JP2004257332A - 内燃機関のノッキング検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】点火プラグ部の作動時にノッキングセンサが拾うノイズの影響を抑制して、ノッキング検出の確度を向上することである。
【解決手段】ノッキングセンサ5の出力値をサンプリングして所定の単位期間の間にサンプリングされたサンプリングデータをフィルタリング処理するDSP65を、単位期間のサンプリング数を多側と少側とに切り換え自在とし、機関回転数が所定値を越えるまではサンプリング数を多側とし、所定値を越えるとサンプリング数を少側とするようにする。機関回転数が高くノッキング発生時期が早くなる運転状態において点火作動に基因したノイズを拾っても、これが長い時間、フィルタリング処理後のデータに影響しないようにし、ノッキング検出の確度を向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】ノッキングセンサ5の出力値をサンプリングして所定の単位期間の間にサンプリングされたサンプリングデータをフィルタリング処理するDSP65を、単位期間のサンプリング数を多側と少側とに切り換え自在とし、機関回転数が所定値を越えるまではサンプリング数を多側とし、所定値を越えるとサンプリング数を少側とするようにする。機関回転数が高くノッキング発生時期が早くなる運転状態において点火作動に基因したノイズを拾っても、これが長い時間、フィルタリング処理後のデータに影響しないようにし、ノッキング検出の確度を向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のノッキングを検出するノッキング検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関におけるノッキングは、火炎の伝播前に自己着火する異常燃焼で、これに基因して気筒内で発生する圧力波が異常音を生じさせる。過度のノッキングはバルブやピストンの溶損を引き起し、また、適度なノッキングは燃費や出力に良好な結果をもたらす。そこで、燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置が備えられており、その結果を、点火時期などの制御に反映させている。
【0003】
ノッキング検出は内燃機関の制御に直結するため、誤検出等のない正確なものであることが要求される。ノッキングセンサは従来、振動センサをエンジンブロックに設けるのが一般的であったが、今日、ノッキング以外の機械振動の影響を回避すべく、燃焼室を囲む位置、例えば、燃焼室に臨む点火プラグ部と一体に圧電素子等の圧力センサを設けて、燃焼室内の圧力振動を検出するようにしたものがある。また、圧力振動に応じて変化する燃焼室内の燃焼イオンを検出するノッキングセンサもある。このものでは、燃焼イオンの検出用として、燃焼室に臨んで1対の電極が設けられる。電極は点火プラグ部のもので兼用するものもある。
【0004】
また、ノッキングセンサの出力信号は微小であり、各種のノイズに対する対策にも考慮が必要である。特に、前記のごとく内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに設けるようにしたものは、点火プラグ部の作動時に大きな電流が流れるためノッキングセンサの出力信号にノイズが混入するおそれがあり、誤検出の原因となる。
【0005】
ノイズに基因した誤検出を回避する技術として、ノッキングセンサの出力信号が第1の基準値を越えてからの時間を測定し、これが所定値を越えている場合に限り、以降のノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するようにしたものがある(特許文献1等参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−009598号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、リレーのオンオフに基因したノイズのように、振動周期の短いスパイク性のノイズに対しては一定の除去作用を奏するとしても、ノイズのモードは多様である。ノッキングセンサの出力をデジタルフィルタやアナログフィルタ等のフィルタで処理するのが比較的有効であるが、フィルタに入力したノイズがフィルタリング処理において影響する時間内にノッキングが発生してしまうと、必ずしも十分ではなく、誤検出のおそれがある。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、正確なノッキング検出が可能で、しかも、簡単な構成のノッキング検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置において、
前記ノッキングセンサの出力値を所定のサンプリング周期でサンプリングし、所定の単位期間にサンプリングされたサンプリングデータを入力としてフィルタリング処理をするデジタルフィルタを、前記単位期間の長さを切り換え自在とし、
かつ、前記内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であるほど、前記単位期間の長さが短くなるように前記デジタルフィルタを設定するフィルタ設定手段を具備せしめる。
【0010】
内燃機関の運転状態が点火プラグの作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であれば、単位期間の長さが短くなるため、点火プラグ部の作動に基因したノイズがノッキング検出期間の開始時期に近いタイミングで発生していても、フィルタリング処理の単位期間から外れることになって、その影響を抑制することができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置において、
前記ノッキングセンサの出力信号を入力とするアナログフィルタを、中心周波数を可変とし、
かつ、前記内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であるほど、前記中心周波数が高くなるように前記アナログフィルタの中心周波数を切り換えるフィルタ設定手段を具備せしめる。
【0012】
内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であれば、アナログフィルタの中心周波数が高くなる。中心周波数が高いフィルタの時定数は短いから、点火プラグ部の作動に基因したノイズがノッキング検出期間の開始時期に近いタイミングで発生していても、その影響を抑制することができる。なお、ノッキングによる圧力振動は複数の周波数域に現れるため、フィルタの中心周波数をかかる周波数域に設定することで、フィルタの出力から高制度にノッキングを検出することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記設定手段は、前記内燃機関の機関回転数が高いほど、点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生するものと判断するように設定する。
【0014】
機関回転数は内燃機関の制御において一般的なパラメータであるため、新たな構成を付加する必要がなく、構成を簡略化することができる。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、前記ノッキングセンサが点火プラグ部と一体である構成とする。
【0016】
点火プラグ部と一体のノッキングセンサは構成を簡略化できる点で、望ましい態様の一つである一方で、最も点火時に流れる電流に基因したノイズの影響を受けやすい態様である。前記請求項1ないし3の発明の実施により、前記ノイズの影響を回避することができるので、点火プラグ部と一体のノッキングセンサの長所をいかんなく発揮し、真に優れたノッキング検出装置とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第1実施形態になる内燃機関の要部を図1に示す。内燃機関の燃焼室101の天井部を構成するシリンダヘッド11を貫通して点火プラグ一体型コイル2が取り付けられており、その先端部が燃焼室101内に突出している。点火プラグ一体型コイル2は、点火プラグ部3とともに、点火コイル4、ノッキングセンサである圧電素子5を備えている。
