JP2004257316A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筒内圧を検出する筒内圧センサ44と、筒内圧に基づいて筒内での燃焼期間を算出する燃焼期間算出手段と、燃焼期間に基づいて吸入空気温度を制御する排気ガス再循環装置(EGR管46、EGRクーラー50)と、を備える。燃焼期間に基づいて吸入空気温度を制御するようにしたため、筒内の燃焼状態を常に最適な状態にすることが可能となり、燃費の向上、ノッキングの抑制を達成できる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の制御装置に関し、特に、吸入空気温度を制御する装置に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の冷却水温に基づいて吸入空気を加熱する方法が知られている。例えば、特開平6−229336号公報には、冷却水温が低い場合に吸入空気温度を高め、燃焼状態の安定化を図ることが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−229336号公報
特開平11−62564号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、筒内の燃焼状態に最も密接に関連するのは燃焼前の筒内ガス温度(未燃ガス温度)であり、冷却水温はある程度の精度で筒内ガス温度を反映しているに過ぎない。冷却水は燃焼室の周囲を循環しているが、冷却水と筒内ガスの間にはシリンダー、シリンダーヘッドなどの構造物が介在しているためである。また、冷却水温を検出するセンサと機関の間においては、冷却水が所定の経路で循環しているため、センサで検出された冷却水温は筒内壁温に対して応答遅れが生じている。このため、筒内ガス温度と冷却水温とは必ずしも一致するものではない。
【0005】
特に、始動後の機関が暖気されていく過程では、筒内壁温に比べて冷却水温の温度上昇に遅れが発生する。このため、冷却水温と筒内壁温との差が大きくなり、冷却水温に基づく筒内ガス温度の推定値は大きな誤差を含むこととなる。
【0006】
また、筒内へ流入したガスは、筒内壁面から受熱して燃焼前の筒内ガス温度に達する。従って、燃焼前の筒内ガス温度は、筒内へ流入する前のガス温度と、筒内壁温とによって定まる。冷却水温に基づいて燃焼前の筒内ガス温度を推定した場合、筒内壁温に起因する筒内ガス温度のみが推定されることとなり、筒内へ流入する以前のガス温度を含めて筒内ガス温度を推定することができない。従って、筒内ガス温度を正確に推定することは困難である。
【0007】
このように、上記公報に記載された方法では、筒内ガス温度の推定精度を高めることができないため、吸入空気温度を最適に制御することは困難である。そして、吸入空気温度制御の精度が低下することにより、燃焼状態が悪化し、燃焼効率の低下、燃費の悪化、ノッキング発生によるドライバビリティの悪化といった問題が生じる。
【0008】
更に、EGR(Exhaust Gas Recirculation System)を備えた内燃機関では、EGRガスの温度が運転状態(点火時期、機関回転数、負荷など)によって変動する。そして、温度変動の生じているEGRガスが吸気側へ還流された場合、EGRガスによって吸入空気温度が変動し、燃焼状態が悪化するという問題が生じる。
【0009】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、吸入空気温度を最適に制御することで、内燃機関の運転状態を良好に保つことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の課題を解決するため、筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、前記筒内圧に基づいて筒内での燃焼期間を算出する燃焼期間算出手段と、前記燃焼期間に基づいて吸入空気温度を制御する吸入空気温度制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、クランク角を取得するクランク角取得手段と、前記クランク角に基づいて筒内容積を算出する筒内容積算出手段と、を更に備え、前記燃焼期間算出手段は、前記筒内圧及び前記筒内容積に基づいて前記燃焼期間を算出することを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、吸入空気量を取得する吸入空気量取得手段と、クランク角を取得するクランク角取得手段と、前記クランク角に基づいて筒内容積を算出する筒内容積算出手段と、前記筒内圧、前記吸入空気量及び前記筒内容積に基づいて筒内へ送られた吸入空気の温度を算出する吸入空気温度算出手段と、を更に備え、前記吸入空気温度制御手段は、前記燃焼期間及び筒内へ送られた前記吸入空気の温度に基づいて前記吸入空気温度を制御することを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記燃焼期間算出手段は、燃焼により発生する総熱量を算出する総熱量算出手段を含み、前記総熱量のうちの所定の熱量が発生する間の前記燃焼期間を算出することを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第4の発明において、前記総熱量算出手段は、筒内へ送られる燃料の低位発熱量に基づいて前記総熱量を算出することを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、上記の課題を解決するため、筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、クランク角を取得するクランク角取得手段と、前記クランク角に基づいて筒内容積を算出する筒内容積算出手段と、吸入空気量を取得する吸入空気量取得手段と、前記筒内圧、前記筒内容積及び前記吸入空気量に基づいて筒内へ送られた吸入空気の温度を算出する吸入空気温度算出手段と、筒内へ送られた前記吸入空気の温度に基づいて吸入空気温度を制御する吸入空気温度制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第1〜第6の発明のいずれかにおいて、前記吸入空気温度制御手段は、排気ガスを吸気通路へ送る排気ガス再循環手段と、吸気通路へ送られる前記排気ガスの温度を調整する手段と、を含むことを特徴とする。
