JP2004256883A - 疎水性防錆剤用溶剤、防錆組成物及び防錆処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境特性、衛生面、安全性等の問題のない、疎水性防錆剤用溶剤、これを用いた防錆組成物及び該組成物を用いた防錆処理方法を提供すること。
【解決手段】一般式
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜4の低級アルキル基を、R2はメチル基又は水素原子を、nは1〜3の整数を示す。)で表されるグリコール類、或いは該グリコール類と親水性アルコール又は/及び疎水性アルコールとの混合物である沸点250℃以下の水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%からなる疎水性防錆剤用溶剤、該疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有する防錆組成物、並びに該防錆組成物を金属製物品に塗布する防錆処理方法。
【選択図】なし。
【解決手段】一般式
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜4の低級アルキル基を、R2はメチル基又は水素原子を、nは1〜3の整数を示す。)で表されるグリコール類、或いは該グリコール類と親水性アルコール又は/及び疎水性アルコールとの混合物である沸点250℃以下の水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%からなる疎水性防錆剤用溶剤、該疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有する防錆組成物、並びに該防錆組成物を金属製物品に塗布する防錆処理方法。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疎水性防錆剤用溶剤、防錆組成物及び防錆処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種金属製物品の防錆処理においては、揮発性溶剤に防錆剤を溶解させ、濃度、粘度等を調整した塗布液を、シャワー、浸漬、噴流などの方法で塗布し、揮発性溶剤を揮発させて、該物品の金属表面を防錆剤被膜で被覆し、形成された防錆剤被膜によって、金属表面の空気や水との接触を遮断することにより、防錆効果を発現、維持させている。
【0003】
上記防錆処理に用いられる防錆剤として、水溶性防錆剤は、金属表面に形成された防錆剤被膜が水に溶解して流失し易く、防錆効果が早期に劣化しその維持できる時間が短いという欠点があるため、防錆効果をより長く維持させる手段として、通常、かかる欠点のない疎水性防錆剤が用いられている。
【0004】
従来、疎水性防錆剤に用いられる揮発性溶剤としては、該防錆剤の溶解性に優れ且つ不燃性であるフロン類が広く用いられていたが、各種規制により使用が制限されるようになったため、最近では類似の性質を有するトリクロロエチレン、パークロロエチレン、塩化メチレン等の塩素系溶剤や、臭素系溶剤などが用いられるようになっている。
【0005】
しかし、上記塩素系溶剤等は、オゾン層破壊、VOC規制、土壌汚染などの環境問題、又人体に対する毒性などの点で、現在では、部品の洗浄用途などでは使用が制限されつつあり、近い将来防錆処理用途でも使用が制限されるようになると推測される。
【0006】
また、塩素系溶剤等の代わりに、炭化水素系溶剤等を使用することも考えられるが、引火性が高いため、製造装置の防爆仕様が必要となり、又指定数量等の制限がある等の問題や、環境特性の問題があるため利点が少ない。
【0007】
一方、防錆処理を疎水性防錆剤の水性液で行うことができれば、環境面、衛生面等から、塩素系溶剤、炭化水素系溶剤等の溶剤に比べて有利な面が多く、代替の検討も行われているが、疎水性防錆剤は、石油系の溶剤には溶解するが、水にはほとんど溶けないため防錆処理対象物への塗布が困難である。機械的な処理によって防錆剤を水に分散させた状態(エマルジョン)にしても、防錆剤塗布量の調整、防錆膜厚の調整が困難である。界面活性剤などを用いて化学的に防錆剤を水に均一に分散させることはできるが、界面活性剤等の防錆剤以外の不揮発性成分が残存すると防錆性能に悪影響を及ぼす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した環境特性、衛生面、安全性等の問題を解消し得る、疎水性防錆剤用溶剤、これを用いた防錆組成物及び該組成物を用いた防錆処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の現状に鑑みて、疎水性防錆剤を溶解できる水系の溶剤、これを用いた水性の防錆組成物及び該組成物を用いた防錆処理方法を開発すべく、鋭意研究した。その結果、特定の水溶性有機溶剤と水とを特定割合で混合した溶剤によれば、疎水性防錆剤を十分に溶解できること、該溶剤に疎水性防錆剤を溶解させた防錆組成物により、金属製物品の防錆処理を好適に実施できること等を見出した。
【0010】
本発明は、かかる新たな諸知見に基づき、更に種々検討した結果、完成されたものである。
【0011】
本発明は、以下の疎水性防錆剤用溶剤、これを用いた防錆組成物、該組成物を用いた防錆処理方法及び該方法により防錆処理された金属製物品を提供するものである。
【0012】
1.一般式
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、R1は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。R2はメチル基又は水素原子を示す。nは1〜3の整数を示す。)で表されるグリコール類であるか、或いは該グリコール類と親水性アルコール又は/及び疎水性アルコールとの混合物である沸点250℃以下の水溶性有機溶剤及び水からなり、該水溶性有機溶剤及び水の割合が、両者の合計量に対して、該水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%である疎水性防錆剤用溶剤。
【0015】
2.一般式(I)のグリコール類が、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下のものである上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0016】
3.親水性アルコールが、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下のものである上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0017】
4.疎水性アルコールが、20℃の水に対する溶解度10重量%以下、沸点250℃以下のものである上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0018】
5.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも2種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0019】
6.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類2種の混合物であり、その混合割合が、一方のグリコール類100重量部に対して、他方のグリコール類5〜2,000重量部の範囲である上記項5に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0020】
7.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び親水性アルコールの少なくとも1種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0021】
