JP2004256601A - 床用ウレア樹脂組成物及びその塗工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性の良い床用樹脂素材を提供する。
【解決手段】イソシアネートからなる塗料(A)と、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含む塗料(B)とを、NCO/NHが0.8〜1.4で、塗料(A)と塗料(B)の粘度差が500cps以下となるように衝突混合し、床に噴霧して、反応、硬化させてウレア樹脂組成物とする。
【選択図】 なし
【解決手段】イソシアネートからなる塗料(A)と、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含む塗料(B)とを、NCO/NHが0.8〜1.4で、塗料(A)と塗料(B)の粘度差が500cps以下となるように衝突混合し、床に噴霧して、反応、硬化させてウレア樹脂組成物とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床用ウレア樹脂組成物に関するものであって、より詳しくは、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を硬化剤として用いた床用ウレア樹脂組成物及びその塗工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場、作業場、体育館、店舗、教室などの木製、樹脂床、コンクリート床を保護する目的で各種アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂などが広く用いられている。しかしながら耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性などの性能が未だ十分ではない。
【0003】
特許文献1には低酸価の水性ウレタン樹脂が開示されているが、当該樹脂は耐水性は良好であるが、傷付き性が劣る。また、特許文献2には低温硬化型の樹脂組成物が開示されているが、当該組成物も傷付き性が劣る。また特許文献3に開示されている水性ウレタン樹脂は、傷付き性は良好であるが、完全硬化するのに時間がかかり作業性が悪い。
【0004】
また溶剤などが含まれている樹脂は、塗工作業後溶剤の臭気が抜けるまで長時間を要するため特に食品などを扱う場所には用いることができない。
【0005】
一方、ポリウレタン及びウレア樹脂の耐光性を改良するための硬化剤として、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類が特許文献4に提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−97962号公報
【特許文献2】
特開平5−339337号公報
【特許文献3】
特開平7−118606号公報
【特許文献4】
特許第2759053号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の床用樹脂素材は、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性などの特性を全て満たすものでなかった。
【0008】
本発明の目的は、これらの特性を全て満たした床用樹脂素材及びその塗工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の床用ウレア樹脂組成物は、ポリイソシアネートからなる塗料(A)と、少なくとも下記式(1)で表される脂環式アミン化合物を含有する塗料(B)とを、塗料(A)に含まれるNCO官能基数と塗料(B)に含まれるNH官能基数の当量比(NCO/NH)が0.8〜1.4で、塗料(A)と塗料(B)の粘度差が予め500cps以下となるように調整して混合し、反応、硬化させてなることを特徴とする。
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、R1及びR2はそれぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子及び1〜5個の炭素原子を有するアルキル基より選ばれる。)
【0012】
また、本発明の床用ウレア樹脂組成物の塗工方法は、上記ポリイソシアネートからなる塗料(A)と、少なくとも上記式(1)で表される脂環式アミン化合物を含有する塗料(B)とを、塗料(A)に含まれるNCO官能基数と塗料(B)に含まれるNH官能基数の当量比(NCO/NH)が0.8〜1.4で、塗料(A)と塗料(B)の粘度差が予め500cps以下となるように調整して衝突混合し、床に噴霧して、反応、硬化させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明のウレア樹脂組成物は、塗料(A)と塗料(B)とを混合し、反応、硬化させてなる。本発明において用いられる塗料(A)はポリイソシアネート、即ち分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物からなり、該ポリイソシアネートとしては、脂肪族有機ポリイソシアネート、脂環族有機イソシアネート、芳香環含有脂肪族有機イソシアネート、芳香族有機イソシアネートなどが挙げられる。
【0015】