【0017】
第8の発明は、第1〜第6の発明のいずれかにおいて、前記吸気温度制御手段は、ブローバイガスを吸気通路へ送るブローバイガス還元手段と、吸気通路へ送られる前記ブローバイガスの量を調整する手段と、を含むことを特徴とする。
【0018】
第9の発明は、第1〜第6の発明のいずれかにおいて、前記吸気温度制御手段は、点火時期を調節する点火時期調節手段を含むことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいてこの発明のいくつかの実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。内燃機関10には吸気通路12および排気通路14が連通している。吸気通路12は、上流側の端部にエアフィルタ16を備えている。エアフィルタ16には、吸気温THA(すなわち外気温)を検出する吸気温センサ18が組みつけられている。
【0021】
エアフィルタ16の下流には、エアフロメータ20が配置されている。エアフロメータ20は、吸気通路12を流れる吸入空気量Gaを検出するセンサである。エアフロメータ20の下流には、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ24と、スロットルバルブ22が全閉となることでオンとなるアイドルスイッチ26とが配置されている。
【0022】
スロットルバルブ22の下流には、サージタンク28が設けられている。また、サージタンク28の更に下流には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁30が配置されている。
【0023】
内燃機関10の各気筒はシリンダ32、ピストン34、点火プラグ35を備えている。ピストン34には、その往復運動によって回転駆動されるクランク軸36が連結されている。車両駆動系と補機類(エアコンのコンプレッサ、オルタネータ、トルクコンバータ、パワーステアリングのポンプ等)は、このクランク軸36の回転トルクによって駆動される。クランク軸36の近傍には、クランク軸36の回転角(クランク角θ)を検出するためのクランク角センサ38が取り付けられている。また、内燃機関10には、筒内の圧力(筒内圧)を検出するための筒内圧センサ44が設けられている。
【0024】
シリンダ32、ピストン34など内燃機関10を構成する部材は、周囲を流れる冷却水によって冷却されている。内燃機関10のシリンダブロックには、冷却水温THWを検出する水温センサ42が取り付けられている。
【0025】
また、吸気通路12と排気通路14の間には排気ガス再循環装置(EGR: Exhaust Gas Recirculation System)が設けられている。排気ガス再循環装置は、吸気通路12と排気通路14を接続するEGR管46、及びEGRクーラー50を有して構成され、排気ガスの一部を排気通路14から取り出し、EGRガスとして吸気通路12へ再循環させることで、主として排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を削減する。EGRクーラー50は、その内部に冷却水が循環しており、EGRガスを冷却する機能を有している。なお、排気通路14には、排気浄化触媒52が設けられている。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の燃料制御装置はECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した各種センサおよび燃料噴射弁30、EGRクーラー50における冷却水の流量調節弁などが接続されている。
【0027】
次に、図1のシステムによる内燃機関10の制御について説明する。本実施形態燃の制御装置では、クランク角センサ38、筒内圧センサ44の検出値に基づいて、吸入空気温度、燃焼期間を算出し、吸入空気温度および燃焼期間が最適となるように内燃機関10を制御する。
【0028】
先ず、燃焼期間の算出方法を説明する。吸気通路12を流れる吸入空気は燃料噴射弁30から噴射された燃料と混合され、筒内へ送られる。筒内へ流入したガス(混合気)は圧縮工程で圧縮され、点火プラグ35によって着火されて燃焼する。燃焼期間は、1回の燃焼により熱が発生している間のクランク軸36の回転角である。本実施形態では、1回の燃焼により発生する総熱量のうちの50%が発生するまでの燃焼期間(0〜50%燃焼期間D0−50)を算出する。
【0029】
このため、1回の燃焼によって発生する総熱量を求め、総熱量の50%が発生するまでのクランク角の区間を算出する。ここで、1回の燃焼によって発生する総熱量は、クランク角の進行に伴って累積されていく熱量の最大値Qmaxである。以下の(1)式は、微小クランク角dθ(例えばdθ=1°)毎に発生する熱量dQ/dθを算出するための式である。
【0030】
【数1】
【0031】
