JP2004252163A - 画像形成装置、プロセスカートリッジ、及びこれらに用いるトナー - Google Patents
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Abstract
【課題】クリーニング装置を用いない画像形成装置であって、像担持体上の転写残トナーが帯電部材との接触領域を通過する構成を採用しても転写残トナーが帯電部材に付着せず、帯電不良によって生じる画質劣化を効果的に抑制し、装置の小型化、及び画像品質の向上を両立した画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像転写後の像担持体1上に残存するトナーのうち、所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーT1を回収して保持し、保持された逆帯電トナーT1を非作像時に像担持体1上に排出する一時保持手段40と、一時保持手段40が排出した像担持体1上の逆帯電トナーT1を回収する回収手段とを備える画像形成装置において、一時保持手段40は、像担持体1上の逆帯電トナーT1を回収、保持するトナー保持部材41を備え、トナー保持部材41の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に像担持体1上にトナーを排出する画像形成装置である。
【選択図】 図2
【解決手段】トナー像転写後の像担持体1上に残存するトナーのうち、所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーT1を回収して保持し、保持された逆帯電トナーT1を非作像時に像担持体1上に排出する一時保持手段40と、一時保持手段40が排出した像担持体1上の逆帯電トナーT1を回収する回収手段とを備える画像形成装置において、一時保持手段40は、像担持体1上の逆帯電トナーT1を回収、保持するトナー保持部材41を備え、トナー保持部材41の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に像担持体1上にトナーを排出する画像形成装置である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関し、より詳細には、トナー像転写後の像担持体上をクリーニングするクリーニング装置を用いない画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
像担持体と、これに接触しつつ表面移動する表面移動部材との間に転写電界を形成することで、像担持体上のトナー像の転写を行う静電転写方式を採用する画像形成装置においては、転写後の像担持体表面部分に転写残トナーが残留する。この転写残トナーが除去されないまま、その像担持体表面部分が次の画像形成工程に供されることになると、その像担持体表面部分で帯電ムラ等の帯電不良が生じ、画質劣化の原因となる。そのため、従来は、転写領域から帯電領域までの像担持体表面に対向する位置にクリーニング装置を設け、転写残トナーを除去していた。しかし、このようなクリーニング装置には、像担持体表面から回収した転写残トナーを収容する廃トナータンクや、回収した転写残トナーを再利用するためにその転写残トナーを搬送するリサイクルトナー搬送通路などを設けるスペースが必要になる。そのため、画像形成装置が大型化してしまう。特に、近年では、カラー画像の画像形成スピードの高速化が強く要求されているため、像担持体を各色ごとに備えた所謂タンデム型の画像形成装置が主流になりつつある。このタンデム型の画像形成装置において、上記のようなクリーニング装置を利用する場合、そのクリーニング装置を複数ある像担持体のすべてに個別に設ける必要が生じる。そのため、タンデム型の画像形成装置では、装置の大型化の問題がより顕著なものとなる。
【0003】
このような装置の大型化の問題に対処できるものとして、クリーニングレスの画像形成装置がある。例えば、像担持体表面に残留した転写残トナーを、現像装置を用いて回収する方式(以下、「現像同時クリーニング方式」という。)の画像形成装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この現像同時クリーニング方式では、クリーニングとは別の目的で設置されている現像装置をクリーニング手段として利用するため、別個独立に上記のようなクリーニング装置を設ける必要がない。よって、この現像同時クリーニング方式を採用すれば、装置の小型化及び低コスト化に大きく貢献することができる。
【0004】
また、上記技術では、現像同時クリーニング方式の画像形成装置に搭載する帯電装置として、像担持体に帯電ローラを接触させて帯電を行う実施例が記載されている。従来から、像担持体表面を一様に帯電する方式には、その表面に帯電ローラ等の帯電部材を接触又は近接させて一様帯電する接触・近接帯電方式と、コロナチャージャ等によって一様帯電するチャージャ帯電方式とが知られている。しかし、チャージャ帯電方式では、像担持体表面を所望の電位とするためには大量の放電を発生させる必要があるため、オゾンやNOx等の放電生成物が大量に発生し、環境面で問題がある。これに対し、接触・近接帯電方式であれば、チャージャ帯電方式に比べて発生する放電量が少なく環境面で有利である。したがって、上記実施例に記載の画像形成装置によれば、装置の小型化を図りつつ、放電生成物の発生量が少なくて環境面で有利となるという効果が得られるものと考えられる。
【0005】
しかしながら、このように現像同時クリーニング方式と接触・近接帯電方式を併用した画像形成装置においては、像担持体上の転写残トナーを現像領域まで搬送する間に、その転写残トナーと帯電部材とが接触することになる。そのため、帯電部材に付着した転写残トナーによって一様帯電が妨げられ、像担持体の表面電位を所望の電位にできなかったり、帯電ムラ等の帯電不良が生じたりする。その結果、画像濃度の低下や地肌汚れなどが生じ、画質劣化が生じるという問題があった。なお、この問題は、現像同時クリーニング方式を採用する場合に限らず、転写残トナーを像担持体上から除去しないまま帯電部材との接触領域に搬送する構成を有するものであれば、同様に生じ得るものである。
【0006】
【特許文献1】
特許第3091323号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑み、クリーニング装置を用いない画像形成装置であって、像担持体上の転写残トナーが帯電部材との接触領域を通過する構成を採用しても転写残トナーが帯電部材に付着せず、帯電不良によって生じる画質劣化を効果的に抑制し、装置の小型化、及び画像品質の向上を両立した画像形成装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、潜像を担持する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって前記像担持体上を均一に帯電する帯電手段と、帯電された像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に直接転写、又は中間転写体に転写した後に記録紙に転写する転写手段と、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段と、前記一時保持手段が排出した前記像担持体上の逆帯電トナーを回収する回収手段とを備える画像形成装置において、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材を備え、該トナー保持部材の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する画像形成装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、潜像を担持する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段と、帯電された像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に直接転写、又は中間転写体に転写した後に記録紙に転写する転写手段と、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段と、前記一時保持手段が排出した前記像担持体上の逆帯電トナーを回収する回収手段とを備える画像形成装置において、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材として弾性ローラを備える画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記一時保持手段が、前記弾性ローラの単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する画像形成装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記一時保持手段が、前記像担持体と前記転写手段とが対向する部位よりも前記像担持体移動方向下流側で、前記帯電手段よりも上流側に配置される画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナー保持部材には、逆帯電トナーと逆の極性のバイアスが印加される画像形成装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記弾性ローラが、少なくとも弾性層と弾性層を包む表層からなり、該表層を形成する材料は、弾性層を形成する材料よりも伸縮性が小さい画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記弾性ローラの体積抵抗率が1×103〜1×108Ω・cmである画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記弾性ローラが前記像担持体と線速差をもって回転する画像形成装置である。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記回収手段は、前記転写手段の転写部材がこれを兼ねる画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、前記転写部材はベルト状部材であって、ベルトクリーニング手段を備える画像形成装置である。
【0013】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記一時保持手段が、前記トナー保持部材に保持された逆帯電トナーの前記像担持体への排出を、転写部に搬送される記録紙の紙間隔内に実行する画像形成装置である。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にある画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーの形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある画像形成装置である。
【0015】
請求項14に記載の発明は、請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーが、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである画像形成装置である。
請求項15に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で使用されるトナーが、略球形状である画像形成装置である。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の画像形成装置において、前記トナーの形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にある画像形成装置である。
【0016】
請求項17に記載の発明は、潜像を形成する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段、及び/又は、前記像担持体上に形成された潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段を含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジは、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段を備えてなり、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材を備え、該トナー保持部材の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出するプロセスカートリッジである。
