JP2004256590A - 機能性無機質塗料とその塗装構成体 - Google Patents

機能性無機質塗料とその塗装構成体 Download PDF

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Abstract

【課題】暗所での光触媒効果の発揮や、表面に露出していない光触媒の機能の引き出しを充分なものとし、また塗料としても、塗膜密着性、耐久性等の特性において実用的に満足できる新しい塗料と、これを用いた新しい塗膜構成体を提供する。
【解決手段】塗膜形成成分として、
(A)放射線を放出する天然鉱石粉末および
(B)光触媒のうちの少くともいずれかを含有するとともに、
(C)ケイ素化合物
を含有し、
基材上の塗膜が前記(A)(B)(C)の全ての成分によって形成されたものとする機能性無機質塗料とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、機能性無機質塗料とその塗装構成体に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、建築材等の製造において有用な、防汚性、抗菌性、消臭性に優れ、しかも塗膜密着性や耐久性等も良好な、光触媒を含有する新しい組成の機能性無機質塗料とこれを用いた塗装構成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、外装材やインテリア部材等の建築材の表面処理として、酸化チタン等の光触媒を含有した塗膜を形成させることが知られており、この光触媒含有の塗膜の形成についての様々な提案がなされてもいる。
【0003】
光触媒は光照射によりラジカルを発生し、このラジカルが有機物の分解作用を有するため、光触媒を含む層を基材の表面に形成させた材料には、排気ガスやラバコ成分等の空気中の汚れ成分を分解する防汚性や、アルデヒド、VOC、アンモニア、メルカプタン等の悪臭成分を分解する消臭性、大腸菌や黄色ブドウ球菌等の菌成分の発生を妨げる抗菌性等の機能が期待されている。そのような光触媒を応用した表面処理がすでに建築材に適用されており、たとえば、光触媒を分散させた塗料、塗り材、それらを塗布した鏡、ガラス、ボード、シート、タイル、などが商品化されている。
【0004】
しかしながら、現状では、光触媒を配合、分散した塗膜では、光触媒の表面がバインダー、顔料等の他の塗料成分で被覆されたり、塗料内部で固定化され、光触媒が十分表面に露出していないために、配合した酸化チタン等の光触媒機能が十分に発現されていないのが実情である。
【0005】
このため、表面に露出していない光触媒の機能を引き出すとともに、暗所でも光触媒機能を有するものとすることのできる塗膜組成物の実現が望まれていた。
【0006】
このような課題に対して、微量の放射線を含む天然鉱石を光触媒とともに基材や塗料中に含有させることにより、光が照射されていない状態でも放射線による光触媒の励起を生じさせて、暗所でも光触媒効果を発揮させ、表面に露出していない光触媒の機能を引き出すことができるようにするとの提案(特許文献1)がなされている。
【0007】
だが、この提案においても、暗所での光触媒効果の発揮や、表面に露出していない光触媒の機能の引き出しは充分でなく、また塗料としても、塗膜密着性、耐久性等の特性において実用的に満足できるものではないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−167397号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこでこの出願の発明は、上記の問題点を解消し、塗料としての組成特性に配慮することで、暗所での光触媒効果の発揮や、表面露出していない光触媒の機能の引き出しを充分なものとし、また塗料としても、塗膜密着性、耐久性等の特性において実用的に満足できる新しい塗料と、これを用いた新しい塗装構成体を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、塗膜形成成分として、
(A)放射線を放出する天然鉱石粉末および
(B)光触媒のうちの少くともいずれかを含有するとともに
(C)ケイ素化合物
を含有し、基材上の塗膜が前記(A)(B)(C)の全ての成分によって形成されたものとすることを特徴とする機能性無機質塗料を提供する。
【0011】
そして、第2には、塗膜を形成する前記(A)(B)(C)の成分の重量比が、合計量100部として(A)放射線を放出する天然鉱石粉末が1〜10部、(B)光触媒の固形分が10〜80部、(C)ケイ素化合物の固形分が20〜80部であることを特徴とする機能性無機質塗料を提供する。
【0012】
また、第3には、(A)放射線を放出する天然鉱石粉末は、50ベクレル/g以下の放射線を放出するものであることを特徴とする機能性無機質塗料を、第4には、(A)放射線を放出する天然鉱石粉末は、(B)光触媒固形分に対して、両者の合計量の5重量%以上配合されていることを特徴とする機能性無機質塗料を、第5には(C)ケイ素化合物は、コロイダルシリカおよび次式
Si(OR4−n
