JP2004258178A - 投影光学系および該投影光学系を備えた露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】球面状の反射面を有する少なくとも1つの球面反射鏡を含む6つの反射鏡を備え、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系。
【解決手段】第1面(4)の中間像を形成するための第1反射結像光学系(G1)と、中間像の像を第2面(7)上に形成するための第2反射結像光学系(G2)とを備えている。第1反射結像光学系は、第1面側から光の入射順に、第1反射鏡(M1)と開口絞り(AS)と第2反射鏡(M2)と第3反射鏡(M3)と第4反射鏡(M4)とを有する。第2反射結像光学系は、第1面側から光の入射順に、第5反射鏡(M5)と第6反射鏡(M6)とを有する。中間像の結像位置は、第4反射鏡M4と第1反射鏡M1との間にあり、第2反射鏡M2または第4反射鏡M4が球面状の反射面を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】第1面(4)の中間像を形成するための第1反射結像光学系(G1)と、中間像の像を第2面(7)上に形成するための第2反射結像光学系(G2)とを備えている。第1反射結像光学系は、第1面側から光の入射順に、第1反射鏡(M1)と開口絞り(AS)と第2反射鏡(M2)と第3反射鏡(M3)と第4反射鏡(M4)とを有する。第2反射結像光学系は、第1面側から光の入射順に、第5反射鏡(M5)と第6反射鏡(M6)とを有する。中間像の結像位置は、第4反射鏡M4と第1反射鏡M1との間にあり、第2反射鏡M2または第4反射鏡M4が球面状の反射面を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系および該投影光学系を備えた露光装置に関し、例えばX線を用いてミラープロジェクション方式によりマスク上の回路パターンを感光性基板上に転写するX線投影露光装置に好適な反射型の投影光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子などの製造に使用される露光装置では、マスク(レチクル)上に形成された回路パターンを、投影光学系を介して、ウェハのような感光性基板上に投影転写する。感光性基板にはレジストが塗布されており、投影光学系を介した投影露光によりレジストが感光し、マスクパターンに対応したレジストパターンが得られる。
【0003】
ここで、露光装置の解像力Wは、露光光の波長λと投影光学系の開口数NAとに依存し、次の式(a)で表される。
W=k・λ/NA (k:定数) (a)
【0004】
したがって、露光装置の解像力を向上させるためには、露光光の波長λを短くするか、あるいは投影光学系の開口数NAを大きくすることが必要となる。一般に、投影光学系の開口数NAを所定値以上に大きくすることは光学設計の観点から困難であるため、今後は露光光の短波長化が必要となる。たとえば、露光光として、波長が248nmのKrFエキシマレーザーを用いると0.25μmの解像力が得られ、波長が193nmのArFエキシマレーザーを用いると0.18μmの解像力が得られる。露光光としてさらに波長の短いX線を用いると、例えば波長が13nmで0.1μm以下の解像力が得られる。
【0005】
ところで、露光光としてX線を用いる場合、使用可能な透過光学材料および屈折光学材料がなくなるため、反射型のマスクを用いるとともに、反射型の投影光学系を用いることになる。従来、露光光としてX線を用いる露光装置に適用可能な投影光学系として、たとえば特開昭61−47914号公報、米国特許第5,815,310号明細書、特開平9−211322号公報、米国特許第5,686,728号明細書、特開平10−90602号公報、WO99/57606号公報には、種々の反射光学系が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−47914号公報
【特許文献2】
米国特許第5,815,310号明細書
【特許文献3】
特開平9−211322号公報
【特許文献4】
米国特許第5,686,728号明細書
【特許文献5】
特開平10−90602号公報
【特許文献6】
国際公開第99/57606号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−47914号公報に開示された従来の反射光学系では、マスクおよびウェハが光学系の中に配置される形態を有し、露光装置の投影光学系として実現することは非常に困難である。
【0008】
また、米国特許第5,815,310号明細書や特開平9−211322号公報やWO99/57606号公報に開示された従来の反射光学系では、マスクとウェハとの間に光学系が配置される形態にはなっているものの、一部の反射鏡が大型化してその有効径がマスクの有効径よりも実質的に大きくなっているので製造が困難である。
【0009】
さらに、米国特許第5,686,728号明細書や特開平10−90602号公報に開示された従来の反射光学系では、マスクとウェハとの間に光学系が配置される形態にはなっているものの、一部の反射鏡が大型化してその有効径がマスクの有効径よりも実質的に大きくなっているので製造が困難である。加えて、ウェハ側に2枚の凸面反射鏡が用いられているので、光軸に対する光線の角度が大きくなり、反射鏡が大型化している。
【0010】
ところで、露光光としてX線を用いる露光装置に搭載される投影光学系の場合、X線を良好に反射するために反射面には数十層からなる多層膜が形成される。従来の反射光学系では、各反射鏡の反射面への光線の最大入射角(反射面の垂線と光線とのなす角)が比較的大きく設定されている。その結果、反射多層膜において、反射ムラが発生し易く且つ十分に高い反射率を得ることができないため、良好な反射特性を達成することができない。
【0011】
以上のように、従来技術では、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことにより、露光光としてX線を用いて大きな解像力を確保することのできる反射型の投影光学系を得るために、各反射鏡の反射面に非球面加工を施す必要があり、光学系の製造が非常に困難にならざるを得なかった。
【0012】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、球面状の反射面を有する少なくとも1つの球面反射鏡を含む6つの反射鏡を備え、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系を提供することを目的とする。また、本発明の投影光学系を露光装置に適用することにより、たとえば露光光としてX線を用いて大きな解像力を確保することのできる露光装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、6つの反射鏡を備え、第1面の縮小像を第2面上に形成する投影光学系において、
前記第1面の中間像を形成するための第1反射結像光学系と、前記中間像の像を前記第2面上に形成するための第2反射結像光学系とを備え、
前記第1反射結像光学系は、前記第1面側から光の入射順に、第1反射鏡M1と開口絞りと第2反射鏡M2と第3反射鏡M3と第4反射鏡M4とを有し、
前記第2反射結像光学系は、前記第1面側から光の入射順に、第5反射鏡M5と第6反射鏡M6とを有し、
前記中間像の結像位置は、前記第4反射鏡M4と前記第1反射鏡M1との間にあり、前記第2反射鏡M2および前記第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方が球面状の反射面を有することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0014】
第1形態の好ましい態様によれば、各反射鏡M1〜M6への光線の最大入射角Aは、各反射鏡M1〜M6において、A<25°の条件を満足する。また、各反射鏡M1〜M6の有効径をφMとし、各反射鏡M1〜M6の反射面の曲率半径をRとするとき、各反射鏡M1〜M6において、φM/|R|<1.0の条件を満足することが好ましい。
【0015】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記第1面から前記第1反射鏡M1への光束の主光線の光軸に対する傾きαは、5°<|α|<10°の条件を満足する。また、各反射鏡M1〜M6の有効径φMは、各反射鏡M1〜M6において、φM≦700mmの条件を満足することが好ましい。
【0016】
