JP2004256820A - 含フッ素接着剤ならびにそれを用いた接着性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性を維持し、とくに金属やガラスへの基材に対して直接、強固な接着性を与える含フッ素接着剤ならびにそれを用いてえられる接着性フィルムを提供する。
【解決手段】ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と、該単量体と共重合可能な含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、種々の無機材料や有機材料からなる基材に対して強固に接着しうる含フッ素接着剤に関し、またさらにそれを用いた接着性フィルムに関する。
従来、含フッ素ポリマーは、耐熱性、耐薬品性、耐候性、表面特性(低摩擦性など)、電気絶縁性に優れているため種々の用途に用いられている。
一方含フッ素ポリマーは、一般的に機械的強度や寸法安定性が不充分であったり、価格的に高価であったりする。
そこで含フッ素ポリマーの長所を最大限に生かし、欠点を最小とするため、含フッ素ポリマーと他の無機材料との接着、有機材料との接着、積層化などの検討が種々行なわれている。
しかし、含フッ素ポリマーは本来接着力が低く、含フッ素ポリマーと他の材料(基材)とを直接接着させることは困難で、熱融着などで接着を試みても、接着強度が不充分であったり、ある程度の接着力があったとしても基材の種類により接着力がばらつきやすく、接着性の信頼性が不充分であることが多かった。
含フッ素ポリマーと他の材料とを接着させる方法として、
1.基材の表面をサンドフラスター処理などで物理的に荒らす方法、
2.含フッ素ポリマーをナトリウム・エッチング、プラズマ処理、光化学的処理などの表面処理を行なう方法、
3.接着剤を用いて接着させる方法
などが主に検討されているが、前記1、2については、処理工程が必要となり、また、工程が複雑で生産性がわるい。また、基材の種類や形状が限定される。そもそも、接着力も不充分であり、えられた積層体の外観上の問題(着色や傷)も生じやすい。
前記3.の接着剤の検討も種々行なわれている。一般のハイドロカーボン系の接着剤は、接着性が不充分であるとともに、それ自体の耐熱性が不充分で、一般に高温での成形や加工を必要とするフッ素ポリマーの接着加工条件では、耐えられず、分解による剥離や着色などを起こす。前記接着剤を用いた積層体も接着剤層の耐熱性、耐薬品性、耐水性が不充分であるために、温度変化や、環境変化により接着力が維持できなくなり、信頼性に欠ける。
一方、官能基を有する含フッ素ポリマーを用いた接着剤、接着剤組成物による接着の検討が行なわれている。
たとえば含フッ素ポリマーに無水マレイン酸やビニルトリメトキシシランなどに代表されるカルボキシル基、カルボン酸無水物残基、エポキシ基、加水分解性シリル基を有するハイドロカーボン系単量体をグラフト重合した含フッ素ポリマーを接着剤に用いた報告(たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)やヒドロキシルアルキルビニルエーテルのような官能基を含むハイドロカーボン系単量体をテトラフルオロエチレンやクロロトリフルオロエチレンと共重合した含フッ素共重合体と、イソシアナート系硬化剤との接着性組成物を硬化させ、塩ビとコロナ放電処理されたETFEとの接着剤に用いた報告(たとえば特許文献7)がなされている。
これら、ハイドロカーボン系の官能基モノマーをグラフト重合または共重合した含フッ素重合体を用いた接着剤または接着剤組成物は、耐熱性が不充分でフッ素樹脂との高温での加工時や、高温での使用時では分解・発泡などが起き接着強度を低下させたり、剥離したり、着色したりする。また前記特許文献7記載の接着性組成物では、フッ素樹脂はコロナ放電処理を必要とする。
また、スルホン酸やその誘導体、カルボン酸やその誘導体を含有するパーフルオロビニルエーテル化合物を含フッ素モノマーと共重合した官能基を有する含フッ素重合体を接着剤や接着剤組成物に用いたものが報告されている。特許文献8には、スルホン酸基、カルボン酸基、それらの誘導体を有するパーフルオロビニルエーテルをテトラフルオロエチレンなどと共重合して導入した官能基を有する含フッ素ポリマーを接着剤とした積層体が記載されている。これは、金属などの無機物と積層させるばあい、エポキシ樹脂などで金属面を表面処理したものを用いた積層体である。
また、特許文献9には、スルホン酸基を有するパーフルオロビニルエーテルとテトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の3元共重合体と金属との接着が記載させている。これらスルホン酸基やカルボン酸基を導入した含フッ素ポリマーからなる接着剤は金属との接着性は不充分であり、また、官能基が強酸性であるがゆえ、接着面での金属を腐食させるという問題がある。
また、カルボン酸類は一般に高温では分解しやすく、高温での加工時や使用時に接着不良や、発泡、着色、剥離などを起こしやすい。
また、これら接着剤を用いた積層体を電気材料に用いたばあい、これらの官能基がフッ素ポリマーに導入されているので、イオン性であるがゆえに電気絶縁性が大きく低下するといった問題点もある。
さらに、これらの重合体は一般に吸水性が高く、これらの重合体を接着剤として用いてえられる積層体の接着力の耐水性がわるい。また吸水性が高いため、含フッ素ポリマーがよく使われる電気、電子用途では不適当である。
特開平7−18035号公報 特開平7−25952号公報 特開平7−25954号公報 特開平7−173230号公報 特開平7−173446号公報 特開平7−173447号公報 特開平7−228848号公報 米国特許第4916020号明細書 特開平7−145362号公報
本発明の目的は、前記従来の問題点を解決し、フッ素ポリマーの有する優れた耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性などの特性は維持したまま、さらに金属やガラスなどの基材に対し直接、強固な接着性を与えうる含フッ素接着剤ならびにそれを用いた接着性フィルムおよび積層体を提供することにある。
本発明は、(a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
(b)該(a)成分と共重合可能なヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%
とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる含フッ素接着剤に関する。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)が式(1):
CX2=CX1−Rf−CH2OH (1)
(式中、XおよびX1は同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表わす)
で示される少なくとも1種の単量体であることが好ましい。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)が式(2):
CH2=CFCF2−Rf 1−CH2OH (2)
[式中、Rf 1は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を有する2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]
で示される含フッ素単量体であることが好ましい。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)がテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)がテトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と式(3):
CF2=CF−Rf 3 (3)
[式中、Rf 3は−CF3または−ORf 4(Rf 4は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]
で示される単量体0.3〜15モル%との単量体混合物であることが好ましい。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)からなる単量体混合物が、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレン40〜80モル%とエチレン20〜60モル%とこれらの単量体と共重合可能な他の単量体0〜15モル%との単量体混合物であることが好ましい。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)がフッ化ビニリデンであることが好ましい。
また本発明は、前記ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)からなる単量体混合物が、フッ化ビニリデン70〜99モル%とテトラフルオロエチレン1〜30モル%との単量体混合物、フッ化ビニリデン50〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とクロロトリフルオロエチレン1〜20モル%との単量体混合物またはフッ化ビニリデン60〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%との単量体混合物であることが好ましい。
さらに本発明は、前記いずれかのヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる含フッ素接着剤を成形してえられる含フッ素接着性フィルムに関する。
さらに本発明は、前記いずれかの含フッ素接着剤を溶融成形してえられる含フッ素接着性フィルムであることが好ましい。
さらに本発明は、(A−1)前記いずれかのヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる接着剤からなる層と
(B−1)側鎖に官能基を有さない含フッ素重合体からなる層とが積層されてなることが好ましい。
さらに本発明は、前記側鎖に官能基を有さない含フッ素重合体(B−1)が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン系共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに本発明は、(A−1)前記いずれかの含フッ素接着剤からなる層と
(B−1)ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種からなる層とが積層されてなることが好ましい。
さらに本発明は、(A−1)前記含フッ素接着剤からなる層と
(B−1)エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体またはエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体からなる層
とが積層されてなることが好ましい。
さらに本発明は、(A−1)前記含フッ素接着剤からなる層と
(B−1)ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン系共重合体からなる層