8.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種と親水性アルコールの1種との混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコール5〜2,000重量部の範囲である上記項7に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0022】
9.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0023】
10.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種と疎水性アルコールの1種との混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、疎水性アルコール5〜500重量部の範囲である上記項9に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0024】
11.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種、親水性アルコールの少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0025】
12.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種、親水性アルコールの1種及び疎水性アルコールの1種の混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコールが5〜2,000重量部及び疎水性アルコールが5〜500重量部の範囲である上記項11に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0026】
13.上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有する防錆組成物。
【0027】
14.疎水性防錆剤が、一般式
【0028】
【化4】
【0029】
(式中、R3及びR4は、同一又は異なって、分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。Aは、COO−R5−OOC、OOC−R5−COO又はCOO−R5−COOを示し、R5は分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)で表されるジエステル系化合物である上記項13に記載の防錆組成物。
【0030】
15.一般式(II)のジエステル系化合物が、分子量200〜3,000のものである上記項14に記載の防錆組成物。
【0031】
16.一般式(II)のジエステル系化合物が、水への溶解度1重量%以下のものである上記項14に記載の防錆組成物。
【0032】
17.疎水性防錆剤の濃度が、0.1〜15重量%である上記項14に記載の防錆組成物。
【0033】
18.上記項13に記載の防錆組成物を、金属製物品に塗布する防錆処理方法。
【0034】
19.防錆組成物を塗布後、洗浄することなく乾燥させる上記項18に記載の防錆処理方法。
【0035】
20.上記項18に記載の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品。
【0036】
【発明の実施の形態】
疎水性防錆剤用溶剤
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、前記一般式(I)で表されるグリコール類であるか、或いは該グリコール類と親水性アルコール又は/及び疎水性アルコールとの混合物である沸点250℃以下の水溶性有機溶剤及び水からなる液体である。該水溶性有機溶剤の沸点が250℃を越えると、揮発性が不足し、疎水性防錆剤を溶解した防錆組成物を塗布した後の乾燥が困難になる傾向にある。該水溶性有機溶剤の沸点は、200℃以下であるのが、好ましい。
【0037】
上記水溶性有機溶剤は、環境問題を引き起こさず、しかも水を多く含むことができるので、有機溶剤使用量の削減ができる。また、金属やプラスチックに対する腐食性が無いため、防錆処理すべき金属製物品が制限されない。
【0038】
また、本発明溶剤における上記水溶性有機溶剤及び水の割合は、両者の合計量に対して、水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%である。この範囲より、水溶性有機溶剤の割合が多くなると、VOC規制、引火性の観点から好ましくなく、又水溶性有機溶剤の割合が少なくなると疎水性防錆剤に対する溶解性が低下する傾向にある。一方、この範囲内であれば、VOC規制に十分対応ができ、又高い引火点を維持でき、さらには疎水性防錆剤に対する溶解性も十分である。
【0039】
水溶性有機溶剤及び水の割合は、両者の合計量に対して、水溶性有機溶剤50〜80重量%及び水50〜20重量%であるのが、好ましい。
【0040】
一般式(I)のグリコール類としては、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点が250℃以下であるものが好ましい。
【0041】
一般式(I)において、R1で示される炭素数1〜4の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0042】
上記一般式(I)のグリコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等を例示でき、これらの少なくとも1種を用いる。
【0043】
親水性アルコールとしては、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下であるものが好ましい。
【0044】
上記親水性アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜3のアルカノールを例示でき、これらの少なくとも1種を用いる。
【0045】
疎水性アルコールとしては、20℃の水に対する溶解度が10重量%以下で、沸点が250℃以下であるものが好ましい。
【0046】
上記疎水性アルコールとしては、具体的には、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等の炭素数4〜7のアルカノール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール等を例示でき、これらの少なくとも1種を用いる。
【0047】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類のみを用いる場合は、該グリコール類の2種又はそれ以上の混合物であるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0048】
この場合、該グリコール類を2種混合使用するのが、より好ましく、その混合割合としては、一方のグリコール類100重量部に対して、他方のグリコール類が5〜2,000重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0049】
2種のグリコール類の具体的組合せとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテルとエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルとプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の組合せを挙げることができる。
