JP2004251834A - ワーク適用装置及びワーク解体システム - Google Patents
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Abstract
【課題】各種ワークの判別機能を設けることにより、ワークに対する作業を効率化し、工程の簡略化を図ることのできるワーク適用装置を提供する。
【解決手段】ワークWに当接すべき複数の当接体(12)を動作可能に設け、当接体をワークに当接させるための当接駆動手段(12a)と、前記複数の当接体の個々の当接位置を検出する位置検出手段(12b,13C,18)と、位置検出手段によって検出された複数の当接体の位置に基づいてワークの概形状を求める形状算出手段(19)とを有する。位置検出手段は、当接体12に設けられた磁束発生部12bと、検出用コイル13Cと、検出用コイル13Cに流れる誘導電流を測定する測定手段18とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】ワークWに当接すべき複数の当接体(12)を動作可能に設け、当接体をワークに当接させるための当接駆動手段(12a)と、前記複数の当接体の個々の当接位置を検出する位置検出手段(12b,13C,18)と、位置検出手段によって検出された複数の当接体の位置に基づいてワークの概形状を求める形状算出手段(19)とを有する。位置検出手段は、当接体12に設けられた磁束発生部12bと、検出用コイル13Cと、検出用コイル13Cに流れる誘導電流を測定する測定手段18とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はワーク適用装置及びワーク解体システムに係り、特に、OA機器などの解体を行う際のワークの固定及び機種判別を行う場合に好適な装置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、種々の製品の製造ラインや解体ラインにおいては、手作業やロボットなどによりワークの組立作業や解体作業を行う際にワークを支持するためのワーク支持装置が用いられている。このワーク支持装置は、通常、予め定められたワーク形状に対応した支持構造を有するものが多いが、ワーク形状に応じて支持構造を変化させることの可能なワーク支持装置が提案されている。
【0003】
たとえば、自動車用パネルのような板状のワークを、そのワークの下から固定するワーク支持装置として、上下動可能な磁性材料からなる複数の棒状体と、各棒状体のそれぞれをバネによって常に上方へ付勢し、かつ各棒状体を電磁石により磁化させてワークを吸着固定するマグネットリフタとを備えたものが知られている(たとえば、以下の特許文献1参照)。このような構成とすることにより、ワークを下側から磁石により吸着固定できるため、ワークの支持固定が可能になる。このワーク支持装置のマグネットリフタとしては、上記の各棒状体に連結されたサーボモータを含む昇降駆動手段と、各棒状体を磁化させる電磁石とを備えたものが開示されている。これによれば、ワークの底面形状に合わせてサーボモータにより各棒状体を駆動させ、その後、電磁石により各棒状体を磁化させてワークを吸着固定することができる。
【0004】
また、自動車の組立工場におけるボディの搬送装置などに用いられているワーク支持装置としては、ベース部材に多数の支持ピンに軸方向のばね力を付与して、軸方向に摺動自在に配し、更に支持ピンがワークにより押された際に支持ピンを停止させるストッパ手段を設けたものが知られている(たとえば、以下の特許文献2参照)。このような構成とすることにより、ワークの底部に当接した支持ピンがワーク形状に合わせて移動するため、形状や寸法の異なる種々のワークに適用可能になるとともに、ワークの側方に配置されて突出状態にある支持ピンによりワークの前後左右方向の移動を規制することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−246373号公報
【特許文献2】
特開平7−187383号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたワーク支持装置では、ワーク底部の外縁部分に磁化された棒状体を吸着固定させるものであることから、ワークの上記外縁部分が非磁性材で構成されていた場合には使用できず、また、環状に棒状体が配設されている領域とは異なる外縁形状を有するワークには対応できず、棒状体による支持範囲も狭いために汎用性に欠ける。また、ワークの底面形状に合わせてサーボモータを制御して棒状体を駆動するようにしていることから、予めワークの底面形状に関するデータを用意しなければならない。このような構成は、ワークの形状寸法や種別が設定されている製造ラインでは比較的容易に構成できるが、新旧合わせ極めて多数のワークが搬入されてくる解体ラインに適用することは困難である。
【0007】
また、上記特許文献2に記載のワーク支持装置においては、ワーク底部の側方において突出状態にある支持ピンがワークの側面下部を覆ってしまうため、当該側面下部に対する作業を行うことができない。特に、この支持装置を解体ラインで用いる場合に、OA機器の解体などで外すべきネジが側面下部にあるときには、側面下部を覆う上記の支持ピンが作業の妨げとなる。
【0008】
さらに、上記のワーク支持装置は、ワークの底面形状に合わせてワークを支持する機能しか持たないため、解体ラインにおける作業の効率化や工程の簡略化を図ることができないという問題点もある。
【0009】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、各種ワークの判別機能を設けることにより、ワークに対する作業を効率化し、工程の簡略化を図ることのできるワーク適用装置を提供することにある。また、ワーク支持装置としても用いることのできるワーク適用装置を提供し、もって、ワークに対する作業の容易化を図ることも目的とする。特に、ワークの解体作業の効率化、自動化、省力化などを図ることのできる装置構成を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のワーク適用装置は、ワークに当接すべき複数の当接体を動作可能に設け、前記当接体を前記ワークに当接させるための当接駆動手段と、前記複数の当接体の個々の当接位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記複数の当接体の位置に基づいて前記ワークの概形状を求める形状算出手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、当接駆動手段によって複数の当接体を駆動してワークに当接させ、ワークに当接した当接体の当接位置を位置検出手段により検出し、複数の当接体の個々の検出位置に基づいて形状算出手段によりワークの概形状を求めることができる。これによって、ワークの概形状に合わせてワークに対する各種処理を行うことが可能になるので、ワークに対する処理の効率化、自動化、省力化などを図ることができる。
【0012】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体の先端部に設けられ、前記ワークの磁性体部分に吸着可能な磁石を含むことが好ましい。これによれば、当接体の先端部に設けられた磁石による磁力によって当接体をワークの磁性体部分に吸着させることができる。
【0013】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体に対して前記ワークに向かう方向に磁力を与える手段を含むことが好ましい。これによれば、磁力によって当接体をワークに向けて駆動することができる。
【0014】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体の基端部に設けられた第1磁石と、該第1磁石に対して前記ワークに向けた反発力を及ぼすことの可能な第2磁石とを有し、前記第1磁石と前記第2磁石の少なくとも一方が電磁石であることが好ましい。これによれば、当接体を第1磁石と第2磁石の間の反発力によってワークに向けて駆動することができるため、ワークに向けた当接体の移動を迅速かつ確実に行うことができる。また、第1磁石と第2磁石の少なくとも一方が電磁石であることにより、駆動力の有無や駆動力の強弱などを適宜に制御することが可能になる。
【0015】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体を前記ワークに対して弾性力により押し付けるための弾性体を含むことが好ましい。これによれば、当接体を確実にワークに当接させることができる。
【0016】
本発明において、前記位置検出手段は、前記当接体に設けられた磁束発生部と、該磁束発生部により生じた磁束変化を検出する検出コイルと、該検出コイルに流れる誘導電流を測定する測定手段とを有することが好ましい。これによれば、当接体が当接駆動手段によって駆動されて移動しワークに当接する際に、磁束発生部により生じた磁束変化により検出コイルに誘導電流が流れ、この誘導電流を測定手段によって測定することができる。ここで、誘導電流の積分値によって当接体の移動距離を知ることができ、その結果、当接体の当接位置を求めることが可能になる。