とが積層されてなることが好ましい。
さらにまた本発明は、(A−2)前記いずれかの含フッ素接着剤からなる層と
(C−1)無機材料からなる層
とからなる積層体に関する。
さらにまた本発明は、(A−3)前記いずれかの含フッ素接着剤からなる層と
(D−1)有機材料からなる層
とからなる積層体であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記無機材料(C−1)が金属系材料であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記金属系材料がアルミニウム系金属材料であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記含フッ素接着剤(A−2)が前記いずれかの含フッ素接着剤であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記金属系材料が鉄系金属材料であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記含フッ素接着剤(A−2)が前記いずれかの含フッ素接着剤であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記金属系材料が銅系金属材料であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記含フッ素接着剤(A−2)が前記いずれかの含フッ素接着剤であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記無機材料(C−1)がシリコン系材料であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記無機材料(C−1)がガラス系材料であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記含フッ素接着剤(A−2)が前記いずれかの含フッ素接着剤であることが好ましい。
さらにまた本発明は、前記有機材料(D−1)が非フッ素系ポリマーであることが好ましい。
さらにまた本発明は、(A−4)前記いずれかの含フッ素接着剤からなる層と
(B−2)前記側鎖に官能基を有さない含フッ素エチレン性重合体からなる層と
(C−2)前記無機材料からなる層
の3層からなる積層体であって、含フッ素接着剤からなる層(A−4)が官能基を有さない含フッ素エチレン性重合体からなる層(B−2)と無機材料からなる層(C−2)との中間に位置し、接着層を形成していることが好ましい。
本発明の含フッ素接着剤は、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性を維持し、とくに金属やガラスなどの基材に対して直接、強固な接着性を示し、接着性フィルム、積層体に好適に使用しうる。
本発明の含フッ素接着剤で用いられる含フッ素エチレン性重合体は、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体であり、詳しくは
(a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
(b)該(a)成分と共重合可能な官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%と
を共重合してえられる含フッ素エチレン性重合体である。
本発明者らは、前記ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体が、フッ素樹脂を用いるときによく行なわれている表面処理などを行なわなくとも、金属やガラス、その他の材料に対し、驚くべき強力な接着性を有することを見出した。
本発明の含フッ素接着剤は前記(a)のヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体を用いて共重合し、含フッ素重合体にヒドロキシル基を導入することが重要であり、それによって従来接着が不充分または不可能であった種々の材料に対し、表面処理などを行なわず直接優れた接着力を与えうる。つまりカルボキシル基などの他の官能基を含有する含フッ素重合体に比べ、また、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体であっても、ヒドロキシル基を有する非フッ素系単量体を共重合したものに比べ、耐熱性に優れており、高温での加工を必要とするものであっても加工時の分解などもより少なく抑えられ、大きな接着力をうることができる。また、着色や発泡のない積層体をうることができる。
また、本発明の含フッ素接着剤に用いる、前記ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体は、それ自体、耐熱性だけでなく、含フッ素ポリマーがもつ耐熱性、耐薬品性、耐候性、耐水性、電気絶縁性などの優れた特性を維持することができ、接着後の積層体に含フッ素ポリマーが有するこのような優れた特徴を低下させずに与えうる。
本発明の接着剤で用いるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体は、具体的には、(a)前記式(1):
CX2=CX1−Rf−CH2OH (1)
(X、X1は同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表わす)で示される少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
(b)該(a)成分と共重合可能な含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種70〜99.95モル%
とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体などがあげられる。
ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)はより具体的には式(4):
CF2=CF−Rf 5−CH2OH (4)
[式中、Rf 5は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または−ORf 6(Rf 6は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]、式(5):
CF2=CFCF2−ORf 7−CH2OH (5)
[式中、−Rf 7は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表わす]、式(2):
CH2=CFCF2−Rf 1−CH2OH (2)
[式中、−Rf 1は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基、または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]または式(6):
CH2=CH−Rf 8−CH2OH (6)
[式中、Rf 8は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基]で示されるものなどがあげられる。
式(2)および式(4)〜式(6)の官能基を有する含フッ素エチレン性単量体が、含フッ素エチレン性単量体(b−1)との共重合性が比較的良好な点で、また、共重合してえられた重合体の耐熱性を著しく低下させない理由で好ましい。
これらのなかでも、他の含フッ素エチレン性単量体との共重合性や、えられた重合体の耐熱性の面より式(4)、式(2)の化合物が好ましく、とくに式(2)の化合物が好ましい。
式(4)で示される官能基を有する含フッ素エチレン性単量体はさらに詳しくは
Figure 2004256820
などが例示される。式(5)で示される官能基を有する含フッ素エチレン性単量体としては、
Figure 2004256820
などが例示される。式(2)で示される官能基を有する含フッ素エチレン性単量体としては、
Figure 2004256820
などが例示される。式(6)で示される官能基を有する含フッ素エチレン性単量体としては、
Figure 2004256820
などが例示される。
その他
Figure 2004256820
などもあげられる。
本発明の接着剤に用いられる含フッ素重合体において、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)は、(a)と共重合可能なヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)と共重合される。
それによって、本発明の接着剤自体が、含フッ素ポリマー特有の優れた耐熱性、耐薬品性、耐候性、耐水性、電気絶縁性を有することができ、またそれを用いた積層体全体に前記と同様の優れた特性を与えることができる。
またさらに、官能基を含まない一般の含フッ素ポリマーとの接着性も良好なものとなりうる。
含フッ素エチレン性単量体(b)とは本質的にヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体であり、たとえばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、
Figure 2004256820
(式中、Xはいずれも水素原子、塩素原子またはフッ素原子、nはいずれも1〜5の整数)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類などがあげられる。
本発明の接着剤は、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)とヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)を必須成分とし、さらにフッ素を有さないエチレン性単量体を任意成分として共重合したものを用いることができる。
フッ素を有さないエチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性などを低下させないためにも炭素数5以下のエチレン性単量体から選ばれるものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどがあげられる。
本発明の含フッ素接着剤に用いられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体中のヒドロキシル基の含有率は、重合体中の単量体の全量の0.05〜30モル%である。
ヒドロキシル基の含有率は、接着される基材の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力、接着剤の形態と接着方法などの違いにより適宜選択されるが、好ましくは0.05〜20モル%、とくに好ましくは0.1〜10モル%である。
ヒドロキシル基の含有率が0.05モル%未満であると他の基材との接着性が充分えられにくく、薬品の浸透や温度変化などによる剥離などをおこしやすい。また、30モル%を超えると耐熱性を低下させ、高温での加工時の接着不良や着色や発泡、高温での使用時の分解による、剥離や着色・発泡、溶出などを起こしやすい。