さらに、第1形態の好ましい態様によれば、各反射鏡M1,M3,M5,M6の反射面は、光軸に関して回転対称な非球面状に形成され、各反射面を規定する非球面の最大次数は10次以上である。また、前記第2面側にほぼテレセントリックな光学系であることが好ましい。
【0017】
本発明の第2形態では、前記第1面に設定されたマスクを照明するための照明系と、前記マスクのパターンを前記第2面に設定された感光性基板上へ投影露光するための第1形態の投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
第2形態の好ましい態様によれば、前記照明系は、露光光としてX線を供給するための光源を有し、前記投影光学系に対して前記マスクおよび前記感光性基板を相対移動させて、前記マスクのパターンを前記感光性基板上へ投影露光する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の投影光学系では、第1面(物体面)からの光が、第1反射結像光学系G1を介して、第1面の中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成された第1面の中間像からの光が、第2反射結像光学系G2を介して、中間像の像(第1面の縮小像)を第2面(像面)上に形成する。
【0020】
ここで、第1反射結像光学系G1は、第1面からの光を反射するための第1反射鏡M1と、開口絞りASと、第1反射鏡M1で反射された光を反射するための第2反射鏡M2と、第2反射鏡M2で反射された光を反射するための第3反射鏡M3と、第3反射鏡M3で反射された光を反射するための第4反射鏡M4とにより構成されている。また、第2反射結像光学系G2は、中間像からの光を反射するための第5反射鏡M5と、第5反射鏡M5で反射された光を反射するための第6凹面反射鏡M6とにより構成されている。
【0021】
さらに、本発明の投影光学系では、中間像の結像位置が第4反射鏡M4と第1反射鏡M1との間にあり、第2反射鏡M2および第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方が球面状の反射面を有する球面反射鏡である。従来、4枚反射鏡で中間像を形成し、さらに中間像を2枚反射鏡で再結像させる6枚反射鏡タイプの光学系では、中間像の近軸結像位置(以下、単に「結像位置」という)を4枚反射鏡の後側(像側)で2枚反射鏡の前側(物体側)に置くのが通常であった。
【0022】
本発明では、中間像の結像位置を4枚反射鏡の第1反射鏡M1または第3反射鏡M3よりも前側に置くことを特徴としている。この特徴的な構成により、中間像の結像位置が第4反射鏡M4の位置に近付くことになり、第4反射鏡M4の反射面上での光束の幅を小さく抑えることができる。その結果、第4反射鏡M4の反射面上で他の収差の発生を抑えつつ、各反射鏡で発生する歪曲収差(ディストーション)を補正することが可能になる。このように、役割を明確に分担することにより、他の反射鏡の収差補正分担が軽減され、ひいては第2反射鏡M2や第4反射鏡M4の反射面の球面化が可能になる。
【0023】
また、本発明では、第1面の縮小像を第2面上に2回結像で形成する構成を採用することにより、歪曲収差の補正を良好に行うことができる。また、第1反射鏡M1と第2反射鏡M2との間の光路中に開口絞りASを配置しているので、光線の入射角が大きくなりがちな第3反射鏡M3への光線の入射角を小さく抑えることができる。通常、このような6枚鏡光学系では、光束の干渉を避けるために、開口絞りは反射鏡の直前に配置されるのが一般的である。その場合、絞り位置が限定され、上コマ及び下コマの収差のバランスがとり難くなる。これに対して、本発明では、第1反射鏡M1と第2反射鏡M2との間に開口絞りASを配置したので、絞り位置の自由度を確保するとともに、上コマ及び下コマの収差のバランスをとり易くすることができる。
【0024】
また、開口絞りASを第2反射鏡M2と第3反射鏡M3との間、あるいは第3反射鏡M3と第4反射鏡M4との間に配置すると、第1反射鏡M1の有効径が大きくなり、また、レチクルへの入射角及びレチクルからの反射角が決まっているため、レチクルから射出瞳(開口絞り)までの光路長が長くなり、レチクルの物体高が高くなるので、その結果、結像倍率を1/5〜1/6にせざる得なくなる。これに対して、本発明では、第1反射鏡M1と第2反射鏡M2との間(中間)に開口絞りASを配置したので、小型で結像倍率を1/4に保ちながら、良好な光学性能を実現することができる。その結果、反射多層膜において、反射ムラが発生しにくく且つ十分に高い反射率を得ることができるため、X線に対しても良好な反射特性を確保することができる。
【0025】
また、第3反射鏡M3への光線の入射角を小さく抑えることにより、有効径が大きくなりがちな第4反射鏡M4の有効径を小さく抑えることができる。以上のように、本発明では、X線に対しても良好な反射特性を有し、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系を実現することができる。
【0026】
本発明では、各反射鏡M1〜M6への光線の最大入射角Aが、各反射鏡M1〜M6において、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
A<25° (1)
条件式(1)の上限値を上回ると、反射多層膜への光線の最大入射角Aが大きくなり過ぎて、反射ムラが発生し易くなり且つ十分に高い反射率を得ることができなくなるので好ましくない。
【0027】
また、本発明では、各反射鏡M1〜M6において、次の条件式(2)を満足することが望ましい。条件式(2)において、φMは各反射鏡M1〜M6の有効径(直径)であり、Rは各反射鏡M1〜M6の反射面の曲率半径である。
φM/|R|<1.0 (2)
【0028】
条件式(2)の上限値を上回ると、各反射鏡M1〜M6(特に第4反射鏡M4)の形状測定をするときの開き角(反射鏡測定時のNA)が大きくなりすぎて、高精度な形状測定が困難になるので、好ましくない。なお、さらに高精度な形状測定を可能にするには、条件式(2)の上限値を0.45に設定することがさらに好ましい。
【0029】
また、本発明では、第1面から第1反射鏡M1への光束の主光線の光軸に対する傾きαが、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
5°<|α|<10° (3)
【0030】
条件式(3)の上限値を上回ると、第1面に反射マスクを設置した場合に、反射による影の影響を受け易くなるので、好ましくない。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、第1面に反射マスクを設置した場合に、入射光と反射光とが干渉するので、好ましくない。
【0031】
また、本発明では、各反射鏡M1〜M6の有効径φMは、各反射鏡M1〜M6において、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
φM≦700mm (4)
条件式(4)の上限値を上回ると、当該反射鏡の有効径が大きくなり過ぎて、光学系が大型化するので好ましくない。
【0032】
また、本発明では、収差を良好に補正して光学性能を向上させるために、各反射鏡の反射面は光軸に関して回転対称な非球面状に形成され、各反射面を規定する非球面の最大次数は10次以上であることが望ましい。また、本発明では、第2面側にほぼテレセントリックな光学系であることが望ましい。この構成により、たとえば露光装置に適用される場合、投影光学系の焦点深度内でウェハに凹凸があっても良好な結像が可能になる。
【0033】
以上のように、本発明の投影光学系では、球面状の反射面を有する少なくとも1つの球面反射鏡を含む6つの反射鏡を備え、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことができる。また、本発明の投影光学系を露光装置に適用することにより、露光光としてX線を使用することができる。この場合、投影光学系に対してマスクおよび感光性基板を相対移動させて、マスクのパターンを感光性基板上へ投影露光することになる。その結果、大きな解像力を有する走査型の露光装置を用いて、良好な露光条件のもとで、高精度なマイクロデバイスを製造することができる。
【0034】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、ウェハ上に形成される円弧状の露光領域(すなわち実効露光領域)と光軸との位置関係を示す図である。図1において、投影光学系の光軸方向すなわち感光性基板であるウェハの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0035】
