JP2004257049A - 補強帯 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】横断面をみたとき中央部から両側端縁に向かって厚みが漸減している貼付面1を有する補強帯。
【効果】補強帯は、横断面をみたとき中央部から両側端縁に向かって厚みが漸減している貼付面を有しているので、構造物への貼付に際して補強帯を構造物に押しつけたときに接着剤が補強帯の中央部から両側端縁に向かって流動し、その移動に伴って接着剤中の気泡が押し出されるので、接着剤中に残存する気泡が少なくなり、接着強度が向上するようになる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物や木造構造物等の構造物を補強するのに好適な補強帯に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木や建築の分野において、既存のコンクリート構造物や木造構造物、鉄鋼構造物等の構造物の補強に、補強帯を構造物に貼り付ける工法が採られている。補強帯としては、鉄板が最も一般的で、これを補強したい構造物の部位に溶接したりボルト等で固定したりすることによって補強しているが、近年、軽量で現場施工性に優れ、しかも、錆びることのない、FRP(繊維強化プラスチック)製の補強帯が多用されるようになってきた。
【0003】
そのようなFRP製の補強帯は、一様な厚みの帯状体として構成され、施工現場で適当な長さに裁断し、接着剤を塗布し、補強したい構造物の部位に押しつけて貼り付けている。ところが、特に接着剤の粘度が高い場合、接着剤に気泡が残存し、接着強度が低下することがある。
【0004】
そこで、接着剤を、補強帯の横断面でみたとき、接着剤の厚みが補強帯の幅方向中央部から両側端縁に向かって漸減するように蒲鉾形に塗布し、補強帯を構造物に押しつけたときに補強帯の中央部から両側端縁に向かって接着剤を流動させて気泡を押し出しながら貼り付ける方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法によれば、接着剤中に残存する気泡が少なくなり、接着強度が向上する。しかしながら、接着剤を蒲鉾形に塗布するためには施工現場に特殊な塗布装置を設置しなければならず、施工コストが高くなる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−225364号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、構造物に貼り付けるときに接着剤中の気泡を逃がすことができ、接着強度を向上させることができる補強板を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、横断面をみたとき中央部から両側端縁に向かって厚みが漸減している貼付面を有することを特徴とする補強帯を提供する。
【0008】
補強帯は、横断面が、たとえば蒲鉾形、屋根形をしている。最大厚みと最小厚みとの差が最大厚みの20〜50%の範囲内にあるのが好ましく、また、幅は25〜200mmの範囲内にあるのが好ましい。補強帯は、FRPからなるものであるのが好ましいが、そのようなFRP製補強帯は引抜成形によって容易に得ることができる。
【0009】
本発明の補強帯は、それを既存のコンクリート構造物、木造構造物、鉄鋼構造物等の補強したい部位に貼り付けることでそれら構造物を補強することができるが、補強に際しては、構造物の補強面および/または補強帯の貼付面に接着剤を塗布し、補強帯の中央部から両側端縁に向かって接着剤を流動させながら補強帯を構造物に貼り付けるようにする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の補強帯は、図1、図2に示すように、横断面をみたとき、中央部から両側端縁に向かって厚みが漸減している貼付面1を有する。図1に示すものは横断面が蒲鉾形をしており、したがって、貼付面1は曲面を構成している。また、図2に示すものは横断面が屋根形をしており、したがって、貼付面1は中央部から各側端縁に向かう平面を構成している。貼付面をこのような形状にすることにより、構造物への貼付に際して補強帯を構造物に押しつけたときに接着剤が補強帯の中央部から両側端縁に向かって流動し、その移動に伴って接着剤中の気泡が押し出されるので、接着剤中に残存する気泡が少なくなり、接着強度が向上するようになる。なお、貼付面に、エンボス加工や筋等の、いわゆる目粗し加工を施しておくと、接着力が向上する場合もある。
【0011】