本発明の含フッ素接着剤は、含フッ素エチレン性単量体(b)の種類、組合せ、組成比などを選ぶことによって樹脂状のもの、エラストマー状のもののどちらにもなりうる。接着の目的や用途、積層体の目的や用途に応じて、接着剤の性状は適宜選択できる。
本発明の含フッ素接着剤において、用いられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体の好ましい具体例としては、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)0.05〜30モル%とテトラフルオロエチレン70〜99.95モル%との共重合体(いわゆるヒドロキシル基を有するポリテトラフルオロエチレン(ヒドロキシル基を有するPTFE))があげられ、単量体の全量に対してヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)を0.05〜30モル%含み、さらに該(a)を除く単量体の全量に対して、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と前記式(3)
CF2=CF−Rf 3 (3)
[Rf 2は−CF3またはORf 4(Rf 4は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]
で示される単量体0.3〜15モル%との共重合体(ヒドロキシル基を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(ヒドロキシル基を有するPFA)またはヒドロキシル基を有するテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(ヒドロキシル基を有するFEP))、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)を単量体の全量に対し0.05〜30モル%含み、さらに単量体(a)を除いた単量体の全量に対して、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレン40〜80モル%、エチレン20〜60モル%、その他の共重合可能な単量体0〜15モル%との共重合体(ヒドロキシル基を有するエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ヒドロキシル基を有するETFE)または官能基を有するエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ヒドロキシル基を有するECTFE))などがあげられる。
なお、ヒドロキシル基を有するエチレン−テトロフルオロエチレン共重合体およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体に用いられるその他の共重合可能な単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブテン、
Figure 2004256820
(式中、XはH、ClまたはF、nは1〜5の整数を表わす)、パーフルオロ(アルキルビニルエテール)類などがあげられる。
これら例示のヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体は、なかでもとくに耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性(とくに高周波特性)、非粘着性に優れている点で好ましい。また前記例示のヒドロキシル基を含まない含フッ素ポリマー(PTFE、PFA、FEP、E(C)TFE)は、前記と同様な優れた特性をもつ反面、他の材料との接着性に関しては最も低い材料であり、接着性の改良や、他材との積層化が求められている点でもこれらの好ましいものである。
また、本発明の含フッ素接着剤は、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)0.05〜30モル%とフッ化ビニリデン70〜99.95モル%の共重合体(いわゆるヒドロキシル基を有するポリフッ化ビニリデン(ヒドロキシル基を有するPVDF))、単量体の全量に対して、(a)を0.05〜30モル%含み、さらに該(a)を除く単量体の全量に対して、フッ化ビニリデン50〜99モル%、テトラフルオロエチレン1〜30モル%との共重合体、単量体の全量に対して該(a)を0.05〜30モル%含み、さらに該(a)を除く単量体の全量に対して、フッ化ビニリデン60〜99モル%、テトラフルオロエチレン0〜30モル%、クロロトリフルオロエチレン1〜20モル%との共重合体、単量体の全量に対して、該(a)を0.05〜30モル%含む、さらに該(a)を除く単量体の全量に対して、フッ化ビニリデン60〜99モル%、テトラフルオロエチレン0〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%との共重合体なども好ましい具体例である。
これらのフッ化ビニリデンを主成分とする含フッ素重合体は耐候性などに優れ、さらに低温での成形や加工が可能であったり、また溶剤に可溶であったりするため、それほど耐熱性を有さない有機材料などとの積層化も可能となり、好ましい対象である。
また、本発明のエラストマー状の含フッ素接着剤の具体例としては、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)が単量体の全量に対して0.05〜30モル%、該(a)成分を除く単量体に対してフッ化ビニリデンが40〜90モル%、テトラフルオロエチレン0〜30モル%、ヘキサフルオロプロペンが10〜50モル%の共重合体、該(a)成分が全モノマーのモル数の合計に対して0.05〜30モル%、該(a)成分を除くモノマーのモル数の合計に対してテトラフルオロエチレンが40〜70モル%、プロピレン30〜60モル%、これらと共重合可能な成分(たとえばフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロビニルエーテル類など)0〜20モル%との共重合体、テトラフルオロエチレンとパーフルオロビニルエーテル類とからなる重合体であって、全モノマーのモル数の合計に対して該(a)成分が0.05〜30モル%、該(a)成分を除く単量体に対して、テトラフルオロエチレン40〜85モル%、パーフルオロビニルエーテル類15〜60モル%の重合体などがあげられる。
本発明の含フッ素接着剤は、前述のヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)と、ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)を周知の重合方法で共重合することによってうることができる。その中でも主としてラジカル共重合による方法が用いられる。すなわち重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、たとえば有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光、あるいは電離放射線などによって開始される。重合の種類も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合などを用いることができる。また、分子量は、重合に用いるモノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制御される。生成する共重合体の組成は、仕込みモノマーの組成によって制御可能である。
本発明の含フッ素接着剤は、それ自体が有する接着性と耐熱性や耐薬品性などを損なわないため、単独で接着に用いることが好ましいが、目的や用途に応じてその性能を損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、あるいはカーボンなどの種々の充填剤を配合できる。また、充填剤以外に、顔料、紫外線吸収剤、その他任意の添加剤を混合できる。添加剤以外にまた他のフッ素樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂、合成ゴムなどを配合することもできる。
本発明の含フッ素接着剤は、粉体やペレット、あらかじめ成形されたフィルムやシート、成形品、または水性分散体、有機溶剤可溶体または有機溶剤分散体など種々の形態で用いることができる。
これら種々の形状に加工された含フッ素接着剤をその他の基材と接触させ、たとえば加熱・加圧状態などに保つような操作を行なうことによってふたつの基材の良好な接着状態が形成される。
本発明の樹脂状の含フッ素接着剤、とくに溶融成形が可能な接着剤は、それ自身を成形材料として用いて、射出成形、押出成形、共押出成形、インフレーション成形、コーティング、金型などを用いるインサート成形などの従来公知の成形方法により、成形物を製造できる。また共押出成形により積層体を製造することもできる。また、フィルムやシートを製造し、このフィルムやシートを他の基材と積層して積層体を製造できる。
また、本発明のエラストマー状の含フッ素接着剤のばあいは加硫剤を混合して、加硫接着させることも可能である。加硫方法としては通常のフッ素ゴムの加硫方法である有機過酸化物加硫、ポリオール加硫、アミン加硫が採用可能である。
たとえば、有機過酸化物加硫に際しては、加硫部位を導入する目的でフッ素ゴムに臭素またはヨウ素を含有するモノマーを共重合したり、重合に際してヨウ素を含有する連鎖移動剤を用いてもよいし、また、臭素またはヨウ素を加硫部位としなくても、有機第四級アンモニウム塩や有機第四級ホスホニウム塩などの有機オニウム化合物、アミン、イミンなどの含窒素有機化合物、ホスフィン、ホスファイトなどの有機リン化合物のような有機塩基を加硫促進剤として用いてもよい。臭素またはヨウ素を加硫部位として導入するばあいには、加硫助剤として不飽和多官能性化合物が用いられる。また、有機塩基を加硫促進剤として用いるばあいには、受酸剤として2価の金属の酸化物または水酸化物が用いられる。
有機過酸化物としてはベンゾイルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーフェニルアセテートなどが用いられる。不飽和多官能性化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリブタジエンなどが用いられる。
有機塩基としては、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムブロマイド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライド、p−トルエンスルホン酸1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム、テトラブチルホスホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、トリブチルアミン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスファイトなどが用いられる。
