に前記電子部品を気密に封止する電子部品収納用容器であって、前記接合材は、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%添加したものから成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の電子部品収納用容器によれば、外部リード端子を絶縁基体と枠体との間に接合する接合材を、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%したものとしたことから、接合材の線熱膨張係数が外部リード端子の線熱膨張係数に近似する5×10−6〜7×10−6/℃となり、その結果、接合材を介して絶縁基体と枠体とを間に外部リード端子を挟み込んで接合させる際、接合材と外部リード端子との間に各々線熱膨張係数の相違に起因して応力が発生することはなく、これによって封止部材にクラックが入るのが有効に防止され、電子部品収納用容器の気密封止を完全として内部に収容する電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0013】
また、本発明の電子部品収納用容器によれば、接合材の1MHzにおける誘電率が10以下であり、外部リード端子間の静電容量を低くすることが可能となり、電子部品作動中のノイズによる電子部品の誤動作を減少することが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の電子部品収納用容器によれば、枠体と蓋体とを封止する封止材に封止温度が400℃以下の低温ガラスや樹脂接着材を用いることが可能となるので、枠体と蓋体とを封止材を介して接合させ、電子部品収納用容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱によって電子部品の特性が劣化することはなく、電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の電子部品収納用容器を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の電子部品収納用容器を半導体素子を収容する半導体素子収容用パッケージに適用した場合の実施の形態の一例である。この図において、1は絶縁基体、2は枠体、3は蓋体、4は外部リード端子、5は接合材、6は封止材であり、主にこれらで本発明の電子部品収納用容器が構成されており、この容器に半導体素子7を収容することにより半導体装置と成る。
【0017】
絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成り、その上面に半導体素子7を搭載する搭載部1aが設けてあり、半導体素子7がガラスや樹脂・ろう材等から成る接着材を介して接着固定される。絶縁基体1は、その線熱膨張係数は、4×10−6〜8×10−6/℃の範囲にあり、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、40〜400℃における線熱膨張係数が7.2×10−6/℃程度の酸化アルミニウム90質量%、酸化珪素3質量%、酸化チタン2質量%、酸化マンガン2質量%、酸化鉄1質量%組成の酸化アルミニウム質焼結体や、40〜400℃における線熱膨張係数が6.8×10−6/℃程度の酸化アルミニウム93質量%、酸化珪素2質量%、酸化チタン2質量%、酸化マンガン2質量%、酸化鉄1質量%組成の酸化アルミニウム質焼結体が挙げられる。また、窒化アルミニウム質焼結体であれば、40〜400℃における線熱膨張係数が5.0×10−6/℃程度の窒化アルミニウム95質量%、酸化エルビニウム3質量%、酸化チタン1質量%、酸化カルシウム0.5質量%組成の窒化アルミニウム質焼結体が挙げられる。
【0018】
このような絶縁基体1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤等を添加混合して泥漿物を作り、この泥漿物を従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のシート成形法を採用しシート状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得、しかる後、それらセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに、これを必要に応じて複数枚積層し、約1600℃の高温で焼成することによって、あるいは酸化アルミニウム等の原料粉末に適当な有機溶剤・溶媒・有機バインダを添加混合して原料粉末を調整するとともに原料粉末をプレス成形技術によって所定形状に成形し、しかる後、成形体を約1600℃の温度で焼成することによって製作される。なお、絶縁基体1の外形寸法は、縦5〜50mm、横5〜50mm、高さ0.5〜3mm程度である。
【0019】
