JP2004258007A - 車輪形状測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄道車両走行車輪検査装置より得られた車輪の車輪径と、リム直径の測定値を利用して、特に偏摩耗の1つである凹摩耗を発見し判定を行う方法を提供することにより、保守の省力化を提供する。
【解決手段】鉄道車両走行車輪検査装置より、新製時の車輪における車輪径測定値と、リム直径の測定値を算出し、一定期間走行し摩耗した車輪を測定後、その車輪における車輪径の測定値と、リム直径の測定値を取得し、新製時と摩耗後の車輪径とリム直径について変化量を算出し、その変化量の差を基準値と比較し評価することにより、走行中の特定条件により起こる偏摩耗の1つである凹摩耗が発生しているかどうかを判別する。さらに鉄道車両走行車輪検査装置の表示部へ凹摩耗が発生していることを明確に表示する。
【選択図】 図8
【解決手段】鉄道車両走行車輪検査装置より、新製時の車輪における車輪径測定値と、リム直径の測定値を算出し、一定期間走行し摩耗した車輪を測定後、その車輪における車輪径の測定値と、リム直径の測定値を取得し、新製時と摩耗後の車輪径とリム直径について変化量を算出し、その変化量の差を基準値と比較し評価することにより、走行中の特定条件により起こる偏摩耗の1つである凹摩耗が発生しているかどうかを判別する。さらに鉄道車両走行車輪検査装置の表示部へ凹摩耗が発生していることを明確に表示する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪の摩耗状態を管理する装置に係り、特に、車両を特定する編成情報から車輪に関わる情報を参照し、車輪の偏摩耗を判定する方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2001−88503号公報に見られるように、従来の鉄道車両走行車輪検査装置では、車輪の踏面形状を求め、その測定結果から摩耗状態を報知することが行われている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−88503号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車輪の踏面は、レールに常時接しているので車両が走行することにより摩耗する。この踏面の摩耗には、車輪の踏面全体にわたり平均的に摩耗する通常摩耗と、連続したカーブ及び勾配などの特定条件により偏った摩耗をする偏摩耗がある。更に、車輪の踏面がレールに対して凹状に変形する偏摩耗は凹摩耗といわれる。前記従来技術では、平均的な摩耗状態を検出するのみで凹摩耗を認識することを考慮していなかった。よって、膨大な数の車輪において凹摩耗は人手により検査せざるを得ず、自動化が行われていなかった。
【0005】
本発明の目的は、鉄道車両走行車輪検査装置で車輪各部の測定を行う毎に、偏摩耗の一つである凹摩耗を自動で報知することで、車輪の修繕作業への支援を行うことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段としては、鉄道車両走行車輪検査装置を用いた車輪の測定により得られた車輪の車輪径及びリム径の測定テータを用いて、新製時と摩耗後の摩耗変化量を比較し、凹摩耗の判定を行う。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、鉄道車両走行車輪検査装置の一実施例について添付図面を参照して説明する。図1は鉄道車両走行車輪検査装置における各センサ設置状況及び装置構成を示す概略図である。以下図1について説明する。
【0008】
10は鉄道車両、100はその車輪である。11はレールである。鉄道車両10は車輪100でレール11上を走行する。1a及び1bは非接触式の第1距離センサ及び第2距離センサである。12は枕木である。第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bはレール11の外側(図中手前)と内側(図中裏側)に設置され、レール11上を走行してきた鉄道車両10の車輪100との距離(センサからの最短距離)を測定するもので、枕木12上に設置されている。
【0009】
この距離センサ1a及び1bとしては、渦電流式変位センサや光学式変位センサ、超音波式変位センサ等が利用できる。渦電流式変位センサは、内部のコイルに高周波電流を流して高周波磁界を発生させ、その磁界内に測定対象の金属が入ってくると電磁誘導作用によって金属表面に渦電流が発生し、この渦電流の大小でセンサと対象物の距離を測定するものである。光学式変位センサは、発光ダイオードや半導体レーザを用いた発光素子と光位置検出素子の組合せで構成されたものである。超音波式変位センサは、超音波を測定対象物に向けて発射し、その音波が対象物から反射波として戻ってくるまでの時間を計測することで、センサと対象物の距離を測定するものである。本発明では、光学式変位センサを利用した計測手法について記述するが、他の方式のセンサについても同じ結果になる。
【0010】
2a及び2bは第1増幅部及び第2増幅部である。第1、第2距離センサ1a及び1bで測定された距離は、第1増幅部2a及び第2増幅部2bで増幅され、第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bで逐次A/D変換していく。5は速度検出部である。第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bによってセンサからの最短距離を計測される車輪100の速度を(鉄道車両10の走行方向イに沿った車輪100の移動速度)検出する。この速度検出部5は上記2個の検出部5a、5b間(一方の検出部5aから他方の検出部5bまでの間)を通過する車輪100の通過時間からその車輪100の速度を得るものである。