【0017】
本発明において、前記位置検出手段は、前記当接体に接続された弾性部材と、該弾性部材から受ける応力を検出する応力検出器とを有し、前記弾性部材は、前記当接体の位置変化に応じて前記応力検出器に及ぼす応力が変化するように構成されていることが好ましい。これによれば、当接体の当接位置に応じて弾性部材によって応力検出器に及ぼされる応力が変化するため、応力検出器の検出する応力によって当接体の当接位置を検出することができる。
【0018】
本発明において、前記複数の当接体を上方に向けて設置して前記ワークを支持可能に構成されていることが好ましい。これによれば、複数の当接体が上方に向けて設置され、複数の当接体によってワークを支持可能に構成されていることにより、上述のようにワークの概形状を求めることができると同時にワークを支持することが可能になるため、ワークを支持した状態で各種の処理を行うことができる。
【0019】
本発明において、予め保持された複数の形状情報を参照し、前記ワークの概形状に基づいて前記ワークが前記複数の形状情報のいずれに対応するか否かの判別を行うワーク判別手段を有することが好ましい。これによれば、ワーク判別手段によってワークの概形状を予め保持された複数の形状情報を参照して判別することができるため、ワークの機種や種別を決定したり、或いは、ワークが予め保持された複数の形状情報のいずれにも対応しないことを知ったりすることが可能になる。したがって、このような判別情報をワークに対して行う各種の処理に利用することができる。
【0020】
次に、本発明のワーク解体システムは、上記のいずれかに記載のワーク適用装置を有することを特徴とする。上記のワーク適用装置を有することによりワークの概形状を知ることができるため、この概形状に応じてワークを解体したり、解体処理の態様を変更したりすることができる。特に、複数の当接体によりワークを支持可能に構成することにより、ワークに対する解体処理を容易に行うことができる。また、上記のワーク判別手段を設けることにより、ワークの機種などを判別し、その判別結果に応じて解体処理における解体装置の動作を制御したり、解体処理の処理工程の選択を行ったりすることが可能になる。
【0021】
上記各手段を適用した、より具体的なワーク支持装置では、上下動可能な複数の支持棒(当接体)は、磁石からなる上端部、検出用磁石からなる中間部、中間部に配した検出コイルから構成される。上端部の磁石がワーク底の磁性材料に引き付けられて吸着してワークを固定する。磁石が引き付けられて支持棒が移動すると、検出コイル内を検出用磁石が移動し、鎖交磁束の変化により誘導電流が流れる。誘導電流が流れた検出コイルの位置(あるいは番号)を基に、ワーク底の磁性材料の形状を求めて記憶することにより、以降ワークの機種判別ができる。
【0022】
また、上記各手段を適用した、別のより具体的なワーク支持装置では、上下動可能な複数の支持棒(当接体)は、磁石からなる上端部、検出用磁石からなる中間部、中間部に配した検出コイル、磁石からなる下端部から構成される。支持棒それぞれの下端部と対向する位置には、磁性材料にコイルを巻いて構成した電磁石が備えられており、電磁石がOFFの時、支持棒は電磁石の磁性材料に吸引され、支持棒は動作しない。電磁石がONの場合、支持棒の下端部の磁石に対して反発磁界を発生させることにより、支持棒が突出し、上端部の磁石がワーク底の磁性材料に吸着してワークを固定する。上端部の磁石がワーク底の磁性材料に引き付けられて吸着してワークを固定する。磁石が引き付けられて支持棒が移動すると、検出コイル内を検出用磁石が移動し、鎖交磁束の変化により誘導電流が流れる。磁石の反発作用を利用することにより、支持棒の移動速度が増し、検出コイルに流れる誘導電流が鋭く現われるため、測定ノイズによる影響の少ない、高精度な測定が可能となる。誘導電流が流れた検出コイルの位置(あるいは番号)を基に、ワーク底の磁性材料の形状を求めてデータベースとして保存することにより、以降ワークの機種判別ができる。また各電磁石についてON/OFF制御できるため、電磁石の磁化の方向を切り替えることにより、局部的に固定を解除することができる。
【0023】
さらに、上記各手段を適用した、さらに別のより具体的なワーク支持装置では、上下動可能な複数の支持棒(当接体)は、2つの棒状体とこれら棒状体の間に配設されたバネから構成され、常に突出した状態とされている。支持棒のそれぞれの下端と対向、接触する位置には圧力センサを配する。ワークを載せると、ワーク底部の形状に沿って支持棒が沈む際、バネが縮むことで圧力センサを押すため、ワーク底部の形状に合わせた圧力分布が測定できる。この圧力分布を基にワーク底部の形状を求めてデータベースとして保存することにより、以降ワークの機種判別ができる。
【0024】
上記のより具体的なワーク支持装置によれば、磁石の吸引力のみで支持棒がワーク底部を捉え、簡単にワークを固定できる。また、支持棒の移動に応じて発生する誘導電流を検出することにより、ワーク底部の磁性材料で構成された部分あるいはワーク底部全体の3次元形状を求めることができる。さらに、支持棒の動作手段として電磁石による反発作用を利用することにより、支持棒の移動量に応じた誘導電流の発生量の違いを精度良く検出することができるため、より実機形状に近い3次元形状を精度良く求められる。また、圧力センサを用いて、ワーク底部の形状に沿って縮むバネの抗力に対応した圧力分布を検出することにより、ワーク底部全体の3次元形状を求めることができる。
【0025】
以上のようにして求めた個々の3次元形状をデータベースとして保存することにより、以降取り扱うワークとデータベースに保存されている3次元形状データとを照合することで、ワーク個々の機種判別ができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係るワーク適用装置及びワーク解体システムの実施形態について詳細に説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態のワーク適用装置10の構成を示す概略断面図、図2は、ワーク適用装置10を上方から見た様子を示す概略平面図、図3は、ワーク適用装置10に設けられた当接体12の構成(a)〜(c)を示す拡大断面図、図5は、ワーク適用装置10による処理行程を示すフローチャートである。
【0028】
ワーク適用装置10は、ワークWを載せる対接部材(載置台)11を有し、この対接部材11は非磁性材料で構成される。当接体(支持棒)12は、この対接部材11に対して軸線方向(上下方向)に移動可能に取り付けられている。より具体的には、対接部材11に形成された貫通孔に当接体12が挿通され、挿通方向に移動自在に配置されている。
【0029】
当接体12には、先端部(上端部)に磁石12aが設けられている。また、軸線方向の中途位置には磁束発生部(検出用磁石)12bが形成されている。さらに当接体12の基端部には、鍔状などの拡大された形状を有する係合部12cが形成されている。
【0030】
当接体12は保持部材13にも挿通されている。保持部材13は非磁性材で構成されている。保持部材13の当接体12の挿通部分には、検出用コイル13Cが配置されている。検出用コイル13Cには、当接体12がその軸線方向に移動するとき、磁束発生部12bから発生する鎖交磁束の変化に応じた誘導電流が発生する。
【0031】
離反手段(降下装置)14は、支持部材15に沿ってワークに対して接近・離反する方向(上下方向)に移動可能な状態で支持されている。この離反手段14は、当接体12をワークWから離反させる方向(下方向)に移動させる機能を有する。より具体的には、離反手段14は当接体12を挿通する挿通孔を有し、この挿通孔は、当接体12の係合部12cが通過せずに引っ掛かるように構成されている。離反手段14を手動若しくは自動(電動、油圧などの駆動力を用いる。)で強制的にワークWから離間する方向(下方)へ移動させることにより、当接体12をワークWから引き離し、当接体12の先端部を対接部材11の表面下に収めることができる。なお、当接体12を対接部材11から外れないように保持するための保持手段16が設けられている。
【0032】
当接体12は、図2に示すように均等間隔で整列配置されている。当接体12の数に制限はなく、多いほど良い。当接体12は、可能な限り軽量化することにより動作し易くなり、高速に動作するようになることにより、誘導電流を効果的に発生させることができる。よって、これを構成する主材料としては高強度なプラスチックなどが有効である。
【0033】
