JP2004259674A - 端子金具のメッキ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に端子金具の局所的な部分にだけメッキを施すことが可能なメッキ方法を提案することである。
【解決手段】インクジェット装置20を用いて、導電性粒子を含んだインク15により、端子金具1表面の相手方端子との接触部位8,9の範囲に、液滴15aの状態で塗布し、次いでこの塗布液をパルスレーザービーム30による熱処理を施して、所望の膜厚・大きさの導電性メッキ層16とする加工を施す。
【選択図】 図1
【解決手段】インクジェット装置20を用いて、導電性粒子を含んだインク15により、端子金具1表面の相手方端子との接触部位8,9の範囲に、液滴15aの状態で塗布し、次いでこの塗布液をパルスレーザービーム30による熱処理を施して、所望の膜厚・大きさの導電性メッキ層16とする加工を施す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関し、更に詳しくは端子金具の接触部位への導電性のメッキ層を形成する端子金具のメッキ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用ハーネス等の接続は、コネクタ等に内蔵される端子金具同士の接触によってその接続が図られてきた。端子金具同士の接触構造としては、オス型端子のオスタブをメス型端子の嵌合部内に挿入し、この嵌合部に設けられた弾性接触片にオスタブを接触させて両端子を導通状態にすることにより、オス端子及びメス端子にそれぞれ接続されたハーネス等が電気的に接続されるというものがある。
【0003】
このような端子金具が、エアバック回路などのような端子金具同士の接触に高い信頼性が要求される回路で用いられる場合、端子金具には導電性の良い金メッキが表面処理されて施されていることがある。通常、このような表面処理としては、銅合金からなる端子金具の母材の表面全体に亘って下地層としてニッケルメッキ層を形成し、さらに、相手方の端子との接触部位において接触の信頼性確保のための金メッキ層が形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−87289号公報
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、このような金メッキ層の形成にはメッキ液に浸漬させてメッキを施す電気メッキ法が用いられている。しかしながら、このメッキ法では、オス端子のオスタブ部分やメス端子の嵌合部というような部分だけをメッキ処理するというような場合は、オスタブ部分や嵌合部分のみをメッキ槽に浸漬することにより可能であるが、オス端子のオスタブとメス端子の弾性接触片が接触する局所的な部位にだけにメッキ処理を施すようなことが困難であった。
【0005】
そのような場合でも、接触部位以外の端子金具表面をマスク処理することで接触部位だけのメッキ処理は可能ではあるが、端子金具製造のコストの面から採用は難しく、金メッキ等のような高価なメッキ材料の削減を困難にしていた。
【0006】
本発明が解決する課題は、簡便に端子金具の局所的な部分にだけメッキを施すことが可能なメッキ方法を提案することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため本発明に係る端子金具のメッキ方法は、端子金具表面の所定の範囲に導電性粒子を含む溶液を液滴の状態で塗布し、その塗布液に熱処理を施して該表面に導電性のメッキ層として定着させることを要旨とするものである。
【008】
上記構成を有する端子金具のメッキ方法によれば、端子金具の局所的な範囲にだけにメッキを施すことができるため、メッキ材料を削減することができる。また、電気メッキ法などのような廃液処理の必要がなく、設備費がかさむとう問題がない。
【009】
この場合、前記液滴の塗布がインクジェット方式によりなされている構成にすれば、微少量の液滴を塗布することや、精密なパターンに塗布することが可能で、所望の膜厚、所望の形や大きさのメッキ層を形成が容易にできる。
【0010】
さらに、前記塗布液の定着がパルスレーザビームの照射によりなされている構成にすれば、高温短時間の熱処理が可能になるため、打ち抜き、折り曲げ加工が行われる従来の端子金具の製造ラインに、このメッキ法に係る工程を組み入れることが可能になり、コスト安に本発明のメッキ法が実施できる。
【0011】