より具体的には、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。また、これらの有機イソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビウレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。また、有機イソシアネートは、単量体イソシアネート1当量に対し最大0.5当量のポリオール及び/またはポリアミンとの反応生成物である末端イソシアネートプレポリマーも使用できる。
【0016】
好ましくは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)誘導体であり、例えばイソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、アロファネート結合、ビウレット結合により得られるオリゴマー体で、イソシアヌレート結合が50〜80モル%、ウレトジオン結合及び又は、アロファネート結合が50〜20モル%の範囲のものがさらに好ましい。このイソシアヌレート結合イソシアネート、ウレトジオン結合イソシアネート及びアロファネート結合イソシアネートは各々の単独体を混合してもよいし、またはそれらの2種以上が1つの分子中で結合されていてもよい。
【0017】
これらの有機ポリイソシアネートは、本発明の趣旨を損なわない範囲で例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、さらに、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどのポリイソシアネートを併用することができる。
【0018】
次に、塗料(B)について説明する。塗料(B)には、下記式(1)で表される脂環式アミン成分〔ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類〕が含有されている。
【0019】
【化4】
【0020】
上記式(1)において、R1及びR2はそれぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、R1及びR2は異なっていてもよいが、ほとんどの場合、調整上同一である。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、及び種々のペンチル異性体、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びデシルである。好ましいR1とR2は少なくとも3つの炭素原子を含んでおり、特にブチル基が好ましくそして後者のうちでは第二ブチル基が特に好ましい。
【0021】
R3、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子及び1〜5の炭素原子を有するアルキル基で構成される群から選択されるが、ほとんどの場合R3とR4とは同じである。R3、R4、R5及びR6が選択されるアルキル基は、それらが1〜5個の炭素原子を含んでいる場合は、R1、R2と同じである。R5及びR6が共に水素である場合が最も好ましい。
【0022】
また、アルキルアミノ基はCR5R6基に対して環のいずれの位置にあっても良く、R3とR4がアルキルアミノ基に対してどの位置を占めても良いような構造である。アルキルアミノ基及びR3とR4の相対的な位置に関して制約はないが、アルキルアミノ基がCR5R6の結合位に対して4,4’−位置にある種類が最も一般的であり、R3とR4がアルキル基である場合、それらが3−及び3’−の位置を占めるのが最も一般的である。
【0023】
ポリイソシアネートとの相溶性を考慮すると、R1、R2がブチル基、R3、R4が水素原子又はメチル基、及びR5、R6が水素原子であることが好ましい。これに相当するビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類は、UOP社より「Clealink1000」、「Clealink3000」の商品名で市販されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0024】
本発明にかかるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類は単独で使用してもよいが、反応速度や樹脂の硬度を制御するために、脂肪族、脂環族、芳香族のアミン類を併用して使用しても良い。
【0025】
併用できるアミン類の具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアミン類がある。これは、開始剤として作用するエチレングリコールまたはプロピレングルコールにアルキレンオキシドを付加重合して得た平均分子量200〜10000のポリオキシアルキレングリコール(ジオール)の末端第2級ヒドロキシル基のアミノ化によって製造されたジアミン、トリメチロールプロパンまたはグリセリンにアルキレンオキシドを付加重合して得た平均分子量300〜10000のポリオキシアルキレングリコール(トリオール)の末端第2級ヒドロキシル基のアミノ化によって製造されたトリアミンのいずれかまたはそれらの混合物である。
【0026】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドがさらに好ましく、プロピレンオキシドが最も好ましい。
【0027】