(1)式において、Pは筒内圧、θはクランク角を示しており、それぞれ筒内圧センサ44、クランク角センサ38から検出される。Vはシリンダ容積(筒内容積)であって、内燃機関10の諸元(ボア、ストローク、燃焼室容積など)とクランク角θに基づいて算出される。すなわち、シリンダ容積Vはクランク角θの関数である。
【0032】
また、(dV/dθ)は、微小クランク角dθ毎のシリンダ容積Vの変化量である。(dV/dθ)は、現在のクランク角θにおけるシリンダ容積Vから、dθ前のクランク角におけるシリンダ容積Vを減算することで算出される。
【0033】
また、(dP/dθ)は、微小クランク角dθ毎の筒内圧Pの変化量である。(dP/dθ)は、現在のクランク角θにおける筒内圧Pから、dθ前のクランク角における筒内圧Pを減算することで算出される。また、(1)式においてκは比熱比を示している。
【0034】
従って(1)式によれば、筒内圧P、シリンダ容積V、筒内圧Pの変化量(dP/dθ)、及びシリンダ容積Vの変化量(dV/dθ)、に基づいて、微小クランク角dθ毎の熱発生量dQ/dθを算出することができる。
【0035】
そして、(1)式のdQ/dθを点火プラグ35による着火時のクランク角θ0から任意のクランク角θまで積算することで、クランク角θ0からθ1までの間に発生した累積熱発生量Qθを算出できる。
【0036】
図2は、微小クランク角dθ毎の熱発生量dQ/dθと、クランク角との関係を示す特性図である。また、図3は、累積熱発生量Qθとクランク角との関係を示す特性図である。図2に示すように、熱発生量dQ/dθは着火時のクランク角θ0から増加し、上死点(TDC)を超えた付近で最大となり、その後、減少する。従って、図3に示す累積熱発生量Qθは、dQ/dθが最大値をとるクランク角近傍までは比較的急激に増加し、その後、緩やかに増加して最終的に最大値Qmaxに到達する。
【0037】
図3に示すように、0〜50%燃焼期間D0−50は、Qmaxの50%が発生するまでのクランク角の区間である。(1)式を積算して累積熱発生量Qθを求めていき、QθとQmaxの50%が等しくなった場合に、θ0−θ間が0〜50%燃焼期間D0−50として求められることになる。
【0038】
クランク角が進行してdQ/dθの値が小さくなると、ノイズ等がdQ/dθの算出値に与える影響が大きくなり、Qallの算出値の精度が低下する。このため、燃焼期間を必要以上に長く設定すると、燃焼期間の算出値の精度が低下することとなる。本実施形態では、Qmaxの50%が発生するまでの燃焼期間D0−50を算出しているため、ノイズ等の影響を最小限に抑えた状態で燃焼期間を精度良く算出することができる。
【0039】
燃焼前の筒内ガス温度が高い場合は、着火により発生した火炎が拡がり易いため、燃焼期間は短くなり、燃焼状態も良好となる。一方、燃焼期間が短すぎると筒内が高温状態となり、ノッキングが発生する。従って、燃焼期間は、ノッキングが発生しない範囲で最も短くすることが望ましい。これにより、ノッキングの発生を抑えた状態で燃焼効率を最大限に高めることができ、燃費を最良の状態にすることができる。ECU40では、運転状態(機関回転数、負荷、バルブタイミングなど)に応じた最適燃焼期間D0−50mapを予め記憶しており、算出した燃焼期間D0−50が最適燃焼期間D0−50mapに到達するように吸入空気温度を制御する。
【0040】
次に、吸入空気温度を算出する方法を説明する。吸入空気温度を算出する際には、吸気弁が閉じるタイミングで筒内圧Pを検出し、また、このタイミングでシリンダ容積Vを算出する。筒内圧P、シリンダ容積Vを求める方法は(1)式の場合と同様である。吸気弁が閉じるタイミング(クランク角)は、内燃機関10の諸元から求めることができる。また、エアフロメータ20の検出値から、筒内への吸入空気量Gaを求める。そして、以下の(2)式に基づいて吸入空気温度Tinを算出する。
【0041】
【数2】
【0042】
(2)式は気体の状態方程式であり、Rはガス定数、Tinは筒内へ流入した吸入空気の温度をそれぞれ示している。(2)式へ筒内圧P、シリンダ容積V、吸入空気量Ga、ガス定数Rを代入することで、吸気弁が閉じるタイミングで筒内へ流入している吸入空気の温度Tinを求めることができる。
【0043】
ECU40では、運転状態(機関回転数、負荷、バルブタイミングなど)に応じた最適吸入空気温度Tmapを予め記憶しており、(2)式から求めた吸入空気温度Tinが最適吸入空気温度Tmapに到達するように制御を行う。
【0044】
次に、算出した燃焼期間D0−50、吸入空気温度Tinに基づいて吸入空気温度を制御する方法を説明する。上述した方法で燃焼期間D0−50、吸入空気温度Tinを算出した後、本実施形態ではEGRクーラー50の冷却効率の変更、または点火時期の変更によって吸入空気温度を制御する。
【0045】
EGRクーラー50による吸気温度制御では、EGRクーラー50を循環する冷却水の水量を変動させることで、EGRクーラー50の冷却効率を可変させる。これにより、EGR管46を流れるEGRガスの温度を制御することができる。そして、EGRガスは吸気通路12へ導入されて吸入空気と混合されるため、EGRガスの温度制御によって吸入空気温度を制御することができる。EGRクーラー50を循環する冷却水量を変動させる具体的な方法としては、EGRクーラー50に設けられた冷却水量制御バルブの開度をECU40からの指示に基づいて変更する方法などが挙げられる。
【0046】
点火時期による吸気温度制御では、点火時期を例えばMBT(Minimum Spark Advance for Best Torque)の前後で可変することで筒内での吸入空気の温度を制御する。点火時期をMBTよりも進角側に設定すると、燃焼ガス温度が低下して、吹き返しガス温度が低下する。従って、筒内での吸入空気温度を低下させる場合は、点火時期を進角側へ可変して吹き返しガス温度を低下させる。これにより、筒内の温度が低下し、筒内へ流入した吸入空気の温度を低下させることができる