そして、塗布液に含まれる導電性粒子のメッキ層としての定着については前述の熱処理のほか、その塗布液を乾燥後、押圧体によるプレス加工により該表面に導電性のメッキ層として定着させる構成でもいい。この場合も、短時間での表面処理を可能にするので、従来の端子金具の製造ラインにその工程を組み入れることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る端子金具のメッキ方法を図1に示すような端子金具に適用した場合の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
この端子金具はいわゆるメス型タイプのメス型端子1で、銅合金からなる板材をプレス等で所定の展開形状に打ち抜いた後、各部を折り曲げることで製作されたものである。図面下側が曲げ加工前の展開形状を示しており、上側が曲げ加工後の上面を示している。また、図2(a)はその曲げ加工後の縦断面図を示している。図示されるようにこのメス型端子1は、前方の嵌合部2と、中央右よりの圧接部3と、後方の圧着部4とで構成される。
【0014】
前方の嵌合部2には、図2(b)に示すような接続の相手となるコネクタのオス型と呼ばれるタイプのオス型端子10先端のオスタブ10aを受け入れて嵌合接触するため、内側に湾曲された弾性接触片2aを内部に有する筒状に折り曲げられて形成される。
【0015】
中央右寄りの圧接部3は、図示しない電線端末を受け入れ可能に上面が開口した断面略U字状に谷折線a,bで折り曲げて形成される。圧接部3の底となる底板5には、皮むきされていない電線に圧接接続される溝状のスロット6aを有する2枚の圧接刃6,6を切り込んで、これらを底板5上方で、長さ方向に直角な方向に対向するように、谷折線c,dで折り曲げて立ち上げられる。
【0016】
この圧接部3後方には延設された圧着部4が形成されており、電線の外被にかしめられる一対の圧着片4a,4bが設けられている。
【0017】
通常、このようなメス型端子1の製作及び電線への接続加工は、図1に示すようなリードフレーム7aに複数連結された連鎖状端子7という状態のまま順送りで行われ、電線接続後に連結部7cを切断して切り離される。リードフレーム7aに穿設された位置決め孔7bは、この順送りの際に用いられる。
【0018】
図2に示すように、このメス型端子1の接続の相手となるオス型端子10のオスタブ10aは、このメス型端子1の、開口面より挿入されると、弾性接触片2aの折曲部2bと、筒部上壁に内側に突出された凸部2cとの間に挟まれれた状態になり、それぞれ接触部位8,9において接触してメス型端子1とオス型端子10は導通状態になる。この接触部位8,9を図1下側の折り曲げ加工前の展開形状のメス型端子1において示すと、図示されるような位置になる。
【0019】
この折り曲げ加工前の展開形状の状態において、オスタブ10aとの接触部位8,9の範囲に図3に示すインクジェット装置20を用いて、金粒子を水又は有機溶剤中に分散させた金粒子インク15により、接触部位8,9の範囲に液滴15aの状態で塗布し、次いでこの塗布液を熱若しくは光線により処理して、所望の膜厚・大きさの金メッキ層とする加工を施す。
【0020】
インクジェット装置としてはサーマル方式やピエゾ方式などの各種方式のものが使用できる。サーマル方式は、ノズル近傍にあるヒータ表面で温められた水蒸気の泡の成長と破裂によってノズルから塗布液を吐出する方法で、ピエゾ方式はピエゾ素子に電圧信号を印加して、振動による圧力で塗布液を吐出する方式である。
【0021】
図3に示すインクジェット装置20は、ピエゾ方式を用いたものであり、本体21の塗布面22には、ノズル23が形成され、このノズル23に対してピエゾ素子24が設けられている。ピエゾ素子24はノズル23とインク室25に対応して配置されており、このピエゾ素子24に対して電圧が印加される。これにより、ピエゾ素子24が収縮することで振動版26がインク室25側に撓み、このインク室25の金粒子インク15を加圧して所定量の液滴15aをノズル23から塗布するようになっている。
【0022】
このようなインクジェット装置20を用いた塗布は、メス型端子1とノズル23との位置を相対的に変化させて行うのが好ましい。接触部位8,9の塗布範囲へのより精密なパターン塗布が可能となる。
【0023】
塗布後の金粒子15bを含んだ塗布液をヒータ等で溶媒を取除いて乾燥させた後、金粒子15bを焼結させて端子表面に定着させる。これにより、金粒子15bは相互に接着して、導電性の被覆膜に変化して金メッキ層16を形成する。
【0024】