また、加硫剤としてポリヒドロキシ化合物を用いるポリオール加硫のばあいには、加硫促進剤として有機オニウム化合物、受酸剤として2価の金属の酸化物や水酸化物が用いられる。ポリヒドロキシ化合物としては、フッ素ゴムのポリオール加硫に用いられる公知の化合物はすべて使用可能であり、中でも、ビスフェノールAF、ビスフェノールA、ヒドロキノンなどの芳香族ポリヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。
有機オニウム化合物としては、フッ素ゴムのポリオール加硫に用いられる公知の化合物はすべて使用可能であり、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライドなどの第四級ホスホニウム塩、テトラブチルアンモニウムブロマイド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩、イミニウム塩、スルホニウム塩などが用いられる。
また、加硫剤としてポリアミン化合物を用いるアミン加硫のばあいには受酸剤として2価の金属の酸化物や水酸化物が用いられる。ポリアミン化合物としては、フッ素ゴムのアミン加硫に用いられる公知の化合物はすべて使用可能であり、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンジカルバメート、ジシンナミリデンヘキサメチレンジアミンなどが用いられる。また、受酸剤としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉛などの酸化物または水酸化物が用いられる。
こうしてえられたエラストマー状の含フッ素接着剤は押出し、共押出し、カレンダー、コーティング、金型などを用いるインサート成形などの従来公知の方法により他の有機または無機材料に接着、または積層させることが可能である。それらの方法により、たとえば、本発明のエラストマー状接着剤と他のポリマーとの2層の積層フィルム、本発明のエラストマー状接着剤を接着層として両面に他のポリマーを積層させた3層以上の積層体、本発明のエラストマー状接着剤を被覆させた金属、ガラスやセラミクスなどの無機材料、本発明のエラストマー状接着剤を接着層とし他のポリマーを被覆させた金属、ガラスやセラミックスなどの無機材料などがえられる。
以上にあげた本発明の種々の含フッ素接着剤は、粉体の表面処理や塗料としても使用可能である。
たとえば、本発明の含フッ素接着剤の粉体や、水性分散体、有機溶剤分散体、また有機溶剤可溶体とすることによって、塗料用の組成物とすることができ、接着剤に用いるポリマーがもつ種々の基材との接着性を利用し、含フッ素塗料用のプライマーとして用いることができる。詳しくは、請求項5記載の接着剤を水性分散体としたもの、請求項6記載の接着剤を水性分散体または有機溶剤分散体や粉体としたもの、請求項7記載の接着剤を粉体としたもの、請求項8記載の接着剤を有機溶剤分散体や粉体としたもの、請求項9記載の接着剤を水性分散体や、有機溶剤可溶体および粉体としたものなどは、それぞれの接着剤に相当するヒドロキシル基を含まないフッ素樹脂塗料のプライマーとして利用できる。
本発明の第2は、本発明の含フッ素接着剤を用いて成形してなる含フッ素接着性フィルムである。
複合材料の開発、接着作業の合理化、自動化、公害防止の観点から、ホットメルト接着剤は進歩してきたが、一般のホットメルト接着剤はアプリケーターの使用が必要条件となる。これに対し、フィルム状接着剤は、アプリケーターを必要とせず基材の上にまたは間に挟み込み熱圧着することにより接着でき、工程的にも有利である。
また、基材の全面に均一な接着層を形成するため、接着むらのない均一な接着力がえられ、相溶性のないまたはわるい基材にも対応できる。
また、さらに種々の形状にカットして使用でき、作業ロスが少なく作業環境もよく、コスト的にも有利である。
本発明の含フッ素接着性フィルムは以上の利点を同様に有しているものである。
本発明の含フッ素接着性フィルムは
(a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体の少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
(b)該(a)成分と共重合可能な含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%
とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体を成形してなる含フッ素接着性フィルムであり、表面処理や一般の接着剤の使用を行なわなくとも、他の種々の基材と接着させることができ、それによって基材にフッ素ポリマーの優れた特性を与えうる。
前述に示した含フッ素接着剤のなかから、用途や目的、フィルム製造工程、接着方法に応じて種々の接着剤を用いた接着性フィルムの製造が可能であるが、接着性フィルム自体が耐熱性、耐薬品性、機械特性、非粘着性などを有すること、溶融成形などに代表される効率的なフィルム成形が可能であり、良好な成形性をもち、薄膜化や均一化が可能であること、また種々の熱圧着法により溶融し、種々の基材に強固に、きれいに接着させることができること、などの理由で、請求項5、6、7または8記載の接着剤を用いて成形した含フッ素接着性フィルムが好ましい。
本発明の含フッ素接着性フィルムの厚さは、目的や用途により選択され、とくに限定されないが、10〜3000μmのものが用いられ、好ましくは20〜500μm、とくに好ましくは40〜300μmである。
薄すぎるフィルムは、特殊な製造方法が必要であったり、接着操作を行なうときの取扱いが困難でしわや破損、外観不良が起こりやすく、また接着強度、機械的強度、耐薬品性、耐候性の点でも不充分となるばあいがある。厚すぎるフィルムはコスト、接合して一体化するときの作業性の点で不利となる。
本発明の含フッ素接着性フィルムの第2は、
(A−1)請求項1記載の含フッ素接着剤と
(B−1)側鎖に官能基を有さない含フッ素エチレン性重合体とを積層してなる含フッ素接着性フィルムである。
つまり、一面は、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる層により、他の基材との接着性を有し、もう一方の面は、一般の含フッ素ポリマーからなる層で、含フッ素接着剤の面を基材に接触させ、熱圧着などの操作により接着させることにより、含フッ素ポリマーの優れた耐薬品性、耐候性、耐汚染性、非粘着性、低摩擦性、電気特性(高周波電気絶縁性)などの優れた特性を基材または基材を含めた積層体に与えうる。
本発明の(A−1)、(B−1)を積層してなる接着性フィルムにおいて側鎖に官能基を有さない含フッ素エチレン性重合体(B−1)は具体的にはPTFE、PFA、FEP、ETFE、ECTFE、PVDF、フッ化ビニリデン系共重合体が前述の含フッ素ポリマーの優れた特性を、基材、基材を含めた積層物に与えることができ、好ましい。
本発明の2層の積層体からなる含フッ素接着性フィルムは目的、用途、加工方法などにより種々選択できるが、2層の各層は、互いに接着性、相溶性の良好な組合せが好ましい。
具体的には、2層のうち接着性を有する層(A−1)は、含フッ素重合体からなる層(B−1)と同等のモノマー構成、組成に、接着性を付与するヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)を共重合してえられる重合体から選択されることが好ましい。
さらに具体的には、
i)(A−1)請求項4記載の接着剤(いわゆるヒドロキシル基を有するPTFE)または請求項5記載の接着剤(いわゆるヒドロキシル基を有するPFAまたはFEP)からなる層と
(B−1)PTFE、PFAおよびFEPよりなる群から選ばれた少なくとも1種の重合体からなる層とを積層してなる含フッ素接着性フィルムが、耐熱性において最も高く、耐薬品性、非粘着性、低摩擦性、電気絶縁性などの優れた特性を有している点で好ましい。
ii)(A−1)請求項6記載の接着剤(いわゆるヒドロキシル基を有するETFE)からなる層と
(B−1)ETFEからなる層とを積層してなる含フッ素接着性フィルムが、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的性質などに加え、溶融成形加工性に優れている点で好ましい。
iii)(A−1)請求項7記載の接着剤(いわゆるヒドロキシル基を有するPVDF)、請求項8記載の接着剤から選ばれる少なくとも1種からなる層と
(B−1)PVDF、フッ化ビニリデン系共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の重合体からなる層を積層してえられる含フッ素接着性フィルムが耐候性、成形加工性に優れている点で好ましい。
本発明の2層からなる含フッ素接着性フィルムの厚さは、目的や用途により選択され、とくに限定されないが、2層合わせて20〜5000μm、好ましくは40〜1000μm、とくに好ましくは50〜500μmである。
各層の厚みは、接着層(A−1)5〜1000μm、含フッ素ポリマー層(B−1)15〜4995μm程度のものが使用でき、好ましくは接着層(A−1)10〜500μm、含フッ素ポリマー層(B−1)30〜990μm、とくに好ましくは(A−1)10〜200μm、(B−1)40〜490μmである。
本発明においては、含フッ素接着性フィルム中に特性を損なわない範囲で適当な補強剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料その他適宜添加剤を含有せしめることも可能である。かかる添加剤によって、熱安定性の改良、表面硬度の改良、耐摩耗性の改良、耐候性の改良、帯電性の改良、その他を向上せしめることも可能である。
本発明の含フッ素接着性フィルムは、それに用いた重合体の種類や、目的となるフィルムの形状により、熱溶融法、押出法、切削法、溶剤キャスティング、粉体、水性または有機溶剤分散体を塗装したのち連続した皮膜とし、フィルムをうる方法など種々の製法によりうることができる。
たとえば、請求項4記載(ヒドロキシル基を有するPTFE)のような溶融成形が困難な接着剤は、圧縮成形、押出成形(ラム押出、ペースト押出と圧延加工など)などにより成形でき、また、請求項5項、6、7または8で記載された重合体のように溶融成形可能な接着剤においては、圧縮成形、押出成形などが採用され、とくに生産性、品質面などの理由から溶融押出成形が好ましい方法である。
本発明の(A−1)と(B−1)の2層からなる接着性フィルムの接合一体化は、(A−1)と(B−1)のそれぞれの成形フィルムを重ね合わせて圧縮成形する方法、また一方の成形フィルム上に他方を塗装する方法、多層共押出成形法により、フィルム成形と同時に接合一体化を達成する方法などが採用でき、なかでも生産性や品質面で多層共押出成形法が好ましい。
本発明の含フッ素接着性フィルムの他の基材との接着は、加熱などによる熱活性化によって達成され、さらには熱溶融接着が好ましい。代表的な接着方法として熱ロール法や、熱プレス法であり、その他、高周波加熱法、マイクロ法、真空圧着法(真空プレスなど)、空気圧法などがあり、相手基材の種類や形状やフィルムの状態と種類などによって適宜選択できる。