これらは2種以上を併用してもよい。複数のアルキレンオキシドを同時に併用する方法、順次に併用する方法または順次を繰り返して行なう併用方法などを採り得る。プロピレンオキシドにエチレンオキシドを併用する場合には、エチレンオキシドの比率が5〜30質量%であるのが特に好ましい。ポリプロピレングリコールの末端第2級ヒドロキシル基をアミノ化して得たポリアミンは、ハンツマン社より「ジェファーミン」として供給される。
【0028】
併用できるアミン類の具体例としてアルキル基置換芳香族ポリアミンも挙げられる。具体的には、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼンなどのジアミノベンゼンのジアルキル置換体で代表されるポリアミノベンゼンのポリアルキル置換体や、3,5,3,5−テトラメチル−4,4−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタンのポリアルキル置換体で代表されるポリアミノジフェニル、ポリアミノジフェニルアルカンのポリアルキル置換体が挙げられる。
【0029】
アルキル基はメチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のものが好ましいが、これに限定されない。好適例は1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである。中でも、1−メチル−3,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼンまたは1−メチル−3,4−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼンのいずれかまたはそれらの混合物であることが特に好ましい。
【0030】
前記アルキル基置換芳香族ポリアミンの他に、必要に応じて、下記のポリアミンを用いることもできる。
【0031】
炭素数2〜20の脂肪族、脂環族または芳香族の2〜3個の一級または二級アミノ基を有する多価アミンとして、例えば、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、ジ(2−メチルアミノエチル)アミン等の脂肪族ポリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン等の脂環族ポリアミンを挙げることができる。
【0032】
ポリオキシアルキレン鎖を有する芳香族ポリアミンとしては、ポリテトラメチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリプロピレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)グルコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリオキシブチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)等のポリオキシアルキレン鎖を有する芳香族ポリアミン、4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン(「UNILINK 4200」、UOP社製)などのイミノ基含有化合物、ジ(メチルチオ)トルエンジアミン(「ETHACURE 300」、ETYL社製)などのイオウを含む置換基含有芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
【0033】
好ましくは炭素数2〜20の脂肪族、脂環族または芳香族の2〜3個の一級または二級アミノ基を有する多価アミンであり、具体的には、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、ジ(2−メチルアミノエチル)アミン、ビス(N−アルキルアミノエチルシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。
【0034】
塗料(B)中の式(1)の脂環式アミン化合物と他のアミン成分の割合は、式(1)の脂環式アミン化合物40〜90質量%に対し、他のアミン類60〜10質量%が好ましい。
【0035】
本発明においては、必要に応じて着色剤、安定剤、分散剤、加水分解防止剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、脱泡剤、可塑剤などの添加剤を用途、目的に応じて適宜添加することができる。
【0036】
本発明においては、塗料(A)、塗料(B)として常温で液体であるものを使用する。市販品を用いる場合でも、有機溶剤に溶解しているものなどは用いない。有機溶剤を添加することにより、粘度の低下は容易に達成できるが、作業性の著しい低下が生じるため好ましくない。
【0037】
塗料(A)と塗料(B)は使用する直前に混合して用いるが、その際、塗料(A)に含まれるNCO官能基数と(B)に含まれるNH官能基数の当量比(NCO/NH)が0.8〜1.4となるように、混合比を調整する。この当量比が0.8を下回ると硬化反応が不十分となり、十分な塗膜物性が発現しない可能性がある。またこの当量比が1.4を上回ると、過剰のイソシアネートが塗工膜中に残存し、水分との分解反応が生じ好ましくない。好ましくは、上記当量比の範囲で同体積同士を混合する。
【0038】
また、塗料(A)と塗料(B)は、粘度差が500cps以下となるように調整して混合する。粘度差が500cpsを超えると、粘度の低い塗料が過剰に吐出され、塗料(A)と塗料(B)の混合比が変化して、材料物性の均一性がなくなるおそれがある。塗料の粘度の調整は、用いる材料の変更、混合装置による塗料への加熱などで調整することが好ましい。