図3(a)に示すように、当接体12の先端部の磁石12aには磁性体で構成されるヨーク12eが接合されている。また、当接体12の上記磁束発生部12bは、非磁性体で構成される軸部12dの内部に収容されている。磁束発生部12bは長手方向に磁化されており、形状は円柱でも角柱でも良い。磁束発生部12bの長さは予め設定された当接体12の最大移動量に応じて設定される。ここで、図3(a)に示すように2極着磁されたものを1本用いた場合でも十分に誘導電流は発生するが、図3(b)に示すように2つの磁石12b−1′及び12b−2′を、相互に磁気反発力が働くように配置すれば、図3(a)に示すもの比べて変化のある磁束分布が得られるため、当接体12が動作した時、より顕著な(大きな)誘導電流を得ることができる。
【0034】
図3(a)と(b)は、磁束発生部12bを包摂する軸部12dの構成材を非磁性材料とした場合を示すが、通常、磁束発生部(検出用磁石)12bはオープンな磁界を形成している。ここで当接体12の数を増やす(密度を増大させる)場合には、隣接する検出用コイル13Cの間隔をより狭くする必要があるが、磁束発生部(検出用磁石)12bの構成がこのままであると隣接する検出用コイル13Cに対して周囲の当接体12の磁束発生部12bの影響が及ぼされる。そこで、図3(c)に示すように磁束発生部12bの周囲を磁性材料12f′で覆い、磁気的に閉じた回路を構成することにより、隣接する検出用コイル13Cに周囲の当接体12が発生する磁界の影響が及ぼされることを防止できる。
【0035】
検出用コイル13Cは、図1に示すように測定手段18に接続されている。測定手段18では、各当接体12に対応する検出用コイル13C毎に誘導電流が測定され、その結果(たとえば、各検出用コイル13Cにおける誘導電流の有無、及び、各検出用コイル13Cの電流値)が認識手段19に送出される。認識手段19では、各検出用コイル13Cで発生した誘導電流の積分値を算出する。当接体12の移動量(移動距離)と、誘導電流の積分値との間には正の相関があるため、誘導電流の積分値から当接体12の移動距離を求めることができ、その結果、後述する当接体12の当接位置を求めることができる。これによって、最終的にワークWの概形状(図示例ではワークWの底部形状)が得られる。
【0036】
なお、認識手段19では、上記測定手段18から送られたデータに基づいてどの当接体12が動作したかを記憶する。ワークWの脚に当たる部分やワークWの非磁性材料で構成されている部分Wbに対向する当接体12に対応する検出用コイル13Cには、当接体12が動作しないことにより誘導電流が発生せず、測定手段18で電流が測定されないため、認識手段19には信号が送られず、その当接体12は動作していない旨の情報が記録される。認識手段19では、記憶された情報、すなわち、当接体12の動作の有無によって検出範囲が求められ、また、動作した当接体12の移動距離から当接位置が求められる。そして、この当接位置からワークWの底部(ワークWの底部のうち磁性材料で構成された部分Wa)の3次元概形状を求めることができる。また、認識手段19は、予め各種ワークの形状、たとえば3次元形状を内容とする3次元データベースを保持している。この3次元データベースは、複数種類のワークの概形状に関する形状データを包含する。
【0037】
次に、図5を参照して、本実施形態の動作手順及び作用について説明する。最初に、ワークWを対接部材11上に載置する。このワーク載置は人手により行っても、或いは、ロボットなどによって行ってもよい。これにより、ワークWの底部のうち磁性材料で構成される部分Waに当接体12の磁石12aが磁力により吸引され、当接体12は移動し、上記部分Waに当接した状態となる。ここで、当接体12の磁石12aの磁力、及び、動作前の当接体12とワークWの底部との距離を予め設定し、当接体12が上記部分Waに自動的に吸着保持されるように構成しておくことが好ましい。なお、上記の保持手段16の位置を調整可能に構成し、ワークWと当接体12の先端部との距離を変えることができるように構成してもよい。
【0038】
ここで、ワークWの底部が全てプラスチックなどの非磁性材で構成されている場合には、当接体12は動作しないので、測定手段18は全ての当接体12に対応する全ての検出用コイル13Cにおいて誘導電流を全く検出しない。したがって、この場合には、そのまま以下の処理を実行することなく次工程(たとえば、解体工程)に進む。
【0039】
上記のように当接体12が移動すると、その磁束発生部12bにより生じた磁束のうち検出用コイル13Cに鎖交する磁束の変化により検出用コイル13Cに誘導電流が発生し、この誘導電流は測定手段18により検出される。そして、上述と同様に、認識手段19による誘導電流の積分値から当接体12の移動量が求められ、最終的に各当接体12の当接位置が求められ、ワークWの底部(部分Wa)の概形状が得られる。
【0040】
その後、認識手段19は、上記の概形状を3次元形状データベースと照合し、データベース内に対応するデータがあれば、ワークWを当該データの機種であるものとして、その機種情報を特定する。具体的には、たとえば、その機種情報に対応するフラグを立てる。また、ワークWの概形状に対応する形状データがデータベース内に存在しない場合には、その概形状を3次元形状データベースに新たに保存し、機種登録を行う。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、ワークW底部に対する当接体12の当接位置を検出し、これからワークWの概形状を求めることができる。また、求められた概形状に基づいてワークWの機種の判別を行うことができる。したがって、特にワークの解体ラインにおいてワークWの機種判別を行い、その情報を解体作業に利用することが可能になる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態の構成を示す概略断面図である。この実施形態のワーク適用装置20においては、対接部材21、保持部材23、検出用コイル23C、支持部材25、測定手段28及び認識手段29については、第1実施形態に示すものと同様であるので、それらの説明は省略する。
【0043】
複数の当接体22は、対接部材21に対して移動可能に取り付けられている。当接体22は、先端部に設けられた磁石22a、中間部に設けられた磁束発生手段(検出用磁石)22b、及び、基端部に設けられた磁石22を有する。また、当接体22の背後(下方)には、電磁石24Cを備えた駆動部材24が配置されている。電磁石24Cは、当接体22の基端部の磁石22cに対して磁力を及ぼすことができるように構成されている。また、駆動部材24の各電磁石24Cの個々に対応して設けられた駆動スイッチ26aを備えた制御装置26が設けられている。
【0044】
当接体22は、第1実施形態と同様に、図2に示すように均等間隔で整列配置されており、その数に制限はなく、多いほど良い。当接体22は可能な限り軽量化することにより動作し易くなり、高速に動作して誘導電流を効果的に発生させることができる。よって、これを構成する主材料としては高強度なプラスチックなどが有効である。
【0045】
当接体22の構成は図4に示されている。当接体22の先端部には、上記磁石12aに接合された磁性材料で構成されるヨーク22eが配されている。中間部には非磁性材料で構成される軸部22dに中空部が設けられており、この中に磁束発生部22b(検出用磁石)が配されている。磁束発生部22bは長手方向に磁化されており、形状は円柱でも角柱でも良い。磁束発生部22bの長さは予め設定された当接体22の最大移動量に応じて設定される。磁束発生部22bは図4(a)のように2極着磁された磁石を1本用いた場合でも十分に誘導電流は発生するが、図4(b)のように2つの磁石に分割し、磁界が反発するように配置すれば、図4(a)に示すもの比べて変化のある磁束分布が得られるため、当接体22が動作した時、より顕著な誘導電流を得ることができる。
【0046】
ここで、図4(a)と(b)に示すものは当接体22の軸部22dを非磁性材料とした場合であり、通常、磁束発生部22bはオープンな磁界を形成している。ここで当接体22の数を増やす(密度を増大させる)場合には、保持部材23において隣接する検出用コイル23Cの間隔をより狭くする必要があるが、磁束発生部22bの構成がこのままであると隣接する検出用コイル23Cに周囲の当接体22の磁束発生部22bの影響が及ぼされる。そこで、図4(c)に示すように磁束発生部22bの周囲を磁性材料22f′で覆い、磁気的に閉じた回路を構成することにより、隣接する検出用コイル23Cに周囲の磁界の影響が及ぼされることを防止できる。
【0047】
当接体22の基端部(下端部)に設けられた磁石22cには磁性材料で構成されるヨーク22gが接合されている。磁石22cと電磁石24Cとの磁気的な吸引/反発作用により、当接体22を駆動することができる。磁性材料にコイルを巻いて構成した電磁石24Cは非磁性材料からなる駆動部材24(図6参照)にはめ込まれて固定されている。駆動部材24を非磁性材料とすることで、電磁石24C間の磁気的な相互作用を防ぐことができる。電磁石24Cのそれぞれは、制御装置26の駆動スイッチ26aに接続され、個々の電磁石24Cはこの駆動スイッチ26aによりそれぞれON/OFF制御されるようになっている。
