JP2004251469A - 金属溶解炉の排ガス二次燃焼の安定化方法及び二次燃焼装置 - Google Patents

金属溶解炉の排ガス二次燃焼の安定化方法及び二次燃焼装置 Download PDF

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Hirotsugu Kubo
博嗣 久保
Noboru Suyama
登 須山
Keiji Wakahara
啓司 若原
Hirotake Kato
弘剛 加藤
Yasuhiro Sato
靖浩 佐藤
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Abstract

【課題】金属溶解炉の排ガスシステムの入り側で、排ガスの2次燃焼が安定して行えないため、不特定の場所で異常燃焼が起きる問題が生じていた。従って、本発明の目的は、安定して排ガスの2次燃焼が行える2次燃焼方法及びその装置を提供することにある。
【解決手段】金属溶解炉と排ガスダクトを気密に接続して隙間から流入する空気を防ぎ、排ガスシステムの入り側に2次燃焼バーナを設置し、ファンにより所定量に制御された燃焼用空気を吹き込むことで、排ガスシステム入り側で安定して2次燃焼が行える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の溶解時に発生する排ガス中に含まれる未燃焼成分を、効率よく安定して燃焼させる二次燃焼の安定化方法、及び、二次燃焼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を、図3を参照しながら説明する。金属溶解炉101は、金属溶解部101Aとその上部に設置される金属予熱部101Bからなる。溶解するための原料金属は、金属予熱部101B充填されている。原料金属下部が溶解されるにつれて、充填されている原料金属は、重力またはその他の方法で下降し、金属溶解部101Aへ入った後、溶解される。原料金属は、溶解に合わせて、連続的または間歇的に、金属予熱部101Bへ装入される。原料金属の溶解方法としては、電気アークをはじめ、電気抵抗、空気、酸素、カーボンの吹き込み、バーナの燃焼等、様々な方法が取られる。溶解された金属は、所定量がたまると、金属溶解部101Aから取り鍋等へ排出される。
【0003】
金属溶解部101Aの中で金属を溶解する時に、排ガス102が発生する。排ガス102に含まれる未燃焼成分の一部は、金属溶解中に金属溶解部101Aの中で燃焼し、金属溶解を促進させる。その後、排ガス102は、排ガスシステム103の出側にある排ガスファン112の吸引力により、金属予熱部101Bを通過した後、金属予熱部101Bに隙間を隔てて設置された排ガスシステム103へ排出される。排ガス102が、金属予熱部101Bの中に充填されている金属と金属の間を通過するときに、排ガス102が有する顕熱で、原料金属を予熱する。その後、排ガス102は、金属溶解部101Aの中で燃焼しきれなかった残りの未燃焼成分を含んだ状態で、排ガスシステム103へ排出される。
【0004】
なお、金属溶解炉においては、金属予熱部101Bを有しない場合もあり、その場合には、一体となった金属溶解炉101から、直接、排ガスシステム103が接続され、排ガス102は、金属溶解炉101から排ガスシステム103へ排出される。
ここでは、金属予熱部101Bを有する場合を例に取って、説明をする。
【0005】
金属溶解炉101に接続された排ガスシステム103は、排ガスダクト105、107、109,111、排ガス燃焼塔106、排ガス冷却帯108、集塵機110、排ガスファン112により構成される。金属溶解炉101の中で発生した排ガス102は、排ガスシステム103の出側に設置された排ガスファン112の吸引力により、排ガスダクト105、排ガス燃焼塔106、排ガスダクト107、排ガス冷却帯108、排ガスダクト109、集塵機110、排ガスダクト111、排ガスファン112の順に通過して、最終的に大気中へ排出される。
【0006】