【0017】
請求項18に記載の発明は、潜像を形成する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段、及び/又は、前記像担持体上に形成された潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段を含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジは、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段を備えてなり、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材として弾性ローラを備えるプロセスカートリッジである。
【0018】
請求項19に記載の発明は、電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、該トナーは、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において使用されるトナーであり、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーである。
請求項20に記載の発明は、電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、該トナーは、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において使用されるトナーであり、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーである。
請求項21に記載の発明は、請求項19又は20に記載のトナーにおいて、前記トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。図2は、各感光体ドラム1周りの概略構成を示す図である。
この画像形成装置は電子写真方式のプリンタであり、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。本画像形成装置は、像担持体として4つの感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kを備えている。感光体ドラム1は、円筒状の導電性基体上に有機化合物を用いて感光層を形成してなるOPC感光体である。各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kの周囲には、図2に示すように、感光体ドラム1を帯電させる帯電装置3、感光体ドラム1上に形成された潜像をトナーによって現像する現像装置5、トナー像転写後の感光体ドラム1上の転写残トナーを一時的に保持する一時保持手段40とが備えられ、それぞれ個別の画像形成ユニットを形成している。
【0020】
帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラ3aを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラ3aにバイアスを印加することで、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する。なお、本実施形態では、直流の帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加しているが、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。
また、帯電装置3には、帯電ローラ3aの表面をクリーニングするクリーニングブラシ3bが設けられている。本実施形態では、後述するように帯電ローラ3aの表面にトナーが付着することはほとんどない。しかし、トナーが僅かに付着した場合でも、帯電ローラ3aによる帯電ムラ等の帯電不良を引き起こす原因となる。よって、本実施形態では、帯電ローラ3aの表面をクリーニングブラシ3bによってクリーニングする構成を採用している。
なお、上記帯電装置3として、帯電ローラ3aの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体ドラム1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラ3aに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体ドラム1の表面が一様帯電される。
【0021】
露光装置4は、画像形成ユニットの下方に位置し、表面が一様に帯電された感光体ドラム1に各色の画像情報に応じた潜像を形成すべく、露光を施す。
現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。図1に示す画像形成装置において、装置上方に位置するトナーボトル31Y、31C、31M、31Kから、対応する現像装置5内にトナーが補給され、攪拌搬送スクリュー5bによってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ5a上に担持される。この現像ローラ5aは、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ5a上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。
ここで、現像ローラ5aは、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
【0022】
図1において画像形成ユニットの上方には、各感光体ドラム1に接触するように、支持ローラ11、12、13によって支持、張架された無端状のベルトからなる中間転写ベルト10が配設されている。この中間転写ベルト10は、図中矢印で示すように、各感光体ドラム1と接触部において同方向に移動するように回転し、各感光体ドラム1上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面には、それぞれ転写手段としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kが配置されている。これにより、各一次転写ローラ14により押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1とによって、一次転写ニップ部が形成され、各一次転写ローラ14には正極性のバイアスが印加されて、各感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト10上に転写される。
【0023】
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。
【0024】
また、中間転写ベルト10を介して支持ローラ13に対向する位置には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録紙が送り込まれるようになっている。この記録紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、記録紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が記録紙上に転写される。
【0025】
二次転写ニップ部の記録紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した記録紙は、これらのローラ間に挟み込まれて熱と圧力を受け、これにより、記録紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が記録紙に定着される。そして、定着後の記録紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
【0026】
次に、感光体ドラム1の表面に残留する転写残トナーについて説明する。
図3(a)は、感光体ドラム1上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフである。また、図3(b)は、転写後に感光体ドラム1上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。図3(a)に示すように、転写直前におけるトナーの帯電量は、ほぼ−30μC/gを中心に分布しており、そのほとんどが負極性に正規帯電している。一方、転写残トナーの帯電量は、およそ−2μC/gを中心に分布したものとなる。
一般に、転写残トナーのほとんどは、トナーの組成不良などにより所望どおりの帯電特性が得られない不良トナーである。そのため、転写残トナーの一部は、一次転写ローラ14に印加された正極性バイアスによる電荷注入を受けるなどして、トナーの帯電極性が正極性に反転する。その結果、転写残トナーの中には、図3(b)中斜線部分で示すような正極性に反転してしまった逆帯電トナーが存在してしまう。
【0027】
このような逆帯電トナーは、感光体ドラム1に付着したまま帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されると、負極性の帯電バイアスが印加された帯電ローラ3aの表面に静電的に吸引されて付着しやすい。そして、帯電ローラ3aの表面にトナーが付着すると、帯電ローラ3aの抵抗値や表面状態が変化するため、感光体ドラム1の表面との間の帯電開始電圧にムラが生じる。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加しても、感光体ドラム1の表面が所望の電位に均一にならなくなる。その結果、画像濃度ムラも生じるおそれがある。また、帯電ローラ3aの表面のごく一部にトナーが付着した場合、トナーが付着していない箇所に向けて帯電バイアスによる電流が集中することにある。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加すると、感光体ドラム1表面の帯電電位が所望の電位よりも高くなる。その結果、露光装置4による露光を受けた部分すなわち静電潜像部分の電位が負極性側にシフトし、画像濃度が低下してしまう。また、帯電ローラ3aの表面のほぼ全域にトナーが付着して、帯電ローラ3aの表面にトナーがコーティングされた状態になると、帯電能力が低下し、感光体ドラム1の表面電位が所望の電位よりも下がる。これにより、露光装置4による露光を受けない部分すなわち非静電潜像部分(地肌部分)の電位が、現像ローラ5aに印加される現像バイアスに近づいてしまう。その結果、十分に帯電されていないトナーが感光体ドラム1上の地肌部分に付着して、地肌汚れが発生してしまう。
【0028】
一方で、転写残トナーの中には負極性のままの正規帯電トナーも存在する。しかし、この正規帯電トナーは、帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されても、帯電バイアスが印加されていれば、その帯電ローラ3aの表面に付着することはない。したがって、転写残トナーのうちの逆帯電トナーをいかにして画像形成工程に悪影響を及ぼさないようにするかが重要となる。
【0029】
本発明の画像形成装置では、感光体ドラム1上の転写残トナー、特に逆帯電トナーを一時的に感光体ドラム1上から移行させて保持する一時保持手段40を備える。そして、非作像時に、一時保持手段40に保持されたトナーを再び感光体ドラム1上に排出させ、別の回収手段により回収する機構を備える。
一時保持手段40を配する位置としては、上述の理由から図2に示すように、感光体ドラム1と一次転写ローラ14との対向位置よりも、感光体ドラム1移動方向下流側で、帯電ローラ3aよりも上流側であることがよい。
【0030】
図4は、一時保持手段40の概略構成を拡大して示す図である。この一時保持手段40は、感光体ドラム1の表面に接触するようにトナー保持部材41を備えている。トナー保持部材41としては、弾性ローラを用いることができる。弾性ローラ41は、駆動装置42によって、図中矢印で示すように感光体ドラム1と接触位置で同方向に移動するように回転駆動する。そして、この弾性ローラ41には、電源43からバイアスが印加される構成になっている。印加するバイアスは、逆帯電トナーT1と逆の極性、すなわち負極性バイアスが好ましく、これによって弾性ローラ41が逆帯電トナーT1を回収して保持することを容易にする。