【0018】
点火プラグ一体型コイル2のハウジング21はスリーブ状で、ハウジング21内に略円筒形の碍子22が挿入してある。碍子22は先端部で内径が縮径する形状のもので、該縮径部に棒状の中心電極31が挿入されている。中心電極31の先端部は碍子22の先端から突出している。中心電極31と対をなす接地電極32はシリンダヘッド11を介して接地電位となっているハウジング21の先端面から伸び、中心電極31と放電ギャップGを挟んで対向している。
【0019】
碍子22内には中心電極31の後方に点火コイル4が格納されている。点火コイル4の一次側巻線は、線端が、ハウジング21の後端に設けられたストッパ23を貫通して点火プラグ一体型コイル2の外に引き出されており、後述する電源61およびトランジスタ62と電気的に接続される。また、点火コイル4の二次側巻線は、低圧側がハウジング21と導通し、高圧側が中心電極31と導通している。
【0020】
碍子22とストッパ23との間には円環状の前記圧電素子5が挟持されている。ストッパ23はハウジング21の後端開口から螺入する蓋部材であり、圧電素子5を介して碍子22をハウジング21に固定するとともに、圧電素子5を碍子22と一体化する。これにより、燃焼室101内の圧力が碍子22に印加されると、印加圧力は碍子22を介して圧電素子5に伝えられる。圧電素子5の出力信号は後述するアンプ64に入力するようになっている。
【0021】
点火用の回路は、電源61、トランジスタ62、ECU63等により構成される。トランジスタ62は電源から点火コイル4への通電をオンオフするもので、ECU63は、これに入力する内燃機関各部のセンサから知られる運転状態に基づいて点火時期の指令値を演算し、指令値に基づいてトランジスタ62を制御する。点火時には一般的な点火用回路と同様に、トランジスタ62の作動で点火コイル4に発生した高電圧が中心電極31と接地電極32間に印加され、放電ギャップGに火花を飛ばして点火される。
【0022】
また、ノッキング検出装置Kは、前記圧電素子5の他、アンプ64、デジタルサンプリングプロセッサ(以下、適宜、DSPという)65、ECU63等により構成される。圧電素子5の出力信号はアンプ64で増幅された後、DSP65に入力する。DSP65は詳しくは後述するように所定周期で圧電素子5の出力(以下、適宜、センサ出力という)をサンプリングし数値演算処理する。DSP65とECU63とは通信可能で、ECU63は、内燃機関の制御用の、マイクロコンピュータを中心として構成された一般的なもので、機関回転数の検出用のセンサなどからの種々の運転状態の検出信号に基づいて点火時期や燃料噴射量を設定する。そして、ノッキング検出に関しては、DSP65にノッキング検出期間の開始時期と終了時期に制御信号を出力し、ノッキング検出期間における圧力振動の強度の情報をDSP65から受け取る。そのデータに基づいて点火時期などを設定する。また、ECU63はノッキング検出期間の開始時期に前記制御信号とともに、機関回転数のデータを送信する。
【0023】
図2にDSP65で実行される演算処理の内容を示す。本演算処理はECU63からノッキング検出を開始する旨の制御信号を受け取ると開始する(ステップS101)。ステップS102は設定手段としての処理で、機関回転数が6000rpm以上か否かを判定し、否定判断されるとステップS103以降の処理を実行し、肯定判断されるとステップS123以降の処理を実行する。このうち、ステップS104〜S109,S112〜S118,S124〜S129,S132〜S138がフィルタとしての処理である。
【0024】
ステップS103,S104は初期化で、ステップS103でPmax を0とし、ステップS104でIを0とする。
【0025】
ステップS105ではセンサ出力Pをサンプリングし、ステップS106でP(I)をこのPとする。P(I)はP(0)からP(20)までの21個がある。ステップS106ではIが20か否かを判定し、否定判断されるとステップS108でIをインクリメントして、ステップS105に戻る。Iが20に達するまでステップS105〜108が繰り返され、その都度、センサ出力Pのサンプリングが実行される。センサ出力Pのサンプリングの周期は所定周期、例えば50kHzに設定される。
【0026】
I=0〜20についてすべてのセンサ出力Pのサンプリングが実行されると、ステップS109でP(0)〜P(20)を、所定の重みA(I)を付けて積算し、積算値をPw とする。なお、以下、適宜、センサ出力P、P(I)をフィルタ入力といい、センサ出力の積算値Pw フィルタ出力という。
【0027】
続くステップS110ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS111でPmax をPw により更新してステップS112に進み、否定判断されるとステップS111をスキップしてステップS112に進む。
【0028】
ステップS112ではIを0とする。
【0029】
ステップS113ではP(I)をP(I+1)の値とする。ステップS114ではIが20か否かを判定し、否定判断されるとステップS115でIをインクリメントして、ステップS113に戻る。Iが19に達するまでステップS113〜115が繰り返される。すなわち、P(0)〜P(19)の値を、元のP(0)〜P(20)のうち、最も過去にサンプリングされたP(0)を除いたP(1)〜P(20)の値により、サンプリング順序を変えずに置き換えていくことになる。
【0030】
I=0〜19についてP(I)のデータの置き換えが完了すると、ステップS116でセンサ出力Pをサンプリングする。このサンプリングも直前のサンプリングから所定周期後に行われる。ステップS117では、サンプリングされたセンサ出力PによりP(20)を更新する。
【0031】
続くステップS118では、前記ステップS112〜S117で得られたP(0)〜P(20)を、所定の重みA(I)を付けて積算し、これをPw とする。
【0032】
続くステップS119ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS120でPmax をPw により更新してステップS121に進み、否定判断されるとステップS120をスキップしてステップS121に進む。
【0033】
ステップS121では検出終了か否かを判定する。これはECU63からのノッキング検出期間の終了を示す制御信号を受け取っていれば肯定判断され、本演算処理は終了となる(ステップS123)。ノッキング検出期間が終了しておらず否定判断されるとステップS112に戻り、ステップS112以降の処理が繰り返される。これにより、サンプリング周期ごとに、それまでのサンプリング周期×21を単位期間として該単位期間にサンプリングされた21のセンサ出力Pの重みつき積算値Pw が演算される。すなわちセンサ出力Pがフィルタリング処理されてPw に変換されることになる。そして、Pmax がノッキング検出期間開始からそれまでで最大のPw により更新されていく。ノッキング検出期間の終了時点ではPmax はノッキング検出期間内のPw の最大値ということになる。
【0034】
次に、機関回転数が6000rpm以上でステップS102が肯定判断されたときのステップS123以降の処理について説明する。
【0035】
ステップS123,S124はステップS103,S104と同様に初期化で、ステップS123でPmax を0とし、ステップS124でIを0とする。
【0036】
ステップS125ではセンサ出力Pをサンプリングし、ステップS126でP(I)をこのPとする。P(I)は、機関回転数が6000rpm以下のときと異なり、P(0)からP(6)までの7個がある。なお、サンプリング周期は機関回転数が6000rpm以下のときと変わらない。ステップS127ではIが6か否かを判定し、否定判断されるとステップS128でIをインクリメントして、ステップS125に戻る。Iが6に達するまでステップS125〜128が繰り返され、その都度、センサ出力Pのサンプリングが実行される。
【0037】
I=0〜6についてすべてのセンサ出力Pのサンプリングが実行されると、ステップS129でP(0)〜P(20)を、所定の重みB(I)を付けて積算し、これをPw とする。
