JP2004255545A - 工作機械の切粉回収機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工作機械の各レール2,2の上方には、切粉をベルトコンベア3上へ落とすための帯状のベースカバー4が傾斜状に設置されている。また、各ベースカバー4,4の一部の外端縁際には、長方形状の固定カバー5,5が設置されており、ワークテーブル1に対して下向きに傾斜した状態になっている。さらに、ワークテーブル1の支持台7の左右の鉛直面には、傾斜した回収板11を有する移動カバー9,9が固着されており、それらの移動カバー9,9の外端縁が、固定カバー5,5に接触した状態になっている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械の移動体(ワークテーブル等)の周囲に付設される切粉の回収機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械の一種として、ワークを固定するためのワークテーブル等の移動体が所定の送り軸に沿って移動可能になっており、任意の位置においてワークに切削加工を施すことができるものが知られている。かかる工作機械の中には、ワークテーブル上に設置されたワークに切削加工を施す際に切粉がワークテーブル上に堆積して機外に飛散する事態を防止するために、ワークテーブルの周囲をカバーで覆ったものもある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ワークテーブルの下側にベルトコンベアを設置するとともに、ワークテーブルを載置するレール上に固定カバーを傾斜状に設置し、ワークの切削加工時に発生した切粉を固定カバーによってベルトコンベア上に落下させて、ベルトコンベアによって機外へ搬送するようにした工作機械も知られている。図3は、そのような工作機械の一部を示したものであり、工作機械の各レール52,52の上方には、固定カバー54,54が傾斜状に設置されているとともに、ワークテーブル51の移動方向に対して垂直な平板状のワイパー53,53が、各固定カバー54,54の基端に固着されている。そして、ワークの切削加工時に飛散した切粉を、各固定カバー54,54によって下方に落下させるとともに、ワークテーブル51の端縁(各レール52,52の上方に載置された部分)に堆積した切粉を、ワークテーブル51の移動に伴ってベルトコンベア55上に落下させるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
実開平6−85748号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワークテーブルの周囲をカバーで覆った工作機械は、工具を種々の方向からワークにアプローチさせることが困難である。また、固定カバー54,54によってベルトコンベア55上に切粉を落下させる工作機械においては、切粉をワイパー53,53によってベルトコンベア55上に落下させる際に、固定カバー54,54とワークテーブル51の端縁との隙間に切粉が堆積し、ワークテーブル51の移動の際に、堆積した切粉が機外に飛散してしまう事態が起こり得る。
【0006】
本発明の目的は、上記従来の工作機械が有する問題点を解消し、ワークの切削加工時に発生した切粉が機外へ飛散する事態を効果的に防止することができる工作機械用の切粉回収機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の構成のうち、請求項1に記載された発明の構成は、移動経路に沿って移動体が前後に移動する工作機械において、移動体上で切削されるワークの切粉を移動体の下方で回収するための切粉回収機構であって、前記移動体に対して下向きに傾斜するように前記移動経路上に設けられた固定カバーと、前記移動体の移動軸方向の少なくとも一方に対して傾斜した面を有しており、外端縁が前記固定カバーに接触するように移動体の側面に取り付けられた移動カバーとを有していることにある。
【0008】
請求項2に記載された発明の構成は、請求項1に記載された発明において、移動カバーが、外端縁に沿ってワイパーを設けたものであることにある。
【0009】