【0011】
また、この速度検出部5は、検査対象の車両10が2個の検出部5a、5b間を通過する時の経過時間を得るものである。この速度検出部5は、光学式のもので、2個の検出部5a、5bを走行してきた鉄道車両10から見て距離センサ1a及び1bの手前側になるように配置している。4a及び4bは、第1制御部及び第2制御部である。速度検出部5での計測結果は、距離センサ1a及び1bでの計測結果と共に第1制御部4a及び第2制御部4bに送られる。この第1制御部4a及び第2制御部4bでは、第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bからの計測データと、上記速度検出部5からの車輪100の速度及び経過時間とを逐次取込み、記憶部6に格納させる制御を行う。また、第1制御部4a及び第2制御部4bは、速度検出部5で得られた車輪100の速度に応じて、第1A/D変換部3a及び第2変換部3bから出力されるデータをサンプリングする周期を適宜変えるように構成されている。
【0012】
6の記憶部は、第1制御部4a及び第2制御部4bにそれぞれ接続されており、第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bからの出力データと速度検出部5からの車輪100の速度と経過時間のデータを、第1制御部4a及び第2制御部4bの制御によって逐次格納する。7は処理部で、記憶部6に格納された計測データ、予め固定して設置されている第1距離センサ1a、第2距離センサ1b間の距離、第1距離センサ1aの設置角度及び第2距離センサ1bの設置角度、速度検出部5で検出される車輪速度から、逐次車輪100の車輪の形状を求める数値の演算を行う。
【0013】
また、処理部7は上記のようにして得られた車輪100の車輪の形状を求める数値を測定順番と共に記憶部6に格納する。さらに、速度検出部5で得られた車輪100の速度と経過時間から車輪100の車輪の形状を再現し、出力画面表示部8で表示又は出力印字部9でハードコピーを得るようにする。
【0014】
また、凹摩耗の判定処理は、処理部7にて行う。処理部7は、記憶部6から車輪の新製時における車輪径及びリム直径の測定値を取得すると共に、第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bより測定した摩耗後の車輪径及びリム直径を算出し、新製時と摩耗後の測定結果から摩耗量の差を算出し、凹摩耗の判定を行う。また、判定結果は記憶部6に格納したり、出力画面表示部8にて表示したり、又は出力印字部9にて印字出力する。
【0015】
図2は距離センサで車輪までの距離を計測する状況と、車輪の形状を求める各部分の概要について車輪の側面から示した図である。以下図2について説明する。
【0016】
101は踏面である。踏面101は車輪100において車輪外側の部分から内側(フランジ側)の部分までの外周面の外径が徐々に大となるように形成されている。102はフランジである。フランジ102は車輪内側の部分に一体に設けられている。フランジ102の外周面は、踏面101から連続しかつ内側から外側に行くに従って肉厚が徐々に薄くなるような凸曲面をなす。
【0017】
103は基準溝である。車輪100には基準溝103を有しており、この直径Wsは基準で定められている。なお、車輪100の外側のフランジ外面104をフランジ外面と称し、また車輪100の内側のフランジ面(車輪100の内側のバックゲージ面)105を車輪内面と称する。車輪100の踏面101はレール11の上面の踏面(レール面)11a上を走行する際、車輪100のフランジ面外面がレール11の内側の側面で案内される。
【0018】
第1距離センサ1aはレール11の外側に設置され、車輪100のフランジ外面104までの距離L3を時系列に計測出力するものである。また、第2距離センサ1bはレール11の内側に設置され、車輪内面105までの距離L4を計測出力するものである。各距離センサ1a、1bはこれらが発せられる光がレール11で遮られないように、θ1及びθ2の設置角度をつけている。この第1距離センサ1aの設置角度θ1と第2距離センサ1bの設置角度θ2は、同一であっても良いし異なっていても良い。
【0019】
また、各距離センサ1a及び1bは鉄道車両10の走行方向の前方から車輪100に計測のための光を発するので、フランジ102の凸曲面を直射して反射するようになっている。
【0020】
L0は予め固定して設置されている第1距離センサ1a、第2距離センサ1bの間の距離である。dはフランジ102の厚さ、fhはフランジ102の高さ、Dhは車輪100の直径(以下、車輪径とする)である。
【0021】
第1距離センサ1aの設置角度θ1及び第2距離センサ1bの設置角度θ2と車輪検出部5で検出される車輪速度から後述する数式1〜9によって逐次車輪100のフランジ102の厚さd、フランジ102の高さfh、車輪100の車輪径Dhを演算し車輪の形状を求める。hGは第1距離センサ1a、第2距離センサ1bから踏面11aまでの一定の設置高さであり既知である。
【0022】
以下に、通常のフランジ摩耗等を求めるための動作について、図3を含めて説明する。図3は車輪の車輪径、基準溝径などを車輪のバック面から正面方向から示した図である。
【0023】
まず、図1及び図2に示すように、フランジ102の摩耗状況を検査する鉄道車両10をレール11上矢印イの方向に走行させ、図3に示すように矢印ロ方向に車輪100を回転させ、速度検出部5の2個の検出部5a、5b間を通過させ、さらに第1距離センサ1aと第2距離センサ1bとの間を走行させる。
【0024】
