JP2004251883A - 結合剤のない貯蔵燐光体スクリーン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結合剤のない針状刺激性(貯蔵)燐光体及び支持体を含み、支持体が2μm未満の表面粗さ及び80%より多い反射率を有することを特徴とする。燐光体はCsBr:Eu燐光体またはCsCl:Eu燐光体であることが好ましく、支持体は反射層がオーバーコートされた非晶質炭素層であることが好ましい。反射層は金属層、特にアルミニウム層であり、燐光体層と反射層の間に湿分反発層(耐湿層)を設けることがさらに好ましい。
【選択図】図1
Description
発明の分野
本発明はコンピュータ放射線写真において、スピードの損失がない、解像性に対する厳しい要求に対する解決策に関する。
【0002】
発明の背景
放射線写真では放射線医が患者の状態の正確な評価を行うために優れた像品質を持つことが重要である。重要な像品質面は解像性及び像信号対ノイズ比(SNR)である。
【0003】
コンピュータ放射線写真(CR)についてSNRは多数の要因に依存する。
【0004】
貯蔵燐光体スクリーンによって吸収されるX線量子の数が重要である。SNRは吸収された量子の数の平方根に比例するだろう。
【0005】
しかしながら、いわゆる蛍光ノイズが同様に極めて重要である。このノイズ寄与は吸収されたX線量子について検出された光刺激された光(PSL)量子の数が小さいという事実によって生じる。多数のPSLがCRにおける検出プロセスで失われるので、蛍光ノイズはSNRに対する重要な貢献を有する。従って、吸収されたX線量子あたりに検出される光子の数はできるだけ多いことが重要である。この状況はX線量子が低いエネルギーで使用されるマンモグラフィにおいて最も重大である。軟らかいX線ほど少ないPSL中心(PSL centres)を生じ、それゆえ硬いX線より少ない吸収されたX線量子あたりのPSL光子を生じるだろう。
【0006】
CRでは、多数のPSL中心が吸収されたX線量子によって作られる。しかしながら、ピクセル刺激のために利用可能な時間の制限のため及び利用可能なレーザ出力の制限のため、全てのPSL中心が読み出しプロセスにおいて刺激されるとは限らない。
【0007】
典型的には、PSL中心の約30%だけが刺激されてPSL光子を生じる。これらの光子は全ての方向に放出及び散乱されるので、PSL光子の50%だけが貯蔵燐光体スクリーンの検出側で逃げる。貯蔵燐光体スクリーンの上側で放出されたPSL光子の部分だけが検出器の方に案内され、それは限られた光子効率を有する。その理由のため、吸収されたX線量子あたりに検出されるPSL光子の数は1〜5のオーダであり、蛍光ノイズ寄与はCRシステムにおいて重要である。
【0008】
さらに、多くのX線医療像形成システム、特にマンモグラフィに対して微細なディテールの視覚化、即ち、高解像高コントラスト像が要求されることが良く知られている。燐光体スクリーンでは、燐光体粒子による光散乱及びそれらの粒子境界は像における空間解像度及びコントラストの損失を生じる。
【0009】
読み出しプロセスにおいて刺激されるPSL中心の数は燐光体層の底部で刺激する光を反射することによって、即ち、反射支持体を有することによって増大されることができる。この場合において刺激されるPSL中心の部分は30%より多いだろう。反射支持体はまた、PSL光子を反射し、それによってスクリーンの上側に残る数を50%より多い部分まで増大するだろう。これらの効果の組合せは吸収されたX線量子あたりに検出されるPSL中心の数をかなりの程度まで増大し、それによって像SNRを強く改良することができる。しかしながら、反射支持体を持つことは同様にパウダースクリーン(powder screen)における散乱の増大を起こす。刺激光スポットはそれがスクリーン支持体において反射されかつ空間解像度が減少されるときに広がる。それゆえパウダーCRスクリーンでは、このように反射性支持体はほとんど使用されない。それはその上にハレーション防止染料と組合わされて使用されてもよい。ハレーション防止染料は刺激光を吸収し、それによってその反射を防止し、かつ高解像度を維持する。しかしながら、反射性支持体の上にハレーション防止染料を持つ結果として、CRプレートの感度は顕著に増強されない。
【0010】
発明の目的及び概要
本発明の目的は解像度の低下に導くことなくPSL光の効率的な創造及び検出を可能にするスクリーン又はパネルを提供すること、即ちCRシステムにおいて高い感度と良好な解像度を同時に与えるCRスクリーンを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的はCR用途、特にマンモグラフィと関連した用途に対してスクリーン又はパネルを提供することである。
【0012】
上述の有利な効果は請求項1に述べられた特徴を有する貯蔵燐光体スクリーン又はパネルを提供することによって実現される。本発明の好ましい例についての特徴は従属請求項に述べられている。
【0013】
本発明のさらなる利点及び具体例は以下の記載及び図面から明らかになるだろう。
【0014】
図面の簡単な記述
図1は頂部の燐光体層(1)、及び前記燐光体層と非晶質炭素(a−C)支持体(4)の間に、(a−C)支持体(4)と直接接触する薄いアルミニウム層(3)及び湿分不透過性パリレン層(2)を持つ燐光体スクリーン又はパネルの層配置を示す。
【0015】
図2は反射性支持体を有する貯蔵燐光体スクリーン(本発明)(S−M)対曇ったアルミニウム支持体を有する比較スクリーン(S−D)についてシャープネスのための測度として空間周波数の関数としての変調伝達関数(MTF)を示す。
【0016】
図3は頂部の燐光体層(1)、及び前記燐光体層と非晶質炭素(a−C)支持体(23)の間に、(a−C)支持体(23)と直接接触する薄いアルミニウム層(22)及び湿分不透過性パリレン層(21)を持ち、(a−C)層(23)が燐光体層(1)側と反対側で(ポリマー)支持体層(24)と直接接触している燐光体スクリーン又はパネルの層配置を示す。
【0017】
発明の詳細な記述