図1の露光装置は、露光光を供給するための光源として、たとえばレーザプラズマX線源1を備えている。X線源1から射出された光は、波長選択フィルタ2を介して、照明光学系3に入射する。ここで、波長選択フィルタ2は、X線源1が供給する光から、所定波長(13.5nm)のX線だけを選択的に透過させ、他の波長光の透過を遮る特性を有する。
【0036】
波長選択フィルタ2を透過したX線は、複数の反射鏡から構成された照明光学系3を介して、転写すべきパターンが形成された反射型のマスク4を照明する。マスク4は、そのパターン面がXY平面に沿って延びるように、Y方向に沿って移動可能なマスクステージ5によって保持されている。そして、マスクステージ5の移動は、図示を省略したレーザー干渉計により計測されるように構成されている。こうして、マスク4上には、Y軸に関して対称な円弧状の照明領域が形成される。
【0037】
照明されたマスク4のパターンからの光は、反射型の投影光学系6を介して、感光性基板であるウェハ7上にマスクパターンの像を形成する。すなわち、ウェハ7上には、図2に示すように、Y軸に関して対称な円弧状の露光領域が形成される。図2を参照すると、光軸AXを中心とした半径φを有する円形状の領域(イメージサークル)IF内において、このイメージサークルIFに接するようにX方向の長さがLXでY方向の長さがLYの円弧状の実効露光領域ERが設定されている。
【0038】
ウェハ7は、その露光面がXY平面に沿って延びるように、X方向およびY方向に沿って二次元的に移動可能なウェハステージ8によって保持されている。なお、ウェハステージ8の移動は、マスクステージ5と同様に、図示を省略したレーザー干渉計により計測されるように構成されている。こうして、マスクステージ5およびウェハステージ8をY方向に沿って移動させながら、すなわち投影光学系6に対してマスク4およびウェハ7をY方向に沿って相対移動させながらスキャン露光(走査露光)を行うことにより、ウェハ7の1つの露光領域にマスク4のパターンが転写される。
【0039】
このとき、投影光学系6の投影倍率(転写倍率)が1/4である場合、ウェハステージ8の移動速度をマスクステージ5の移動速度の1/4に設定して同期走査を行う。また、ウェハステージ8をX方向およびY方向に沿って二次元的に移動させながら走査露光を繰り返すことにより、ウェハ7の各露光領域にマスク4のパターンが逐次転写される。以下、第1実施例〜第3実施例を参照して、投影光学系6の具体的な構成について説明する。
【0040】
各実施例において、投影光学系6は、マスク4のパターンの中間像を形成するための第1反射結像光学系G1と、マスクパターンの中間像の像(マスク4のパターンの二次像)をウェハ7上に形成するための第2反射結像光学系G2とから構成されている。ここで、第1反射結像光学系G1は4つの反射鏡M1〜M4から構成され、第2反射結像光学系G2は2つの反射鏡M5およびM6から構成されている。
【0041】
なお、各実施例において、第2反射鏡M2および第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方の反射面が球面状に形成され、その他の反射鏡の反射面が光軸に関して回転対称な非球面状に形成されている。また、各実施例において、第1反射鏡M1から第2反射鏡M2へ至る光路中には、開口絞りASが配置されている。さらに、各実施例において、投影光学系6は、ウェハ側(像像)にテレセントリックな光学系である。
【0042】
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCn としたとき、以下の数式(b)で表される。
【0043】
【数1】
【0044】
[第1実施例]
図3は、本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。図3を参照すると、第1実施例の投影光学系では、マスク4からの光は、第1凹面反射鏡M1の反射面、第2凹面反射鏡M2の反射面、第3凸面反射鏡M3の反射面、および第4凹面反射鏡M4の反射面で順次反射された後、第4凹面反射鏡M4と第3凸面反射鏡M3との間(第4凹面反射鏡M4から光軸に沿ってウェハ側に120.700659mmの位置)にマスクパターンの中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成されたマスクパターン中間像からの光は、第5凸面反射鏡M5の反射面および第6凹面反射鏡M6の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。第1実施例では、第2反射鏡M2の反射面だけが球面状に形成され、他の反射鏡(M1,M3〜M6)の反射面は非球面状に形成されている。
【0045】
次の表(1)に、第1実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。表(1)において、λは露光光の波長を、βは投影倍率を、NAは像側(ウェハ側)開口数を、H0はマスク4上における最大物体高を、φはウェハ7上でのイメージサークルIFの半径(最大像高)を、LXは実効露光領域ERのX方向に沿った寸法を、LYは実効露光領域ERのY方向に沿った寸法をそれぞれ表している。
【0046】
また、面番号は物体面であるマスク面から像面であるウェハ面への光線の進行する方向に沿ったマスク側からの反射面の順序を、rは各反射面の頂点曲率半径(mm)を、dは各反射面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)をそれぞれ示している。なお、面間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。そして、光線の入射方向にかかわらずマスク側に向かって凸面の曲率半径を正とし、凹面の曲率半径を負としている。上述の表記は、以降の表(2)および表(3)においても同様である。
【0047】
【表1】
【0048】
図4は、第1実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。図4では、像高100%、像高97%、および像高94%におけるメリディオナルコマ収差およびサジタルコマ収差を示している。この表記は、以降の図6および図8においても同様である。収差図から明らかなように、第1実施例では、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差が良好に補正されていることがわかる。また、図示を省略したが、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差以外の他の諸収差、たとえば球面収差やディストーションなども良好に補正されていることが確認されている。
【0049】
[第2実施例]
図5は、本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。図5を参照すると、第2実施例の投影光学系においても第1実施例と同様に、マスク4からの光は、第1凹面反射鏡M1の反射面、第2凹面反射鏡M2の反射面、第3凸面反射鏡M3の反射面、および第4凹面反射鏡M4の反射面で順次反射された後、第4凹面反射鏡M4と第3凸面反射鏡M3との間(第4凹面反射鏡M4から光軸に沿ってウェハ側に154.610117mmの位置)にマスクパターンの中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成されたマスクパターン中間像からの光は、第5凸面反射鏡M5の反射面および第6凹面反射鏡M6の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。
【0050】
第2実施例では、第4凹面反射鏡M4の反射面だけが球面状に形成され、他の反射鏡(M1〜M3,M5,M6)の反射面は非球面状に形成されている。次の表(2)に、第2実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。
【0051】
【表2】
【0052】
図6は、第2実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。収差図から明らかなように、第2実施例においても第1実施例と同様に、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差が良好に補正されていることがわかる。また、図示を省略したが、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差以外の他の諸収差、たとえば球面収差やディストーションなども良好に補正されていることが確認されている。
