実施の形態1.
図1は、この実施の形態における契約管理システムの構成を示す図である。1bは営業管理部門であり、テナントコード・入退去日・入退去区番等のテナント契約情報を管理している。1aは技術部門であり、建物のフロア平面を区割定義し管理番号を付けている。この管理番号を以降、区番と呼ぶ。技術部門では平面図情報をこの区番をもとに管理している。1cは設備保全部門であり、メータ番号・メータ接続端子・計量区番(そのメータがエネルギーを計量すべく割り当てられている区番)等のメータ情報を管理している。設備保全部門はまた、各現場に設置されている現場計量メータが接続されている自動検針装置も管理下においている。1dはデータベースを有するサーバであり、前述した平面図情報、テナント契約情報、メータ情報等が記録されている。1eはローカルエリアネットワーク(LAN)であり、各部門1a〜1cに設置してある端末(クライアント)とサーバ1dを結んでいる。
この実施の形態においては、使用量集計期間を1カ月として説明する。また、このシステムにおいては、メータ番号と区番を対応付けて、あらかじめメータ情報として登録しておくものとする。
図2は、テナント入居時の処理フローを図に表したものである。まず、営業管理部門において、入居するテナント、入居日、入居区番等契約情報が登録される。契約情報が登録されると契約書類が作成され、契約日、契約区番、契約期間等が記載された契約書と平面図上の貸付区番を色替えして自動出図した契約図が出力される。この自動出図の機能については、後述する別の実施の形態で述べる。契約情報が登録されると、契約書類の作成と並行して課金処理や検針処理を開始させるための異動情報の抽出が行なわれる。異動情報には区番、メータ番号、エネルギー種別、使用開始日、使用テナント名等を含んでいる。メータ番号はあらかじめメータ情報が登録されているので、区番から参照できる。このようにして、一度営業部門で入力された契約情報を設備保全部門でも利用することができ、再び検針処理のために入力することが不要になる。
また、この契約管理システムでは、メータの自動検針を行っている。図3は、自動検針処理を説明する図である。このシステムでは、1日に1度、例えば、毎正時に、接続されている全メータの指針値をデータベースに登録している。このデータを集計処理に利用し、またデータの精度を高めるためのチェックにも活用している。
図4は、月次集計処理を説明するためのプロセスフローを表した図である。月次集計開始リクエストが発生すると、S1の異動整理において、当月発生した入居、退去あるいはメータ交換等の異動情報を整理し、異動情報一覧を作成する。異動情報一覧について内容を確認し、OKであれば異動情報の承認を行なう。異動情報の承認後、S2のメータ集計において各メータ毎の指針値から使用量の集計を行なう。その後、チェックリスト、及びメータ別集計結果一覧が出力される。このチェックリストは集計結果がおかしな所をシステムが自動的にピックアップするもので、前月の使用量との比較、前年同月との比較、または偏差検査などの方法でチェックを行っている。内容を確認後、必要であれば一部手修正を行い、OKであることを確認して承認を行なう。メータ毎の使用量の承認後S3において合計集計を行なう。合計集計はテナント毎のメータを集計し、検針表及び検針集計表を作成するもので検針表にはテナントコード、エネルギー種別毎のメータ指針値及び使用量を印刷し、テナントに配布する。また、検針集計表はメータ別集計結果をテナント毎に年次集計するものである。これについても内容の確認を行い、承認を行ったのちにS4の請求書発行処理を実行する。
図5は、期間途中集計処理の手順を示す流れ図である。この契約管理システムにおいて、通常の期間集計だけではなく、顧客の任意の要望により期間途中集計も行っている。これは例えばテナントの決算の都合等にあわせるため、年度末あるいは半期末等の任意の日付で検針締切を行なうものである。営業管理部門において、テナント名や締切日、区番等の締切日変更連絡書を基に連絡情報が入力されると、S10において締日変更情報登録が行われ、S11の異動情報展開では入力された区番からその区番を計量するメータ等を検索する作業を行なう。次のS11において異動情報整理を行い、異動情報一覧を出力するが、S11において今回の期間途中集計の対象となるメータを選択して出力するということ以外は前述した図4のS1の処理と同様である。また、これ以降の処理は図4のS2以降と同様であるので説明は省略する。
図6は、この契約管理システムを操作するためのメニュー画面である。このメニューでは月次テナント課金作業、異動情報管理作業、検針情報関連作業、期間途中集計作業、課金スケジュール作業、履歴情報管理、メータ台帳作業という各機能に別れており、オペレータは自分が操作したい機能を選択することによって次の画面(サブメニュー)を開くことができる。
図7は、この実施の形態の構成を示すブロック図である。図において、11はエネルギーの計量メータに対応するメータ情報、10はメータ情報11を登録するメータ情報登録手段、12はメータ検定管理手段、13は端子管理手段、21は建物の区割を示す区割情報、20は区割情報21を登録する区割情報登録手段である。41は契約情報、51は異動情報、31は検針データ、61は使用量集計結果、71は課金手段70により発行される請求書情報である。
次に動作について説明する。
検針手段30は各メータから指針値を読み込み、集計手段60は前回のメータ読み込み時の指針値から当月の使用量を算出する。課金手段はその使用量を換金計算し、各テナント毎の請求書を発行する。
図8から図12は実施の形態1で用いられる各情報のフォーマットを示す図である。
図8は、メータ情報のフォーマットを示す図である。101はビルコード、102はメータ番号、103は貸付区番、104はエネルギー種別、105は設備区分、106は用途区分である。
図9は、区割情報のフォーマットを示す図である。110は用途、111は階数、112は位置、113は場所記号、114は場所No、115は場所名称、116は区番である。
図10は、契約情報のフォーマットを示す図であり、120は区番、121はビル識別、122は貸付面積、123は図面コード、124は図面名称、125はテナントコード、126はテナントコード125に対応するテナント名称、127は入居日、128は退去日である。
図11は、この実施の形態の異動情報抽出手段で抽出される異動情報のフォーマットを示す図である。130は異動情報自身の登録番号、131は異動区分コードであり、今回発生した異動が入居、退去等どういう種類のものであるかを示している。132はビルコード、133は異動日、134は異動日指針値である。135は貸付区番、136はテナントコード、137は請求コード区分、138は検針表区分、139は使用開始年月日、140は使用終了年月日である。請求コード区分137、検針表区分138は図10には図示していないが、テナントの指示により、契約情報の一部として入力されるものである。
図12は、検針データのフォーマットを示す図であり、メータを識別できるメータ番号141と検針手段が検針したメータ指針値144等から構成されている。