請求項3に記載された発明の構成は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、移動カバーが、前後を下向きに傾斜させたへの字状になっていることにある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る工作機械の切粉回収機構の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、工作機械の一部を示したものであり、工作機械には、ベルトコンベア3、ベースカバー4,4、固定カバー5,5、移動カバー9,9等からなる切粉回収機構21が付設されている。
【0012】
工作機械は、一対のレール(移動経路)2,2が平行に配置されており、ワークを支持するためのワークテーブル(移動体)1が、レール2,2に沿って、Z方向に移動可能になっている。さらに、レール2,2同士の隙間には、ワークテーブル1上でワークが切削加工された場合に発生する切粉を機外へ搬送するためのベルトコンベア3が設置されており、ベルトがZ方向に移動するようになっている。
【0013】
また、各レール2,2の上方には、切粉をベルトコンベア3上へ落とすための帯状のベースカバー4,4が設置されている。各ベースカバー4,4は、上面が外側から中側にかけて下向きに傾斜しており、外端縁が上方に折り返されている。
【0014】
さらに、各ベースカバー4,4の一部(ワークテーブル1の移動範囲)の外端縁際には、長方形状の固定カバー5,5が設置されており、各ベースカバー4,4の外側に突出した状態になっている。各固定カバー5,5は、内側の端縁が下方に折り返されており、外側の端縁が上方に折り返されている。そして、内側の折返し部分を、各ベースカバー4,4の外端縁に当着させることによって、各ベースカバー4,4に固着されている。そして、各固定カバー5,5の上面が、それぞれ、各ベースカバー4,4と略同一の角度で傾斜した状態になっている。また、各固定カバー5,5の長手方向と垂直な端縁の内の片方には、それぞれ、遮蔽板6,6が立設されており、各ベースカバー4,4の傾斜面と直交した状態になっている。
【0015】
一方、ワークテーブル1は、略直方体状の支持台7の上に、ワーク固定板8が設置されている。そして、支持台7の左右の鉛直面に、それぞれ、移動カバー9,9が固着されている。
【0016】
図2は、左側の移動カバー9を示したものである(なお、右側の移動カバー9は、左側の移動カバー9と対称な形状を有している)。各移動カバー9,9は、ワークテーブル1の支持台7の左右の側面の長さ(前後方向の長さ)と略同一の長さを有しており、扁平な設置板10の外側に、略三角形状の回収板11が突設されている。回収板11は、中心部分が最も外側に突出しており、左右端縁に近づくにしたがって、次第に幅狭になっている。そして、左右の両端際の部分は、一定幅の帯状になっている。また、中心線(図2(a)におけるA−A線)の左右が、それぞれ、下方へに折り曲げられており、傾斜面を形成している。さらに、外側の端縁に沿って、合成樹脂によって形成された帯状のワイパー12が設置されている。かかる移動カバー9,9は、設置板10の外面をワークテーブル1の支持台7の左右の鉛直面に螺着させることによって、ワークテーブル1の支持台7に取り付けられている。そして、各回収板11,11の中心線が、左右の各固定カバー5,5の下端縁より上方に位置し、各回収板11,11の外端縁に設けられたワイパー12,12が、左右の各固定カバー5,5の傾斜面と接触した状態になっている。加えて、回収板11の左右両端の部分(一定幅の部分)においては、各ワイパー12,12が、各固定カバー5,5の内側の折返し部と接触した状態になっている。
【0017】
工作機械においては、ワークテーブル1が、各レール2,2に沿ってZ軸方向に移動し、任意の位置で、ワーク固定板8上に設置されたワークを切削加工することができるようになっている(なお、ワークテーブル1は、左右の下側に設置されたガイド部材13,13の傾斜面をベースカバー4,4に当接させた状態で、各レール2,2に沿って移動するようになっている)。そして、ワークの切削加工時においては、発生した切粉は、各固定カバー5,5上に落下し、ベースカバー4,4上に導かれた後に、ベルトコンベア3上に落下し、工作機械の機外に搬送される。また、固定カバー5,5上に落下した切粉は、ワークテーブル1の方へも導かれるが、移動カバー9,9の傾斜した回収板11,11により、ワークテーブル1の前後まで導かれて、ベルトコンベア3上に落下する。
【0018】