以下の記述及び実施例から明らかなように本発明の目的は反射性支持体、より好ましくは金属支持体、最も好ましい例では鏡として作用するアルミニウム支持体又は層の上に針状燐光体層を与えることによって達成される。
【0018】
針状結晶がある程度、光ガイドとして作用し、それによって燐光体層における刺激及び放出光の横方向の拡がりを減らすことが良く知られている。しかしながら、驚くべきことに、針状燐光体層の下で、ある程度の粗さを有する反射層を持つことによって、解像度(シャープネス)に全く影響を与えずにCRシステムの感度の2倍の増加が達成されることが見出された。
【0019】
本発明によれば、結合剤のない針状刺激性燐光体及び支持体を含む像貯蔵スクリーン又はパネルにおいて、前記支持体が2μm未満の表面粗さ及び80%より多い反射率を有することを特徴とするスクリーン又はパネルが提供される。前記反射率を測定するためにASTM D523,1985(DIN 67530(01.82)及びISO 2813(1978)に相当)に記載されたような反射率計を用いた測定技術を使用することができ、そこでは反射率は20°及び60°の反射角度の値で測定される。測定は高い光沢の場合には20°の反射角度で、適度な光沢に対しては60°の反射角度で通常行われる。低い測定角度では減少した値が得られるからである。フィルム表面の10個の異なる部位でなされる測定は平均値及び標準偏差をそこから計算し、かつ前記反射率を百分率の数字で表現することができる。
【0020】
表面粗さデータから表面グレア特性を誘導することはできなかった。なぜならば滑らかな表面及び粗い表面と相互作用する光についての光学理論はJournal of Coatings Technology,Vol.67(851),p61,1995年12月出版に述べられているように0.01μmのシヌソイド粗さ(sinusoidal roughness)の差が光沢を約40%低下することを述べているからである。
【0021】
“反射率百分率”は“表面粗さ”と密接に関連することは明らかである。“Rz”と称される前記表面粗さは“粗い”反射性支持体上の五つの異なる、しかし隣接する測定領域の算術平均粗さ深さ値Rtとして測定されなければならい。前記値Rtは前記支持体上で測定される最も高い“頂部”と最も低い“谷部”の間の高さの差として規定される。かかる顕微鏡的な微細な測定のために好適な装置は“ペルソメータ(perthometer)”であり、それによって表面組織はThe American Society of Mechanical Engineersによって発行されたようなANSI B46.1−1985に従って測定されることができる。
【0022】
本発明の前記像貯蔵スクリーン又はパネルは結合剤のない針状刺激性燐光体及び反射性支持体を含み、前記支持体が2μm未満、より好ましくは1μm未満(しかし0μmを越える)の表面粗さ、及び80%より多い反射率を有すること、より好ましい例では少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の反射率を有することを特徴とする。
【0023】
本発明のスクリーン又はパネルの反射性支持体として使用するためにより好ましいものは金属支持体であり、最も好ましい例では、前記金属支持体はアルミニウム支持体であり、それによって鏡を形成する。
【0024】
刺激性燐光体スクリーン又はパネルの反射性金属支持体は唯一の支持体層を形成してもよいが、好ましい例では、互いに接触する二つの層からさらに構成される。前記二つの層はポリマータイプ又は非晶質炭素タイプ(a−C)の層と、それと接触するアルミニウム層である。この理由は、以下にさらに説明されるように唯一の金属支持体層の存在は光度計の使用がある用途ではもはや重要でないような範囲でX線を吸収することである。
【0025】
両層(反射性鏡層(3)及び支持体層(4))の厚さは図1に示されるように支持体層(4)に対して約2mm、反射鏡層(3)に対して1μmからの範囲であり、反射鏡層は読み出しレーザからの入射刺激放射線光に対してだけでなく、燐光体層(1)に貯蔵された貯蔵エネルギーを刺激された放射線に変形するためにレーザ刺激された後、刺激性燐光体によって放出される刺激された放射線に対しても鏡として作用する。図1では中間層は反射鏡層(3)と燐光体層(1)の間の耐湿層(2)として与えられる。
【0026】
極めて薄い反射鏡層は最も通常の方法では蒸着技術によって約2mm厚の支持体層(非晶質炭素−a−C層−又はポリマー支持体層)上に蒸着されたアルミニウム層(約1μmの厚さを持つ)であることが好ましい。業界で知られるポリマー支持体フィルムは例えばポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、シンタクチックポリスチレンなどである。好ましいポリマーフィルムはポリエステルフィルム、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどである。支持体補助層(4)の厚さは原則として1μm〜500μmである。しかしながら、列挙されたポリマーフィルム支持体の代わりに、かなり薄い非晶質炭素フィルム(例えば400μm)を使用して、それに燐光体層から離れた側に500μm厚の補助フィルムを積層すること、並びに薄い(例えば6μm厚)ポリマーフィルムを積層した厚い(2000μm厚)非晶質炭素フィルムを使用することができる。非晶質炭素とポリマーフィルムの相対的厚さは広く変化させることができ、燐光体層の蒸着中に非晶質炭素の必要な物理的強度によって管理されるにすぎない。非晶質炭素及びポリマーフィルムは広く変化されることができ、使用中のパネルの必要な可撓性及び燐光体層の蒸着中の非晶質炭素の必要な物理的強度によって管理されるにすぎない。
【0027】
