JP2004259787A - 軟磁性部材、電磁波制御シート及び軟磁性部材の製造方法 - Google Patents

軟磁性部材、電磁波制御シート及び軟磁性部材の製造方法 Download PDF

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康雄 橋本
Akira Kakinuma
朗 柿沼
Katsuhiko Wakayama
勝彦 若山
Kazunori Tazaki
和則 田崎
Yasushi Iijima
康 飯島
Tsutomu Cho
勤 長
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Abstract

【課題】磁界中熱処理を施して誘導異方性を付与する、あるいは微細パターンを形成して形状異方性を付与するといった処理を行なうことなく、GHz帯域での高透磁率化を達成すること、さらには硬い基板材料を用いることのない軟磁性部材を得ることを目的とする。
【解決手段】樹脂フィルムと、樹脂フィルム上に形成された下地金属層3と、下地金属層3上に形成された軟磁性金属層4aとを備えている。軟磁性金属層4aは、下地金属層3側に他の領域よりもFe濃度が高く飽和磁束密度の大きい領域が形成されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ギガ・ヘルツ(GHz)帯域のような高周波域で大きな複素透磁率を示す軟磁性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報通信機器は小型化・高周波化の傾向にあり、これまでは誘電率を制御した素子の高性能化が図られてきた。一方で、近傍界の電磁波を利用して効率改善を図る場合は、透磁率を利用した高性能化が期待できる。従来、磁性体の透磁率はGHz帯域においてそれ以下の帯域に比べて一桁のオーダーで小さな値しか示さないことから、透磁率を積極的に利用されることはなく、高周波部品には専ら誘電体が使用されてきた。しかしながら、アンテナを含む高周波部品では、誘電率の利用による特性改善に限界が現れてきており、飛躍的な効率改善を望むことは困難である。
【0003】
一方、GHz帯域といった高周波における透磁率を改善する研究も進められている。
例えば、イオンビームスパッタ法により、基板上に磁性体層と非磁性体層(SiO)とを交互に積層した構造をなす多層膜がGHz帯域で優れた複素透磁率を示すことが知られている(千田、永井、石井、道上、NTT R&D,Vol.42 No.5(1993),pp689−696)。ここで、高透磁率を実現するためには磁歪が小さいほうが有利である。そのために、例えば、Fe(磁歪:負)とNiFe合金(磁歪:正)とを相互拡散させることにより磁歪を小さく制御した磁性体層が提案されている。また、CoNbZr膜のように磁歪の小さな膜に磁界中熱処理を施して誘導異方性を付与し、GHzといった高周波帯域まで高い透磁率を保つ工夫がなされている。なお、異方性は、磁界中熱処理を施す以外に微細パターンを形成することによっても付与することができる(末沢、山口、荒井、島田、田邉、伊藤,日本応用磁気学会誌,Vol.24(2000)pp731−734)。
【0004】
【非特許文献1】NTT R&D,Vol.42 No.5(1993),pp689−696
【非特許文献2】日本応用磁気学会誌,Vol.24(2000),pp731−734
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のGHz帯域での高透磁率化の手法は、基板上に軟磁性膜を成膜した後に、磁界中熱処理を施して誘導異方性を付与する、あるいは微細パターンを形成して形状異方性を付与することにより、異方性磁界を大きくして高周波化するものである。しかしながら以上の手法は、硬い基板材料を使用する必要があり、さらに異方性を付与するために高価な熱処理や加工を施す必要がある。そのために、形状や価格の制約が厳しく、実用化の障害となる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、磁界中熱処理を施して誘導異方性を付与する、あるいは微細パターンを形成して形状異方性を付与するといった処理を行なうことなく、GHz帯域での高透磁率化を達成すること、さらには硬い基板材料を用いることのない軟磁性部材の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁層と、絶縁層に対向して配置された下地金属層と、下地金属層上に配設された軟磁性金属層と、を備えた軟磁性部材であって、軟磁性金属層の下地金属層側に他の領域よりも飽和磁束密度の大きい領域が形成されていることを特徴としている。