【0047】
一方、点火時期をMBTよりも遅角側に設定すると、燃焼ガス温度が上昇して、吹き返しガス温度が上昇する。従って、筒内での吸入空気温度を上昇させる場合は、点火時期を遅角側へ可変して燃焼ガス温度を上昇させる。これにより、筒内の温度が上昇し、筒内へ流入した吸入空気の温度を高めることができる。
【0048】
なお、点火時期と燃焼状態は密接に関係し、点火時期を変更すると燃焼状態、機関出力が変動するため、より好適にはEGRクーラー50側で吸入空気温度を制御することが望ましい。
【0049】
次に、図4のフローチャートに基づいて、本実施形態の制御装置における処理の手順を説明する。図4のフローチャートは、1回の燃焼行程毎に行われる処理を示すものである。
【0050】
先ず、ステップS1では、クランク角センサ38、筒内圧センサ44、エアフロメータ20から、現時点の運転状態におけるクランク角θ、筒内圧P、吸入空気量Gaを計測する。なお、吸気通路12の空気の流れに関する空気モデルを解析する手段を備えている場合は、この空気モデルから吸入空気量Gaを求めてもよい。次のステップS2では、(1)式を積算することで、点火時のクランク角θ0から現在のクランク角θまでに発生した累積熱発生量Qθを算出する。
【0051】
次のステップS3では、ステップS2で算出した累積熱発生量Qθが、累積熱発生量の最大値Qmaxの50%に達しているか否かを判定する。すなわち、ここではQθ≧0.5×Qmaxであるか否かを判定する。この際、最大値Qmaxは前回の燃焼行程の際に算出しておいた値を用いる。ステップS3の判定の結果、Qθ≧0.5×Qmaxのときは、着火時のクランク角θ0から現在のクランク角θまでの区間において、累積熱発生量Qθの最大値Qmaxの50%に相当する熱量が発生していることから、ステップS4へ進んでθ0からθまでの区間を0〜50%燃焼期間D0−50として算出する。一方、ステップS3でQall<0.5×Qmaxのときは、着火時のクランク角θ0から現在のクランク角θまでの累積熱発生量QθがQmaxの50%に達していないため、ステップS1へ戻り、クランク角が更に進んだ状態でステップS1からの処理を再度行う。
【0052】
ステップS4の後、ステップS5では、現在の運転状態(機関回転数、負荷、バルブタイミングなど)をECU40が記憶しているマップに当てはめて、運転状態に応じた最適燃焼期間D0−50mapを求める。
【0053】
次のステップS6では、(2)式に基づいて吸入空気温度Tinを算出する。次のステップS7では、現在の運転状態(機関回転数、負荷、バルブタイミングなど)をECU40が記憶しているマップに当てはめて、最適吸入空気温度Tmapを求める。
【0054】
次のステップS8では、ステップS6で算出した吸入空気温度TinとステップS7で求めた最適吸入空気温度Tmapとを比較し、比較の結果に基づいてステップS9〜S11のいずれかに進む。
【0055】
ステップS8でTin>Tmapの場合はステップS9へ進む。この場合、マップから求めた最適吸入空気温度Tmapよりも実際に算出した吸入空気温度Tinの方が高いため、吸入空気温度を低下させる処理を行う。具体的には、EGRクーラー50の冷却効率を高めてEGRガス温度を低下させたり、点火時期を進角側へ可変して、筒内での吸入空気(未燃ガス)温度を低下させる制御を行う。
【0056】
一方、ステップS8でTin<Tmapの場合はステップS11へ進む。この場合、マップから求めた最適吸入空気温度Tmapよりも実際に算出した吸入空気温度Tinの方が低いため、吸入空気温度を上昇させる処理を行う。具体的には、EGRクーラー50の冷却効率を下げてEGRガス温度を上昇させたり、点火時期を遅角側へ可変して、筒内での吸入空気温度を上昇させる制御を行う。
【0057】
ステップS8でTin=Tmapの場合、吸入空気温度については既に最適な制御が行われている。この場合は、ステップS10へ進み、燃焼期間D0−50が最適値であるか否かを判定する。すなわち、ステップS10では、ステップS4で算出した燃焼期間D0−50とステップS5でマップから求めた最適燃焼期間D0−50mapとを比較し、比較の結果に基づいてステップS9またはS11へ進む。
【0058】
ステップS10でD0−50<D0−50mapの場合はステップS9へ進む。この場合、マップから求めた最適燃焼期間D0−50mapよりも実際に算出した燃焼期間D0−50の方が短いため、筒内温度が高く、筒内の燃焼状態は良好と判別できる。しかし、筒内温度が高くなり過ぎるとノッキングが発生するため、ステップS9で筒内での吸気温度を低下させる処理を行う。
【0059】
一方、ステップS10でD0−50>D0−50mapの場合はステップS11へ進む。この場合、マップから求めた最適燃焼期間D0−50mapよりも実際に算出した燃焼期間D0−50の方が長いため、筒内の燃焼状態が良好でないことが判別できる。従って、ステップS11で筒内での吸気温度を上昇させる処理を行う。
【0060】
ステップS10でD0−50=D0−50mapの場合は、吸入空気温度と燃焼期間の双方が最適化されているため、ステップS10,S11の処理を行うことなく終了する(END)。
【0061】