本発明によるスクリーン又はパネルは前述のペルソメータによって測定すると2μm未満、より好ましくは1μm未満の表面粗さを有する支持体を持つ。もし極めて低い表面粗さが考えられるなら、例えばUS−A 6350176に記載されているように金属層(好ましくはアルミニウム)の高品質光学研磨を行うことができ、そこでは典型的な裸のアルミニウムの正確な光学研磨は山と谷の起伏の1/15以下の“表面図エラー(surface figure error)”に関して“表面図精度(surface figure accuracy)”を維持しながら、約300nm rms、好ましくは約50nm rmsの表面粗さまで行われる。
【0028】
US−A 5288372に記載されているように金属体を変化するための方法が提供され、そこでは否定できない利点として前記金属体表面は再現可能な表面組織で実質的に均一に粗くされる。
【0029】
その粗さが低いほど、アルミニウム層は平らな鏡としてより良好に作用し、刺激されるべき貯蔵エネルギーとして存在する捕獲された像に対する解像度が良好なほど、スピードの損失が低くなる。燐光体層と非晶質炭素層の間に正反射層を加えることはスクリーン又はパネルの像品質とスピードの両方を増強する。また本発明によるパネルでは、かかる正反射補助層の追加は有益であるかもしれない。かかる層が追加されるとき、それは正反射で衝突する光の少なくとも80%を反射することが好ましい。より好ましくは前記層は衝突する光の90%を正反射で反射する。かかる金属層は20μm未満、好ましくは10μm未満の厚さを有することが好ましい。本発明によるスクリーン又はパネルにおいて正反射層が存在するとき、層が薄いアルミニウム層であることが好ましい。前記薄いアルミニウム層は好ましくは10μm以下、より好ましくは0.2μm〜5μmの範囲の厚さを有する。
【0030】
かかる薄い金属層(好ましくはAl層)は極めて腐蝕感受性でありうるので、正反射金属層(3)が本発明のパネル又はスクリーンに存在するとき、この層は反射金属層(3)に到達する水及び/又は湿分を妨げるバリヤー層(2)でカバーされることが好ましい。かかるバリヤー層(2)は原則として公知のいかなる耐湿バリヤー層であってもよいが、パリレンの層であることが好ましい。本発明のスクリーン又はパネルの、燐光体層と接触しかつ支持体層(4)からより遠い、保護層及び耐湿層に使用するために最も好ましいポリマーは化学蒸着されたポリ−p−キシリレンフィルムである。かかるポリ−p−キシリレンは10〜10000の範囲の繰り返し単位を有し、各繰り返し単位は置換されている又はされていない芳香族核基を有する。塩基剤として商標“PARYLENE”の下でUnion Carbide Co.によって販売される商業的に入手可能なジ−p−キシリレン組成物が好ましい。バリヤー層のために好ましい組成物は置換されていない“PARYLENE N”、一塩素置換された“PARYLENE C”、二塩素置換された“PARYLENE D”及び“PARYLENE HT”(“PARYLENE N”の完全にフッ素置換されたタイプ;他の“パリレン”とは反対に、400℃の温度までの耐熱性、耐紫外線性をもつ;耐湿性は“PARYLENE C”の耐湿性とほぼ同じである)である。本発明の燐光体パネルにおける層Aの製造に使用するために最も好ましいポリマーはポリ(p−2−クロロキシリレン)、即ちPARYLENE Cフィルム、ポリ(p−2,6−ジクロロキシリレン)、即ちPARYLENE Dフィルム及び“PARYLENE HT”(PARYLENE Nの完全にフッ素置換されたタイプ)である。
【0031】
本発明のパネル又はスクリーンにおける耐湿性バリヤー層としてのパリレン層の利点は層の耐熱性であり、パリレン層の耐熱性はそれらが貯蔵燐光体を蒸着するために必要な温度に耐えうるようなものであることである。貯蔵燐光体スクリーンにおけるパリレン層の使用は例えばEP−A 1286362,1286363,1286364及び1286365に開示されている。
【0032】
真空化学蒸着による結合剤のない燐光体スクリーンの製造では、燐光体が蒸着される支持体は約400℃の温度まで加熱されることができる。従って熱安定性支持体の使用が必要である。それゆえ、ポリマー支持体は低い原子数を有する元素からなる場合であっても、あまり好ましくない。しかしながら支持体に非晶質炭素フィルム(4)を含めることはたとえかなり高い温度での蒸着によっても低いX線吸収で支持体上に結合剤のない貯蔵燐光体スクリーンを生成するための見込みを与える。本発明に使用するために好適な非晶質炭素フィルムは例えば日本、東京のTokay Carbon Co,LTD又は日本、東京のNisshinbo Industries,Incを通して商業的に入手可能であり、それらは“ガラス状炭素フィルム”又は“ガラス状炭素”と称されている。
【0033】
本発明による結合剤のない燐光体スクリーン又はパネルでは、非晶質炭素層の厚さは100μm〜3000μmの範囲であることができるが、500μm〜2000μmの厚さが可撓性、強度及びX線吸収の間の妥協として好ましい。かかる低いX線吸収は既に前述したいわゆる“光度計”を使用する能力をさらに与える。前記“光度計”は対象物(患者)を通過する放射線量を測定するための放射計及び放射線写真像形成システム及び予め設定した線量に到達するとすぐに透過放射線源をオフに切り換えるための透過放射線の源に対する接続を含む。かかる“光度計”を使用するシステムでは十分に測定可能な線量が光度計中の放射計に到達することが重要である。なぜならば光度計に到達する線量が低すぎるとき、小さな差は透過放射線の源をオフに切り換えることに関して大きな非再現性と非確実性を起こすだろうからである。実際のセッティングでは“光度計”に到達する放射線の量は対象物による透過放射線の吸収によって決定され、そこではカセットの管側は支持された貯蔵燐光体スクリーン又はパネル及びカセットの裏側を含有する。そうでなければ支持された貯蔵燐光体スクリーン又はパネルの吸収は使用される燐光体、燐光体の量及び支持体によって決定される:燐光体層中の吸収が高いほど、放射線写真像形成システムの像品質及びスピードに対して有利であるので燐光体層の厚さ(吸収)を増大することが必要であり、これは燐光体層及び支持体の全吸収がほとんど一定のままであるときになされることができるにすぎない。従って、燐光体層の厚さの増加は支持体中の透過放射線の吸収を低下することによって補償されなければならない。特に低いエネルギーの透過放射線が要求される放射線写真技術(例えばマンモグラフィ、一定の非破壊試験用途など)では、燐光体スクリーン又はパネルの吸収に対する支持体の極めて高い貢献を低くされるべきである。しかしながら、支持体の厚さを低下することによって支持体による透過放射線の吸収の低下はスクリーン又はパネルの所望の高い機械的強度、その望ましくない脆性、及び前記支持体上への燐光体の蒸着の場合には蒸着中に必要とされる高温に耐える能力に負荷を与えるかもしれない。それゆえ非晶質炭素は刺激性燐光体のスクリーン又はパネルに使用するための全ての利点、特に機械的強度及び耐熱性に関する利点を組合わせて特に好適な支持体として選択される。