本発明の含フッ素接着性フィルムは、前記のごとく種々の形状、大きさ、厚さなどにより構成され、種々の基材に対する優れた接着性と、含フッ素ポリマーのもつ優れた特性により、広範囲の用途に使用されうる。たとえば、金属製の管や棒の外装または内装保護被覆のごとき管状、平板状、屈曲板状、わん曲板状、その他適宜である。用途の具体例としては、化学プラント配管に巻きつける防食テープ、同じく罐体の底部に巻く防食テープ、船舶のデッキなどの配管の防食を目的としたテープ、その他の配管用防食テープ、看板、農業用その他の温室の屋根あるいは側壁、外装材、太陽電池の表面のような耐候性を付与する用途、また耐汚染性の優れた内装材にも適している。さらに、食品包装、薬品包装のような耐薬品性を必要とする用途にも使用できる。
また、コピー機、プリンターなどの定着ロールや加圧ロール、食品加工装置、調理機器などの非粘着性・低摩擦性を必要とする用途、プリント基板などの電気特性を必要とする用途、撥水ガラスなどの撥水性を必要とする用途、その他液晶ディスプレイなどの液晶関連材料、自動車関連材料などに使用できる。
本発明の第3は、本発明の含フッ素接着剤と基材と接着してなる積層体に関するものである。
本発明のヒドロキシル基を有する含フッ素重合体からなる接着剤は、基材に表面処理などを行なわずとも直接種々の無機材料や有機材料などの基材と良好な接着性を有し、種々の積層体を形成することができる。
本発明の積層体の第1は、
(A−2)請求項1記載のヒドロキシル基を有する含フッ素重合体からなる接着剤と
(C−1)無機材料とからなる積層体
である。
無機材料(C−1)は具体的には、金属系材料やシリコン系材料、その他セラミックス、ホウ素系材料、炭素系材料などがあげられる。
金属系材料は金属および2種以上の金属による合金類、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩などの金属塩類も含まれる。
そのなかでも金属および金属酸化物、合金類が接着性においてより好ましい。
本発明の積層体において、用いられる金属系材料(C−1)の種類は、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、モリブテン、マグネシウム、マンガン、銅、銀、鉛、スズ、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルトなど金属や金属化合物およびこれらの2種以上からなる合金類などがあげられ、目的や用途により選択できる。
合金類の具体例としては炭素鋼、Ni鋼、Cr鋼、Ni−Cr鋼、Cr−Mo鋼、ステンレス鋼、ケイ素鋼、パーマロイなどの合金鋼、Al−Cl、Al−Mg、Al−Si、Al−Cu−Ni−Mg、Al−Si−Cu−Ni−Mgなどのアルミニウム合金、黄銅、青銅(ブロンズ)、珪素青銅、珪素黄銅、洋白、ニッケル青銅などの銅合金、ニッケルマンガン(Dニッケル)、ニッケル−アルミニウム(Zニッケル)、ニッケル−珪素、モネルメタル、コンスタンタン、ニクロムインコネル、ハステロイなどのニッケル合金などがあげられる。
また、金属の腐食防止などを目的として、金属表面に電気メッキ、溶融メッキ、クロマイジンク、シリコナイジング、カロライジング、シェラダイジグ、溶射などを施して他の金属を被膜したり、リン酸塩処理によりリン酸塩皮膜を形成させたり、陽極酸化や加熱酸化により金属酸化物を形成させたり、電気化学的防食を施してもよい。
さらに、接着性をさらに向上させることを目的として、金属表面をリン酸塩、硫酸、クロム酸、シュウ酸などによる化成処理を施したり、サンドブラスト、ショットブラスト、グリットブラスト、ホーニンク、ペーパースクラッチ、ワイヤースクラッチ、ヘアーライン処理などの表面粗面化処理を施してもよく、意匠性を目的として、金属表面に、着色、印刷、エッチングなどを施してもよい。
なお、接着性がより良好で、含フッ素ポリマーを積層することにより優れた機能を付与することが求められているものとして、アルミニウム系金属材料、鉄系金属材料および銅系金属材料が好ましい。
シリコン系材料とは、ガラス系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、粘土類、セメントなどがあげられ、そのなかでもガラス系材料が接着性も良好でかつ、フッ素ポリマーを積層することにより優れた機能を付与することが求められている点で好ましい。
本発明の含フッ素接着剤(A−2)と無機材料(C−1)からなる積層体において好ましい組合せの具体例は、
i)(A−2)請求項4、5、6、7または8記載の含フッ素接着剤と
(C−1)アルミニウム系金属材料
からなる積層体があげられる。アルミニウム系金属材料としては、純アルミニウム、アルミニウムの酸化物、Al−Cu系、Al−Si系、Al−Mg系およびAl−Cu−Ni−Mg系、Al−Si−Cu−Ni−Mg系合金、高力アルミニウム合金、耐食アルミニウム合金などの鋳造用または展伸用のアルミニウム合金を用いることができる。また、さらに上記アルミニウムまたはアルミニウム合金表面に防食、表面硬化、接着性の向上などを目的に、苛性ソーダ、シュウ酸、硫酸、クロム酸を用いた陽極酸化を行なって酸化皮膜を形成させたもの(アルマイト)や、その他前述の表面処理を施したものを用いることもできる。
ii)(A−2)請求項4、5、6、7、8記載の含フッ素接着剤と
(C−1)鉄系金属材料
からなる積層体があげられる。鉄系金属材料としては、純鉄、酸化鉄、炭素鋼、Ni鋼、Cr鋼、Ni−Cr鋼、Cr−Mo鋼、Ni−Cr−Mo鋼、ステンレス鋼、ケイ素鋼、パーマロイ、不感磁性鋼、磁石鋼、鋳鉄類などを用いることができる。
さらに前述と同様に、表面に他の金属をメッキしたもの、たとえば溶融亜鉛メッキ鋼板、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、亜鉛ニッケルメッキ鋼板、亜鉛アルミニウム鋼板など、浸透法、溶射法により他の金属を被膜したもの、クロム酸系やリン酸系の化成処理または加熱処理により酸化皮膜を形成させたもの、電気的防食法を施したもの(たとえばカルバニック鋼板)などを用いることができる。
i)、ii)はそれぞれ、アルミニウム系材料や鉄系材料に耐食性、防錆性、耐薬品性、耐候性、非粘着性、摺動性を与えることができ、建材、化学プラント、食品加工、調理機器、住宅設備機器、家電製品関連部品、自動車関連部品、OA関連部品など種々の用途への展開が可能である点で好ましい。またさらに
iii)(A−2)請求項4、5記載の含フッ素接着剤と
(C−1)銅系金属材料からなる積層体
は吸水性も低く、銅系材料にフッ素樹脂の優れた電気特性(とくに高周波電気絶縁性)を与え、高周波用プリント基板、電気電子部品などの電気電子関連用とへの展開が可能であり好ましい対象である。
iv)(A−2)請求項5、6、7または8記載の含フッ素接着剤と
(C−1)ガラス系材料
とからなる積層体は透明性を有し、さらにガラス表面に、撥水性、撥油性、反射防止性、低屈折率性などを与え、光学関連部品、液晶関連部品、建材用ガラス、ガラス調理機器、自動車用ガラスなどに用いることができる。また、ガラスの破損防止の役割もはたし、照明関連機器などに用いることができ、好ましい対象である。
また、本発明の含フッ素接着剤(A−2)と無機材料(C)からなる積層体は、さらに接着剤側に側鎖に官能基を有さない含フッ素重合体を積層することができる。
つまり(A−4)請求項1の含フッ素接着剤と
(B−2)側鎖に官能基を含まない含フッ素重合体と
(C−2)無機材料からなる積層体であって、
(A−4)が(B−2)と(C−2)との間に位置し、接着層を形成した積層体であり、無機材料に含フッ素ポリマーの優れた特性をより効果的に与えることができる。
このばあい、これら3層からなる積層体の接着層に用いる含フッ素接着剤(A−4)は、外層の含フッ素重合体(B−2)と同様の重合体でヒドロキシル基を含有するものが互いの接着性の点で好ましい。たとえば
i)(A−4)が請求項4または5記載の接着剤、
(B−2)がPTFE、PFA、FEPから選ばれる重合体、
(C−2)が無機材料である積層体、
ii)(A−4)が請求項6記載の接着剤、
(B−2)がETFE、
(C−2)が無機材料である積層体、
iii)(A−4)が請求項7または8記載の接着剤、
(B−2)がPVDFまたはVDF系共重合体から選ばれる重合体、
(C−3)が無機重量である積層体
が好ましい例示である。
本発明の無機材料(C−1)との積層体において含フッ素接着剤層(A−2)や、含フッ素重合体層(B−2)に接着性やその他含フッ素ポリマーの特性を損なわない範囲で適当な補強剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料その他適宜添加剤を含有せしめることも可能である。かかる添加剤によって、熱安定性の改良、表面硬度の改良、耐摩耗性の改良、耐候性の改良、帯電性の改良、その他の性質を向上せしめることも可能である。
本発明の積層体の第2は、
(A−3)請求項1記載のヒドロキシル基含有含フッ素重合体からなる接着剤
(D−1)含フッ素ポリマーを除く有機材料とからなる積層体である。
つまり本発明の含フッ素接着剤(A−3)は含まれるヒドロキシル基の効果により含フッ素ポリマー以外の有機材料においても、良好な接着性を与える。
本発明の積層体における有機材料とは、合成樹脂、合成ゴム、合成繊維、合成皮革などの合成高分子材料、天然ゴム、天然繊維、木材、紙類、皮革類などの天然の有機物、または、それらの複合物である。
そのなかでも、非フッ素系ポリマー材料が含フッ素ポリマーと積層することにより、互いの欠点となる性能を補い合い、種々の用途に用いられる点で好ましい。
非フッ素系ポリマーは、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、アクリル系、酢ビ系、ポリオレフィン、塩ビ系、ポリカーボネート、スチレン系、ポリウレタン、ABS、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、ポリスルホン、PPO、ポリアラミド、ポリアセタール、ポリエーテルイミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル、セロハンなどがあげられる。
それらのなかでも分子中に官能基または極性基を有するポリマー材料が本発明の接着剤との接着性において好ましく、さらに耐熱性の高いポリマー材料が、フッ素樹脂の高い成形温度にも耐え、積層体全体の耐熱性を維持し、含フッ素ポリマーの優れた特性とその他のポリマー材料の特徴を合わせもった積層体をうることができる点で好ましい。
具体的にはポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィッド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、ポリスルホン、PPO、ポリエーテルイミド、ポリアセタールなどが好ましく、その中でも溶融成形性がよく、ポリマー自体が機械的特性に優れており、さらにフッ素樹脂と積層化することによって、これらに優れた耐薬品性、耐溶剤性、溶剤不透過性、耐候性、防汚性、光学特性(低屈折率性)を付与することが求められている。ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどがとくに好ましい例示である。
本発明の含フッ素接着剤(A−3)と有機材料(D−1)とからなる積層体において、各層に接着性やその他の含フッ素ポリマーの特性を損なわない範囲で適当な補強剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、その他適宜添加剤を含有せしめることも可能である。かかる添加剤によって、熱安定性の改良、表面硬度の改良、耐摩耗性の改良、耐候性の改良、帯電性の改良、その他を向上せしめることも可能である。