本発明の軟磁性部材は、その軟磁性金属層の下地金属層に近い部分の飽和磁束密度が高いため、軟磁性金属層と下地金属層との磁気結合を強くすることができる。したがって、下地金属層が、軟磁性金属層よりも異方性磁界が大きい材料で構成されていると、軟磁性金属層の異方性磁界を大きくすることができる。ここで、共鳴周波数は異方性磁界の平方根に比例する関係を有しているから、本発明の構成を採用することにより、GHz帯域での高透磁率化を達成することができる。この効果を享受するために、本発明の軟磁性金属層における他の領域は、飽和磁束密度の大きい領域よりも透磁率が高い材料で構成されていることが望ましい。
【0007】
軟磁性金属の典型例としてFeを含む合金がある。この合金は、Feの濃度によってその飽和磁束密度が変動する。具体的には、Fe濃度が大きいほど飽和磁束密度が大きくなる。ここで、軟磁性金属層が所定組成のFe−Ni合金から構成されているとすると、所定組成よりもFe濃度の大きい合金領域を下地金属層との間に設ければ、当該領域は所定組成のFe−Ni合金が存在する領域よりも飽和磁束密度が大きいから、下地金属層と軟磁性金属層との磁気結合を向上させることができる。したがって本発明は、樹脂材料から構成される第1の領域と、第1の領域に対向して配置され、Feを含み軟磁性を発現する合金から構成される第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に配置され、第2の領域よりも異方性磁界の大きい金属材料で構成される第3の領域と、第2の領域と第3の領域との間に配置され、第2の領域よりFe濃度の高い第4の領域と、を備えることを特徴とする軟磁性部材をも提供する。
本発明の軟磁性部材は、第2の領域と第3の領域との間に第2の領域よりFe濃度の高い第4の領域が配置されているため、第4の領域と第3の領域の磁気的な結合を高くすることができる。
また、本発明の軟磁性部材は、第1の領域が樹脂材料から構成されているため可撓性を有し、種々の機器に配設する場合の取り扱いが容易である。
【0008】
本発明において第2の領域及び第4の領域を、Ni及びCoの1種又は2種とFeとを含む合金から構成することができる。つまり、本発明において、第4の領域が軟磁性を発現することを包含する。その場合であっても、第4の領域のほうが第2の領域よりもFe濃度が大きいことが前提となる。
【0009】
上記のように、第2の領域及び第4の領域が、Ni及びCoの1種又は2種とFeとを含む合金から構成することができるが、さらに第2の領域及び第4の領域が構成元素の一致する合金から構成することができる。例えば、第2の領域及び第4の領域を電解めっきにより形成する場合に、同一のめっき浴を用い、めっき条件を制御することにより第2の領域よりもFe濃度の大きい第4の領域を形成することができる。このとき、第2の領域及び第4の領域は、構成元素の一致する合金により構成される。このように、本発明によれば、1度の電解めっき処理により、構成元素の一致する合金により構成される第2の領域及び第4の領域を形成することができる。ただし、本発明は、第2の領域と第4の領域が異なる構成元素の金属(合金)から構成されていてもよいことは言うまでもない。
【0010】
後述するように、第4の領域におけるFe濃度が第3の領域に向けて連続的に増加する形態とすることができる。この形態を採用することにより、異方性磁界の大きさを制御して複素透磁率の周波数特性を制御できる。また、軟磁性金属膜表面のFe濃度が相対的に低くくなるため耐食性を改善できる。
本発明の軟磁性部材において、第2の領域及び第4の領域にNi及びCoの1種又は2種とFeとを含む合金を採用する場合、第3の領域をNi又は所定組成のNi合金から構成することができる。
本発明の軟磁性部材は、第1の領域〜第4の領域を含むユニットを単体として使用することができるし、このユニットを複数積層して使用することもできる。
【0011】
本発明の軟磁性部材は、例えば携帯電話機の内部に配設されることにより、アンテナから発せられる電磁波の電話機外部への放射効率改善に寄与することができる。したがって、本発明の軟磁性部材は、電磁波制御シートとして成立する。そしてこの電磁波制御シートは、可撓性を有する基体と、基体に支持される導電金属層と、導電金属層に支持されるFe−Ni系合金からなる軟磁性金属層と、を備え、導電金属層と軟磁性金属層との間に、導電金属層と軟磁性金属層との磁気的な結合を向上させる組成物が介在し、基体の厚さが25μm以下、導電金属層の厚さが100nm以下、軟磁性金属層の厚さが1μm以下であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の軟磁性部材は、樹脂フィルムに導電性金属膜を形成する工程(a)と、導電性金属膜上にFeを含む軟磁性金属膜を電解めっきにより形成する工程(b)とを備え、工程(b)において、軟磁性金属膜中の平均濃度よりもFe濃度の高い領域を軟磁性金属膜における導電性金属膜との界面側に形成する軟磁性部材の製造方法によって製造することができる。