【0034】
代替物として四面体非晶質炭素(ta−C)フィルムの如き硬くて薄いフィルムがフィルム中の炭素原子の高いsp3画分(87%以下)のため、重要でかつ有用な特性、例えば極端な高度(約70Gpa)、熱安定性、高い電気抵抗、滑らかな表面及び低い摩擦、及び幅広いスペクトル範囲の透明性を持つ。しかしながら、フィルム中の高い内部応力は特に相対的に厚いフィルムを蒸着することが望ましいときにそれらの用途を制限しうる。なぜならばフィルムは支持体からはがれるかもしれないからである。ta−Cフィルムの内部応力を低下するために、及びこのタイプの厚いフィルムの接着性を改良する試みでは、US−A 6387443に最近開示されているように様々な変更がなされており、そこでは非晶質ケイ素炭素アロイ(a−Si1−xCx)が使用されている。その発明の特に好ましい例では製造方法は好ましくは少なくとも40%の炭素を含有し残りが実質的にケイ素であるターゲットを使用して炭素及びケイ素の複合フィルムの層を蒸着することを含む。かくして得られた複合Si−Cフィルムは半導体分野において好適な用途をさらに与える。応力レベルは純粋なta−Cフィルムと比較すると低下されるので、純粋なta−Cフィルムより大きな厚さの蒸着は許容可能な硬度を保持して利用可能である。
【0035】
本発明によれば前記支持体が針状刺激性燐光体層(1)の支持体(2)の一部としての非晶質炭素層(23)であり、さらに前記非晶質炭素層(23)が特に図3に示されているように反射層(22)でオーバーコートされているスクリーン又はパネルが提供される。さらに前記反射層が金属層であり、特に前記反射層がアルミニウム層(22)であるスクリーン又はパネル(図3)が提供される。かかる薄い金属層は極めて腐蝕感受性でありうるので、正反射アルミニウム層が本発明のパネル又はスクリーンに存在するとき、この層は反射補助層に到達する水及び/又は湿分を妨げるバリヤー層(さらなる補助層(21))でカバーされることが好ましい。かかるバリヤー層は公知のいかなる湿分バリヤー層であってもよいが、パリレンの層であることが好ましい。本発明のスクリーン又はパネルの保護層(それによって燐光体層(1)を保護する)に使用するための最も好ましいポリマーは真空蒸着された、好ましくは化学的に真空蒸着されたポリ−p−キシリレンフィルム(既述した)である。
【0036】
本発明によれば湿分反発層又は耐湿層はa−C層支持体上に被覆された反射アルミニウム層と前記燐光体層の間だけでなく、前記a−C支持体からより遠くかつ前記燐光体層上の保護層としても存在する。
【0037】
好ましくは前記パリレン層の厚さは0.5〜15μmの範囲であり、より好ましい例では1〜10μmの範囲である。
【0038】
“パリレン”は優れた耐湿性を有するポリマー材料である。しかしながら、層は自動パネル取扱い装置に使用されるとき、極めて容易に物理的に損傷されるか又は簡単に摩耗されることができ、従って使用中耐湿性が消失し、それによって使用中耐湿性を徐々に失う。しかしながら、最外パリレン層の上のさらなる保護層の適用はパネルの物理的摩耗を防止するために推奨され、かくしてパネルの使用寿命を延ばすことができる。
【0039】
本発明によるパネルはより好ましい例では少なくとも二つの層、燐光体層に最も近い一つの内部層と燐光体層からより遠い別の最外層、に分割された保護被覆を含み、内部層がパリレン層である。
【0040】
本発明の燐光体スクリーンにおける最外保護層として燐光体スクリーン又はパネルに保護層を適用する公知のいかなるポリマー層を使用してもよい。この層はニトロセルロース、エチルセルロース又はセルロースアセテート又はポリ(メタ)アクリル樹脂の如きフィルム形成有機溶媒溶解性ポリマーを含有する被覆溶液を直接適用し、蒸発によって溶媒を除去することによって燐光体パネル上に被覆されてもよい。別の技術によればクリアで、薄く、タフで、フレキシブルで、寸法的に安定性のポリアミドフィルムが例えばEP−A 0392474に記載されているように燐光体パネルに結合される。
【0041】
好ましい例では、支持体から最も遠くかつそれと接触するパリレン層を被覆する最外保護層は放射線硬化性組成物で生成され、従って本発明による別の例では放射線硬化されたポリマー層を与える。X線変換スクリーンにおける保護トップ層としての放射線硬化性被覆の使用は例えばEP−A 0209358及びUS−A 4893021及び6120902に記載されている。例えば保護層は光開始剤の助けでフリーラジカル重合によって重合されるモノマー及び/又はプレポリマーによって形成されるUV硬化樹脂組成物を含む。モノマー化合物は使用されるプレポリマーに対する溶媒であることが好ましい。
【0042】
本発明によるスクリーン又はパネルの湿分反発パリレン層上に最外保護被覆を形成するために極めて有用な放射線硬化性組成物は主成分として下記のものを含む:
(1)架橋性プレポリマー又はオリゴマー又は架橋性プレポリマー又はオリゴマーの混合物;
(2)反応性希釈モノマー又は反応性希釈モノマーの混合物、及び
(3)UV硬化性配合の場合には光開始剤。
【0043】
全被覆組成物について計算するとこれらの主成分の通常の量はプレポリマーに対して30−100重量%、反応性希釈剤に対して10−70重量%、及び光開始剤に対して0−10重量%の範囲である。所望によりプレポリマーに対する非反応性有機溶媒の少量(例えば5重量%)を存在させてもよい。