【0048】
図8は磁石22cと電磁石24Cが吸引した状態(a)と、反発した状態(b)とを示す説明図である。ワークWを固定する以前においては、電磁石24Cは全てOFFであり、当接体22の磁石22cは電磁石24Cの磁性材料に吸着しており、それに応じて電磁石24Cの磁心は磁化状態となっていて、当接体22は固定された状態にある。電磁石24CがONの時には、当接体22の磁石22cに対して反発磁界を発生させることにより、当接体22が上方へ押し上げられ、その先端部の磁石22a(図6参照)がワークWの底部の磁性材料で構成される部分Waに吸着する。ワークWに当たらない範囲にある当接体22は、たとえば保持部材23とヨーク22gの干渉によって規制される位置まで動作するなど、当接体22とその周囲構造によって定められた最大移動量動作する。
【0049】
ワークWに当たる範囲にある当接体22は、ワークW底部の形状に合致した当接位置まで動作する。当接体22が動作すると、検出用コイル23C内を磁束発生部22bが移動し、鎖交磁束の変化により誘導電流が流れる。ワークWに当たらない範囲の当接体22はワークWに当接しないことから最大移動量動作するため、ワークWに当たる範囲にある当接体22よりもより多くの誘導電流が発生し、その誘導電流の積分値は一定である。このように、当接体22の動作量に合わせて検出用コイル23Cに流れる誘導電流の積分値に差が生じるので、この積分値の差からワークWの底部全体の形状を求めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、磁石22cと電磁石24Cの磁気的反発作用を利用することにより当接体22の動作速度が増し、検出用コイル23Cに流れる誘導電流が鋭く現われる(誘導電流の最大値が大きくなる)ため、測定ノイズによる影響が少なくなり、当接体22の移動量、すなわち対接部材21とワークW底部との隙間量をより精度良く求めることができ、より実際に近いワーク底部の3次元形状を求めることが可能となる。
【0051】
図7には、本実施形態のワーク適用装置20の動作手順を示す。先に説明した第1実施形態の動作手順と異なる点は、制御装置26によって電磁石24Cを動作させることによって、積極的に当接体22を駆動し、ワークWに当接させるようにしていることである。また、ワークWの底部に当接しない当接体22は最大移動量動作するので、ワークWに当接しないことを検出することができる。さらに、この実施形態では、ワークWに当接した後に当接体22がワークWに吸着保持される場合には、ワークWの磁性材料で構成される部分Waの範囲にあることがわかり、ワークWに当接した後に当接体22がワークWから離反して戻る場合には、その当接体22がワークWの非磁性材で構成される部分Wbの範囲内にあることがわかるので、ワークWの底部のうちの上記部分WaとWbの範囲をそれぞれ検出することもできる。
【0052】
また、制御装置26によって電磁石24Cの極性を反転させることにより、電磁石24Cによって当接体22を吸引(吸着)することも可能である。このようにすると、ワークWの部分Waに吸着保持している当接体22を引き戻し、当接体22をワークWから離反させることも可能になる。
【0053】
[第3実施形態]
図9は本発明の第3実施形態の構成を示す概略構成断面図である。この第3実施形態のワーク適用装置30では、上記各実施形態と同様に、対接部材31に対して移動可能に当接体32が取り付けられている。当接体32は保持部材33にも挿通され、その姿勢が規制されている。支持部材35には検出部材36が取り付けられている。検出部材36には、応力検出器37が固定されている。当接部材32の基端部と、応力検出器37との間には、コイルバネやゴムなどで構成される弾性部材34が接続されている。弾性部材34は当接体32を常時対接部材31側に付勢している。
【0054】
なお、上記の当接体32に上記弾性部材34を組み込み、当接体32が直接応力検出器37に当接し、組み込まれた弾性部材34の弾性力によって自ら対接部材31側に付勢される構成としてもよい。当接体32は可能な限り軽くすることにより、弾性部材34への負荷を軽減できるため、高強度な複合材料またはエンジニアリングプラスチックなどが望ましい。
【0055】
対接部材31にワークWが載せられていない場合には弾性部材34は伸びきった状態で保持され、支持棒2は均等に所定の寸法で対接部材31から突出した状態となっている。
【0056】
応力検出器37としては、圧力センサ、歪センサ、ロードセルなどの各種の応力センサを用いることができる。応力検出器37は、測定手段38に接続されている。測定手段38では各応力検出器37の出力に基づいて測定データを認識手段39に送出する。
【0057】
図10は、本実施形態のワーク適用装置30の動作手順を示すフローチャートである。この動作手順では、ワークWを対接部材31上に載置し、これによって突出していた当接体32がワークWの底部形状に応じて没する。このときの当接体32の動作は、応力検出器37によって検出される。すなわち、弾性部材34の長さと応力検出器37にて検出される応力との間には負の相関があり、ワークWの載置によって生ずる当接体32の動作或いは当接体32の当接位置によって応力検出器37の検出する応力値が変化する。したがって、測定手段38によって得られた測定データにより、認識手段39はワークWの底部形状を求めることができる。このようにして、認識手段39では、測定手段38から得られた応力分布からワークW底部全体の3次元形状を求め、認識手段39が保持する3次元形状データベースと照合し、上記各実施形態と同様に機種判別又は新規の機種登録を行う。
【0058】
この実施形態では、弾性部材34によって当接体32が予め対接部材31から突出した状態となっているため、ワーク底部の構成材料如何に拘わらず、ワークWを対接部材31に載置することによって当接体32は必ず動作する。したがって、検出の有無は判断する必要がなく、そのまま測定データを元にワークWの概形状を求めることができる。
【0059】
尚、本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。たとえば、当接体の当接位置などを検出する位置検出手段としては、上述のものの他に、超音波センサ、光学センサ(光学的測距手段、たとえばレーザ測距器)などの種々の検出手段を用いることができる。また、上記実施形態では、当接体がワークWを支持する支持体としても機能するワーク支持機能を有する装置(ワーク支持装置)として構成されているが、本発明のワーク適用装置は、ワークの側面や上面に当接体を当接させて概形状を認識するように構成されているものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のワーク適用装置10の概略断面図。
【図2】第1実施形態のワーク適用装置10の概略平面図。
【図3】第1実施形態の当接体の断面図(a)〜(c)。
【図4】第2実施形態の当接体の断面図(a)〜(c)。
【図5】第1実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図6】第2実施形態のワーク適用装置20の概略断面図。
【図7】第2実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態の当接体の駆動態様を示す説明図(a)及び(b)。
【図9】第3実施形態のワーク適用装置30の概略断面図。
【図10】第3実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10,20,30…ワーク適用装置、11,21,31…対接部材、12,22,32…当接体、13,23,33…保持部材、13C,23C…検出用コイル、18,28,38…測定手段、19,29,39…認識手段、24…駆動部材、24C…電磁石、34…弾性部材、36…検出部材、37…応力検出器
【発明の属する技術分野】
本発明はワーク適用装置及びワーク解体システムに係り、特に、OA機器などの解体を行う際のワークの固定及び機種判別を行う場合に好適な装置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、種々の製品の製造ラインや解体ラインにおいては、手作業やロボットなどによりワークの組立作業や解体作業を行う際にワークを支持するためのワーク支持装置が用いられている。このワーク支持装置は、通常、予め定められたワーク形状に対応した支持構造を有するものが多いが、ワーク形状に応じて支持構造を変化させることの可能なワーク支持装置が提案されている。
【0003】