図13は、集計手段が集計した使用量集計結果のフォーマットを示す図である。150はビルコード、151はメータ番号、152は比較使用量1、153は偏差1、154は比較使用量2、155は偏差2である。比較使用量1と偏差1は前月の使用量に対応しており、比較使用量2と偏差2は前年同月の使用量に対応している。156は前回指針値であり、157は今回指針値である。158は同月使用量、159は指針値異常フラグ、160は当月使用量異常フラグである。このフォーマットが示すように前回指針値と今回指針値の差から当月使用量を算出するだけではなく、前月や前年同月の値を保持してチェックに使用できる。
また、図14はこの契約管理システムで管理する異動情報の種類を示す図である。170はテナント異動情報であり、テナントとの契約に伴って発生するものである。具体的には、メータ使用開始171、メータ使用終了172、メータ集計173、区番変更174の種類がある。180はメータ異動情報であり、テナントとの契約が関連する場合もあるが、主に工事等を伴うものである。具体的には、メータ新設181、メータ取替182、メータ撤去183の3種類がある。
テナントが新たに入居した場合について具体的に説明する。
図15は、営業管理部門でテナント入退去情報を入力する画面を示す図である。入居するビルを示すビルコード、入居、退去等の契約区分を示す処理コード、テナント毎に設定され、テナントを識別するテナントコード、入退去日、区番等の項目がある。入退去日については処理コードが入居であれば入居日、退去であれば退去日を示すことが自動的に判断できるので、画面上は1つの項目で兼用できる。
このようにして入居を知らせる契約情報が営業管理部門で入力される。前述したように、この実施の形態においては、1カ月を集計の単位としているので、月途中での入居、退去等の異動があった場合には図7に示した異動情報抽出手段50が契約情報の抽出を行い、自動的に異動情報51を生成する。
同様にテナントの退去の場合にも、異動情報が生成される。この場合には、契約情報の日付、すなわち退去日が異動情報の使用終了年月日となる。
また、異動情報には請求口座区分137を持っており、テナントが複数の引き落としのための口座を登録してある場合に、どのメータについてはどの請求口座から引き落とすかを任意に設定することができる。検針表区分138は、集計手段が使用量集計結果をまとめ、課金手段が請求書を発行する際の使用量確認のための検針表をあらかじめテナントの指定により複数出力する場合に、どの検針表にそのメータの検針結果を表示するかを指定する区分である。
このように、メータ情報に付加される情報を契約情報から取り出して、集計手段、課金手段に受け渡すことにより、より付加価値の高い課金処理を行なうことが可能となり、テナントのさまざまな要望に応えることができる。
以上のように、あらかじめ貸付する区割とその区割に対応するエネルギーの計量メータが対応してすでに設置済みである場合には、自動的に生成されるテナント異動情報を利用することによって課金処理が自動的に行われる。
次に、工事等を伴うメータ異動について説明する。メータ異動については、新設、取替、撤去があるが、例えば1つの区画をテナントの要請で2つに区切って使用し、請求も分けて行うような場合にはメータの増設が必要である。これをメータの新設と呼ぶ。また、テナントが入れ替わることにより、複数のメータでの検針が不要となった場合にはメータの撤去が必要となる。これらのメータの異動は、人の判断が必要なので、テナント異動情報のような自動抽出ではなく、メータ異動情報の入力を行なう。
図16は、メータ異動情報入力作業のメニュー画面である。このような画面から用意されている機能を選択し、その機能を実行する画面を表示させる。例えば「メータ新設」という作業区分を選択すると、図17のメータ新設画面が表示される。この画面には、ビルコード、メータ番号、エネルギー種別、貸付区番、新設日等の項目がある。これらの項目を入力後、左上の「台帳入力」を指定すると、メータ台帳入力画面が表示される。図18にメータ台帳入力画面を示す。この画面からメータ毎のより詳細な情報を入力することができる。
図18に示す画面にはメータ設置場所、使用区分、メーカ種別、用途コード、形式、計器番号、製造年月日などメータの詳細な情報の他にメータ有効期限、PT比、PT有効期限、PT番号、CT比、CT有効期限、CT番号などが入力できるようになっている。PTはパワートランスの略で計器用変圧器、CTはカレントトランスの略で計器用変流器のことである。課金の基礎となる計量を行なうメータ、CT、PTなどを用いる場合、自治体等の検定、許可を受けたものしか使用できないという制約がある。そのためにこの契約管理システムでは各メータ毎にそのメータ、CT、PT等の許可期間、検定番号等をすべて台帳に登録しておき、管理を行っている。これにより許可期間の期限切れ等を事前に管理者が把握することができる。
また、図16に示したメータ異動情報入力作業のメニュー画面において「メータ取替」を選択すると図19に示すようなメータ取替画面が表示される。
また、「メータ撤去」を選択すると図20に示すようなメータ撤去画面が表示される。特にこの画面では個別フラグという項目を設けており、例えば”0”は通常の期間集計、すなわち、この実施の形態では通常月次集計を表しており、”1”は通常の期間以外の集計、つまり個別月途中集計を表している。テナントが期間途中で退去する際に、通常の処理の締日に請求を行えば良い場合は”0”を入力し、実際に退去する日の翌日に個別に請求を行なう場合は”1”を入力する。個別フラグの値によって指定された締日に自動的に集計処理、課金処理が行われる。
このように個別フラグというパラメータを受け渡すことによって、前述したテナントの決算期等の理由ばかりではなく、テナントが期間途中で退去をする場合にも期間途中集計手段を利用することができる。
図21、図22はメータ使用開始画面、メータ使用終了画面である。前述したように、これらの情報はテナント異動情報として、契約情報から抽出生成されるが、図21、図22のような画面に表示させて確認することができ、また必要に応じて修正も行なうことができる。さらに運用によっては新規入力を可能にしてもかまわない。
図23は、区番変更画面である。
メータの区番変更とはメータの計量対象区番に変更があった場合に行われるもので、メータの物理的な撤去、新設は行わないがいままで設置していた区番で、対象メータの撤去異動データを作り、新しく設置される区番に対応する新設異動データを作るものである。したがって、1つのメータに対して貸付区番の異なる撤去異動データと新設異動データができることになる。
また、メータ異動情報として、登録されている異動データを一覧表示させて確認することができる。図24は異動情報を画面に表示させた例であるが、印刷して出力してもかまわない。
実際の運用ではいずれかの形で出力されたものに対して承認を行なう。
図25は、メータ毎の集計を行った際に出力されたチェックリストの一例である。この図では、今回の指針値と前回の指針値及びそれらから算出される使用量と、あらかじめ設定した比較使用量との偏差を求めて出力している。