ここで、軟磁性金属膜のFe濃度が、導電性金属膜との界面位置から離れるにしたがい連続的に減少するように設定された条件で電解めっきを行なうことにより、軟磁性金属膜中の平均濃度よりもFe濃度の高い領域を軟磁性金属膜における導電性金属膜との界面側に形成することができる。例えば、電解めっき時の撹拌条件を連続的に変化させる、あるいは電流密度を連続的に変化させるといった条件で電解めっきを行なう。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明にかかる軟磁性部材(電磁波制御シート)の構成例を示す部分断面図である。また、図2〜図5は軟磁性部材を構成する軟磁性金属層の構成例を示す部分断面図である。
図1に示す軟磁性部材1は、樹脂フィルム2と、樹脂フィルム2上に形成された下地金属層3と、下地金属層3上に形成された軟磁性金属層4とから構成される。
絶縁層として機能する樹脂フィルム2は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリイミド、PPS(ポニフェニレンサルファイド)、フッ素樹脂、シリコーン樹脂を用いることができる。その中で、後述するように積層軟磁性部材の製造過程で熱処理を施す場合には、耐熱性を有する樹脂材料を用いることが望ましい。
【0015】
軟磁性金属層4は、磁性を示す遷移金属元素のいずれか、あるいは遷移金属元素と他の金属元素とからなる合金により構成することができる。具体的な例としては、Fe、Ni及びCoの1種又は2種を主成分とする合金であり、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni−Co系合金、Co−Ni系合金が該当する。これらの中で、飽和磁束密度が1.0T、さらには1.5T以上の合金が望ましい。特にこの中で、Fe含有量が20〜80wt%(望ましくは30〜70wt%、さらに望ましくは40〜65wt%)のFe−Ni合金、Fe−Co合金及びFe−Co−Ni合金が望ましい。この組成系の合金は、飽和磁束密度が大きく、異方性制御により異方性磁界を増大させて、共鳴周波数を高周波側へシフトさせるのに有利である。これら合金に15at%以下のNb,Mo,Ta,W,Zr,Mn,Ti,Cr,Cu,Coの1種以上を含有することができる。また、軟磁性金属層4をめっき(電解又は無電解)で形成する場合にはC及びS等の元素を不可避的に含むが、本発明の軟磁性金属層4は、そのような元素の含有を許容する。
【0016】
軟磁性金属層4は、結晶質合金及び非晶質合金のいずれの態様であっても構わない。非晶質合金としては、Co系及びFe系の非晶質合金を用いることができる。また、Fe系の微結晶合金を用いることも本発明は包含する。微結晶合金は、一般的に、結晶粒径が10nm程度の微細な結晶が主体をなす合金として知られている。
軟磁性金属層4は、めっき、真空蒸着法、スパッタリング法等の各種の膜形成プロセスによって作成することができる。これらの膜形成プロセスは、単独で行なうことができる。したがって、めっきのみで軟磁性金属層4を形成することもできるし、蒸着のみで軟磁性金属層4を形成することもできる。もちろん、複数の膜形成プロセスを組み合わせることもできる。めっきは、真空蒸着法、スパッタリング法に比べて低温で膜を形成することができる点で本発明にとって好適である。特に、軟磁性金属層4を樹脂フィルム2上に形成する場合に、樹脂フィルム2に熱的な影響を与えないことが望ましいからである。また、めっきは、スパッタリング法に比べて、所定の厚さの膜を短時間で得ることができるメリットがある。なお、めっきにより軟磁性金属層4を得る場合、めっき浴中に含まれているS等の元素が軟磁性金属層4に混入することから、他のプロセスによる軟磁性金属層4との区別ができる。
【0017】
本発明において、軟磁性金属層4は、下地金属層3に臨む側にFeに富む(Feリッチ)領域が配設されている。
図2は、軟磁性金属層4aの一構成例を示している。図2に示す軟磁性金属層4aは、電磁軟鉄層4a1とFe−Ni合金層4a2とから構成されており、電磁軟鉄層4a1が下地金属層3側に配置されている。Fe−Ni合金層4a2に比べて電磁軟鉄層4a1はFe濃度が多いから、図2に示す軟磁性金属層4aは、下地金属層3に臨む側にFeリッチ領域が設けられていることになる。また、電磁軟鉄(飽和磁束密度:2T、透磁率:200)はFe−Ni合金(例えば、19wt%Fe−81wt%Ni合金の組成で飽和磁束密度:1T、透磁率:2500)よりも飽和磁束密度が高いから、図2に示す軟磁性金属層4aは、下地金属層3に臨む側に他の領域よりも飽和磁束密度の高い領域が設けてある。
【0018】
