JP2004255671A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム Download PDF

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Tetsuya Anami
哲也 阿波
Tadashi Tahoda
多保田  規
Naonobu Oda
尚伸 小田
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた収縮特性および収縮仕上がり性を有すると共に溶剤接着性にも優れ、長期間保存した後でも収縮白化を起こさず、滑り性に優れたラベル用途等に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供する。
【解決手段】95℃の温水収縮率が50%以上であり、温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存し、この保存後のフィルムを所定条件で熱収縮させた後のフィルムのヘーズと、保存前のフィルムのヘーズとの差が5%以下であり、フィルムの少なくとも一方の面同士の静摩擦係数μsと動摩擦係数μdがいずれも0.70以下であり、かつ、非塩素系有機溶剤で接着可能な熱収縮性ポリエステル系フィルムである。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、さらに詳しくは、熱収縮後の収縮白化や収縮斑、シワ、歪み、タテヒケ等の不良の発生が極めて少なく、フィルムの表面凹凸がなくてフィルム巻き姿が美麗であり、印刷適性にも優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱収縮性プラスチックフィルムは、加熱によって収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベル等の用途に広く用いられている。なかでも、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルム等の延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス容器等の各種容器において、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的で使用されている。
【0003】
しかし、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器等の収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器を分離しなければならないという問題がある。
【0004】
一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない。また、ポリスチレン系樹脂は、高温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が発生するという問題がある。
【0005】
これらの問題のないポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向にある。
【0006】
しかし、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムも、その収縮特性においてはさらなる改良が求められていた。特に、収縮時に、収縮斑やシワが発生して、収縮前のフィルムに印刷した文字や図柄が、PETボトル、ポリエチレンボトル、ガラス瓶等の容器に被覆収縮する際に、収縮後に歪むことがあり、この歪みを可及的に小さくしたいというユーザーサイドの要望があった。
【0007】
また、熱収縮性ポリスチレン系フィルムと比較すると、ポリエステル系フィルムは低温での収縮性に劣ることがあり、必要とする収縮量を得るために高温で収縮させなければならず、ボトル本体の変形や白化が生じることがあった。
【0008】
ところで、熱収縮性フィルムを実際の容器の被覆加工に用いる際には、必要に応じて印刷工程に供した後、ラベル(筒状ラベル)、チューブ、袋等の形態に加工して、これらの加工フィルムを容器に装着し、スチームを吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)や、熱風を吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を、ベルトコンベアー等にのせて通過させ、熱収縮させて容器に密着させている。
【0009】
スチームトンネルは、熱風トンネルよりも伝熱効率が良く、より均一に加熱収縮させることが可能であり、熱風トンネルに比べると良好な収縮仕上がり外観を得ることができるが、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに比べると、スチームトンネルを通過させた後の収縮仕上がり性の面が余り良くないという問題があった。
【0010】
また、熱収縮の際に温度斑が生じやすい熱風トンネルを使用すると、ポリエステル系フィルムでは、収縮白化、収縮斑、シワ、歪み等が発生し易い。特に、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、30℃以上の高温環境下で保存した場合に、収縮白化が起き易く、製品外観上問題となっていた。さらに、熱風トンネルを通過させた後の収縮仕上がり性においても、ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムよりも劣っているという問題があった。
【0011】