このような熱処理として、図4(a)に示すようにパルスレーザービーム30を照射する方法がある。この場合、金粒子15bの溶融とともにメス型端子1の母材となっている銅31も溶融して、図4(b)に示すように定着される。金の融点は1064℃、銅の融点は1083℃とほぼ同じであることから、このように金メッキ層16を母材(銅)表面に定着させることができる。また、既に母材表面に錫メッキ層32が施されている場合は、図5(a)に示すようにパルスレーザービーム30を照射すると、錫の融点は232℃と低いため金粒子15aは溶融せず錫メッキ層32の当該部分だけ溶融するため、図5(b)のように、金粒子15aはろう付けのように錫メッキ層32表面に定着される。
【0025】
このようなパルスレーザービーム30を用いれば、高温短時間の熱処理による金粒子15aの端子表面への定着が可能になるため、従来の打ち抜き・折り曲げ加工が行われる端子金具の製造ラインに、これらインクジェット装置とパルスレーザビーム照射装置を組み入れて、順送りによる端子製造が可能である。例えば、図7に示すように、長尺の帯状板材50を端子金具の展開状態に連続して打ち抜く加工が行われる打ち抜き装置51と、打ち抜かれた展開状態の端子金具の折り曲げ加工が行われる折り曲げ装置53との間に、インクジェット装置52aとパルスレーザビーム照射装置52bをユニット化したメッキ装置52を組み入れることでメッキを施しながら端子金具の製造を行うことができる。
【0026】
その他、上記パルスレーザービーム30を使った熱処理による定着ではなく、図6に示すような、乾燥後の塗布液を図示するような押圧体40によるプレス加工によって金粒子15aを端子金具表面に定着させる方法がある。この場合も短時間の金粒子15aの端子表面への定着が可能になるため、端子金具の製造ラインの工程にインクジェット装置とプレス装置によるメッキ工程を組み入れて、従来通りの順送りによる端子製造が可能である。尚、プレスの際、金粒子15aが押圧体40のプレス表面に付かないように油膜や、テフロン(登録商標)加工等の表面処理を施すのが良い。
【0027】
以上説明したように、端子金具の局所的な範囲にだけにメッキを施すことができるため、金などの高価なメッキ材料を削減することができる。この場合、インクジェット方式を用いると、無駄な塗布液を塗布せずに節約できることに加えて、電気メッキ法よりも、設備の簡略化が図れ、従来必要とされた電気メッキなどのプロセスを経ず廃液処理を必要とせず、メッキ層を形成できる。
【0028】
尚、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。端子金具としてメス型端子を用いて説明したが、オス型端子についても適用可能なのは言うまでもない。また、導電性粒子を含む溶液としては、液滴が形成できる状態であればどのようなものでもよく、水、溶剤等に金、銀などの導電性粒子を分散、溶解した溶液等のほか導電性ペーストなどがある。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る端子金具のメッキ方法によれば、端子金具の局所的な範囲にだけにメッキを施すことができるため、金などの高価なメッキ材料を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に用いられる端子金具を示した図である。
【図2】図1の端子金具の折り曲げ加工後の断面を示した図である。
【図3】ピエゾ方式によるインクジェット装置の概略構成を示した図である。
【図4】導電性粒子を含んだ塗布液のパルスレーザビームを用いた熱処理を示した図である。
【図5】図4の他の例を示した図である。
【図6】導電性粒子を含んだ塗布液のプレスによる処理を示した図である。
【図7】本発明に係るメッキ方法を従来の端子金具製造工程に組み入れた概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 メス型端子
2 嵌合部
2a 弾性接触片
2b 屈曲部
2c 凸部
3 圧接部
4 圧着部
4a,4b 圧着片
5 底板
6 圧接刃
6a スロット
7連鎖状端子
7a リードフレーム
7b 位置決め孔
7c 連結部
8 接触部位
9 接触部位
10 オス型端子
10a オスタブ
15塗布液(金粒子インク)
15a 液滴
15b 金粒子
16 金メッキ層
20 インクジェット装置
21 本体
22 塗布面
23 ノズル
24 ピエゾ素子
25 インク室
26 振動板
30 パルスレーザービム
31 銅層(端子金具母材)
32 錫メッキ層
40 押圧体
51 打ち抜き装置
52 メッキ装置
52a インクジェット装置
52b パルスレーザービーム装置