すると、図2に示すように、第1距離センサ1aはフランジ外面104までの距離L3を計測し、第2距離センサ1bは車輪内面105までの距離L4を計測する。このとき第1距離センサ1aは、図3(a)に示すように、車輪100のフランジ外面104のB−C間、車輪100の外側の面C−D間及びフランジ外面104のD−E間の距離L3を計測する。その第1距離センサ1aからの出力波形は、図3(c)に示すような波形である。なお、図3(a)中において、車輪100のフランジ102の部分は、B−C間の部分及びD−E間の部分に対応する。
【0025】
第2距離センサ1bは、図3(a)に示す車輪内面105のA−F間の部分までの距離L4を計測する。その第2距離センサからの出力波形は、図3(b)に示すような波形である。車両10が重くてレール11が沈んでも距離センサ1a及び1bも車輪100と一緒に沈むからレール11の変形は計測結果L3及びL4に影響がない。
【0026】
次に、上記第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bからの出力波形は第1増幅部2a及び第2増幅部2bで増幅されてから第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bでA/D変換され、第1制御部4a及び第2制御部4bの制御によって逐次記憶部6に格納される。
【0027】
一方、速度検出部5で得られた速度は、経過時間と共に制御部4a及び4bの制御によって逐次記憶部6に格納される。
【0028】
その後、処理部7において、記憶部6に格納された波形データ及び第1距離センサ1aと第2距離センサ1b間の距離L0及び第1距離センサ1aの設置角度θ1と第2距離センサ1bの設置角度θ1と第2距離センサ1bの設置高さhG(図2参照)と速度検出部5で得られた車輪速度から、下記の数式1〜9によってフランジ102の厚さd及びフランジ102の高さfh、車輪100の直径Dhが演算される。そのフランジ102の厚さd及びフランジ102の高さfh、車輪100の直径Dhのデータは車輪の測定順番と共に記憶部に格納される。
【0029】
そして、必要に応じて出力画面表示部8にて、その演算結果を画面に表示又は、出力印字部9にてその演算結果を印字出力する。
【0030】
図2に示すように、第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bは予め一定の距離L0及び一定の設置角度θ1、θ2及び一定の設置高さhGに設置されているので、第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bで計測した距離L3及び距離L4から、車輪フランジ厚さdは数式1〜3で算出できる。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】
【数3】
【0034】
また、図3(b)で示す第2距離センサ1bの出力波形における波形の立ち下がりから立ち上がりまでの距離Lfをその経過時間と車輪速度から求め、車輪基準溝間横断距離Lsを波形(b)上の車輪基準溝103を示すG点からH点までの経過時間と車輪速度から求め、既知である車輪基準溝103の直径Ws及び第2距離センサ1bで計測した距離L4と設置角度θ2とその設置高さhGより、車輪径Dh及び車輪フランジ高さfhを数式4〜9で算出できる。
【0035】
【数4】
【0036】
【数5】
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】
【数8】
【0040】
【数9】
【0041】
このように、非接触状態で車輪フランジ厚さd、車輪径Dh、車輪フランジ高さfhを算出でき、速度検出部5で得られ逐次記憶部6に格納された車輪100の速度と経過時間とから車輪100のフランジ102の各部位における位置が計算でき、この各部位の位置のデータと演算されたフランジ102の厚さdのデータから車輪100のフランジ102の形状と車輪100のフランジ102高さfh及び車輪100の径Dhを出力画面表示部8によって再現表示することができる。このようにしてフランジ102の摩耗の判定をより確実にすることができる。
【0042】
なお、上述の実施形態において、計測データL3、L4の取込みトリガは、別のセンサ(図示せず)を設けてもよく、図3(d)に示すようにフランジ102の端部を示すB点、C点及びD点、E点ではその厚さdの値が急に立ち上り、又は、立ち下がりするので、その急変した時をトリガとしても良い。
【0043】
また、A/D変換されたデータ量は、車輪100の速度が低速の場合は膨大なものとなるため、制御部4a、4bで入力された車輪100の速度に応じてA/D変換されたデータL3、L4をサンプリングする周期を適宜に変えて記憶部6に格納するようにしても良い。
【0044】
次に凹摩耗の判定方法について説明する。図4に新製時における車輪踏面のプロフィールを示す。以下、図4について説明する。
【0045】
Dhは車輪径を示す。車輪径は車輪踏面を外周とした円の直径である。車輪の踏面を規定するのはバック面から65mmの距離のポイント114である。新製時における車輪径Dhの測定は114のポイントで行う。
【0046】
101は踏面を示し、111及び116は、レーザ光の照射方向を示す。113は車輪踏面上のリム先端部で、新製時のリム直径Rhを測定するポイントである。
【0047】
図5に新製時における車輪踏面のプロフィールと、通常摩耗した車輪踏面プロフィールを示す。以下、図5について説明する。
新製時における車輪踏面のプロフィールを細線、通常摩耗した車輪踏面のプロフィールを太線で示す。
【0048】
114aは通常摩耗した後のバック面から65mmの距離ポイントで、摩耗後の車輪径DOを測定するポイントである。113aは凹摩耗の判定に用いる摩耗後のリム直径ROを測定するポイントである。
【0049】