【0039】
本発明における2液の混合方法等に特に制限はなく、高圧衝突スプレー装置、高圧衝突混合装置、ラインミキサー、ホモミキサー、手動攪拌等の通常の2液硬化型樹脂の製造に用いる混合装置であればいずれも用いることができるが、反応速度が速いため高圧で衝突混合するスプレー装置が最も好ましい。また混合後の塗布、吐出を連続的に実施しても間欠的に実施してもよいが、通常は連続的に実施するのが好ましい。即ち、本発明の施工方法は、塗料(A)と塗料(B)とを衝突混合し、床に噴霧して、反応硬化させることを特徴とする。
【0040】
例えば、手動で連続混合吐出するスタティックミキサーとしては、ポリマーシステム社製の「MIXPACシステム」等が挙げられるが、2液を独立に連続して供給できる装置を介してスタティックミキサーに導入する方法でも良い。また、GUSMER社製の「Adhesive Roofing System」、または、同じくGUSMER社製の調圧調温計量装置「H−2000」とホットホースと直接衝突させる混合装置を装着したスプレーガンからなるスプレーシステム、ヒガキマシナリーサービス社製の衝突混合型スプレーガンシステム「PF−1600」、「PF−800」などを好ましく用いることができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性などに優れているため、特に工場、作業場、体育館、店舗、教室などの木製床、樹脂床、コンクリート床、金属床などへの適用が特に好ましいが、その他の壁、鉄板、プラスチック、コンクリート、紙などの基材に用いても構わない。
【0042】
【実施例】
以下発明を更に具体的に説明するため、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
塗料(A)、塗料(B)を下記の表1、表2の処方で撹拌、混合し調整した。表中のイソシアネート当量、アミン当量は各塗料を分析することにより、粘度はC型粘度計により求めた。
【0044】
【表1】
【0045】
HD−100:
リオンデール社製ヘキサメチレンジイソシアネート(ウレチジオンタイプ)
N3200:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(ビュウレットタイプ)
N3300:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(トリマータイプ)
N3400:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(ダイマー、トリマータイプ)
E23A:
バイエル社製芳香族ポリイソシアネート(プレポリマータイプ)
XP7100:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアヌレートタイプ)
HB9075:
リオンデール社製ヘキサメチレンジイソシアネート〔ビュウレットタイプ(溶剤を30質量%含む)〕
【0046】
【表2】
【0047】
NH1220:
バイエル社製アスパラギン酸エステルのジアミンタイプ
NH1420:
バイエル社製アスパラギン酸エステルのジアミンタイプ
D2000:
ハンツマン社製ポリエーテルアミンのジアミンタイプ
T−5000:
ハンツマン社製ポリエーテルアミンのトリアミンタイプ
Clealink1000:
UOP社製脂環式アミン化合物〔式(1)で表される化合物〕
Clealink3000:
UOP社製脂環式アミン化合物〔式(1)で表される化合物〕
【0048】
上記塗料を表3に示す組合せ、当量比で試験片に200g/m2の割合で塗工した。塗工は、ヒガキマシナリーサービス(有)製スプレーガンシステムPF1600にガスマー社製ガンGX−7を取り付けて塗料(A)、塗料(B)を同体積で吹き付けて行った。
【0049】
【表3】
【0050】
(評価及び評価結果)
作業性、傷付き性、耐溶剤性、耐水性について以下の通り評価した。評価結果を表4にまとめた。傷付き性、耐溶剤性、耐水性は、塗工した後15分後に塗膜面に対し各試験を実施した。
【0051】
〔作業性〕
各サンプルを作製中に臭気を確認した。
○:臭気を感じない。
×:臭気を感じる。
【0052】
〔傷付き性〕
安全靴で塗膜面を蹴り、表面の汚れを除いた後傷付き状態を観察した。
○:塗膜面に安全靴の黒色が付着しないまたは付着しても拭き取れる。
×:塗膜面に安全靴の黒色が付着し、拭き取ることができない。
【0053】
〔耐溶剤性〕
ガソリンをガーゼに含ませて塗膜面を30往復し表面状態を観察した。
○:変化なし。
×:塗膜が白化または溶解。
【0054】
〔耐水性〕
被塗装物ごと塗膜面を水に付け7日間放置し表面状態を観察した。
○:変化なし。
×:塗膜が白化または溶解。
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、耐溶剤性、耐水性、硬化性、傷付き性が良好であり、さらに、溶剤を含まないため塗工中に大気中に揮散される物質が極めて少なく、食品を扱う場所にも好適に用いることができる床用樹脂材が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、床用ウレア樹脂組成物に関するものであって、より詳しくは、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を硬化剤として用いた床用ウレア樹脂組成物及びその塗工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工場、作業場、体育館、店舗、教室などの木製、樹脂床、コンクリート床を保護する目的で各種アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂などが広く用いられている。しかしながら耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性などの性能が未だ十分ではない。