53 折り曲げ装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、端子金具に関し、更に詳しくは端子金具の接触部位への導電性のメッキ層を形成する端子金具のメッキ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用ハーネス等の接続は、コネクタ等に内蔵される端子金具同士の接触によってその接続が図られてきた。端子金具同士の接触構造としては、オス型端子のオスタブをメス型端子の嵌合部内に挿入し、この嵌合部に設けられた弾性接触片にオスタブを接触させて両端子を導通状態にすることにより、オス端子及びメス端子にそれぞれ接続されたハーネス等が電気的に接続されるというものがある。
【0003】
このような端子金具が、エアバック回路などのような端子金具同士の接触に高い信頼性が要求される回路で用いられる場合、端子金具には導電性の良い金メッキが表面処理されて施されていることがある。通常、このような表面処理としては、銅合金からなる端子金具の母材の表面全体に亘って下地層としてニッケルメッキ層を形成し、さらに、相手方の端子との接触部位において接触の信頼性確保のための金メッキ層が形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−87289号公報
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、このような金メッキ層の形成にはメッキ液に浸漬させてメッキを施す電気メッキ法が用いられている。しかしながら、このメッキ法では、オス端子のオスタブ部分やメス端子の嵌合部というような部分だけをメッキ処理するというような場合は、オスタブ部分や嵌合部分のみをメッキ槽に浸漬することにより可能であるが、オス端子のオスタブとメス端子の弾性接触片が接触する局所的な部位にだけにメッキ処理を施すようなことが困難であった。
【0005】
そのような場合でも、接触部位以外の端子金具表面をマスク処理することで接触部位だけのメッキ処理は可能ではあるが、端子金具製造のコストの面から採用は難しく、金メッキ等のような高価なメッキ材料の削減を困難にしていた。
【0006】
本発明が解決する課題は、簡便に端子金具の局所的な部分にだけメッキを施すことが可能なメッキ方法を提案することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため本発明に係る端子金具のメッキ方法は、端子金具表面の所定の範囲に導電性粒子を含む溶液を液滴の状態で塗布し、その塗布液に熱処理を施して該表面に導電性のメッキ層として定着させることを要旨とするものである。
【008】
上記構成を有する端子金具のメッキ方法によれば、端子金具の局所的な範囲にだけにメッキを施すことができるため、メッキ材料を削減することができる。また、電気メッキ法などのような廃液処理の必要がなく、設備費がかさむとう問題がない。
【009】
この場合、前記液滴の塗布がインクジェット方式によりなされている構成にすれば、微少量の液滴を塗布することや、精密なパターンに塗布することが可能で、所望の膜厚、所望の形や大きさのメッキ層を形成が容易にできる。
【0010】
さらに、前記塗布液の定着がパルスレーザビームの照射によりなされている構成にすれば、高温短時間の熱処理が可能になるため、打ち抜き、折り曲げ加工が行われる従来の端子金具の製造ラインに、このメッキ法に係る工程を組み入れることが可能になり、コスト安に本発明のメッキ法が実施できる。
【0011】
そして、塗布液に含まれる導電性粒子のメッキ層としての定着については前述の熱処理のほか、その塗布液を乾燥後、押圧体によるプレス加工により該表面に導電性のメッキ層として定着させる構成でもいい。この場合も、短時間での表面処理を可能にするので、従来の端子金具の製造ラインにその工程を組み入れることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る端子金具のメッキ方法を図1に示すような端子金具に適用した場合の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
この端子金具はいわゆるメス型タイプのメス型端子1で、銅合金からなる板材をプレス等で所定の展開形状に打ち抜いた後、各部を折り曲げることで製作されたものである。図面下側が曲げ加工前の展開形状を示しており、上側が曲げ加工後の上面を示している。また、図2(a)はその曲げ加工後の縦断面図を示している。図示されるようにこのメス型端子1は、前方の嵌合部2と、中央右よりの圧接部3と、後方の圧着部4とで構成される。
【0014】
前方の嵌合部2には、図2(b)に示すような接続の相手となるコネクタのオス型と呼ばれるタイプのオス型端子10先端のオスタブ10aを受け入れて嵌合接触するため、内側に湾曲された弾性接触片2aを内部に有する筒状に折り曲げられて形成される。