金属溶解炉101と排ガスダクト105の間には、通常、隙間104を有している。排ガスファン112の吸引力によって、排ガスダクト105の内部の圧力は大気圧よりも低くなるので、排ガスダクト105の廻りの空気が、隙間104から排ガスダクト105内へ流入する。排ガスダクト105の入側において、排ガス102の温度は未燃焼成分の発火温度以上を有するので、排ガス102中の未燃焼成分は、流入する空気と反応して、二次燃焼される。
【0007】
隙間104から流入する空気の流量は、隙間104の大きさ、排ガスファン112の吸引力、及び、排ガスシステム103の流路抵抗により定まるので、流量を独立してコントロールすることは困難である。また、通常では、流入する空気の流量は、排ガス102が含む未燃焼成分を、二次燃焼させるために必要な流量よりもはるかに多くなるため、排ガス流量が増大する。さらに、金属溶解の各操業過程において、排ガスファン112の吸引力や排ガスシステム103の流路抵抗は変動するので、それに応じて排ガスダクト105内に流入する空気流量も変動する。従って、最も排ガス量が多い場合に対処するために、排ガスシステム103は、大規模な設備とならざるを得ない。
【0008】
排ガスダクト105の入側における二次燃焼では、空気流量を適量にコントロールすることはできず、また、吹き込み方法も、隙間104から流入させるだけなので、安定した二次燃焼は得られない。また、操業状態により、排ガス量も変動するが、それに応じて、流入空気量を積極的にコントロールすることもできない。
さらに、隙間104から流入する空気の温度は、ほぼ常温であるため、多量な空気が排ガス102中へ流入すると、排ガス102の温度は低下するので、二次燃焼は妨げられる。
【0009】
上記のように、排ガス102が含む未燃焼成分は、排ガスダクト105の入側では安定して二次燃焼できないので、排ガス102は多くの未燃焼成分含んだ状態で、排ガスダクト105の入側から排ガスシステム103の下工程へ排出されていく。従って、排ガス102中の未燃焼成分は、排ガスシステム103の不特定の場所で二次燃焼する可能性があるので、排ガスシステム103では、長い流路において水冷構造等の防熱対策を施す必要がある。また、排ガスシステムの流路自体も、長いものとなる。
【0010】
排ガスシステム103の不特定の場所において、排ガス102中に残存する未燃焼成分が、異常燃焼をしたり爆発を起こしたりする可能性があるので、設備損傷の危険性や安全性の問題がある。従って、廃熱回収装置等を、排ガスシステムに設置することは困難となる。
【0011】
上記の異常燃焼や爆発を防ぐために、排ガスダクト104に引き続き、通常、排ガス燃焼塔106が設置され、排ガス102中の未燃焼成分を二次燃焼させる。また、爆発時の機器保護のために、燃焼塔106には、通常、リリーフダンパが設けられている。
【0012】
排ガス燃焼塔106で未燃焼成分が完全燃焼された後、排ガス燃焼塔106から出た排ガス102は、排ガスダクト107を通って、排ガス冷却帯108へ入る。排ガス冷却帯108を通過する間に、排ガス102は冷却され、その後、排、排ガスダクト109を経由して、集塵機110へ入る。排ガス102に含まれるダスト等は、排ガス2が集塵機110を通過する間に除去される。集塵機110を出た排ガス102は、排ガスダクト111を経由して、排ガスファン112へ入り、最終的に、排ガスファン112から大気へ排出される。
【0013】
以上のように、金属溶解炉101で発生した排ガス102は、排ガスシステム103によって、排ガス102に含まれる未燃焼成分が二次燃焼され、排ガス102に含まれるダスト等が取り除かれた後に、大気へ放出される。しかし、従来技術では、排ガス中の未燃焼成分は、排ガスシステム入り側では安定して燃焼されず、また、流入空気量により、排ガス量も増大するため、下記に示すような種々の問題が存在する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の排ガスシステムにおいては、以下のような問題が発生する。
排ガスシステムの入り側で、排ガスが含む未燃焼成分を安定して燃焼できないので、排ガスは未燃焼成分を多く含んだ状態で、排ガスシステムの下流側へ排出される。従って、排ガスシステムの不特定の場所で、二次燃焼が起こり、時には、異常燃焼や爆発の危険性もある。よって、排ガスシステム中に廃熱回収装置等を設置することは、困難である。
【0015】