図4の処理によれば、吸入空気温度Tinが最適吸入空気温度Tmapから外れている場合には、EGRクーラー50の冷却効率、または点火時期を変更するようにしたため、吸入空気温度を最適値に制御することが可能となる。また、筒内へ流入した吸入空気の温度が最適化された場合であっても、燃焼前の筒内ガス温度は筒内壁面からの受熱によって変動するため、筒内壁温によっては燃焼期間D0−50が最適化されない場合も生じる。図4の処理では、吸入空気温度Tinが最適吸入空気温度Tmapに達している場合であっても、燃焼期間D0−50が最適燃焼期間D0−50mapに達していない場合は、燃焼期間を最適化する処理(ステップS10)を行うため、筒内壁温の変動などの外乱が生じた場合であっても燃焼期間を確実に最適値に制御することが可能となる。特に、始動直後に機関が暖機されていく過程、または、降坂時のフューエルカット時などには、筒内温度が通常時よりも低くなるため、筒内へ流入した吸入空気の温度が最適化された場合であっても、筒内壁面からの受熱の要因によって燃焼期間が最適化されない場合が生じ得る。本実施形態のように、吸入空気温度Tinと燃焼期間D0−50の双方が最適値となるように制御を行うことで、筒内壁温の変動要因が存在する場合であっても燃焼状態を常に最適に維持することが可能となる。また、吸入空気温度Tinと燃焼期間D0−50の双方が最適値となるように制御を行うことで、2つの目標値に基づいた制御が可能となるため、燃焼状態を最適化するまでに要する時間を短縮することも可能となる。
【0062】
なお、吸入空気温度Tinと燃焼期間D0−50のいずれか一方を最適値とするように処理を行っても良い。これにより、処理を簡略化することができ、燃焼状態を最適に制御することが可能となる。
【0063】
また、上述のステップS3では、最大値Qmaxとして前回の燃焼行程の際に算出しておいた値を用いることとしたが、図4の処理が行われている燃焼行程での燃焼が終了するまで待機して最大値Qmaxを算出し、この最大値Qmaxを用いてステップS3の処理を行うこととしても良い。これにより、燃焼時に算出された最大値Qmaxに基づいて燃焼期間を算出できるため、運転条件、燃焼状態が過渡的に変化している場合であっても、燃焼期間を精度良く求めることが可能となる。
【0064】
また、上述のステップS8における判定では、TinとTmapの差の絶対値が所定値以下となった場合にステップS10へ進むこととしても良い。例えば、最適吸気温度Tmapの上限値Tmap+α、下限値Tmap−αを設定し、|Tin−Tmap|≦αの場合にステップS10へ進み、|Tin−Tmap|>αの場合にステップS11へ進み、|Tin−Tmap|<αの場合にステップS12へ進むこととしても良い。これにより、燃焼状態が最適化されるまでの処理の反復回数を低減することができる。同様に、ステップS10においても、D0−50とD0−50mapの差の絶対値が所定値以下となった場合に処理を終了することとしても良い。
【0065】
以上説明したように実施の形態1によれば、筒内圧P、シリンダ容積V、吸入空気量Gaに基づいて吸入空気温度Tinを算出し、吸入空気温度Tinに基づいてEGRクーラー50の冷却効率、または点火時期を制御するようにしたため、吸入空気温度Tinを常に最適値に制御することが可能となる。
【0066】
また、筒内圧P、シリンダ容積Vに基づいて燃焼期間D0−50を算出し、燃焼期間D0−50に基づいてEGRクーラー50の冷却効率、または点火時期を制御するようにしたため、燃焼期間D0−50を常に最適値に制御することが可能となる。
【0067】
これにより、筒内の燃焼状態を常に最適な状態に維持することが可能となり、燃焼効率、および燃費を向上させることが可能となり、また、ノッキングの発生を抑止することが可能となる。
【0068】
また、吸入空気温度を最適値に維持することができるため、吸気ポートの温度を一定に保つことができる。これにより、吸気ポートへの燃料付着量が常に一定に保たれ、吸気ポートの壁面からの燃料蒸発量が一定となる。従って、吸気ポート壁面の燃料蒸発量の変動に起因して、筒内へ流入する燃料量が変動してしまうことを抑止でき、筒内へ流入する燃料量を高い精度で制御することが可能となる。
【0069】
なお、実施の形態1では0〜50%燃焼期間D0−50に基づいて制御を行う例を示したが、0〜90%燃焼期間など他の燃焼期間に基づいて制御を行っても良い。また、10〜50%、10〜90%燃焼期間などのように、着火から所定期間を経過した後の燃焼期間を用いても良い。これにより、着火時における燃焼バラツキを排除して燃焼期間を算出することができる。
【0070】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2は、実施の形態1と同様に燃焼期間に基づいて制御を行うものであるが、燃焼期間の算出方法と、吸入空気温度の制御方法が実施の形態1と相違する。
【0071】
図5は、実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための図である。図5に示すように、吸気通路12と、クランク軸36が収納されたクランクケース54とは、ブローバイガス管56によって接続されている。そして、ブローバイバス管56にはPCVバルブ58が設けられ、PCVバルブ58はECU40と接続されている。図5におけるその他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0072】
シリンダ32とピストン34の間の隙間を通ってクランクケース54へ漏れ出た未燃ガス(ブローバイガス)は、ブローバイガス管56を経由して吸気通路12へ戻される。この際、PCVバルブ58は、吸気通路12へ戻されるブローバイガスの量を調整する。このように、実施の形態2では、ブローバイガス管56とPCVバルブ58とからブローバイガス還元手段が構成されている。
【0073】