【0044】
例えばEP−A 510753に開示されている組成物のような業界で公知のいかなる放射線硬化性組成物も使用できるが、完成した保護層が少なくとも1%mol/molのフッ素化部分を含むようにフッ素化化合物を含有する被覆溶液を有することが極めて有用であろう。好ましくは被覆組成物は完成した保護層が5%〜50%(mol/mol)のフッ素化部分を含むような組成物である。フッ素化部分は前記架橋性プレポリマー又はオリゴマーにおいて又は前記反応性希釈モノマーにおいて又は両方において存在させることができる。好ましくはフッ素化部分は希釈モノマーとしてフッ素化モノマーを使用することによって又はフッ素化モノマーを希釈モノマーの混合物に加えることによって加えられる。本発明の貯蔵パネルの保護層へフッ素化部分を加えるために極めて有用なフッ素化モノマーは、例えば
【0045】
【化学式1】
及びそれらの組合せである。
【0046】
上で述べたように、フッ素化モノマーは希釈モノマーとして使用されることができ又は非フッ素化希釈部分と組合せて使用されることができる。本発明に使用するために極めて有用な非フッ素化希釈モノマーはメチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどである。
【0047】
フッ素化部分が架橋性プレポリマー又はオリゴマーに存在するとき、好ましくはフッ素化及び非フッ素化プレポリマーの混合物が使用される。本発明の保護層においてフッ素化部分をもたらすために有用なフッ素化プレポリマーの例はフッ素化ポリエステルアクリレートであり、そこではポリエステルはフッ素化ジ−又はポリ−オールによって又はフッ素化ジ−又はポリ−カルボン酸によってポリエステルにもたらされたフッ素化部分を含む。極めて好適なフッ素化ジオール及びそれから誘導されるポリエステルは例えばUS−A 4957986、US−A 5004790及びUS−A 5109103に記載されたものである。好適なジオールの例は3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン−1,8−ジオール、又は2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ブタンジオールであり、最も好適なジオールは式HOCH2(CF2)nCH2OH(但し、2≦n≦10)を有するジオールである。好適なフッ素化多又は二酸は式HOOC(CF2)nCOOHに相当するもの又はそのメチルエステルである。また、側基として−O−(CH2)10−(CF2)9−CF3を担持するテレフタル酸は本発明のスクリーンに使用するために好適なフッ素化プレポリマーを生成するために使用されることができる。両ケースではポリエステルは次いでEP−A 207257に記載されているようにアクリレートで官能化されることができる。アクリル化工程を介してフッ素化部分を導入することもできる。例えばEP−A 207257に記載されているようにポリエステルを使用するとき、これらは上で示されたもののようなフッ素化アクリレートを使用することによって官能化される。
【0048】
フッ素化プレポリマー又はオリゴマーが使用されるとき、これらは非フッ素化プレポリマー又はオリゴマーと混合されることができる。本発明に従って適用される放射線硬化性組成物に使用するために好適な非フッ素化プレポリマーの例は、続く不飽和ポリエステル、例えばポリエステルアクリレート;ウレタン変性不飽和ポリエステル、例えばウレタン−ポリエステルアクリレートである。末端基としてアクリル基を有する液体ポリエステル、例えばアクリルタイプの末端基を与えられた飽和コポリエステルは公開されたEP−A 207257に記載されている。
【0049】
放射線硬化が紫外線(UV)で実施されるとき、光開始剤は触媒として作用するために被覆組成物に存在し、それによってモノマーの重合及びプレポリマーとのそれらの任意の架橋を開始し、結果として被覆された保護層組成物の硬化を生じる。光開始剤の効果を促進するための感光剤を存在させてもよい。
【0050】
UV硬化性被覆組成物に使用するために好適な光開始剤は有機カルボニル化合物の種類に属するものであり、例えばベンゾインイソプロピル、イソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル系化合物;ベンジルケタール系化合物;ケトキシムエステル;ベンゾフェノン、o−ベンゾイルメチルベンゾエートの如きベンゾフェノン系化合物;アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンの如きアセトフェノン系化合物;2−クロロチオキサントン、2−エチルチオキサントンの如きチオキサントン系化合物;及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4′−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如き化合物などである。
【0051】
特に好ましい光開始剤は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンであり、その化合物は商品名DRACUT 1173の下でE.Merck,Darmstadt,ドイツによって販売されている。
【0052】
上述の光重合開始剤は単独で又は二以上の混合物として使用されてもよい。
【0053】
好適な感光剤の例は例えばGB特許1314556及び1486911,US−A 4255513に記載されたような特定の芳香族アミノ化合物及びUS−A 4282309に記載されたようなメロシアニン及びカルボスチリル化合物である。放射線硬化性被覆組成物に対して貯蔵安定剤、着色剤、及び他の添加剤を加えてもよく、次いでそこに溶解又は分散して保護層のための被覆液を作ってもよい。これらの主成分に加えて例えば界面活性剤、固形滑剤、ワックス、脱泡剤及び可塑剤のような添加剤を存在させてもよいが、これらに限定されない。
【0054】