たとえば、自動車用パネルのような板状のワークを、そのワークの下から固定するワーク支持装置として、上下動可能な磁性材料からなる複数の棒状体と、各棒状体のそれぞれをバネによって常に上方へ付勢し、かつ各棒状体を電磁石により磁化させてワークを吸着固定するマグネットリフタとを備えたものが知られている(たとえば、以下の特許文献1参照)。このような構成とすることにより、ワークを下側から磁石により吸着固定できるため、ワークの支持固定が可能になる。このワーク支持装置のマグネットリフタとしては、上記の各棒状体に連結されたサーボモータを含む昇降駆動手段と、各棒状体を磁化させる電磁石とを備えたものが開示されている。これによれば、ワークの底面形状に合わせてサーボモータにより各棒状体を駆動させ、その後、電磁石により各棒状体を磁化させてワークを吸着固定することができる。
【0004】
また、自動車の組立工場におけるボディの搬送装置などに用いられているワーク支持装置としては、ベース部材に多数の支持ピンに軸方向のばね力を付与して、軸方向に摺動自在に配し、更に支持ピンがワークにより押された際に支持ピンを停止させるストッパ手段を設けたものが知られている(たとえば、以下の特許文献2参照)。このような構成とすることにより、ワークの底部に当接した支持ピンがワーク形状に合わせて移動するため、形状や寸法の異なる種々のワークに適用可能になるとともに、ワークの側方に配置されて突出状態にある支持ピンによりワークの前後左右方向の移動を規制することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−246373号公報
【特許文献2】
特開平7−187383号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたワーク支持装置では、ワーク底部の外縁部分に磁化された棒状体を吸着固定させるものであることから、ワークの上記外縁部分が非磁性材で構成されていた場合には使用できず、また、環状に棒状体が配設されている領域とは異なる外縁形状を有するワークには対応できず、棒状体による支持範囲も狭いために汎用性に欠ける。また、ワークの底面形状に合わせてサーボモータを制御して棒状体を駆動するようにしていることから、予めワークの底面形状に関するデータを用意しなければならない。このような構成は、ワークの形状寸法や種別が設定されている製造ラインでは比較的容易に構成できるが、新旧合わせ極めて多数のワークが搬入されてくる解体ラインに適用することは困難である。
【0007】
また、上記特許文献2に記載のワーク支持装置においては、ワーク底部の側方において突出状態にある支持ピンがワークの側面下部を覆ってしまうため、当該側面下部に対する作業を行うことができない。特に、この支持装置を解体ラインで用いる場合に、OA機器の解体などで外すべきネジが側面下部にあるときには、側面下部を覆う上記の支持ピンが作業の妨げとなる。
【0008】
さらに、上記のワーク支持装置は、ワークの底面形状に合わせてワークを支持する機能しか持たないため、解体ラインにおける作業の効率化や工程の簡略化を図ることができないという問題点もある。
【0009】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、各種ワークの判別機能を設けることにより、ワークに対する作業を効率化し、工程の簡略化を図ることのできるワーク適用装置を提供することにある。また、ワーク支持装置としても用いることのできるワーク適用装置を提供し、もって、ワークに対する作業の容易化を図ることも目的とする。特に、ワークの解体作業の効率化、自動化、省力化などを図ることのできる装置構成を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のワーク適用装置は、ワークに当接すべき複数の当接体を動作可能に設け、前記当接体を前記ワークに当接させるための当接駆動手段と、前記複数の当接体の個々の当接位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記複数の当接体の位置に基づいて前記ワークの概形状を求める形状算出手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、当接駆動手段によって複数の当接体を駆動してワークに当接させ、ワークに当接した当接体の当接位置を位置検出手段により検出し、複数の当接体の個々の検出位置に基づいて形状算出手段によりワークの概形状を求めることができる。これによって、ワークの概形状に合わせてワークに対する各種処理を行うことが可能になるので、ワークに対する処理の効率化、自動化、省力化などを図ることができる。
【0012】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体の先端部に設けられ、前記ワークの磁性体部分に吸着可能な磁石を含むことが好ましい。これによれば、当接体の先端部に設けられた磁石による磁力によって当接体をワークの磁性体部分に吸着させることができる。
【0013】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体に対して前記ワークに向かう方向に磁力を与える手段を含むことが好ましい。これによれば、磁力によって当接体をワークに向けて駆動することができる。
【0014】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体の基端部に設けられた第1磁石と、該第1磁石に対して前記ワークに向けた反発力を及ぼすことの可能な第2磁石とを有し、前記第1磁石と前記第2磁石の少なくとも一方が電磁石であることが好ましい。これによれば、当接体を第1磁石と第2磁石の間の反発力によってワークに向けて駆動することができるため、ワークに向けた当接体の移動を迅速かつ確実に行うことができる。また、第1磁石と第2磁石の少なくとも一方が電磁石であることにより、駆動力の有無や駆動力の強弱などを適宜に制御することが可能になる。
【0015】
本発明において、前記当接駆動手段は、前記当接体を前記ワークに対して弾性力により押し付けるための弾性体を含むことが好ましい。これによれば、当接体を確実にワークに当接させることができる。
【0016】
本発明において、前記位置検出手段は、前記当接体に設けられた磁束発生部と、該磁束発生部により生じた磁束変化を検出する検出コイルと、該検出コイルに流れる誘導電流を測定する測定手段とを有することが好ましい。これによれば、当接体が当接駆動手段によって駆動されて移動しワークに当接する際に、磁束発生部により生じた磁束変化により検出コイルに誘導電流が流れ、この誘導電流を測定手段によって測定することができる。ここで、誘導電流の積分値によって当接体の移動距離を知ることができ、その結果、当接体の当接位置を求めることが可能になる。
【0017】
本発明において、前記位置検出手段は、前記当接体に接続された弾性部材と、該弾性部材から受ける応力を検出する応力検出器とを有し、前記弾性部材は、前記当接体の位置変化に応じて前記応力検出器に及ぼす応力が変化するように構成されていることが好ましい。これによれば、当接体の当接位置に応じて弾性部材によって応力検出器に及ぼされる応力が変化するため、応力検出器の検出する応力によって当接体の当接位置を検出することができる。
【0018】
本発明において、前記複数の当接体を上方に向けて設置して前記ワークを支持可能に構成されていることが好ましい。これによれば、複数の当接体が上方に向けて設置され、複数の当接体によってワークを支持可能に構成されていることにより、上述のようにワークの概形状を求めることができると同時にワークを支持することが可能になるため、ワークを支持した状態で各種の処理を行うことができる。
【0019】
本発明において、予め保持された複数の形状情報を参照し、前記ワークの概形状に基づいて前記ワークが前記複数の形状情報のいずれに対応するか否かの判別を行うワーク判別手段を有することが好ましい。これによれば、ワーク判別手段によってワークの概形状を予め保持された複数の形状情報を参照して判別することができるため、ワークの機種や種別を決定したり、或いは、ワークが予め保持された複数の形状情報のいずれにも対応しないことを知ったりすることが可能になる。したがって、このような判別情報をワークに対して行う各種の処理に利用することができる。
【0020】
次に、本発明のワーク解体システムは、上記のいずれかに記載のワーク適用装置を有することを特徴とする。上記のワーク適用装置を有することによりワークの概形状を知ることができるため、この概形状に応じてワークを解体したり、解体処理の態様を変更したりすることができる。特に、複数の当接体によりワークを支持可能に構成することにより、ワークに対する解体処理を容易に行うことができる。また、上記のワーク判別手段を設けることにより、ワークの機種などを判別し、その判別結果に応じて解体処理における解体装置の動作を制御したり、解体処理の処理工程の選択を行ったりすることが可能になる。
【0021】