偏差は以下の式で算出される。
(今回指針値−前回指針値)÷比較使用量×100
すでに図13で述べたように、この契約管理システムでは使用量集計結果の中に、前月と前年同月の2つのデータを保有している。そのためにチェックリストを出力する際に前月と比較するか、あるいは前年同月と比較するのかを任意に選択指定することができる。また、偏差についても正常ではないかもしれないという判断を行なう基準をプラス、マイナスそれぞれの値についてあらかじめ設定しておくことができる。図26は、メータ別集計結果一覧を印刷したものである。このようにしてメータ毎の使用量を確認し承認を行なう。
次に、検針したメータ情報の修正が必要な場合の操作について図27、図28を用いて説明する。図27は、修正したいメータのデータを呼び出すためのメータ番号入力画面である。この画面で自分が呼び出したいメータ番号を入力して実行を選択すると、そのメータ番号の情報を図28のように表示する。この画面では指針値に関するデータのみの修正が可能であり、画面上では四角い枠で囲まれた項目となっている。それ以外の項目についてはこの画面では表示のみとなっているので変更はできない。
この契約管理システムにおいては、課金スケジュールの作成も行なう。メニュー画面には、課金スケジュール作業として「当年計画表」、「翌年計画表」という機能が設定されており、2年分のスケジュールを管理することができる。
図6に示したメニュー画面から、例えば当年計画表という機能を選択すると、図29のような当年課金スケジュール画面が表示される。画面の左側には処理すべき年月が設定されており、それに対応する検針日、その検針に間に合うように処理される異動データ入力締切日、設備保全部門から営業管理部門にデータを受け渡すデータ転送日などが12カ月分設定され、1画面で確認することができる。このスケジュールに関しては年度毎に一括して決定されているが、もし変更があれば、すでに処理が完了した月、あるいは処理中である月を除いては修正を行なうことができる。また、この画面上に用意されている翌年という機能を選択すると、同一のレイアウトで翌年課金スケジュール画面を表示させることができる。画面の内容については図29と同様であるので説明は省略する。
以上のようにこの契約管理システムにおいては、常に2年分の課金スケジュールを保持しており、随時確認及び必要があれば変更を行なうことができる。
次に、この契約管理システムが有する履歴情報処理について図を用いて説明する。このシステムでは、営業管理部門との契約情報のやりとり、及び検針手段との検針データのやり取りの受信履歴を持っている。また、この契約管理システムの中でオペレータが処理したすべての作業の履歴も持っている。すでに図6で示したメニュー画面から履歴情報管理からのサブメニューの機能を選択すると、図30に示すような履歴情報処理のメニュー画面が表示される。処理履歴情報については、検針データ収集、修正、使用量チェック履歴、月次課金処理履歴、月途中課金処理履歴、検針メータ台帳処理履歴、スケジュール管理履歴というふうにグループ分けして記録されている。また、受信履歴情報に関しては、検針データ、契約情報の2つにグループ分けされている。この中から任意のグループを選択し、また、そのグループに対して表示すべき日時を指定することによって、履歴の一覧を表示させることができる。図31に履歴情報表示画面の一例を示す。このように、もしメータ指針値等の値を修正した場合にも、後でさかのぼってその修正を再確認することができるため、顧客であるテナントに対してより誤りのない、信頼性の高い課金処理を行なうことができる。
メータの設置には端子が必要である。メータは需要に応じて新設、撤去を自由に行えるが、端子はあらかじめビル建造時に配管等が行われるため、ビルの使用開始時にはすべての端子が準備済みであり、新たに追加するということは通常ありえない。
特に、大規模なビルにおいて契約処理から課金処理をスムーズに遂行するためにはすべての端子を一元的に管理し、メータの新設等の要望が発生したとき、どの端子が空いているか、利用可能であるかを速やかに検索できることが必要である。この契約管理システムにおいては、空き端子管理を行なうことができる。
図6に示したメニュー画面からメータ台帳作業のサブメニューの機能を選択すると、図32のメータ台帳作業のサブメニュー画面が表示される。この画面からすでに設置されているメータに対する検索を行なうこともできるし、新たなメータの設置を行なうことができる端子の検索も可能である。例えば、検針メータの検索を行なう場合、全件を対象として特定のテナントコードのメータのみを検索したり、特定の貸付区番に設置されているメータの検索を行なうこともできる。また、すでにメータ検定管理について述べたが、例えばメータ有効期限を選択し、その右側の年月の欄に任意の数字を入力して検索を行えば、その期間に有効期限が切れるメータのみを選び出すことも可能である。
ここで、なんらかの条件で検索されたメータの一覧表示された画面の例を図33に示す。ここでは、画面表示の例を示しているが印刷したものでかまわない。また、この図33に示すようなメータの一覧から特定のメータを選択してより詳細な情報を表示させることもできる。これは画面に表示させてもよいが、ここでは印刷された例を図34に示す。図35は空き端子検索を行った場合の検索結果一覧表である。この契約管理システムではこのようにした検索した結果をそのまま業者に対する工事指示書として印刷させることができる。図36に課金用メータ工事指示書の一例を示す。
このようにしてどのテナントがどの区番を使用し、その区番のエネルギーの使用量を計測するメータをどの端子に接続すればよいかを自動的に指示し書面でその指示を正確に伝えることができる。
また、この契約管理システムでは、期間集計処理、期間途中集計処理の進行状態によってステータスを管理しており、そのステータスによって、データが不用意に変更されないように保護している。
あるステータスが許可されていない操作をオペレータが行おうとした場合には、警告画面が表示され、オペレータにその操作が許可されていない誤操作であることを知らせる。
このようにステータス管理を行なうことによって、誤った操作を防止し、データの破壊を防ぎ、より精度の高い課金処理を行なうことが可能となる。図37にこのシステムで管理しているステータスの例を示す。
以上のようにこの実施の形態においては、営業管理部門が登録した契約情報から設備保全部門が運用を行なう課金処理に必要な異動情報を抽出し、検針手段、集計手段、課金手段がその情報を利用して課金処理を行なう契約管理システムについて説明した。
また、この実施の形態において、この契約管理システムが提供するチェックの方法は、前月、前年同月との使用量の比較であったが、過去数カ月間、例えば6カ月または12カ月間の使用量の最大値、最小値の範囲を超えたものを異常と判断してもよい。
また、使用量を日毎のグラフを作成して比較する方法でもよい。特にオフィス用途で使用するテナントは休日の使用量が少ないことが予想されるため、日毎のグラフを作成する際に、曜日合わせを行って同じ曜日での比較を行えばより正確なチェックができる。
実施の形態2.