【0003】
特許文献1には低酸価の水性ウレタン樹脂が開示されているが、当該樹脂は耐水性は良好であるが、傷付き性が劣る。また、特許文献2には低温硬化型の樹脂組成物が開示されているが、当該組成物も傷付き性が劣る。また特許文献3に開示されている水性ウレタン樹脂は、傷付き性は良好であるが、完全硬化するのに時間がかかり作業性が悪い。
【0004】
また溶剤などが含まれている樹脂は、塗工作業後溶剤の臭気が抜けるまで長時間を要するため特に食品などを扱う場所には用いることができない。
【0005】
一方、ポリウレタン及びウレア樹脂の耐光性を改良するための硬化剤として、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類が特許文献4に提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−97962号公報
【特許文献2】
特開平5−339337号公報
【特許文献3】
特開平7−118606号公報
【特許文献4】
特許第2759053号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の床用樹脂素材は、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性などの特性を全て満たすものでなかった。
【0008】
本発明の目的は、これらの特性を全て満たした床用樹脂素材及びその塗工方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の床用ウレア樹脂組成物は、ポリイソシアネートからなる塗料(A)と、少なくとも下記式(1)で表される脂環式アミン化合物を含有する塗料(B)とを、塗料(A)に含まれるNCO官能基数と塗料(B)に含まれるNH官能基数の当量比(NCO/NH)が0.8〜1.4で、塗料(A)と塗料(B)の粘度差が予め500cps以下となるように調整して混合し、反応、硬化させてなることを特徴とする。
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、R1及びR2はそれぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子及び1〜5個の炭素原子を有するアルキル基より選ばれる。)
【0012】
また、本発明の床用ウレア樹脂組成物の塗工方法は、上記ポリイソシアネートからなる塗料(A)と、少なくとも上記式(1)で表される脂環式アミン化合物を含有する塗料(B)とを、塗料(A)に含まれるNCO官能基数と塗料(B)に含まれるNH官能基数の当量比(NCO/NH)が0.8〜1.4で、塗料(A)と塗料(B)の粘度差が予め500cps以下となるように調整して衝突混合し、床に噴霧して、反応、硬化させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明のウレア樹脂組成物は、塗料(A)と塗料(B)とを混合し、反応、硬化させてなる。本発明において用いられる塗料(A)はポリイソシアネート、即ち分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物からなり、該ポリイソシアネートとしては、脂肪族有機ポリイソシアネート、脂環族有機イソシアネート、芳香環含有脂肪族有機イソシアネート、芳香族有機イソシアネートなどが挙げられる。
【0015】
より具体的には、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。また、これらの有機イソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビウレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、などを1以上含有する変性イソシアネートも使用できる。また、有機イソシアネートは、単量体イソシアネート1当量に対し最大0.5当量のポリオール及び/またはポリアミンとの反応生成物である末端イソシアネートプレポリマーも使用できる。
【0016】
好ましくは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)誘導体であり、例えばイソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、アロファネート結合、ビウレット結合により得られるオリゴマー体で、イソシアヌレート結合が50〜80モル%、ウレトジオン結合及び又は、アロファネート結合が50〜20モル%の範囲のものがさらに好ましい。このイソシアヌレート結合イソシアネート、ウレトジオン結合イソシアネート及びアロファネート結合イソシアネートは各々の単独体を混合してもよいし、またはそれらの2種以上が1つの分子中で結合されていてもよい。
【0017】