弾性ローラ41が保持したトナーを感光体ドラム1上に排出する際は、電源43によるバイアス印加を停止することで、バイアス印加時の弾性ローラ41との接触でわずかに負極性に帯電した感光体ドラム1表面に逆帯電トナーT1を排出させることができる。より確実に逆帯電トナーT1の排出を行わせるために、逆帯電トナーT1と同極性、すなわち正極性バイアスを印加する電源を別個設ける構成としてもよい。
なお、本実施形態では、電源43として直流電源を用いているが、直流に交流を重畳させたバイアスを印加する電源を用いてもよい。
【0031】
ここで、トナー保持部材41として導電性のブラシローラを用いる方法も考えられる。ブラシローラを用いる場合、ブラシの植毛密度を調整することによってある程度の量のトナーを保持することができる。これにより、ブラシローラにまとまった量のトナーが保持された時点で、そのトナーを感光体ドラム1上に排出すればよく、ブラシローラが保持するトナーの排出・回収工程の頻度を減らすことができる。しかしながら、この工程においてブラシの毛の奥まで入り込んだトナーは排出されづらく、したがってわずかながらブラシ中にトナーが残存し、それが、経時的に堆積すると、ブラシローラのトナー保持能力が徐々に低下するという問題がある。
また、ブラシローラから感光体ドラム1上にトナーを排出させ回収する工程を実行している間は作像ができないため、特にカラー画像形成装置において、カラー濃度の調整、各色の位置合わせ等の作像以外にかかる時間の短縮が強く求められている中で、トナー排出・回収工程の時間短縮は大きな課題のひとつである。
【0032】
そこで、本発明の画像形成装置では、トナー保持部材41は単位表面積当たりに保持するトナー量が0.06mg/cm2に達する前に、感光体ドラム1上にトナーを排出するようにする。トナー保持部材41に保持されるトナー量を0.06mg/cm2以下にすることで、感光体ドラム1上へのトナー排出の頻度は高くする必要がある。しかし、排出に要する時間を極力短くすることも可能である。
このように、単位表面積当たりに保持するトナー量を少量にして、トナー排出を短時間で行うことができるトナー保持部材41として、既に示した弾性ローラ41を好適に用いることができる。
【0033】
弾性ローラ41は、芯金に弾性層を設けて構成される。弾性層に用いる材料としては、硬度がアスカーC20°〜60°のゴム材料がよい。体積抵抗率は、1×103〜1×108Ω・cmが好ましく、カーボンブラックなどの抵抗制御材料を添加して調整する。感光体ドラム1との接触部で適度なニップを形成して逆帯電トナーを効率よく回収するために、連続気孔多孔質体である、例えばポリウレタンゴムなどの材料を用いることが望ましい。
また、弾性層の周りに表層を設けても良い。この場合、表層が感光体ドラム1との接触により、機械的ストレスを受けても変形しないことが必要であるから、弾性層を形成する材料よりも伸縮性が小さい材料を用いて形成することが好ましい。特に、耐摩耗性の観点から、ポリイミド等を用いることが良い。
【0034】
弾性ローラ41と感光体ドラム1とは、同速で回転するものであっても良いが、感光体ドラム1上の逆帯電トナーT1をより効率的に回収するために、線速差をもって回転させることが好ましい。例えば、弾性ローラ41の線速を感光体ドラムの線速よりも速くし、回収効率を向上させることができる。
【0035】
作像時の動作に伴う感光体ドラム1上の電位の推移とトナーの挙動は以下の通りである。
感光体ドラム1は、帯電装置3によってその表面が一様に−500Vに帯電された後、露光装置4の露光を受けることにより潜像部分の電位は−50V程度になる。そして、その潜像部分にトナーを付着させる現像工程を経て、次いで転写工程を終えると、その潜像部分の電位は更に低くなる。転写残トナーのほとんどは、潜像部分であった感光体ドラム1の表面部分に付着している。よって、この表面部分に付着した正極性をもつ逆帯電トナーT1は、感光体ドラム1と弾性ローラ41との接触領域において、−600Vのバイアスが印加された弾性ローラ41側に向かう静電力を受ける。
一方で、潜像部分以外の地肌部分の電位−500Vも転写工程を経ることで、その電位が0V側にシフトする。この地肌部分にも僅かながら転写残トナーが付着することがあるが、この地肌部分に付着する正極性をもつ逆帯電トナーT1にも、弾性ローラ41接触領域において弾性ローラ41側に向かう静電力が働く。
このようにして、感光体ドラム1の表面に付着した転写残トナーのうち、逆帯電トナーT1に関しては、弾性ローラ41に静電的に付着し、保持される。
【0036】
一方、転写残トナーのうちの正規帯電トナーT0は、負極性に帯電しているため、弾性ローラ41接触領域では感光体ドラム1側に向かう静電力を受け、感光体ドラム1の表面に付着し続ける。この正規帯電トナーT0は、感光体ドラム1上に付着したまま帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されても、帯電バイアスが印加されていれば、その帯電ローラ3aの表面に付着することはない。また、その量も微量であることから次の潜像形成の妨げにもならない。そして、現像領域に達すると、現像装置5の現像ローラ5a上のキャリアに付着して回収されるか、その画像形成工程のトナー像を構成することになる。
【0037】
次に、トナー保持部材41で保持した逆帯電トナーT1を感光体ドラム1の表面に排出する排出工程、及び排出された逆帯電トナーT1の回収工程について説明する。
本実施形態では、作像中に弾性ローラ41が保持した逆帯電トナーT1を、非作像時に所定のタイミングで感光体ドラム1の表面に排出する。先ず、弾性ローラ41への電源43からのバイアス印加を停止する。これにより、弾性ローラ41の表面電位は0Vになる。感光体ドラム1の表面は、それまで−600Vの電位を有する弾性ローラ41との接触により、−100V程度に帯電している。そこで、弾性ローラ41に保持された逆帯電トナーT1には、感光体ドラム1側に向かう静電力が働き、感光体ドラム1表面に付着する。
【0038】
このようにして感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーT1が帯電ローラ3aとの接触領域に到達する前に、帯電ローラ3aに印加されている帯電バイアスを停止する。これにより、帯電ローラ3aの表面電位はほぼ0Vになる。一方、逆帯電トナーT1が付着した感光体ドラム1の表面は、上述したようにおよそ−100Vであるため、帯電ローラ3aとの接触領域では、逆帯電トナーT1には感光体ドラム1側に向かう静電力が働く。したがって、逆帯電トナーT1は帯電ローラ3aに付着することなく、その接触領域を通過することができる。
【0039】
帯電ローラ3aと逆帯電トナーT1との接触を確実に防止するために、図5に示すように、帯電ローラ3aに離間手段を設けてもよい。感光体ドラム1表面に付着した逆帯電トナーT1が帯電ローラ3aとの接触領域に到達する前に、離間手段としての接離機構30によって帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面から離間させる。この接離機構30としては、感光体ドラム1の表面に対して帯電ローラ3aを接離させることが可能な公知の手段を用いることができる。
【0040】
帯電ローラ3aとの接触領域を通過した逆帯電トナーT1は、次に現像領域に搬送される。感光体ドラム1表面上の逆帯電トナーT1が現像領域に到達する前に、現像ローラ5aへの現像バイアスの印加は停止させる。これにより、現像ローラ5aの表面電位はほぼ0Vになる。一方、逆帯電トナーT1が付着した感光体ドラム1の表面は、上述したようにおよそ−100Vであるため、現像領域では、逆帯電トナーT1には感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーT1は現像ローラ5aに付着することなく、現像領域を通過することができる。
【0041】
現像領域を通過した逆帯電トナーT1は、次に中間転写ベルト10と接触する一次転写ニップ部に搬送される。図6は一次転写ニップ部を拡大して示す図である。感光体ドラム1上の逆帯電トナーT1が一次転写ニップ部に到達する前に、一次転写ローラ14には、通常の画像形成時とは逆極性のバイアスが印加される。具体的には、一次転写ローラ14には、第1転写電源117又は第2転写電源118のいずれか一方からバイアスが印加される構成になっている。これらの転写電源117、118と一次転写ローラ14との間には切替スイッチ119が設けられており、この切替スイッチ119の動作によって一次転写ローラ14に接続される転写電源が選択される。この切替スイッチ119の動作は、本画像形成装置の制御部によって制御されている。
本実施の形態において、第1転写電源117は、−800〜1500Vの転写バイアスを印加するものである。一方、第2転写電源118は、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kでそれぞれ異なるが、+400V以上でかつ+2000V以下の範囲の転写バイアスを印加するものである。したがって、感光体ドラム1上の逆帯電トナーT1が一次転写ニップ部に到達する前に、一次転写ローラ14には第1転写電源117が接続され、−800〜1500Vの転写バイアスが印加される。
【0042】
一次転写ローラ14に上記のように負極性バイアスが印加されることで、逆帯電トナーT1が付着した感光体ドラム1の表面(−100V)と、中間転写ベルト10との間には転写電界が形成される。そして、この転写電界によって、逆帯電トナーT1には中間転写ベルト10側に向かう静電力が働き、中間転写ベルト10上に転写される。
その後、中間転写ベルト10上に転写された逆帯電トナーT1は、二次転写ローラ16と接触する二次転写ニップ部に搬送される。ここで、逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部に到達する前に、二次転写ローラ16には通常の画像形成時に印加される転写バイアスと同じ転写バイアスが印加される。すなわち、二次転写ローラ16には正極性のバイアスが印加される。一方、逆帯電トナーT1が付着した中間転写ベルト10の表面電位は、二次転写ニップ部においてほぼ0Vであるため、二次転写ニップ部では、逆帯電トナーT1には中間転写ベルト10側に向かう静電力が働く。したがって、逆帯電トナーT1は二次転写ローラ16に付着することなく、二次転写ニップ部を通過することができる。
なお、本実施形態では、逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部を通過する際に二次転写ローラ16にバイアスを印加することで、二次転写ローラ16への逆帯電トナーT1の付着を防止しているが、他の手段を採用してもよい。例えば、二次転写ローラ16を接離可能とし、逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部を通過する際には二次転写ローラ16を中間転写ベルト10から離間させる構成としてもよい。
【0043】
このようにして二次転写ニップ部を通過した逆帯電トナーT1は、次に、ベルトクリーニング装置15との対向するクリーニング領域に搬送される。このクリーニング領域において、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーT1は、ファーブラシによって拡散された後、クリーニングブレードによって掻き取られる。これにより、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーT1はベルトクリーニング装置15に回収されることになる。
【0044】
なお、本実施形態では、中間転写ベルト10上に転写した逆帯電トナーT1をベルトクリーニング装置15によって回収する構成について説明したが、他の構成であってもよい。例えば、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部に到達する前に、二次転写ローラ16に通常の画像形成時とは逆極性のバイアスを印加する。これにより、二次転写ニップ部において逆帯電トナーT1は二次転写ローラ16側に付着し、回収することができる。なお、この場合、二次転写ローラ16の表面をクリーニングするクリーニング手段を設ける必要がある。
【0045】
以上説明してきたように、作像時には感光体ドラム1上の転写残トナーのうち、逆帯電トナーT1をトナー保持部材としての弾性ローラ41で回収保持し、非作像時において所定のタイミングで排出、回収することで、従来の画像形成装置で用いていたクリーニング装置やトナーリサイクル機構等の設備を省略することができる。