この実施の形態では、あらかじめ建物の図面に対してシンボルとそのシンボルに対応する表示色を図面データベースに登録しておき、必要に応じて任意の検索を行い、検索されたシンボルを色替えして表示する図面管理システムについて説明する。
図38は、この図面データベース内の図面情報を扱う上での分類を示した図である。図面は平面図と系統図にまず分類され、平面図はさらに高層階と低層階に分類される。
図39は、この図面データベースを含む契約管理システムにおける台帳の構成を示したものであり、設備台帳、建物台帳、テナント台帳、系統設備台帳、テナント設備台帳の5種類で構成されている。1枚の図面は複数のレイヤの重ね合わせで構成されており、このレイヤを設備を置く場所と背景図を置く場所に使用している。また、このシステムでは台帳が複数あるために、そのそれぞれの台帳に対応する設備をレイヤ毎に分類して配置している。
図40は、この図面のレイヤの分類を1枚にまとめた構成図である。システムを操作するオペレータはこれらのレイヤを意識する必要はないが、1つの図面がこれらのレイヤの重ね合わせで構成されていることは、このシステムの重要な要素である。
図41は、このシステムで使用されているシンボルの一例を示すものであり、(a)は設備台帳と設備を表すシンボルである。(b)は建物台帳と区画を表すシンボルである。
図42の(c)はテナント台帳と区画を表すシンボルの一例である。(d)は系統設備台帳と設備間を結ぶシンボルの例である。(e)はテナント設備台帳と設備を表すシンボルの例である。
図43は、設備台帳上の分類の構成を示すものである。設備台帳は以下のように大きく分類されている。電気設備、中央監視設備、通信情報設備、昇降機設備、熱源設備、空調設備、衛生設備、消火設備、防災設備、防犯設備、駐車場設備、建築付帯設備、上記以外のその他の設備である。また、図44は系統図の構成を示すものであり、前述した図43の分類と対応しているので、項目の説明は省略する。
この図面データベースでは図面を管理するためにコード化を行っている。図45にそのコードの体系を示す一番左の1桁目は図面の種類を示し、Hは平面図、Kは系統図を示している。右側の3桁は各階を管理するための平面図の場合には階が入っており、例えば地下1階はB1となっている。また、系統図の場合にはビル全体を通じて管理する必要があるため、各設備系統図毎にシーケンス番号が振られており、001から999の範囲となっている。
図46は、前述したレイヤをより具体的に説明するための図である。この実施の形態においてはレイヤは1から99まで用意されており、台帳の種別及び設備分類に依存し、図46に示したような番号がそれぞれ対応している。例えば、背景図はレイヤ99に記憶されている。実際の図面の操作はレイヤ単位に行なうことができ、また、レイヤ単位に出図を行なうこともできる。また、画面表示をする際に特定のレイヤを見えない状態にするなど表示/非表示の選択も可能である。
図47は、台帳と図面情報の関連図であり、このシステムの中で台帳と図面がどのように関連づけられているか説明するものである。(a)は台帳の属性構成であり、台帳のキーとなる基本コード、その台帳で管理されている基本情報、その台帳に対応する図面情報からなっている。(b)は図面情報の構造であり、基本コードと複数の図番からなっている。図番1は平面図を示しており、それ以外の図番は系統図を示している。すなわち、それぞれの図面は台帳に対応する基本コードを1つだけ持っているが、台帳側から見ると1つの基本コードに対して複数の図番を持つことになる。
図48は、図面情報の階層を示す構造図である。図面情報は登録図用図庫、設備シンボル図、メニューデータからなり、登録図用図庫は平面図(低層階)、平面図(高層階)、系統図に分かれている。また、設備シンボル図は、台帳の構成及び設備の分類体系に対応してグループ分けされている。このようにグループ分けされたファイルがサーバ上の図面データベースに記憶されている。
契約図を作成する場合を例にとって具体的に説明する。ビルなどにテナントが入居する場合、契約が成立すると契約書の発行と共に、建物の平面図にその顧客に貸し付けする区画に色付けしたものを契約図として渡す。従来はこの契約図はあらかじめ用意されている平面図に人手によって色付けをして契約図として利用していた。契約が発生した場合にそれを管理するのは営業管理部門である。営業管理部門では実施の形態1において述べたように図10に示したような契約情報を入力する。契約情報には区番が含まれており、また、前述した図面データベースには建物の区割りがシンボルとして1つのレイヤに登録されており、それに対応する表示色もあらかじめ登録されているものとする。営業管理部門で契約情報が入力されると、LAN(ローカルエリアネットワーク)を通じてその情報が送られ、設備保全部門で受信されて保存されている。
図49は、貸付契約図を印刷する指示を出す画面の一例である。この画面で契約図出図指示を選択すると、図50に示したような画面が表示される。この画面でLAN(ローカルエリアネットワーク)を通じて受信され、まだ印刷されていない図面があるかどうかを確認し、印刷の指示を行なうことができる。例えば、ある顧客に対して区番501に対して入居契約が成立すると、図51に示したような契約図が出図される。その際に受け渡される区番によってどの区割りがシンボルとして選択されたかがわかり、あらかじめ色が登録されているレイヤを表示に設定して印刷を行なう。
以上のようにこの実施の形態では、営業管理部門で入力された契約情報に対応して自動的に契約図を印刷する図面管理システムについて説明した。
また、この図面管理システムにおいては、台帳を検索して検索結果のシンボルを色替えして表示または印刷することができる。
図52は、設備台帳のフォーマットを示す図である。基本コードとして、201用途、202設置階数表示、203設置場所表示、204機器記号、205連番、206設備名称、207設備所有者という項目がある。また、それ以外に設置情報、製造情報、納入情報、保守情報などが各項目に分けて登録されている。 図53は、設備台帳の構成機器詳細情報、履歴情報のフォーマットを示す図である。251機器名称、252形式、253メーカ、254メーカ部所名、255型番、256製作年月、257機械寿命、258オーバホール費用が構成機器詳細情報である。履歴情報は故障情報、改修繕工事情報にグループ分けされており、改修繕工事情報は改修、修繕、工事の情報である。例えば、故障情報として261種別、262故障異常発生日時、263故障異常復旧日時、264故障内容、265原因などがあり、261種別はコード化されており、例えば1は故障、2は異常、3は改修繕というふうになっている。例えば、設備台帳に対して20階に配置されている空調設備という条件を与えて検索を行い、画面上で表示を確認した後に印刷を行ったり、特定のメーカの防災設備を検索して、どこに配置されているかを色替えして表示させたり、また、故障情報の履歴を検索して故障の多い設備を指定して色替え印刷を行ったりすることができる。
図54、図55、図56は建物台帳のフォーマットを示す図である。例えば、基本コードとしては、図56に示すように、361用途、362階数、363位置、364場所記号、365場所Noなどの項目がある。18階にある給湯室の位置を表示させて確認したい場合には、階数362、場所記号364を条件として選択し、検索を行なうことができる。
また、平面図ばかりでなくビル全体を示す系統図についても検索を行なうことができる。図57は、系統設備台帳のフォーマットを示す図であり、基本コードとしては401用途、402系統設備区分、403系統区分、404連番という項目がある。
図58は、系統設備台帳の履歴情報のフォーマットを示す図である。図53に示した設備台帳と同様に故障情報、改修繕工事情報の2つの区分に分けて項目を設定しており、これらの情報から故障の多い系統設備を検索して系統図を画面に表示させ必要に応じて印刷を行なうこともできる。また、系統設備台帳は図59に示すような接続情報も持っており、例えば、駐車場設備の電気系統の元はどこかを検索して、系統図を表示させ、検索したシンボルの色替えをすることができる。
以上のようにこの実施の形態では、図面に対してシンボルと、そのシンボルに対応する表示色を登録する図面データベースと、その図面データベースに関連する台帳を用いて、台帳から検索を行い、検索されたデータに関連する図面データベースのシンボルを色替えして図面を出力する図面管理システムについて説明した。
実施の形態3.