工作機械の切粉回収機構21は、上記の如く、ワークテーブル1に近づくにしたがって下方に傾斜するようにレール2,2上に設けられた固定カバー5,5と、ワークテーブル1の移動軸方向に対して傾斜した面を有し、かつ、外端縁が固定カバー5,5に接触するようにワークテーブル1の側面に取り付けられた移動カバー9,9とを有している。したがって、固定カバー5,5から落下してくる切粉がワークテーブル1上に導かれることがないので、ワークテーブル1上への切粉の堆積を防止することができ、切粉が工作機械の機外に飛散する事態を防止することができる。
【0019】
また、切粉回収機構21は、移動カバー9,9が、外端縁に沿ってワイパー12を設けたものであるため、切粉が固定カバー5,5と移動カバー9,9との間からワークテーブル1上に堆積する事態を防止することができる。
【0020】
さらに、切粉回収機構21は、移動カバー9,9が、前後を下向きに傾斜させたへの字状になっているため、固定カバー5,5から落下してくる切粉をスムーズにワークテーブル1の前後に導くことができるので、切粉がワークテーブル1上に堆積する事態を非常に効果的に防止することができる。
【0021】
なお、本発明の切粉回収機構の構成は、上記した各実施例の態様に何ら限定されるものではなく、固定カバー、移動カバー、移動体、レール等の形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更できる。
【0022】
たとえば、工作機械は、ワークテーブル等の移動体の真下にコンベアがダイレクトに設置されたものに限定されず、移動体の真下に収納ボックスが設置されており、切粉を一旦収納ボックスに収納した後にコンベアで機外へ搬送するもの等に変更することも可能である。また、移動カバーに設けるワイパーは、合成樹脂製のものに限定されず、弾性を有する薄い金属板等に変更することも可能である。さらに、移動カバーは、移動体の前後に切粉を落下させるものに限定されず、移動体の前方あるいは後方のいずれかに切粉を落下させるもの等に変更することも可能である。
【0023】
【発明の効果】
請求項1に記載された切粉回収機構は、移動体に対して下向きに傾斜するように移動経路上に設けられた固定カバーと、移動体の移動軸方向の少なくとも一方に対して傾斜した面を有し、かつ、外端縁が固定カバーに接触するように移動体の側面に取り付けられた移動カバーとを有しているため、固定カバーから落下してくる切粉が移動体上に導かれることがないので、移動体上への切粉の堆積を防止することができ、切粉が工作機械の機外に飛散する事態を防止することができる。
【0024】
請求項2に記載された切粉回収機構は、移動カバーが、外端縁に沿ってワイパーを設けたものであるため、切粉が固定カバーと移動カバーとの間から移動体上に堆積する事態を防止することができる。
【0025】
請求項3に記載された切粉回収機構は、移動カバーが、前後を下向きに傾斜させたへの字状になっているため、固定カバーから落下してくる切粉をスムーズに移動体の前後に導くことができるので、切粉が移動体上に堆積する事態を非常に効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切粉回収機構を示す斜視図である。
【図2】移動カバーを示す斜視図である(aは平面図であり、bは正面図である)。
【図3】従来の工作機械の一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・ワークテーブル、2・・レール、5・・固定カバー、9・・移動カバー、11・・回収板、12・・ワイパー、21・・切粉回収機構。
Claims (3)
- 移動経路に沿って移動体が前後に移動する工作機械において、移動体上で切削されるワークの切粉を移動体の下方で回収するための切粉回収機構であって、
前記移動体に対して下向きに傾斜するように前記移動経路上に設けられた固定カバーと、
前記移動体の移動軸方向の少なくとも一方に対して傾斜した面を有し、かつ、外端縁が前記固定カバーに接触するように移動体の側面に取り付けられた移動カバーとを有していることを特徴とする工作機械の切粉回収機構。 - 移動カバーが、外端縁に沿ってワイパーを設けたものであることを特徴とする請求項1に記載の工作機械の切粉回収機構。
- 移動カバーが、前後を下向きに傾斜させたへの字状になっていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の工作機械の切粉回収機構。
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