これらの有機ポリイソシアネートは、本発明の趣旨を損なわない範囲で例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、さらに、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネートなどのポリイソシアネートを併用することができる。
【0018】
次に、塗料(B)について説明する。塗料(B)には、下記式(1)で表される脂環式アミン成分〔ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類〕が含有されている。
【0019】
【化4】
【0020】
上記式(1)において、R1及びR2はそれぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルキル基であり、R1及びR2は異なっていてもよいが、ほとんどの場合、調整上同一である。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、及び種々のペンチル異性体、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びデシルである。好ましいR1とR2は少なくとも3つの炭素原子を含んでおり、特にブチル基が好ましくそして後者のうちでは第二ブチル基が特に好ましい。
【0021】
R3、R4、R5及びR6はそれぞれ水素原子及び1〜5の炭素原子を有するアルキル基で構成される群から選択されるが、ほとんどの場合R3とR4とは同じである。R3、R4、R5及びR6が選択されるアルキル基は、それらが1〜5個の炭素原子を含んでいる場合は、R1、R2と同じである。R5及びR6が共に水素である場合が最も好ましい。
【0022】
また、アルキルアミノ基はCR5R6基に対して環のいずれの位置にあっても良く、R3とR4がアルキルアミノ基に対してどの位置を占めても良いような構造である。アルキルアミノ基及びR3とR4の相対的な位置に関して制約はないが、アルキルアミノ基がCR5R6の結合位に対して4,4’−位置にある種類が最も一般的であり、R3とR4がアルキル基である場合、それらが3−及び3’−の位置を占めるのが最も一般的である。
【0023】
ポリイソシアネートとの相溶性を考慮すると、R1、R2がブチル基、R3、R4が水素原子又はメチル基、及びR5、R6が水素原子であることが好ましい。これに相当するビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類は、UOP社より「Clealink1000」、「Clealink3000」の商品名で市販されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0024】
本発明にかかるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類は単独で使用してもよいが、反応速度や樹脂の硬度を制御するために、脂肪族、脂環族、芳香族のアミン類を併用して使用しても良い。
【0025】
併用できるアミン類の具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアミン類がある。これは、開始剤として作用するエチレングリコールまたはプロピレングルコールにアルキレンオキシドを付加重合して得た平均分子量200〜10000のポリオキシアルキレングリコール(ジオール)の末端第2級ヒドロキシル基のアミノ化によって製造されたジアミン、トリメチロールプロパンまたはグリセリンにアルキレンオキシドを付加重合して得た平均分子量300〜10000のポリオキシアルキレングリコール(トリオール)の末端第2級ヒドロキシル基のアミノ化によって製造されたトリアミンのいずれかまたはそれらの混合物である。
【0026】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルまたはフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドがさらに好ましく、プロピレンオキシドが最も好ましい。
【0027】
これらは2種以上を併用してもよい。複数のアルキレンオキシドを同時に併用する方法、順次に併用する方法または順次を繰り返して行なう併用方法などを採り得る。プロピレンオキシドにエチレンオキシドを併用する場合には、エチレンオキシドの比率が5〜30質量%であるのが特に好ましい。ポリプロピレングリコールの末端第2級ヒドロキシル基をアミノ化して得たポリアミンは、ハンツマン社より「ジェファーミン」として供給される。
【0028】
併用できるアミン類の具体例としてアルキル基置換芳香族ポリアミンも挙げられる。具体的には、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼンなどのジアミノベンゼンのジアルキル置換体で代表されるポリアミノベンゼンのポリアルキル置換体や、3,5,3,5−テトラメチル−4,4−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタンのポリアルキル置換体で代表されるポリアミノジフェニル、ポリアミノジフェニルアルカンのポリアルキル置換体が挙げられる。
【0029】