本発明の積層体の製法は、含フッ素接着剤の種類形態、無機材料の種類や形状、有機材料の種類や形状によって適宜選択される。
たとえば、含フッ素接着剤を用いて請求項9や11に記載されているような含フッ素接着性フィルムを作成し、無機または有機材料と重ね合わせ前記したような加熱による熱活性化によって積層する方法、また、無機材料や有機材料の上に、含フッ素接着剤を水性または有機溶剤分散体、有機溶剤可溶体、粉体などの形態とし、塗布し、加熱などによる熱活性化させる方法、さらに含フッ素接着剤が溶融成形可能なばあいはインサート成形法、また溶融成形可能な含フッ素接着剤と熱可塑性ポリマーとを積層するばあいは、共押出法などが採用できる。
これらの方法により本発明の積層体はホース、パイプ、チューブ、シート、シール、ガスケット、パッキング、フィルム、タンク、ローラー、ボトル、容器などの形状に成形できる。
実施例
つぎに本発明を参考例、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
合成例1
(ヒドロキシル基を有するPFAの合成)
撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空にし、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式7)
Figure 2004256820
の5.0g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)130g、メタノール180gを窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を35℃に保った。
撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒素を用いて圧入して反応を開始した。
重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
テトラフルオロエチレンの供給を続けながら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60g消費されるごとに、前記のヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体(前記式(7)で示される化合物)の2.5gを計9回(計22.5g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約600g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよびR−114を放出した。
えられた共重合体を水洗、メタノール洗浄を行なったのち、真空乾燥することにより710gの白色固体をえた。えられた共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析によりTFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体)=97.0/2.0/1.0モル%であった。また、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。DSC分析によりTm=305℃、DTGA分析により分解開始点365℃、1%熱分解温度Td=375℃であった。高化式フローテスターを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフローレートを測定したところ32g/10minであった。
えられた白色粉末を2軸押出機(東洋精機(株)ラボプラストミル)にて350〜370℃で押出しを行ないペレットを作製した。
合成例2
(ヒドロキシル基を有するPFAの合成)
撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空にし、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
ついで、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7))の2.5g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)132g、メタノール230gを窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を35℃に保った。
撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒素を用いて圧入して反応を開始した。
重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
テトラフルオロエチレンの供給を続けながら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60g消費されるごとに、前記のヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体(前記式(7)で示される化合物)の1.23gを計9回(計11.10g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約600g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよびR−114を放出した。
えられた共重合体を水洗、メタノール洗浄を行なったのち、真空乾燥することにより680gの白色固体をえた。えられた共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析によりTFE/PPVE/(式(7)で示されるヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体)=97.6/2.0/0.4モル%であった。また、赤外スペクトルは3620〜3400cm-1に−OHの特性吸収が観測された。DSC分析によりTm=310℃、DTGA分析により分解開始温度368℃、1%熱分解温度Td=375℃であった。高化式フローテスターを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフローレートを測定したところ42g/10minであった。
えられた白色粉末を2軸押出機(東洋精機(株)ラボプラストミル)にて350〜370℃で押出しを行ないペレットを作製した。
合成例3
(官能基を含まないPFAの合成)
参考例1において、パーフルオロ(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネノール)(式(7)で示される化合物)を用いないこと、さらにメタノールを240g使用すること以外は、参考例1と同様にして合成を行ない、官能基を含まないPFA597gをえた。
参考例1と同様にして、えられたPFAを分析したところ
TFE/PPVE=98.2/1.8モル%
Tm=310℃
Td=469℃(1%重量減)
メルトフローレート=24g/10min
であった。
えられた白色粉末を合成例1と同様にて押出を行ないペレットを作製した。
合成例4
(メチルエステル基を有するPFAの合成)
撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた6リットルのガラスライニング製オートクレーブに純水1500mlを入れ、窒素ガスで充分置換したのち、真空にし、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R−114)1500gを仕込んだ。
ついで、パーフルオロ−(9,9−ジハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン酸)メチル(式8)
Figure 2004256820
の2.7g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)130g、メタノール220gを窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を35℃に保った。
撹拌を行ないながらテトラフルオロエチレンガス(TFE)を内圧が8.0kgf/cm2Gとなるように圧入した。ついで、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.5gを窒素を用いて圧入して反応を開始した。
重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点でテトラフルオロエチレンガスで8.0kgf/cm2まで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。
テトラフルオロエチレンの供給を続けながら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約60g消費されるごとに、前記のヒドロキシ基を有する含フッ素エチレン性単量体(前記式(7)で示される化合物)の2.7gを計9回(計24.3g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約600g消費された時点で供給を止めオートクレーブを冷却し、未反応モノマーおよびR−114を放出した。
えられた共重合体を水洗、メタノール洗浄を行なったのち、真空乾燥することにより710gの白色固体をえた。えられた共重合体の組成は19F−NMR分析、IR分析によりTFE/PPVE/(式(8)で示されるメチルエステル基を有する含フッ素エチレン性単量体)=97.8/1.0/1.2モル%であった。また、赤外スペクトルは1795cm-1に−COOMeの特性吸収が観測された。DSC分析によりTm=308℃、DTGA分析により1%熱分解温度Td=376℃であった。高化式フローテスターを用いて直径2mm、長さ8mmのノズルを用い、372℃で予熱5分間、荷重7kgf/cm2でメルトフローレートを測定したところ29g/10minであった。
合成例5
(カルボキシル基を有するPFAの合成)
合成例4でえたメチルエステル基を有するPFAの白色粉末10gを、NaOH40gをメタノール600ml、水200ml混合溶剤に溶かしたものに加え、70〜75℃で5時間撹拌した。
冷却後、2N−HCl水を溶液のpHが2となるまで加え、3時間撹拌した。
白色粉末をとり出し、水洗、メタノール洗浄を行い、100℃で乾燥した。
IR分析よりカルボキシル基のカルボニル基の吸収が1700cm-1に、OH基の吸収が3200〜3700cm-1に新たに観測された。
合成例6
(フッ素を有さない官能基含有単量体を用いた含フッ素重合体の合成)
撹拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた1リットルのステンレス製オートクレーブに、酢酸ブチル250g、ピバリン酸ビニル(VPi)36.4g、フッ素を有さないヒドロキシル基含有単量体として、4−ヒドロキシルブチルビニルエーテル(HBVE)32.5g、イソプロポキシカルボニルパーオキサイド4.0gを仕込み、0℃に氷冷し、窒素ガスで充填置換したのち真空にし、イソブチレン(IB)47.5gとテトラフルオロエチレン(TFE)142gを仕込んだ。