更に、排ガスに含まれる未燃焼成分が、排ガスシステム下流側でも燃焼する可能性があるので、排ガスシステムは、長い流路を水冷構造等にして、防熱対策を施す必要がある。また、排ガスシステムの流路事態も、長いものとなる。
更に、予熱シャフト炉と排ガスダクトとの間の隙間から流入する空気の量は、排ガスが含む未燃焼成分を二次燃焼させる量よりも、はるかに多くなり、不必要に多量な排ガスを、処理する必要がある。
更に、金属溶解の操業状態により、流入空気量も変動するので、排ガス流量も変動する。従って、排ガスシステムを構成する機器は、流量が変動する排ガスの最大流量に合わせて、大型化する必要があり、設備コストも高いものになる。
更に、上記のように設備は大型化されるので、排ガスファンの消費電気量が増大する。また、排ガスシステムを排ガスの熱から守るために、水冷構造にした場合においては、多量の冷却水を必要とする。
【0016】
従って、この発明の目的は、従来の問題点を解決して、金属溶解炉で発生する排ガスの二次燃焼の安定化方法及び二次燃焼装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、以下に示す方法、及び、装置によって、排ガスが含む未燃焼成分を、排ガスシステム入り側で安定して二次燃焼することが可能あり、その結果、コンパクトで、電気や冷却水の消費量も少ない排ガスシステムが得られることを知見した。
即ち、本発明では、金属溶解炉と排ガスダクトが気密に接続されており、また、排ガスダクトの入り側には、二次燃焼用バーナが設置されている。排ガスダクトの入り側には隙間が開いていないので、隙間から空気が排ガスダクト内へ流入することは無い。上記に代わって、所定量の空気を、ファンや制御装置等により、大気から吸引して、二次燃焼用空気として排ガスダクト入り側へ吹き込む。所定量に制御された二次燃焼用空気を、排ガスダクトへ吹き込み、二次燃焼バーナを燃焼させることにより、金属溶解時に発生した排ガス中の未燃焼成分を、排ガスシステム入り側で、安定して二次燃焼させることが可能になる。
【0018】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第1の態様は、金属溶解炉と気密に接続された排ガスダクトの入り側で、外気から取り入れた二次燃焼用空気を前記排ガスダクト中に吹き込み、二次燃焼用バーナにより、前記金属溶解炉からの金属の溶解時に発生する排ガスに含まれる未燃焼成分を安定して二次燃焼させる排ガス二次燃焼の安定化方法である。
【0019】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第2の態様は、前記二次燃焼用空気を、前記排ガスダクトへ吹き込む前に、予熱する排ガス二次燃焼の安定化方法である。
【0020】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第3の態様は、前記二次燃焼用空気の前記予熱を、前記排ガスとの熱交換により行う排ガス二次燃焼の安定化方法である。
【0021】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第4の態様は、前記排ガスダクトが互いに接する排ガス流路と二次燃焼用空気流路からなっており、前記予熱が前記二次燃焼用空気を前記二次燃焼用空気流路の中を通過させることにより行われる排ガス二次燃焼の安定化方法である。
【0022】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第5の態様は、前記二次燃焼空気を、150℃以上に予熱する排ガス二次燃焼の安定化方法である。
【0023】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第6の態様は、前記二次燃焼空気を、前記未燃焼成分の二次燃焼に最適な所定量に制御して、前記排ガスダクト中へ吹き込む排ガス二次燃焼の安定化方法である。
【0024】
この発明の排ガス二次燃焼の安定化方法の第7の態様は、前記二次燃焼用バーナの廻りに設置された複数の吹き込み口から、前記二次燃焼用空気を、前記排ガスダクト中へ分散して吹き込む排ガス二次燃焼の安定方法である。
【0025】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第1の態様は、