また、絶縁基体1の上面には、40〜400℃における線熱膨張係数が4×10−6〜7×10−6/℃程度の鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成る外部リード端子4の一端が接合材5を介して仮止めされている。外部リード端子4は鉄−ニッケル合金等のインゴットを従来周知の圧延加工法および打ち抜き加工法を採用し所定の板状に形成することによって製作される。
【0020】
外部リード端子4は、内部に収容する半導体素子7を外部電気回路基板の配線導体(図示せず)に接続する作用をなし、その一端には半導体素子7の各電極がボンディングワイヤ8を介して接続され、外部リード端子4を外部電気回路基板の配線導体に接続することによって半導体素子7は外部電気回路と電気的に接続されることとなる。
【0021】
このような外部リード端子4の材料としては、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金であれば、40〜400℃における線熱膨張係数が5.4×10−6/℃程度の鉄53質量%−ニッケル29質量%−18コバルト合金や、40〜400℃における線熱膨張係数が4.8×10−6/℃程度の鉄55質量%−ニッケル29質量%−16コバルト合金等が挙げられる。また、鉄−ニッケル合金であれば、40〜400℃における線熱膨張係数が6.9×10−6/℃程度の鉄56質量%−ニッケル44質量%合金や、40〜400℃における線熱膨張係数が4.4×10−6/℃程度の鉄58質量%−ニッケル42質量%合金等が挙げられる。なお、外部リード端子4は、その厚みが0.1〜0.2mm程度である。
【0022】
また、外部リード端子4が仮止めされた絶縁基体1はその上面に枠体2が、枠体2の下面に被着させた接合材5と絶縁基体1の上面に被着させた接合材5とを溶融一体化させることによって接合され、これによって絶縁基体1と枠体2とから成る容器内部に半導体素子7を収容する空間が形成されるとともに絶縁基体1と枠体2との間に外部リード端子4が固定される。
【0023】
枠体2は絶縁基体1と同様の材料・方法により製作され、例えば、酸化アルミニウム等の原料粉末に適当な有機溶剤・溶媒・有機バインダを添加して原料粉末を調整するとともにこの原料粉末をプレス成形によって所定形状に成型し、しかる後、この成形体を1600℃の温度で焼成することによって製作される。枠体2の線熱膨張係数は、4×10−6〜8×10−6/℃程度であり、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、40〜400℃における線熱膨張係数が7.2×10−6/℃程度の酸化アルミニウム90質量%、酸化珪素3質量%、酸化チタン2質量%、酸化マンガン2質量%、酸化鉄1質量%組成の酸化アルミニウム質焼結体や、40〜400℃における線熱膨張係数が6.8×10−6/℃程度の酸化アルミニウム93質量%、酸化珪素2質量%、酸化チタン2質量%、酸化マンガン2質量%、酸化鉄1質量%組成の酸化アルミニウム質焼結体等が挙げられる。また、窒化アルミニウム質焼結体であれば、40〜400℃における線熱膨張係数が5.0×10−6/℃程度の窒化アルミニウム95質量%、酸化エルビニウム3質量%、酸化チタン1質量%、酸化カルシウム0.5質量%組成の窒化アルミニウム質焼結体が挙げられる。なお、枠体2の外形寸法は、縦5〜50mm、横5〜50mm、高さ0.3〜2mm程度である。
【0024】
絶縁基体1と枠体2とを接合する接合材5は、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%外添加したものから成り、これに有機バインダや可塑材・溶剤を添加混合してガラスペーストを作り、このガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷法により絶縁基体1の上面と枠体2の下面とに印刷することにより、絶縁基体1の上面および枠体2の下面に被着される。
【0025】
なお、接合材5は、その厚みが0.15〜0.5mm程度であることが好ましく、接合材5の厚みが0.15mm未満の場合には、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に接合材5で固定した際に接合材5の量が不充分となり接合材5が容器の内側に偏在して、気密信頼性上の問題を引き起こす傾向がある。一方、接合材5の厚みが0.5mmを超える場合には、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に接合材5で固定した際に接合材5の量が多すぎて接合材5が外部リード端子4を伝って流れ出し、外部リード端子4に外力が加わった時に接合材5にクラックが入り気密信頼性上の問題を引き起こす傾向がある。
【0026】