逆帯電トナーT1の感光体ドラム1への排出、及び回収のタイミングとしては、二次転写部に搬送される記録紙の紙間隔内であることが好ましい。弾性ローラ41は多量のトナーを保持することができないため、高い頻度でトナーの排出、回収工程が要求される。しかしながら、既に述べたように、弾性ローラ41であればトナーの排出も容易であり、また、頻度を高くすれば扱うトナー量も少量であるため、排出、回収工程に掛かる時間を短縮でき、記録紙の紙間隔内にこれを実行することも可能となる。このように、トナー排出、回収工程の頻度を上げ、工程一回当たりの所要時間を短縮することで、装置の待機時間増加を解消することができる。
【0046】
また、本画像形成装置に備える一時保持手段40は、感光体ドラム1と帯電装置3、及び/又は現像装置5とを一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在に形成したプロセスカートリッジに含むこともできる。本プロセスカートリッジの使用により、帯電装置3の帯電ローラ3aにトナーを付着させることがなく、感光体ドラム1上の潜像形成に悪影響を及ぼすことがない。また、クリーニング装置を含まない構成であるため、小型化できる。
【0047】
次に、本発明の画像形成装置に好適に使用されるトナーについて説明する。
上記で説明した逆帯電トナーの保持、排出、回収方法は、転写残トナーの極性を利用したものである。転写残トナーの量及び極性は、トナーそのものの摩擦帯電性に大きく依存している。トナーの摩擦帯電量の分布をシャープに制御することで、転写効率を向上させて転写残トナーを低減することができ、さらに逆帯電トナーの比率を低く抑えることができる。
トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましく、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。
【0048】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図7は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体1との接触合点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体1との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0049】
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0050】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0051】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0052】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0053】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0054】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0055】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0056】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0057】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0058】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0059】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0060】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0061】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0062】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0063】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0064】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0065】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0066】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0067】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0068】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0069】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0070】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0071】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0072】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0073】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0074】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0075】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0076】
本発明に係るトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図8は、本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。図8において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図8(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図8(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0077】
以上によって製造されたトナーは、磁性キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
また、2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、磁性キャリアとしては、鉄、マグネタイト、Mn、Zn、Cu等の2価の金属を含むフェライトであって、体積平均粒径20〜100μmが好ましい。平均粒径が20μm未満では、現像時に感光体1にキャリア付着が生じやすく、100μmを越えると、トナーとの混合性が低く、トナーの帯電量が不十分で連続使用時の帯電不良等を生じやすい。また、Znを含むCuフェライトが飽和磁化が高いことから好ましいが、画像形成装置100のプロセスにあわせて適宜選択することができる。磁性キャリアを被覆する樹脂としては、特に限定されないが、例えばシリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、含フッ素樹脂、オレフィン樹脂等がある。その製造方法は、コーティング樹脂を溶媒中に溶解し、流動層中にスプレーしコア上にコーティングしても良く、また、樹脂粒子を静電的に核粒子に付着させた後に熱溶融させて被覆するものであってもよい。被覆される樹脂の厚さは、0.05〜10μm、好ましくは0.3〜4μmがよい。
【0078】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、転写残トナーのうち逆帯電トナーを効率的に保持、排出、回収することができ、転写残トナーが帯電部材に付着して、帯電不良を生じることのない画像形成装置を提供することができる。本画像形成装置により、クリーニング装置を省略して装置の小型化を図ることができる。また、画像品質の向上を両立することができる。更に、逆帯電トナーの排出、回収工程にかかる時間を短縮して、該工程に要する時間による装置の待機時間増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】各感光体ドラム周りの概略構成を示す図である。
【図3】(a)は、感光体ドラム上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフであり、(b)は、転写後に感光体ドラム上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。
【図4】一時保持手段の概略構成を拡大して示す図である。
【図5】帯電ローラに離間手段を設けた帯電装置の構成を示す図である。
【図6】一次転写ニップ部を拡大して示す図である。
【図7】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図8】本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
3 帯電装置
3a 帯電ローラ
4 露光装置
5 現像装置
10 中間転写ベルト
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
40 一時保持手段
41 トナー保持部材(弾性ローラ)
T0 正規帯電トナー
T1 逆帯電トナー
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関し、より詳細には、トナー像転写後の像担持体上をクリーニングするクリーニング装置を用いない画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
像担持体と、これに接触しつつ表面移動する表面移動部材との間に転写電界を形成することで、像担持体上のトナー像の転写を行う静電転写方式を採用する画像形成装置においては、転写後の像担持体表面部分に転写残トナーが残留する。この転写残トナーが除去されないまま、その像担持体表面部分が次の画像形成工程に供されることになると、その像担持体表面部分で帯電ムラ等の帯電不良が生じ、画質劣化の原因となる。そのため、従来は、転写領域から帯電領域までの像担持体表面に対向する位置にクリーニング装置を設け、転写残トナーを除去していた。しかし、このようなクリーニング装置には、像担持体表面から回収した転写残トナーを収容する廃トナータンクや、回収した転写残トナーを再利用するためにその転写残トナーを搬送するリサイクルトナー搬送通路などを設けるスペースが必要になる。そのため、画像形成装置が大型化してしまう。特に、近年では、カラー画像の画像形成スピードの高速化が強く要求されているため、像担持体を各色ごとに備えた所謂タンデム型の画像形成装置が主流になりつつある。このタンデム型の画像形成装置において、上記のようなクリーニング装置を利用する場合、そのクリーニング装置を複数ある像担持体のすべてに個別に設ける必要が生じる。そのため、タンデム型の画像形成装置では、装置の大型化の問題がより顕著なものとなる。
【0003】
このような装置の大型化の問題に対処できるものとして、クリーニングレスの画像形成装置がある。例えば、像担持体表面に残留した転写残トナーを、現像装置を用いて回収する方式(以下、「現像同時クリーニング方式」という。)の画像形成装置に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この現像同時クリーニング方式では、クリーニングとは別の目的で設置されている現像装置をクリーニング手段として利用するため、別個独立に上記のようなクリーニング装置を設ける必要がない。よって、この現像同時クリーニング方式を採用すれば、装置の小型化及び低コスト化に大きく貢献することができる。
【0004】
また、上記技術では、現像同時クリーニング方式の画像形成装置に搭載する帯電装置として、像担持体に帯電ローラを接触させて帯電を行う実施例が記載されている。従来から、像担持体表面を一様に帯電する方式には、その表面に帯電ローラ等の帯電部材を接触又は近接させて一様帯電する接触・近接帯電方式と、コロナチャージャ等によって一様帯電するチャージャ帯電方式とが知られている。しかし、チャージャ帯電方式では、像担持体表面を所望の電位とするためには大量の放電を発生させる必要があるため、オゾンやNOx等の放電生成物が大量に発生し、環境面で問題がある。これに対し、接触・近接帯電方式であれば、チャージャ帯電方式に比べて発生する放電量が少なく環境面で有利である。したがって、上記実施例に記載の画像形成装置によれば、装置の小型化を図りつつ、放電生成物の発生量が少なくて環境面で有利となるという効果が得られるものと考えられる。