アルキル基はメチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のものが好ましいが、これに限定されない。好適例は1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンである。中でも、1−メチル−3,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼンまたは1−メチル−3,4−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼンのいずれかまたはそれらの混合物であることが特に好ましい。
【0030】
前記アルキル基置換芳香族ポリアミンの他に、必要に応じて、下記のポリアミンを用いることもできる。
【0031】
炭素数2〜20の脂肪族、脂環族または芳香族の2〜3個の一級または二級アミノ基を有する多価アミンとして、例えば、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、ジ(2−メチルアミノエチル)アミン等の脂肪族ポリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン、ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン等の脂環族ポリアミンを挙げることができる。
【0032】
ポリオキシアルキレン鎖を有する芳香族ポリアミンとしては、ポリテトラメチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリプロピレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)グルコールビス(4−アミノベンゾエート)、ポリオキシブチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)等のポリオキシアルキレン鎖を有する芳香族ポリアミン、4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン(「UNILINK 4200」、UOP社製)などのイミノ基含有化合物、ジ(メチルチオ)トルエンジアミン(「ETHACURE 300」、ETYL社製)などのイオウを含む置換基含有芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
【0033】
好ましくは炭素数2〜20の脂肪族、脂環族または芳香族の2〜3個の一級または二級アミノ基を有する多価アミンであり、具体的には、エチレンジアミン、ジ(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、ジ(2−メチルアミノエチル)アミン、ビス(N−アルキルアミノエチルシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。
【0034】
塗料(B)中の式(1)の脂環式アミン化合物と他のアミン成分の割合は、式(1)の脂環式アミン化合物40〜90質量%に対し、他のアミン類60〜10質量%が好ましい。
【0035】
本発明においては、必要に応じて着色剤、安定剤、分散剤、加水分解防止剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、脱泡剤、可塑剤などの添加剤を用途、目的に応じて適宜添加することができる。
【0036】
本発明においては、塗料(A)、塗料(B)として常温で液体であるものを使用する。市販品を用いる場合でも、有機溶剤に溶解しているものなどは用いない。有機溶剤を添加することにより、粘度の低下は容易に達成できるが、作業性の著しい低下が生じるため好ましくない。
【0037】
塗料(A)と塗料(B)は使用する直前に混合して用いるが、その際、塗料(A)に含まれるNCO官能基数と(B)に含まれるNH官能基数の当量比(NCO/NH)が0.8〜1.4となるように、混合比を調整する。この当量比が0.8を下回ると硬化反応が不十分となり、十分な塗膜物性が発現しない可能性がある。またこの当量比が1.4を上回ると、過剰のイソシアネートが塗工膜中に残存し、水分との分解反応が生じ好ましくない。好ましくは、上記当量比の範囲で同体積同士を混合する。
【0038】
また、塗料(A)と塗料(B)は、粘度差が500cps以下となるように調整して混合する。粘度差が500cpsを超えると、粘度の低い塗料が過剰に吐出され、塗料(A)と塗料(B)の混合比が変化して、材料物性の均一性がなくなるおそれがある。塗料の粘度の調整は、用いる材料の変更、混合装置による塗料への加熱などで調整することが好ましい。
【0039】
本発明における2液の混合方法等に特に制限はなく、高圧衝突スプレー装置、高圧衝突混合装置、ラインミキサー、ホモミキサー、手動攪拌等の通常の2液硬化型樹脂の製造に用いる混合装置であればいずれも用いることができるが、反応速度が速いため高圧で衝突混合するスプレー装置が最も好ましい。また混合後の塗布、吐出を連続的に実施しても間欠的に実施してもよいが、通常は連続的に実施するのが好ましい。即ち、本発明の施工方法は、塗料(A)と塗料(B)とを衝突混合し、床に噴霧して、反応硬化させることを特徴とする。
【0040】
例えば、手動で連続混合吐出するスタティックミキサーとしては、ポリマーシステム社製の「MIXPACシステム」等が挙げられるが、2液を独立に連続して供給できる装置を介してスタティックミキサーに導入する方法でも良い。また、GUSMER社製の「Adhesive Roofing System」、または、同じくGUSMER社製の調圧調温計量装置「H−2000」とホットホースと直接衝突させる混合装置を装着したスプレーガンからなるスプレーシステム、ヒガキマシナリーサービス社製の衝突混合型スプレーガンシステム「PF−1600」、「PF−800」などを好ましく用いることができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性、硬化性、傷付き性、作業性などに優れているため、特に工場、作業場、体育館、店舗、教室などの木製床、樹脂床、コンクリート床、金属床などへの適用が特に好ましいが、その他の壁、鉄板、プラスチック、コンクリート、紙などの基材に用いても構わない。