本発明において、下地金属層3に臨む側にFeリッチ領域、換言すれば他の領域よりも飽和磁束密度の高い領域を設けたことにより、例えば下地金属層3を異方性磁界の大きいNiで構成した場合、下地金属層3と軟磁性金属層4(4a)の磁気的な結合が強くなり、μ”の広帯域化、あるいは、μ”のピーク値の高周波化などの制御が可能となる。
【0019】
図3は、軟磁性金属層4bの他の構成例を示している。図3に示す軟磁性金属層4bは、構成元素の一致する61wt%Fe−39wt%Ni合金層4b1と19wt%Fe−81wt%Ni合金層4b2とから構成されており、61wt%Fe−39wt%Ni合金層4b1が下地金属層3側に配置されている。19wt%Fe−81wt%Ni合金に比べて61wt%Fe−39wt%Ni合金はFe含有量が多いから、図3に示す軟磁性金属層4bも、下地金属層3に臨む側にFeリッチ領域が設けられていることになる。また、61wt%Fe−39wt%Ni合金(飽和磁束密度:1.6T、透磁率:1500)は19wt%Fe−81wt%Ni合金(飽和磁束密度:1T、透磁率:2500)よりも飽和磁束密度が高いから、図3に示す軟磁性金属層4bは、下地金属層3に臨む側に他の領域よりも飽和磁束密度の高い領域が設けられていることになる。
【0020】
図4は、軟磁性金属層4cの他の構成例を示している。軟磁性金属層4cは、50wt%Fe−50wt%Co合金(所謂、パーメンジュール)層4c1と19wt%Fe−81wt%Ni合金層4c2とから構成されており、50wt%Fe−50wt%Co合金層4c1が下地金属層3側に配置されている。19wt%Fe−81wt%Ni合金層4c2に比べて50wt%Fe−50wt%Co合金層4c1はFe濃度が多いから、図4に示す軟磁性金属層4cも、下地金属層3に臨む側にFeリッチ領域が設けられていることになる。また、50wt%Fe−50wt%Co合金(飽和磁束密度:2.4T、透磁率:1000)は19wt%Fe−81wt%Ni合金(飽和磁束密度:1T、透磁率:2500)よりも飽和磁束密度が高いから、図4に示す軟磁性金属層4cは、下地金属層3に臨む側に他の領域よりも飽和磁束密度の高い領域が設けてある。
【0021】
図5は、軟磁性金属層4の他の構成例を示す図であって、下地金属層3との界面からの距離と軟磁性金属層4d中のFe濃度を示すグラフである。図2〜図4に示した例は、組成の異なる2つの金属(合金)層から軟磁性金属層4a,4b,4cを構成することを前提とした。しかし、図5に示す例は、基本的には単一の軟磁性合金から軟磁性金属層4dを構成しつつ、その層の中でFeリッチな領域を形成するものである。なお、図5は、軟磁性金属層4dにおける下地金属層3の界面からの距離を横軸に、軟磁性金属層4dにおけるFe濃度を縦軸とするグラフである。
図5において太い実線はFeの平均濃度を示している。図5において細い実線(d1)が軟磁性金属層4d中のFe濃度を示している。図5に示すように、軟磁性金属層4dは、下地金属層3との界面におけるFe濃度が最も高く、この界面から離れるにしたがってFe濃度が連続的に減少している。したがって、図5に示す軟磁性金属層4dも、下地金属層3に臨む側にFeリッチ領域が設けられていることになる。ここで、Fe−Ni合金は、Fe量が多いほど飽和磁束密度が高くなり、下地金属層3に臨む側に他の領域よりも飽和磁束密度の高い領域が設けられている。なお、図5の一点鎖線(d2)で示すように、下地金属層3との界面におけるFe濃度が最も高く、この界面から離れるにしたがってFe濃度が連続的に減少するが、ある位置からFe濃度がほぼ一定になる形態であってもよい。さらに、図5の点線(d3)で示すように、下地金属層3との界面から所定位置までほぼ一定のFe濃度を示し、当該所定位置を過ぎると前記ほぼ一定のFe濃度より低いほぼ一定のFe濃度を示す形態であってもよい。
以上のように、本発明は、軟磁性金属層4a、4b、4cのようにFe濃度が断続的に変化する形態に限らず、軟磁性金属層4d(d1,d2)のようにFe濃度が連続的に変化する形態をも包含している。また、本発明は、軟磁性金属層4を、Fe−Ni合金とFe−Co合金の組み合せ、Fe−Ni合金とFe−Ni−Co合金の組み合せ等、種々の金属、合金の組み合せによって構成することができるし、軟磁性金属層4dのように、実質的に同一の合金によって構成することもできる。
【0022】
下地金属層3として、軟磁性金属層4よりも保磁力(異方性磁界)が大きい材質を選択することが望ましい。そうすることにより、軟磁性金属層4の異方性磁界を増大させて、GHz帯域の強磁性共鳴周波数を大きくできる。その結果、2GHz付近のμ’(複素透磁率の実数部分)を増大させ、同時にμ”(複素透磁率の虚数部分)を低減することができる。携帯通信機器が使用する周波数帯域では、μ’が大きくμ”が小さいほど電磁波の放射効率改善効果が大きい。なお、下地金属層3と同様の材質からなる層を、軟磁性金属層4上に形成してもGHz帯域の透磁率改善効果が望める。軟磁性金属層4がFe−Ni合金の場合、下地金属層3として純Niを用いることが望ましい。