パネルのアルミニウム被覆非晶質炭素支持体から最も遠い湿分反発パリレン層上に被覆された最外層の目的は本発明の前記燐光体パネルに良好な摩耗特性を与えることであることは明らかである。かかる最外層の摩耗特性は回転要素CALIBRASE CS10F、サンドペーパP220、及び各要素上に250gの荷重でTELEDYNE TABER 5130 Abraser(Taber Industries,New York、米国の商品名)を使用してテーバー摩耗試験において試験される。かかる最外保護層の厚さの損失は500サイクル後に測定されることができる。好ましくは前記最外層は上述の試験ではその厚さの最大25%を失う。より好ましくは層は上述の試験ではその厚さの最大20%、最も好ましくは最大15%を失う。
【0055】
もし望むなら又は必要なら、本発明の最外層は移動適性を増大し、静電特性を調整するためにスペーシング粒子を含んでもよい。摩擦低減ポリマービーズの形の好適なスペーシング剤は固体ポリスチレン、固体ポリアルキレン及び固体有機フッ素化ポリマーからなる群から選択される。好ましくはスペーシング剤はフッ素化部分を含むビーズである。かかるビーズはUS−A 4059768に記載されている。
【0056】
貯蔵燐光体スクリーンを読むために使用される走査装置の構成においてますますコンパクトな装置への傾向があり、従って(移動する)貯蔵燐光体スクリーンと走査装置の機械的(移動)部分の間の距離が極めて小さくなり、その距離は例えば10〜100μmになりうる。そして支持体から最も遠い湿分反発パリレン層上に被覆された最外保護層を持つ貯蔵燐光体スクリーンが突出するビーズを有するとき、ビーズが走査装置の機械的部分に触れないこと及び貯蔵パネルが走査装置における移動中いくらかよろめきを示すときであってもこの通りであることが重要である。それゆえ本発明の貯蔵燐光体スクリーンにおけるスペーシング粒子として使用されるビーズは5μm≦dv50≦25μmであるような体積メジアン直径dv50及び1≦dv50/dn50≦1.20であるような数メジアン直径dn50を有することが好ましい。さらにビーズは前記ポリマービーズが1.25≦dv50/t≦4.0の体積メジアン直径dv50を有するように本発明の貯蔵パネル上の最外保護層の厚さtに適応されることが好ましい。
【0057】
本発明のパネルのために、最外層でオーバーコートされた、パリレン層を有する二重層又は単一パリレン層を保護層として有するパネルの平坦性のために、WO 02/20868に記載されたような方法によって保護層を被覆する前に予め決められた均一層厚さまで蒸気相から蒸着された燐光体層を研磨することが推奨される。
【0058】
本発明の平坦なスクリーン又はパネルにおける燐光体層は原則として公知のいかなる燐光体を含んでもよく、それは即発燐光体並びに光刺激性燐光体であってもよく、さらに本発明によるパネルにおける燐光体層はポリマー結合剤に混合された燐光体を含む層並びに結合剤のない燐光体層であってもよい。しかしながら、本発明によるパネルにおける燐光体層は二つの湿分反発層(好ましくは両方とも前述のパリレンから構成される)の間にサンドイッチされることが好ましい。刺激性燐光体層は耐湿性パリレン“パッケージ”によって“包囲”されることが有利である。なぜならば縁の近くでは互いに接触する両パリレン層は実際に耐湿性構成を与えるからである。
【0059】
本発明のスクリーン又はパネルは例えばUS−A 5334842及びUS−A 5340661に記載されているように補強縁を有することもできる。
【0060】
本発明のパネル又はスクリーンにおける燐光体層(1)の表面は燐光体層が支持体の縁に到達しないように支持体(2)の表面より小さくすることができる。かかるスクリーンは例えばEP−A 1286363に開示されている。
【0061】
しかしながら、本発明の範囲では、本発明による保護層を有する燐光体パネルは貯蔵能力を有する吸湿性燐光体(従って光刺激性燐光体である)を含み、最も好ましくは結合剤のない燐光体層を持つ。結合剤のない燐光体層のうちCsX:Eu燐光体(XはBr及びClからなる群から選択されるハロゲン化物を表す)の間隙によって分離された針状燐光体粒子を含む燐光体層が本発明における燐光体層として最も好ましい。かかる燐光体はEP−A 1113458に記載されており、それらを作るための方法は例えばWO 01/3156及び対応EP−A 1203394に記載されている。本発明によるスクリーン又はパネルに使用するために好適でありかつ増大した刺激された発光量を与えるユーロピウム活性化臭化セシウム燐光体は式CsBr:xEu(0<x≦0.2)によって表され、そこではEu2+の発光強度IEとF(Br−)中心における着色強度IFの間の関係は0.2≦IE×IFの条件を満足するか且つ/又は発光強度に関して燐光体に含まれるEu3+に対するEu2+の割合はUS出願No.2002/0041977に記載されているように5×10−5≦Eu3+/Eu2+≦0.1の条件を満足する。
【0062】
本発明によるスクリーン又はパネルは刺激性貯蔵燐光体としてCsX:Eu燐光体(XはBr及びClからなる群から選択される)を有する刺激性燐光体層を含むことが好ましい。
【0063】
2002年3月26日に出願されたEP出願No.02100295に記載されているような一つの例では、円柱体の形の針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子であって、前記粒子が1〜30μm、より好ましくは2〜15μmの範囲の平均横断面直径、及び100〜1000μm、より好ましくは100μm〜500μmの範囲の前記円柱体の筒部に沿って測定された平均長さを有するものが好ましい。5〜200(より狭い範囲では20〜100)の範囲の横断面直径に対する長さの平均アスペクト比を有する針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子が最も好ましい。針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子についての0.05〜0.30(さらに0.05〜0.20)の範囲の平均横断面直径及び平均筒部長さについての変動係数は針状燐光体の均一性を表す。