(nは0〜3のうちの整数を示し、RおよびRは、各々、同一または別異に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表わされる1種以上の化合物が加水分解もしくは重縮合されて調製されたものであることを特徴とする機能性無機質塗料を提供する。
【0013】
さらにこの出願の発明は、第6には、上記いずれかの塗料が塗布されて形成されていることを特徴とする塗装構成体を提供し、第7には基材上に前記(A)(C)成分を含有する塗料の塗布により第1層が形成された後に、前記(B)(C)成分を含有する塗料の塗布により第2層が形成されていることを特徴とする塗装構成体を、第8には、下地層として前記(A)(B)成分を含有せずに(C)ケイ素化合物成分を含有する塗料による塗膜が形成されていることを特徴とする塗装構成体を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0015】
この出願の発明の前記の機能性無機質塗料を構成する塗膜形成成分(A)の放射線を放出する放射線放出天然鉱石としては、たとえば、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、ツヤムン石、マタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モナズ石等が挙げられる。成分(A)としての粉末は、これらの鉱石を粉砕して微粉末としたものであって、その一次粒径としては200μm以下のものが一般的な目安とされるが、なかでも、一次粒径が50μm以下のものが好ましい。また、放射線の放出レベルとしては、当然、人体に悪影響のないレベルであることが必要であり、50ベクレル/g以下の材料であることが望ましい。
【0016】
これらの材料は、放射線の効果により、空気中の酸素、水分子等の会合物からなるマイナスイオンを発生させることができるという特徴を有している。
【0017】
(B)成分の光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニオブが挙げられ、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。光触媒の一次粒径は一般的には100μm以下が目安とされるが、50μm以下のものが好ましい。
【0018】
また、光触媒は金属を担持したものであってもよい。担持させる金属としては、特に限定されないが、金、銀、銅、テルル、亜鉛、ニッケル、コバルト、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、レニウム等が挙げられ、一種のみ、または、二種以上併用してもよい。金属を担持することにより、光触媒の電荷分離の促進や、ナノレベルでの担持で新たな励起準位が生じ、光触媒の活性を向上させることができる。金属を担持させる場合の担体としては、上記の酸化物粒子をはじめ、シリカ、アルミナ等の粒子であってもよい。これらの一次粒子の大きさは一般的には200μm以下、さらには、上記と同程度とすることが好ましい。そして、金属の担持量としては、0.1〜5重量%であることが好ましい。金属の担持方法は、とくに限定されないが、浸漬法、スプレー法、光還元法が挙げられる。
【0019】
光触媒は、粉体、ゾルの形で配合され、光触媒の塗料全体の固形分に対する割合は10%以上80%以下の重量割合であることが好ましい。比率は多いほど光触媒機能が発揮されるが、多すぎるとバインダー比率が下がり塗膜強度が低下することになる。
【0020】
バインダー成分としては、光触媒によって分解しにくいバインダーを用いる必要があり、この出願の発明においては(C)成分としてのケイ素化合物を用いている。
【0021】
このケイ素化合物としては、たとえば、コロイダルシリカと前記のとおりの一般式:
Si(OR4−n
で表される化合物から調製されたものが好適に使用される(nは0から3の整数)。
【0022】
ここで符号Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示しており、なかでも、より好ましくは、炭素数1から4のアルキル基を主とし、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基のいずれかであることが好ましい。
【0023】
また、R2 も置換基を有していてもよい炭化水素基を示しており、より好適には、炭素数1〜8の置換または非置換の炭化水素基である。たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ビニル基等のアルケニル基、クロロメチル基、クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、メタクリオキシプロピル基、グリシドキシプロピル基等の置換炭化水素基等が例示される。
【0024】