図6に新製時における車輪踏面のプロフィールと凹摩耗した車輪踏面プロフィールを示す。以下、図6について説明する。
【0050】
新製時における車輪踏面のプロフィールを細線、凹摩耗した車輪踏面のプロフィールを太線で示す。114bは凹摩耗した後のバック面から65mmの距離ポイントで、摩耗後の車輪径DOを測定するポイントである。113bは凹摩耗の判定に用いる摩耗後のリム直径ROの測定ポイントである。
【0051】
図6において、ポイント114の測定値と、ポイント114bの測定値の差は、新製時の車輪径の測定値Dhと、摩耗後の車輪径の測定値DOとの差の半分に等しく、後述の数式12より算出する。ここで、新製時におけるリム直径Rhを算出する。
【0052】
図7はリム側の正面から車輪100を示した図である。図7に示すように、第一距離センサ1aは車輪100が、通過方向へ進行することにより2箇所のリム先端IからJまでの間の距離LXを測定する。また車輪100の踏面101から第一距離センサ1aの光軸までの高さhXは既知である。まず、LX、hX及び車輪径Dhを用いてリム半径RhRを数式10より算出する。
【0053】
【数10】
【0054】
また、凹摩耗の判定に用いるリム直径Rhは数式11により算出する。
【0055】
【数11】
【0056】
なお、摩耗後のリム直径ROについては、新製時のリム直径Rhの算出方法と同様である。
【0057】
ここで、新製時と摩耗後における、車輪径及びリム直径の比較値との比較を行う。新製時の車輪径Dhと、摩耗後の車輪径DOとの摩耗変化量をΔDとするとΔDは数式12で求めることができる。
【0058】
【数12】
【0059】
また、新製時のリム直径Rhと摩耗後のリム直径ROとの摩耗変化量をΔRとすると、ΔRは数式13で求めることができる。
【0060】
【数13】
【0061】
以上の式より求めた、車輪径の摩耗量の差ΔDとリム直径の摩耗量の差ΔRについて比較すると、凹摩耗が発生している場合、車輪径の摩耗量の差ΔDは、リム直径の摩耗量の差ΔRと比較して大きくなることが分かる。
【0062】
ここで、車輪径の摩耗量の差ΔDと、リム先端の摩耗量の差ΔRの変化量ΔXは数式14で求めることができる。
【0063】
【数14】
【0064】
変化量の差ΔXに対して、凹摩耗を判定する基準値αを導入し、数式15となる場合、車輪100の踏面101において凹摩耗が発生していると判断する。
【0065】
【数15】
【0066】
凹摩耗と判断した場合、判定処理部13(図2参照)から、車輪の測定順番と共に記憶部に格納される。また、判定結果は出力画面表示部8に車号及び部位などの車両情報と共に画面表示又は、出力印字部9にて印字出力を行う。
【0067】
図8に上記の測定、処理状況に応じて異常摩耗を判定する手順のフローチャートを示す。
【0068】
まず、現在の車輪の状況の測定を開始する(200)。次に、測定結果を用いて、図6に示す車輪径D0を算出する(201)。同じくリム直径R0を算出する(202)。上記の算出が終了すると、記憶部に格納されている該当車輪の新製時の車輪直径Dhの呼び出し(203)、及びリム直径Rhを呼び出す(204)。次に、呼び出された車輪直径Dhと測定した現在の車輪直径D0との差ΔDを求める(205)。同様に、新製時のリム直径Rhと現在の車輪直径R0との差ΔRを求める(206)。
【0069】
続いて、求められた車輪直径の差ΔDからリム直径の差ΔRを引いた差分ΔXを求める(207)。この差分ΔXを基準値αと比較することで、異常摩耗(凹摩耗)を発生しているか否かを判定する(208)。差分(ΔX−α)が負のときは通常摩耗と判定し(209)異常判定処理を終了する(212)。差分が正の時は凹摩耗と判定し(210)、その結果を画面に表示処理する(211)。そして、異常判定処理を終了する(212)。
【0070】
図9に前述の表示画面の一例を示す。図9は鉄道車両走行車輪検査装置で測定した測定データを車両の系式、編成番号別に表示するものである。凹摩耗の判定結果は、表示画面に121のように表示できるようにした。
【0071】
凹摩耗の発生を判定することにより凹摩耗を発見し早急に対処(転削及び新製車輪との交換など)することで、曲線区間を通過する際に発生する横圧やその他の圧力で凹摩耗した特定部分での急速な摩耗及び破壊を防ぐことができると共に、偏摩耗による車両脱線等の重大事故を未然に防ぐこと、車輪が原因となる震動、騒音を低減し乗り心地の向上を図ることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の凹摩耗の判定手法によれば、非接触で車輪の凹摩耗の発生を把握することができ、また車輪の転削及び新製車輪との交換かの判断を容易にすることで、修繕計画の支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄道車両の概要と装置構成を示した図である。
【図2】車輪の断面から見た車輪の測定部位と各部分の距離を示した図である。
【図3】車輪をバック面から正面に示した図である。
【図4】新製時における車輪踏面のプロフィールを示した図である。
【図5】新製時と通常摩耗した車輪踏面のプロフィールを重ね合わせた図である。
【図6】新製時と凹摩耗した車輪踏面のプロフィールを重ね合わせた図である。
【図7】車輪をリム方向から正面に示した図である。
【図8】本発明である凹摩耗の判定処理を示したフローチャート図である。
【図9】画面表示部における凹摩耗判定を示した図である。
【符号の説明】