【0050】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び親水性アルコールの少なくとも1種の混合物を用いるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0051】
この場合、該グリコール類の1種と親水性アルコールの1種との混合物であるのが、より好ましく、その混合割合としては、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコールが5〜2,000重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0052】
グリコール類と親水性アルコールの具体的組合せとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルとイソプロパノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルとプロパノール等の組合せを挙げることができる。
【0053】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物を用いるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0054】
この場合、該グリコール類の1種と疎水性アルコールの1種との混合物であるのが、より好ましく、その混合割合としては、グリコール類100重量部に対して、疎水性アルコールが5〜500重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0055】
グリコール類と疎水性アルコールの具体的組合せとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルとブタノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテルとペンタノール、エチレングリコールモノイソブチルエーテルとシクロヘキサノール等の組合せを挙げることができる。
【0056】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種、親水性アルコールの少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物を用いるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0057】
この場合、該グリコール類の1種と親水性アルコールの1種と疎水性アルコールの1種の混合物であるのが、より好ましく、その混合割合としては、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコール5〜2,000重量部程度及び疎水性アルコール5〜500重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0058】
グリコール類と親水性アルコールと疎水性アルコールの具体的組合せとしては、例えば、プロピレングリコールモノプロピルエーテルとイソプロパノールとブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとプロパノールとヘキサノール、エチレングリコールモノブチルエーテルとプロパノールとシクロヘキサノール等の組合せを挙げることができる。
【0059】
本発明疎水性防錆剤用溶剤における水としては、市水、イオン交換水、純水などが使用できる。これらの内、本発明溶剤に疎水性防錆剤を溶解した防錆組成物を塗布して得られる防錆剤被膜の防錆性能を低下させる残渣を含まない点から、純水を用いるのが望ましい。
【0060】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、上記水溶性有機溶剤及び水を、該水溶性有機溶剤及び水の割合が、両者の合計量に対して、該水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%となるように、混合することにより、容易に調製できる。
【0061】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、一般に使用されている疎水性防錆剤に対する十分な溶解性を有しており、しかも環境特性、衛生面、安全性等に優れているので、疎水性防錆剤を溶解して水性の防錆組成物とする場合、或いは疎水性防錆剤を含有する防錆組成物を希釈する場合に、極めて好適に使用することができる。
【0062】
防錆組成物
本発明の防錆組成物は、上記疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有してなるものである。
【0063】
本発明防錆組成物における疎水性防錆剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができる。特に、本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、疎水性防錆剤に対する優れた溶解性を有しているので、例えば、水への溶解度1重量%以下の防錆剤であっても、防錆効果を発揮するのに十分な濃度で溶解することができる。
【0064】
本発明組成物における疎水性防錆剤としては、各種鋼材等に対する防錆効果、本発明溶剤への溶解性等の観点から、前記一般式(II)で表されるジエステル系化合物を用いるのが好ましい。
【0065】
一般式(II)において、R3及びR4で示される分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
【0066】
また、R5で示される分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、デシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレン、シクロヘキシレン、イソプロピレン、イソブチレン基等を挙げることができる。
【0067】
一般式(II)のジエステル系化合物としては、分子量200〜3,000程度のものが、本発明溶剤への溶解性等の点から好ましい。分子量は、より好ましくは200〜1,000程度であり、特に好ましくは、300〜700程度である。
【0068】
また、一般式(II)のジエステル系化合物は、通常、水への溶解度が1重量%以下であり、実質的に水不溶性である。
【0069】
一般式(II)のジエステル系化合物の具体例としては、例えば、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジデシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジデシル、スベリン酸ジブチル、スベリン酸ジヘキシル、スベリン酸ジオクチル、スベリン酸ジデシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジデシル、ドデカン二酸ジブチル、ドデカン二酸ジヘキシル、ドデカン二酸ジオクチル、ドデカン二酸ジデシル、ブチルグリコールジブタン酸エステル、ブチルグリコールジヘキサン酸エステル、ブチルグリコールジオクタン酸エステル、ブチルグリコールジデカン酸エステル、ヘキシルグリコールジブタン酸エステル、ヘキシルグリコールジヘキサン酸エステル、ヘキシルグリコールジオクタン酸エステル、ヘキシルグリコールジデカン酸エステル、オクチルグリコールジブタン酸エステル、オクチルグリコールジヘキサン酸エステル、オクチルグリコールジオクタン酸エステル、オクチルグリコールジデカン酸エステル、デシルグリコールジブタン酸エステル、デシルグリコールジヘキサン酸エステル、デシルグリコールジオクタン酸エステル、デシルグリコールジデカン酸エステル等を挙げることができる。
【0070】