複数のテナントが入居するビルにおいて、テナントが使用するエネルギーの検針を行い、使用量を集計し、テナント毎に請求書を発行するという業務は必須である。自動検針や自動集計も従来さまざまな方法で行われている。
一方、ビル内で使用される総エネルギーは、全テナントの使用量の総計とは一致しないのが通例である。その理由は例えば共有スペースでの使用量等があるが、それ以外にもビル内でのロスが発生している場合がある。具体的には、例えば送電ロスやトランス損失等が原因となっている。つまり、ビル自体にも燃費の善し悪しがあり、エネルギー使用量データを蓄積し、それを分析することで省エネルギー対策等より良いビル管理を行なうことができる。
この実施の形態では、大規模なビル、特にオフィス、ショッピング、ホテル等の機能を持つ複合用途ビルのエネルギー管理装置について説明する。
ビル内にて利用されるエネルギーの種類としては、電気、上水、ガス、蒸気、冷水、中水などがある。
保全管理者としてはビルの維持管理上、個々のエネルギー毎に使用量の把握を行なう必要がある。
更に、個々のエネルギー量の把握を行なう際、分類された内訳区分毎に仕訳集計することで、内訳区分毎のエネルギー使用量を把握すると共に、異状判断、傾向予測等に役立てる。また、複合用途を目的としたビルでは、オフィス、ショッピング、ホテル等の分類方法もあるため、設備区分毎の使用量分類だけでなく、用途区分毎の使用量分類も合わせて実施する必要がある。
この実施の形態では、エネルギー量の内訳区分として、「設備区分」と「用途区分」を用いる。図60は、エネルギー量の内訳区分を表にまとめたものである。「用途区分」はビルが同じである限り、エネルギーの種別毎にその内訳項目が変わることはない。よって、「用途区分」は全エネルギー種別で共通の内訳項目にて仕訳集計を実施する。具体的には複合用途、オフィス、ショッピング、ホテル、駐車場などがある。
「設備区分」はエネルギー種別毎にその内訳項目が異なるため、エネルギー種別毎に、「設備区分」を設定し、それに従い集計する。例えば、電力量の「設備区分」はテナント取立分、共用部照明、空調動力、昇降機、一般動力、通信施設などがある。また、水道量の場合にはテナント取立分、共用部使用分、外構使用分、清掃用という「設備区分」となる。
このエネルギー管理装置の目的は、複合用途ビル内で使用されるさまざまなエネルギーをその種別毎に仕訳し、集計した仕訳区分別エネルギー計算書を作成することにある。そのためにはさまざまな条件をあらかじめ設定、定義しておく必要があるが、図61を用いてその設定、提示作業の流れについて説明する。
まず、S601において、計量メータ情報の登録を行なう。計量メータ情報の登録とは、ビル管理を行なうシステムにおけるエネルギー仕訳集計の対象となる現場計量メータの番号を「メータ台帳」として登録することであり、登録の際、仕訳集計、検索に必要となる項目を付加していく。具体的には、図62に示すような項目であるが、例えば、システムが管理するビルを識別するためのビルコード、電力、水道などのエネルギー種別、メータ1台毎を識別するためのメータ区分、メータ番号、前述した内訳区分である「設備区分」、「用途区分」などの項目とそれらのコードに対応した名称からなっている。
また、このエネルギー管理装置においては、仮想メータという考え方を導入している。仮想メータとはその名の通り実在しないメータであり集計計算上割り付けたメータである。その仮想メータについても図62に上げたような項目を設定する必要がある。
次に、図61のS602において「内訳区分別エネルギー計算書」の内訳区分定義を行なう。内訳区分定義は、図63に示すようなマトリクス表に対して縦に「設備区分」を展開し、横に「用途区分」を展開し、各項目を定義していくものである。
通常の単館オフィスビルでは、内訳の項目として「設備区分」別に仕訳すればエネルギーの使用量に関する傾向を把握することができるが、複合用途ビルではオフィス、ショッピング、ホテル等の分類があるため、「用途区分」という内訳項目を設け、「設備区分」+「用途区分」という内訳項目に従い、エネルギー使用量の仕訳を実施する。図63において、600は縦に展開された「設備区分」の中から1つを選択し、横に展開された「用途区分」の中から1つを選択した場合に限定される1つのエリアであり、これを”セル”と呼ぶ。
次のステップとして図61のS603において、計量メータと内訳区分の対応づけを行なう。図64は内訳区分毎のメータ登録を説明する図である。図64(a)は実メータの登録を行なう部分である。すでに述べたように1つのセルは1設備区分、1用途区分に対応している。そのセルに対してどのメータの使用量を計算するかを指定するのがここで行なう作業である。1つのセルに対して図64の(a),(b),(c)に示す3つの形の情報が定義される。
(1)図63の1セルに対し該当する計量メータ番号を「メータ台帳」より捜し出し、1メータ毎にその番号を設定する。
(2)設定されたメータの使用量をそのセルに対し、加算するか、減算するかの識別を1メータ毎に設定する。
(3)設定されたメータの使用量をそのセルに対し、加算/減算する場合の演算比率を1メータ毎に設定する。
(4)1セルに該当するメータ番号が複数存在する場合には、そのメータ数分上記作業を繰り返す。
次に、図64(b)に示した仮想メータ情報の登録について説明する。図65は、現場メータの取付け例を示す図である。まず、照明電力を計量するメータaがあり、そこから3つの系統に分岐しており、その内訳はオフィス部に対応するメータb、ショッピングに対応するメータc、それ以外の共用部分となっている。それぞれのメータはaが1000kwhの使用量、bが100kwhの使用量、cが200kwhの使用量を示しており、それ以外の共用部分についてはメータは取り付けられていないものとする。図66は、図65に示したような配置のメータの使用量集計結果を「内訳区分別エネルギー計算書」としてマトリクスに展開したものである。図67、図68、図69は図66に示した「内訳区分別エネルギー計算書」のそれぞれのセルに対する項目定義の内訳である。例えば、「設備区分」がテナント、「用途区分」がオフィスの使用量は図66ではc0202に記載されることになるが、その内訳について図67を用いて説明する。図67(a)に示すように「設備区分」テナント、「用途区分」オフィスに対応するメータは複数登録されており、例えば、b−001,b−002,b−003などがあり、各メータの使用量の合計が実メータ値小計100となる。また、このセルに対応する仮想メータとしては図67(b)に示すように何も登録されておらず、その使用量の合計は0となる。それにより図67(c)に示すように図66のセルc0202に記載されるエネルギー使用量は100となる。同様に、図66の「設備区分」テナント、「用途区分」ショッピングに対応するセルc0203の内訳は図68に示される。図68(a)には複数の実メータが登録されており、それらの使用量の合計は、実メータ小計200である。また、仮想メータは図68(b)に示すように何も登録されておらず、仮想メータ値小計は0となる。そのため、図68(c)に示すように実メータ値小計と仮想メータ値小計を合計すると200となり、その値が図66のc0203に記載される。また、図67(c)の実メータ値小計には仮想メータ番号bが定義されており、図68(c)の実メータ値小計には仮想メータ番号cが定義されている。図66の「設備区分」共用部使用分、「用途区分」複合用途に対応するセルc0101の内訳については図69に定義されているが、図69(a)に示すようにメータは実際には1台しか設置されておらず、使用量は1000であるので実メータ値小計も1000となる。また、図69(b)にはこのセルに対応する仮想メータが2台定義されている。1台は仮想メータbであり、そのセルに対しての演算比率は1であり、加算するか減算するかの識別が−と登録されているので、使用量は図67(c)の実メータ値小計100が代入され、使用量は−100となる。同様に、仮想メータ番号Cについても比率は1.0であり、加算、減算の指示は−であるので、図68(c)の実メータ値小計200が代入され、使用量は−200となる。これらの合計が仮想メータ値小計として計算され−300となる。図69(c)に示すように実メータ値小計1000に仮想メータ値小計−300が計算されるので合計は700となり、その値が図66のセルc0101に代入される。