【0015】
中央右寄りの圧接部3は、図示しない電線端末を受け入れ可能に上面が開口した断面略U字状に谷折線a,bで折り曲げて形成される。圧接部3の底となる底板5には、皮むきされていない電線に圧接接続される溝状のスロット6aを有する2枚の圧接刃6,6を切り込んで、これらを底板5上方で、長さ方向に直角な方向に対向するように、谷折線c,dで折り曲げて立ち上げられる。
【0016】
この圧接部3後方には延設された圧着部4が形成されており、電線の外被にかしめられる一対の圧着片4a,4bが設けられている。
【0017】
通常、このようなメス型端子1の製作及び電線への接続加工は、図1に示すようなリードフレーム7aに複数連結された連鎖状端子7という状態のまま順送りで行われ、電線接続後に連結部7cを切断して切り離される。リードフレーム7aに穿設された位置決め孔7bは、この順送りの際に用いられる。
【0018】
図2に示すように、このメス型端子1の接続の相手となるオス型端子10のオスタブ10aは、このメス型端子1の、開口面より挿入されると、弾性接触片2aの折曲部2bと、筒部上壁に内側に突出された凸部2cとの間に挟まれれた状態になり、それぞれ接触部位8,9において接触してメス型端子1とオス型端子10は導通状態になる。この接触部位8,9を図1下側の折り曲げ加工前の展開形状のメス型端子1において示すと、図示されるような位置になる。
【0019】
この折り曲げ加工前の展開形状の状態において、オスタブ10aとの接触部位8,9の範囲に図3に示すインクジェット装置20を用いて、金粒子を水又は有機溶剤中に分散させた金粒子インク15により、接触部位8,9の範囲に液滴15aの状態で塗布し、次いでこの塗布液を熱若しくは光線により処理して、所望の膜厚・大きさの金メッキ層とする加工を施す。
【0020】
インクジェット装置としてはサーマル方式やピエゾ方式などの各種方式のものが使用できる。サーマル方式は、ノズル近傍にあるヒータ表面で温められた水蒸気の泡の成長と破裂によってノズルから塗布液を吐出する方法で、ピエゾ方式はピエゾ素子に電圧信号を印加して、振動による圧力で塗布液を吐出する方式である。
【0021】
図3に示すインクジェット装置20は、ピエゾ方式を用いたものであり、本体21の塗布面22には、ノズル23が形成され、このノズル23に対してピエゾ素子24が設けられている。ピエゾ素子24はノズル23とインク室25に対応して配置されており、このピエゾ素子24に対して電圧が印加される。これにより、ピエゾ素子24が収縮することで振動版26がインク室25側に撓み、このインク室25の金粒子インク15を加圧して所定量の液滴15aをノズル23から塗布するようになっている。
【0022】
このようなインクジェット装置20を用いた塗布は、メス型端子1とノズル23との位置を相対的に変化させて行うのが好ましい。接触部位8,9の塗布範囲へのより精密なパターン塗布が可能となる。
【0023】
塗布後の金粒子15bを含んだ塗布液をヒータ等で溶媒を取除いて乾燥させた後、金粒子15bを焼結させて端子表面に定着させる。これにより、金粒子15bは相互に接着して、導電性の被覆膜に変化して金メッキ層16を形成する。
【0024】
このような熱処理として、図4(a)に示すようにパルスレーザービーム30を照射する方法がある。この場合、金粒子15bの溶融とともにメス型端子1の母材となっている銅31も溶融して、図4(b)に示すように定着される。金の融点は1064℃、銅の融点は1083℃とほぼ同じであることから、このように金メッキ層16を母材(銅)表面に定着させることができる。また、既に母材表面に錫メッキ層32が施されている場合は、図5(a)に示すようにパルスレーザービーム30を照射すると、錫の融点は232℃と低いため金粒子15aは溶融せず錫メッキ層32の当該部分だけ溶融するため、図5(b)のように、金粒子15aはろう付けのように錫メッキ層32表面に定着される。
【0025】
このようなパルスレーザービーム30を用いれば、高温短時間の熱処理による金粒子15aの端子表面への定着が可能になるため、従来の打ち抜き・折り曲げ加工が行われる端子金具の製造ラインに、これらインクジェット装置とパルスレーザビーム照射装置を組み入れて、順送りによる端子製造が可能である。例えば、図7に示すように、長尺の帯状板材50を端子金具の展開状態に連続して打ち抜く加工が行われる打ち抜き装置51と、打ち抜かれた展開状態の端子金具の折り曲げ加工が行われる折り曲げ装置53との間に、インクジェット装置52aとパルスレーザビーム照射装置52bをユニット化したメッキ装置52を組み入れることでメッキを施しながら端子金具の製造を行うことができる。
【0026】