金属溶解炉に気密に接続された排ガスダクトと、
前記排ガスダクトの入り側に設置された二次燃焼用バーナと、
外気から取り入れた二次燃焼用空気を前記排ガスダクト中に吹き込む二次燃焼用空気吹き込み装置からなる排ガス二次燃焼装置である。
【0026】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第2の態様は、前記二次燃焼用空気を、前記排ガスダクト中へ吹き込む前に、あらかじめ予熱する予熱装置を更に備えた二次燃焼用空気予熱装置である。
【0027】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第3の態様は、前記予熱装置が、前記二次燃焼用空気の予熱を、前記排ガスとの熱交換によって行うものである二次燃焼用空気予熱装置である。
【0028】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第4の態様は、前記排ガスダクトが互いに接する排ガス流路と二次燃焼用空気流路からなっている二次燃焼用空気予熱装置である。
【0029】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第5の態様は、前記排ガス流路の内面が耐火物張りとなっている二次燃焼空気予熱装置である。
【0030】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第6の態様は、前記予熱装置が、前記二次燃焼用燃焼空気を150℃以上に予熱するものである二次燃焼用空気予熱装置である。
【0031】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第7の態様は、前記二次燃焼空気を、所定の吹き込み量に制御する制御装置を更に備えている二次燃焼用空気吹き込み装置である。
【0032】
この発明の排ガス二次燃焼装置の第8の態様は、前記排ガスダクト上において、前記二次燃焼用バーナ廻りに設置された複数の燃焼用空気吹き込み口から、前記二次燃焼空気を分散して吹き込む分散吹き込み装置を更に備えている二次燃焼用空気吹き込み装置である。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、金属溶解炉と気密に接続された排ガスダクトの入り側で、外気から取り入れた二次燃焼用空気を排ガスダクト中に吹き込み、二次燃焼用バーナを燃焼させることによって、金属の溶解時に発生する排ガスに含まれる未燃焼成分を安定して二次燃焼させる排ガス二次燃焼の安定化方法、及び、二次燃焼装置である。また、二次燃焼用空気は、二次燃焼用空気吹き込み装置によって、外気から所定量だけ取り入れられ、二次燃焼用バーナの廻りから、排ガスダクト内へ分散して吹き込まれる。更に、二次燃焼用空気は、二次燃焼用空気予熱装置によって、排ガスと熱交換が行なわれ、150。C以上に予熱がされた後に、排ガスダクト内へ吹き込まれる。以上により、排ガスに含まれる未燃焼成分は、排ガスダクト入り側で安定して燃焼される。
【0034】
本発明を適用する排ガスシステムの一例として、電気アークにて鉄源を溶融する冷鉄源溶解炉での適用例を、図1及び図2に示す。鉄源の溶解には、電気アークに加え、コークスや酸素等の補助熱源を溶解炉に供給して、鉄源の溶融を促進させることも可能である。
図1は、溶解炉1が、溶解部1Aと、溶解部1Aの上部に設置された予熱部1Bからなる冷鉄源溶解炉の例を示す図である。鉄源3の溶解で発生した排ガス8の顕熱により、予熱部1Bにおいて冷鉄源を予熱することができる。
図2は、溶解炉1が、予熱部を有しない冷鉄源溶解炉の例を示す図である。
ただし、本発明に係る金属溶融炉は、実施例に示すような鉄の溶解に限らず、その他の金属の溶解が含まれ、溶解方法もアーク溶解に限らず、その他の金属の溶解方法を含むものである。
【0035】
図1に示す冷鉄源溶解炉の例を説明する。溶解炉1において、鉄源3は、主にアーク電極5から発生する電気アークにより溶解される。更に、カーボン供給装置6から炉内へ吹き込まれるカーボンと、酸素供給装置7から炉内へ吹き込まれる酸素により、燃焼が起こり、鉄源の溶解は促進される。最終的には、鉄源はすべて溶湯4となり、耐火物2の張られた溶解部1Aの底面にたまる。溶湯4は、一定量がたまると、溶解部1Aに設けられた排出口(図1には示していない)から、取り鍋等に排出される。鉄源3は、溶解部1Aの上部に設置された予熱部1Bの上方から、連続的または間歇的に供給される。溶解されて排出された分の鉄源を補給し、予熱部1Bには鉄源が充填されている。