【0038】
続くステップS120ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS121でPmax をPw により更新してステップS122に進み、否定判断されるとステップS121をスキップしてステップS122に進む。
【0039】
ステップS122ではIを0とする。
【0040】
ステップS123ではP(I)をP(I+1)の値とする。ステップS124ではIが5か否かを判定し、否定判断されるとステップS125でIをインクリメントして、ステップS123に戻る。Iが5に達するまでステップS123〜125が繰り返される。すなわち、P(0)〜P(5)の値を、元のP(0)〜P(5)のうち、最も過去にサンプリングされたP(0)を除いたP(1)〜P(6)の値により、サンプリング順序を変えずに置き換えていくことになる。
【0041】
I=0〜5についてP(I)のデータの置き換えが完了すると、ステップS126でセンサ出力Pをサンプリングする。このサンプリングも直前のサンプリングから所定周期後に行われる。ステップS127では、サンプリングされたセンサ出力PによりP(6)を更新する。
【0042】
続くステップS128では、前記ステップS122〜S127で得られたP(0)〜P(6)を、所定の重みB(I)を付けて積算し、これをPw とする。
【0043】
続くステップS129ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS130でPmax をPw により更新してステップS131に進み、否定判断されるとステップS130をスキップしてステップS131に進む。
【0044】
ステップS131では機関回転数が6000rpm以下のときと同様に検出終了か否かを判定する。肯定判断されると、本演算処理は終了となる(ステップS133)。ノッキング検出期間が終了しておらず否定判断されるとステップS122に戻り、ステップS122以降の処理が繰り返される。これにより、サンプリング周期ごとに、それまでのサンプリング周期×7を単位期間として該単位期間にサンプリングされた7のセンサ出力Pの重みつき積算値Pw が演算される。すなわちセンサ出力Pがフィルタリング処理されてPw に変換されることになる。そして、Pmax がノッキング検出期間開始からそれまでで最大のPw により更新されていく。ノッキング検出期間の終了時点ではPmax はノッキング検出期間内のPw の最大値ということになる。
【0045】
このように、機関回転数が6000rpm以下のときと以上のときとで、積算値の演算に供されるセンサ出力Pのサンプリング数、すなわち、単位期間の長さを除き、実質的に同じ演算を行っている。そして、サンプリング数は機関回転数が6000rpm以上の高回転域では6000rpm以下の低回転域よりも1/3に圧縮してある。
【0046】
これにより、次の効果を奏する。図3はセンサ出力の点火後の経時変化を示すもので、全体のプロファイルは、点火による燃焼で圧力が上昇し、ある時間から筒内容積の上昇が支配的となって下降する。ノッキング発生時には圧力振動が観察される。なお、点火の際にセンサ出力が不連続に変化しているのは点火コイル4に点火用の電流が流れることで、圧電素子5がノイズを拾うことによるものである。図中には、機関回転数が2000rpmのときと6000rpmのときとを併せて示しており、機関回転数が高いほどノッキングの発生時期が早くなることが知られる。このため、機関回転数が高い場合には、点火時期とノッキング発生時期とが近接し、次の問題が生ずる。
【0047】
図4はフィルタ入力Pとフィルタ出力Pw とを示すもので、図例のものは単位期間のサンプリング数は7である。点火コイル4に点火用の電流が流れることに基因したノイズの影響を受けたフィルタ入力Pが単位期間内のサンプリングデータに含まれると、その影響で、ノッキングが生じていないにもかかわらず、フィルタ出力Pw からは圧力振動が認識されてしまう。すなわち、ノッキング検出期間の開始時期をなるべく早い時期に設定するのが検出漏れを回避するという点で望ましいところ、ノッキング検出開始後、単位期間のサンプリング数に相当する時間の間は、正常なノッキング検出が困難になる。すなわち、ノッキングが発生初期において検出できない。
【0048】
本発明では、機関回転数が6000rpmを越えて高い場合にはサンプリング数が21から7に圧縮されるから、次のようにノッキング検出を適正になし得る。すなわち、機関回転数が6000rpmのときにおいて、点火の際のセンサ出力の不連続な変化からノッキング発生まで0.4msしかない。サンプリングを50kHzで行うとすれば、サンプリング周期が0.02msとなるから、単位期間のサンプリング数を21(=0.4ms/0.02ms+1)以下にする必要があり、一律、単位期間のサンプリング数を21としたのでは、高回転域で余裕がまったくなく、誤検出のおそれが増大する。例えば、センサ出力が不連続な変化を呈したときのデータに基因して、フィルタ出力Pw の最大値Pmax が大きなものになり、これをノッキングによるものと誤判定することになる。
【0049】
これに対して本発明では、機関回転数が6000rpm以上のときには、単位期間のサンプリング数を7とするフィルタリング処理に切り換えて単位期間の長さを0.02ms×(7−1)=0.12msに圧縮することで、ノッキング検出期間の開始直後においても、サンプングデータの中に、点火の際にセンサ出力が不連続な変化を呈したときのデータが含まれにくくなる。したがって、ノッキングを発生初期において正確に検出することができる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第2実施形態になる内燃機関の要部を図5に示す。燃焼室の圧力振動を検出する手段を圧電素子に代えて燃焼出内の燃焼イオンを検出することで行うようにしたものである。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
点火プラグ4の点火用の回路は第1実施形態のものと基本的に同じで、電源61から点火コイル4の一次巻線41に通電し、そのオンとオフとをトランジスタ62により切り換える。放電時の電流は、ノッキング検出装置KAを構成する燃焼イオンの検出用のイオン検出回路66を通るようになっている。
【0052】
イオン検出回路66は、アノード同士を接続したツェナーダイオード663,664が点火コイル4Aの二次側巻線42と接地間に介設され、各ツェナーダイオード663,664にそれぞれコンデンサ661と抵抗器662とが1対1に対応して並列に接続されてなる。
【0053】
放電ギャップGにおける火花放電で点火コイル二次側巻線42に電流が流れると、そのときコンデンサ661が充電され、その端子間電圧により、点火プラグ電極31,32間にイオン検出用の電圧が印加される。この印加電圧はツェナーダイオード663により定電圧化されている。
【0054】
点火プラグ電極31,32間への電圧印加により前記放電ギャップGに燃焼イオンをキャリアとして電流が流れると、抵抗器662にその電流に比例した電圧降下が生じ、これがセンサ出力として、イオン検出回路66の出力端子665からDSP65に入力する。放電ギャップGに流れるイオン電流は、燃焼室101内の燃焼イオンの濃度に比例するから、検出される電流は前記燃焼イオンの濃度の検出信号である。
【0055】
DSP65は前記イオン電流の検出値をフィルタ入力Pとして図2の演算処理を実行する。ECU63Aは、第1実施形態と同様にDSP65と相互に通信可能で、DSP65にノッキング検出期間の開始時期および終了時期を指示する制御信号や機関回転数の情報を送信し、DSP65からはノッキング検出期間におけるフィルタ出力Pw の最大値Pmax を受け取るようになっている。
【0056】
燃焼室101内の圧力が振動すると、燃焼イオンの濃度が変動し、燃焼室101内の圧力振動がセンサ出力から知られることになる。一方、点火プラグ電極31,32を燃焼室101内の圧力振動を検出するためのノッキングセンサとして用いるため、放電電流が点火プラグ電極31,32間を流れる放電時にはセンサ出力が異常値を示し、圧電素子を圧力振動の検出用に用いる場合と同様に、放電時期に対してノッキング発生時期が近接する場合には、誤検出のおそれがある。