1a…第1距離センサ(11の外側)、1b…第2距離センサ(11の内側)、2a…第1増幅部、2b…第2増幅部、3a…第1A/D変換部、3b…第2A/D変換部、4a…第1制御部、4b…第2制御部、5a…速度検出部、5b…速度検出部、6…記憶部、7…処理部、8…出力画面表示部、9…出力印字部、10…鉄道車両、11…レール、12…枕木、100…車輪、101…踏面、102…フランジ、104…フランジ外面、105…バックゲージ面、d…フランジの厚さ、fh…フランジの高さ、Dh…車輪の直径、111…レーザ光の照射方向、112…バック面から車輪径を求める基準となるポイント、113…リム直径の測定ポイント、113a…通常摩耗時のリム直径の測定ポイント、113b…凹摩耗時のリム直径の測定ポイント、114…車輪径を求める基準となるポイント、114a…平常摩耗時の車輪径を求める基準となるポイント、114b…凹摩耗時の車輪径を求める基準となるポイント、116…レーザ光の照射方向、121…凹摩耗判定車輪の画面表示。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪の摩耗状態を管理する装置に係り、特に、車両を特定する編成情報から車輪に関わる情報を参照し、車輪の偏摩耗を判定する方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2001−88503号公報に見られるように、従来の鉄道車両走行車輪検査装置では、車輪の踏面形状を求め、その測定結果から摩耗状態を報知することが行われている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−88503号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車輪の踏面は、レールに常時接しているので車両が走行することにより摩耗する。この踏面の摩耗には、車輪の踏面全体にわたり平均的に摩耗する通常摩耗と、連続したカーブ及び勾配などの特定条件により偏った摩耗をする偏摩耗がある。更に、車輪の踏面がレールに対して凹状に変形する偏摩耗は凹摩耗といわれる。前記従来技術では、平均的な摩耗状態を検出するのみで凹摩耗を認識することを考慮していなかった。よって、膨大な数の車輪において凹摩耗は人手により検査せざるを得ず、自動化が行われていなかった。
【0005】
本発明の目的は、鉄道車両走行車輪検査装置で車輪各部の測定を行う毎に、偏摩耗の一つである凹摩耗を自動で報知することで、車輪の修繕作業への支援を行うことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段としては、鉄道車両走行車輪検査装置を用いた車輪の測定により得られた車輪の車輪径及びリム径の測定テータを用いて、新製時と摩耗後の摩耗変化量を比較し、凹摩耗の判定を行う。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、鉄道車両走行車輪検査装置の一実施例について添付図面を参照して説明する。図1は鉄道車両走行車輪検査装置における各センサ設置状況及び装置構成を示す概略図である。以下図1について説明する。
【0008】
10は鉄道車両、100はその車輪である。11はレールである。鉄道車両10は車輪100でレール11上を走行する。1a及び1bは非接触式の第1距離センサ及び第2距離センサである。12は枕木である。第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bはレール11の外側(図中手前)と内側(図中裏側)に設置され、レール11上を走行してきた鉄道車両10の車輪100との距離(センサからの最短距離)を測定するもので、枕木12上に設置されている。
【0009】
この距離センサ1a及び1bとしては、渦電流式変位センサや光学式変位センサ、超音波式変位センサ等が利用できる。渦電流式変位センサは、内部のコイルに高周波電流を流して高周波磁界を発生させ、その磁界内に測定対象の金属が入ってくると電磁誘導作用によって金属表面に渦電流が発生し、この渦電流の大小でセンサと対象物の距離を測定するものである。光学式変位センサは、発光ダイオードや半導体レーザを用いた発光素子と光位置検出素子の組合せで構成されたものである。超音波式変位センサは、超音波を測定対象物に向けて発射し、その音波が対象物から反射波として戻ってくるまでの時間を計測することで、センサと対象物の距離を測定するものである。本発明では、光学式変位センサを利用した計測手法について記述するが、他の方式のセンサについても同じ結果になる。
【0010】
2a及び2bは第1増幅部及び第2増幅部である。第1、第2距離センサ1a及び1bで測定された距離は、第1増幅部2a及び第2増幅部2bで増幅され、第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bで逐次A/D変換していく。5は速度検出部である。第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bによってセンサからの最短距離を計測される車輪100の速度を(鉄道車両10の走行方向イに沿った車輪100の移動速度)検出する。この速度検出部5は上記2個の検出部5a、5b間(一方の検出部5aから他方の検出部5bまでの間)を通過する車輪100の通過時間からその車輪100の速度を得るものである。
【0011】
また、この速度検出部5は、検査対象の車両10が2個の検出部5a、5b間を通過する時の経過時間を得るものである。この速度検出部5は、光学式のもので、2個の検出部5a、5bを走行してきた鉄道車両10から見て距離センサ1a及び1bの手前側になるように配置している。4a及び4bは、第1制御部及び第2制御部である。速度検出部5での計測結果は、距離センサ1a及び1bでの計測結果と共に第1制御部4a及び第2制御部4bに送られる。この第1制御部4a及び第2制御部4bでは、第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bからの計測データと、上記速度検出部5からの車輪100の速度及び経過時間とを逐次取込み、記憶部6に格納させる制御を行う。また、第1制御部4a及び第2制御部4bは、速度検出部5で得られた車輪100の速度に応じて、第1A/D変換部3a及び第2変換部3bから出力されるデータをサンプリングする周期を適宜変えるように構成されている。