【0053】
[第3実施例]
図7は、本実施形態の第3実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。図7を参照すると、第3実施例の投影光学系においても第1実施例および第2実施例と同様に、マスク4からの光は、第1凹面反射鏡M1の反射面、第2凹面反射鏡M2の反射面、第3凸面反射鏡M3の反射面、および第4凹面反射鏡M4の反射面で順次反射された後、第4凹面反射鏡M4と第3凸面反射鏡M3との間(第4凹面反射鏡M4から光軸に沿ってウェハ側に59.653237mmの位置)にマスクパターンの中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成されたマスクパターン中間像からの光は、第5凸面反射鏡M5の反射面および第6凹面反射鏡M6の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。
【0054】
第3実施例では、第2凹面反射鏡M2の反射面および第4凹面反射鏡M4の反射面が球面状に形成され、他の反射鏡(M1,M3,M5,M6)の反射面は非球面状に形成されている。次の表(3)に、第3実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。
【0055】
【表3】
【0056】
図8は、第3実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。収差図から明らかなように、第3実施例においても第1実施例および第2実施例と同様に、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差が良好に補正されていることがわかる。また、図示を省略したが、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差以外の他の諸収差、たとえば球面収差やディストーションなども良好に補正されていることが確認されている。
【0057】
以上のように、上述の各実施例では、波長が13.5nmのレーザプラズマX線に対して、0.25の像側開口数を確保するとともに、ウェハ7上において諸収差が良好に補正された26mm×2mmの円弧状の実効露光領域を確保することができる。したがって、ウェハ7において、たとえば26mm×33mmの大きさを有する各露光領域に、マスク4のパターンを走査露光により0.1μm以下の高解像で転写することができる。
【0058】
また、上述の各実施例では、光学系を構成する6つの反射鏡のうち、1つまたは2つの反射鏡が球面状の反射面を有するので、光学系の製造が容易になる。さらに、上述の各実施例では最も大きい第4凹面反射鏡M4の有効径が約520mm程度であり、十分に小さく抑えられている。このように、各実施例において、反射鏡の大型化が抑えられ、光学系の小型化が図られている。
【0059】
また、上述の各実施例では、マスク4に入射する光線群およびマスク4で反射される光線群の光軸AXとなす角度αが約6°程度に小さく抑えられているので、反射型マスク4を用いていても、入射光と反射光との干渉を避けることができるとともに、反射による影の影響を受けにくく、したがって性能が悪化しにくい。また、マスク4の設定位置についてわずかな誤差が発生しても、大きな倍率変化を招きにくいという利点がある。
【0060】
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明系によってマスクを照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図9のフローチャートを参照して説明する。
【0061】
先ず、図9のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク(レチクル)上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。
【0062】
その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0063】
なお、上述の本実施形態では、X線を供給するための光源としてレーザプラズマX線源を用いているが、これに限定されることなく、X線としてたとえばシンクロトロン放射(SOR)光を用いることもできる。
【0064】
また、上述の本実施形態では、X線を供給するための光源を有する露光装置に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、X線以外の他の波長光を供給する光源を有する露光装置に対しても本発明を適用することができる。
【0065】
さらに、上述の本実施形態では、露光装置の投影光学系に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な投影光学系に対しても本発明を適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の投影光学系では、中間像の結像位置が第4反射鏡と第1反射鏡との間にあるので、第2反射鏡および第4反射鏡のうちの少なくとも一方の反射面を球面化することができ、ひいては光学系の製造が容易になる。また、第1反射鏡と第2反射鏡との間の開口絞りを配置しているので、光線の入射角が大きくなりがちな第3反射鏡への光線の入射角を小さく抑えることができる。その結果、反射多層膜において、反射ムラが発生しにくく且つ十分に高い反射率を得ることができるため、X線に対しても良好な反射特性を確保することができる。また、第3反射鏡への光線の入射角を小さく抑えることにより、有効径が大きくなりがちな第4反射鏡の有効径を小さく抑えることができる。すなわち、本発明では、X線に対しても良好な反射特性を有し、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系を実現することができる。
【0067】
また、本発明の投影光学系を露光装置に適用することにより、露光光としてX線を使用することができる。この場合、投影光学系に対してマスクおよび感光性基板を相対移動させて、マスクのパターンを感光性基板上へ投影露光することになる。その結果、大きな解像力を有する走査型の露光装置を用いて、良好な露光条件のもとで、高精度なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ウェハ上に形成される円弧状の露光領域(すなわち実効露光領域)と光軸との位置関係を示す図である。
【図3】本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。
【図4】第1実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。
【図5】本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。
【図6】第2実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。
【図7】本実施形態の第3実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。
【図8】第3実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。
【図9】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例について、そのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 レーザプラズマX線源
2 波長選択フィルタ
3 照明光学系
4 マスク
5 マスクステージ
6 投影光学系
7 ウェハ
8 ウェハステージ
M1〜M6 反射鏡
AS 開口絞り
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系および該投影光学系を備えた露光装置に関し、例えばX線を用いてミラープロジェクション方式によりマスク上の回路パターンを感光性基板上に転写するX線投影露光装置に好適な反射型の投影光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子などの製造に使用される露光装置では、マスク(レチクル)上に形成された回路パターンを、投影光学系を介して、ウェハのような感光性基板上に投影転写する。感光性基板にはレジストが塗布されており、投影光学系を介した投影露光によりレジストが感光し、マスクパターンに対応したレジストパターンが得られる。