【0042】
【実施例】
以下発明を更に具体的に説明するため、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
塗料(A)、塗料(B)を下記の表1、表2の処方で撹拌、混合し調整した。表中のイソシアネート当量、アミン当量は各塗料を分析することにより、粘度はC型粘度計により求めた。
【0044】
【表1】
【0045】
HD−100:
リオンデール社製ヘキサメチレンジイソシアネート(ウレチジオンタイプ)
N3200:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(ビュウレットタイプ)
N3300:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(トリマータイプ)
N3400:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(ダイマー、トリマータイプ)
E23A:
バイエル社製芳香族ポリイソシアネート(プレポリマータイプ)
XP7100:
バイエル社製ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアヌレートタイプ)
HB9075:
リオンデール社製ヘキサメチレンジイソシアネート〔ビュウレットタイプ(溶剤を30質量%含む)〕
【0046】
【表2】
【0047】
NH1220:
バイエル社製アスパラギン酸エステルのジアミンタイプ
NH1420:
バイエル社製アスパラギン酸エステルのジアミンタイプ
D2000:
ハンツマン社製ポリエーテルアミンのジアミンタイプ
T−5000:
ハンツマン社製ポリエーテルアミンのトリアミンタイプ
Clealink1000:
UOP社製脂環式アミン化合物〔式(1)で表される化合物〕
Clealink3000:
UOP社製脂環式アミン化合物〔式(1)で表される化合物〕
【0048】
上記塗料を表3に示す組合せ、当量比で試験片に200g/m2の割合で塗工した。塗工は、ヒガキマシナリーサービス(有)製スプレーガンシステムPF1600にガスマー社製ガンGX−7を取り付けて塗料(A)、塗料(B)を同体積で吹き付けて行った。
【0049】
【表3】
【0050】
(評価及び評価結果)
作業性、傷付き性、耐溶剤性、耐水性について以下の通り評価した。評価結果を表4にまとめた。傷付き性、耐溶剤性、耐水性は、塗工した後15分後に塗膜面に対し各試験を実施した。
【0051】
〔作業性〕
各サンプルを作製中に臭気を確認した。
○:臭気を感じない。
×:臭気を感じる。
【0052】
〔傷付き性〕
安全靴で塗膜面を蹴り、表面の汚れを除いた後傷付き状態を観察した。
○:塗膜面に安全靴の黒色が付着しないまたは付着しても拭き取れる。
×:塗膜面に安全靴の黒色が付着し、拭き取ることができない。
【0053】
〔耐溶剤性〕
ガソリンをガーゼに含ませて塗膜面を30往復し表面状態を観察した。
○:変化なし。
×:塗膜が白化または溶解。
【0054】
〔耐水性〕
被塗装物ごと塗膜面を水に付け7日間放置し表面状態を観察した。
○:変化なし。
×:塗膜が白化または溶解。
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、耐溶剤性、耐水性、硬化性、傷付き性が良好であり、さらに、溶剤を含まないため塗工中に大気中に揮散される物質が極めて少なく、食品を扱う場所にも好適に用いることができる床用樹脂材が提供される。
Claims (2)
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JP2003046659A JP2004256601A (ja) | 2003-02-25 | 2003-02-25 | 床用ウレア樹脂組成物及びその塗工方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007009101A (ja) * | 2005-07-01 | 2007-01-18 | Raito Black:Kk | 2液型脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物 |
JP2011504197A (ja) * | 2007-11-21 | 2011-02-03 | シーカ・テクノロジー・アーゲー | 可逆的接着結合のためのポリウレタンポリマー |
CN114015002A (zh) * | 2021-10-26 | 2022-02-08 | 山东一诺威聚氨酯股份有限公司 | 环保无卤高性能聚氨酯地面材料及其制备方法 |
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2003
- 2003-02-25 JP JP2003046659A patent/JP2004256601A/ja active Pending
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