【0012】
6の記憶部は、第1制御部4a及び第2制御部4bにそれぞれ接続されており、第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bからの出力データと速度検出部5からの車輪100の速度と経過時間のデータを、第1制御部4a及び第2制御部4bの制御によって逐次格納する。7は処理部で、記憶部6に格納された計測データ、予め固定して設置されている第1距離センサ1a、第2距離センサ1b間の距離、第1距離センサ1aの設置角度及び第2距離センサ1bの設置角度、速度検出部5で検出される車輪速度から、逐次車輪100の車輪の形状を求める数値の演算を行う。
【0013】
また、処理部7は上記のようにして得られた車輪100の車輪の形状を求める数値を測定順番と共に記憶部6に格納する。さらに、速度検出部5で得られた車輪100の速度と経過時間から車輪100の車輪の形状を再現し、出力画面表示部8で表示又は出力印字部9でハードコピーを得るようにする。
【0014】
また、凹摩耗の判定処理は、処理部7にて行う。処理部7は、記憶部6から車輪の新製時における車輪径及びリム直径の測定値を取得すると共に、第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bより測定した摩耗後の車輪径及びリム直径を算出し、新製時と摩耗後の測定結果から摩耗量の差を算出し、凹摩耗の判定を行う。また、判定結果は記憶部6に格納したり、出力画面表示部8にて表示したり、又は出力印字部9にて印字出力する。
【0015】
図2は距離センサで車輪までの距離を計測する状況と、車輪の形状を求める各部分の概要について車輪の側面から示した図である。以下図2について説明する。
【0016】
101は踏面である。踏面101は車輪100において車輪外側の部分から内側(フランジ側)の部分までの外周面の外径が徐々に大となるように形成されている。102はフランジである。フランジ102は車輪内側の部分に一体に設けられている。フランジ102の外周面は、踏面101から連続しかつ内側から外側に行くに従って肉厚が徐々に薄くなるような凸曲面をなす。
【0017】
103は基準溝である。車輪100には基準溝103を有しており、この直径Wsは基準で定められている。なお、車輪100の外側のフランジ外面104をフランジ外面と称し、また車輪100の内側のフランジ面(車輪100の内側のバックゲージ面)105を車輪内面と称する。車輪100の踏面101はレール11の上面の踏面(レール面)11a上を走行する際、車輪100のフランジ面外面がレール11の内側の側面で案内される。
【0018】
第1距離センサ1aはレール11の外側に設置され、車輪100のフランジ外面104までの距離L3を時系列に計測出力するものである。また、第2距離センサ1bはレール11の内側に設置され、車輪内面105までの距離L4を計測出力するものである。各距離センサ1a、1bはこれらが発せられる光がレール11で遮られないように、θ1及びθ2の設置角度をつけている。この第1距離センサ1aの設置角度θ1と第2距離センサ1bの設置角度θ2は、同一であっても良いし異なっていても良い。
【0019】
また、各距離センサ1a及び1bは鉄道車両10の走行方向の前方から車輪100に計測のための光を発するので、フランジ102の凸曲面を直射して反射するようになっている。
【0020】
L0は予め固定して設置されている第1距離センサ1a、第2距離センサ1bの間の距離である。dはフランジ102の厚さ、fhはフランジ102の高さ、Dhは車輪100の直径(以下、車輪径とする)である。
【0021】
第1距離センサ1aの設置角度θ1及び第2距離センサ1bの設置角度θ2と車輪検出部5で検出される車輪速度から後述する数式1〜9によって逐次車輪100のフランジ102の厚さd、フランジ102の高さfh、車輪100の車輪径Dhを演算し車輪の形状を求める。hGは第1距離センサ1a、第2距離センサ1bから踏面11aまでの一定の設置高さであり既知である。
【0022】
以下に、通常のフランジ摩耗等を求めるための動作について、図3を含めて説明する。図3は車輪の車輪径、基準溝径などを車輪のバック面から正面方向から示した図である。
【0023】
まず、図1及び図2に示すように、フランジ102の摩耗状況を検査する鉄道車両10をレール11上矢印イの方向に走行させ、図3に示すように矢印ロ方向に車輪100を回転させ、速度検出部5の2個の検出部5a、5b間を通過させ、さらに第1距離センサ1aと第2距離センサ1bとの間を走行させる。
【0024】
すると、図2に示すように、第1距離センサ1aはフランジ外面104までの距離L3を計測し、第2距離センサ1bは車輪内面105までの距離L4を計測する。このとき第1距離センサ1aは、図3(a)に示すように、車輪100のフランジ外面104のB−C間、車輪100の外側の面C−D間及びフランジ外面104のD−E間の距離L3を計測する。その第1距離センサ1aからの出力波形は、図3(c)に示すような波形である。なお、図3(a)中において、車輪100のフランジ102の部分は、B−C間の部分及びD−E間の部分に対応する。
【0025】
第2距離センサ1bは、図3(a)に示す車輪内面105のA−F間の部分までの距離L4を計測する。その第2距離センサからの出力波形は、図3(b)に示すような波形である。車両10が重くてレール11が沈んでも距離センサ1a及び1bも車輪100と一緒に沈むからレール11の変形は計測結果L3及びL4に影響がない。