本発明の防錆組成物において、疎水性防錆剤として一般式(II)のジエステル系化合物を用いる場合、該化合物である疎水性防錆剤の濃度は、0.1〜15重量%程度とするのが、好ましい。この濃度の範囲内であれば、該疎水性防錆剤が実質的に完全に溶解し、防錆性能が十分に発揮される。
【0071】
本発明の防錆組成物においては、本発明溶剤及び疎水性防錆剤に加えて、必要に応じて、酸化防止剤、pH調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。上記添加剤は、防錆組成物を、金属製物品に塗布し、溶剤揮発後、微量ながら金属表面に残留するので、揮発性の添加剤を用いるか、残留による影響が無いものを使用するのが好ましい。
【0072】
本発明の防錆組成物は、本発明溶剤、疎水性防錆剤、必要に応じてその他の添加剤を、所定の濃度になるように、混合、溶解することにより、容易に調製できる。
【0073】
本発明の防錆組成物は、環境特性、衛生面、安全性等に優れているので、防錆処理を必要とする各種の金属製物品に、極めて好適に適用でき、十分な防錆効果を必要な時間維持することができる。
【0074】
防錆処理方法
本発明の防錆処理方法は、上記の本発明防錆組成物を、金属製物品に塗布して防錆処理するものである。
【0075】
防錆処理の対象となる金属製物品としては、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、これらのいずれかの金属を含む合金等からなる金属製物品;金属製物品とプラスチックとの複合物品等を挙げることができる。
【0076】
本発明の防錆処理方法を適用する金属製物品は、原材料、部品、最終製品等のいずれでもよく、その好ましい具体例としては、例えば、パソコン等のハードディスクドライブ、CD−ROM、DVD、ファンモーター等のミニチュアベアリング;プリンター、コピー機等のステッピングモーター、ファンモーター等のミニチュアベアリング;ビデオ等のシリンダー、テープガイド等のミニチュアベアリング;エアコン用モーター、クリーナー用モーター、冷凍機コンプレッサー、オルタネーター、スロットルバルブ、ABSシステム用ベアリング等を挙げることができる。
【0077】
上記ベアリング類の材質としては、用途により異なるが、SUJ−1〜SUJ−5等の高炭素クロム軸受鋼;Ni−Cr−Mo鋼、Cr−Mo鋼等のはだ焼鋼;SUS440C等のステンレス鋼等の材質が主に用いられており、これらの材質の鋼材は本発明防錆処理方法により、好適に防錆処理することができる。
【0078】
本発明処理方法において、本発明の防錆組成物を、金属製物品に塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布、シャワー塗布、スプレー塗布、噴流塗布等の方法を挙げることができる。また、浸漬塗布法においては、防錆組成物中への浸漬時に超音波を照射することにより、物品中の狭い隙間にも防錆組成物が浸透し易くなる。防錆組成物の塗布量としては、特に限定されず、適宜決定されるが、通常、乾燥被膜重量で、0.3〜2.5g/m2程度、特に0.4〜1.2g/m2程度であればよい。
【0079】
防錆組成物を塗布後は、洗浄することなく乾燥させるのが、好ましい。乾燥前に、水、水性リンス剤、有機溶剤系リンス剤等で洗浄すると、防錆剤が一部洗い落とされ、防錆剤付着量の調整が困難になるからである。
【0080】
防錆組成物塗布後の金属製物品は、水溶性有機溶剤、水等を蒸発させるため、乾燥を行う。乾燥は、乾燥炉等で加熱乾燥することにより、行うことができる。乾燥炉としては、熱風により乾燥させるタイプのものが好ましい。加熱温度は、通常、80〜150℃程度、加熱時間は、通常、0.5〜10分間程度である。
【0081】
かくして、本発明の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品が得られる。防錆処理された金属表面には、疎水性防錆剤のムラのない均一な被膜が形成されており、長期に渡って優れた防錆性能が発揮される。
【0082】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明する。
【0083】
実施例1〜3及び比較例1
下記表1の配合割合で、水と、エチレングリコールモノブチルエーテル(分子量118.2、沸点171.2℃、引火点63℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(分子量118.2、沸点160.5℃、引火点56℃)及びイソプロパノール(分子量60.1、沸点82.0℃、引火点15℃)のいずれか2種とを混合して、実施例1〜3の本発明疎水性防錆剤用溶剤を調製した。表中の数値は、gを示す。
【0084】
【表1】
【0085】
次に、実施例1〜3の溶剤各90gに、セバシン酸ジオクチル3gを、混合、溶解して、実施例1〜3の本発明防錆組成物を得た。
【0086】
従来の防錆組成物として、塩化メチレン130gに、セバシン酸ジオクチル3gを、混合、溶解して、比較例1の防錆組成物を得た。
【0087】
次に、実施例1〜3の各防錆組成物に、ベアリング(材質:SUJ−2、外径φ22mm、内径φ8mm)30個を5分間浸漬後、熱風乾燥器(商品名「DF−62」、ヤマト科学(株)製)で100℃、5分間乾燥して、ベアリング表面に乾燥被膜重量で、1.2g/m2の防錆被膜を形成した。
【0088】
また、比較例1の防錆組成物に、上記ベアリング30個を5分間浸漬後、10分間自然乾燥して、ベアリング表面に乾燥被膜重量で、1.2g/m2の防錆被膜を形成した。
【0089】
上記で防錆処理した各ベアリングの防錆性能を、次のようにして調べた。即ち、ベアリングを、沸騰した純水中に入れ、錆が発生するまでの時間を調べた。ベアリング30個について、錆が発生するまでの平均時間を、下記表2に示した。
【0090】
【表2】
【0091】
表2より、本発明の防錆組成物で防錆処理したベアリングは、従来の防錆組成物で防錆処理した場合に比して、同等以上の防錆性能を発揮することが判る。
【0092】
【発明の効果】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、環境問題を起こす塩素系溶剤や引火性の高い炭化水素系溶剤を全く使用することなく、環境問題を起こさない水溶性有機溶剤と水からなっているのにも拘わらず、疎水性防錆剤に対する十分な溶解性を有しており、且つ環境特性、衛生面、安全性等に優れている。
【0093】
従って、疎水性防錆剤を溶解して水性の防錆組成物とする場合、或いは疎水性防錆剤を含有する防錆組成物を希釈する場合に、極めて好適に使用することができる。
【0094】
本発明の防錆組成物は、環境特性、衛生面、安全性等に優れているので、防錆処理を必要とする各種の金属製物品に、極めて好適に適用することができる。
【0095】
また、本発明の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品においては、防錆処理された金属表面に、疎水性防錆剤の均一な被膜が形成されており、長期に渡って優れた防錆性能が発揮される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、疎水性防錆剤用溶剤、防錆組成物及び防錆処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種金属製物品の防錆処理においては、揮発性溶剤に防錆剤を溶解させ、濃度、粘度等を調整した塗布液を、シャワー、浸漬、噴流などの方法で塗布し、揮発性溶剤を揮発させて、該物品の金属表面を防錆剤被膜で被覆し、形成された防錆剤被膜によって、金属表面の空気や水との接触を遮断することにより、防錆効果を発現、維持させている。
【0003】
上記防錆処理に用いられる防錆剤として、水溶性防錆剤は、金属表面に形成された防錆剤被膜が水に溶解して流失し易く、防錆効果が早期に劣化しその維持できる時間が短いという欠点があるため、防錆効果をより長く維持させる手段として、通常、かかる欠点のない疎水性防錆剤が用いられている。