他方、熱収縮性フィルムの実際の製造現場において高速で製膜・加工を行う際や長尺で巻き取る際には、特に、フィルムの巻き取り性、滑り性が要求される。滑り性が不充分な場合、フィルムの走行時にガイドロールと接触して摩擦力によって張力が増大したり、フィルム表面に擦り傷が付く等の走行性悪化が発生する。さらに、長尺フィルムをロールに巻き取った場合にシワやニキビ状の欠点が発生することがある。このようなニキビ状の欠点が発生した場合、フィルム表面凹凸が大きくなり、平面性を損なうことにより、美麗な印刷加工が施せないという問題が発生していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの問題点を解決して、優れた収縮特性および収縮仕上がり性を有すると共に溶剤接着性にも優れ、長期間保存した後でも収縮白化を起こさず、滑り性に優れたラベル用途等に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、
10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの試料を、95℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が50%以上であり、
温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存し、この保存後のフィルムを所定条件で熱収縮させた後のフィルムのヘーズと、保存前のフィルムのヘーズとの差が5%以下であり、
フィルムの少なくとも一方の面同士の静摩擦係数μsと動摩擦係数μdがいずれも0.70以下であり、
かつ、非塩素系有機溶剤で接着可能であるところに要旨を有する。本発明のフィルムは長期保存後であっても収縮白化を起こしにくいことから、収縮前後のヘーズ差を5%以下と定めた。なお、収縮後のヘーズを測定するときの「熱収縮」は、温度40℃の500mlのガラス瓶に熱収縮性フィルムから作成したラベルを被せ、風速10m/秒の150℃の熱風を13秒当てることにより行った。
【0014】
また、フィルムのμs、μdがいずれも0.70以下であると、フィルムをロール状に巻き取る際のトラブルが防げるので、美麗な巻き姿のフィルムロールを得ることができる。
【0015】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、ポリエステルを構成する多価アルコール成分のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10モル%以上含まれていることが好ましい。1,4−シクロヘキサンジメタノールの使用によって、収縮白化、収縮斑、シワ、歪み、タテヒケ等の発生が一層低減し、特に熱風トンネルでの収縮白化の抑制に有効である。上記多価アルコール成分には、さらに、1,4−ブタンジオール成分が2モル%以上含まれていることが好ましく、特に低温域での収縮仕上がり外観が美麗となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を95℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、直ちに25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が50%以上でなければならない。フィルムの熱収縮率が50%未満であると、フィルムの熱収縮力が不足して、容器等に被覆収縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましくない。熱収縮率は高ければ高いほどこのましく、このため、より好ましい熱収縮率は60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0017】
ここで、最大収縮方向の熱収縮率とは、試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、最大収縮方向は、正方形の縦方向または横方向(または斜め方向)の長さで決められる。また、熱収縮率(%)は、10cm×10cmの試料を、95℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸漬した後の、フィルムの縦および横方向(または斜め方向)の長さを測定し、下記式
熱収縮率=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
に従って求めた値である。
【0018】
また、本発明では収縮白化を起こしにくい熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供するものであり、その目安として、温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存した後、この保存前(製造直後)のフィルムのヘーズを基準とし、保存後のフィルムを所定条件で熱収縮させた後のフィルムのヘーズとの差が5%以下であることを要件とした。このヘーズ差が5%を超えるものは、フィルムの透明性が損なわれ、目視判定で白化と認識されるレベルであり好ましくない。また、より長期間保存した場合に収縮白化を起こし易いため、熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては良品とはいえない。従って、本発明では、ヘーズ差を5%以下と定めた。ヘーズ差は小さければ小さいほど好ましく、より好ましいヘーズ差は3%以下、さらに好ましくは1%以下である。なお、収縮後のフィルムのヘーズは12%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
【0019】