また、接合材5は、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%と、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%添加したものから成り、その線熱膨張係数が5×10−6〜8×10−6/℃であり、外部リード端子4の線熱膨張係数に近似することから、接合材5を介して絶縁基体1と枠体2とを間に外部リード端子4を挟み込んで接合させる際、接合材5と外部リード端子4との間には各々の線熱膨張係数の相違に起因して大きな応力が発生することはなく、これによって接合材5にクラックが入るのが有効に防止され、半導体素子収納用パッケージの気密封止を完全として内部に収容する半導体素子7を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0027】
また、フィラーの添加量をガラス成分に対して外添加で20〜40質量%と少ない添加量としたことから、接合材5の流動性が添加されたフィラーによって阻害されることはなく、その結果、接合材5を介しての絶縁基体1と枠体2との接合信頼性は極めて高いものとなり、半導体素子7の気密封止を確実として半導体素子7を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。
【0028】
さらに、接合材5は、その1MHzにおける誘電率が10以下と低く、外部リード端子3間の静電容量を低くすることが可能となり、半導体素子7の作動中のノイズによる誤動作を防止することが可能となり半導体素子7を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることができる。また、接合材5は鉛を含有していないことから人体に害を与えることはなく、安心して使用することができる。
【0029】
なお、接合材5は、鉛を含有しない低融点ガラスから成り、その組成範囲については本件発明者らの実験によって、接合材5が酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%添加したものから成ることを特徴とする。
【0030】
接合材5に上述の組成のガラスを使用する場合、酸化ビスマス(Bi)の含有量が70質量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向があり、また、90質量%を超えると接合材5の耐薬品性が低下し、容器の気密封止の信頼性が大きく低下する傾向にある。従って、酸化ビスマスはその含有量が70〜90質量%の範囲に特定される。
【0031】
また、酸化硼素(B)は、その含有量が3質量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向があり、15質量%を超えると接合材5の耐薬品性が低下し、容器の気密封止の信頼性が大きく低下する傾向にある。従って、酸化硼素はその含有量が3〜15質量%の範囲に特定される。
【0032】
さらに、酸化バリウム(BaO)は、その含有量が2質量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向があり、8質量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が低下し、接合材5を介して容器を気密封止することが困難となる傾向がある。従って、酸化バリウムはその含有量が2〜8質量%の範囲に特定される。
【0033】
酸化銅(CuO)は、その含有量が1質量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向があり、3質量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が低下し、接合材5を介して容器を気密封止することが困難となる傾向がある。従って、酸化銅はその含有量が1〜3質量%の範囲に特定される。
【0034】
酸化アルミニウム(Al)は、その含有量が0.5質量%未満であるとガラスの耐湿性が低下し、接合材5を介しての容器の気密封止の信頼性が低下する傾向にあり、2質量%を超えるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向がある。従って、酸化アルミニウムはその含有量が0.5〜2質量%の範囲に特定される。
【0035】
酸化珪素(SiO)は、その含有量が0.5質量%未満であると接合材5の線熱膨張係数が大きくなって絶縁基体1および枠体2の線熱膨張係数と外部リード端子4の線熱膨張係数とが大きく相違して、容器の気密封止の信頼性が低下してしまう傾向があり、2質量%を超えるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向がある。従って、酸化珪素はその含有量が0.5〜2質量%の範囲に特定される。
【0036】