【0004】
従来、疎水性防錆剤に用いられる揮発性溶剤としては、該防錆剤の溶解性に優れ且つ不燃性であるフロン類が広く用いられていたが、各種規制により使用が制限されるようになったため、最近では類似の性質を有するトリクロロエチレン、パークロロエチレン、塩化メチレン等の塩素系溶剤や、臭素系溶剤などが用いられるようになっている。
【0005】
しかし、上記塩素系溶剤等は、オゾン層破壊、VOC規制、土壌汚染などの環境問題、又人体に対する毒性などの点で、現在では、部品の洗浄用途などでは使用が制限されつつあり、近い将来防錆処理用途でも使用が制限されるようになると推測される。
【0006】
また、塩素系溶剤等の代わりに、炭化水素系溶剤等を使用することも考えられるが、引火性が高いため、製造装置の防爆仕様が必要となり、又指定数量等の制限がある等の問題や、環境特性の問題があるため利点が少ない。
【0007】
一方、防錆処理を疎水性防錆剤の水性液で行うことができれば、環境面、衛生面等から、塩素系溶剤、炭化水素系溶剤等の溶剤に比べて有利な面が多く、代替の検討も行われているが、疎水性防錆剤は、石油系の溶剤には溶解するが、水にはほとんど溶けないため防錆処理対象物への塗布が困難である。機械的な処理によって防錆剤を水に分散させた状態(エマルジョン)にしても、防錆剤塗布量の調整、防錆膜厚の調整が困難である。界面活性剤などを用いて化学的に防錆剤を水に均一に分散させることはできるが、界面活性剤等の防錆剤以外の不揮発性成分が残存すると防錆性能に悪影響を及ぼす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した環境特性、衛生面、安全性等の問題を解消し得る、疎水性防錆剤用溶剤、これを用いた防錆組成物及び該組成物を用いた防錆処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の現状に鑑みて、疎水性防錆剤を溶解できる水系の溶剤、これを用いた水性の防錆組成物及び該組成物を用いた防錆処理方法を開発すべく、鋭意研究した。その結果、特定の水溶性有機溶剤と水とを特定割合で混合した溶剤によれば、疎水性防錆剤を十分に溶解できること、該溶剤に疎水性防錆剤を溶解させた防錆組成物により、金属製物品の防錆処理を好適に実施できること等を見出した。
【0010】
本発明は、かかる新たな諸知見に基づき、更に種々検討した結果、完成されたものである。
【0011】
本発明は、以下の疎水性防錆剤用溶剤、これを用いた防錆組成物、該組成物を用いた防錆処理方法及び該方法により防錆処理された金属製物品を提供するものである。
【0012】
1.一般式
【0013】
【化3】
【0014】
(式中、R1は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。R2はメチル基又は水素原子を示す。nは1〜3の整数を示す。)で表されるグリコール類であるか、或いは該グリコール類と親水性アルコール又は/及び疎水性アルコールとの混合物である沸点250℃以下の水溶性有機溶剤及び水からなり、該水溶性有機溶剤及び水の割合が、両者の合計量に対して、該水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%である疎水性防錆剤用溶剤。
【0015】
2.一般式(I)のグリコール類が、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下のものである上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0016】
3.親水性アルコールが、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下のものである上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0017】
4.疎水性アルコールが、20℃の水に対する溶解度10重量%以下、沸点250℃以下のものである上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0018】
5.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも2種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0019】
6.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類2種の混合物であり、その混合割合が、一方のグリコール類100重量部に対して、他方のグリコール類5〜2,000重量部の範囲である上記項5に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0020】
7.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び親水性アルコールの少なくとも1種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0021】
8.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種と親水性アルコールの1種との混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコール5〜2,000重量部の範囲である上記項7に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0022】
9.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0023】
10.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種と疎水性アルコールの1種との混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、疎水性アルコール5〜500重量部の範囲である上記項9に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0024】
11.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種、親水性アルコールの少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物である上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0025】
12.該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種、親水性アルコールの1種及び疎水性アルコールの1種の混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコールが5〜2,000重量部及び疎水性アルコールが5〜500重量部の範囲である上記項11に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
【0026】
13.上記項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有する防錆組成物。
【0027】
14.疎水性防錆剤が、一般式
【0028】
【化4】
【0029】
(式中、R3及びR4は、同一又は異なって、分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。Aは、COO−R5−OOC、OOC−R5−COO又はCOO−R5−COOを示し、R5は分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)で表されるジエステル系化合物である上記項13に記載の防錆組成物。