ここで、ヘーズ測定は以下のように行う。まず、温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存する。次いで、このフィルムを用い、溶剤接着法、またはヒートシール法で、フィルムの最大収縮方向が円周方向となるようにチューブ状ラベルを作成し、このラベルを、40℃に調整した容量500mlのガラス瓶に被せて、150℃(風速10m/秒)の熱風を13秒当てて熱収縮させる。熱収縮後のラベル(ラベルサンプル数10)からそれぞれフィルム試料を切り出す。これらのフィルム試料について、JIS K7136に則ってヘーズを測定し、平均値(ヘーズ▲2▼)を求める。また、製造直後(保存前)のフィルム(サンプル数10)についてもJIS K 7136に則って予めヘーズを測定しておき、平均値(ヘーズ▲1▼)を求めておく。ヘーズ差は、収縮後の試料のヘーズ▲2▼から製造直後の試料のヘーズ▲1▼を引いた値である。なお、熱収縮の前に、温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存するのは、このような環境で保存すると、熱収縮性フィルムが収縮白化を起こし易くなることが見出されたためである。
【0020】
白化現象のメカニズムは明白なものとなっていないが、熱風トンネルで熱収縮させた場合や、上記のように30℃以上の雰囲気下で長期間保管した後で熱収縮させた場合に、収縮白化現象が起こり易いことがわかっている。また、熱収縮の際に、フィルム内面側(容器に接触する面)と外面側(容器に接触しない面)とで温度差が発生して収縮斑となり、斑部分のフィルム表面が荒れることにより白化として目視で認識されることもある。すなわち、容器接触部のフィルムは動きが拘束されるのに対し、外面側は熱が伝わり易く、しかも容器に接触していない分、動きが拘束されないため、フィルムの内面側と外面側とで収縮が不均一になって、この不均一さが極端になると白化してしまうのである。この収縮白化現象は、ポリエステルの分子鎖が部分的に結晶化して、結晶部分の光の屈折率が非晶部分と異なるため、起こるのではないかと考えられる。収縮白化はラベルの透明性を部分的に低下させるため好ましくない。
【0021】
また、収縮斑部分が表面荒れを起こして白化する現象については、製造直後のフィルム表面粗さを小さくすることで白化が抑制されることがあるが、表面粗さを小さくすると、フィルムの滑り性が悪化し、フィルムの走行時にガイドロールと接触して摩擦力によって張力が増大したり、フィルム表面に擦り傷が付く等の走行性悪化が発生する。さらに、長尺フィルムをロールに巻き取った場合にシワやニキビ状の欠点が発生し、フィルム表面の凹凸が大きくなり、印刷適性を阻害する。
【0022】
本発明において、上記の問題を引き起こさないようにするには、フィルムの少なくとも一方の面同士の静摩擦係数μsおよび動摩擦係数μdが、いずれも0.70以下であることが必要である。μsおよびμdは0.60以下がより好ましく、0.40以下がさらに好ましい。なお、フィルム面同士の摩擦係数の測定は、JIS K 7125に準拠し、温度23℃、相対湿度65%環境下で行う。本発明では、サンプル数5の平均値を採用した。
【0023】
摩擦係数を上記範囲にするためには、フィルム中に滑剤を含有させることが好ましい。滑剤としては、無機粒子、有機塩粒子や架橋高分子粒子が利用可能である。
【0024】
無機粒子としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リオチウム等が挙げられる。特に、良好なハンドリング性が得られる上に、さらにヘイズの低いフィルムを得るためには、1次粒子が凝集してできた凝集体のシリカ粒子が好ましい。
【0025】
有機塩粒子としては、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等が挙げられる。
【0026】
架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子を用いても良い。
【0027】
上記滑剤の添加方法としては、フィルム原料として使用するポリエステルの重合工程中で滑剤を分散する方法、または重合後のポリエステルを再度溶融させて添加する方法等が挙げられ、ポリエステルチップの中に滑剤を含有させてフィルムを得る方法が好ましい。なお、チップサイズは後述するようにその形状を合わせておくことが望ましい。
【0028】
摩擦係数は、上記滑剤粒子の種類および添加量と、フィルムの製膜条件によって調整することができる。滑剤粒子の種類および添加量は、摩擦係数が所定の範囲内に入るならば特に限定されるものではないが、滑剤の平均粒径は0.01μm以上4μm以下、特に0.05μm以上3μm以下が好ましく、添加量としては0.02質量%以上、0.5質量%以下、特に0.03質量%以上0.4質量%以下が好ましい。
【0029】
延伸条件については添加する滑剤によっても変化し、特に制限されるものではないが、最大延伸方向の延伸倍率が2.3〜7.3倍、好ましくは2.5〜6.0倍延伸するのがよい。延伸倍率が前記範囲を外れると表面突起の形成が不十分となる。
【0030】
次に、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの好ましい組成を説明する。フィルムの耐破れ性、強度や耐熱性等の物理的強度に関する特性を保持するためには、ポリエステル系フィルムに結晶性ユニット(エチレンテレフタレートユニット等)が存在している必要があるが、結晶性ユニットのみでは熱収縮率が低く、95℃、10秒温水処理で50%以上という高い熱収縮率を発現させることはできない。また、耐溶剤性が高くなりすぎて、収縮フィルムをチューブ状に加工する際に使用する溶剤接着性を得ることが難しくなる。そのため、本発明では、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を構成成分とすることで、ポリエステル系フィルムの組成を調整し、熱収縮性と溶剤接着性を高めているのである。
【0031】