【0057】
したがって、DSP65において、第1実施形態と同様に機関回転数が6000rpmを越えたときに単位期間のサンプリング数を減らすことで、かかる誤検出を防止することができる。
【0058】
なお、第1、第2実施形態において、機関回転数により低回転域と高回転域との2つに区分して単位期間のサンプリング数を2種類のサンプリング数のうちいずれかに設定しているが、機関回転数により3つ以上に区分し、機関回転数が高いほど、サンプリング数が少なくなるように、すなわち単位期間の長さが短くなるようにしてもよい。
【0059】
また、サンプリング数の切り換えの判断に用いる運転状態の情報は、機関回転数に限られず、内燃機関の運転状態が、ノッキングが発生するとすればその発生時期が早くなる時期かどうかが知られる情報であればよい。
【0060】
(第3実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第3実施形態になる内燃機関の要部を図6に示す。第1実施形態においてアンプで増幅されたセンサ出力をアナログフィルタによりフィルタリング処理をするようにしたものである。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
ノッキング検出装置KBは、アンプ64の出力を入力としてフィルタ671,672が2つ設けてある。各フィルタ671,672はアナログフィルタで、所定の周波数帯域の信号に対してバンドパス特性を有し、フィルタ671とフィルタ672とで中心周波数が異なる。
【0062】
フィルタ671,672の中心周波数について説明する。図7は圧力振動のレベルのスペクトルの一例を示すもので、ノッキングありの場合となしの場合とを併せて示している。ノッキングが発生すると、図より知られるように7kHzと15kHzとにピークが現れる。したがって、センサ出力から7kHz若しくは15kHzの成分を抽出すれば、その大きさからノッキングの発生の有無が知られる。本実施形態では、第1のフィルタの中心周波数が7kHzで、第2のフィルタの中心周波数が15kHzである。
【0063】
ノッキング検出においては7kHzと15kHzとのうちいずれかを中心周波数とするフィルタが1つあれば基本的にはよいことになるが、各フィルタ671,672の出力信号はいずれもECU63Bに取り込まれるようになっている。
【0064】
ECU63Bは、点火が行われる時期になると機関回転数を読み込み、これをノッキング検出期間における機関回転数とみなして、該機関回転数が6000rpm以上か否かを判定し、6000rpm以下であれば中心周波数の低い第1のフィルタ671の出力に基づいてノッキングが発生したか否かを判定する。一方、機関回転数が6000rpm以上であれば中心周波数の高い第2のフィルタ672の出力に基づいてノッキングが発生したか否かを判定する。
【0065】
図より知られるように7kHzと15kHzとでは周波数の低い7kHzの方がピークが大きく感度はよい。一方、中心周波数が低いほどフィルタの時定数が長く、ノイズや前記放電時の電流の不連続変化がフィルタ出力に影響する時間が長い。したがって、一律、7kHzのフィルタの出力によりノッキング検出を行うのでは、点火時からノッキング発生までが短い高回転域で誤検出のおそれがあり、ノッキングが発生初期において検出できない。
【0066】
本発明では、機関回転数が6000rpmを越えて高い場合には中心周波数が第1のフィルタ671の7kHzよりも高く時定数が短い第2のフィルタ672に切り換えることで、点火の際にセンサ出力が不連続な変化を呈したときの影響を減じることができる。これにより、ノッキングを発生初期において正確に検出することができる。
【0067】
(第4実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第4実施形態になる内燃機関の要部を図8に示す。第3実施形態の構成において、燃焼室の圧力振動を検出する手段を圧電素子に代えて第2実施形態のごとく燃焼出内の燃焼イオンを検出することで行うようにしたものである。図中、第3実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
ノッキング検出装置KCは、点火プラグ3Aの放電ギャップGに流れる電流を検出するイオン検出回路66の出力が中心周波数の異なる前記2つのフィルタ671,672に入力するようになっており、ECU63Cが、機関回転数が6000rpmまでは、中心周波数の低い第1のフィルタ671の出力に基づいてノッキングの発生の有無を判断し、機関回転数が6000rpm以上になると、中心周波数の高い第2のフィルタ672の出力に基づいてノッキングの発生の有無を判断する。
【0069】
なお、前記各実施形態では、燃焼室101内の圧力振動を検出する圧力振動検出手段が点火プラグと一体のものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼室を囲む位置にノッキングセンサが設けられるものであれば、好適に適用することができる。その一例を図9に示す。点火プラグは、シリンダヘッド11を貫通する、燃焼室101側で縮径する段付きの取り付け孔111の縮径部に螺入する一般的なものである。点火プラグ3Aにはプラグキャップ71が嵌められ、プラグキャップ71内を挿通するコネクタ電極33と電気的に接続される。
【0070】
圧電素子5Aは座金タイプの円環状で、取り付け孔111aに点火プラグ3Aと同軸に設けられている。螺入する点火プラグ3Aから取り付け孔段面111aに押しつけられ、固定される。圧電素子5Aの信号線68は筒状のプラグキャップ71の横を這わせてあり、取り付け孔 の開口端からシリンダヘッド11の外へ伸びている。そして、アンプ64と配線される。
【0071】
圧電素子5Aの信号線68は、点火時に高電圧がかかるコネクタ電極33およびハイテンションコードの横を通り配線されるので、点火時にノイズを拾いやすくなっている。したがって、かかる構成の内燃機関にも本発明は好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図2】前記内燃機関のノッキング検出装置を構成するECUで実行される数値演算処理を示すフローチャートである。
【図3】ノッキング発生時における、燃焼室内の圧力振動を検出するセンサの出力の経時変化を示す図である。
【図4】従来の技術の課題を説明する別の図である。
【図5】本発明の第2の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図6】本発明の第3の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図7】燃焼室内の圧力振動のレベルのスペクトルを示す図である。
【図8】本発明の第3の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図9】本発明が適用される内燃機関の変形例を示す図である。
【符号の説明】
101 燃焼室
2 点火プラグ一体型点火コイル
3 点火プラグ部
3A 点火プラグ(点火プラグ部)
4,4A 点火コイル
61 電源
63, 63A, 63B,63C ECU(フィルタ設定手段)
65 デジタルサンプリングプロセッサ(フィルタ、フィルタ設定手段)
66 イオン検出回路
671,672 フィルタ
K,KA,KB,KC ノッキング検出装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のノッキングを検出するノッキング検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関におけるノッキングは、火炎の伝播前に自己着火する異常燃焼で、これに基因して気筒内で発生する圧力波が異常音を生じさせる。過度のノッキングはバルブやピストンの溶損を引き起し、また、適度なノッキングは燃費や出力に良好な結果をもたらす。そこで、燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置が備えられており、その結果を、点火時期などの制御に反映させている。
【0003】