【0005】
しかしながら、このように現像同時クリーニング方式と接触・近接帯電方式を併用した画像形成装置においては、像担持体上の転写残トナーを現像領域まで搬送する間に、その転写残トナーと帯電部材とが接触することになる。そのため、帯電部材に付着した転写残トナーによって一様帯電が妨げられ、像担持体の表面電位を所望の電位にできなかったり、帯電ムラ等の帯電不良が生じたりする。その結果、画像濃度の低下や地肌汚れなどが生じ、画質劣化が生じるという問題があった。なお、この問題は、現像同時クリーニング方式を採用する場合に限らず、転写残トナーを像担持体上から除去しないまま帯電部材との接触領域に搬送する構成を有するものであれば、同様に生じ得るものである。
【0006】
【特許文献1】
特許第3091323号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑み、クリーニング装置を用いない画像形成装置であって、像担持体上の転写残トナーが帯電部材との接触領域を通過する構成を採用しても転写残トナーが帯電部材に付着せず、帯電不良によって生じる画質劣化を効果的に抑制し、装置の小型化、及び画像品質の向上を両立した画像形成装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、潜像を担持する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって前記像担持体上を均一に帯電する帯電手段と、帯電された像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に直接転写、又は中間転写体に転写した後に記録紙に転写する転写手段と、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段と、前記一時保持手段が排出した前記像担持体上の逆帯電トナーを回収する回収手段とを備える画像形成装置において、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材を備え、該トナー保持部材の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する画像形成装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、潜像を担持する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段と、帯電された像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段と、前記像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に直接転写、又は中間転写体に転写した後に記録紙に転写する転写手段と、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段と、前記一時保持手段が排出した前記像担持体上の逆帯電トナーを回収する回収手段とを備える画像形成装置において、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材として弾性ローラを備える画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記一時保持手段が、前記弾性ローラの単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する画像形成装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記一時保持手段が、前記像担持体と前記転写手段とが対向する部位よりも前記像担持体移動方向下流側で、前記帯電手段よりも上流側に配置される画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナー保持部材には、逆帯電トナーと逆の極性のバイアスが印加される画像形成装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記弾性ローラが、少なくとも弾性層と弾性層を包む表層からなり、該表層を形成する材料は、弾性層を形成する材料よりも伸縮性が小さい画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記弾性ローラの体積抵抗率が1×103〜1×108Ω・cmである画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記弾性ローラが前記像担持体と線速差をもって回転する画像形成装置である。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記回収手段は、前記転写手段の転写部材がこれを兼ねる画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、前記転写部材はベルト状部材であって、ベルトクリーニング手段を備える画像形成装置である。
【0013】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記一時保持手段が、前記トナー保持部材に保持された逆帯電トナーの前記像担持体への排出を、転写部に搬送される記録紙の紙間隔内に実行する画像形成装置である。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーの体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にある画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーの形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある画像形成装置である。
【0015】
請求項14に記載の発明は、請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で用いられるトナーが、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである画像形成装置である。
請求項15に記載の発明は、請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段で使用されるトナーが、略球形状である画像形成装置である。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の画像形成装置において、前記トナーの形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にある画像形成装置である。
【0016】
請求項17に記載の発明は、潜像を形成する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段、及び/又は、前記像担持体上に形成された潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段を含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジは、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段を備えてなり、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材を備え、該トナー保持部材の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出するプロセスカートリッジである。
【0017】
請求項18に記載の発明は、潜像を形成する像担持体と、バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段、及び/又は、前記像担持体上に形成された潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段を含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジにおいて、該プロセスカートリッジは、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段を備えてなり、前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材として弾性ローラを備えるプロセスカートリッジである。
【0018】
請求項19に記載の発明は、電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、該トナーは、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において使用されるトナーであり、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるトナーである。
請求項20に記載の発明は、電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、該トナーは、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において使用されるトナーであり、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるトナーである。
請求項21に記載の発明は、請求項19又は20に記載のトナーにおいて、前記トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。図2は、各感光体ドラム1周りの概略構成を示す図である。
この画像形成装置は電子写真方式のプリンタであり、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。本画像形成装置は、像担持体として4つの感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kを備えている。感光体ドラム1は、円筒状の導電性基体上に有機化合物を用いて感光層を形成してなるOPC感光体である。各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kの周囲には、図2に示すように、感光体ドラム1を帯電させる帯電装置3、感光体ドラム1上に形成された潜像をトナーによって現像する現像装置5、トナー像転写後の感光体ドラム1上の転写残トナーを一時的に保持する一時保持手段40とが備えられ、それぞれ個別の画像形成ユニットを形成している。
【0020】
帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラ3aを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラ3aにバイアスを印加することで、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する。なお、本実施形態では、直流の帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加しているが、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。
また、帯電装置3には、帯電ローラ3aの表面をクリーニングするクリーニングブラシ3bが設けられている。本実施形態では、後述するように帯電ローラ3aの表面にトナーが付着することはほとんどない。しかし、トナーが僅かに付着した場合でも、帯電ローラ3aによる帯電ムラ等の帯電不良を引き起こす原因となる。よって、本実施形態では、帯電ローラ3aの表面をクリーニングブラシ3bによってクリーニングする構成を採用している。
なお、上記帯電装置3として、帯電ローラ3aの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体ドラム1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラ3aに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体ドラム1の表面が一様帯電される。
【0021】