以上のようなRおよびRを有するケイ素化合物としては、たとえば、n=0の場合には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、n=1の場合には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン、n=2の場合にはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン、n=3の場合には、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン等が例として挙げられる。
【0025】
成分(C)のケイ素化合物の好適なものは、コロイダルシリカとこれら化合物の1種以上のものを溶剤で希釈し、硬化剤として水または触媒を用いて、加水分解及び重縮合を行って調整したものとすることができる。たとえば、テトラアルコキシドおよびコロイダルシリカの少くともいずれか20〜200部、オルガノトリアルコキシシラン30〜100部、ジオルガノジアルコキシシラン0〜60部の重量割合の組成物から調整し、ポリスチレン換算で重量平均分子量が900以上に調整されたものである。
【0026】
この出願の発明の機能性無機質塗料は、たとえば以上のように例示される
(A)放射線を放出する天然鉱石粉末および
(B)光触媒のうちの少くともいずれかを含有し、
かつ、(C)ケイ素化合物を含有するものであって、
基材上に塗布された塗膜が(A)(B)(C)の全ての成分によって形成されたものであることを特徴としている。このことから、塗膜が多層構成の場合には、たとえば(A)(C)成分含有の塗料と(B)(C)成分含有の塗料の多層構成としてもよいし、あるいはこれらの塗料とともに、もしくは単独で、(A)(B)(C)の全ての成分を含有する塗料によって多層構成もしくは単層構成としてもよい。
【0027】
塗料としての調製には、分散溶媒として、特に限定されることはないが、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール類等が用いられ、また、それらと併用して、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等も用いることができる。また、加熱を行わず常温で硬化させる場合は、硬化触媒を添加することもできる。触媒としては、特に限定されないが、シロキサンの重縮合を進める場合には、硬化触媒を用いることができる。
【0028】
また、必要に応じて、分散性、安定性向上や着色のため、顔料、染料、分散剤、増粘材等を添加してもよいし、耐電防止剤、防カビ材、抗菌剤、等を添加してもよい。
【0029】
塗膜形成成分としての上記(A)(B)(C)成分の配合割合については、これら成分が、重量比として、(A)の放射線放出鉱石粉末1〜10部、(B)の光触媒材料固形分10〜80部、(C)のケイ素化合物固形分20〜80部、ただし、(A)+(B)+(C)=100部となるようにするのが好ましい。(A)(C)成分の塗料と(B)(C)成分の塗料とを分けて使用する場合にも、全体として上記割合になるようにするのが好ましい。そして、いずれの場合も、(A)の放射線放出鉱石粉末は(B)の光触媒の固形成分に対して、合計量の5重量%以上用いるのが好ましい。その理由として、放射線放出鉱石は光触媒を励起させるために配合するものであって、光触媒に対して、5%以上用いることにより、光触媒の機能向上が可能となるためである。
【0030】
また、上記の配合においては、ケイ素化合物の割合が少なすぎると、塗膜としての密着性や耐久性が得られなくなり、他方で過剰であると、光触媒の機能向上を図ることが難しくなる。
【0031】
そして、この出願の発明の塗料を用いての塗膜構成体の形成のための塗布方法については、特に限定されることはないが、スプレー、はけ塗り、バーコーター、スピンコーター、ディッピング、ロールコーター、フローコーター等の各種の方法が用いられる。また、必要に応じて、加熱処理を施すことにより塗膜硬化を進めることもできるし、硬化触媒を用いることにより、常温で硬化を進めてもよい。硬化を進める場合、200℃以下の温度で硬化させることが好ましい。
【0032】
塗膜の厚みは、とくに限定されないが、塗膜が長期的に安定、密着、保持され、かつ、クラックや剥離が発生しないためには、たとえば、50μm以下、0.1〜20μm程度が好ましい。
【0033】
被塗布基材としては、とくに限定されないが、アルミニウム、鉄、ステンレス、ブリキ、それらの合金等の金属基材、木材、合板、MDF、パーティクルボード等の木質建材等の木質基材、FRP、人造大理石、樹脂成形品等のプラスチック基材、ガラス、ホーロー、セラミックス、石膏ボード、珪酸カルシウム板、ロックウール板、各種セメント板、粘土板、陶磁器質タイル、スレート、等の無機基材、その他、シート、紙、繊維、不織布、等の各種のものであってよく、その種類はとくに限定されることがない。さらに、それらの基材に有機塗装を施したものでもよい。また、木質基材、樹脂基材、シート等の有機材料の場合、一旦光触媒を含まない該塗料を塗布した後、光触媒を含む塗料を塗布することにより、光触媒による基材の劣化を防止することができる。たとえば、下地層の第一塗膜層として、上記の(C)のケイ素化合物のみを含有する塗料塗膜を形成させた後、第二塗膜層として(A)(B)(C)成分による機能性塗膜を形成させることも有効である。
【0034】