【0003】
ここで、露光装置の解像力Wは、露光光の波長λと投影光学系の開口数NAとに依存し、次の式(a)で表される。
W=k・λ/NA (k:定数) (a)
【0004】
したがって、露光装置の解像力を向上させるためには、露光光の波長λを短くするか、あるいは投影光学系の開口数NAを大きくすることが必要となる。一般に、投影光学系の開口数NAを所定値以上に大きくすることは光学設計の観点から困難であるため、今後は露光光の短波長化が必要となる。たとえば、露光光として、波長が248nmのKrFエキシマレーザーを用いると0.25μmの解像力が得られ、波長が193nmのArFエキシマレーザーを用いると0.18μmの解像力が得られる。露光光としてさらに波長の短いX線を用いると、例えば波長が13nmで0.1μm以下の解像力が得られる。
【0005】
ところで、露光光としてX線を用いる場合、使用可能な透過光学材料および屈折光学材料がなくなるため、反射型のマスクを用いるとともに、反射型の投影光学系を用いることになる。従来、露光光としてX線を用いる露光装置に適用可能な投影光学系として、たとえば特開昭61−47914号公報、米国特許第5,815,310号明細書、特開平9−211322号公報、米国特許第5,686,728号明細書、特開平10−90602号公報、WO99/57606号公報には、種々の反射光学系が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−47914号公報
【特許文献2】
米国特許第5,815,310号明細書
【特許文献3】
特開平9−211322号公報
【特許文献4】
米国特許第5,686,728号明細書
【特許文献5】
特開平10−90602号公報
【特許文献6】
国際公開第99/57606号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−47914号公報に開示された従来の反射光学系では、マスクおよびウェハが光学系の中に配置される形態を有し、露光装置の投影光学系として実現することは非常に困難である。
【0008】
また、米国特許第5,815,310号明細書や特開平9−211322号公報やWO99/57606号公報に開示された従来の反射光学系では、マスクとウェハとの間に光学系が配置される形態にはなっているものの、一部の反射鏡が大型化してその有効径がマスクの有効径よりも実質的に大きくなっているので製造が困難である。
【0009】
さらに、米国特許第5,686,728号明細書や特開平10−90602号公報に開示された従来の反射光学系では、マスクとウェハとの間に光学系が配置される形態にはなっているものの、一部の反射鏡が大型化してその有効径がマスクの有効径よりも実質的に大きくなっているので製造が困難である。加えて、ウェハ側に2枚の凸面反射鏡が用いられているので、光軸に対する光線の角度が大きくなり、反射鏡が大型化している。
【0010】
ところで、露光光としてX線を用いる露光装置に搭載される投影光学系の場合、X線を良好に反射するために反射面には数十層からなる多層膜が形成される。従来の反射光学系では、各反射鏡の反射面への光線の最大入射角(反射面の垂線と光線とのなす角)が比較的大きく設定されている。その結果、反射多層膜において、反射ムラが発生し易く且つ十分に高い反射率を得ることができないため、良好な反射特性を達成することができない。
【0011】
以上のように、従来技術では、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことにより、露光光としてX線を用いて大きな解像力を確保することのできる反射型の投影光学系を得るために、各反射鏡の反射面に非球面加工を施す必要があり、光学系の製造が非常に困難にならざるを得なかった。
【0012】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、球面状の反射面を有する少なくとも1つの球面反射鏡を含む6つの反射鏡を備え、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系を提供することを目的とする。また、本発明の投影光学系を露光装置に適用することにより、たとえば露光光としてX線を用いて大きな解像力を確保することのできる露光装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、6つの反射鏡を備え、第1面の縮小像を第2面上に形成する投影光学系において、
前記第1面の中間像を形成するための第1反射結像光学系と、前記中間像の像を前記第2面上に形成するための第2反射結像光学系とを備え、
前記第1反射結像光学系は、前記第1面側から光の入射順に、第1反射鏡M1と開口絞りと第2反射鏡M2と第3反射鏡M3と第4反射鏡M4とを有し、
前記第2反射結像光学系は、前記第1面側から光の入射順に、第5反射鏡M5と第6反射鏡M6とを有し、
前記中間像の結像位置は、前記第4反射鏡M4と前記第1反射鏡M1との間にあり、前記第2反射鏡M2および前記第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方が球面状の反射面を有することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0014】
第1形態の好ましい態様によれば、各反射鏡M1〜M6への光線の最大入射角Aは、各反射鏡M1〜M6において、A<25°の条件を満足する。また、各反射鏡M1〜M6の有効径をφMとし、各反射鏡M1〜M6の反射面の曲率半径をRとするとき、各反射鏡M1〜M6において、φM/|R|<1.0の条件を満足することが好ましい。
【0015】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記第1面から前記第1反射鏡M1への光束の主光線の光軸に対する傾きαは、5°<|α|<10°の条件を満足する。また、各反射鏡M1〜M6の有効径φMは、各反射鏡M1〜M6において、φM≦700mmの条件を満足することが好ましい。
【0016】
さらに、第1形態の好ましい態様によれば、各反射鏡M1,M3,M5,M6の反射面は、光軸に関して回転対称な非球面状に形成され、各反射面を規定する非球面の最大次数は10次以上である。また、前記第2面側にほぼテレセントリックな光学系であることが好ましい。
【0017】
本発明の第2形態では、前記第1面に設定されたマスクを照明するための照明系と、前記マスクのパターンを前記第2面に設定された感光性基板上へ投影露光するための第1形態の投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
第2形態の好ましい態様によれば、前記照明系は、露光光としてX線を供給するための光源を有し、前記投影光学系に対して前記マスクおよび前記感光性基板を相対移動させて、前記マスクのパターンを前記感光性基板上へ投影露光する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の投影光学系では、第1面(物体面)からの光が、第1反射結像光学系G1を介して、第1面の中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成された第1面の中間像からの光が、第2反射結像光学系G2を介して、中間像の像(第1面の縮小像)を第2面(像面)上に形成する。
【0020】
ここで、第1反射結像光学系G1は、第1面からの光を反射するための第1反射鏡M1と、開口絞りASと、第1反射鏡M1で反射された光を反射するための第2反射鏡M2と、第2反射鏡M2で反射された光を反射するための第3反射鏡M3と、第3反射鏡M3で反射された光を反射するための第4反射鏡M4とにより構成されている。また、第2反射結像光学系G2は、中間像からの光を反射するための第5反射鏡M5と、第5反射鏡M5で反射された光を反射するための第6凹面反射鏡M6とにより構成されている。
【0021】
さらに、本発明の投影光学系では、中間像の結像位置が第4反射鏡M4と第1反射鏡M1との間にあり、第2反射鏡M2および第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方が球面状の反射面を有する球面反射鏡である。従来、4枚反射鏡で中間像を形成し、さらに中間像を2枚反射鏡で再結像させる6枚反射鏡タイプの光学系では、中間像の近軸結像位置(以下、単に「結像位置」という)を4枚反射鏡の後側(像側)で2枚反射鏡の前側(物体側)に置くのが通常であった。