【0064】
スクリーン又はパネル上に衝突したX線からエネルギーを貯蔵した燐光体粒子の刺激後に放射線を放出する放射線像貯蔵燐光体スクリーン又はパネルは最も好ましい例では以下のものを含む:
− 平坦な鏡として作用する平坦なアルミニウム層で被覆された非晶質炭素支持体;
− アルミニウム層の表面上に延びる多数の円柱体針状燐光体(前記燐光体は上述の円柱体の形の針状CsBr:Eu2+貯蔵燐光体粒子である)
− 燐光体層の両側の湿分反発層;及び所望により
− コンピュータ放射線用途における前記パネルの頻繁な使用による摩耗に対する最外保護層。
【0065】
さらなる例では本発明による放射線像貯蔵燐光体スクリーンは円柱体壁を有する針状燐光体を持つ結合剤のない燐光体を有し、そこでは光反射被覆は前記円柱体の壁に沿って配置され、刺激を行った後に前記燐光体によって放出される放射線を少なくとも部分的に反射するために配置される。さらに放射線像貯蔵燐光体プレート又はパネルは一以上の染料を含む。
【0066】
染料の存在は前に与えられた層配置中の層のどれにも制限されないが、少なくともナノ結晶形態の染料が少なくとも一つの層に存在することが好ましい。前記少なくとも一つのナノ結晶染料化合物がコロイドシリカをさらに含んでもよい。より好ましくは前記染料はシアニン染料の銅錯体である化合物であり、最も好ましくは前記染料化合物はCuスルホン化フタロシアニン(β−Cu−フタロシアニン)である。水不含媒体から加えられる能力を与える染料で着色された刺激性燐光体粒子はそれによって優れた光安定性を示し、それは結果として優れた解像度を与える。前記染料の被覆量は1μg/m2〜1000μg/m2の範囲である。
【0067】
既に前に教示又は示唆したように本発明の平坦なスクリーン又はパネルはジャミングを起こさずに走査モジュールを通して容易な移動のための能力を与えるために強い保護層を有するべきである。
【0068】
結合剤のない光刺激性燐光体スクリーンを有する層配置は好ましくは蒸着されたアルカリ金属ハロゲン化物燐光体(好ましくは針状CsX:Eu燐光体、但しXはBr及びClからなる群から選択されるハロゲン化物を表す)を支持体上に有し、さらに前記支持体上の少なくとも一つの層に存在する少なくとも一つのナノ結晶染料化合物を与えられている。好ましくは前記支持体はアルミニウム被覆非晶質炭素支持体であり、さらにファイバーオプティックプレート(FOP)と接触している。
【0069】
間隙によって分離された、針状燐光体結晶を有するかかる燐光体層上に、(水反発)層(従って極めて低い水透過性を示す)が蒸着されるとき、この層が化学的に真空蒸着されたパリレン層であり、かかる層が針状結晶の表面を被覆するだけでなく、針状結晶間の間隙も被覆し、かくして湿度に対して燐光体針状結晶の縁を完全に保護することが好ましい。
【0070】
本発明の燐光体パネルは例えばUS−A 5334842及び5340661に記載されたもののように縁補強を含んでもよい。
【0071】
本発明の特別な例では燐光体層が支持体の縁に到達しないように燐光体層の表面は支持体の表面より小さい。従って、燐光体層の主表面より大きい表面を有する支持体を持つパネルは燐光体層が支持体の一部を開放する。好ましい例では保護層は燐光体層によって開放された支持体の部分を少なくとも部分的に被覆する。かかる構成の利点は燐光体層の縁が装置の機械的部分に接触せず、パネルの使用中、特に例えば走査装置中における移動中に容易に損傷されないという点にある。この構成の別の利点は特別な縁補強が全く必要ないことである(但し、もし望むならさらなる縁補強を適用してもよい)。燐光体層の表面が支持体の表面より小さく、従って燐光体層が支持体の縁に到達しない燐光体パネルの構成は本発明の特に好ましい例を表すが、かかる構成は公知のいかなる保護層で被覆されたいかなる燐光体パネルの製造に対しても有益でありうる。
【0072】
本発明は下記工程を含む燐光体パネルの製造方法をさらに含む:
− 支持体(非晶質炭素からなるもの、その上にアルミニウム鏡層が蒸着される)を設ける;
− 前記支持体上(前記アルミニウム層上)にパリレン層を化学蒸着する;
− 前記支持体上に燐光体層を適用する;
− 今回前記燐光体層上に別のパリレン層を化学蒸着する;及び所望により
− 支持体から最も遠い最外保護層を適用する。
【0073】
本発明は下記工程を含む結合剤のない燐光体パネルの製造方法をさらに含む:
− 支持体(非晶質炭素からなるもの、その上にアルミニウム鏡層が蒸着される)を設ける;
− 前記支持体上(前記アルミニウム層上)にパリレン層を化学蒸着する;
− CsX:Eu燐光体(但しXはBr及びClからなる群から選択されるハロゲン化物を表す)を蒸着し、それによって前記支持体上に結合剤のない燐光体層を形成する;
− 所望により燐光体層を研磨する;
− 今回前記燐光体層上に別のパリレン層を化学蒸着する;及び所望により
− 支持体から最も遠い最外保護層を適用する;それゆえ
− 支持体から最も遠い前記パリレン層の上部に放射線硬化性溶液を適用し、それをUV及び/又は電子ビーム(EB)露光によって硬化する。
【0074】
本発明によればコンピュータ放射線写真のためのシステムにおける前に開示されたようなスクリーン又はパネルの使用がさらにクレームされる。放射線像を貯蔵及び再生するための像形成方法における放射線像貯蔵燐光体パネルの使用は下記工程を含む:
− 対象物を通過した又は前記対象物によって放出された放射線エネルギーで前記放射線像貯蔵パネルを露光し、前記像貯蔵パネル上に潜像の形で前記放射線エネルギーを貯蔵する;
− 可視又は赤外領域の刺激線での照射で貯蔵されたエネルギーを光の形で放出し、それによって紫外又は可視波長領域から光を放出する;
− 貯蔵パネルから放出された前記光を光収集手段によって収集し、収集された光を一連の電気信号に変換する;
− 電気信号から潜像に相当する像を生成する。
【0075】
特にマンモグラフィ用途における本発明によるスクリーン又はパネルの使用がクレームされる。その特定の用途は高い像品質、特にシャープネスが極めて望まれる。
【0076】
