JP2004256149A - 包装用容器および中栓 - Google Patents

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厚 井田
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Abstract

【課題】注出口に形成された膜が外部に飛散することを有効に抑制する。
【解決手段】略円柱状の胴部41は、容器本体2側の開口部20に取り付けられる部位であり、開口部20の内径に対応した外径を有する。中栓4は、注出口40と、胴部41と、頭部42とを一体化した形状を有する。この胴部41の上部に位置する略半球状の頭部42は、中栓4を容器本体2に取り付けた状態において、容器本体2の上部より露出する。中栓4の中心軸上に設けられた注出口40は、頭部42の頂部と胴部41の底部との間を貫通している。この注出口40の内周面40aは、湾曲したテーパー形状を有する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用容器および中栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1には、上方に突出した注出口を有する包装用容器が開示されている。容器内に充填された化粧料等の液体は、容器の内外を貫通する注出口を介して外部に吐出される。この注出口は、その全域に亘って同一の口径を有し、液体の吐出方向に沿った断面形状がストレート状になっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−303515号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術のように、注出口をストレート状に形成した場合、注出口の先端部分に液体が残留し易く、液体の表面張力に起因した膜が先端部分に形成されることがある。この先端部分に張っている膜が衝撃等によって弾けると、その多くが容器外に飛散する。飛散した液体が包装用容器に付着すると、外観上の見栄えの悪化を招くとともに、衣服等に付着することもあるため、使い勝手の上でも好ましくない。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、注出口に形成される膜が外部に飛散することを有効に抑制することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、内部に液体が充填される容器本体と、容器本体の内外を貫通し、容器本体の内部に充填された液体を外部に吐出する注出口とを有する包装用容器を提供する。この注出口の径は、容器本体の外部側よりも内部側の方が小さくなっている。
【0007】
ここで、第1の発明において、注出口は、典型的には、液体の吐出方向に沿った断面形状として、容器本体の外部側から内部側に向かって連続的に縮径するテーパー形状であることが好ましい。また、このテーパー形状は、湾曲したテーパー形状であることがより好ましい。
【0008】
また、第1の発明において、容器本体とは別体で形成され、容器本体に設けられた開口部に取り付けられる中栓をさらに有していてもよい。この場合、注出口は中栓に形成されている。
【0009】
第2の発明は、容器本体に設けられた開口部に取り付けられ、容器本体の内外を貫通するとともに、容器本体の内部に充填された液体を外部に吐出する注出口を有する中栓を提供する。この注出口の径は、容器本体の外部側よりも内部側の方が小さくなっている。
【0010】
ここで、第2の発明において、注出口は、液体の吐出方向に沿った断面形状として、容器本体の外部側から内部側に向かって連続的に縮径するテーパー形状を有することが好ましい。また、このテーパー形状は、湾曲したテーパー形状であることがより好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施形態に係る包装用容器の展開斜視図である。この包装用容器1は、容器本体2と、キャップ3と、中栓4とで構成されている。これらの部材2〜4は、一例としてポリオレフィン・ポリアミド・ポリエステル等のプラスチック製であり、射出成形法やダイレクトブロー成形法等によって形成されている。特に中栓の材質としては、低密度ポリエチレン・直鎖状低密度ポリエチレン・ポリプロピレン等が挙げられる。この容器本体2には、上方に向かって筒状に突出した開口部20が設けられており、これに中栓4が上方より挿入される。この中栓4には、容器本体2の内外を貫通する注出口40が設けられており、この注出口40を介して、容器本体2の内部に充填された液体が外部に吐出される。容器本体2の上部には、キャップ3が着脱自在に取り付けられている。