【0036】
鉄源3の溶解時に、排ガス8が発生する。排ガス8は、未燃焼成分を含んでいるが、溶解部1Aの中で一部は燃焼され、溶解の促進に寄与する。しかしながら、残りは未燃焼成分を含んだまま、溶解部1Aから下工程側へ排出される。排ガスシステム9の出側に二次燃焼用空気ファン18が設置されており、排ガスファン21の吸引力により、排ガス8は、溶解部1Aから上方の予熱部1Bへ流入する。予熱部1Bには、溶解される前の冷鉄源3が充填されており、排ガス8が冷鉄源3の間を通過する間に熱交換を行い、冷熱源は予熱される。
【0037】
排ガス8は、溶融炉1の溶解部1Aから予熱部1Bを通過して、予熱部1Bに接続された排ガスシステム9へ排出される。排ガスシステム9は、
排ガスダクト10;
二次燃焼バーナ11;
二次燃焼用空気吹き込み口15、二次燃焼用空気制御装置17、及び、二次燃焼用空気ファン18からなる二次燃焼用空気吹き込み装置;
排ガス流路12、二次燃焼用空気流路13、及び、排ガスダクト用耐火物14
からなる二次燃焼用空気予熱装置;
排ガス処理設備19;
集塵機20; 並びに
排ガスファン21からなっている。
上記のうち、本発明の二次燃焼装置は、主に、排ガスダクト、二次燃焼バーナ、二次燃焼空気吹き込み装置、二次燃焼用空気予熱装置からなっている。
【0038】
排ガスシステムの概要を説明すると、下記のようになる。
排ガス8は、排ガスシステム9の出側に設置された排ガスファン21の吸引力で、予熱部1Bから排ガスダクト10、排ガス処理設備19、集塵機20、排ガスファン21を通過して大気へ放出される。排ガス8に含まれる未燃焼成分は、排ガスダクト10の入り側で、排ガスダクト10内へ二次燃焼空気16を吹き込み、二次燃焼バーナ11を燃焼させることにより、安定して燃焼される。二次燃焼空気16は、上記の二次燃焼空気予熱装置によって予熱された後、排ガスダクト10へ吹き込まれる。
【0039】
従来の排ガスシステムでは、溶解炉と排ガスダクトの間に隙間が開いている。排ガスファンの吸引力により、排ガスダクト内の圧力は大気圧よりも低くなるので、上記の隙間から、空気が排ガスダクト中へ流入する。排ガスダクト入り側では、排ガスの温度は、まだ、排ガスが含む未燃焼成分の発火温度以上あるので、流入する空気によって、排ガス中の未燃焼成分を二次燃焼させる。しかし、流入する空気は、二次燃焼に適するようにコントロールすることは困難なので、安定した燃焼は得られない。また、流入する空気は常温なので、排ガス温度が下がり、二次燃焼を妨げる。
さらに、流入する空気の量は、二次燃焼に必要な量よりもはるかに多量なため、排ガス温度の低下も大きく、排ガス量も大幅に増える。
【0040】
本発明では予熱部1Bと排ガスダクト10は気密に接続されており、大気が流入することはない。その代わりに、所定量に吹き込み量を制御された二次燃焼用空気16を、排ガスダクト10の入り側へ吹き込む。更に、二次燃焼用空気16を吹き込みながら、二次燃焼用バーナ11を燃焼させることで、排ガス8に含まれる未燃焼成分は、安定して燃焼される。所定量に制御された二次燃焼用空気15は、排ガス8との熱交換により150。C以上に予熱された後、二次燃焼用バーナ11の廻りから、分散して排ガスダクト10に吹き込まれることによって、より安定した二次燃焼が行われる。
【0041】
二次燃焼用空気ファン18により外気から吸入された次燃焼用空気16は、二次燃焼用空気制御装置17により二次燃焼に最も適した流量に制御され、排ガスダクト10に設けられた二次燃焼用空気流路13に送られる。排ガスダクト10の一部は二重管構造になっており、内管の中を排ガス8が通る排ガス流路12を形成している。内管の内面、つまり、排ガス8と接する面には耐火物14が張られ、排ガス8の顕熱により設備が損傷することを防いでいる。また、冷却水等を使用していないので、その分の熱損失が防げ、冷却水量も減少する。外管と内管の間には、二次燃焼用空気流路13が設けられ、二次燃焼用空気16が通過する。排ガス8の有する顕熱は、耐火物14と内管シェルを通して、二次燃焼用空気16へ熱伝達される。大気温で二次燃焼用空気流路13へ入った二次燃焼用空気16は、二次燃焼用空気流路13を通過中に、排ガス8との熱交換により、150。C以上にまで予熱される。なお、排ガスと燃焼用空気の流れは対向式にすると、より効率よく熱交換が行われる。