1,4−シクロヘキサンジメタノールは、非晶化度合いを高めて、熱収縮性を発現させる作用を有する。また、1,4−シクロヘキサンジメタノールの使用によって、収縮仕上がり性が向上し、溶剤接着性も向上する。これらの効果を充分に得るには、多価アルコール成分100%のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノールを10モル%以上とすることが好ましい。また、収縮白化現象も、1,4−シクロヘキサンジメタノールの使用によって抑制することができ、得られるフィルムは前記したヘーズの要件を満足するものとなる。1,4−シクロヘキサンジメタノールの量は12モル%以上がより好ましく、14モル%以上がさらに好ましい。ただし、40モル%を超えて使用すると、フィルムの収縮率が必要以上に高くなり過ぎて、熱収縮工程でラベルの位置ずれや図柄の歪みが発生するおそれがある。また、フィルムの耐溶剤性が低下するため、印刷工程でインキの溶媒(酢酸エチル等)によってフィルムの白化が起きたり、フィルムの耐破れ性が低下するため好ましくない。従って、1,4−シクロヘキサンジメタノールは37モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましい。
【0032】
多価アルコール成分として、1,4−ブタンジオールを用いることも本発明のポリエステルにおいて好ましい実施態様である。1,4−ブタンジオールはポリエステルのTgを下げて低温収縮性の発現に寄与するため、得られるフィルムが比較的低温域であっても優れた収縮仕上がり性を発揮するようになる。また、溶剤接着性も優れたものとなる。これらの効果を得るためには、多価アルコール成分100モル%中、1,4−ブタンジオールを2モル%以上使用することが好ましい。より好ましい下限は4モル%、さらに好ましい下限は6モル%である。ただし、1,4−ブタンジオール成分が多過ぎると、フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性等の特性を担うエチレンテレフタレートユニットが少なくなるため、その上限は35モル%とすることが好ましく、より好ましい上限は30モル%である。
【0033】
また、多価アルコール成分100モル%中、ネオペンチルグリコール成分が2モル%以上含まれていてもよい。ネオペンチルグリコールは、ポリエステルのTgを下げる作用を有しているため、低温域で良好な収縮仕上がり性を得ることができる。このため、ネオペンチルグリコールを適量用いることで、低温から高温までの幅広い温度域で熱収縮力を発揮するフィルムが得られる。より好ましいネオペンチルグリコール量は4モル%以上、さらに好ましくは6モル%以上である。なお、1,4−シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコールの合計量は40モル%以下が好ましい。
【0034】
他の多価アルコールとしては、エチレンテレフタレートユニットを形成するためのエチレングリコールが用いられる。そのほか、ジエチレングリコール、ダイマージオール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等のアルキレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等も併用可能である。
【0035】
多価カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸等が利用可能である。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。またこれらのエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステル等の誘導体が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、ダイマー酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等が挙げられる。さらに、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価のカルボン酸を、必要に応じて併用してもよい。
【0036】
またポリエステルは、必ずしも前記多価カルボン酸類100モル%および多価アルコール100モル%とから製造する必要はなく、ラクトン類(ε−カプロラクトン等)の開環重合によってポリエステルユニットを形成してもよい。ラクトン類の併用は、非晶化度を高める働きを有する。なお、多価カルボン酸成分および多価アルコール成分中の各成分の割合(モル%)を算出する場合、ラクトン類の開環成分は、多価カルボン酸成分および多価アルコール成分のいずれにも該当するものとして計算する。
【0037】
結晶性のエチレンテレフタレートユニットは、耐破れ性等の観点から、ポリエステルを構成するユニットとして、50モル%以上含まれていることが好ましいため、多価アルコール成分100モル%中、エチレングリコールを50モル%以上、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸(またはそのエステル)を50モル%以上、使用することが好ましい。エチレンテレフタレートユニットは、55モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましい。
【0038】
ポリエステルは常法により溶融重合することによって製造できるが、多価カルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、多価カルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の製造法を適用することができる。また、その他の重合方法によって得られるポリエステルであってもよい。ポリエステルの重合度は、固有粘度にして0.50〜1.30dl/gのものが好ましい。
【0039】
ポリエステルには、着色やゲル発生等の不都合を起こさないようにするため、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、チタン化合物等の重合触媒以外に、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マンガン、塩化マンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等のZn塩、塩化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩を、ポリエステルに対して、各々金属イオンとして300ppm以下、リン酸またはリン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル等のリン酸エステル誘導体を燐(P)換算で200ppm以下、添加してもよい。