ノッキング検出は内燃機関の制御に直結するため、誤検出等のない正確なものであることが要求される。ノッキングセンサは従来、振動センサをエンジンブロックに設けるのが一般的であったが、今日、ノッキング以外の機械振動の影響を回避すべく、燃焼室を囲む位置、例えば、燃焼室に臨む点火プラグ部と一体に圧電素子等の圧力センサを設けて、燃焼室内の圧力振動を検出するようにしたものがある。また、圧力振動に応じて変化する燃焼室内の燃焼イオンを検出するノッキングセンサもある。このものでは、燃焼イオンの検出用として、燃焼室に臨んで1対の電極が設けられる。電極は点火プラグ部のもので兼用するものもある。
【0004】
また、ノッキングセンサの出力信号は微小であり、各種のノイズに対する対策にも考慮が必要である。特に、前記のごとく内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに設けるようにしたものは、点火プラグ部の作動時に大きな電流が流れるためノッキングセンサの出力信号にノイズが混入するおそれがあり、誤検出の原因となる。
【0005】
ノイズに基因した誤検出を回避する技術として、ノッキングセンサの出力信号が第1の基準値を越えてからの時間を測定し、これが所定値を越えている場合に限り、以降のノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するようにしたものがある(特許文献1等参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−009598号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、リレーのオンオフに基因したノイズのように、振動周期の短いスパイク性のノイズに対しては一定の除去作用を奏するとしても、ノイズのモードは多様である。ノッキングセンサの出力をデジタルフィルタやアナログフィルタ等のフィルタで処理するのが比較的有効であるが、フィルタに入力したノイズがフィルタリング処理において影響する時間内にノッキングが発生してしまうと、必ずしも十分ではなく、誤検出のおそれがある。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、正確なノッキング検出が可能で、しかも、簡単な構成のノッキング検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置において、
前記ノッキングセンサの出力値を所定のサンプリング周期でサンプリングし、所定の単位期間にサンプリングされたサンプリングデータを入力としてフィルタリング処理をするデジタルフィルタを、前記単位期間の長さを切り換え自在とし、
かつ、前記内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であるほど、前記単位期間の長さが短くなるように前記デジタルフィルタを設定するフィルタ設定手段を具備せしめる。
【0010】
内燃機関の運転状態が点火プラグの作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であれば、単位期間の長さが短くなるため、点火プラグ部の作動に基因したノイズがノッキング検出期間の開始時期に近いタイミングで発生していても、フィルタリング処理の単位期間から外れることになって、その影響を抑制することができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置において、
前記ノッキングセンサの出力信号を入力とするアナログフィルタを、中心周波数を可変とし、
かつ、前記内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であるほど、前記中心周波数が高くなるように前記アナログフィルタの中心周波数を切り換えるフィルタ設定手段を具備せしめる。
【0012】
内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であれば、アナログフィルタの中心周波数が高くなる。中心周波数が高いフィルタの時定数は短いから、点火プラグ部の作動に基因したノイズがノッキング検出期間の開始時期に近いタイミングで発生していても、その影響を抑制することができる。なお、ノッキングによる圧力振動は複数の周波数域に現れるため、フィルタの中心周波数をかかる周波数域に設定することで、フィルタの出力から高制度にノッキングを検出することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記設定手段は、前記内燃機関の機関回転数が高いほど、点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生するものと判断するように設定する。
【0014】
機関回転数は内燃機関の制御において一般的なパラメータであるため、新たな構成を付加する必要がなく、構成を簡略化することができる。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、前記ノッキングセンサが点火プラグ部と一体である構成とする。
【0016】
点火プラグ部と一体のノッキングセンサは構成を簡略化できる点で、望ましい態様の一つである一方で、最も点火時に流れる電流に基因したノイズの影響を受けやすい態様である。前記請求項1ないし3の発明の実施により、前記ノイズの影響を回避することができるので、点火プラグ部と一体のノッキングセンサの長所をいかんなく発揮し、真に優れたノッキング検出装置とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第1実施形態になる内燃機関の要部を図1に示す。内燃機関の燃焼室101の天井部を構成するシリンダヘッド11を貫通して点火プラグ一体型コイル2が取り付けられており、その先端部が燃焼室101内に突出している。点火プラグ一体型コイル2は、点火プラグ部3とともに、点火コイル4、ノッキングセンサである圧電素子5を備えている。
【0018】
点火プラグ一体型コイル2のハウジング21はスリーブ状で、ハウジング21内に略円筒形の碍子22が挿入してある。碍子22は先端部で内径が縮径する形状のもので、該縮径部に棒状の中心電極31が挿入されている。中心電極31の先端部は碍子22の先端から突出している。中心電極31と対をなす接地電極32はシリンダヘッド11を介して接地電位となっているハウジング21の先端面から伸び、中心電極31と放電ギャップGを挟んで対向している。
【0019】
碍子22内には中心電極31の後方に点火コイル4が格納されている。点火コイル4の一次側巻線は、線端が、ハウジング21の後端に設けられたストッパ23を貫通して点火プラグ一体型コイル2の外に引き出されており、後述する電源61およびトランジスタ62と電気的に接続される。また、点火コイル4の二次側巻線は、低圧側がハウジング21と導通し、高圧側が中心電極31と導通している。
【0020】
碍子22とストッパ23との間には円環状の前記圧電素子5が挟持されている。ストッパ23はハウジング21の後端開口から螺入する蓋部材であり、圧電素子5を介して碍子22をハウジング21に固定するとともに、圧電素子5を碍子22と一体化する。これにより、燃焼室101内の圧力が碍子22に印加されると、印加圧力は碍子22を介して圧電素子5に伝えられる。圧電素子5の出力信号は後述するアンプ64に入力するようになっている。
【0021】
点火用の回路は、電源61、トランジスタ62、ECU63等により構成される。トランジスタ62は電源から点火コイル4への通電をオンオフするもので、ECU63は、これに入力する内燃機関各部のセンサから知られる運転状態に基づいて点火時期の指令値を演算し、指令値に基づいてトランジスタ62を制御する。点火時には一般的な点火用回路と同様に、トランジスタ62の作動で点火コイル4に発生した高電圧が中心電極31と接地電極32間に印加され、放電ギャップGに火花を飛ばして点火される。
【0022】