このようにして図66の「内訳区分別エネルギー計算書」の全てのセルが計算され、縦横の合計をとることによって計算書が完成する。これが図61のS604「内訳区分別エネルギー計算書」の作成に該当する。この場合の仮想メータ番号の割付をマトリクスに表したものを図70に示す。この仮想メータ番号のセルへの割付はすでに説明した図61のS601計量メータ情報の登録においてあらかじめ完了しているものとする。
また、図61のS605からS607は以上のようにして作成した「内訳区分別エネルギー計算書」を会計処理の必要に合わせて、別の区分で集計し直すものである。
S605の「仕訳区分別エネルギー計算書」の定義について説明する。
図71に示す部分を各エネルギー毎の「仕訳区分」と呼ぶ。
「仕訳区分」は「エネルギー量使用内訳計算書」によって得られた結果を元に、更にもう一段集計を加えるための項目区分を定義したものである。
ビルの維持管理上のエネルギー集計データとしては「内訳区分別エネルギー計算書」が完成すれば十分であるが、前記における「内訳区分」の項目では経理上かえって細かすぎる。そこで「仕訳区分」は、経理上の仕訳方法を意識したかたちでの項目定義になっている。
仕訳項目の定義方法としては、内訳項目の定義方法と同様に「仕訳区分」外部コードに該当項目を定義することで実施されるが、「仕訳区分別エネルギー計算書」は「内訳区分別エネルギー計算書」の場合と異なり図71に示すとおり固定的に項目情報をかかえる形となる。
次にS606の「内訳区分」と「仕訳区分」の対応づけについて説明する。
図71の1つの「仕訳区分」毎に、図72の(a),(b),(c)3つの情報が対応づけて設定される。1つの「仕訳区分」には、複数の「内訳区分」を登録できる。登録の手順は以下の通りである。
(1)図71の「仕訳区分」に対し該当する内訳区分項目を捜し出し、1内訳区分毎にその項目を設定する。
(2)設定された「内訳区分」の使用量をその「仕訳区分」に対し、加算するか、減算するかの識別を「内訳区分」毎に設定する。
(3)設定された「内訳区分」の使用量をその「仕訳区分」に対し、加算/減算する場合の演算比率を「内訳区分」毎に設定する。
(4)1「仕訳区分」に該当する「内訳区分」項目が複数存在する場合には、その「内訳区分」数分上記作業を繰り返す。
次に図73、図74、図75を用いて、補正情報の登録について説明する。
基本的な設定、登録作業は「内訳区分」の登録と同様であり、図73は補正情報の取り扱いを説明するための「内訳区分別エネルギー計算書」の一例である。「設備区分」の合計511は870であるが、その内訳を「用途区分」別に見ると複合用途300、オフィス30、ショップ40、駐車場500となっている。このような「内訳区分別エネルギー計算書」を用いて共用部使用分という1つの「設備区分」を経理上の「仕訳区分」として共用部照明、ガレージ用に分離するための補正情報の登録方法を図74、図75に示す。図74(a)において「仕訳区分」共用部照明の「内訳区分」には共用部使用分が登録され、計算される比率は1.0であり、加算するか減算するかの識別は+であり、使用量は870であるので小計は870となる。また、図74(b)は「仕訳区分」共用部照明に対する補正分の登録である。「設備区分」共用部使用分の行の中で「用途区分」駐車場のセルの使用量をどのように計算するかを指定するものであり、比率は1.0、加算減算の指定は−であるので補正分小計は−500である。次に、図74(c)において「仕訳区分」共用部照明の合計を算出するが、内訳区分小計が870、補正分小計が−500であるので370となる。図75は、「仕訳区分」ガレージ用のセルに対する登録であり、「内訳区分」として駐車場が登録され、計算される比率は1.0、加算減算の指定は+であり、使用量は500であるので、内訳区分小計は500となる。また、図75(b)において「仕訳区分」ガレージ用に対する補正分は何も登録されていないので補正分小計は0となる。その結果(c)において「仕訳区分」ガレージ用の合計値は500となる。
「内訳区分別エネルギー計算書」における「仕訳区分」に対し設定された内訳区分使用量を全て合計してしまうと、図73上の520の部分の使用量が重複して集計されてしまうことになる。そこで、「仕訳区分」に対する「内訳区分」の割付が完了した時点で重複している部分の補正情報を設定する必要がある。
S607の調整エネルギー量按分内訳計算書の作成について説明する。
「内訳区分別エネルギー計算書」、および「仕訳区分別エネルギー計算書」の項目定義が完了すると、エネルギー使用量の集計が開始される。しかし、建物内の全子メータの使用量を合計した値は、各エネルギー会社からの供給量(請求値)と一致しないのが常である。その理由は、メータ誤差(精度)、供給、分配損失(トランス損失、送電ロス、放熱、吸熱、蒸発等)などである。
式で表すと、
エネルギー会社供給量−ビル内使用量総合計=α
となる。
この差分(α)を経理上の整合性をとるため、個々の仕訳項目に対し配分(按分)するという作業が必要になる。
図76(a)に調整エネルギー量算出の手順を示す。
S701はエネルギー差分値の算出であり、各エネルギー会社からの供給量(請求値)を入力(設定)し、供給量(請求値)と使用量総合計の差分値を算出する。
S702は按分率の設定である。按分方法には、使用率按分、固定率按分の2通りがあり、図76(b)に示すような画面で選択を行なう。
使用率按分について図77を用いて説明する。使用率按分は使用量の合計値に対する仕訳項目毎の使用率を按分率として設定し、差分値をその按分率によって配分する方法である。例えば、図77に示すように仕訳項目Aの使用量が20であり、Bの使用量が30であり、Cの使用量が50であるとき、それぞれの値を合計使用量100で割って按分率を求めるので、按分率はそれぞれ0.2,0.3,0.5となる。なお、この場合の按分率はシステムにより自動的に算出される。また、固定率按分とは仕訳項目毎にあらかじめ設定された按分率に従い差分値を配分する方法であり、例えば、図78に示すように仕訳項目Aの按分率は0.7、Bは0.1、Cは0.2というように合計が1.0になるようにオペレータによりマニュアルに設定する。この2通りのうちいずれかの按分方法を選択し、更に最終調整仕訳項目の設定、按分対象仕訳項目の設定を行なう。
S703は調整エネルギー量の算出であり、各仕訳項目毎に設定された按分率に従い、差分値を配分(按分)する。