また、第一塗膜層として、(A)の微量の放射線を放出する天然鉱石と(C)のケイ素化合物を含有する塗料により形成された塗膜を配設した後、第二塗膜層として(B)の光触媒と(C)のケイ素化合物を含有する塗料により形成された塗膜を配設してもよい。その場合も、塗膜を形成する塗料の全体としては、(A)の放射線放出鉱石と(B)の光触媒の比率は上記のとおりの5%以上となるようにするのが好ましい。(A)と(B)をそれぞれの塗膜層に分けると、第一塗膜層は鉱石粉末添加により、未添加の場合よりも、凹凸性が増し、第二膜との密着性が向上し、さらには表面の第二塗膜層の平滑性、耐久性は向上する。
【0035】
以上のとおりのこの出願の発明の機能性無機質塗膜を形成させた建築材及び物品は、屋外、室内用部材に用いることができる。たとえば、屋外部材としては、外装材、瓦、雨樋、門、フェンス、ドア、窓や、それらの周辺部材が挙げられ、室内部材としては、天井、壁、床、収納部材、造作材、キッチン、トイレ、洗面、浴室、窓や、それらの周辺部材への使用や、照明カバー、ランプ、障子、ふすま等の建具、便器、インテリア部材等が挙げられる。とくに光量の少ない室内用途での従来例の部材に比べて優れた機能を発現できるため、たとえば、建材として天井、壁、床、収納部材、窓への使用や、照明カバー、ランプ、障子、ふすま等の建具へ用いることが考慮される。
【0036】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【0037】
【実施例】
(比較例1)
メチルトリメトキシシラン100重量部、テトラエトキシシラン10重量部、オルガノシリカゾル(触媒化成社製:商品名OSCAL1432)を90重量部、ジメチルジメトキシシランを30重量部、イソプロピルアルコールを100重量部混合した後に、水を90重量部添加し、攪拌後、60℃で重量平均分子量約1500に調整し、さらにメタノールを混合して固形分10重量%の無機質塗料を得た。該塗料をガラス板に100g/mスプレー塗布し、風乾後、150℃で硬化処理を行い、機能性塗膜基材を作製した。
【0038】
(比較例2)
メチルトリメトキシシラン100重量部、テトラエトキシシラン10重量部、オルガノシリカゾル(触媒化成社製:商品名OSCAL1432)を90重量部、ジメチルジメトキシシランを30重量部、イソプロピルアルコールを100重量部混合した後に、水を90重量部添加し、攪拌後、60℃で重量平均分子量約1500に調整した。さらに、光触媒ゾル(石原産業製STS−01)を上記のケイ素化合物固形分との重量比が、固形分/光触媒固形分=50/50になるように添加した後、メタノールで固形分10重量%になるように調整し、光触媒無機質塗料を得た。該塗料をガラス板に100g/mスプレー塗布し、風乾後、150℃で硬化処理を行い、機能性塗膜基材を作製した。
【0039】
(実施例1)
メチルトリメトキシシラン100重量部、テトラエトキシシラン10重量部、オルガノシリカゾル(触媒化成社製:商品名OSCAL1432)を90重量部、ジメチルジメトキシシランを30重量部、イソプロピルアルコールを100重量部混合した後に、水を90重量部添加し、攪拌後、60℃で重量平均分子量約1500に調整した。さらに、光触媒ゾル(石原産業製STS−01)を上記のケイ素化合物固形分との重量比が、固形分/光触媒固形分=50/50になるように添加した後、メタノールで固形分10重量%になるように調整し、さらに、その100重量部に対してモナザイト鉱物粉末(平均一次粒径20μm)を0.5重量部添加することにより、機能性無機質塗料を得た。該塗料をガラス板に100g/m2 スプレー塗布し、風乾後、150℃で硬化処理を行い、機能性塗膜基材を作製した。
【0040】
(実施例2)
モナザイト鉱石添加量を1重量部にする以外は、実施例1と同様にして、機能性塗膜基材を作製した。
【0041】
(実施例3)
比較例1の無機塗料をガラス基板に塗布し、第一膜を作製後、実施例1の機能性無機質塗料を塗布し第二膜を形成し、機能性塗膜基材を得た。
【0042】
(実施例4)
比較例1の無機質塗料100部に、モナザイト鉱物粉末(平均一次粒径20μm)を0.5部添加する以外は同様にして第一膜作成後、比較例2の光触媒無機質塗料を塗布し、第二膜を形成し、機能性塗膜基材を得た。
【0043】
(評価)
上記、実施例及び比較例の塗布基材について、抗菌性、防汚性、マイナスイオン発生量、密着性の評価を行った。
【0044】
<抗菌性>
抗菌性の評価法は、大腸菌の菌液を滴下し、その上に低密度ポリエチレンフィルムをかぶせ、密着させ、室温(20〜25℃)、暗条件(遮光)および明条件(蛍光灯1000Lxの光照射下)で保存し、24時間後の生菌数を測定した。その結果、たとえば表1に示したように、比較例1では菌数はほとんど初期とかわらず、蛍光灯照射によって増大しているのが認められるのに対し、比較例2では光触媒の効果により、光を照射した場合、抗菌効果が得られたが、実施例1および2では、放射線放出鉱石配合が増加するほど、光照射下ではより顕著に菌数が減少し、また、暗所下でも、同様の、比較例2に比べてはるかに優れた抗菌効果を確認された。
【0045】
【表1】