【0022】
本発明では、中間像の結像位置を4枚反射鏡の第1反射鏡M1または第3反射鏡M3よりも前側に置くことを特徴としている。この特徴的な構成により、中間像の結像位置が第4反射鏡M4の位置に近付くことになり、第4反射鏡M4の反射面上での光束の幅を小さく抑えることができる。その結果、第4反射鏡M4の反射面上で他の収差の発生を抑えつつ、各反射鏡で発生する歪曲収差(ディストーション)を補正することが可能になる。このように、役割を明確に分担することにより、他の反射鏡の収差補正分担が軽減され、ひいては第2反射鏡M2や第4反射鏡M4の反射面の球面化が可能になる。
【0023】
また、本発明では、第1面の縮小像を第2面上に2回結像で形成する構成を採用することにより、歪曲収差の補正を良好に行うことができる。また、第1反射鏡M1と第2反射鏡M2との間の光路中に開口絞りASを配置しているので、光線の入射角が大きくなりがちな第3反射鏡M3への光線の入射角を小さく抑えることができる。通常、このような6枚鏡光学系では、光束の干渉を避けるために、開口絞りは反射鏡の直前に配置されるのが一般的である。その場合、絞り位置が限定され、上コマ及び下コマの収差のバランスがとり難くなる。これに対して、本発明では、第1反射鏡M1と第2反射鏡M2との間に開口絞りASを配置したので、絞り位置の自由度を確保するとともに、上コマ及び下コマの収差のバランスをとり易くすることができる。
【0024】
また、開口絞りASを第2反射鏡M2と第3反射鏡M3との間、あるいは第3反射鏡M3と第4反射鏡M4との間に配置すると、第1反射鏡M1の有効径が大きくなり、また、レチクルへの入射角及びレチクルからの反射角が決まっているため、レチクルから射出瞳(開口絞り)までの光路長が長くなり、レチクルの物体高が高くなるので、その結果、結像倍率を1/5〜1/6にせざる得なくなる。これに対して、本発明では、第1反射鏡M1と第2反射鏡M2との間(中間)に開口絞りASを配置したので、小型で結像倍率を1/4に保ちながら、良好な光学性能を実現することができる。その結果、反射多層膜において、反射ムラが発生しにくく且つ十分に高い反射率を得ることができるため、X線に対しても良好な反射特性を確保することができる。
【0025】
また、第3反射鏡M3への光線の入射角を小さく抑えることにより、有効径が大きくなりがちな第4反射鏡M4の有効径を小さく抑えることができる。以上のように、本発明では、X線に対しても良好な反射特性を有し、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系を実現することができる。
【0026】
本発明では、各反射鏡M1〜M6への光線の最大入射角Aが、各反射鏡M1〜M6において、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
A<25° (1)
条件式(1)の上限値を上回ると、反射多層膜への光線の最大入射角Aが大きくなり過ぎて、反射ムラが発生し易くなり且つ十分に高い反射率を得ることができなくなるので好ましくない。
【0027】
また、本発明では、各反射鏡M1〜M6において、次の条件式(2)を満足することが望ましい。条件式(2)において、φMは各反射鏡M1〜M6の有効径(直径)であり、Rは各反射鏡M1〜M6の反射面の曲率半径である。
φM/|R|<1.0 (2)
【0028】
条件式(2)の上限値を上回ると、各反射鏡M1〜M6(特に第4反射鏡M4)の形状測定をするときの開き角(反射鏡測定時のNA)が大きくなりすぎて、高精度な形状測定が困難になるので、好ましくない。なお、さらに高精度な形状測定を可能にするには、条件式(2)の上限値を0.45に設定することがさらに好ましい。
【0029】
また、本発明では、第1面から第1反射鏡M1への光束の主光線の光軸に対する傾きαが、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
5°<|α|<10° (3)
【0030】
条件式(3)の上限値を上回ると、第1面に反射マスクを設置した場合に、反射による影の影響を受け易くなるので、好ましくない。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、第1面に反射マスクを設置した場合に、入射光と反射光とが干渉するので、好ましくない。
【0031】
また、本発明では、各反射鏡M1〜M6の有効径φMは、各反射鏡M1〜M6において、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
φM≦700mm (4)
条件式(4)の上限値を上回ると、当該反射鏡の有効径が大きくなり過ぎて、光学系が大型化するので好ましくない。
【0032】
また、本発明では、収差を良好に補正して光学性能を向上させるために、各反射鏡の反射面は光軸に関して回転対称な非球面状に形成され、各反射面を規定する非球面の最大次数は10次以上であることが望ましい。また、本発明では、第2面側にほぼテレセントリックな光学系であることが望ましい。この構成により、たとえば露光装置に適用される場合、投影光学系の焦点深度内でウェハに凹凸があっても良好な結像が可能になる。
【0033】
以上のように、本発明の投影光学系では、球面状の反射面を有する少なくとも1つの球面反射鏡を含む6つの反射鏡を備え、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことができる。また、本発明の投影光学系を露光装置に適用することにより、露光光としてX線を使用することができる。この場合、投影光学系に対してマスクおよび感光性基板を相対移動させて、マスクのパターンを感光性基板上へ投影露光することになる。その結果、大きな解像力を有する走査型の露光装置を用いて、良好な露光条件のもとで、高精度なマイクロデバイスを製造することができる。
【0034】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、ウェハ上に形成される円弧状の露光領域(すなわち実効露光領域)と光軸との位置関係を示す図である。図1において、投影光学系の光軸方向すなわち感光性基板であるウェハの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0035】
図1の露光装置は、露光光を供給するための光源として、たとえばレーザプラズマX線源1を備えている。X線源1から射出された光は、波長選択フィルタ2を介して、照明光学系3に入射する。ここで、波長選択フィルタ2は、X線源1が供給する光から、所定波長(13.5nm)のX線だけを選択的に透過させ、他の波長光の透過を遮る特性を有する。
【0036】
波長選択フィルタ2を透過したX線は、複数の反射鏡から構成された照明光学系3を介して、転写すべきパターンが形成された反射型のマスク4を照明する。マスク4は、そのパターン面がXY平面に沿って延びるように、Y方向に沿って移動可能なマスクステージ5によって保持されている。そして、マスクステージ5の移動は、図示を省略したレーザー干渉計により計測されるように構成されている。こうして、マスク4上には、Y軸に関して対称な円弧状の照明領域が形成される。
【0037】
照明されたマスク4のパターンからの光は、反射型の投影光学系6を介して、感光性基板であるウェハ7上にマスクパターンの像を形成する。すなわち、ウェハ7上には、図2に示すように、Y軸に関して対称な円弧状の露光領域が形成される。図2を参照すると、光軸AXを中心とした半径φを有する円形状の領域(イメージサークル)IF内において、このイメージサークルIFに接するようにX方向の長さがLXでY方向の長さがLYの円弧状の実効露光領域ERが設定されている。
【0038】
ウェハ7は、その露光面がXY平面に沿って延びるように、X方向およびY方向に沿って二次元的に移動可能なウェハステージ8によって保持されている。なお、ウェハステージ8の移動は、マスクステージ5と同様に、図示を省略したレーザー干渉計により計測されるように構成されている。こうして、マスクステージ5およびウェハステージ8をY方向に沿って移動させながら、すなわち投影光学系6に対してマスク4およびウェハ7をY方向に沿って相対移動させながらスキャン露光(走査露光)を行うことにより、ウェハ7の1つの露光領域にマスク4のパターンが転写される。
【0039】