酸化亜鉛(ZnO)は、その含有量が0.5質量%未満であるとガラスの軟化溶融温度が高くなり、外部リード端子4を絶縁基体1と枠体2の間に低温で挟み込むことが困難となる傾向があり、2質量%を超えるとガラスの結晶化が進んで流動性が低下し、接合材5を介して容器を気密封止することが困難となる傾向がある。従って、酸化亜鉛はその含有量が0.5〜2質量%の範囲に特定される。
【0037】
さらに、フィラーとして添加されるウイレマイト系化合物は、その含有量が20質量%未満であると接合材5の強度が低下し、容器の気密封止の信頼性が大きく低下する傾向があり、また、40質量%を超えると接合材5の線熱膨張係数が小さくなって絶縁基体1および枠体2の線熱膨張係数と外部リード端子4の線熱膨張係数とが大きく相違して、容器の気密封止の信頼性が低下してしまう傾向がある。従って、ウイレマイト系化合物はその含有量が20〜40質%の範囲に特定される。
【0038】
また、枠体2は、その上面に蓋体3が封止材6を介して接合され、これによって容器内部に半導体素子7が気密に封止されることとなる。
【0039】
蓋体3は、酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料、あるいは鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成り、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合、酸化アルミニウムや酸化珪素・酸化マグネシウム・酸化カルシウム等の原料粉末を所定のプレス金型内に充填するとともに一定圧力で押圧して成形し、しかる後、この成型品を1600℃温度で焼成することによって製作される。また、鉄−ニッケル合金や鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属材料から成る場合は、外部リード端子3を製作する方法と同様の方法によって製作される。なお、蓋体3の外形寸法は、縦3〜40mm、横3〜40mm、高さ0.2〜1mm程度である。
【0040】
枠体2と蓋体3を封止する封止材6は、鉛を含まない低温ガラスまたは耐湿性に優れた樹脂接着剤から成り、鉛を含まない低温ガラスとしては、例えば五酸化燐20〜30質量%、酸化銀20〜40質量%、ヨウ化銀5〜20質量%、酸化ホウ素5〜15質量%、酸化亜鉛1〜6質量%を含むガラス成分にフィラーとして燐酸ジルコニウムと酸化ジルコニウムと酸化ニオブとの固溶体を外添加で10〜20質量%添加したものから成り、これに有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加混合させてガラスペーストを作成し、このガラスペーストをスクリーン印刷法により蓋体3の下面に塗布するとともに蓋体3を約300℃の温度に加熱することにより蓋体3に被着される。その後、蓋体3を枠体2の上面に載置するとともに約320℃の温度で封止材6を加熱溶融することにより、蓋体3が枠体2に封止接合される。
【0041】
封止材6は、その厚みが0.05〜0.3mm程度であり、その厚みが0.05mm未満の場合には、枠体2と蓋体3を封止する際に封止材6の量が不充分で封止材6が容器の内側に偏在して、気密信頼性上の問題を引き起こす傾向がある。一方、封止材6の厚みが0.3mmを超える場合には、枠体2と蓋体3を封止する際に封止材6が枠体2の外側にはみ出したり、蓋体3の上面に這い上がったりして、外部から物理的な力が封止材6に加わる可能性が高くなり、気密信頼性上の問題を引き起こす可能性が大きい。
【0042】
かくして、上述の半導体素子収納用パッケージによれば、絶縁基体1と枠体2との間に外部リード端子4を挟み接合材5を介して接合させ、さらに、絶縁基体1の搭載部に半導体素子7をガラスや樹脂・ろう材等の接着材を介して接着固定するとともに半導体素子7の各電極をボンディングワイヤ8により外部リード端子4に接続させ、しかる後、枠体2の上面に蓋体3を封止材6を介して気密に封止することによって絶縁基体1と枠体2と蓋体3とから成る容器内部に半導体素子7を気密に封止し、これによって最終製品としての半導体装置が完成する。
【0043】
【実施例】
効果の確認を行なうために、次の実験を行なった。なお、ここでは、主成分の酸化ビスマス、酸化硼素および外添加のフィラー添加量について決定した実験例を示す。
【0044】
まず、各構成要素の質量%を変化させてガラスを作製した。そして、各ガラスを用いた容器の気密信頼性を評価するために、熱衝撃試験1000サイクル後の封止容器のヘリウムガスリークテストを実施した。
【0045】
(実験1)
酸化ビスマスを69〜92質量%の間で変化させ、その他の構成要素を加えて合計が100質量%となるように調合(小数点2桁以下を四捨五入)した。この時の実験結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004259803
【0047】
実験結果より、酸化ビスマスについては、70〜90質量%の範囲で良好な気密性信頼性を示すことがわかった。
【0048】
次に、酸化硼素および酸化ビスマスについて、次の実験を行なった。