【0040】
上記重合触媒以外の金属イオンの総量がポリエステルに対し300ppm、またP量が200ppmを超えるとポリエステルの着色が顕著になるのみならず、ポリエステルの耐熱性や耐加水分解性が著しく低下するため好ましくない。このとき、耐熱性、耐加水分解性等の点で、総P量(P)と総金属イオン量(M)との質量比(P/M)は、0.4〜1.0であることが好ましい。質量比(P/M)が0.4未満または1.0を超える場合には、フィルムが着色したり、フィルム中に粗大粒子が混入することがあるため好ましくない。
【0041】
上記金属イオンおよびリン酸およびその誘導体の添加時期は特に限定しないが、一般的には、金属イオン類は原料仕込み時、すなわちエステル交換前またはエステル化前に、リン酸類は重縮合反応前に添加するのが好ましい。また、必要に応じて、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤等を添加することもできる。
【0042】
ポリエステルフィルムは、後述する公知の方法で得ることができるが、熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、複数の成分をフィルム中に含有させる手段としては、共重合を行ってこの共重合ポリエステルを単独使用する方式と、異なる種類のホモポリエステルあるいは共重合ポリエステルをブレンドする方式がある。
【0043】
共重合ポリエステルを単独使用する方式では、上記特定組成の多価アルコール成分と、テレフタル酸および他の多価カルボン酸成分とから得られる共重合ポリエステルを用いればよい。一方、異なる組成のポリエステルをブレンドする方式では、ブレンド比率を変更するだけでフィルムの特性を容易に変更でき、多品種のフィルムの工業生産にも対応できるため、好ましく採用することができる。
【0044】
ブレンド法では、具体的には、Tgの異なる2種以上のポリエステルをブレンドして使用することが好ましい。例えば、2種類のポリエステルをブレンドする場合は、テレフタル酸を必須的に含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとからなる共重合ポリエステルと、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコール成分がエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる共重合ポリエステルとのブレンド系;ポリエチレンテレフタレート(PET)と、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールとネオペンチルグリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールである共重合ポリエステルとのブレンド系;ポリブチレンテレフタレート(PBT)と、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールとネオペンチルグリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる共重合ポリエステルとのブレンド系等が挙げられる。もちろん、上記例示以外の多価アルコールを併用してもよく、テレフタル酸以外の多価カルボン酸を併用してもよい。
【0045】
3種の混合系においては、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールとネオペンチルグリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールである共重合ポリエステルと、PETと、PBTとのブレンド系;多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールとネオペンチルグリコールからなる共重合ポリエステルと、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールが1,4−シクロヘキサンジメタノールであるポリエステルと、PETとのブレンド系;多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールとネオペンチルグリコールである共重合ポリエステルと、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールが1,4−シクロヘキサンジメタノールであるポリエステルと、PBTとのブレンド系;多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールとネオペンチルグリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールである共重合ポリエステルと、PETとPBTとのブレンド系;多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールである共重合ポリエステルと、多価カルボン酸成分がテレフタル酸で、多価アルコールがエチレングリコールと1,4−ブタンジオールである共重合ポリエステルと、PBTとのブレンド系等が挙げられる。もちろん、上記例示以外の多価アルコールを併用してもよく、テレフタル酸以外の多価カルボン酸を併用してもよい。なお、4種以上のポリエステルをブレンドしても良い。
【0046】