【0030】
15.一般式(II)のジエステル系化合物が、分子量200〜3,000のものである上記項14に記載の防錆組成物。
【0031】
16.一般式(II)のジエステル系化合物が、水への溶解度1重量%以下のものである上記項14に記載の防錆組成物。
【0032】
17.疎水性防錆剤の濃度が、0.1〜15重量%である上記項14に記載の防錆組成物。
【0033】
18.上記項13に記載の防錆組成物を、金属製物品に塗布する防錆処理方法。
【0034】
19.防錆組成物を塗布後、洗浄することなく乾燥させる上記項18に記載の防錆処理方法。
【0035】
20.上記項18に記載の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品。
【0036】
【発明の実施の形態】
疎水性防錆剤用溶剤
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、前記一般式(I)で表されるグリコール類であるか、或いは該グリコール類と親水性アルコール又は/及び疎水性アルコールとの混合物である沸点250℃以下の水溶性有機溶剤及び水からなる液体である。該水溶性有機溶剤の沸点が250℃を越えると、揮発性が不足し、疎水性防錆剤を溶解した防錆組成物を塗布した後の乾燥が困難になる傾向にある。該水溶性有機溶剤の沸点は、200℃以下であるのが、好ましい。
【0037】
上記水溶性有機溶剤は、環境問題を引き起こさず、しかも水を多く含むことができるので、有機溶剤使用量の削減ができる。また、金属やプラスチックに対する腐食性が無いため、防錆処理すべき金属製物品が制限されない。
【0038】
また、本発明溶剤における上記水溶性有機溶剤及び水の割合は、両者の合計量に対して、水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%である。この範囲より、水溶性有機溶剤の割合が多くなると、VOC規制、引火性の観点から好ましくなく、又水溶性有機溶剤の割合が少なくなると疎水性防錆剤に対する溶解性が低下する傾向にある。一方、この範囲内であれば、VOC規制に十分対応ができ、又高い引火点を維持でき、さらには疎水性防錆剤に対する溶解性も十分である。
【0039】
水溶性有機溶剤及び水の割合は、両者の合計量に対して、水溶性有機溶剤50〜80重量%及び水50〜20重量%であるのが、好ましい。
【0040】
一般式(I)のグリコール類としては、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点が250℃以下であるものが好ましい。
【0041】
一般式(I)において、R1で示される炭素数1〜4の低級アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0042】
上記一般式(I)のグリコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等を例示でき、これらの少なくとも1種を用いる。
【0043】
親水性アルコールとしては、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下であるものが好ましい。
【0044】
上記親水性アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1〜3のアルカノールを例示でき、これらの少なくとも1種を用いる。
【0045】
疎水性アルコールとしては、20℃の水に対する溶解度が10重量%以下で、沸点が250℃以下であるものが好ましい。
【0046】
上記疎水性アルコールとしては、具体的には、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等の炭素数4〜7のアルカノール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール等を例示でき、これらの少なくとも1種を用いる。
【0047】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類のみを用いる場合は、該グリコール類の2種又はそれ以上の混合物であるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0048】
この場合、該グリコール類を2種混合使用するのが、より好ましく、その混合割合としては、一方のグリコール類100重量部に対して、他方のグリコール類が5〜2,000重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0049】
2種のグリコール類の具体的組合せとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテルとエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルとプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の組合せを挙げることができる。
【0050】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び親水性アルコールの少なくとも1種の混合物を用いるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0051】
この場合、該グリコール類の1種と親水性アルコールの1種との混合物であるのが、より好ましく、その混合割合としては、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコールが5〜2,000重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0052】
グリコール類と親水性アルコールの具体的組合せとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルとイソプロパノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとプロパノール、エチレングリコールモノブチルエーテルとプロパノール等の組合せを挙げることができる。
【0053】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物を用いるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0054】
この場合、該グリコール類の1種と疎水性アルコールの1種との混合物であるのが、より好ましく、その混合割合としては、グリコール類100重量部に対して、疎水性アルコールが5〜500重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0055】
グリコール類と疎水性アルコールの具体的組合せとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルとブタノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテルとペンタノール、エチレングリコールモノイソブチルエーテルとシクロヘキサノール等の組合せを挙げることができる。
【0056】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤における水溶性有機溶剤として、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種、親水性アルコールの少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物を用いるのが、疎水性防錆剤に対する溶解性の点から、好ましい。
【0057】