上記において、補強帯は、鋼等の金属製とすることもできるが、軽量で現場施工性に優れ、しかも、決して錆びることのない、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の高強度、高弾性率繊維を強化繊維とし、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂をマトリクスとするFRPからなるものであるのが好ましい。なかでも、比強度、比弾性率に優れる炭素繊維と、耐候性や接着性に優れるエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂との組み合わせが好ましい。なお、マトリクス樹脂としては、使用環境によっては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【0012】
そのようなFRP製補強帯は、周知の引抜成形機を用い、強化繊維のストランドや、織物等の布帛のテープをマトリクス樹脂とともに引き抜く、すなわち、引抜成形によって容易に得ることができる。異なる強化繊維のハイブリッド構成とすることもできるし、ストランドと織物等の布帛とのハイブリッド構成とすることもできる。なお、引抜成形にあたっては、強化繊維の体積含有率が40〜80%の範囲内になるようにするのが好ましい。40%を下回ると、強化繊維がもつ特性を十分に発現できないことがある。また、80%を超えると、成形中にダイを通過中の強化繊維が上下左右に移動しやすくなり、強化繊維の分布が乱れて強化繊維の使用量に見合う引張強度の補強帯が得られない場合がある。
【0013】
補強帯は、最大厚みと最小厚みとの差が最大厚みの20〜50%の範囲内にあるのが好ましい。これが20%よりも低いと、補強帯が平板に近いものとなって気泡の押出効果を十分に得られないことがある。また、50%よりも高くなると、補強帯の曲げ剛性が大きくなり、補強帯をロール状に巻きずらくなる。そのため、施工現場への運搬がやっかいになる。また、仮にロール状に巻けたとしても、施工現場で解舒する際に先端が跳ね上がったりして危険なことがある。
【0014】
また、補強帯は、幅があまり小さいと貼付本数を多くする必要がでてくるし、あまり大きくなると人手による貼付が難しくなるので、25〜200mmの範囲内とするのが好ましい。
【0015】
上述したような補強帯によるコンクリート構造物、木造構造物、鉄鋼構造物等の構造物の補強は、次のようにして行う。
【0016】
すなわち、補強したい構造物の面か、補強帯の貼付面か、またはそれら双方の面に接着剤を塗布した後、補強帯を構造物に押しつけ、補強帯の中央部から両側端縁に向かって接着剤を流動させながら構造物に貼り付ける。
【0017】
【実施例および比較例】
実施例1:
炭素繊維のストランドとBステージのエポキシ樹脂とを用い、引抜成形によって図1に示すような補強帯を得た。
【0018】
この補強帯は、炭素繊維の体積含有率が67%であった。また、幅は50mm、貼付面の曲率半径は500mm、横断面積は100mm2、最大厚みは2.21mm、最小厚みは1.58mmであった。最大厚みと最小厚みとの差は、最大厚みの28%となる。
【0019】
得られた補強帯を、長さ50m分について直径1.5mのロール状に巻き取り、4か所をバンドで緊締してから、運搬時の巻姿の崩れや解舒性の良否を確認したが、特に問題はなかった。
【0020】
次に、上記補強帯を長さ30cmに切断し、エポキシ系の接着剤を用いてコンクリート板に接着した。接着は、補強帯とコンクリート板の双方に接着剤をそれぞれ約2mm厚みになるように塗布した後、補強帯を人手で底当たり感がでるまでコンクリート板に押しつけ、補強帯の両側端からはみ出る余分な接着剤をへらで掻き取りながら行った。
【0021】
2週間の養生の後、鏨を用いてコンクリート面から補強帯を剥がし、接着面を露出させて気泡の有無を目視により観察し、接着面積に対する気泡面積の総和を求めたところ、3%であった。
【0022】
また、補強帯の上にエポキシ系接着剤を用いて4cm角の接着面を有する治具を接着し、治具の外周縁に沿って補強帯にコンクリート面に達する切り込みを入れた後、引張試験機を用いて治具を垂直方向に引っ張り、治具または補強帯が剥離するときの最大引張力を測定し、そのときの値を治具の面積(接着面の面積)で割って接着強度を測定した。また、剥離の形態を観察した。接着強度は、n数が5のとき2.15〜5.78N/mm2の範囲にあった。また、剥離はすべてコンクリート板の破壊であった。
実施例2:
炭素繊維のストランドとBステージのエポキシ樹脂とを用い、引抜成形によって図2に示すような補強帯を得た。
【0023】
この補強帯は、炭素繊維の体積含有率が67%であった。また、幅は50mm、横断面積は100mm2、最大厚みは2.3mm、最小厚みは1.7mmであった。最大厚みと最小厚みとの差は、最大厚みの26%となる。
【0024】
得られた補強帯を、長さ50m分について直径1.5mのロール状に巻き取り、4か所をバンドで緊締してから、運搬時の巻姿の崩れや解舒性の良否を確認したが、特に問題はなかった。
【0025】
次に、上記補強帯を長さ30cmに切断し、エポキシ系の接着剤を用いてコンクリート板に接着した。接着は、補強帯とコンクリート板の双方に接着剤をそれぞれ約2mm厚みになるように塗布した後、補強帯を人手で底当たり感がでるまでコンクリート板に押しつけ、補強帯の両側端からはみ出る余分な接着剤をへらで掻き取りながら行った。