Figure 2004256590
【0046】
<防汚性>
防汚性の評価は、タバコのヤニの付着性と付着したヤニの光照射での分解性を色差変化を測定することでおこなった。タバコのヤニの付着方法は、タバコに火をつけ、その上に基板を設置し、3分間放置し、初期との色差を測定した。次に、それらの基材を蛍光灯照射5000Lx下に設置し、色差変化を測定した。その結果、ヤニの付着度合いでは、比較例2に対して、実施例1および2において放射線放出材料が増えるほど、色差が低くなり、すなわち、ヤニ汚れがつきにくくなっていることが確認された。これは、放射線放出鉱石添加により、放射線での空気中の酸素、水分子をイオン化させ、とくにマイナスイオンを多く放出することで、プラスに帯電したタバコ中の粉塵、ヤニ成分を中和させ、基材表面へのヤニ成分の付着を低減させたためであると推定される。
【0047】
次に、蛍光灯で光照射させた場合、比較例2に対し、実施例1から2へ放射線放出鉱石配合量が増えることにより、図1のように色差が低くなり、ヤニ汚れの分解が進むことがわかる。また色差の低減度合いが照射日数との相関で急になり、表2のとおりの分解係数に大きな変化が生じることがわかる。したがって、放射線放出鉱石の添加により、光触媒機能を向上させることができ、ヤニの分解性能が大きくなったことが確認された。
【0048】
【表2】
Figure 2004256590
【0049】
(密着性)
次に、密着性の評価はJIS−K5400の煮沸試験での評価点で行った。
【0050】
その結果、表3のとおり、モナザイト鉱石を配合した塗膜は密着性が比較例2と同等もしくは少し低下するが、実施例3のように下地層による多層とする場合には密着性は良好となり、そして実施例4のように、第一膜にモナザイト鉱石を配合後、第二膜を形成することにより、第一膜表面の凹凸性が増し、第一膜との密着性が向上し、さらに、表面の第二膜の平滑性、耐久性が向上することが確認された。
【0051】
【表3】
Figure 2004256590
【0052】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、暗所での光触媒効果の発揮や、表面に露出していない光触媒の機能の引き出しを充分なものとし、放射線作用により光触媒機能を向上させ、長期間、優れた防汚性を保持し、暗所でも抗菌性を発現、保持することができる。さらに空気中の水分を励起し、マイナスイオンを放出し、防汚性を向上することができる。また塗料としても、塗膜密着性、耐久性等の特性において実用的に満足できるものが提供され、さらには、第一膜に放射線放出鉱石を形成し、第二膜に光触媒無機塗料を形成することで、優れた耐久性を示す塗膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヤニ汚れの分解性能の試験結果を例示した図である。

Claims (8)

  1. 塗膜形成成分として、
    (A)放射線を放出する天然鉱石粉末および
    (B)光触媒のうちの少くともいずれかを含有するとともに
    (C)ケイ素化合物
    を含有し、基材上の塗膜が前記(A)(B)(C)の全ての成分によって形成されたものとすることを特徴とする機能性無機質塗料。
  2. 塗膜を形成する前記(A)(B)(C)の成分の重量比が、合計量100部として(A)放射線を放出する天然鉱石粉末が1〜10部、(B)光触媒の固形分が10〜80部、(C)ケイ素化合物の固形分が20〜80部であることを特徴とする請求項1の機能性無機質塗料。
  3. (A)放射線を放出する天然鉱石粉末は、50ベクレル/g以下の放射線を放出するものであることを特徴とする請求項1または2の機能性無機質塗料。
  4. (A)放射線を放出する天然鉱石粉末は、(B)光触媒固形分に対して、両者の合計量の5重量%以上配合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの機能性無機質塗料。
  5. (C)ケイ素化合物は、コロイダルシリカと次式
    Si(OR4−n
    (nは0〜3のうちの整数を示し、RおよびRは、各々、同一または別異に、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表わされる1種以上の化合物が加水分解もしくは重縮合されて調製されたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの機能性無機質塗料。
  6. 請求項1ないし5のいずれかの塗料が塗布されて形成されていることを特徴とする塗装構成体。
  7. 請求項6の塗装構成体であって、基材上に前記(A)(C)成分を含有する塗料の塗布により第1層が形成された後に、前記(B)(C)成分を含有する塗料の塗布により第2層が形成されていることを特徴とする塗装構成体。
  8. 請求項6または7の塗装構成体であって、下地層として前記(A)(B)成分を含有せずに(C)ケイ素化合物成分を含有する塗料による塗膜が形成されていることを特徴とする塗装構成体。
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