吸気通路12へ送られたブローバイガスは、吸気通路12を流れる吸入空気と混合される。この際、クランクケース54内のブローバイガスは高温であるため、吸気通路12へ送るブローバイガスの量を調整することで、吸気通路12を流れる吸入空気の温度を調整することが可能となる。従って、図5のシステムによれば、PCVバルブ58によるブローバイガス量を調整により、吸入空気温度を制御することができる。
【0074】
次に、実施の形態2における燃焼期間の算出方法について説明する。実施の形態2では、筒内へ送られた燃料の低位発熱量と、燃焼割合とに基づいて0〜10%燃焼期間を算出する。以下に示す(3)式は、燃料の低位発熱量Qfuelと、0〜10%燃焼期間における熱発生量Q0−10と、燃焼割合xbとの関係を示す式である。
【0075】
【数3】
【0076】
(3)式に示されるように、燃焼割合xbは、熱発生量Q0−10と燃料の低位発熱量Qfuelとの比である。本実施形態では0〜10%燃焼期間を算出するため、燃焼割合xbを予め10%(=0.1)に設定しておく。また、筒内へ噴射された燃料の低位発熱量Qfuelは、燃料噴射弁30による燃料噴射量と、燃料の物性値とから定められる。従って、(3)式によれば、Qfuelの10%に相当する発熱量Q0−10が算出される。
【0077】
そして、Qfuelは筒内へ噴射した燃料が完全に燃焼した場合に発生する熱量であるため、Qfuelの10%に相当する発熱量Q0−10は、0〜10%燃焼期間に発生した熱量に相当することとなる。
【0078】
一方、着火時のクランク角θ0から任意のクランク角θまでの期間に発生する発熱量Qθは、実施の形態1と同様にして以下の(4)式から算出される。(4)式は、(1)式をクランク角θで積分したものである。実施の形態1と同様に、(4)式に基づいて、着火時のクランク角θ0から任意のクランク角θまでの積分値を算出することで、θ0からθまでの期間に発生した発熱量を算出することができる。
【0079】
【数4】
【0080】
そして、(4)式から算出した発熱量Qθと(3)式から算出された発熱量Q0−10とが等しくなった場合に、θ0−θ間が0〜10%燃焼期間D0−10として求められることになる。
【0081】
算出された0〜10燃焼期間D0−10は、実施の形態1と同様に燃焼期間の目標値と比較される。0〜10%燃焼期間D0−10が目標値よりも大きい場合は、燃焼状態が良好でないと判断できるため、PCVバルブ58の開度を大きくしてより多くのブローバイガスを吸気通路12へ送り込む。これにより、高温のブローバイガスと吸入空気とが混合され、吸入空気温度を上昇させることができる。従って、筒内の温度を上昇させて燃焼状態を良好にすることが可能となる。
【0082】
一方、燃焼期間D0−10が目標値以下の場合は、燃焼期間が短く、燃焼状態が良好と考えられるため、ブローバイガス還元手段による吸入空気温度の調整は特に行う必要はない。従って、この場合はPCVバルブ58の開度を小さくし、またはPCVバルブ58を閉じて、通常の制御を行う。
【0083】
次に、図6のフローチャートに基づいて、本実施形態の制御装置における処理の手順を説明する。図6のフローチャートは、1回の燃焼行程毎に行われる処理を示すものである。先ず、ステップS21では、クランク角センサ38、筒内圧センサ44から、現時点の運転状態におけるクランク角θ、筒内圧Pを計測する。次のステップS22では、燃料噴射弁30による筒内への燃料噴射量を求め、燃料の物性値に基づいて低位発熱量Qfuelを求める。
【0084】
次のステップS23では、(3)式に基づいて、燃料の低位発熱量Qfuelと燃焼割合xb(=0.1)とから、0〜10%燃焼期間の間に発生する熱発生量Q0−10を算出する。次のステップS24では、(4)式に基づいて、着火時のクランク角θ0から現在のクランク角θまでに発生した熱発生量Qθを算出する。
【0085】
次のステップS25では、ステップS24で算出した熱発生量Qθが、0〜10%燃焼期間の間に発生する熱発生量Q0−10に達しているか否かを判定する。すなわち、ここではQθ≧Q0−10であるか否かを判定する。ステップS25でQθ≧Q0−10の場合は、θ0からθまでのクランク角の区間において、燃料の低位発熱量Qfuelの10%に相当する熱量が発生していることから、ステップS26へ進んでθ0からθまでの区間を0〜10%燃焼期間D0−10として算出する。一方、ステップS25でQθ<Q0−10の場合は、Qθが低位発熱量Qfuelの10%に達していないため、ステップS21へ戻り、クランク角が更に進んだ状態でステップS21からの処理を再度行う。
【0086】
ステップS26の後はステップS27へ進み、現在の運転状態(機関回転数、負荷、バルブタイミングなど)を取得する。次のステップS28では、ステップS27で取得した運転状態をECU40が予め記憶しているマップに当てはめて、運転状態に応じた燃焼期間の許容上限値D0−10 mapを求める。ここで、許容上限値D0−10 mapは燃焼期間に基づいて燃焼状態を判定する際のしきい値であり、燃焼期間が許容上限値D0−10 map以下の場合は燃焼状態が良好となる。
【0087】
次のステップS29では、ステップS26で算出された燃焼期間D0−10と、ステップS27でマップから求めた許容上限値D0−10mapの大小関係を比較する。すなわち、ここではD0−10>D0−10mapであるか否かを判定する。
【0088】
ステップS29でD0−10>D0−10mapの場合は、燃焼期間D0−1 0が許容上限値D0−10mapを超えているため、ステップS30へ進んでPCVバルブ58を開弁する。これにより、クランクケース54内の高温のブローバイガスが吸気通路12へ送られ、吸入空気が加熱される。従って、筒内ガス温度が高められ、燃焼状態が良好となる。
【0089】