撹拌を行いながら40℃に加熱し、30時間反応させ、反応容器内圧力が2.0kg/cm2以下に下がった時点で反応を停止した。オートクレーブを冷却し、未反応のガスモノマーを放出したところ、含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液がえられた。ポリマー濃度は45%であった。
えられた含フッ素共重合体の酢酸ブチル溶液から、再沈法により含フッ素共重合体を取り出し、充分減圧乾燥させることにより単離した。1H−NMR、19F−NMR元素分析によりえられた含フッ素共重合体を分析したところ、TFE/IB/VPi/HBVE=44/34/15/7モルからなる共重合体であった。
参考例1
(ヒドロキシル基を有するPFAのフィルムの作製)
合成例1でえた8.0gのペレットを100mmφの金型に入れ350℃に設定したプレス機にセットし予熱を30分行なったのち、70kg/cm2で1分間圧縮成形を行ない、厚さ0.5mmのフィルムをえた。
参考例2
(ヒドロキシル基を有するPFAのフィルムの作製)
合成例2でえたペレットを用いたこと以外は参考例1と同様にして厚さ0.5mmのフィルムをえた。
参考例3
(官能基を含まないPFAのフィルムの作製)
合成例3でえたペレットを用いたこと以外は参考例1と同様にして厚さ0.5mmのフィルムをえた。
参考例4
(ヒドロキシル基を有するPFAの押出によるフィルムの作製)
合成例2でえたペレットを用いて、単軸押出機(東洋精機(株)ラボプラストミル)にて360℃〜380℃、ロール温度120℃で押出を行ない、巾10cm、厚さ100〜150μmのフィルムをえた。
参考例5
(官能基を含まないPFAの押出によるフィルムの作製)
合成例3でえたペレットを用いたこと以外は参考例4と同様にして巾10cm、厚さ100〜150μmのフィルムをえた。
参考例6
(ヒドロキシル基を有するPFAとPTFEとの積層フィルム)
参考例1でえたヒドロキシル基を有するPFAフィルムと厚さ0.5mmのPTFEフィルムを重ね合わせ、参考例1と同様にして圧縮成形した。
2層は互いに強固に接着していた。
参考例7
(メチルエステル基を有するPFAフィルムの作成)
合成例4でえた白色粉末8.0gを用い、参考例1と同様にして厚さ0.5mmのフィルムをえた。
実施例1〜4
(ヒドロキシル基を有するPFAと金属との接着性試験)
金属板として、厚さ0.5mmの脱脂したクロム酸、処理アルミ、純アルミ、鋼板を用いて、ヒドロキシル基を有するPFAフィルム(参考例1、2のフィルム)との接着性試験を以下のように行なった。結果を表1に示した。
(剥離試験用の試験片の作製)
図1に示すように参考例でえたヒドロキシル基を有する含フッ素フィルムと、厚さ0.1mmのスペーサー(アルミ箔)を2枚の金属板の間にはさみ、350℃に設定したプレス機にセットし、予熱(20分間)したのち、50kg/cm2で1分間加圧した。
えられた積層体の接着層はいずれも0.1mmであった。さらに積層体を巾25mmに切断し、図1に示すようにスペーサー部分をT型に曲げ、剥離試験用の試験片とした。
(剥離試験)
JIS K6854−1977のT型剥離試験方法に基づき、オリエンテック(株)製テンシロン万能試験機を用い、室温下、クロスヘットスピード50mm/minで測定した。測定は最大剥離強度(kgf/25mm)と最小剥離強度(kgf/25mm)を示した。
比較例1〜3
(官能基を含まないPFAと金属との接着性試験)
参考例1、2のヒドロキシル基を有するPFAフィルムにかえて参考例3でえた官能基を含まないPFAフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして試験片の作製および剥離試験を行なった。結果を表1に示した。
実施例6〜7
(ヒドロキシル基を有するPFAとガラスとの接着性試験)
ガラス板として30×20×5mmのパイレックスガラスを用いて、ヒドロキシル基を有するPFAとの接着性試験を以下のように行なった。
さらに接着後の積層体の耐温水性試験およびメタノール浸漬試験も行なった。結果を表2に示した。
(引張剪断試験用の試験片の作製)
図2に示すように参考例でえたヒドロキシル基を有するPFAフィルム(20×10mm)をパイレックスガラス板の間にはさみ、3kgの荷重をのせ、電気炉のなかで350℃、30分間放置し、試験片をえた。接着層の膜厚は、スペーサーにより0.1mmに調整した。
(接着強度)
引張剪断法により接着強度を測定した。図3に示すようなサンプル形状にあわせた試験用治具をオリエンテック(株)製テンシロン万能試験機にセットし、クロスヘッドスピード20mm/minで引張剪断試験を行なった。測定は最大接着強度(kgf/cm2)を示した。
(耐温水性試験)
前記に示した方法で作製した試験片を用いて、50℃の温水に浸漬し、6時間後の接着性を観察し、72時間後の接着強度(kgf/cm2)を測定した。
(メタノール浸漬試験)
前記に示した方法で作製した試験片を用いて室温でメタノール中に浸漬させ接着性を観察した。
比較例4
(官能基を含まないPFAとガラスとの接着性試験)
参考例1、2のヒドロキシル基を有するPFAフィルムにかえて参考例3でえた官能基を含まないPFAフィルムを用いたこと以外は実施例6と同様にして試験片の作製および各種試験を行なった。
実施例8
(ヒドロキシル基を有するPFAとステンレスとの接着)
金属板として、長さ150mm、幅70mm、厚さ0.5mmの脱脂したSUS304鋼板を用いて以下のようにしてラミネート試験板を作成した。参考例4でえたヒドロキシル基を含むPFAフィルムと参考例5でえた官能基を含まないPFAフィルムを前記SUS板と同じサイズに切断した。
さらに離型用フィルムとしてポリイミドフィルム(デュポン製カプトン200−H)も同様のサイズに切断した。
ついで、図4に示すようにSUS板2枚の間に、前記のヒドロキシル基含有PFAフィルム、官能基を含まないPFAフィルム、ポリイミドフィルムをはさみ、350℃に設定したプレス機にセットし、予熱(20分間)したのち、50kg/cm2で1分間加圧した。
冷却後、ポリイミドフィルムに接するSUS板(図4中の符号1)を取り除いたところ、ポリイミドフィルムが官能基を含まないPFAフィルム(図4中の符号4)の界面で自然剥離した。
その結果、図5に示したようなヒドロキシル基を有するPFAフィルム(図5中の符号2)を接着層とした、透明性の良好なSUS板(図5中の符号1)とPFAフィルム(図5中の符号3)との3層積層体がえられた。
さらに、えられた図5のPFAラミネート板にカッターナイフで素地に達するまで1mm角の基盤目を100個つくり、基盤目の中央をエリクセン試験機で5mm押し出した。その結果、フィルムは全く剥離せず、素地に強固に密着した。
PFAフィルムはSUS板に強固な接着性を示した。
比較例5
(官能基を含まないPFAフィルムとステンレスとの接着)
ヒドロキシル基を有するPFAフィルムを用いないこと以外は実施例8と同様にして図6に示したSUS板と官能基を含まないPFAフィルムとの積層体をえた。
えられたラミネートSUS板は見た目では接着しているが、容易に剥離させることができた。
さらに、実施例8と同様にエリクセン試験を行った。基盤目100個中60個において、切り目を中心に剥離した。
実施例9
(ヒドロキシル基を有するPFAフィルムとポリイミドフィルムとの接着)
参考例4でえたヒドロキシル基を含むPFAフィルム、参考例5でえた官能基を含まないPFAフィルムおよびポリイミドフィルム(実施例8と同じもの)を実施例8と同様の大きさに切断し、図7に示すようにSUS板2枚の間にはさみ、実施例8と同様にしてプレス機で加熱した。冷却後SUS板(図7中の符号1)をはがし、図8に示したような積層体をえた。さらに積層体を幅25mmに切断した。
ポリイミドフィルム層(図8中の符号4)とヒドロキシル機含有PFAフィルム層(図8中の符号2)の界面を一部はがし、図9に示す方向で、実施例1と同様にT型剥離試験を行なったところ、面積法による平均剥離荷重で4.0kgf/25mmの接着性を示した。
比較例6
(官能基を含まないPFAフィルムとポリイミドフィルムとの接着)
実施例9でえた幅25mmの積層体のポリイミドフィルム層(図8中の符号4)と官能基を含まないPFAフィルム層の界面を一部はがし、図10に示す方向で実施例9と同様にT型剥離試験を行なったが、接着力を示さなかった。
実施例10
(ヒドロキシル基を含むPFAフィルムと多結晶シリコンとの接着)
長さ100mm、幅50mmの多結晶シリコン板に同じ大きさに切断したヒドロキシル基を含有するPFAフィルム(参考例4でえたもの)、官能基を含まないPFAフィルム(参考例5でえたもの)、ポリイミドフィルム(実施例8と同じもの)およびガラス板を図11に示すように重ね、ガラス板の上に1.5kgの荷重をかけ、350℃で20分間加熱した。
冷却後、ガラス板(図11中の符号5)を取り除き、ポリイミドフィルム(図11中の符号4)をはがし、図12に示したようなヒドロキシル基を含むPFAフィルム(図12中の符号2)を接着層とした透明性の良好な多結晶シリコン板(図12中の符号1)とPFAフィルム(図12中の符号3)との3層積層体をえた。
PFAフィルムは多結晶シリコン板に強固な接着性を示した。
比較例7
(メチルエステル基を有するPFAフィルムと金属との接着性)
金属板として厚さ0.5mmの脱脂した純アルミニウムを用いてメチルエステル基を有するPFAフィルム(参考例7のフィルム)との接着性試験を実施例1と同様にして行ったが、最大剥離強度においても1.0(kgf/25mm)と接着力を示さなかった。
比較例8
(カルボキシル基を有するPFAの耐熱性)
合成例5でえられたカルボキシル基を有するPFAの分解温度をTGA分析で測定したところ分解開始点257℃、1%熱分解温度335℃であった。ヒドロキシル基を有するPFAより耐熱性が低いことがわかった。
さらにDTGA分析によれば融点Tm=308℃であった。つまり、融点以上での溶融加工条件では、熱分解が開始され、加工が困難であることがわかる。
比較例9
(フッ素を有さない官能基含有単量体を用いた含フッ素重合体の耐熱性)
合成例6でえられた含フッ素共重合体の熱分解温度をTGA分析により測定したところ1%熱分解温度で220℃であった。合成例6でえたようなフッ素を有さない官能基含有単量体を用いた含フッ素共重合体は耐熱性が低いことがわかった。
さらに、合成例6でえられた含フッ素共重合体を酢酸ブチルに10重量%の濃度に溶解させた。
実施例1と同じ前処理を行なったアルミ板に上記合成例6の含フッ素重合体の酢酸ブチル溶液をエアスプレーで膜厚が約10μmとなるように塗装し90℃で10分間赤外乾燥した。
塗装した面の上に参考例5でえた官能基を含まないPFAフィルム、離型用のポリイミドフィルム(実施例8と同じ)、アルミ板を順に重ね(図13)、実施例8と同様プレス機で350℃で加熱、加圧した。
冷却後ポリイミドフィルムに接するアルミ板、およびポリイミドフィルムを取り除いた。
えられた積層体は、黄褐色に着色し、PFAフィルムとアルミ基材の間で発泡や剥離なども生じ、均一で透明なラミネート板はえられなかった。
Figure 2004256820
Figure 2004256820