【0026】
次に、上記第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bからの出力波形は第1増幅部2a及び第2増幅部2bで増幅されてから第1A/D変換部3a及び第2A/D変換部3bでA/D変換され、第1制御部4a及び第2制御部4bの制御によって逐次記憶部6に格納される。
【0027】
一方、速度検出部5で得られた速度は、経過時間と共に制御部4a及び4bの制御によって逐次記憶部6に格納される。
【0028】
その後、処理部7において、記憶部6に格納された波形データ及び第1距離センサ1aと第2距離センサ1b間の距離L0及び第1距離センサ1aの設置角度θ1と第2距離センサ1bの設置角度θ1と第2距離センサ1bの設置高さhG(図2参照)と速度検出部5で得られた車輪速度から、下記の数式1〜9によってフランジ102の厚さd及びフランジ102の高さfh、車輪100の直径Dhが演算される。そのフランジ102の厚さd及びフランジ102の高さfh、車輪100の直径Dhのデータは車輪の測定順番と共に記憶部に格納される。
【0029】
そして、必要に応じて出力画面表示部8にて、その演算結果を画面に表示又は、出力印字部9にてその演算結果を印字出力する。
【0030】
図2に示すように、第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bは予め一定の距離L0及び一定の設置角度θ1、θ2及び一定の設置高さhGに設置されているので、第1距離センサ1a及び第2距離センサ1bで計測した距離L3及び距離L4から、車輪フランジ厚さdは数式1〜3で算出できる。
【0031】
【数1】
【0032】
【数2】
【0033】
【数3】
【0034】
また、図3(b)で示す第2距離センサ1bの出力波形における波形の立ち下がりから立ち上がりまでの距離Lfをその経過時間と車輪速度から求め、車輪基準溝間横断距離Lsを波形(b)上の車輪基準溝103を示すG点からH点までの経過時間と車輪速度から求め、既知である車輪基準溝103の直径Ws及び第2距離センサ1bで計測した距離L4と設置角度θ2とその設置高さhGより、車輪径Dh及び車輪フランジ高さfhを数式4〜9で算出できる。
【0035】
【数4】
【0036】
【数5】
【0037】
【数6】
【0038】
【数7】
【0039】
【数8】
【0040】
【数9】
【0041】
このように、非接触状態で車輪フランジ厚さd、車輪径Dh、車輪フランジ高さfhを算出でき、速度検出部5で得られ逐次記憶部6に格納された車輪100の速度と経過時間とから車輪100のフランジ102の各部位における位置が計算でき、この各部位の位置のデータと演算されたフランジ102の厚さdのデータから車輪100のフランジ102の形状と車輪100のフランジ102高さfh及び車輪100の径Dhを出力画面表示部8によって再現表示することができる。このようにしてフランジ102の摩耗の判定をより確実にすることができる。
【0042】
なお、上述の実施形態において、計測データL3、L4の取込みトリガは、別のセンサ(図示せず)を設けてもよく、図3(d)に示すようにフランジ102の端部を示すB点、C点及びD点、E点ではその厚さdの値が急に立ち上り、又は、立ち下がりするので、その急変した時をトリガとしても良い。
【0043】
また、A/D変換されたデータ量は、車輪100の速度が低速の場合は膨大なものとなるため、制御部4a、4bで入力された車輪100の速度に応じてA/D変換されたデータL3、L4をサンプリングする周期を適宜に変えて記憶部6に格納するようにしても良い。
【0044】
次に凹摩耗の判定方法について説明する。図4に新製時における車輪踏面のプロフィールを示す。以下、図4について説明する。
【0045】
Dhは車輪径を示す。車輪径は車輪踏面を外周とした円の直径である。車輪の踏面を規定するのはバック面から65mmの距離のポイント114である。新製時における車輪径Dhの測定は114のポイントで行う。
【0046】
101は踏面を示し、111及び116は、レーザ光の照射方向を示す。113は車輪踏面上のリム先端部で、新製時のリム直径Rhを測定するポイントである。
【0047】
図5に新製時における車輪踏面のプロフィールと、通常摩耗した車輪踏面プロフィールを示す。以下、図5について説明する。
新製時における車輪踏面のプロフィールを細線、通常摩耗した車輪踏面のプロフィールを太線で示す。
【0048】
114aは通常摩耗した後のバック面から65mmの距離ポイントで、摩耗後の車輪径DOを測定するポイントである。113aは凹摩耗の判定に用いる摩耗後のリム直径ROを測定するポイントである。
【0049】
図6に新製時における車輪踏面のプロフィールと凹摩耗した車輪踏面プロフィールを示す。以下、図6について説明する。
【0050】
新製時における車輪踏面のプロフィールを細線、凹摩耗した車輪踏面のプロフィールを太線で示す。114bは凹摩耗した後のバック面から65mmの距離ポイントで、摩耗後の車輪径DOを測定するポイントである。113bは凹摩耗の判定に用いる摩耗後のリム直径ROの測定ポイントである。
【0051】
図6において、ポイント114の測定値と、ポイント114bの測定値の差は、新製時の車輪径の測定値Dhと、摩耗後の車輪径の測定値DOとの差の半分に等しく、後述の数式12より算出する。ここで、新製時におけるリム直径Rhを算出する。
【0052】
図7はリム側の正面から車輪100を示した図である。図7に示すように、第一距離センサ1aは車輪100が、通過方向へ進行することにより2箇所のリム先端IからJまでの間の距離LXを測定する。また車輪100の踏面101から第一距離センサ1aの光軸までの高さhXは既知である。まず、LX、hX及び車輪径Dhを用いてリム半径RhRを数式10より算出する。