本発明はその好ましい例に関連して以下に記載されるが、本発明をそれらの例に制限することが意図されないことは理解されるだろう。
【0077】
部品リスト
1.燐光体層
2.1〜10μm湿分反発又は抵抗性(パリレン)層
3.1μm反射鏡層
4.2μm支持体層
21.補助層、湿分バリヤー層
22.補助層、正反射層
23.非晶質炭素層
24.補助層、ポリマー層
【0078】
実施例
A.蒸着されたスクリーンの製造:
CsBr:EuスクリーンはCsBr及びEuOBrの熱蒸着によって作られた。この目的のため、CsBrはEuOBrと混合され、真空蒸着チャンバー内の容器に置かれた。燐光体は支持体上に蒸着された。蒸着中、支持体は回転された。
【0079】
異なるスクリーンが異なる支持体で製造された。蒸発の開始前、チャンバーは4×10−5mbarの圧力まで排気された。
【0080】
第一スクリーン(S−D)はAl支持体で作られた。その組成及び表面粗さのためAl支持体は曇っており鏡状に反射しなかった。
【0081】
第二スクリーンはa−C支持体上に作られ、その上にAl鏡が蒸着によって適用された(S−M)。支持体は表面の滑らかさ及びアルミニウムの純度のため、明確な鏡状反射を有していた。
【0082】
両スクリーンについて蒸着されたCsBr:Eu層は約160μmの厚さを有していた。
【0083】
B.スクリーン感度の測定:
スクリーンは30keV及び5mAで10秒間均一に照射された。
【0084】
読み出しは飛点走査装置においてなされた。走査装置では走査光源は685nmで放出する30mWダイオードレーザであった。誘電性被覆でカバーされた4mm BG−39(Hoyaの登録商標)フィルターを使用して刺激光をスクリーン放出光を分離した。走査平均レベル(SAL)は飛点走査装置の光増倍管におけるスクリーンによって生成された平均信号として測定された。
【0085】
C.解像度の測定:
第二測定では、スクリーンによって生成された像のシャープネスが測定された。シャープネスに対する測度として、縁応答(edge response)が測定及び使用されて空間周波数の関数として変調伝達関数(MTF)を計算した。
【0086】
スクリーンを含むカセットの上に鉛シートを置いた。鉛シートは30秒間30keV及び5mAで像形成された。スクリーンは上記飛点走査装置で走査された。生成したプロファイルは空間周波数の関数としてMTFを計算するために使用された。
【0087】
曇ったAl支持体を有するスクリーン(S−D)の感度に対する反射性支持体(S−M)を有するスクリーンの感度は170%であった。
【0088】
図2は両スクリーンに対して得られたMTF(Modulation Transfer Function(変調伝達関数))を示す。両スクリーンは極めて比肩しうる解像度に導くことは明らかである。
【0089】
同じ実験はパウダースクリーンに対してなされた:パウダー燐光体層は黒色PET支持体上に及び白色反射PET支持体上に適用された。針状スクリーンに対してパウダースクリーンは感度のかなりの増加が観察されたが、針状スクリーンに対する観察とは対照的に、その解像度は強く劣化され、パウダースクリーンより劣っていた。
【0090】
本発明の好ましい例を詳細に記載したが、添付の請求項に規定した発明の範囲から逸脱せずに多数の変更をなしうることは当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】頂部の燐光体層(1)、及び前記燐光体層と非晶質炭素(a−C)支持体(4)の間に、(a−C)支持体(4)と直接接触する薄いアルミニウム層(3)及び湿分不透過性パリレン層(2)を持つ燐光体スクリーン又はパネルの層配置を示す。
【図2】反射性支持体を有する貯蔵燐光体スクリーン(本発明)(S−M)対曇ったアルミニウム支持体を有する比較スクリーン(S−D)についてシャープネスのための測度として空間周波数の関数としての変調伝達関数(MTF)を示す。
【図3】頂部の燐光体層(1)、及び前記燐光体層と非晶質炭素(a−C)支持体(23)の間に、(a−C)支持体(23)と直接接触する薄いアルミニウム層(22)及び湿分不透過性パリレン層(21)を持ち、(a−C)層(23)が燐光体層(1)側と反対側で(ポリマー)支持体層(24)と直接接触している燐光体スクリーン又はパネルの層配置を示す。
Claims (14)
- 結合剤のない針状刺激性燐光体及び支持体を含む像貯蔵スクリーン又はパネルにおいて、前記支持体が2μm未満の表面粗さ及び80%より多い反射率を有することを特徴とするスクリーン又はパネル。
- 前記反射率が少なくとも90%である請求項1に記載のスクリーン又はパネル。
- 前記反射率が少なくとも95%である請求項1に記載のスクリーン又はパネル。
- 前記支持体が1μm未満の表面粗さを有する請求項1〜3のいずれかに記載のスクリーン又はパネル。
- 前記燐光体がCsX:Eu燐光体であり、前記XがBr及びClから選択される請求項1〜4のいずれかに記載のスクリーン又はパネル。
- 前記支持体が反射層をオーバーコートされた非晶質炭素層である請求項1〜5のいずれかに記載のスクリーン又はパネル。
- 前記反射層が金属層である請求項6に記載のスクリーン又はパネル。
- 前記反射層がアルミニウム層である請求項6又は7に記載のスクリーン又はパネル。
- 湿分反発層が前記支持体と前記燐光体層の間に存在する請求項1〜8のいずれかに記載のスクリーン又はパネル。
- 前記燐光体層に隣接して、湿分反発層が最外層として被覆される請求項1〜9のいずれかに記載のスクリーン又はパネル。
- 前記湿分反発層がパリレン層である請求項9又は10に記載のスクリーン又はパネル。
- 前記燐光体層が二つの湿分反発パリレン層の間にサンドイッチされている請求項11に記載のスクリーン又はパネル。
- コンピュータ放射線写真のためのシステムにおける請求項1〜12のいずれかに記載のスクリーン又はパネルの使用。
- マンモグラフィ用途における請求項13に記載のスクリーン又はパネルの使用。
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