このエネルギー管理装置において、取り入れている発電機使用量の考え方について説明する。エネルギーの中でも電力は非常に重要な役割を持つことから、停電時の対策として自家用発電機を設置しているビルが多い。
停電時に発電機を運転し、電力を供給した場合、現場のメータは通常電力を供給されている場合と同様に、その使用量に応じて指針値をかえて(回転して)しまう。すると、電力会社からの供給量に対する使用量の仕訳計算結果に誤差を生じることになる。よって、電力量の場合に限って、エネルギーの使用量差分を算出する際、使用量総合計より発電機使用量を減算してやる必要がある。
電力会社供給量−(使用量電力料総合計−発電機使用量)
按分計算書を作成する際、発電機使用量に関しても仕訳項目毎に、その使用量を配分(按分)してやる必要がある。手順、および方法については調整電力量の按分方法と全く同様にして実施する。よって、電力については、按分計算を2度行なう必要がある。以下、「調整電力量按分内訳計算書」作成の流れについて図を用いて説明する。
図79は調整電力量按分内訳計算書であり、エネルギー差分値の算出が行われている状態である。まず使用量合計は昇降機用6000、共用部照明4000、ガレージ用5500、テナント電灯1000、テナント動力1000、その他1200であり、合計は18700となる。また、決定電力量は20000であり、これは電力会社からの供給量、すなわち請求書に記載されている電力量である。また発電機使用量は700であるので、上で述べた計算式にこれらの値を代入すると調整電力量は、
(20000−(18700−700))
という式が成り立ち、調整電力量2000が求められる。
図80は、図79で示した調整電力量按分内訳計算書に按分率の設定を指示したものである。ここでは、按分方式は使用率按分を用いることとする。按分率というセルに○が入っているものが按分対象項目であり、テナント使用量についてはテナント毎に設置されたメータから算出された請求値と同一でなければならないので、按分項目とは設定されない。また、Lastと設定してあるのは最終調整項目であり、合計が1.0になるための微調整をここでは共用部照明という「仕訳区分」で行なうことを示している。
図81は、自動的に計算された按分率が定義されている調整電力量按分内訳計算書である。すでに述べたように使用率按分の場合にはシステムが自動的に合計値に対する各「仕訳区分」の構成比を算出し、それを按分率として設定する。「仕訳区分」共用部照明の按分率の欄にLと表示されているのは最終調整項目であることを示している。
また、図82は発電機使用量を計算した調整電力量按分内訳計算書であり、例えば、「仕訳区分」昇降機用は発電機使用量700に対して按分率0.3をかけて算出するので210となる。
また、図83は同様に調整電力量の按分値を算出したものである。このようにして決定電力量を算出する全ての要素が計算されると、「仕訳区分」毎に横計をとりそれぞれの決定電力量とする。最終的な調整電力量按分内訳計算書を図84に示す。
以上のように、電力については按分計算を2度行い、「仕訳区分」毎の最終的な電力量が決定される。
次に、エネルギー量収集、集計の考え方について説明する。
ここでは、保全事務処理管理として収集処理、集計処理に必要な各種設定作業が全て完了していることを前提に、通常期間毎に定例にて実施される収集、集計処理の流れについて記す。
(1)エネルギー使用量は基本的に1回/月、月がわり時に前月度分を収集、集計する。
(2)「仕訳区分」、「内訳区分」「メータ」、「按分条件」等の設定項目に異動を生じた場合。
(ア)前月度分に関しては再計算の後、出力(表示、印字)を可能とする。
(イ)前々月度以前の集計値に関しては、設定項目に異動、および再計算は不可とする。
また、この実施の形態において各「仕訳区分」毎の使用量集計結果を人の判断によって修正可能としても良い。その場合でも、修正後は自動再計算ができるものとする。このように人の判断による修正を行なうことによって、よりきめ細かい集計を行なうことができる。
以上のように、この実施の形態によれば、発電機使用時の電力量按分処理を自動演算することができる。
また、エネルギーのビル内計測総合計とエネルギー供給会社からの請求値との差分を算出し、経理上の規則に従って、各「仕訳区分」毎に差分按分を自動的に行なう。
更にまた、各エネルギーの搬送ロス分を自動集計し、各「仕訳区分」の用途使用量に従い、差分按分を自動的に行なう。
また、メータのグループ化や仕訳項目の変更が容易に実施でき、変更後の再計算も容易である。
更に、集計結果の長期保存により、エネルギー使用量分析と将来の使用量予測も行える。
また、細分化された内訳区分毎のエネルギー使用量把握が可能なため、省エネルギー対策が出しやすい。
以上のように,前述した実施の形態では、建物の区割を区割情報として登録する区割情報登録手段と、上記区割に対応するエネルギーの計量メータを登録するメータ情報登録手段と、上記エネルギーの計量メータを検針し、検針結果を登録する検針手段と、テナントが使用する建物の区割と使用開始終了等の異動情報を含む契約情報を登録する契約情報登録手段と、契約情報登録手段により登録された契約情報から期間途中に登録された情報をテナント異動情報として抽出する異動情報抽出手段と、上記区割情報に基づいて、上記契約情報の建物の区割から上記テナントが使用する計量メータを判定し、検針手段による検針結果からテナントが使用するエネルギーの使用量を定期的に集計するとともに、テナント異動情報が存在する場合には、テナント異動情報に従った使用量の集計をする集計手段と、上記集計手段による集計結果からテナントに対して請求書を発行する課金手段とを有する契約管理システムについて説明した。
また、登録されたメータ情報を期間途中に変更するためのメータ異動情報を入力するメータ異動情報入力手段を備えたメータ情報登録手段と、テナント異動情報とメータ異動情報を利用して使用量を集計する集計手段を備えた契約管理システムについて説明した。
また、前述した実施の形態では、検針手段が計量メータを接続する端子を備え、メータ情報登録手段が、計量メータを接続する端子と、端子に接続する計量メータを登録して管理する端子管理手段を供えた契約管理システムについて説明した。
また、以前に集計した結果を集計履歴として記憶し、集計された集計結果を集計履歴と比較して集計結果を検査し、異常がある場合に、集計履歴と集計結果を出力する集計手段を備えた契約管理システムについて説明した。
さらに、検針手段による検針結果、異動情報抽出手段により抽出された抽出結果及び集計手段による集計結果を出力する結果出力手段と、その結果を修正する修正手段と、修正履歴を記憶する修正履歴採取手段を備えた契約管理システムについて説明した。
さらに、定期外の指定された時期に上記検針手段と集計手段を動作させ、特定のテナントに対して期間途中の集計処理を行なう期間途中集計手段を備えた契約管理システムについて説明した。
また、計量メータの検定番号及び認可期間を管理するメータ検定管理手段を備えたメータ情報登録手段を有する契約管理システムについて説明した。
また,前述した実施の形態では、建物の図面に対してシンボルとそのシンボルに対応する表示色を登録する図面データベースと、テナントが使用する建物の区割を含む契約情報を登録する契約情報登録手段と、上記契約情報に含まれた建物の区割を上記建物の図面に対応したシンボルとし、上記図面データベースに登録された表示色を用いて上記図面データベースに登録された図面を出力する色替え出力手段を有する図面管理システムについて説明した。