露光装置4は、画像形成ユニットの下方に位置し、表面が一様に帯電された感光体ドラム1に各色の画像情報に応じた潜像を形成すべく、露光を施す。
現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。図1に示す画像形成装置において、装置上方に位置するトナーボトル31Y、31C、31M、31Kから、対応する現像装置5内にトナーが補給され、攪拌搬送スクリュー5bによってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ5a上に担持される。この現像ローラ5aは、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ5a上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。
ここで、現像ローラ5aは、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
【0022】
図1において画像形成ユニットの上方には、各感光体ドラム1に接触するように、支持ローラ11、12、13によって支持、張架された無端状のベルトからなる中間転写ベルト10が配設されている。この中間転写ベルト10は、図中矢印で示すように、各感光体ドラム1と接触部において同方向に移動するように回転し、各感光体ドラム1上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。各感光体ドラム1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面には、それぞれ転写手段としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kが配置されている。これにより、各一次転写ローラ14により押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1とによって、一次転写ニップ部が形成され、各一次転写ローラ14には正極性のバイアスが印加されて、各感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト10上に転写される。
【0023】
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。
【0024】
また、中間転写ベルト10を介して支持ローラ13に対向する位置には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録紙が送り込まれるようになっている。この記録紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、記録紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が記録紙上に転写される。
【0025】
二次転写ニップ部の記録紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した記録紙は、これらのローラ間に挟み込まれて熱と圧力を受け、これにより、記録紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が記録紙に定着される。そして、定着後の記録紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
【0026】
次に、感光体ドラム1の表面に残留する転写残トナーについて説明する。
図3(a)は、感光体ドラム1上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフである。また、図3(b)は、転写後に感光体ドラム1上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。図3(a)に示すように、転写直前におけるトナーの帯電量は、ほぼ−30μC/gを中心に分布しており、そのほとんどが負極性に正規帯電している。一方、転写残トナーの帯電量は、およそ−2μC/gを中心に分布したものとなる。
一般に、転写残トナーのほとんどは、トナーの組成不良などにより所望どおりの帯電特性が得られない不良トナーである。そのため、転写残トナーの一部は、一次転写ローラ14に印加された正極性バイアスによる電荷注入を受けるなどして、トナーの帯電極性が正極性に反転する。その結果、転写残トナーの中には、図3(b)中斜線部分で示すような正極性に反転してしまった逆帯電トナーが存在してしまう。
【0027】
このような逆帯電トナーは、感光体ドラム1に付着したまま帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されると、負極性の帯電バイアスが印加された帯電ローラ3aの表面に静電的に吸引されて付着しやすい。そして、帯電ローラ3aの表面にトナーが付着すると、帯電ローラ3aの抵抗値や表面状態が変化するため、感光体ドラム1の表面との間の帯電開始電圧にムラが生じる。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加しても、感光体ドラム1の表面が所望の電位に均一にならなくなる。その結果、画像濃度ムラも生じるおそれがある。また、帯電ローラ3aの表面のごく一部にトナーが付着した場合、トナーが付着していない箇所に向けて帯電バイアスによる電流が集中することにある。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加すると、感光体ドラム1表面の帯電電位が所望の電位よりも高くなる。その結果、露光装置4による露光を受けた部分すなわち静電潜像部分の電位が負極性側にシフトし、画像濃度が低下してしまう。また、帯電ローラ3aの表面のほぼ全域にトナーが付着して、帯電ローラ3aの表面にトナーがコーティングされた状態になると、帯電能力が低下し、感光体ドラム1の表面電位が所望の電位よりも下がる。これにより、露光装置4による露光を受けない部分すなわち非静電潜像部分(地肌部分)の電位が、現像ローラ5aに印加される現像バイアスに近づいてしまう。その結果、十分に帯電されていないトナーが感光体ドラム1上の地肌部分に付着して、地肌汚れが発生してしまう。
【0028】
一方で、転写残トナーの中には負極性のままの正規帯電トナーも存在する。しかし、この正規帯電トナーは、帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されても、帯電バイアスが印加されていれば、その帯電ローラ3aの表面に付着することはない。したがって、転写残トナーのうちの逆帯電トナーをいかにして画像形成工程に悪影響を及ぼさないようにするかが重要となる。
【0029】
本発明の画像形成装置では、感光体ドラム1上の転写残トナー、特に逆帯電トナーを一時的に感光体ドラム1上から移行させて保持する一時保持手段40を備える。そして、非作像時に、一時保持手段40に保持されたトナーを再び感光体ドラム1上に排出させ、別の回収手段により回収する機構を備える。
一時保持手段40を配する位置としては、上述の理由から図2に示すように、感光体ドラム1と一次転写ローラ14との対向位置よりも、感光体ドラム1移動方向下流側で、帯電ローラ3aよりも上流側であることがよい。
【0030】
図4は、一時保持手段40の概略構成を拡大して示す図である。この一時保持手段40は、感光体ドラム1の表面に接触するようにトナー保持部材41を備えている。トナー保持部材41としては、弾性ローラを用いることができる。弾性ローラ41は、駆動装置42によって、図中矢印で示すように感光体ドラム1と接触位置で同方向に移動するように回転駆動する。そして、この弾性ローラ41には、電源43からバイアスが印加される構成になっている。印加するバイアスは、逆帯電トナーT1と逆の極性、すなわち負極性バイアスが好ましく、これによって弾性ローラ41が逆帯電トナーT1を回収して保持することを容易にする。
弾性ローラ41が保持したトナーを感光体ドラム1上に排出する際は、電源43によるバイアス印加を停止することで、バイアス印加時の弾性ローラ41との接触でわずかに負極性に帯電した感光体ドラム1表面に逆帯電トナーT1を排出させることができる。より確実に逆帯電トナーT1の排出を行わせるために、逆帯電トナーT1と同極性、すなわち正極性バイアスを印加する電源を別個設ける構成としてもよい。
なお、本実施形態では、電源43として直流電源を用いているが、直流に交流を重畳させたバイアスを印加する電源を用いてもよい。
【0031】
ここで、トナー保持部材41として導電性のブラシローラを用いる方法も考えられる。ブラシローラを用いる場合、ブラシの植毛密度を調整することによってある程度の量のトナーを保持することができる。これにより、ブラシローラにまとまった量のトナーが保持された時点で、そのトナーを感光体ドラム1上に排出すればよく、ブラシローラが保持するトナーの排出・回収工程の頻度を減らすことができる。しかしながら、この工程においてブラシの毛の奥まで入り込んだトナーは排出されづらく、したがってわずかながらブラシ中にトナーが残存し、それが、経時的に堆積すると、ブラシローラのトナー保持能力が徐々に低下するという問題がある。
また、ブラシローラから感光体ドラム1上にトナーを排出させ回収する工程を実行している間は作像ができないため、特にカラー画像形成装置において、カラー濃度の調整、各色の位置合わせ等の作像以外にかかる時間の短縮が強く求められている中で、トナー排出・回収工程の時間短縮は大きな課題のひとつである。
【0032】
そこで、本発明の画像形成装置では、トナー保持部材41は単位表面積当たりに保持するトナー量が0.06mg/cm2に達する前に、感光体ドラム1上にトナーを排出するようにする。トナー保持部材41に保持されるトナー量を0.06mg/cm2以下にすることで、感光体ドラム1上へのトナー排出の頻度は高くする必要がある。しかし、排出に要する時間を極力短くすることも可能である。
このように、単位表面積当たりに保持するトナー量を少量にして、トナー排出を短時間で行うことができるトナー保持部材41として、既に示した弾性ローラ41を好適に用いることができる。
【0033】
弾性ローラ41は、芯金に弾性層を設けて構成される。弾性層に用いる材料としては、硬度がアスカーC20°〜60°のゴム材料がよい。体積抵抗率は、1×103〜1×108Ω・cmが好ましく、カーボンブラックなどの抵抗制御材料を添加して調整する。感光体ドラム1との接触部で適度なニップを形成して逆帯電トナーを効率よく回収するために、連続気孔多孔質体である、例えばポリウレタンゴムなどの材料を用いることが望ましい。
また、弾性層の周りに表層を設けても良い。この場合、表層が感光体ドラム1との接触により、機械的ストレスを受けても変形しないことが必要であるから、弾性層を形成する材料よりも伸縮性が小さい材料を用いて形成することが好ましい。特に、耐摩耗性の観点から、ポリイミド等を用いることが良い。
【0034】
弾性ローラ41と感光体ドラム1とは、同速で回転するものであっても良いが、感光体ドラム1上の逆帯電トナーT1をより効率的に回収するために、線速差をもって回転させることが好ましい。例えば、弾性ローラ41の線速を感光体ドラムの線速よりも速くし、回収効率を向上させることができる。
【0035】
作像時の動作に伴う感光体ドラム1上の電位の推移とトナーの挙動は以下の通りである。
感光体ドラム1は、帯電装置3によってその表面が一様に−500Vに帯電された後、露光装置4の露光を受けることにより潜像部分の電位は−50V程度になる。そして、その潜像部分にトナーを付着させる現像工程を経て、次いで転写工程を終えると、その潜像部分の電位は更に低くなる。転写残トナーのほとんどは、潜像部分であった感光体ドラム1の表面部分に付着している。よって、この表面部分に付着した正極性をもつ逆帯電トナーT1は、感光体ドラム1と弾性ローラ41との接触領域において、−600Vのバイアスが印加された弾性ローラ41側に向かう静電力を受ける。
一方で、潜像部分以外の地肌部分の電位−500Vも転写工程を経ることで、その電位が0V側にシフトする。この地肌部分にも僅かながら転写残トナーが付着することがあるが、この地肌部分に付着する正極性をもつ逆帯電トナーT1にも、弾性ローラ41接触領域において弾性ローラ41側に向かう静電力が働く。
このようにして、感光体ドラム1の表面に付着した転写残トナーのうち、逆帯電トナーT1に関しては、弾性ローラ41に静電的に付着し、保持される。
【0036】