具体的なフィルムの製造方法としては、原料ポリエステルチップをホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す。あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す。このとき、使用する複数種のポリマーチップの形状を合わせてホッパー内での原料偏析の現象を抑止することが好ましい。ポリエステルチップは、通常、底面を楕円形とする円筒状の形状であるが、楕円状底面の長径、短径及び円筒状の高さのそれぞれの平均サイズが、最も使用比率の高い原料種のチップサイズ±15%以内の範囲である異種の原料チップをもちいることが好ましく、前記サイズが±10%以内の範囲内であることがより好ましい。
【0047】
また、フィルムを構成するポリマーの組成変動を低減するために、使用する原料チップの削れ等により発生する微粉体の比率を低減することが好ましい。前記微粉体が原料偏析の発生を助長するので、工程内で発生する微粉体を除去して含まれる微粉体の比率を低減することが好ましい。含まれる微粉体の比率は、原料チップが押出し機に入るまでの全工程を通じて1質量%以内に制御することが好ましく、0.5質量%以内に制御することがさらに好ましい。
【0048】
押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。ただし、押出機のホッパー内での原料偏析を低減する手段として、使用するホッパーの容量及び形状を適正化することが好ましい。使用するホッパーの適正な容量としては、2種以上の複数種の原料を混合後より押出し機に原料を供給するまでの工程でのホッパー容量が、(押出し機の1時間当たりの吐出量)×0.05から(押出し機の1時間当たりの吐出量)×1.2までの範囲内にあることが好ましく、(押出し機の1時間当たりの吐出量)×0.1から(押出し機の1時間当たりの吐出量)×1.0までの範囲内がより好ましい。ホッパーの適正な形状としてはホッパー内の原料を排出する際に、マスフロー又はそれに近い状態となるような範囲にホッパー底部の角度を設計したものを使用することが好ましい。前述のポリエステル原料チップを例にとると、ホッパー底部の角度が70度以上であることが好ましく、75度以上であればさらに好ましい。
【0049】
複数種の原料を混合する方法としては、押出し機直上のホッパーにて各原料を連続的に定量供給しつつ混合する方法が最も好ましいが、複数種の原料チップサイズを前述の範囲内に制御したものを混合後、複数の中間ホッパーを通じて押出し機に導くこともできる。複数種の原料を混合する際には、原料チップを連続的に定量供給する装置よりホッパー内に複数種の原料を定量的に供給しつつ混合する方法あるいは、ブレンダー等を使用して事前に混合する方法等があるが、後者の場合には混合後排出時に原料偏析が発生しないよう設備および原料チップサイズ等に留意することが好ましい。
【0050】
押出し後は、キャスティングロール等を用いて急冷して未延伸フィルムを得る。なお、この「未延伸フィルム」には、フィルム送りのために必要な張力が作用したフィルムも含まれるものとする。この未延伸フィルムに対して延伸処理を行う。延伸処理は、上記キャスティングロール等による冷却後、連続して行ってもよいし、冷却後、一旦ロール状に巻き取って、その後行ってもよい。
【0051】
最大収縮方向がフィルム横(幅)方向であることが、生産効率上、実用的であるので、以下、最大収縮方向を横方向とする場合の延伸法の例を示す。なお、最大収縮方向をフィルム縦(長手)方向とする場合も、下記方法における延伸方向を90゜変える等、通常の操作に準じて延伸することができる。
【0052】
熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚み分布を均一化させることに着目すれば、テンター等を用いて横方向に延伸する際、延伸工程に先立って予備加熱工程を行うことが好ましく、この予備加熱工程では、熱伝達係数が0.00544J/cm・sec・℃(0.0013カロリー/cm・sec・℃)以下となるように、低風速で、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg+60℃の範囲内の所定温度になるまで加熱を行うことが好ましい。
【0053】
横方向の延伸は、Tg−20℃〜Tg+40℃の範囲内の所定温度で、2.3〜7.3倍、好ましくは2.5〜6.0倍に延伸する。その後、60℃〜110℃の範囲内の所定温度で0〜15%の伸張あるいは0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要により、さらに40℃〜100℃の範囲内の所定温度で熱処理を行うとよい。本発明の目的とする収縮白化を起こしにくいフィルムを得るためには、延伸後、緊張状態(0%の伸長で0%の緩和)で、50〜100℃の範囲で2段階の熱処理を行うことが好ましい。この2段階熱処理法では、最初に高温で、次にそれよりも低温で熱処理を行うことが最も好ましい。また、2段目の熱処理が50℃よりも低温で行われると、本発明の好ましい組成のフィルムの場合、ヘーズの要件を満足できないことがあるため好ましくない。
【0054】
この横延伸工程においては、フィルム表面温度の変動を小さくすることのできる設備を使用することが好ましい。すなわち、延伸工程には、延伸前の予備加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、再延伸処理工程等があるが、特に、予備加熱工程、延伸工程および延伸後の熱処理工程において、任意ポイントにおいて測定されるフィルムの表面温度の変動幅が、平均温度±1℃以内であることが好ましく、平均温度±0.5℃以内であればさらに好ましい。フィルムの表面温度の変動幅が小さいと、フィルム全長に亘って同一温度で延伸や熱処理されることになって、熱収縮挙動が均一化するためである。フィルム表面温度の変動を小さくするには、例えば、フィルムを加熱する熱風の風速を制御できるようにインバーターを取り付けた風速変動抑制設備を用いたり、熱源に50kPa以下(5kgf/cm以下)の低圧蒸気を使用して、熱風の温度変動を抑制できる設備等を用いるとよい。