【0023】
下地金属層3は、軟磁性金属層4の異方性磁界を高める他、軟磁性金属層4を電解めっきによって樹脂フィルム2上に形成する場合に必要となる導電層としての役割も果たす。
下地金属層3は、例えば、真空蒸着法、あるいは無電解めっきにより形成することができる。
【0024】
次に、軟磁性部材1の厚さについて説明する。
樹脂フィルム2の厚さは、50μm以下とする。樹脂フィルム2は、軟磁性部材1の基体として機能するほか、軟磁性部材1を積層した際に軟磁性金属層4同士を絶縁する機能を果たす。しかし、この絶縁層が厚くなると軟磁性金属層4の占積率が低下し、ひいては軟磁性部材1としての透磁率が低下するため50μm以下とする。望ましい樹脂フィルム2の厚さは25μm以下、さらに望ましい樹脂フィルム2の厚さは10μm以下である。もっとも、極端に薄い樹脂フィルム2は製造が困難であるとともに、軟磁性金属層4を形成するための所定の強度を持つことができなくなる。したがって、0.2μm以上、あるいは2μm以上の厚さとすることが推奨される。なお、本発明に用いられる樹脂フィルム2は可撓性を有しているため、これを含む軟磁性部材1を種々の機器に配設する際の取り扱いが容易である。
【0025】
軟磁性金属層4は、1μm以下の厚さとすることが望ましい。これを超える厚さでは、本発明が対象とする800MHzを超える高周波数帯域での渦電流損失が大きくなり、磁性体としての機能が減じてしまうからである。したがって、軟磁性金属層4の厚さは、0.5μm以下とすることがさらに望ましい。軟磁性金属層4は、緻密に形成されているのが望ましいため、各種プロセスによって緻密な膜を形成することができる程度の最低限の膜厚を有していることが必要である。なお、軟磁性金属層4の表面に酸化膜が形成されていてもよい。
【0026】
下地金属層3は、軟磁性金属層4の異方性磁界向上の機能と、電解めっき時には導電層として機能すれば足りるので、100nm以下の厚さを有していればよい。なお、下地金属層3と樹脂フィルム2との間には、例えば金属酸化層又は接着剤層が介在してもよい。また、下地金属層3の表面、つまり下地金属層3と軟磁性金属層4との間には金属酸化層が存在していてもよい。電気抵抗の大きな金属酸化層が介在することで、下地金属層3と軟磁性金属層4との間の磁気的結合はやや弱くなるが、膜断面方向の電気抵抗が増大して渦電流を低減する効果がある。金属酸化層の厚さが厚すぎるとめっきが難しくなるので、その厚さを40nm以下、望ましくは20nm以下、さらに望ましくは10nm以下とする。この金属酸化層は、下地金属層3を形成した後に大気に晒すことにより形成することができる。軟磁性金属層4の表面に形成される金属酸化層も同様である。
【0027】
図1に示した軟磁性部材1は、樹脂フィルム2の片面に下地金属層3及び軟磁性金属層4を形成した例を示している。本発明では、樹脂フィルム2の表裏両面に下地金属層3及び軟磁性金属層4を形成することもできる。
また、図1に示した例では、絶縁層として樹脂フィルム2を用いた例を示したが、本発明は樹脂フィルム2以外の素材を用いることを排除するものではない。例えば、セラミックス材料を絶縁層として用いることもできる。
【0028】
次に、本発明において、以上で説明した軟磁性部材1を単体で使用することができるし、複数の軟磁性部材1を積層して使用することもできる。以下、軟磁性部材1を複数積層した形態の部材を積層軟磁性部材20ということにする。
図6は本実施の形態による積層軟磁性部材20の一例を示す断面図である。図6に示すように、積層軟磁性部材20は、樹脂フィルム2、下地金属層3及び軟磁性金属層4が交互に積層された断面構造を有している。ここで、積層軟磁性部材20全体としての厚さは、0.2mm以下とすることが重要である。前述のように、携帯電話機にシート状の積層軟磁性部材20を貼り付ける場合には、携帯電話機のサイズに対応する必要があるからである。より望ましい厚さは、0.15mm以下、さらには0.1mm以下である。なお、積層軟磁性部材20において、樹脂フィルム2、下地金属層3及び軟磁性金属層4からなるユニットの積層の順序が異なる部位がふくまれていてもよい。
【0029】
図1に示した軟磁性部材1を積層することにより積層軟磁性部材20を得ることができる。
軟磁性部材1の樹脂フィルム2が絶縁層を構成するので、絶縁層の厚さは50μm以下となる。もっとも、軟磁性部材1を積層する場合に接着剤を層間に介在させると、絶縁層が樹脂フィルム2の厚さより厚くなる場合がある。したがって、接着剤を用いる場合には、絶縁層の厚さが50μm以下となるように樹脂フィルム2の厚さを定める必要がある。このとき、接着剤が樹脂で形成されていると、接着剤層も絶縁層を構成することになる。なお、軟磁性金属層4が表面に露出しないように、最上層の軟磁性金属層4上に絶縁層を配設することができる。