このとき、投影光学系6の投影倍率(転写倍率)が1/4である場合、ウェハステージ8の移動速度をマスクステージ5の移動速度の1/4に設定して同期走査を行う。また、ウェハステージ8をX方向およびY方向に沿って二次元的に移動させながら走査露光を繰り返すことにより、ウェハ7の各露光領域にマスク4のパターンが逐次転写される。以下、第1実施例〜第3実施例を参照して、投影光学系6の具体的な構成について説明する。
【0040】
各実施例において、投影光学系6は、マスク4のパターンの中間像を形成するための第1反射結像光学系G1と、マスクパターンの中間像の像(マスク4のパターンの二次像)をウェハ7上に形成するための第2反射結像光学系G2とから構成されている。ここで、第1反射結像光学系G1は4つの反射鏡M1〜M4から構成され、第2反射結像光学系G2は2つの反射鏡M5およびM6から構成されている。
【0041】
なお、各実施例において、第2反射鏡M2および第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方の反射面が球面状に形成され、その他の反射鏡の反射面が光軸に関して回転対称な非球面状に形成されている。また、各実施例において、第1反射鏡M1から第2反射鏡M2へ至る光路中には、開口絞りASが配置されている。さらに、各実施例において、投影光学系6は、ウェハ側(像像)にテレセントリックな光学系である。
【0042】
各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCn としたとき、以下の数式(b)で表される。
【0043】
【数1】
【0044】
[第1実施例]
図3は、本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。図3を参照すると、第1実施例の投影光学系では、マスク4からの光は、第1凹面反射鏡M1の反射面、第2凹面反射鏡M2の反射面、第3凸面反射鏡M3の反射面、および第4凹面反射鏡M4の反射面で順次反射された後、第4凹面反射鏡M4と第3凸面反射鏡M3との間(第4凹面反射鏡M4から光軸に沿ってウェハ側に120.700659mmの位置)にマスクパターンの中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成されたマスクパターン中間像からの光は、第5凸面反射鏡M5の反射面および第6凹面反射鏡M6の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。第1実施例では、第2反射鏡M2の反射面だけが球面状に形成され、他の反射鏡(M1,M3〜M6)の反射面は非球面状に形成されている。
【0045】
次の表(1)に、第1実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。表(1)において、λは露光光の波長を、βは投影倍率を、NAは像側(ウェハ側)開口数を、H0はマスク4上における最大物体高を、φはウェハ7上でのイメージサークルIFの半径(最大像高)を、LXは実効露光領域ERのX方向に沿った寸法を、LYは実効露光領域ERのY方向に沿った寸法をそれぞれ表している。
【0046】
また、面番号は物体面であるマスク面から像面であるウェハ面への光線の進行する方向に沿ったマスク側からの反射面の順序を、rは各反射面の頂点曲率半径(mm)を、dは各反射面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)をそれぞれ示している。なお、面間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。そして、光線の入射方向にかかわらずマスク側に向かって凸面の曲率半径を正とし、凹面の曲率半径を負としている。上述の表記は、以降の表(2)および表(3)においても同様である。
【0047】
【表1】
【0048】
図4は、第1実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。図4では、像高100%、像高97%、および像高94%におけるメリディオナルコマ収差およびサジタルコマ収差を示している。この表記は、以降の図6および図8においても同様である。収差図から明らかなように、第1実施例では、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差が良好に補正されていることがわかる。また、図示を省略したが、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差以外の他の諸収差、たとえば球面収差やディストーションなども良好に補正されていることが確認されている。
【0049】
[第2実施例]
図5は、本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。図5を参照すると、第2実施例の投影光学系においても第1実施例と同様に、マスク4からの光は、第1凹面反射鏡M1の反射面、第2凹面反射鏡M2の反射面、第3凸面反射鏡M3の反射面、および第4凹面反射鏡M4の反射面で順次反射された後、第4凹面反射鏡M4と第3凸面反射鏡M3との間(第4凹面反射鏡M4から光軸に沿ってウェハ側に154.610117mmの位置)にマスクパターンの中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成されたマスクパターン中間像からの光は、第5凸面反射鏡M5の反射面および第6凹面反射鏡M6の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。
【0050】
第2実施例では、第4凹面反射鏡M4の反射面だけが球面状に形成され、他の反射鏡(M1〜M3,M5,M6)の反射面は非球面状に形成されている。次の表(2)に、第2実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。
【0051】
【表2】
【0052】
図6は、第2実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。収差図から明らかなように、第2実施例においても第1実施例と同様に、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差が良好に補正されていることがわかる。また、図示を省略したが、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差以外の他の諸収差、たとえば球面収差やディストーションなども良好に補正されていることが確認されている。
【0053】
[第3実施例]
図7は、本実施形態の第3実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。図7を参照すると、第3実施例の投影光学系においても第1実施例および第2実施例と同様に、マスク4からの光は、第1凹面反射鏡M1の反射面、第2凹面反射鏡M2の反射面、第3凸面反射鏡M3の反射面、および第4凹面反射鏡M4の反射面で順次反射された後、第4凹面反射鏡M4と第3凸面反射鏡M3との間(第4凹面反射鏡M4から光軸に沿ってウェハ側に59.653237mmの位置)にマスクパターンの中間像を形成する。そして、第1反射結像光学系G1を介して形成されたマスクパターン中間像からの光は、第5凸面反射鏡M5の反射面および第6凹面反射鏡M6の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。
【0054】
第3実施例では、第2凹面反射鏡M2の反射面および第4凹面反射鏡M4の反射面が球面状に形成され、他の反射鏡(M1,M3,M5,M6)の反射面は非球面状に形成されている。次の表(3)に、第3実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。
【0055】
【表3】
【0056】
図8は、第3実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。収差図から明らかなように、第3実施例においても第1実施例および第2実施例と同様に、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差が良好に補正されていることがわかる。また、図示を省略したが、実効露光領域ERに対応する領域において、コマ収差以外の他の諸収差、たとえば球面収差やディストーションなども良好に補正されていることが確認されている。
【0057】