この場合、該グリコール類の1種と親水性アルコールの1種と疎水性アルコールの1種の混合物であるのが、より好ましく、その混合割合としては、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコール5〜2,000重量部程度及び疎水性アルコール5〜500重量部程度の範囲であるのが好適である。
【0058】
グリコール類と親水性アルコールと疎水性アルコールの具体的組合せとしては、例えば、プロピレングリコールモノプロピルエーテルとイソプロパノールとブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルとプロパノールとヘキサノール、エチレングリコールモノブチルエーテルとプロパノールとシクロヘキサノール等の組合せを挙げることができる。
【0059】
本発明疎水性防錆剤用溶剤における水としては、市水、イオン交換水、純水などが使用できる。これらの内、本発明溶剤に疎水性防錆剤を溶解した防錆組成物を塗布して得られる防錆剤被膜の防錆性能を低下させる残渣を含まない点から、純水を用いるのが望ましい。
【0060】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、上記水溶性有機溶剤及び水を、該水溶性有機溶剤及び水の割合が、両者の合計量に対して、該水溶性有機溶剤50〜99.9重量%及び水50〜0.1重量%となるように、混合することにより、容易に調製できる。
【0061】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、一般に使用されている疎水性防錆剤に対する十分な溶解性を有しており、しかも環境特性、衛生面、安全性等に優れているので、疎水性防錆剤を溶解して水性の防錆組成物とする場合、或いは疎水性防錆剤を含有する防錆組成物を希釈する場合に、極めて好適に使用することができる。
【0062】
防錆組成物
本発明の防錆組成物は、上記疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有してなるものである。
【0063】
本発明防錆組成物における疎水性防錆剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用することができる。特に、本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、疎水性防錆剤に対する優れた溶解性を有しているので、例えば、水への溶解度1重量%以下の防錆剤であっても、防錆効果を発揮するのに十分な濃度で溶解することができる。
【0064】
本発明組成物における疎水性防錆剤としては、各種鋼材等に対する防錆効果、本発明溶剤への溶解性等の観点から、前記一般式(II)で表されるジエステル系化合物を用いるのが好ましい。
【0065】
一般式(II)において、R3及びR4で示される分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
【0066】
また、R5で示される分岐構造及び/又は環状構造を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、デシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレン、シクロヘキシレン、イソプロピレン、イソブチレン基等を挙げることができる。
【0067】
一般式(II)のジエステル系化合物としては、分子量200〜3,000程度のものが、本発明溶剤への溶解性等の点から好ましい。分子量は、より好ましくは200〜1,000程度であり、特に好ましくは、300〜700程度である。
【0068】
また、一般式(II)のジエステル系化合物は、通常、水への溶解度が1重量%以下であり、実質的に水不溶性である。
【0069】
一般式(II)のジエステル系化合物の具体例としては、例えば、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジデシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジデシル、スベリン酸ジブチル、スベリン酸ジヘキシル、スベリン酸ジオクチル、スベリン酸ジデシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジデシル、ドデカン二酸ジブチル、ドデカン二酸ジヘキシル、ドデカン二酸ジオクチル、ドデカン二酸ジデシル、ブチルグリコールジブタン酸エステル、ブチルグリコールジヘキサン酸エステル、ブチルグリコールジオクタン酸エステル、ブチルグリコールジデカン酸エステル、ヘキシルグリコールジブタン酸エステル、ヘキシルグリコールジヘキサン酸エステル、ヘキシルグリコールジオクタン酸エステル、ヘキシルグリコールジデカン酸エステル、オクチルグリコールジブタン酸エステル、オクチルグリコールジヘキサン酸エステル、オクチルグリコールジオクタン酸エステル、オクチルグリコールジデカン酸エステル、デシルグリコールジブタン酸エステル、デシルグリコールジヘキサン酸エステル、デシルグリコールジオクタン酸エステル、デシルグリコールジデカン酸エステル等を挙げることができる。
【0070】
本発明の防錆組成物において、疎水性防錆剤として一般式(II)のジエステル系化合物を用いる場合、該化合物である疎水性防錆剤の濃度は、0.1〜15重量%程度とするのが、好ましい。この濃度の範囲内であれば、該疎水性防錆剤が実質的に完全に溶解し、防錆性能が十分に発揮される。
【0071】
本発明の防錆組成物においては、本発明溶剤及び疎水性防錆剤に加えて、必要に応じて、酸化防止剤、pH調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。上記添加剤は、防錆組成物を、金属製物品に塗布し、溶剤揮発後、微量ながら金属表面に残留するので、揮発性の添加剤を用いるか、残留による影響が無いものを使用するのが好ましい。
【0072】
本発明の防錆組成物は、本発明溶剤、疎水性防錆剤、必要に応じてその他の添加剤を、所定の濃度になるように、混合、溶解することにより、容易に調製できる。
【0073】
本発明の防錆組成物は、環境特性、衛生面、安全性等に優れているので、防錆処理を必要とする各種の金属製物品に、極めて好適に適用でき、十分な防錆効果を必要な時間維持することができる。
【0074】
防錆処理方法
本発明の防錆処理方法は、上記の本発明防錆組成物を、金属製物品に塗布して防錆処理するものである。
【0075】
防錆処理の対象となる金属製物品としては、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、これらのいずれかの金属を含む合金等からなる金属製物品;金属製物品とプラスチックとの複合物品等を挙げることができる。
【0076】
本発明の防錆処理方法を適用する金属製物品は、原材料、部品、最終製品等のいずれでもよく、その好ましい具体例としては、例えば、パソコン等のハードディスクドライブ、CD−ROM、DVD、ファンモーター等のミニチュアベアリング;プリンター、コピー機等のステッピングモーター、ファンモーター等のミニチュアベアリング;ビデオ等のシリンダー、テープガイド等のミニチュアベアリング;エアコン用モーター、クリーナー用モーター、冷凍機コンプレッサー、オルタネーター、スロットルバルブ、ABSシステム用ベアリング等を挙げることができる。
【0077】
上記ベアリング類の材質としては、用途により異なるが、SUJ−1〜SUJ−5等の高炭素クロム軸受鋼;Ni−Cr−Mo鋼、Cr−Mo鋼等のはだ焼鋼;SUS440C等のステンレス鋼等の材質が主に用いられており、これらの材質の鋼材は本発明防錆処理方法により、好適に防錆処理することができる。
【0078】