また、積層軟磁性部材20の表面のいずれか一方に、粘着剤又は両面粘着テープを設けることができる。携帯電話機等の機器に積層軟磁性部材20を貼り付ける際の便宜のためである。
【0030】
以下、図7に基づいて、積層軟磁性部材20を得るのに好適な製造方法を説明する。
図7において、はじめに樹脂フィルム2に、例えば、真空蒸着法により下地金属層3を形成する(図7(a))。
下地金属層3を形成した後、例えば電解めっきにより軟磁性金属層4を下地金属層3上に形成することによって、図1に示した軟磁性部材1を得ることができる(図7(b))。
軟磁性部材1を所定の枚数作成し、各軟磁性部材1の樹脂フィルム2と軟磁性金属層4とを対向させた状態で積層することにより、図6に示した積層軟磁性部材20を得ることができる(図7(c))。
【0031】
軟磁性部材1同士の接合は、軟磁性部材1間に例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の接着剤を配置して行なうことができる。接着剤の粘度は、1000cP以下、望ましくは300cP以下、さらに望ましくは200cP以下とする。溶剤を加えた接着剤を軟磁性部材1に塗布し、その後接着剤が粘着性を保持する程度まで溶剤を蒸発させ、しかる後に軟磁性部材1を積層する。軟磁性部材1を構成する樹脂フィルム2の静電気により、接着剤を用いることなく積層状態を維持することもできる。この場合、接合強度を向上するために、軟磁性部材1を積層後に、接着剤に浸漬して外周部のみを接着することもできる。また、接着剤層は絶縁層として機能するので、軟磁性金属層4同士を対向させた状態、又は樹脂フィルム2同士を対抗させた状態で積層してもよい。
【0032】
積層軟磁性部材20を得た後に、応力緩和熱処理を行なうことにより、磁気特性の向上を図ることもできる。応力緩和熱処理は、例えば軟磁性部材1同士の接合に接着剤を用いた場合には、接着剤の乾燥のための加熱を兼ねて行なうこともできる。応力緩和熱処理を行なう場合には、樹脂フィルム2に耐熱性に優れたポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂又はPPS(ポニフェニレンサルファイド)樹脂を用いることが望ましい。
また、樹脂フィルム2にPET(ポリエチレンテレフタレート)又はPBT(ポリブチレンテレフタレート)を使用する場合、加熱処理による収縮応力を利用して誘導異方性を付与することにより、磁気特性の向上を図ることもできる。
また、積層軟磁性部材20は、温間プレス加工によって、所望する形状に加工することもできる。さらに、切断を行なって、所望する寸法に加工することもできる。
【0033】
次に、積層軟磁性部材20を得るための他の製造方法を図8に基づいて説明する。
図8において、はじめに樹脂フィルム2に、例えば、真空蒸着法により下地金属層3を形成する(図8(a))。下地金属層3を形成した後、例えば電解めっきにより軟磁性金属層4を下地金属層3上に形成する(図8(b))。ここまでの工程は、図7に示した製造方法と同様である。
次に、軟磁性金属層4上に熱融着のための樹脂層5を形成する(図8(c))。樹脂層5の形成は、塗布、スプレー等の種々の手法で行なうことができる。
樹脂層5を形成した後に、樹脂フィルム2を剥離、除去することにより、下地金属層3、軟磁性金属層4及び樹脂層5とが積層された軟磁性部材10を得る(図8(d))。下地金属層3に対する樹脂フィルム2の密着強度よりも軟磁性金属層4に対する樹脂層5の密着強度を高くすれば、樹脂フィルム2の剥離は比較的に容易に行なうことができる。
【0034】
軟磁性部材10を所定の枚数作成し、各軟磁性部材10の樹脂層5と下地金属層3とを対向させた状態で積層することにより、積層軟磁性部材20を得ることができる(図8(e))。
軟磁性部材10同士の接合は、樹脂層5を用いて行なうことができる。つまり、各軟磁性部材10の樹脂層5と軟磁性金属層4とを対向させた状態で積層した後に、所定の加熱処理を施して樹脂層5を溶融、硬化させることにより、隣接する軟磁性部材10同士の接合強度を確保することができる。また、図8では複数の軟磁性部材10を作成した後にそれらを積層する例を示したが、樹脂フィルム2の剥離及び樹脂層5の形成を連続的に行い、かつシート体を巻回して巻回体を得ることももちろんできる。
なお、以上では樹脂層5を熱融着することによって軟磁性部材10を接合したが、軟磁性部材10を樹脂層5の熱圧着による接合を行なうことができる。例えば、樹脂層5としてPETを選択して150〜300℃程度の温度に加熱した状態で所定の圧力を付与することにより、熱圧着された樹脂層5によって軟磁性部材10同士を接合することができる。