【0042】
上記のように最適量に制御され、且つ150。C以上に予熱された燃焼用空気16は、二次燃焼用バーナ11の廻りに複数個設けられた吹き出し口15から、分散して排ガスダクト10中へ吹き込まれる。二次燃焼用空気16を、二次燃焼用バーナ11から分散して排ガスダクト吹き込み、二次燃焼用バーナ11を燃焼させることにより、排ガス8に含まれる未燃焼成分は、排ガスダクト10の入り側で更に安定して二次燃焼される。従い、従来技術に比べ、排ガス入り側から下流側へ排出される排ガス8に含まれる未燃焼成分の量は、大幅に減少する。
【0043】
以上のように、排ガスダクトへ吹き込まれる二次燃焼用空気の温度は150。C以上であり、吹き込む流量も必要最小限に抑えられるので、排ガス温度の低下を最小限に抑えられる。従い、従来技術に比べ、安定した二次燃焼が可能になる。排ガス8の流量も最小限に抑えられるので、設備的にもコンパクトになり、使用する電力や冷却水量等も少ない、効率のよい排ガスシステムが得られる。
また、従来技術では、機器の冷却で捨てられていた排ガスの廃熱が、十分利用できるようになる。
更に、排ガスダクト10の入り側以降では、従来技術に比べ、排ガス中の未燃焼成分が燃焼すること可能性が減少するので、水冷等の冷却構造にする範囲をなくすることができる。また、異常燃焼や爆発の危険性も低くなるので、排ガスシステム中に、廃熱回収設備等を設置も可能性となる。
【0044】
上述のように排ガスダクト10の入り側で二次燃焼された後、排ガス8は、排ガス処理設備19へ排出される。排ガス処理設備19は、排ガス燃焼室、排ガス冷却室等より構成される。本発明では、異常燃焼や爆発等の危険性が大幅に低下するが、操業事情に応じて排ガス処理設備19設置される。ただし、設置する場合においても、従来に比べ、設備をコンパクトにすることが可能である。
排ガス8は、排ガス処理設備19を出た後、集塵機20を通過して、排ガス8中のダストが除去される。その後、排ガスファン21から大気へ放出される。
【0045】
次に、図2に示す冷鉄源溶解炉の例を説明する。
図2の場合は、溶解炉1は、図1のような予熱部1Bを有しない。従って、排ガスシステムは、溶解部のみを有する溶解炉1に接続されている。溶解するための冷鉄源は、溶解炉1の上部から、間歇的に装入される。冷鉄源の溶解方法や、溶湯の排出方法は、図1の例と同様である。
また、排ガスシステムも、基本的には、図1の場合と同様である。
【0046】
【発明の効果】
上述したように、本発明によって、以下の効果を得ることができる。
排ガスシステムの入り側で、排ガスが含む未燃焼成分を安定して燃焼することができるので、排ガスシステム入り側以降で、排ガスシステムを流れる排ガス中に含まれる未燃焼成分を、従来に比べ非常に少なくすることができる。
従って、排ガスシステムの不特定の場所で、異常燃焼や爆発が起きる可能性を低減できる。また、排ガスシステム中に廃熱回収装置等を設置することが容易となる。
更に、排ガスに含まれる未燃焼成分が、排ガスシステム入り側以降で燃焼する可能性が低くなるので、排ガスシステムは、長い流路を水冷構造等の防熱構造にする必要がない。また、排ガスシステム全体の流路も、短くすることができる。
更に、排ガスダクトへ吹き込む二次燃焼用空気の量は、所定量に制御が可能なので、排ガス流量を最小限に抑えることができる。
更に、金属溶解の操業状態により排ガス量が変動しても、それに合わせて最適の二次燃焼が行われるように、吹き込み流量を制御することができる。
更に、排ガス流量を最小にできるので、排ガスシステムを構成する機器を、コンパクトにすることが可能である。
更に、排ガスシステムを構成する機器をコンパクトにできるので、使用する電気消費量も少なくできる。また、水冷構造にする範囲も少ないので、冷却水消費量も少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、予熱部を有する溶解炉において、本発明を適用した二次燃焼システムの一態様を示すシステム構成図である。