本発明処理方法において、本発明の防錆組成物を、金属製物品に塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布、シャワー塗布、スプレー塗布、噴流塗布等の方法を挙げることができる。また、浸漬塗布法においては、防錆組成物中への浸漬時に超音波を照射することにより、物品中の狭い隙間にも防錆組成物が浸透し易くなる。防錆組成物の塗布量としては、特に限定されず、適宜決定されるが、通常、乾燥被膜重量で、0.3〜2.5g/m2程度、特に0.4〜1.2g/m2程度であればよい。
【0079】
防錆組成物を塗布後は、洗浄することなく乾燥させるのが、好ましい。乾燥前に、水、水性リンス剤、有機溶剤系リンス剤等で洗浄すると、防錆剤が一部洗い落とされ、防錆剤付着量の調整が困難になるからである。
【0080】
防錆組成物塗布後の金属製物品は、水溶性有機溶剤、水等を蒸発させるため、乾燥を行う。乾燥は、乾燥炉等で加熱乾燥することにより、行うことができる。乾燥炉としては、熱風により乾燥させるタイプのものが好ましい。加熱温度は、通常、80〜150℃程度、加熱時間は、通常、0.5〜10分間程度である。
【0081】
かくして、本発明の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品が得られる。防錆処理された金属表面には、疎水性防錆剤のムラのない均一な被膜が形成されており、長期に渡って優れた防錆性能が発揮される。
【0082】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明する。
【0083】
実施例1〜3及び比較例1
下記表1の配合割合で、水と、エチレングリコールモノブチルエーテル(分子量118.2、沸点171.2℃、引火点63℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(分子量118.2、沸点160.5℃、引火点56℃)及びイソプロパノール(分子量60.1、沸点82.0℃、引火点15℃)のいずれか2種とを混合して、実施例1〜3の本発明疎水性防錆剤用溶剤を調製した。表中の数値は、gを示す。
【0084】
【表1】
【0085】
次に、実施例1〜3の溶剤各90gに、セバシン酸ジオクチル3gを、混合、溶解して、実施例1〜3の本発明防錆組成物を得た。
【0086】
従来の防錆組成物として、塩化メチレン130gに、セバシン酸ジオクチル3gを、混合、溶解して、比較例1の防錆組成物を得た。
【0087】
次に、実施例1〜3の各防錆組成物に、ベアリング(材質:SUJ−2、外径φ22mm、内径φ8mm)30個を5分間浸漬後、熱風乾燥器(商品名「DF−62」、ヤマト科学(株)製)で100℃、5分間乾燥して、ベアリング表面に乾燥被膜重量で、1.2g/m2の防錆被膜を形成した。
【0088】
また、比較例1の防錆組成物に、上記ベアリング30個を5分間浸漬後、10分間自然乾燥して、ベアリング表面に乾燥被膜重量で、1.2g/m2の防錆被膜を形成した。
【0089】
上記で防錆処理した各ベアリングの防錆性能を、次のようにして調べた。即ち、ベアリングを、沸騰した純水中に入れ、錆が発生するまでの時間を調べた。ベアリング30個について、錆が発生するまでの平均時間を、下記表2に示した。
【0090】
【表2】
【0091】
表2より、本発明の防錆組成物で防錆処理したベアリングは、従来の防錆組成物で防錆処理した場合に比して、同等以上の防錆性能を発揮することが判る。
【0092】
【発明の効果】
本発明の疎水性防錆剤用溶剤は、環境問題を起こす塩素系溶剤や引火性の高い炭化水素系溶剤を全く使用することなく、環境問題を起こさない水溶性有機溶剤と水からなっているのにも拘わらず、疎水性防錆剤に対する十分な溶解性を有しており、且つ環境特性、衛生面、安全性等に優れている。
【0093】
従って、疎水性防錆剤を溶解して水性の防錆組成物とする場合、或いは疎水性防錆剤を含有する防錆組成物を希釈する場合に、極めて好適に使用することができる。
【0094】
本発明の防錆組成物は、環境特性、衛生面、安全性等に優れているので、防錆処理を必要とする各種の金属製物品に、極めて好適に適用することができる。
【0095】
また、本発明の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品においては、防錆処理された金属表面に、疎水性防錆剤の均一な被膜が形成されており、長期に渡って優れた防錆性能が発揮される。
Claims (20)
- 一般式(I)のグリコール類が、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下のものである請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 親水性アルコールが、20℃の水に任意の割合で溶解し、沸点250℃以下のものである請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 疎水性アルコールが、20℃の水に対する溶解度10重量%以下、沸点250℃以下のものである請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも2種の混合物である請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類2種の混合物であり、その混合割合が、一方のグリコール類100重量部に対して、他方のグリコール類5〜2,000重量部の範囲である請求項5に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び親水性アルコールの少なくとも1種の混合物である請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種と親水性アルコールの1種との混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコール5〜2,000重量部の範囲である請求項7に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物である請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種と疎水性アルコールの1種との混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、疎水性アルコール5〜500重量部の範囲である請求項9に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の少なくとも1種、親水性アルコールの少なくとも1種及び疎水性アルコールの少なくとも1種の混合物である請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 該水溶性有機溶剤が、一般式(I)のグリコール類の1種、親水性アルコールの1種及び疎水性アルコールの1種の混合物であり、その混合割合が、グリコール類100重量部に対して、親水性アルコールが5〜2,000重量部及び疎水性アルコールが5〜500重量部の範囲である請求項11に記載の疎水性防錆剤用溶剤。
- 請求項1に記載の疎水性防錆剤用溶剤及び該溶剤に溶解した疎水性防錆剤を含有する防錆組成物。
- 一般式(II)のジエステル系化合物が、分子量200〜3,000のものである請求項14に記載の防錆組成物。
- 一般式(II)のジエステル系化合物が、水への溶解度1重量%以下のものである請求項14に記載の防錆組成物。
- 疎水性防錆剤の濃度が、0.1〜15重量%である請求項14に記載の防錆組成物。
- 請求項13に記載の防錆組成物を、金属製物品に塗布する防錆処理方法。
- 防錆組成物を塗布後、洗浄することなく乾燥させる請求項18に記載の防錆処理方法。
- 請求項18に記載の防錆処理方法により、防錆処理された金属製物品。
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