また、本発明における軟磁性部材10の接合は、図8に基づいて説明したように、接着剤を用いることもでき、この場合接合時の加熱処理は不要である。
【0035】
以下本発明をより具体的な例に基づいて説明する。
絶縁層である13μmのPETフィルム上に蒸着法で下地金属層としてNi膜を19nm製膜した後、大気開放した。次いで、軟磁性金属層として、Feを61wt%含有するFe−Ni合金(めっき浴組成)を電解めっきし、軟磁性部材を作製した。なお、電解めっきは下記のめっき液を用い以下の3通りとし、撹拌用のスターラとめっき膜との距離を約20mmとした。また、めっき膜は各々200nmの厚さとした。
【0036】
Figure 2004259787
【0037】
条件a:電流密度…0.8A/dm、弱撹拌…(5rpm)
条件b:電流密度…0.8A/dm、強撹拌…(50rpm)
条件c:電流密度…0.8A/dmと0.5A/dmを切り換え、強撹拌…
(50rpm)
【0038】
条件aで得られた軟磁性部材の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察したところ、Fe−Ni合金(軟磁性金属層)は結晶粒径30nm程度の微細結晶から構成されることがわかった。
また、条件a〜cで得られた軟磁性部材のFe−Ni合金めっき層(軟磁性金属層)におけるNi蒸着層(下地金属層)との界面からの距離とFe濃度の関係を図9に示す。なお、組成分析は電子線回折によって行った。条件aによるFe−Ni合金めっき層は、Ni蒸着層との界面近傍に近づくほどFe濃度が高くなる。しかし、Ni蒸着層との界面から離れるにしたがってFe濃度は低くなり、Ni蒸着層の界面から約100nm以上離れるとほぼ一定値に落ち着く傾向にある。Fe−Ni合金膜の平均組成である61wt%−Niと比べると、Ni蒸着層の界面から約100nm以下の範囲では前記平均組成よりもFe濃度が高くなっている。このように、条件aによると、下地金属層の側にFeリッチ領域が形成されることがわかる。このFeリッチ領域は他の領域よりも飽和磁束密度が高い。
これに対して、条件aよりも強く撹拌を行った条件bによるFe−Ni合金めっき層では、Fe濃度にほとんど変化が見られなかった。
また、電流密度を切り換える条件cによるFe−Ni合金めっき層は、電流密度が0.8A/dmのときにはFe濃度が高く、電流密度が0.5A/dmのときにはFe濃度が低くなる。条件cでは、当初に0.8A/dmの電流密度としたため、下地金属層の側にFeリッチ領域が形成される。
なお、本実施例では、組成分析を電子線解析によって行なった。そのために、下地金属層と軟磁性金属層との界面の分析結果は下地金属層のNiを含む値となったため、図9からはその値を除外している。
【0039】
図10に条件a〜cによる軟磁性部材の複素透磁率の虚数成分(μ”)の周波数特性を示す。ここで、μ”のピーク値が高周波側にあるほど共鳴周波数が高いことを意味している。図10より明らかなように、条件aによる軟磁性部材は条件b及び条件cによる軟磁性部材よりもμ”のピーク値が高周波側にあることがわかる。これは、条件aによる軟磁性部材は、軟磁性金属層における下地金属層との界面付近がFeリッチであるために飽和磁束密度の大きな領域が形成されており、Fe−Ni合金よりも磁気異方性の大きな下地金属層(Ni)との磁気的結合が強くなっているためと解される。また、条件cによる軟磁性部材は、μ”のピークが2山となり、μ”の広帯域化が達成されることがわかる。
【0040】
なお、以上の実施例では、軟磁性部材が単体の場合について説明したが、軟磁性部材を複数積層した積層軟磁性部材であっても同様な効果を得ることができる。また、以上の例では電気めっき時の撹拌条件により軟磁性金属層の下地金属層との界面付近をFeリッチとしたが、電解めっき時の電流密度を制御、具体的には電流密度を低下させることによっても図9の条件aと同様のFe濃度分布を得ることができる。さらに、以上の例では、Fe濃度が連続的に変化する例を示したが、図2、図3に示すように、Fe濃度が断続的に変化してもよいことは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁界中熱処理を施して誘導異方性を付与する、あるいは微細パターンを形成して形状異方性を付与するといった処理を行なうことなく、GHz帯域での高透磁率化を達成すること、さらには硬い基板材料を用いることのない軟磁性部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる軟磁性部材(軟磁性シート)の構成例を示す部分断面図である。
【図2】図1に示した軟磁性部材を構成する軟磁性金属層の構成例を示す部分断面図である。