本発明における接着性試験(剥離試験)に供する試験片を説明するための模式図である。 本発明における接着性試験(引張剪断試験)に供する試験片を説明するための模式図である。 本発明における接着性試験(引張剪断試験)に用いる試験装置を説明するための模式図である。 本発明の実施例8において作製したラミネート試験板の概略断面図である。 本発明の実施例8においてえられたPFAラミネート板の概略断面図である。 本発明の比較例5においてえられたラミネートSUS板の概略断面図である。 本発明の実施例9における積層体を作製するための試験板の概略断面図である。 本発明の実施例9においてえられた積層体の概略断面図である。 本発明の実施例9において行なったT型剥離試験に供する積層体の概略断面図である。 本発明の比較例6において行なったT型剥離試験に供する積層体の概略断面図である。 本発明の実施例10における試験板の作製を説明する概略断面図である。 本発明の実施例10においてえられた積層体の概略断面図である。 本発明の比較例9における試験板の作製を説明する概略断面図である。
符号の説明
1 SUS板
2 ヒドロキシル基含有PFAフィルム
3 官能基を含まないPFAフィルム
4 ポリイミドフィルム
5 ガラス板
6 多結晶シリコン板
7 アルミ板
8 フッ素を含まない官能基含有単量体を用いた含フッ素共重合体の被膜

Claims (16)

  1. (a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
    (b)該(a)成分と共重合可能なヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%
    とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなり、
    熱活性化により接着する含フッ素熱活性化型接着剤。
  2. ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)が、式(1):
    CX2=CX1−Rf−CH2OH (1)
    (式中、XおよびX1は同じかまたは異なりいずれも水素原子またはフッ素原子、Rfは炭素数1〜40の2価のアルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素アルキレン基または炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表わす)
    で示される少なくとも1種の単量体である請求項1記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  3. ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体(a)が、式(2):
    CH2=CFCF2−Rf 1−CH2OH (2)
    [式中、Rf 1は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]
    で示される含フッ素単量体である請求項1または2記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  4. ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)がテトラフルオロエチレンである請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  5. ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と式(3):
    CF2=CF−Rf3 (3)
    [Rf3は−CF3または−ORf4(Rf4は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]
    で示される単量体0.3〜15モル%との単量体混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  6. ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)からなる単量体混合物が、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレン40〜80モル%とエチレン20〜60モル%とこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜15モル%との単量体混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  7. ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)が、フッ化ビニリデンである請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  8. ヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)からなる単量体混合物が、フッ化ビニリデン70〜99モル%とテトラフルオロエチレン1〜30モル%との単量体混合物、フッ化ビニリデン50〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とクロロトリフルオロエチレン1〜20モル%との単量体混合物またはフッ化ビニリデン60〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%との単量体混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素熱活性化型接着剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる含フッ素熱活性化型接着剤を成形してえられ、熱活性化により接着する含フッ素接着性フィルム。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載のヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる含フッ素熱活性化型接着剤を溶融成形してえられ、熱活性化により接着する含フッ素接着性フィルム。
  11. (A−1)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる層と
    (B−1)側鎖に官能基を有さない含フッ素重合体からなる層とが積層されてなり、
    該ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体が、
    (a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
    (b)該(a)成分と共重合可能なヒドロキシル基を有さない含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体70〜99.95モル%
    とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる含フッ素熱活性化型接着剤である含フッ素接着性フィルム。
  12. 層(A−1)におけるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体が、請求項2〜8のいずれかに記載の含フッ素熱活性化型接着剤である請求項11記載の含フッ素接着性フィルム。
  13. 側鎖に官能基を有さない含フッ素重合体からなる層(B−1)が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン系共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種からなるものである請求項11または12記載の含フッ素接着性フィルム。
  14. (A−1)(a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
    (b)テトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と式(3):
    CF2=CF−Rf3 (3)
    [Rf3は−CF3または−ORf4(Rf4は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]
    で示される単量体0.3〜15モル%との単量体混合物70〜99.95モル%
    とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる層と
    (B−1)ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種からなる層とが積層されてなることを特徴とする含フッ素接着性フィルム。
  15. (A−1)(a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
    (b)テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレン40〜80モル%とエチレン20〜60モル%とこれらの単量体と共重合可能な単量体0〜15モル%との単量体混合物70〜99.95モル%
    とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる層と
    (B−1)エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体またはエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体からなる層
    とが積層されてなることを特徴とする含フッ素接着性フィルム。
  16. (A−1)(a)ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体のうちの少なくとも1種の単量体0.05〜30モル%と
    (b)フッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン70〜99モル%とテトラフルオロエチレン1〜30モル%との単量体混合物、フッ化ビニリデン50〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とクロロトリフルオロエチレン1〜20モル%との単量体混合物またはフッ化ビニリデン60〜99モル%とテトラフルオロエチレン0〜30モル%とヘキサフルオロプロピレン1〜10モル%との単量体混合物70〜99.95モル%
    とを共重合してえられるヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性重合体からなる層と
    (B−1)ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン系共重合体からなる層
    とが積層されてなることを特徴とする含フッ素接着性フィルム。
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