【0055】
延伸の方法としては、テンターでの横1軸延伸ばかりでなく、縦方向に1.0倍〜4.0倍、好ましくは1.1倍〜2.0倍の延伸を施してもよい。このようい2軸延伸を行う場合は、逐次2軸延伸、同時2軸延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行ってもよい。また、逐次2軸延伸においては、延伸の順序として、縦横、横縦、縦横縦、横縦横等のいずれの方式でもよい。これらの縦延伸工程あるいは2軸延伸工程を採用する場合においても、横延伸と同様に、予備加熱工程、延伸工程等において、フィルム表面温度の変動をできるだけ小さくすることが好ましい。
【0056】
延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制し、幅方向のフィルム温度斑を小さくする点に着目すれば、延伸工程の熱伝達係数は、0.00377J/cm・sec・℃(0.0009カロリー/cm・sec・℃)以上とすることが好ましい。0.00544〜0.00837J/cm・sec・℃(0.0013〜0.0020カロリー/cm・sec・℃)がより好ましい。
【0057】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは特に限定するものではないが、例えばラベル用熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
【0058】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、通常、円周方向が最大収縮方向となるように筒状ラベルに加工して用いられる。筒状にするには、フィルムの端部同士を重ねて接着すればよく、接着方法としては、超音波、ヒートシール法、溶剤接着法、いずれも採用可能である。溶剤接着法に用いることのできる溶剤としては、環境に与える影響を配慮すれば、非塩素系有機溶剤が好ましい。前記した好ましい実施態様のフィルムは溶剤接着性に優れているため、毒性の強い非塩素系有機溶剤でなくても、強い接着部を形成する。
【0059】
使用可能な具体的な溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;フェノール等のフェノール類;テトラヒドロフラン等のフラン類;1,3−ジオキソラン等のオキソラン類等の有機溶剤が挙げられ、中でも、安全性の観点から、テトラヒドロフランや1,3−ジオキソランを使用することが望ましい。
【0060】
【実施例】
以下、以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
【0061】
(1)チップまたはフィルム組成
チップまたはフィルムを、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR測定では、所定のメチレンプロトンのピーク強度を算出して、フィルムを構成するモノマーの構成比率を算出した。
【0062】
(2)熱収縮率
フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
(3)フィルムのヘーズ
保存前(製造直後)のフィルムのヘーズ(保存なし)、この保存前のフィルムの熱収縮後のヘーズ、そして、温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存した後、さらに熱収縮させたもののヘーズを、JIS K 7136に則って測定した。熱収縮は、フィルムをセンターシールマシンで1,3−ジオキソランを用いて溶剤接着して最大収縮方向が円周方向となるようにチューブを作り、さらに切断してラベルを作製し、このラベルを、40℃に調整した容量500mlのガラス瓶に被せて、150℃(風速10m/秒)の熱風を13秒当てることにより行った。それぞれサンプル数10個の平均値を表に示した。
【0063】
(4)摩擦係数
フィルム同一面同士の静摩擦係数μsと、動摩擦係数μdをJIS K 7125に準拠し、温度23℃、相対湿度65%環境下で測定した。サンプル数5の平均値を求めた。
【0064】
(5)溶剤接着性
(3)と同様にして1,3−ジオキソランを用いてフィルム(保存なし)をチューブ状に接合加工し、温度23℃、相対湿度65%の環境下に24時間放置した後、チューブを加工時の流れ方向と直行方向に15mm幅に切断してサンプルとし、接合部分を上記方向について、JIS K 6854に準じ、T型剥離試験を行った。試験片数は20とし、試験片長さ60mm、チャック間20mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で行った。
【0065】
溶剤接着性は以下の基準に基づいて評価した。
剥離接着強度3N/15mm以上: ○
剥離接着強度1N/15mm以上: △
剥離接着強度1N/15mm未満: ×
【0066】
合成例1(ポリエステルの合成)
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、多価カルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分として、エチレングリコール(EG)を100モル%を、多価アルコール成分がモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)と、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。280℃で26.7Paの減圧条件の下で重縮合反応を行い、続いて、チップ化した。固有粘度0.75dl/gのポリエステルチップAを得た。得られたチップの組成を表1に示した。なお、無機滑剤としてシリカ粒子をポリエステルAに0.7質量%添加してマスターバッチとし、これを必要量使用してフィルムに含有させた。滑剤の添加方法は、予めエチレングリコール中に滑剤を分散させておき、上記方法にて重合する方法を採った。