【0012】
容器本体2内には、内容物としての液体が充填されているが、この液体は、表面張力に起因した膜が注出口40の内周に形成され得る程に高い粘度を有する。このような膜は、B型回転粘度計を用い、25℃で測定した粘度として例えば、100[mPa・s]以上で5000[mPa・s]以下の粘度範囲を有する液体において形成され、特に、300[mPa・s]以上で2000[mPa・s]以下の粘度範囲を有する液体において顕著となる。液体の粘度は、水溶性高分子や油溶性高分子等の粘剤を配合することによって調整されている。このような液体の典型例としては、乳液等の乳化化粧料等、リキッドファンデーションまたはクレンジングオイルといった化粧料が挙げられるが、風呂用洗剤やトイレ用洗剤等であってもよい。特に界面活性剤を配合した粘性を有する乳化組成物である。
【0013】
図2は、中栓4の形状の説明図である。この中栓4は、注出口40と、胴部41と、頭部42とを一体化した形状を有する。略円柱状の胴部41の外周面は、容器本体2における開口部20の内周面と接触し、開口部20の内径に対応した外径を有する。この胴部41の上部に位置する略半球状の頭部42は、中栓4を容器本体2に取り付けた状態において、容器本体2の上部より露出する。中栓4の中心軸上に設けられた注出口40は、頭部42の頂部と胴部41の底部との間を貫通している。この注出口40の内周面40aは、湾曲したテーパー形状を有する。
【0014】
図3は、中栓4を容器本体2(点線で図示)に取り付けた状態における注出口40の形状の説明図である。注出口40は、容器本体2の外部側の内径Aよりも内部側の内径Bの方が小さくなっている(A>B)。また、注出口40は、液体の吐出方向に沿った断面形状として、容器本体2の外部側から内部側に向かって、連続的に縮径している。液体の吐出方向である垂線と、注出口40の内周面40aの接線とのなす角θは、容器本体2の外側から内側に向かって大きくなっている。発明者が実験を行った結果、容器本体2の内側の端部における角度θを8°以上に設定することが、液体の飛散防止の観点から好ましいことが判明した。
【0015】
このように、本実施形態に係る包装用容器1において、注出口40の径は、容器本体2の外部側(先端部側)よりも内部側の方が小さく形成されている(A>B)。したがって、液体の表面張力に起因して注出口40の内周に張る膜は、液体の自重による落下を考慮しないならば、膜の表面積が大きくなる大径の先端部側よりも、膜の表面積が小さくなる小径の内部側に形成され易い。これにより、注出口40の先端部分における膜の形成を抑制することができる。また、液体の吐出方向に沿った注出口40の断面形状をテーパー状にして、容器本体2の外部側から内部側に向かって連続的に縮径させることで、膜を内部側に導くことができるので、先端部分の膜形成を効果的に抑制することができる。特に、直線的なテーパー形状にするよりも、湾曲したテーパー形状にした方が、先端部分の膜形成を一層効果的に抑制できる。そして、このような構成にすることで、注出口40の内部側に張られた膜が衝撃等によって弾けたとしても、その大半は注出口40の内周面を伝って容器本体2内に導かれるので、容器本体2外への飛散を効果的に防止できる。その結果、容器本体2の外観上の見栄えの悪化や使い勝手の低下といった問題を効果的に解消することが可能となる。
【0016】
[実施例]
上述した構成を有する注出口40について、発明者が膜の形成テストを行った。具体的には、注出口の上端の内径Aを7mmとした7種類の中栓をサンプルとして用意し、その内の3つ(実施例1〜3)を下側の内径Bを変化させたテーパー状とし、残りの一つ(比較例)を従来技術と同様にストレート状とした。テーパー状の実施例1〜3に関しては、下端の内径が2mmのものを実施例1、下端の内径が3mmのものを実施例2、下端の内径が4mmのものを実施例3とする。また、実施例1〜3および比較例に関して、直線状のテーパーのもの(ストレート)と湾曲したテーパー(R80)のもの(ラウンド)とをそれぞれ用意した(合計=6種類の実施例+1種類の比較例)。なお、使用した内容物は粘度が平均500mPa・sのO/W乳化系サンスクリーン剤である。
【0017】
下記の表1は、それぞれのサンプルに関して、膜が形成される位置と液体の注出し易さとを総合的に評価した結果を示す。表中に示した「優」は、膜が注出口の内側に形成され、液体注出も良好なサンプル、「良」は、膜が注出口の内側に形成されるが、液体注出が「優」よりも若干劣るサンプル、「不良」は、膜が注出口の先端側に形成されてしまうサンプルをそれぞれ表している。