上記各手段を適用した、より具体的なワーク支持装置では、上下動可能な複数の支持棒(当接体)は、磁石からなる上端部、検出用磁石からなる中間部、中間部に配した検出コイルから構成される。上端部の磁石がワーク底の磁性材料に引き付けられて吸着してワークを固定する。磁石が引き付けられて支持棒が移動すると、検出コイル内を検出用磁石が移動し、鎖交磁束の変化により誘導電流が流れる。誘導電流が流れた検出コイルの位置(あるいは番号)を基に、ワーク底の磁性材料の形状を求めて記憶することにより、以降ワークの機種判別ができる。
【0022】
また、上記各手段を適用した、別のより具体的なワーク支持装置では、上下動可能な複数の支持棒(当接体)は、磁石からなる上端部、検出用磁石からなる中間部、中間部に配した検出コイル、磁石からなる下端部から構成される。支持棒それぞれの下端部と対向する位置には、磁性材料にコイルを巻いて構成した電磁石が備えられており、電磁石がOFFの時、支持棒は電磁石の磁性材料に吸引され、支持棒は動作しない。電磁石がONの場合、支持棒の下端部の磁石に対して反発磁界を発生させることにより、支持棒が突出し、上端部の磁石がワーク底の磁性材料に吸着してワークを固定する。上端部の磁石がワーク底の磁性材料に引き付けられて吸着してワークを固定する。磁石が引き付けられて支持棒が移動すると、検出コイル内を検出用磁石が移動し、鎖交磁束の変化により誘導電流が流れる。磁石の反発作用を利用することにより、支持棒の移動速度が増し、検出コイルに流れる誘導電流が鋭く現われるため、測定ノイズによる影響の少ない、高精度な測定が可能となる。誘導電流が流れた検出コイルの位置(あるいは番号)を基に、ワーク底の磁性材料の形状を求めてデータベースとして保存することにより、以降ワークの機種判別ができる。また各電磁石についてON/OFF制御できるため、電磁石の磁化の方向を切り替えることにより、局部的に固定を解除することができる。
【0023】
さらに、上記各手段を適用した、さらに別のより具体的なワーク支持装置では、上下動可能な複数の支持棒(当接体)は、2つの棒状体とこれら棒状体の間に配設されたバネから構成され、常に突出した状態とされている。支持棒のそれぞれの下端と対向、接触する位置には圧力センサを配する。ワークを載せると、ワーク底部の形状に沿って支持棒が沈む際、バネが縮むことで圧力センサを押すため、ワーク底部の形状に合わせた圧力分布が測定できる。この圧力分布を基にワーク底部の形状を求めてデータベースとして保存することにより、以降ワークの機種判別ができる。
【0024】
上記のより具体的なワーク支持装置によれば、磁石の吸引力のみで支持棒がワーク底部を捉え、簡単にワークを固定できる。また、支持棒の移動に応じて発生する誘導電流を検出することにより、ワーク底部の磁性材料で構成された部分あるいはワーク底部全体の3次元形状を求めることができる。さらに、支持棒の動作手段として電磁石による反発作用を利用することにより、支持棒の移動量に応じた誘導電流の発生量の違いを精度良く検出することができるため、より実機形状に近い3次元形状を精度良く求められる。また、圧力センサを用いて、ワーク底部の形状に沿って縮むバネの抗力に対応した圧力分布を検出することにより、ワーク底部全体の3次元形状を求めることができる。
【0025】
以上のようにして求めた個々の3次元形状をデータベースとして保存することにより、以降取り扱うワークとデータベースに保存されている3次元形状データとを照合することで、ワーク個々の機種判別ができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係るワーク適用装置及びワーク解体システムの実施形態について詳細に説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態のワーク適用装置10の構成を示す概略断面図、図2は、ワーク適用装置10を上方から見た様子を示す概略平面図、図3は、ワーク適用装置10に設けられた当接体12の構成(a)〜(c)を示す拡大断面図、図5は、ワーク適用装置10による処理行程を示すフローチャートである。
【0028】
ワーク適用装置10は、ワークWを載せる対接部材(載置台)11を有し、この対接部材11は非磁性材料で構成される。当接体(支持棒)12は、この対接部材11に対して軸線方向(上下方向)に移動可能に取り付けられている。より具体的には、対接部材11に形成された貫通孔に当接体12が挿通され、挿通方向に移動自在に配置されている。
【0029】
当接体12には、先端部(上端部)に磁石12aが設けられている。また、軸線方向の中途位置には磁束発生部(検出用磁石)12bが形成されている。さらに当接体12の基端部には、鍔状などの拡大された形状を有する係合部12cが形成されている。
【0030】
当接体12は保持部材13にも挿通されている。保持部材13は非磁性材で構成されている。保持部材13の当接体12の挿通部分には、検出用コイル13Cが配置されている。検出用コイル13Cには、当接体12がその軸線方向に移動するとき、磁束発生部12bから発生する鎖交磁束の変化に応じた誘導電流が発生する。
【0031】
離反手段(降下装置)14は、支持部材15に沿ってワークに対して接近・離反する方向(上下方向)に移動可能な状態で支持されている。この離反手段14は、当接体12をワークWから離反させる方向(下方向)に移動させる機能を有する。より具体的には、離反手段14は当接体12を挿通する挿通孔を有し、この挿通孔は、当接体12の係合部12cが通過せずに引っ掛かるように構成されている。離反手段14を手動若しくは自動(電動、油圧などの駆動力を用いる。)で強制的にワークWから離間する方向(下方)へ移動させることにより、当接体12をワークWから引き離し、当接体12の先端部を対接部材11の表面下に収めることができる。なお、当接体12を対接部材11から外れないように保持するための保持手段16が設けられている。
【0032】
当接体12は、図2に示すように均等間隔で整列配置されている。当接体12の数に制限はなく、多いほど良い。当接体12は、可能な限り軽量化することにより動作し易くなり、高速に動作するようになることにより、誘導電流を効果的に発生させることができる。よって、これを構成する主材料としては高強度なプラスチックなどが有効である。
【0033】
図3(a)に示すように、当接体12の先端部の磁石12aには磁性体で構成されるヨーク12eが接合されている。また、当接体12の上記磁束発生部12bは、非磁性体で構成される軸部12dの内部に収容されている。磁束発生部12bは長手方向に磁化されており、形状は円柱でも角柱でも良い。磁束発生部12bの長さは予め設定された当接体12の最大移動量に応じて設定される。ここで、図3(a)に示すように2極着磁されたものを1本用いた場合でも十分に誘導電流は発生するが、図3(b)に示すように2つの磁石12b−1′及び12b−2′を、相互に磁気反発力が働くように配置すれば、図3(a)に示すもの比べて変化のある磁束分布が得られるため、当接体12が動作した時、より顕著な(大きな)誘導電流を得ることができる。
【0034】
図3(a)と(b)は、磁束発生部12bを包摂する軸部12dの構成材を非磁性材料とした場合を示すが、通常、磁束発生部(検出用磁石)12bはオープンな磁界を形成している。ここで当接体12の数を増やす(密度を増大させる)場合には、隣接する検出用コイル13Cの間隔をより狭くする必要があるが、磁束発生部(検出用磁石)12bの構成がこのままであると隣接する検出用コイル13Cに対して周囲の当接体12の磁束発生部12bの影響が及ぼされる。そこで、図3(c)に示すように磁束発生部12bの周囲を磁性材料12f′で覆い、磁気的に閉じた回路を構成することにより、隣接する検出用コイル13Cに周囲の当接体12が発生する磁界の影響が及ぼされることを防止できる。
【0035】
検出用コイル13Cは、図1に示すように測定手段18に接続されている。測定手段18では、各当接体12に対応する検出用コイル13C毎に誘導電流が測定され、その結果(たとえば、各検出用コイル13Cにおける誘導電流の有無、及び、各検出用コイル13Cの電流値)が認識手段19に送出される。認識手段19では、各検出用コイル13Cで発生した誘導電流の積分値を算出する。当接体12の移動量(移動距離)と、誘導電流の積分値との間には正の相関があるため、誘導電流の積分値から当接体12の移動距離を求めることができ、その結果、後述する当接体12の当接位置を求めることができる。これによって、最終的にワークWの概形状(図示例ではワークWの底部形状)が得られる。
【0036】
なお、認識手段19では、上記測定手段18から送られたデータに基づいてどの当接体12が動作したかを記憶する。ワークWの脚に当たる部分やワークWの非磁性材料で構成されている部分Wbに対向する当接体12に対応する検出用コイル13Cには、当接体12が動作しないことにより誘導電流が発生せず、測定手段18で電流が測定されないため、認識手段19には信号が送られず、その当接体12は動作していない旨の情報が記録される。認識手段19では、記憶された情報、すなわち、当接体12の動作の有無によって検出範囲が求められ、また、動作した当接体12の移動距離から当接位置が求められる。そして、この当接位置からワークWの底部(ワークWの底部のうち磁性材料で構成された部分Wa)の3次元概形状を求めることができる。また、認識手段19は、予め各種ワークの形状、たとえば3次元形状を内容とする3次元データベースを保持している。この3次元データベースは、複数種類のワークの概形状に関する形状データを包含する。