【図3】図1に示した軟磁性部材を構成する軟磁性金属層の他の構成例を示す部分断面図である。
【図4】図1に示した軟磁性部材を構成する軟磁性金属層の他の構成例を示す部分断面図である。
【図5】図1に示した軟磁性部材を構成する軟磁性金属層の他の構成例を示す部分断面図である。
【図6】図1に示した軟磁性部材を複数積層した積層軟磁性部材の構成を示す部分断面図である。
【図7】図6に示した積層軟磁性部材の製造方法を示す図である。
【図8】図6に示した積層軟磁性部材の他の製造方法を示す図である。
【図9】実施例の条件a〜cで作成した軟磁性部材のFe−Ni合金の、下地金属層との界面からの距離とFe濃度との関係を示す図である。
【図10】実施例の条件a〜cで作成した軟磁性部材の複素透磁率の虚数成分(μ”)の周波数特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1,10…軟磁性部材、2…樹脂フィルム、3…下地金属層、4,4a,4b,4c,4d…軟磁性金属層、4a1…電磁軟鉄層、4a2…Fe−Ni合金層、4b1…61wt%Fe−39wt%Ni合金層、4b2,4c2…19wt%Fe−81wt%Ni合金層、4c1…50wt%Fe−50wt%Co合金層、5…樹脂層、20…積層軟磁性部材

Claims (12)

  1. 絶縁層と、
    前記絶縁層に対向して配置された下地金属層と、
    前記下地金属層上に配設された軟磁性金属層と、を備えた軟磁性部材であって、
    前記軟磁性金属層は、
    前記下地金属層側に他の領域よりも飽和磁束密度の大きい領域が形成されていることを特徴とする軟磁性部材。
  2. 前記下地金属層は、前記軟磁性金属層よりも異方性磁界が大きい材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性部材。
  3. 前記他の領域は、前記飽和磁束密度の大きい領域よりも透磁率が高い材料で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟磁性部材。
  4. 樹脂材料から構成される第1の領域と、
    前記第1の領域に対向して配置され、Feを含み軟磁性を発現する合金から構成される第2の領域と、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置され、前記第2の領域よりも異方性磁界の大きい金属材料で構成される第3の領域と、
    前記第2の領域と前記第3の領域との間に配置され、前記第2の領域よりFe濃度の高い第4の領域と、を備えることを特徴とする軟磁性部材。
  5. 前記第2の領域及び前記第4の領域が、Ni及びCoの1種又は2種とFeとを含む合金から構成されることを特徴とする請求項4に記載の軟磁性部材。
  6. 前記第2の領域及び前記第4の領域が、構成元素の一致する合金から構成されることを特徴とする請求項5に記載の軟磁性部材。
  7. 前記第4の領域におけるFe濃度が、前記第3の領域に向けて連続的に増加することを特徴とする請求項6に記載の軟磁性部材。
  8. 前記第3の領域が、Ni又はNi合金から構成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の軟磁性部材。
  9. 前記第1の領域〜第4の領域からなるユニットが複数積層されたことを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の軟磁性部材。
  10. 可撓性を有する基体と、
    前記基体に支持される導電金属層と、
    前記導電金属層に支持されるFe−Ni系合金からなる軟磁性金属層と、を備え、
    前記導電金属層と前記軟磁性金属層との間に、前記導電金属層と前記軟磁性金属層との磁気的な結合を向上させる組成物が介在し、
    前記基体の厚さが25μm以下、前記導電金属層の厚さが100nm以下、前記軟磁性金属層の厚さが1μm以下であることを特徴とする電磁波制御シート。
  11. 樹脂フィルムに導電性金属膜を形成する工程(a)と、
    前記導電性金属膜上に、Feを含む軟磁性金属膜を電解めっきにより形成する工程(b)とを備え、
    前記工程(b)において、
    前記軟磁性金属膜中の平均濃度よりもFe濃度の高い領域を前記軟磁性金属膜における前記導電性金属膜との界面側に形成することを特徴とする軟磁性部材の製造方法。
  12. 前記軟磁性金属膜のFe濃度が、前記導電性金属膜との界面位置から離れるにしたがい連続的に減少するように設定された条件で前記工程(b)を行なうことを特徴とする請求項11に記載の軟磁性部材の製造方法。
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