その他、上記パルスレーザービーム30を使った熱処理による定着ではなく、図6に示すような、乾燥後の塗布液を図示するような押圧体40によるプレス加工によって金粒子15aを端子金具表面に定着させる方法がある。この場合も短時間の金粒子15aの端子表面への定着が可能になるため、端子金具の製造ラインの工程にインクジェット装置とプレス装置によるメッキ工程を組み入れて、従来通りの順送りによる端子製造が可能である。尚、プレスの際、金粒子15aが押圧体40のプレス表面に付かないように油膜や、テフロン(登録商標)加工等の表面処理を施すのが良い。
【0027】
以上説明したように、端子金具の局所的な範囲にだけにメッキを施すことができるため、金などの高価なメッキ材料を削減することができる。この場合、インクジェット方式を用いると、無駄な塗布液を塗布せずに節約できることに加えて、電気メッキ法よりも、設備の簡略化が図れ、従来必要とされた電気メッキなどのプロセスを経ず廃液処理を必要とせず、メッキ層を形成できる。
【0028】
尚、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。端子金具としてメス型端子を用いて説明したが、オス型端子についても適用可能なのは言うまでもない。また、導電性粒子を含む溶液としては、液滴が形成できる状態であればどのようなものでもよく、水、溶剤等に金、銀などの導電性粒子を分散、溶解した溶液等のほか導電性ペーストなどがある。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る端子金具のメッキ方法によれば、端子金具の局所的な範囲にだけにメッキを施すことができるため、金などの高価なメッキ材料を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に用いられる端子金具を示した図である。
【図2】図1の端子金具の折り曲げ加工後の断面を示した図である。
【図3】ピエゾ方式によるインクジェット装置の概略構成を示した図である。
【図4】導電性粒子を含んだ塗布液のパルスレーザビームを用いた熱処理を示した図である。
【図5】図4の他の例を示した図である。
【図6】導電性粒子を含んだ塗布液のプレスによる処理を示した図である。
【図7】本発明に係るメッキ方法を従来の端子金具製造工程に組み入れた概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 メス型端子
2 嵌合部
2a 弾性接触片
2b 屈曲部
2c 凸部
3 圧接部
4 圧着部
4a,4b 圧着片
5 底板
6 圧接刃
6a スロット
7連鎖状端子
7a リードフレーム
7b 位置決め孔
7c 連結部
8 接触部位
9 接触部位
10 オス型端子
10a オスタブ
15塗布液(金粒子インク)
15a 液滴
15b 金粒子
16 金メッキ層
20 インクジェット装置
21 本体
22 塗布面
23 ノズル
24 ピエゾ素子
25 インク室
26 振動板
30 パルスレーザービム
31 銅層(端子金具母材)
32 錫メッキ層
40 押圧体
51 打ち抜き装置
52 メッキ装置
52a インクジェット装置
52b パルスレーザービーム装置
53 折り曲げ装置
Claims (5)
- 端子金具表面の所定の範囲に導電性粒子を含む溶液を液滴の状態で塗布し、その塗布液に熱処理を施して該表面に導電性のメッキ層として定着させることを特徴とする端子金具のメッキ方法。
- 前記液滴の塗布がインクジェット方式によりなされていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具のメッキ方法。
- 前記熱処理がパルスレーザビームの照射によりなされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の端子金具のメッキ方法。
- 前記塗布液に含まれる導電性粒子の融点よりも低い融点の導電性メッキ層がすでに前記端子金具表面に形成されている場合において、前記熱処理を施して該導電性メッキ層を溶融させることにより前記塗布液に含まれる導電性粒子をろう付け状態でメッキ層として定着させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端子金具のメッキ方法。
- 端子金具表面の所定の範囲に導電性粒子を含む溶液を液滴の状態で塗布し、その塗布液を乾燥後、押圧体によるプレス加工により該表面に導電性のメッキ層として定着させることを特徴とする端子金具のメッキ方法。
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