【0026】
実施例1と同様に測定した気泡面積の総和は、8%であった。また、実施例1と同様に測定した接着強度は1.21〜5.66N/mm2の範囲にあった。剥離は、1か所については補強帯とコンクリート板との接着面で生じたが、他の4か所はコンクリート板の破壊であった。
比較例:
炭素繊維のストランドとBステージのエポキシ樹脂とを用い、引抜成形によって一様な厚みの補強帯を得た。
【0027】
この補強帯は、炭素繊維の体積含有率が67%であった。また、幅は50mm、横断面積は100mm2、厚みは2mmであった。
【0028】
得られた補強帯を、長さ50m分について直径1.5mのロール状に巻き取り、4か所をバンドで緊締してから、運搬時の巻姿の崩れや解舒性の良否を確認したが、特に問題はなかった。
【0029】
次に、上記補強帯を長さ30cmに切断し、エポキシ系の接着剤を用いてコンクリート板に接着した。接着は、補強帯とコンクリート板の双方に接着剤をそれぞれ約2mm厚みになるように塗布した後、補強帯を人手で底当たり感がでるまでコンクリート板に押しつけ、補強帯の両側端からはみ出る余分な接着剤をへらで掻き取りながら行った。
【0030】
実施例1と同様に測定した気泡面積の総和は、23%であった。また、実施例1と同様に測定した接着強度は0.63〜3.17N/mm2の範囲にあった。剥離は、3か所については補強帯とコンクリート板との接着面で生じたが、他の2か所はコンクリート板の破壊であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の補強帯は、横断面をみたとき中央部から両側端縁に向かって厚みが漸減している貼付面を有しているので、構造物への貼付に際して補強帯を構造物に押しつけたときに接着剤が補強帯の中央部から両側端縁に向かって流動し、その移動に伴って接着剤中の気泡が押し出されるので、接着剤中に残存する気泡が少なくなり、接着強度が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態に係る補強帯の概略斜視図である。
【図2】本発明の他の形態に係る補強帯の概略斜視図である。
【符号の説明】
1:貼付面
Claims (7)
- 横断面をみたとき中央部から両側端縁に向かって厚みが漸減している貼付面を有することを特徴とする補強帯。
- 横断面が蒲鉾形をしている、請求項1に記載の補強帯。
- 横断面が屋根形をしている、請求項1に記載の補強帯。
- 最大厚みと最小厚みとの差が最大厚みの20〜50%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の補強帯。
- 幅が25〜200mmの範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載の補強帯。
- 繊維強化プラスチックの引抜成形品からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の補強帯。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の補強帯を用いて構造物を補強するに際し、構造物の補強面および/または補強帯の貼付面に接着剤を塗布し、補強帯の中央部から両側端縁に向かって接着剤を流動させながら補強帯を構造物に貼り付けることを特徴とする構造物の補強方法。
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JP2003047013A JP4079007B2 (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 構造物の補強方法 |
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US8990451B2 (en) | 2009-12-01 | 2015-03-24 | Bull Sas | Controller for direct access to a memory for the direct transfer of data between memories of several peripheral devices, method and computer program enabling the implementation of such a controller |
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2003
- 2003-02-25 JP JP2003047013A patent/JP4079007B2/ja not_active Expired - Fee Related
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