また、エネルギーの計量メータに対して、そのエネルギーを使用する設備の設備区分と、そのエネルギーを使用する用途の用途区分を登録する登録手段と、上記エネルギーの計量メータを検針し、検針結果を登録する検針手段と、上記検針手段による検針結果からエネルギーの使用量を計算し、上記設備区分及び用途区分ごとに使用量を積算する積算手段と、エネルギーの実使用量と上記積算手段による使用量の総和との間に差がある場合に、所定の基準を用いてその差を各設備区分に按分する按分手段とを有するエネルギー管理装置について説明した。
また、各計量メータに対して、積算条件を指定する計算根拠付手段を備えたエネルギー管理装置について説明した。
また、上記設備区分から経理処理のための仕訳区分を作成し、仕訳区分に対して、差を按分する按分手段を備えたエネルギー管理装置について説明した。
この実施の形態における契約管理システムは、テナントが使用するエネルギーの課金処理をテナントの入居から退去にわたって、総合的にシステム化したものである。テナントに対して課金処理を行なう場合、従来はテナントとの契約や請求処理は営業管理部門が行ない、計量メータを検針するのは設備保全部門が行ない、検針された結果から使用量を集計するのは管理部門が行なうというように、課金処理という一つの業務が複数の部門にまたがっており、業務処理が分断されてしまっていた。
それに対し、この実施の形態は、あらかじめ建物の区割と計量メータを対応させて登録しておき、契約情報から得られる建物の区割に基づいてテナントが使用する計量メータを判定し、集計することにより課金処理を行なうものである。すなわち、契約情報が入力されることにより、そのテナントが使用する計量メータが自動的に判別できるとともに、自動検針を行なうことにより、集計処理を行なう点がこの実施の形態の大きな特徴である。特に、新たに入居するテナント、あるいは、退去するテナントの契約情報が月途中で入った場合にも、テナント異動情報として管理され、テナント異動情報に従った集計処理が行なわれる。その際、集計処理のために新たに、契約情報が入力される必要はなく、営業管理部門が保持している契約情報をそのまま利用して集計処理を行なう。
また、この実施の形態においては、計量メータの新設、撤去、取換え等の異動情報をメータ異動情報として管理し、前述したテナント異動情報とメータ異動情報の両者に従った使用量を算出する。
また、この実施の形態においては、計量メータを接続する端子を登録し、その端子に接続する計量メータを登録する。その登録に従い、計量メータの新設、撤去、取換えの作業を行なう。
また、この実施の形態においては、課金処理が請求業務を伴うことを考慮してデータの信頼性を高めるために、以前に集計した集計結果を集計履歴として記憶しておき、新たに算出された集計結果と比較することにより、集計データの正当性をチェックしている。
また、この実施の形態においては、オペレータのチェックを仰ぐために、検針結果、異動情報抽出結果、集計結果を出力する。さらには、データを修正したい場合の修正手段を備えている。
また、これらの修正履歴を記憶することにより、オペレータがマニュアルで修正した場合、その履歴のトレースを提供する。
また、この実施の形態においては、テナントからの経理処理等の要求により、通常の集計日以外の期間途中において集計処理を行なう必要がある場合、期間途中集計手段により特定のテナントに対して指定された時期までの集計を行う。
また、この実施の形態においては、メータ検定管理手段が計量メータを管理することにより、計量メータの検定時期や交換時期に関する情報を提供する。
また、この実施の形態に係る図面管理システムにおいては、あらかじめ図面データベースに区割とその区割に対応する表示色を登録しておき、契約情報に含まれた建物の区割からそのテナントが使用する区割を平面図上で着色して出力し、契約書に添付する貸付図の出力を自動的に行う。
また、契約時以外においても、貸付情報を着色して出力する。
この実施の形態に係るエネルギー管理装置においては、エネルギーの供給会社から請求される実使用量と、施設内に分散して配置された計量メータの合計値が一致しない場合に、その差を自動的に按分して割り振るものである。
また、この実施の形態においては、各計量メータに対して積算比率や加減算等の積算条件を指定する計算根拠付手段を備え、指定された積算条件に従って各計量メータごとにきめ細かな積算を行なう。
また、この実施の形態においては、按分手段が経理処理のための仕訳区分を作成し経理処理のための仕訳区分に基づいて、按分作業を行なう。このため経理処理に使用可能な結果が得られる。
以上のように、この実施の形態によれば、テナントの契約情報に基づいて計量メータの検針、集計、請求処理を統合的に行なうことができ、課金処理の省力化を図ることができる。
特に、テナントが期間途中で入退去した場合においても、テナントへの課金処理を正しく行なうことができる。
また、この実施の形態においては、テナントの異動以外に計量メータの異動情報を抽出するようにしたので、テナントの異動情報とメータの異動情報を合わせて自動的に課金処理を行なうことができる。
また、この実施の形態によれば、計量メータを接続する端子を管理するようにしたので、計量メータの設置や撤去を間違いなく行なうことができる。
また、この実施の形態によれば、集計結果と履歴を比較して集計データを検査するようにしたので、集計データの信頼性を高め、結果として課金処理の誤集計や誤処理をなくすことができる。
また、この実施の形態によれば、オペレータがマニュアルにより修正した場合は、履歴を採取しているので、データの修正作業をトレースすることができる。
また、この実施の形態によれば、月途中の集計処理を行なうことができるので、特定のテナントや特定の時期に合わせて特別な集計処理を行なえる。従って、テナントの期末処理や経理処理に対して柔軟に対応したシステムを提供することができる。
また、この実施の形態によれば、メータの検定管理を行なうため計量メータの検定時期や交換時期をあらかじめ予測することができる。
また、この実施の形態によれば、契約情報が入力された場合に貸付図を着色して出力することができる。
また、この実施の形態によれば、エネルギー供給会社からの実際の使用量と計量メータによる使用量との総和との間に差が生ずる場合でも自動的にその差を割り振ることが可能になる。
また、積算するために、設備区分と用途区分に別けてそれぞれ積算しているため、エネルギーの使用量を設備区分と用途区分に応じて分析することが可能になる。
また、この実施の形態によれば、計量メータごとに積算条件を指定できるため、きめ細かな積算処理を行なうことができる。
また、この実施の形態によれば、経理上の規則に従って各仕訳区分ごとに按分処理を行なうことができ、得られた結果を経理処理に用いることができる。
1a 技術部門、1b 営業管理部門、1c 設備保全部門、1d サーバ、1e LAN(ローカルエリアネットワーク)、10 メータ情報登録手段、11 メータ情報、12 メータ検定管理手段、13 端子管理手段、20 区割情報登録手段、21 区割情報、30 検針手段、31 検針データ、40 契約情報登録手段、41 契約情報、50 異動情報抽出手段、51 異動情報、60a,60b 集計手段、61 使用量集計結果、70 課金手段、71 請求書情報。