【0018】
【表1】
Figure 2004256149
【0019】
比較例に関しては、ストレート、ラウンドともに、注出口の先端部分に膜が形成されてしまうことが確認された。これに対して、実施例1〜3に関しては、いずれの形状であっても、このような膜形成を有効に防止できることが確認された。特に、実施例2に関しては、ストレート、ラウンドともに液体注出が良好であったが、実施例3に関しては、ラウンドのみ液体注出が良好であった。
【0020】
また、液体注出の観点のみならず、使い勝手も考慮する場合には、注出口のテーパーをラウンドさせることが好ましい。図4は、ストレートのサンプルに形成される膜の状態を示す図であり、図5は、ラウンドのサンプルに形成される膜の状態を示す図である。これらの図の対比から分かるように、ラウンドのサンプルでは、ラウンドに沿ったような感じで膜が形成され、ストレートのサンプルの膜よりも下方に膜が形成されている。したがって、ラウンドのサンプルの方が、ストレートのそれよりも、容器外への液体の飛散をより有効に抑制できる。
【0021】
なお、上述した実施形態では、注出口40が設けられた中栓4を容器本体2とは別体で形成し、これを容器本体2の開口部20に取り付ける例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、容器本体2に注出口40を一体形成してもよい。
【0022】
また、本実施形態では、注出口40の径方向断面が円状である例について説明した。しかしながら、注出口40の断面形状は、これに限定されるものではなく、三角形、四角形、五角形等を含む多角形状であってもよい。本明細書では、「径」という用語を、注出口40の大きさを表す広い意味で用いており、円の直径のみならず、多角形等の大きさをも含む概念である。
【0023】
【発明の効果】
本発明では、容器本体の外部側よりも内部側の方が小さくなるように、注出口の径を形成している。そのため、液体の表面張力によって注出口に膜が形成されたとしても、注出口の先端部分には形成され難く、これよりも内側に形成され易い。その結果、破裂した膜が外部に飛散することを有効に抑制できるので、外観上の見栄えの悪化や使い勝手の低下といった問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】包装用容器の展開斜視図
【図2】中栓の形状の説明図
【図3】注出口の形状の説明図
【図4】ストレートのサンプルに形成される膜の状態を示す図
【図5】ラウンドのサンプルに形成される膜の状態を示す図
【符号の説明】
1 包装用容器
2 容器本体
20 開口部
3 キャップ
4 中栓
40 注出口
40a 内周面
41 胴部
42 頭部

Claims (7)

  1. 包装用容器において、
    内部に液体が充填される容器本体と、
    前記容器本体の内外を貫通し、前記容器本体の内部に充填された液体を外部に吐出する注出口とを有し、
    前記注出口の径は、前記容器本体の外部側よりも内部側の方が小さいことを特徴とする包装用容器。
  2. 前記注出口は、液体の吐出方向に沿った断面形状として、前記容器本体の外部側から内部側に向かって連続的に縮径するテーパー形状を有することを特徴とする請求項1に記載された包装用容器。
  3. 前記テーパー形状は、湾曲したテーパー形状であることを特徴とする請求項2に記載された包装用容器。
  4. 前記容器本体とは別体で形成され、前記容器本体に設けられた開口部に取り付けられる中栓をさらに有し、
    前記注出口は、前記中栓に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された包装用容器。
  5. 内部に液体が充填される容器本体に取り付けられ、前記容器本体の内外を貫通するとともに、前記液体を外部に吐出する注出口を有する中栓であって、
    前記注出口の径は、前記容器本体の外部側よりも内部側の方が小さいことを特徴とする中栓。
  6. 前記注出口は、液体の吐出方向に沿った断面形状として、前記容器本体の外部側から内部側に向かって連続的に縮径するテーパー形状を有することを特徴とする請求項5に記載された中栓。
  7. 前記テーパー形状は、湾曲したテーパー形状であることを特徴とする請求項6に記載された中栓。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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