【0037】
次に、図5を参照して、本実施形態の動作手順及び作用について説明する。最初に、ワークWを対接部材11上に載置する。このワーク載置は人手により行っても、或いは、ロボットなどによって行ってもよい。これにより、ワークWの底部のうち磁性材料で構成される部分Waに当接体12の磁石12aが磁力により吸引され、当接体12は移動し、上記部分Waに当接した状態となる。ここで、当接体12の磁石12aの磁力、及び、動作前の当接体12とワークWの底部との距離を予め設定し、当接体12が上記部分Waに自動的に吸着保持されるように構成しておくことが好ましい。なお、上記の保持手段16の位置を調整可能に構成し、ワークWと当接体12の先端部との距離を変えることができるように構成してもよい。
【0038】
ここで、ワークWの底部が全てプラスチックなどの非磁性材で構成されている場合には、当接体12は動作しないので、測定手段18は全ての当接体12に対応する全ての検出用コイル13Cにおいて誘導電流を全く検出しない。したがって、この場合には、そのまま以下の処理を実行することなく次工程(たとえば、解体工程)に進む。
【0039】
上記のように当接体12が移動すると、その磁束発生部12bにより生じた磁束のうち検出用コイル13Cに鎖交する磁束の変化により検出用コイル13Cに誘導電流が発生し、この誘導電流は測定手段18により検出される。そして、上述と同様に、認識手段19による誘導電流の積分値から当接体12の移動量が求められ、最終的に各当接体12の当接位置が求められ、ワークWの底部(部分Wa)の概形状が得られる。
【0040】
その後、認識手段19は、上記の概形状を3次元形状データベースと照合し、データベース内に対応するデータがあれば、ワークWを当該データの機種であるものとして、その機種情報を特定する。具体的には、たとえば、その機種情報に対応するフラグを立てる。また、ワークWの概形状に対応する形状データがデータベース内に存在しない場合には、その概形状を3次元形状データベースに新たに保存し、機種登録を行う。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、ワークW底部に対する当接体12の当接位置を検出し、これからワークWの概形状を求めることができる。また、求められた概形状に基づいてワークWの機種の判別を行うことができる。したがって、特にワークの解体ラインにおいてワークWの機種判別を行い、その情報を解体作業に利用することが可能になる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態の構成を示す概略断面図である。この実施形態のワーク適用装置20においては、対接部材21、保持部材23、検出用コイル23C、支持部材25、測定手段28及び認識手段29については、第1実施形態に示すものと同様であるので、それらの説明は省略する。
【0043】
複数の当接体22は、対接部材21に対して移動可能に取り付けられている。当接体22は、先端部に設けられた磁石22a、中間部に設けられた磁束発生手段(検出用磁石)22b、及び、基端部に設けられた磁石22を有する。また、当接体22の背後(下方)には、電磁石24Cを備えた駆動部材24が配置されている。電磁石24Cは、当接体22の基端部の磁石22cに対して磁力を及ぼすことができるように構成されている。また、駆動部材24の各電磁石24Cの個々に対応して設けられた駆動スイッチ26aを備えた制御装置26が設けられている。
【0044】
当接体22は、第1実施形態と同様に、図2に示すように均等間隔で整列配置されており、その数に制限はなく、多いほど良い。当接体22は可能な限り軽量化することにより動作し易くなり、高速に動作して誘導電流を効果的に発生させることができる。よって、これを構成する主材料としては高強度なプラスチックなどが有効である。
【0045】
当接体22の構成は図4に示されている。当接体22の先端部には、上記磁石12aに接合された磁性材料で構成されるヨーク22eが配されている。中間部には非磁性材料で構成される軸部22dに中空部が設けられており、この中に磁束発生部22b(検出用磁石)が配されている。磁束発生部22bは長手方向に磁化されており、形状は円柱でも角柱でも良い。磁束発生部22bの長さは予め設定された当接体22の最大移動量に応じて設定される。磁束発生部22bは図4(a)のように2極着磁された磁石を1本用いた場合でも十分に誘導電流は発生するが、図4(b)のように2つの磁石に分割し、磁界が反発するように配置すれば、図4(a)に示すもの比べて変化のある磁束分布が得られるため、当接体22が動作した時、より顕著な誘導電流を得ることができる。
【0046】
ここで、図4(a)と(b)に示すものは当接体22の軸部22dを非磁性材料とした場合であり、通常、磁束発生部22bはオープンな磁界を形成している。ここで当接体22の数を増やす(密度を増大させる)場合には、保持部材23において隣接する検出用コイル23Cの間隔をより狭くする必要があるが、磁束発生部22bの構成がこのままであると隣接する検出用コイル23Cに周囲の当接体22の磁束発生部22bの影響が及ぼされる。そこで、図4(c)に示すように磁束発生部22bの周囲を磁性材料22f′で覆い、磁気的に閉じた回路を構成することにより、隣接する検出用コイル23Cに周囲の磁界の影響が及ぼされることを防止できる。
【0047】
当接体22の基端部(下端部)に設けられた磁石22cには磁性材料で構成されるヨーク22gが接合されている。磁石22cと電磁石24Cとの磁気的な吸引/反発作用により、当接体22を駆動することができる。磁性材料にコイルを巻いて構成した電磁石24Cは非磁性材料からなる駆動部材24(図6参照)にはめ込まれて固定されている。駆動部材24を非磁性材料とすることで、電磁石24C間の磁気的な相互作用を防ぐことができる。電磁石24Cのそれぞれは、制御装置26の駆動スイッチ26aに接続され、個々の電磁石24Cはこの駆動スイッチ26aによりそれぞれON/OFF制御されるようになっている。
【0048】
図8は磁石22cと電磁石24Cが吸引した状態(a)と、反発した状態(b)とを示す説明図である。ワークWを固定する以前においては、電磁石24Cは全てOFFであり、当接体22の磁石22cは電磁石24Cの磁性材料に吸着しており、それに応じて電磁石24Cの磁心は磁化状態となっていて、当接体22は固定された状態にある。電磁石24CがONの時には、当接体22の磁石22cに対して反発磁界を発生させることにより、当接体22が上方へ押し上げられ、その先端部の磁石22a(図6参照)がワークWの底部の磁性材料で構成される部分Waに吸着する。ワークWに当たらない範囲にある当接体22は、たとえば保持部材23とヨーク22gの干渉によって規制される位置まで動作するなど、当接体22とその周囲構造によって定められた最大移動量動作する。
【0049】
ワークWに当たる範囲にある当接体22は、ワークW底部の形状に合致した当接位置まで動作する。当接体22が動作すると、検出用コイル23C内を磁束発生部22bが移動し、鎖交磁束の変化により誘導電流が流れる。ワークWに当たらない範囲の当接体22はワークWに当接しないことから最大移動量動作するため、ワークWに当たる範囲にある当接体22よりもより多くの誘導電流が発生し、その誘導電流の積分値は一定である。このように、当接体22の動作量に合わせて検出用コイル23Cに流れる誘導電流の積分値に差が生じるので、この積分値の差からワークWの底部全体の形状を求めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、磁石22cと電磁石24Cの磁気的反発作用を利用することにより当接体22の動作速度が増し、検出用コイル23Cに流れる誘導電流が鋭く現われる(誘導電流の最大値が大きくなる)ため、測定ノイズによる影響が少なくなり、当接体22の移動量、すなわち対接部材21とワークW底部との隙間量をより精度良く求めることができ、より実際に近いワーク底部の3次元形状を求めることが可能となる。
【0051】
図7には、本実施形態のワーク適用装置20の動作手順を示す。先に説明した第1実施形態の動作手順と異なる点は、制御装置26によって電磁石24Cを動作させることによって、積極的に当接体22を駆動し、ワークWに当接させるようにしていることである。また、ワークWの底部に当接しない当接体22は最大移動量動作するので、ワークWに当接しないことを検出することができる。さらに、この実施形態では、ワークWに当接した後に当接体22がワークWに吸着保持される場合には、ワークWの磁性材料で構成される部分Waの範囲にあることがわかり、ワークWに当接した後に当接体22がワークWから離反して戻る場合には、その当接体22がワークWの非磁性材で構成される部分Wbの範囲内にあることがわかるので、ワークWの底部のうちの上記部分WaとWbの範囲をそれぞれ検出することもできる。