また、ノッキング検出装置Kは、前記圧電素子5の他、アンプ64、デジタルサンプリングプロセッサ(以下、適宜、DSPという)65、ECU63等により構成される。圧電素子5の出力信号はアンプ64で増幅された後、DSP65に入力する。DSP65は詳しくは後述するように所定周期で圧電素子5の出力(以下、適宜、センサ出力という)をサンプリングし数値演算処理する。DSP65とECU63とは通信可能で、ECU63は、内燃機関の制御用の、マイクロコンピュータを中心として構成された一般的なもので、機関回転数の検出用のセンサなどからの種々の運転状態の検出信号に基づいて点火時期や燃料噴射量を設定する。そして、ノッキング検出に関しては、DSP65にノッキング検出期間の開始時期と終了時期に制御信号を出力し、ノッキング検出期間における圧力振動の強度の情報をDSP65から受け取る。そのデータに基づいて点火時期などを設定する。また、ECU63はノッキング検出期間の開始時期に前記制御信号とともに、機関回転数のデータを送信する。
【0023】
図2にDSP65で実行される演算処理の内容を示す。本演算処理はECU63からノッキング検出を開始する旨の制御信号を受け取ると開始する(ステップS101)。ステップS102は設定手段としての処理で、機関回転数が6000rpm以上か否かを判定し、否定判断されるとステップS103以降の処理を実行し、肯定判断されるとステップS123以降の処理を実行する。このうち、ステップS104〜S109,S112〜S118,S124〜S129,S132〜S138がフィルタとしての処理である。
【0024】
ステップS103,S104は初期化で、ステップS103でPmax を0とし、ステップS104でIを0とする。
【0025】
ステップS105ではセンサ出力Pをサンプリングし、ステップS106でP(I)をこのPとする。P(I)はP(0)からP(20)までの21個がある。ステップS106ではIが20か否かを判定し、否定判断されるとステップS108でIをインクリメントして、ステップS105に戻る。Iが20に達するまでステップS105〜108が繰り返され、その都度、センサ出力Pのサンプリングが実行される。センサ出力Pのサンプリングの周期は所定周期、例えば50kHzに設定される。
【0026】
I=0〜20についてすべてのセンサ出力Pのサンプリングが実行されると、ステップS109でP(0)〜P(20)を、所定の重みA(I)を付けて積算し、積算値をPw とする。なお、以下、適宜、センサ出力P、P(I)をフィルタ入力といい、センサ出力の積算値Pw フィルタ出力という。
【0027】
続くステップS110ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS111でPmax をPw により更新してステップS112に進み、否定判断されるとステップS111をスキップしてステップS112に進む。
【0028】
ステップS112ではIを0とする。
【0029】
ステップS113ではP(I)をP(I+1)の値とする。ステップS114ではIが20か否かを判定し、否定判断されるとステップS115でIをインクリメントして、ステップS113に戻る。Iが19に達するまでステップS113〜115が繰り返される。すなわち、P(0)〜P(19)の値を、元のP(0)〜P(20)のうち、最も過去にサンプリングされたP(0)を除いたP(1)〜P(20)の値により、サンプリング順序を変えずに置き換えていくことになる。
【0030】
I=0〜19についてP(I)のデータの置き換えが完了すると、ステップS116でセンサ出力Pをサンプリングする。このサンプリングも直前のサンプリングから所定周期後に行われる。ステップS117では、サンプリングされたセンサ出力PによりP(20)を更新する。
【0031】
続くステップS118では、前記ステップS112〜S117で得られたP(0)〜P(20)を、所定の重みA(I)を付けて積算し、これをPw とする。
【0032】
続くステップS119ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS120でPmax をPw により更新してステップS121に進み、否定判断されるとステップS120をスキップしてステップS121に進む。
【0033】
ステップS121では検出終了か否かを判定する。これはECU63からのノッキング検出期間の終了を示す制御信号を受け取っていれば肯定判断され、本演算処理は終了となる(ステップS123)。ノッキング検出期間が終了しておらず否定判断されるとステップS112に戻り、ステップS112以降の処理が繰り返される。これにより、サンプリング周期ごとに、それまでのサンプリング周期×21を単位期間として該単位期間にサンプリングされた21のセンサ出力Pの重みつき積算値Pw が演算される。すなわちセンサ出力Pがフィルタリング処理されてPw に変換されることになる。そして、Pmax がノッキング検出期間開始からそれまでで最大のPw により更新されていく。ノッキング検出期間の終了時点ではPmax はノッキング検出期間内のPw の最大値ということになる。
【0034】
次に、機関回転数が6000rpm以上でステップS102が肯定判断されたときのステップS123以降の処理について説明する。
【0035】
ステップS123,S124はステップS103,S104と同様に初期化で、ステップS123でPmax を0とし、ステップS124でIを0とする。
【0036】
ステップS125ではセンサ出力Pをサンプリングし、ステップS126でP(I)をこのPとする。P(I)は、機関回転数が6000rpm以下のときと異なり、P(0)からP(6)までの7個がある。なお、サンプリング周期は機関回転数が6000rpm以下のときと変わらない。ステップS127ではIが6か否かを判定し、否定判断されるとステップS128でIをインクリメントして、ステップS125に戻る。Iが6に達するまでステップS125〜128が繰り返され、その都度、センサ出力Pのサンプリングが実行される。
【0037】
I=0〜6についてすべてのセンサ出力Pのサンプリングが実行されると、ステップS129でP(0)〜P(20)を、所定の重みB(I)を付けて積算し、これをPw とする。
【0038】
続くステップS120ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS121でPmax をPw により更新してステップS122に進み、否定判断されるとステップS121をスキップしてステップS122に進む。
【0039】
ステップS122ではIを0とする。
【0040】
ステップS123ではP(I)をP(I+1)の値とする。ステップS124ではIが5か否かを判定し、否定判断されるとステップS125でIをインクリメントして、ステップS123に戻る。Iが5に達するまでステップS123〜125が繰り返される。すなわち、P(0)〜P(5)の値を、元のP(0)〜P(5)のうち、最も過去にサンプリングされたP(0)を除いたP(1)〜P(6)の値により、サンプリング順序を変えずに置き換えていくことになる。
【0041】
I=0〜5についてP(I)のデータの置き換えが完了すると、ステップS126でセンサ出力Pをサンプリングする。このサンプリングも直前のサンプリングから所定周期後に行われる。ステップS127では、サンプリングされたセンサ出力PによりP(6)を更新する。
【0042】
続くステップS128では、前記ステップS122〜S127で得られたP(0)〜P(6)を、所定の重みB(I)を付けて積算し、これをPw とする。
【0043】
続くステップS129ではPw がPmax 以上か否かを判定し、肯定判断されるとステップS130でPmax をPw により更新してステップS131に進み、否定判断されるとステップS130をスキップしてステップS131に進む。
【0044】
ステップS131では機関回転数が6000rpm以下のときと同様に検出終了か否かを判定する。肯定判断されると、本演算処理は終了となる(ステップS133)。ノッキング検出期間が終了しておらず否定判断されるとステップS122に戻り、ステップS122以降の処理が繰り返される。これにより、サンプリング周期ごとに、それまでのサンプリング周期×7を単位期間として該単位期間にサンプリングされた7のセンサ出力Pの重みつき積算値Pw が演算される。すなわちセンサ出力Pがフィルタリング処理されてPw に変換されることになる。そして、Pmax がノッキング検出期間開始からそれまでで最大のPw により更新されていく。ノッキング検出期間の終了時点ではPmax はノッキング検出期間内のPw の最大値ということになる。