【0067】
合成例2〜5
合成例1と同様な方法により、表1に示すポリエステルチップB〜Eを得た。なお、表中、CHDMが1,4−シクロヘキサンジメタノール、NPGがネオペンチルグリコール、BDが1,4−ブタンジオール、DEGがエチレングリコールである。それぞれのポリエステルの固有粘度は、Bが0.72dl/g、Cが0.80dl/g、Dが1.20dl/gであった。
【0068】
【表1】
Figure 2004255671
【0069】
実施例1
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表1に示したように、チップAを6質量%、チップCを70質量%、チップDを24質量%の割合で、押出し機直上のホッパーに定量スクリューフィーダーにてそれぞれ連続的に別供給しつつホッパー内で混合し、280℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをフィルム温度が72℃になるまで10秒間予熱した後、テンターで横方向に69℃で4.0倍延伸し、続いて79℃で14秒間熱処理を行って、厚さ46μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
【0070】
実施例2
表1に示したように、チップAを6質量%、チップBを14質量%、チップCを56質量%、チップDを24質量%用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ175μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを実施例1と同様にして延伸し、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
【0071】
比較例1
表1に示したように、チップAを6質量%、チップCを20質量%、チップEを74質量%用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ170μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、フィルム温度が95℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に77℃で4.0倍延伸した。次いで73℃にて14秒間熱処理を行って、厚さ44μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
【0072】
比較例2
表1に示したように、チップAを6質量%、チップBを57質量%、チップDを10質量%、チップEを30質量%用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを、フィルム温度が83℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に76℃で4.0倍延伸した。次いで79℃にて14秒間熱処理を行って、厚さ46μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
【0073】
比較例3
表1に示したように、チップCを70質量%、チップDを24質量%、チップEを6質量%用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ46μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。チップAを用いていないため、得られたフィルムには無機滑剤は含まれていない。フィルムの物性値を表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 2004255671
【0075】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、収縮後の収縮白化や収縮斑が極めて少なく、また、フィルムの摩擦係数を制御したので、加工性、ハンドリング性に優れ、滑り性不足によるトラブルが回避される。さらに、溶剤接着性にも優れており、収縮ラベル、キャップシール、収縮包装等の用途に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、
    10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの試料を、95℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が50%以上であり、
    温度30℃、相対湿度85%の環境下で熱収縮性ポリエステル系フィルムを4週間保存し、この保存後のフィルムを所定条件で熱収縮させた後のフィルムのヘーズと、保存前のフィルムのヘーズとの差が5%以下であり、
    フィルムの少なくとも一方の面同士の静摩擦係数μsと動摩擦係数μdがいずれも0.70以下であり、
    かつ、非塩素系有機溶剤で接着可能であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. 熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成する多価アルコール成分100モル%のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10モル%以上含まれている請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 上記多価アルコール成分には、さらに、1,4−ブタンジオール成分が2モル%以上含まれている請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
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