【0053】
【数10】
【0054】
また、凹摩耗の判定に用いるリム直径Rhは数式11により算出する。
【0055】
【数11】
【0056】
なお、摩耗後のリム直径ROについては、新製時のリム直径Rhの算出方法と同様である。
【0057】
ここで、新製時と摩耗後における、車輪径及びリム直径の比較値との比較を行う。新製時の車輪径Dhと、摩耗後の車輪径DOとの摩耗変化量をΔDとするとΔDは数式12で求めることができる。
【0058】
【数12】
【0059】
また、新製時のリム直径Rhと摩耗後のリム直径ROとの摩耗変化量をΔRとすると、ΔRは数式13で求めることができる。
【0060】
【数13】
【0061】
以上の式より求めた、車輪径の摩耗量の差ΔDとリム直径の摩耗量の差ΔRについて比較すると、凹摩耗が発生している場合、車輪径の摩耗量の差ΔDは、リム直径の摩耗量の差ΔRと比較して大きくなることが分かる。
【0062】
ここで、車輪径の摩耗量の差ΔDと、リム先端の摩耗量の差ΔRの変化量ΔXは数式14で求めることができる。
【0063】
【数14】
【0064】
変化量の差ΔXに対して、凹摩耗を判定する基準値αを導入し、数式15となる場合、車輪100の踏面101において凹摩耗が発生していると判断する。
【0065】
【数15】
【0066】
凹摩耗と判断した場合、判定処理部13(図2参照)から、車輪の測定順番と共に記憶部に格納される。また、判定結果は出力画面表示部8に車号及び部位などの車両情報と共に画面表示又は、出力印字部9にて印字出力を行う。
【0067】
図8に上記の測定、処理状況に応じて異常摩耗を判定する手順のフローチャートを示す。
【0068】
まず、現在の車輪の状況の測定を開始する(200)。次に、測定結果を用いて、図6に示す車輪径D0を算出する(201)。同じくリム直径R0を算出する(202)。上記の算出が終了すると、記憶部に格納されている該当車輪の新製時の車輪直径Dhの呼び出し(203)、及びリム直径Rhを呼び出す(204)。次に、呼び出された車輪直径Dhと測定した現在の車輪直径D0との差ΔDを求める(205)。同様に、新製時のリム直径Rhと現在の車輪直径R0との差ΔRを求める(206)。
【0069】
続いて、求められた車輪直径の差ΔDからリム直径の差ΔRを引いた差分ΔXを求める(207)。この差分ΔXを基準値αと比較することで、異常摩耗(凹摩耗)を発生しているか否かを判定する(208)。差分(ΔX−α)が負のときは通常摩耗と判定し(209)異常判定処理を終了する(212)。差分が正の時は凹摩耗と判定し(210)、その結果を画面に表示処理する(211)。そして、異常判定処理を終了する(212)。
【0070】
図9に前述の表示画面の一例を示す。図9は鉄道車両走行車輪検査装置で測定した測定データを車両の系式、編成番号別に表示するものである。凹摩耗の判定結果は、表示画面に121のように表示できるようにした。
【0071】
凹摩耗の発生を判定することにより凹摩耗を発見し早急に対処(転削及び新製車輪との交換など)することで、曲線区間を通過する際に発生する横圧やその他の圧力で凹摩耗した特定部分での急速な摩耗及び破壊を防ぐことができると共に、偏摩耗による車両脱線等の重大事故を未然に防ぐこと、車輪が原因となる震動、騒音を低減し乗り心地の向上を図ることができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の凹摩耗の判定手法によれば、非接触で車輪の凹摩耗の発生を把握することができ、また車輪の転削及び新製車輪との交換かの判断を容易にすることで、修繕計画の支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄道車両の概要と装置構成を示した図である。
【図2】車輪の断面から見た車輪の測定部位と各部分の距離を示した図である。
【図3】車輪をバック面から正面に示した図である。
【図4】新製時における車輪踏面のプロフィールを示した図である。
【図5】新製時と通常摩耗した車輪踏面のプロフィールを重ね合わせた図である。
【図6】新製時と凹摩耗した車輪踏面のプロフィールを重ね合わせた図である。
【図7】車輪をリム方向から正面に示した図である。
【図8】本発明である凹摩耗の判定処理を示したフローチャート図である。
【図9】画面表示部における凹摩耗判定を示した図である。
【符号の説明】
1a…第1距離センサ(11の外側)、1b…第2距離センサ(11の内側)、2a…第1増幅部、2b…第2増幅部、3a…第1A/D変換部、3b…第2A/D変換部、4a…第1制御部、4b…第2制御部、5a…速度検出部、5b…速度検出部、6…記憶部、7…処理部、8…出力画面表示部、9…出力印字部、10…鉄道車両、11…レール、12…枕木、100…車輪、101…踏面、102…フランジ、104…フランジ外面、105…バックゲージ面、d…フランジの厚さ、fh…フランジの高さ、Dh…車輪の直径、111…レーザ光の照射方向、112…バック面から車輪径を求める基準となるポイント、113…リム直径の測定ポイント、113a…通常摩耗時のリム直径の測定ポイント、113b…凹摩耗時のリム直径の測定ポイント、114…車輪径を求める基準となるポイント、114a…平常摩耗時の車輪径を求める基準となるポイント、114b…凹摩耗時の車輪径を求める基準となるポイント、116…レーザ光の照射方向、121…凹摩耗判定車輪の画面表示。
Claims (1)
- 鉄道車両走行車輪検査装置を用いた測定方法において、車輪踏面の基準位置の径とリム径を計測し、新製時の車輪踏面基準位置の径とリム径を比較して偏摩耗を求めることを特徴とする車輪形状測定方法。
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