【0045】
このように、機関回転数が6000rpm以下のときと以上のときとで、積算値の演算に供されるセンサ出力Pのサンプリング数、すなわち、単位期間の長さを除き、実質的に同じ演算を行っている。そして、サンプリング数は機関回転数が6000rpm以上の高回転域では6000rpm以下の低回転域よりも1/3に圧縮してある。
【0046】
これにより、次の効果を奏する。図3はセンサ出力の点火後の経時変化を示すもので、全体のプロファイルは、点火による燃焼で圧力が上昇し、ある時間から筒内容積の上昇が支配的となって下降する。ノッキング発生時には圧力振動が観察される。なお、点火の際にセンサ出力が不連続に変化しているのは点火コイル4に点火用の電流が流れることで、圧電素子5がノイズを拾うことによるものである。図中には、機関回転数が2000rpmのときと6000rpmのときとを併せて示しており、機関回転数が高いほどノッキングの発生時期が早くなることが知られる。このため、機関回転数が高い場合には、点火時期とノッキング発生時期とが近接し、次の問題が生ずる。
【0047】
図4はフィルタ入力Pとフィルタ出力Pw とを示すもので、図例のものは単位期間のサンプリング数は7である。点火コイル4に点火用の電流が流れることに基因したノイズの影響を受けたフィルタ入力Pが単位期間内のサンプリングデータに含まれると、その影響で、ノッキングが生じていないにもかかわらず、フィルタ出力Pw からは圧力振動が認識されてしまう。すなわち、ノッキング検出期間の開始時期をなるべく早い時期に設定するのが検出漏れを回避するという点で望ましいところ、ノッキング検出開始後、単位期間のサンプリング数に相当する時間の間は、正常なノッキング検出が困難になる。すなわち、ノッキングが発生初期において検出できない。
【0048】
本発明では、機関回転数が6000rpmを越えて高い場合にはサンプリング数が21から7に圧縮されるから、次のようにノッキング検出を適正になし得る。すなわち、機関回転数が6000rpmのときにおいて、点火の際のセンサ出力の不連続な変化からノッキング発生まで0.4msしかない。サンプリングを50kHzで行うとすれば、サンプリング周期が0.02msとなるから、単位期間のサンプリング数を21(=0.4ms/0.02ms+1)以下にする必要があり、一律、単位期間のサンプリング数を21としたのでは、高回転域で余裕がまったくなく、誤検出のおそれが増大する。例えば、センサ出力が不連続な変化を呈したときのデータに基因して、フィルタ出力Pw の最大値Pmax が大きなものになり、これをノッキングによるものと誤判定することになる。
【0049】
これに対して本発明では、機関回転数が6000rpm以上のときには、単位期間のサンプリング数を7とするフィルタリング処理に切り換えて単位期間の長さを0.02ms×(7−1)=0.12msに圧縮することで、ノッキング検出期間の開始直後においても、サンプングデータの中に、点火の際にセンサ出力が不連続な変化を呈したときのデータが含まれにくくなる。したがって、ノッキングを発生初期において正確に検出することができる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第2実施形態になる内燃機関の要部を図5に示す。燃焼室の圧力振動を検出する手段を圧電素子に代えて燃焼出内の燃焼イオンを検出することで行うようにしたものである。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
点火プラグ4の点火用の回路は第1実施形態のものと基本的に同じで、電源61から点火コイル4の一次巻線41に通電し、そのオンとオフとをトランジスタ62により切り換える。放電時の電流は、ノッキング検出装置KAを構成する燃焼イオンの検出用のイオン検出回路66を通るようになっている。
【0052】
イオン検出回路66は、アノード同士を接続したツェナーダイオード663,664が点火コイル4Aの二次側巻線42と接地間に介設され、各ツェナーダイオード663,664にそれぞれコンデンサ661と抵抗器662とが1対1に対応して並列に接続されてなる。
【0053】
放電ギャップGにおける火花放電で点火コイル二次側巻線42に電流が流れると、そのときコンデンサ661が充電され、その端子間電圧により、点火プラグ電極31,32間にイオン検出用の電圧が印加される。この印加電圧はツェナーダイオード663により定電圧化されている。
【0054】
点火プラグ電極31,32間への電圧印加により前記放電ギャップGに燃焼イオンをキャリアとして電流が流れると、抵抗器662にその電流に比例した電圧降下が生じ、これがセンサ出力として、イオン検出回路66の出力端子665からDSP65に入力する。放電ギャップGに流れるイオン電流は、燃焼室101内の燃焼イオンの濃度に比例するから、検出される電流は前記燃焼イオンの濃度の検出信号である。
【0055】
DSP65は前記イオン電流の検出値をフィルタ入力Pとして図2の演算処理を実行する。ECU63Aは、第1実施形態と同様にDSP65と相互に通信可能で、DSP65にノッキング検出期間の開始時期および終了時期を指示する制御信号や機関回転数の情報を送信し、DSP65からはノッキング検出期間におけるフィルタ出力Pw の最大値Pmax を受け取るようになっている。
【0056】
燃焼室101内の圧力が振動すると、燃焼イオンの濃度が変動し、燃焼室101内の圧力振動がセンサ出力から知られることになる。一方、点火プラグ電極31,32を燃焼室101内の圧力振動を検出するためのノッキングセンサとして用いるため、放電電流が点火プラグ電極31,32間を流れる放電時にはセンサ出力が異常値を示し、圧電素子を圧力振動の検出用に用いる場合と同様に、放電時期に対してノッキング発生時期が近接する場合には、誤検出のおそれがある。
【0057】
したがって、DSP65において、第1実施形態と同様に機関回転数が6000rpmを越えたときに単位期間のサンプリング数を減らすことで、かかる誤検出を防止することができる。
【0058】
なお、第1、第2実施形態において、機関回転数により低回転域と高回転域との2つに区分して単位期間のサンプリング数を2種類のサンプリング数のうちいずれかに設定しているが、機関回転数により3つ以上に区分し、機関回転数が高いほど、サンプリング数が少なくなるように、すなわち単位期間の長さが短くなるようにしてもよい。
【0059】
また、サンプリング数の切り換えの判断に用いる運転状態の情報は、機関回転数に限られず、内燃機関の運転状態が、ノッキングが発生するとすればその発生時期が早くなる時期かどうかが知られる情報であればよい。
【0060】
(第3実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第3実施形態になる内燃機関の要部を図6に示す。第1実施形態においてアンプで増幅されたセンサ出力をアナログフィルタによりフィルタリング処理をするようにしたものである。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
ノッキング検出装置KBは、アンプ64の出力を入力としてフィルタ671,672が2つ設けてある。各フィルタ671,672はアナログフィルタで、所定の周波数帯域の信号に対してバンドパス特性を有し、フィルタ671とフィルタ672とで中心周波数が異なる。
【0062】
フィルタ671,672の中心周波数について説明する。図7は圧力振動のレベルのスペクトルの一例を示すもので、ノッキングありの場合となしの場合とを併せて示している。ノッキングが発生すると、図より知られるように7kHzと15kHzとにピークが現れる。したがって、センサ出力から7kHz若しくは15kHzの成分を抽出すれば、その大きさからノッキングの発生の有無が知られる。本実施形態では、第1のフィルタの中心周波数が7kHzで、第2のフィルタの中心周波数が15kHzである。
【0063】
ノッキング検出においては7kHzと15kHzとのうちいずれかを中心周波数とするフィルタが1つあれば基本的にはよいことになるが、各フィルタ671,672の出力信号はいずれもECU63Bに取り込まれるようになっている。