以上のように、上述の各実施例では、波長が13.5nmのレーザプラズマX線に対して、0.25の像側開口数を確保するとともに、ウェハ7上において諸収差が良好に補正された26mm×2mmの円弧状の実効露光領域を確保することができる。したがって、ウェハ7において、たとえば26mm×33mmの大きさを有する各露光領域に、マスク4のパターンを走査露光により0.1μm以下の高解像で転写することができる。
【0058】
また、上述の各実施例では、光学系を構成する6つの反射鏡のうち、1つまたは2つの反射鏡が球面状の反射面を有するので、光学系の製造が容易になる。さらに、上述の各実施例では最も大きい第4凹面反射鏡M4の有効径が約520mm程度であり、十分に小さく抑えられている。このように、各実施例において、反射鏡の大型化が抑えられ、光学系の小型化が図られている。
【0059】
また、上述の各実施例では、マスク4に入射する光線群およびマスク4で反射される光線群の光軸AXとなす角度αが約6°程度に小さく抑えられているので、反射型マスク4を用いていても、入射光と反射光との干渉を避けることができるとともに、反射による影の影響を受けにくく、したがって性能が悪化しにくい。また、マスク4の設定位置についてわずかな誤差が発生しても、大きな倍率変化を招きにくいという利点がある。
【0060】
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明系によってマスクを照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図9のフローチャートを参照して説明する。
【0061】
先ず、図9のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク(レチクル)上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。
【0062】
その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0063】
なお、上述の本実施形態では、X線を供給するための光源としてレーザプラズマX線源を用いているが、これに限定されることなく、X線としてたとえばシンクロトロン放射(SOR)光を用いることもできる。
【0064】
また、上述の本実施形態では、X線を供給するための光源を有する露光装置に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、X線以外の他の波長光を供給する光源を有する露光装置に対しても本発明を適用することができる。
【0065】
さらに、上述の本実施形態では、露光装置の投影光学系に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な投影光学系に対しても本発明を適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の投影光学系では、中間像の結像位置が第4反射鏡と第1反射鏡との間にあるので、第2反射鏡および第4反射鏡のうちの少なくとも一方の反射面を球面化することができ、ひいては光学系の製造が容易になる。また、第1反射鏡と第2反射鏡との間の開口絞りを配置しているので、光線の入射角が大きくなりがちな第3反射鏡への光線の入射角を小さく抑えることができる。その結果、反射多層膜において、反射ムラが発生しにくく且つ十分に高い反射率を得ることができるため、X線に対しても良好な反射特性を確保することができる。また、第3反射鏡への光線の入射角を小さく抑えることにより、有効径が大きくなりがちな第4反射鏡の有効径を小さく抑えることができる。すなわち、本発明では、X線に対しても良好な反射特性を有し、反射鏡の大型化を抑えつつ収差補正を良好に行うことのできる反射型の投影光学系を実現することができる。
【0067】
また、本発明の投影光学系を露光装置に適用することにより、露光光としてX線を使用することができる。この場合、投影光学系に対してマスクおよび感光性基板を相対移動させて、マスクのパターンを感光性基板上へ投影露光することになる。その結果、大きな解像力を有する走査型の露光装置を用いて、良好な露光条件のもとで、高精度なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】ウェハ上に形成される円弧状の露光領域(すなわち実効露光領域)と光軸との位置関係を示す図である。
【図3】本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。
【図4】第1実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。
【図5】本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。
【図6】第2実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。
【図7】本実施形態の第3実施例にかかる投影光学系の構成を示す図である。
【図8】第3実施例の投影光学系におけるコマ収差を示す図である。
【図9】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例について、そのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 レーザプラズマX線源
2 波長選択フィルタ
3 照明光学系
4 マスク
5 マスクステージ
6 投影光学系
7 ウェハ
8 ウェハステージ
M1〜M6 反射鏡
AS 開口絞り
Claims (9)
- 6つの反射鏡を備え、第1面の縮小像を第2面上に形成する投影光学系において、
前記第1面の中間像を形成するための第1反射結像光学系と、前記中間像の像を前記第2面上に形成するための第2反射結像光学系とを備え、
前記第1反射結像光学系は、前記第1面側から光の入射順に、第1反射鏡M1と開口絞りと第2反射鏡M2と第3反射鏡M3と第4反射鏡M4とを有し、
前記第2反射結像光学系は、前記第1面側から光の入射順に、第5反射鏡M5と第6反射鏡M6とを有し、
前記中間像の結像位置は、前記第4反射鏡M4と前記第1反射鏡M1との間にあり、前記第2反射鏡M2および前記第4反射鏡M4のうちの少なくとも一方が球面状の反射面を有することを特徴とする投影光学系。 - 各反射鏡M1〜M6への光線の最大入射角Aは、各反射鏡M1〜M6において、
A<25°
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の投影光学系。 - 各反射鏡M1〜M6の有効径をφMとし、各反射鏡M1〜M6の反射面の曲率半径をRとするとき、各反射鏡M1〜M6において、
φM/|R|<1.0
の条件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の投影光学系。 - 前記第1面から前記第1反射鏡M1への光束の主光線の光軸に対する傾きαは、
5°<|α|<10°
の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の投影光学系。 - 各反射鏡M1〜M6の有効径φMは、各反射鏡M1〜M6において、
φM≦700mm
の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の投影光学系。 - 各反射鏡M1,M3,M5,M6の反射面は、光軸に関して回転対称な非球面状に形成され、
各反射面を規定する非球面の最大次数は10次以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の投影光学系。 - 前記第2面側にほぼテレセントリックな光学系であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の投影光学系。
- 前記第1面に設定されたマスクを照明するための照明系と、前記マスクのパターンを前記第2面に設定された感光性基板上へ投影露光するための請求項1乃至7のいずれか1項に記載の投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置。
- 前記照明系は、露光光としてX線を供給するための光源を有し、
前記投影光学系に対して前記マスクおよび前記感光性基板を相対移動させて、前記マスクのパターンを前記感光性基板上へ投影露光することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
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-
2003
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