【0052】
また、制御装置26によって電磁石24Cの極性を反転させることにより、電磁石24Cによって当接体22を吸引(吸着)することも可能である。このようにすると、ワークWの部分Waに吸着保持している当接体22を引き戻し、当接体22をワークWから離反させることも可能になる。
【0053】
[第3実施形態]
図9は本発明の第3実施形態の構成を示す概略構成断面図である。この第3実施形態のワーク適用装置30では、上記各実施形態と同様に、対接部材31に対して移動可能に当接体32が取り付けられている。当接体32は保持部材33にも挿通され、その姿勢が規制されている。支持部材35には検出部材36が取り付けられている。検出部材36には、応力検出器37が固定されている。当接部材32の基端部と、応力検出器37との間には、コイルバネやゴムなどで構成される弾性部材34が接続されている。弾性部材34は当接体32を常時対接部材31側に付勢している。
【0054】
なお、上記の当接体32に上記弾性部材34を組み込み、当接体32が直接応力検出器37に当接し、組み込まれた弾性部材34の弾性力によって自ら対接部材31側に付勢される構成としてもよい。当接体32は可能な限り軽くすることにより、弾性部材34への負荷を軽減できるため、高強度な複合材料またはエンジニアリングプラスチックなどが望ましい。
【0055】
対接部材31にワークWが載せられていない場合には弾性部材34は伸びきった状態で保持され、支持棒2は均等に所定の寸法で対接部材31から突出した状態となっている。
【0056】
応力検出器37としては、圧力センサ、歪センサ、ロードセルなどの各種の応力センサを用いることができる。応力検出器37は、測定手段38に接続されている。測定手段38では各応力検出器37の出力に基づいて測定データを認識手段39に送出する。
【0057】
図10は、本実施形態のワーク適用装置30の動作手順を示すフローチャートである。この動作手順では、ワークWを対接部材31上に載置し、これによって突出していた当接体32がワークWの底部形状に応じて没する。このときの当接体32の動作は、応力検出器37によって検出される。すなわち、弾性部材34の長さと応力検出器37にて検出される応力との間には負の相関があり、ワークWの載置によって生ずる当接体32の動作或いは当接体32の当接位置によって応力検出器37の検出する応力値が変化する。したがって、測定手段38によって得られた測定データにより、認識手段39はワークWの底部形状を求めることができる。このようにして、認識手段39では、測定手段38から得られた応力分布からワークW底部全体の3次元形状を求め、認識手段39が保持する3次元形状データベースと照合し、上記各実施形態と同様に機種判別又は新規の機種登録を行う。
【0058】
この実施形態では、弾性部材34によって当接体32が予め対接部材31から突出した状態となっているため、ワーク底部の構成材料如何に拘わらず、ワークWを対接部材31に載置することによって当接体32は必ず動作する。したがって、検出の有無は判断する必要がなく、そのまま測定データを元にワークWの概形状を求めることができる。
【0059】
尚、本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。たとえば、当接体の当接位置などを検出する位置検出手段としては、上述のものの他に、超音波センサ、光学センサ(光学的測距手段、たとえばレーザ測距器)などの種々の検出手段を用いることができる。また、上記実施形態では、当接体がワークWを支持する支持体としても機能するワーク支持機能を有する装置(ワーク支持装置)として構成されているが、本発明のワーク適用装置は、ワークの側面や上面に当接体を当接させて概形状を認識するように構成されているものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のワーク適用装置10の概略断面図。
【図2】第1実施形態のワーク適用装置10の概略平面図。
【図3】第1実施形態の当接体の断面図(a)〜(c)。
【図4】第2実施形態の当接体の断面図(a)〜(c)。
【図5】第1実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図6】第2実施形態のワーク適用装置20の概略断面図。
【図7】第2実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態の当接体の駆動態様を示す説明図(a)及び(b)。
【図9】第3実施形態のワーク適用装置30の概略断面図。
【図10】第3実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
10,20,30…ワーク適用装置、11,21,31…対接部材、12,22,32…当接体、13,23,33…保持部材、13C,23C…検出用コイル、18,28,38…測定手段、19,29,39…認識手段、24…駆動部材、24C…電磁石、34…弾性部材、36…検出部材、37…応力検出器
Claims (10)
- ワークに当接すべき複数の当接体を動作可能に設け、前記当接体を前記ワークに当接させるための当接駆動手段と、前記複数の当接体の個々の当接位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記複数の当接体の位置に基づいて前記ワークの概形状を求める形状算出手段とを有することを特徴とするワーク適用装置。
- 前記当接駆動手段は、前記当接体の先端部に設けられ、前記ワークの磁性体部分に吸着可能な磁石を含むことを特徴とする請求項1に記載のワーク適用装置。
- 前記当接駆動手段は、前記当接体に対して前記ワークに向かう方向に磁力を与える手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク適用装置。
- 前記当接駆動手段は、前記当接体の基端部に設けられた第1磁石と、該第1磁石に対して前記ワークに向けた反発力を及ぼすことの可能な第2磁石とを有し、前記第1磁石と前記第2磁石の少なくとも一方が電磁石であることを特徴とする請求項3に記載のワーク適用装置。
- 前記当接駆動手段は、前記当接体を前記ワークに対して弾性力によって押し付けるための弾性体を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワーク適用装置。
- 前記位置検出手段は、前記当接体に設けられた磁束発生部と、該磁束発生部により生じた磁束変化を検出する検出コイルと、該検出コイルに流れる誘導電流を測定する測定手段とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のワーク適用装置。
- 前記位置検出手段は、前記当接体に接続された弾性部材と、該弾性部材から受ける応力を検出する応力検出器とを有し、前記弾性部材は、前記当接体の位置変化に応じて前記応力検出器に及ぼす応力が変化するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のワーク適用装置。
- 前記複数の当接体を上方に向けて設置して前記ワークを支持可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のワーク適用装置。
- 予め保持された複数の形状情報を参照し、前記ワークの概形状に基づいて前記ワークが前記複数の形状情報のいずれに対応するか否かの判別を行うワーク判別手段を有することを特徴とするワーク適用装置。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のワーク適用装置を有することを特徴とするワーク解体システム。
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JP2003044356A JP2004251834A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | ワーク適用装置及びワーク解体システム |
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KR102027824B1 (ko) * | 2018-11-27 | 2019-10-02 | 주식회사 포스코 | 판재용 평탄도 측정장치 |
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-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003044356A patent/JP2004251834A/ja not_active Withdrawn
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