【0049】
(実験2)
酸化ビスマスの含有量を70〜90質量%の範囲とし、酸化硼素の含有量を1〜17質量%の間で変化させ、その他の構成要素を加えて合計が100質量%となるように調合(小数点2桁以下を四捨五入)した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 2004259803
【0051】
実験結果より、酸化硼素については、3〜15質量%の範囲で良好な気密性信頼性を示すことがわかった。
【0052】
また、微量元素においても同種の実験を行ない、接合材が酸化ビスマス70〜90質量%と、酸化硼素3〜15質量%と、酸化バリウム2〜8質量%と、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%、酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラスの場合において、良好な気密性信頼性を示すことがわかり、本発明の効果を確認することができた。
【0053】
(実験3)
さらに、ガラス組成を一定にし、フィラー添加量を変化させての同様の実験を行なった。評価結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 2004259803
【0055】
フィラーとしては、ウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%添加した場合において良好な気密性信頼性が得られることがわかった。
【0056】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では絶縁基体の材料として酸化アルミニウム質焼結体を例示したが、容器の熱放散性が要求される場合には熱伝導率が高い窒化アルミニウム質焼結体を、また電気信号の高速伝播が要求される場合は誘電率の低いムライト質焼結体を用いるとよい。
【0057】
【発明の効果】
本発明の電子部品収納用容器によれば、外部リード端子を絶縁基体と枠体との間に接合する接合材を、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%したものとしたことから、接合材の線熱膨張係数が外部リード端子の線熱膨張係数に近似する5×10−6〜7×10−6/℃となり、その結果、接合材を介して絶縁基体と枠体とを間に外部リード端子を挟み込んで接合させる際、接合材と外部リード端子との間に各々線熱膨張係数の相違に起因して応力が発生することはなく、これによって封止部材にクラックが入るのが有効に防止され、電子部品収納用容器の気密封止を完全として内部に収容する電子部品を長期間にわたり正常、かつ安定に作動させることが可能となる。
【0058】
また、本発明の電子部品収納用容器によれば、接合材の1MHzにおける誘電率が10以下であり、外部リード端子間の静電容量を低くすることが可能となり、電子部品作動中のノイズによる電子部品の誤動作を減少することが可能となる。
【0059】
さらに、本発明の電子部品収納用容器によれば、枠体と蓋体とを封止する封止材に封止温度が400℃以下の低温ガラスや樹脂接着材を用いることが可能となるので、枠体と蓋体とを封止材を介して接合させ、電子部品収納用容器内部に電子部品を気密に収容する際、封止材を溶融させる熱によって電子部品の特性が劣化することはなく、電子部品を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品収納容器の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来の電子部品収納容器の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・絶縁基体
2・・・・・・・・枠体
3・・・・・・・・蓋体
4・・・・・・・・外部リード端子
5・・・・・・・・接合材
6・・・・・・・・封止材
7・・・・・・・・電子部品(半導体素子)

Claims (1)

  1. 上面に電子部品の搭載部を有する絶縁基体に、前記搭載部を取り囲み、内側に前記電子部品を収容する空所を形成するための枠体を、間に前記電子部品が電気的に接続される外部リード端子を挟んで接合材で接合して成り、前記枠体の上面に蓋体を封止材で接合することによって前記空所に前記電子部品を気密に封止する電子部品収納用容器であって、前記接合材は、酸化ビスマス70〜90質量%、酸化硼素3〜15質量%、酸化バリウム2〜8質量%、酸化銅1〜3質量%、酸化アルミニウム0.5〜2質量%、酸化珪素0.5〜2質量%および酸化亜鉛0.5〜2質量%を含むガラス成分にフィラーとしてウイレマイト系化合物を外添加で20〜40質量%添加したものから成ることを特徴とする電子部品収納用容器。
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