【図2】図2は、予熱部を有しない溶解炉において、本発明を適用した二次燃焼システムの一態様を示すシステム構成図である。
【図3】図3は、既存技術における金属溶解、及び、排ガスシステムの一態様を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
1 溶解炉
1A 溶解部
1B 予熱部
2 溶解炉用の耐火物
3 冷鉄源
4 溶湯
5 アーク電極
6 カーボン供給装置
7 酸素供給装置
8 排ガス (太矢印)
9 排ガスシステム
10 排ガスダクト
11 二次燃焼用バーナ
12 排ガス流路
13 二次燃焼用空気流路
14 排ガスダクト用耐火物
15 二次燃焼用空気吹き込み口
16 二次燃焼用空気 (細矢印)
17 二次燃焼用空気制御装置
18 二次燃焼用空気ファン
19 排ガス処理設備
20 集塵機
21 排ガスファン
101 金属溶解炉
101A 金属溶解部
101B 予熱シャフト部
102 排ガス
103 排ガスシステム
104 隙間
105 排ガスダクト
106 排ガス燃焼塔
107 排ガスダクト
108 排ガス冷却帯
109 排ガスダクト
110 集塵機
111 排ガスダクト
112 排ガスファン

Claims (15)

  1. 金属溶解炉と気密に接続された排ガスダクトの入り側で、外気から取り入れた二次燃焼用空気を前記排ガスダクト中に吹き込み、二次燃焼用バーナにより、前記金属溶解炉からの金属の溶解時に発生する排ガスに含まれる未燃焼成分を安定して二次燃焼させる排ガス二次燃焼の安定化方法。
  2. 前記二次燃焼用空気を、前記排ガスダクトへ吹き込む前に、予熱する請求項1に記載の排ガス二次燃焼の安定化方法。
  3. 前記二次燃焼用空気の前記予熱を、前記排ガスとの熱交換により行う請求項2に記載の排ガス二次燃焼の安定化方法。
  4. 前記排ガスダクトが互いに接する排ガス流路と二次燃焼用空気流路からなっており、前記予熱が前記二次燃焼用空気を前記二次燃焼用空気流路の中を通過させることにより行われる請求項3に記載の排ガス二次燃焼の安定化方法。
  5. 前記二次燃焼空気を、150℃以上に予熱する請求項2から4の何れか1項に記載の排ガス二次燃焼の安定化方法。
  6. 前記二次燃焼用空気を、前記未燃焼成分の二次燃焼に最適な所定量に制御して、前記排ガスダクト中へ吹き込む請求項1に記載の排ガス二次燃焼の安定化方法。
  7. 前記二次燃焼用バーナの廻りに設置された複数の吹き込み口から、前記二次燃焼用空気を、前記排ガスダクト中へ分散して吹き込む請求項1の排ガス二次燃焼の安定方法。
  8. 下記の部材からなる排ガス二次燃焼装置。
    金属溶解炉に気密に接続された排ガスダクトと、
    前記排ガスダクトの入り側に設置された二次燃焼用バーナと、
    外気から取り入れた二次燃焼用空気を前記排ガスダクト中に吹き込む二次燃焼用空気吹き込み装置。
  9. 前記二次燃焼用空気を、前記排ガスダクト中へ吹き込む前に、予熱する予熱装置を更に備えた請求項8に記載の二次燃焼用空気予熱装置。
  10. 前記予熱装置が、前記二次燃焼用空気の予熱を、前記排ガスとの熱交換によって行うものである請求項9に記載の二次燃焼用空気予熱装置。
  11. 前記排ガスダクトが、互いに接する排ガス流路と二次燃焼用空気流路からなっている請求項10に記載の二次燃焼用空気予熱装置。
  12. 前記排ガス流路の内面が、耐火物張りとなっている請求項11に記載の二次燃焼空気予熱装置。
  13. 前記予熱装置が、前記二次燃焼用燃焼空気を150℃以上に予熱するものである請求項9から12の何れか1項に記載の二次燃焼用空気予熱装置。
  14. 前記二次燃焼空気を、所定の吹き込み量に制御する制御装置を更に備えている請求項8に記載の二次燃焼用空気吹き込み装置。
  15. 前記排ガスダクト上において、前記二次燃焼用バーナ廻りに設置された複数の燃焼用空気吹き込み口から、前記二次燃焼空気を分散して吹き込む分散吹き込み装置を更に備えている請求項8に記載の二次燃焼用空気吹き込み装置。
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