一方、転写残トナーのうちの正規帯電トナーT0は、負極性に帯電しているため、弾性ローラ41接触領域では感光体ドラム1側に向かう静電力を受け、感光体ドラム1の表面に付着し続ける。この正規帯電トナーT0は、感光体ドラム1上に付着したまま帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されても、帯電バイアスが印加されていれば、その帯電ローラ3aの表面に付着することはない。また、その量も微量であることから次の潜像形成の妨げにもならない。そして、現像領域に達すると、現像装置5の現像ローラ5a上のキャリアに付着して回収されるか、その画像形成工程のトナー像を構成することになる。
【0037】
次に、トナー保持部材41で保持した逆帯電トナーT1を感光体ドラム1の表面に排出する排出工程、及び排出された逆帯電トナーT1の回収工程について説明する。
本実施形態では、作像中に弾性ローラ41が保持した逆帯電トナーT1を、非作像時に所定のタイミングで感光体ドラム1の表面に排出する。先ず、弾性ローラ41への電源43からのバイアス印加を停止する。これにより、弾性ローラ41の表面電位は0Vになる。感光体ドラム1の表面は、それまで−600Vの電位を有する弾性ローラ41との接触により、−100V程度に帯電している。そこで、弾性ローラ41に保持された逆帯電トナーT1には、感光体ドラム1側に向かう静電力が働き、感光体ドラム1表面に付着する。
【0038】
このようにして感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーT1が帯電ローラ3aとの接触領域に到達する前に、帯電ローラ3aに印加されている帯電バイアスを停止する。これにより、帯電ローラ3aの表面電位はほぼ0Vになる。一方、逆帯電トナーT1が付着した感光体ドラム1の表面は、上述したようにおよそ−100Vであるため、帯電ローラ3aとの接触領域では、逆帯電トナーT1には感光体ドラム1側に向かう静電力が働く。したがって、逆帯電トナーT1は帯電ローラ3aに付着することなく、その接触領域を通過することができる。
【0039】
帯電ローラ3aと逆帯電トナーT1との接触を確実に防止するために、図5に示すように、帯電ローラ3aに離間手段を設けてもよい。感光体ドラム1表面に付着した逆帯電トナーT1が帯電ローラ3aとの接触領域に到達する前に、離間手段としての接離機構30によって帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面から離間させる。この接離機構30としては、感光体ドラム1の表面に対して帯電ローラ3aを接離させることが可能な公知の手段を用いることができる。
【0040】
帯電ローラ3aとの接触領域を通過した逆帯電トナーT1は、次に現像領域に搬送される。感光体ドラム1表面上の逆帯電トナーT1が現像領域に到達する前に、現像ローラ5aへの現像バイアスの印加は停止させる。これにより、現像ローラ5aの表面電位はほぼ0Vになる。一方、逆帯電トナーT1が付着した感光体ドラム1の表面は、上述したようにおよそ−100Vであるため、現像領域では、逆帯電トナーT1には感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーT1は現像ローラ5aに付着することなく、現像領域を通過することができる。
【0041】
現像領域を通過した逆帯電トナーT1は、次に中間転写ベルト10と接触する一次転写ニップ部に搬送される。図6は一次転写ニップ部を拡大して示す図である。感光体ドラム1上の逆帯電トナーT1が一次転写ニップ部に到達する前に、一次転写ローラ14には、通常の画像形成時とは逆極性のバイアスが印加される。具体的には、一次転写ローラ14には、第1転写電源117又は第2転写電源118のいずれか一方からバイアスが印加される構成になっている。これらの転写電源117、118と一次転写ローラ14との間には切替スイッチ119が設けられており、この切替スイッチ119の動作によって一次転写ローラ14に接続される転写電源が選択される。この切替スイッチ119の動作は、本画像形成装置の制御部によって制御されている。
本実施の形態において、第1転写電源117は、−800〜1500Vの転写バイアスを印加するものである。一方、第2転写電源118は、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kでそれぞれ異なるが、+400V以上でかつ+2000V以下の範囲の転写バイアスを印加するものである。したがって、感光体ドラム1上の逆帯電トナーT1が一次転写ニップ部に到達する前に、一次転写ローラ14には第1転写電源117が接続され、−800〜1500Vの転写バイアスが印加される。
【0042】
一次転写ローラ14に上記のように負極性バイアスが印加されることで、逆帯電トナーT1が付着した感光体ドラム1の表面(−100V)と、中間転写ベルト10との間には転写電界が形成される。そして、この転写電界によって、逆帯電トナーT1には中間転写ベルト10側に向かう静電力が働き、中間転写ベルト10上に転写される。
その後、中間転写ベルト10上に転写された逆帯電トナーT1は、二次転写ローラ16と接触する二次転写ニップ部に搬送される。ここで、逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部に到達する前に、二次転写ローラ16には通常の画像形成時に印加される転写バイアスと同じ転写バイアスが印加される。すなわち、二次転写ローラ16には正極性のバイアスが印加される。一方、逆帯電トナーT1が付着した中間転写ベルト10の表面電位は、二次転写ニップ部においてほぼ0Vであるため、二次転写ニップ部では、逆帯電トナーT1には中間転写ベルト10側に向かう静電力が働く。したがって、逆帯電トナーT1は二次転写ローラ16に付着することなく、二次転写ニップ部を通過することができる。
なお、本実施形態では、逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部を通過する際に二次転写ローラ16にバイアスを印加することで、二次転写ローラ16への逆帯電トナーT1の付着を防止しているが、他の手段を採用してもよい。例えば、二次転写ローラ16を接離可能とし、逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部を通過する際には二次転写ローラ16を中間転写ベルト10から離間させる構成としてもよい。
【0043】
このようにして二次転写ニップ部を通過した逆帯電トナーT1は、次に、ベルトクリーニング装置15との対向するクリーニング領域に搬送される。このクリーニング領域において、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーT1は、ファーブラシによって拡散された後、クリーニングブレードによって掻き取られる。これにより、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーT1はベルトクリーニング装置15に回収されることになる。
【0044】
なお、本実施形態では、中間転写ベルト10上に転写した逆帯電トナーT1をベルトクリーニング装置15によって回収する構成について説明したが、他の構成であってもよい。例えば、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーT1が二次転写ニップ部に到達する前に、二次転写ローラ16に通常の画像形成時とは逆極性のバイアスを印加する。これにより、二次転写ニップ部において逆帯電トナーT1は二次転写ローラ16側に付着し、回収することができる。なお、この場合、二次転写ローラ16の表面をクリーニングするクリーニング手段を設ける必要がある。
【0045】
以上説明してきたように、作像時には感光体ドラム1上の転写残トナーのうち、逆帯電トナーT1をトナー保持部材としての弾性ローラ41で回収保持し、非作像時において所定のタイミングで排出、回収することで、従来の画像形成装置で用いていたクリーニング装置やトナーリサイクル機構等の設備を省略することができる。
逆帯電トナーT1の感光体ドラム1への排出、及び回収のタイミングとしては、二次転写部に搬送される記録紙の紙間隔内であることが好ましい。弾性ローラ41は多量のトナーを保持することができないため、高い頻度でトナーの排出、回収工程が要求される。しかしながら、既に述べたように、弾性ローラ41であればトナーの排出も容易であり、また、頻度を高くすれば扱うトナー量も少量であるため、排出、回収工程に掛かる時間を短縮でき、記録紙の紙間隔内にこれを実行することも可能となる。このように、トナー排出、回収工程の頻度を上げ、工程一回当たりの所要時間を短縮することで、装置の待機時間増加を解消することができる。
【0046】
また、本画像形成装置に備える一時保持手段40は、感光体ドラム1と帯電装置3、及び/又は現像装置5とを一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在に形成したプロセスカートリッジに含むこともできる。本プロセスカートリッジの使用により、帯電装置3の帯電ローラ3aにトナーを付着させることがなく、感光体ドラム1上の潜像形成に悪影響を及ぼすことがない。また、クリーニング装置を含まない構成であるため、小型化できる。
【0047】
次に、本発明の画像形成装置に好適に使用されるトナーについて説明する。
上記で説明した逆帯電トナーの保持、排出、回収方法は、転写残トナーの極性を利用したものである。転写残トナーの量及び極性は、トナーそのものの摩擦帯電性に大きく依存している。トナーの摩擦帯電量の分布をシャープに制御することで、転写効率を向上させて転写残トナーを低減することができ、さらに逆帯電トナーの比率を低く抑えることができる。
トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましく、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。
【0048】
トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。図7は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体1との接触合点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体1との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0049】
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
【0050】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0051】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0052】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0053】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0054】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0055】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0056】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0057】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0058】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0059】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0060】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0061】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0062】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0063】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0064】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0065】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0066】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0067】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0068】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0069】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0070】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0071】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0072】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0073】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0074】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0075】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0076】