一方、ステップS29でD0−10≦D0−10mapの場合は、ステップS31へ進む。ステップS31では、(4)式に基づいて熱発生量の最大値Qmaxを算出する。熱発生量の最大値Qmaxは燃焼が終了するまでに発生した総熱量であり、(4)式を点火時のクランク角θ0から燃焼が終了したクランク角θENDまで積算することで算出される。従って、ステップS31の処理を行う際には、燃焼工程が終了するまで待機し、クランク角θEND、およびクランク角θENDにおける筒内圧Pを検出しておく。
【0090】
次のステップS32では、ステップS31で算出したQmaxと燃料の低位発熱量Qfuelとから、燃焼割合xbの最大値xbmaxを算出する。xbmaxは、以下の(5)式から算出する。
【0091】
【数5】
【0092】
次のステップS33では、燃焼割合の許容最小値xbmをマップから取得する。ここで、許容最小値xbmは失火を判定する際のしきい値であり、燃焼割合が許容最小値xbm以下の場合は失火判定が行われる。ECU40は、運転状態(機関回転数、負荷、バルブタイミングなど)に応じた燃焼割合の許容最小値xbmを規定したマップを記憶しており、このマップに基づいて許容最小値xbmを取得する。
【0093】
次のステップS34では、ステップS32で算出した燃焼割合xbの最大値xbmaxとステップS33でマップから求めた許容最小値xbmとの大小関係を比較する。すなわち、ここではxbmax<xbmであるか否かを判定する。ステップS34でxbmax<xbmの場合は、筒内へ噴射された燃料が燃焼した割合が許容値よりも小さく、失火している場合が想定される。従って、ステップS30へ進んでPCVバルブ58を開弁し、吸入空気を加熱する。これにより、失火の発生を回避することができる。
【0094】
一方、ステップS34でxbmax≧xbmの場合は、失火が生じていないと判断できる。また、ステップS29でD0−10<D0−10MAPと判定されているため、燃焼期間D0−10が許容上限値D0−10map以下であり、燃焼状態は良好である。従って、PCVバルブ58を開弁することなく処理を終了する(END)。
【0095】
上述の処理では、ステップS29で燃焼期間D0−10が許容値よりも短いと判定された場合であっても、失火に起因して燃焼期間が短くなっている場合が想定されるため、ステップS31〜S34で失火判定を行うようにしている。そして、ステップS34において、失火に起因して燃焼期間が短くなっていることが判定された場合は、ステップS30でPCVバルブ58が開弁されて吸入空気が加熱される。従って、以後の失火発生を確実に抑止することができる。
【0096】
なお、上述の例では燃焼期間に基づいてPCVバルブ58を制御する方法を示したが、クランク軸36に発生するトルクを車速、加速度、供給燃料量から求め、このトルクが単位燃料当たり最大となるようにPCVバルブ58を制御しても良い。例えば、以下の(6)式に基づいて、吸入空気量Gaを一定とした条件で図示平均有効圧力(IMEP)を求め、IMEPが最大となるようにPCVバルブ58を制御しても良い。(6)式は1行程(クランク角0〜720°)におけるIMEPの算出式であって、Pは筒内圧センサ44から検出した筒内圧、V0は筒内行程容積を示している。
【0097】
【数6】
【0098】
また、定常運転時、(6)式から算出した行程毎のIMEPの変動が最小となるようにPCVバルブ58を制御しても良い。
【0099】
以上説明したように実施の形態2によれば、燃焼期間D0−10が許容上限値D0−10mapよりも長い場合には、PCVバルブ58を開弁して吸入空気温度を上昇させるようにしたため、筒内温度を上昇させて燃焼状態を良好に維持することが可能となる。
【0100】
また、燃焼期間が許容上限値D0−10mapより短い場合であっても、失火に起因して燃焼期間が短くなっている場合には、PCVバルブ58を開弁して吸入空気温度を上昇させるようにしたため、失火の発生を抑止することが可能となる。
【0101】
また、燃料の低位発熱量Qfuelから燃焼による総熱量を算出するようにしたため、筒内での燃焼が不完全で燃え残りが生じた場合であっても、燃焼により発生すべき総熱量を算出することができる。
【0102】
また、燃料の低位発熱量Qfuelから燃焼により発生した総熱量を算出するようにしたため、前回の燃焼行程を参照することなく燃焼により発生する総熱量を求めることができる。これにより、運転条件、燃焼状態が過渡的に変化している場合であっても、燃焼により発生する総熱量を正確に求めることができ、燃焼期間を精度良く算出することが可能となる。
【0103】
なお、上述した実施の形態1において、吸入空気温度を制御する手段としてPCVバルブ58による制御を行っても良い。同様に、実施の形態2において、吸入空気温度を制御する手段として、EGRガス、点火時期による制御を行っても良い。
【0104】
また、実施の形態1では、吸入空気温度Tinの算出値に基づいて、EGRガス、点火次期を制御することとしたが、実際に計測した吸入空気温度に基づいて制御を行っても良い。同様に、実施の形態2においても、実際に計測した吸入空気温度に基づいてPCVバルブ58を制御しても良い。
【0105】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0106】
第1の発明によれば、筒内の燃焼期間に基づいて吸入空気温度を制御するようにしたため、筒内の燃焼状態を常に最適な状態にすることが可能となる。従って、燃費を向上させることができ、また、ノッキングの発生を抑止することが可能となる。
【0107】
第2の発明によれば、クランク角から算出した筒内容積と筒内圧とに基づいて燃焼期間を正確に算出することが可能となる。