【0064】
ECU63Bは、点火が行われる時期になると機関回転数を読み込み、これをノッキング検出期間における機関回転数とみなして、該機関回転数が6000rpm以上か否かを判定し、6000rpm以下であれば中心周波数の低い第1のフィルタ671の出力に基づいてノッキングが発生したか否かを判定する。一方、機関回転数が6000rpm以上であれば中心周波数の高い第2のフィルタ672の出力に基づいてノッキングが発生したか否かを判定する。
【0065】
図より知られるように7kHzと15kHzとでは周波数の低い7kHzの方がピークが大きく感度はよい。一方、中心周波数が低いほどフィルタの時定数が長く、ノイズや前記放電時の電流の不連続変化がフィルタ出力に影響する時間が長い。したがって、一律、7kHzのフィルタの出力によりノッキング検出を行うのでは、点火時からノッキング発生までが短い高回転域で誤検出のおそれがあり、ノッキングが発生初期において検出できない。
【0066】
本発明では、機関回転数が6000rpmを越えて高い場合には中心周波数が第1のフィルタ671の7kHzよりも高く時定数が短い第2のフィルタ672に切り換えることで、点火の際にセンサ出力が不連続な変化を呈したときの影響を減じることができる。これにより、ノッキングを発生初期において正確に検出することができる。
【0067】
(第4実施形態)
本発明の内燃機関のノッキング検出装置を適用した第4実施形態になる内燃機関の要部を図8に示す。第3実施形態の構成において、燃焼室の圧力振動を検出する手段を圧電素子に代えて第2実施形態のごとく燃焼出内の燃焼イオンを検出することで行うようにしたものである。図中、第3実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
ノッキング検出装置KCは、点火プラグ3Aの放電ギャップGに流れる電流を検出するイオン検出回路66の出力が中心周波数の異なる前記2つのフィルタ671,672に入力するようになっており、ECU63Cが、機関回転数が6000rpmまでは、中心周波数の低い第1のフィルタ671の出力に基づいてノッキングの発生の有無を判断し、機関回転数が6000rpm以上になると、中心周波数の高い第2のフィルタ672の出力に基づいてノッキングの発生の有無を判断する。
【0069】
なお、前記各実施形態では、燃焼室101内の圧力振動を検出する圧力振動検出手段が点火プラグと一体のものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼室を囲む位置にノッキングセンサが設けられるものであれば、好適に適用することができる。その一例を図9に示す。点火プラグは、シリンダヘッド11を貫通する、燃焼室101側で縮径する段付きの取り付け孔111の縮径部に螺入する一般的なものである。点火プラグ3Aにはプラグキャップ71が嵌められ、プラグキャップ71内を挿通するコネクタ電極33と電気的に接続される。
【0070】
圧電素子5Aは座金タイプの円環状で、取り付け孔111aに点火プラグ3Aと同軸に設けられている。螺入する点火プラグ3Aから取り付け孔段面111aに押しつけられ、固定される。圧電素子5Aの信号線68は筒状のプラグキャップ71の横を這わせてあり、取り付け孔 の開口端からシリンダヘッド11の外へ伸びている。そして、アンプ64と配線される。
【0071】
圧電素子5Aの信号線68は、点火時に高電圧がかかるコネクタ電極33およびハイテンションコードの横を通り配線されるので、点火時にノイズを拾いやすくなっている。したがって、かかる構成の内燃機関にも本発明は好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図2】前記内燃機関のノッキング検出装置を構成するECUで実行される数値演算処理を示すフローチャートである。
【図3】ノッキング発生時における、燃焼室内の圧力振動を検出するセンサの出力の経時変化を示す図である。
【図4】従来の技術の課題を説明する別の図である。
【図5】本発明の第2の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図6】本発明の第3の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図7】燃焼室内の圧力振動のレベルのスペクトルを示す図である。
【図8】本発明の第3の内燃機関のノッキング検出装置を付設した内燃機関の要部の構成図である。
【図9】本発明が適用される内燃機関の変形例を示す図である。
【符号の説明】
101 燃焼室
2 点火プラグ一体型点火コイル
3 点火プラグ部
3A 点火プラグ(点火プラグ部)
4,4A 点火コイル
61 電源
63, 63A, 63B,63C ECU(フィルタ設定手段)
65 デジタルサンプリングプロセッサ(フィルタ、フィルタ設定手段)
66 イオン検出回路
671,672 フィルタ
K,KA,KB,KC ノッキング検出装置
Claims (4)
- 内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置において、
前記ノッキングセンサの出力値を所定のサンプリング周期でサンプリングし、所定の単位期間にサンプリングされたサンプリングデータを入力としてフィルタリング処理をするデジタルフィルタを、前記単位期間の長さを切り換え自在とし、
かつ、前記内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であるほど、前記単位期間の長さが短くなるように前記デジタルフィルタを設定するフィルタ設定手段を具備せしめたことを特徴とする内燃機関のノッキング検出装置。 - 内燃機関の燃焼室を囲む位置に点火プラグ部とともに燃焼室内の圧力振動に応じた信号を出力するノッキングセンサを配置して、該ノッキングセンサの出力に基づいてノッキングを検出するノッキング検出装置において、
前記ノッキングセンサの出力信号を入力とするアナログフィルタを、中心周波数を可変とし、
かつ、前記内燃機関の運転状態が点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生し易い運転状態であるほど、前記中心周波数が高くなるように前記アナログフィルタの中心周波数を切り換えるフィルタ設定手段を具備せしめたことを特徴とする内燃機関のノッキング検出装置。 - 請求項1または2いずれか記載の内燃機関のノッキング検出装置において、前記設定手段は、前記内燃機関の機関回転数が高いほど、点火プラグ部の作動後、早期にノッキングが発生するものと判断する内燃機関のノッキング検出装置。
- 請求項1ないし3いずれか記載の内燃機関のノッキング検出装置において、前記ノッキングセンサが点火プラグ部と一体である内燃機関のノッキング検出装置。
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JP2003050276A JP2004257332A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 内燃機関のノッキング検出装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2873841A2 (en) | 2013-10-25 | 2015-05-20 | Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha | Power unit, vehicle and method for controlling power unit |
JP2017160809A (ja) * | 2016-03-08 | 2017-09-14 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | エンジン制御装置 |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003050276A patent/JP2004257332A/ja active Pending
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