本発明に係るトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
図8は、本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。図8において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図8(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図8(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0077】
以上によって製造されたトナーは、磁性キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
また、2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、磁性キャリアとしては、鉄、マグネタイト、Mn、Zn、Cu等の2価の金属を含むフェライトであって、体積平均粒径20〜100μmが好ましい。平均粒径が20μm未満では、現像時に感光体1にキャリア付着が生じやすく、100μmを越えると、トナーとの混合性が低く、トナーの帯電量が不十分で連続使用時の帯電不良等を生じやすい。また、Znを含むCuフェライトが飽和磁化が高いことから好ましいが、画像形成装置100のプロセスにあわせて適宜選択することができる。磁性キャリアを被覆する樹脂としては、特に限定されないが、例えばシリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、含フッ素樹脂、オレフィン樹脂等がある。その製造方法は、コーティング樹脂を溶媒中に溶解し、流動層中にスプレーしコア上にコーティングしても良く、また、樹脂粒子を静電的に核粒子に付着させた後に熱溶融させて被覆するものであってもよい。被覆される樹脂の厚さは、0.05〜10μm、好ましくは0.3〜4μmがよい。
【0078】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、転写残トナーのうち逆帯電トナーを効率的に保持、排出、回収することができ、転写残トナーが帯電部材に付着して、帯電不良を生じることのない画像形成装置を提供することができる。本画像形成装置により、クリーニング装置を省略して装置の小型化を図ることができる。また、画像品質の向上を両立することができる。更に、逆帯電トナーの排出、回収工程にかかる時間を短縮して、該工程に要する時間による装置の待機時間増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】各感光体ドラム周りの概略構成を示す図である。
【図3】(a)は、感光体ドラム上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフであり、(b)は、転写後に感光体ドラム上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。
【図4】一時保持手段の概略構成を拡大して示す図である。
【図5】帯電ローラに離間手段を設けた帯電装置の構成を示す図である。
【図6】一次転写ニップ部を拡大して示す図である。
【図7】形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図8】本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
3 帯電装置
3a 帯電ローラ
4 露光装置
5 現像装置
10 中間転写ベルト
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
40 一時保持手段
41 トナー保持部材(弾性ローラ)
T0 正規帯電トナー
T1 逆帯電トナー
Claims (21)
- 潜像を担持する像担持体と、
バイアスを印加した帯電部材によって前記像担持体上を均一に帯電する帯電手段と、
帯電された像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像担持体上の潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に直接転写、又は中間転写体に転写した後に記録紙に転写する転写手段と、
トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段と、
前記一時保持手段が排出した前記像担持体上の逆帯電トナーを回収する回収手段とを備える画像形成装置において、
前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材を備え、該トナー保持部材の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 潜像を担持する像担持体と、
バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段と、
帯電された像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像担持体上の潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段と、
前記像担持体上に形成されたトナー像を記録紙に直接転写、又は中間転写体に転写した後に記録紙に転写する転写手段と、
トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段と、
前記一時保持手段が排出した前記像担持体上の逆帯電トナーを回収する回収手段とを備える画像形成装置において、
前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材として弾性ローラを備える
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2に記載の画像形成装置において、
前記一時保持手段は、前記弾性ローラの単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記一時保持手段は、前記像担持体と前記転写手段とが対向する部位よりも前記像担持体移動方向下流側で、前記帯電手段よりも上流側に配置される
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記トナー保持部材には、逆帯電トナーと逆の極性のバイアスが印加される
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記弾性ローラは、少なくとも弾性層と弾性層を包む表層からなり、
該表層を形成する材料は、弾性層を形成する材料よりも伸縮性が小さい
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記弾性ローラは、体積抵抗率が1×103〜1×108Ω・cmである
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記弾性ローラは、前記像担持体と線速差をもって回転する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記回収手段は、前記転写手段の転写部材がこれを兼ねる
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項9に記載の画像形成装置において、
前記転写部材はベルト状部材であって、ベルトクリーニング手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記一時保持手段は、前記トナー保持部材に保持された逆帯電トナーの前記像担持体への排出を、転写部に搬送される記録紙の紙間隔内に実行する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にある
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記現像手段で使用されるトナーは、略球形状である
ことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15に記載の画像形成装置において、
前記トナーは、その形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にある
ことを特徴とする画像形成装置。 - 潜像を形成する像担持体と、
バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段、及び/又は、前記像担持体上に形成された潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段を含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジにおいて、
該プロセスカートリッジは、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段を備えてなり、
前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材を備え、該トナー保持部材の単位表面積当たりに保持されるトナー量が0.06mg/cm2に達する前に前記像担持体上にトナーを排出する
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 潜像を形成する像担持体と、
バイアスを印加した帯電部材によって該像担持体上を均一に帯電する帯電手段、及び/又は、前記像担持体上に形成された潜像に前記帯電バイアスと同極性に帯電させたトナーを供給して現像する現像手段を含んで一体に支持され、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジにおいて、
該プロセスカートリッジは、トナー像転写後の像担持体上に残存するトナーのうち、前記所定の極性とは逆の極性に帯電した逆帯電トナーを回収して保持し、保持された逆帯電トナーを非作像時に前記像担持体上に排出する一時保持手段を備えてなり、
前記一時保持手段は、前記像担持体上の逆帯電トナーを回収、保持するトナー保持部材として弾性ローラを備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、
該トナーは、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において使用されるトナーであり、
体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にある
ことを特徴とするトナー。 - 電子写真プロセスの現像工程に供されるトナーであって、
該トナーは、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において使用されるトナーであり、
形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある
ことを特徴とするトナー。 - 請求項19又は20に記載のトナーにおいて、
前記トナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られる
ことを特徴とするトナー。
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