【0108】
第3の発明によれば、筒内圧、吸入空気量及び筒内容積に基づいて筒内へ送られた吸入空気の温度を算出するようにしたため、燃焼期間と筒内へ送られた吸入空気の温度とに基づいて吸入空気温度を最適に制御することが可能となる。
【0109】
第4の発明によれば、燃焼により発生する総熱量のうちの所定の熱量が発生する間の燃焼期間を算出するようにしたため、最適な燃焼期間に基づいて吸入空気温度を制御することが可能となる。
【0110】
第5の発明によれば、筒内へ送られる燃料の低位発熱量に基づいて、燃焼により発生する総熱量を算出するようにしたため、総熱量を高い精度で算出することが可能となる。
【0111】
第6の発明によれば、筒内圧、吸入空気量及び筒内容積に基づいて筒内へ送られた吸入空気の温度を算出するようにしたため、筒内へ送られた吸入空気の温度に基づいて吸入空気温度を最適に制御することが可能となる。従って、筒内の燃焼状態を常に最適な状態にすることが可能となり、燃費を向上させるとともに、ノッキングの発生を抑止することが可能となる。
【0112】
第7の発明によれば、排気ガス再循環手段により吸気通路へ送られる排気ガスの温度を調整するようにしたため、吸入空気温度を確実に制御することが可能となる。
【0113】
第8の発明によれば、ブローバイガス還元手段により吸気通路へ送られるブローバイガスの量を調整するようにしたため、吸入空気温度を確実に制御することが可能となる。
【0114】
第9の発明によれば、点火時期を調節することにより、吸入空気温度を確実に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための模式図である。
【図2】微小クランク角dθ毎の熱発生量dQ/dθと、クランク角θとの関係を示す特性図である。
【図3】累積熱発生量Qallとクランク角θとの関係を示す特性図である。
【図4】実施の形態1の制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置及びその周辺の構造を説明するための模式図である。
【図6】実施の形態2の制御装置における処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
20 エアフロメータ
38 クランク角センサ
40 ECU
44 筒内圧センサ
46 EGR管
50 EGRクーラー
56 ブローバイガス管
58 PCVバルブ
Claims (9)
- 筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、
前記筒内圧に基づいて筒内での燃焼期間を算出する燃焼期間算出手段と、
前記燃焼期間に基づいて吸入空気温度を制御する吸入空気温度制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - クランク角を取得するクランク角取得手段と、
前記クランク角に基づいて筒内容積を算出する筒内容積算出手段と、を更に備え、
前記燃焼期間算出手段は、前記筒内圧及び前記筒内容積に基づいて前記燃焼期間を算出することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 吸入空気量を取得する吸入空気量取得手段と、
クランク角を取得するクランク角取得手段と、
前記クランク角に基づいて筒内容積を算出する筒内容積算出手段と、
前記筒内圧、前記吸入空気量及び前記筒内容積に基づいて筒内へ送られた吸入空気の温度を算出する吸入空気温度算出手段と、を更に備え、
前記吸入空気温度制御手段は、前記燃焼期間及び筒内へ送られた前記吸入空気の温度に基づいて前記吸入空気温度を制御することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃焼期間算出手段は、燃焼により発生する総熱量を算出する総熱量算出手段を含み、前記総熱量のうちの所定の熱量が発生する間の前記燃焼期間を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記総熱量算出手段は、筒内へ送られる燃料の低位発熱量に基づいて前記総熱量を算出することを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
- 筒内圧を取得する筒内圧取得手段と、
クランク角を取得するクランク角取得手段と、
前記クランク角に基づいて筒内容積を算出する筒内容積算出手段と、
吸入空気量を取得する吸入空気量取得手段と、
前記筒内圧、前記筒内容積及び前記吸入空気量に基づいて筒内へ送られた吸入空気の温度を算出する吸入空気温度算出手段と、
筒内へ送られた前記吸入空気の温度に基づいて吸入空気温度を制御する吸入空気温度制御手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記吸入空気温度制御手段は、排気ガスを吸気通路へ送る排気ガス再循環手段と、
吸気通路へ送られる前記排気ガスの温度を調整する手段と、
を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸気温度制御手段は、ブローバイガスを吸気通路へ送るブローバイガス還元手段と、
吸気通路へ送られる前記ブローバイガスの量を調整する手段と、
を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸気温度制御手段は、点火時期を調節する点火時期調節手段を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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