JP2004251389A - 能動型液封防振装置 - Google Patents

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Abstract

【目的】能動型液封防振装置におけるアーマチュアの進退動に伴う作動抵抗を減少させる。
【構成】エンジンマウント1を第1の取付部材2,第2の取付部材3,インシュレータ4で構成し、これらによって構成される主液室5の一部をアクチュエータ10にて形成し、アクチュエータ10を半没状にする。アクチュエータ10はソレノイドコイル11とアーマチュア12を備え、アーマチュア12は一端が主液室5内へ突出し、他端は開口9を介して大気開放下にある。アーマチュア12とソレノイドコイル11の間はシール13を設けて作動液の侵入をシールする。アーマチュア12の液室内側端部には、径方向外方へ突出する羽15を周方向へ所定間隔をもって設け、これを第2の取付部材3に支持された位置決めゴム16,17で位置決め支持する。ソレノイドコイル11に通電して励磁するとアーマチュア12は下方へ引かれて主液室5の容積を拡大して内液圧を変化させる。逆に消磁すると位置決めゴム16,17により図の上方へ移動して初期位置となる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は能動型液封防振装置に係り、特に作動抵抗を少なくしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
能動型液封防振装置は公知であり、液室の一部をゴム等の可動膜を介して浮動支持された加振板で構成し、この加振板をアクチュエータで加振するようになっている。アクチュエータは一般的にソレノイドで構成され、このソレノイドはコイルとその励磁又は消磁によって進退動するアーマチュアで構成され、このアーマチュアを加振板へ結合するようになっている。なお、この構成ではアクチュエータは液室の外部に設けられ、液室との間は可動膜によって仕切られかつシールされている。また、ソレノイドは一つ設けられ、励磁によってアーマチュアを引き下げ、消磁時にはリターンスプリングにて初期位置へ戻すプル型又は、逆の動作をするプッシュ型として構成されている(特許文献1参照)。
なお、プル型及びプッシュ型からなる2組のソレノイドを設けてリターンスプリングを省略したもの(特許文献2参照)及び大型の電磁石の両極間に振動板を移動自在に配置したものもある(特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−270719号
【特許文献2】特公平3−57343号
【特許文献3】特開2002−61702号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記加振板と可動膜を設ける形式の場合、アーマチュアは、可動膜を弾性変形させることにより加振板を動作させなければならないので、加振板及び可動膜の動作分だけ作動抵抗となり、ソレノイドをそれだけ大出力にしなければならない。しかし、このような大出力のソレノイドは大型かつ高価なものとなる。さらに上記加振板があるために、これとアーマチュアとを連結する工程が必要になり、その際に心出しが精度よく行われていないと、アーマチュアとベアリング間に横力が発生し、著しく作動性・耐久性を損なうことになる。しかし様々な構成部品・工程のバラツキを考慮すると、心出し精度を高めることは実質的に困難であり、心ずれを吸収できる別構造を新たに付加しなければならなくなり、構造が複雑かつ高価になる。
【0005】
また、アクチュエータを2組のソレノイドで構成するもの及び大型の電磁石の両極間で振動板を振動させるものは、いずれもアクチュエータ及び電磁石全体を液室内へ設けることになり、駆動部全体が作動液中に配置される(以下、全没という)ことになる。このとき振動板を挟んで片側の液体流動は液圧変動に関与するが、反対側の液体流動は液圧変動に関与せず、無駄な液体流動を生じさせることになる。このためこの無駄な液体流動分だけアクチュエータに余分な出力が要求され、それだけ大出力が必要になる。そこで本願発明は、このような余分な出力を少なくしてできるだけ小出力で必要な効果を得るようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願の能動型液封防振装置に係る請求項1は、振動源側へ取付けられる第1の取付部材と、振動受側へ取付けられる第2の取付部材と、これらの間に介在して振動を吸収するインシュレータと、これら第1の取付部材,第2の取付部材及びインシュレータの間に形成されて作動液が封入された液室と、少なくとも一部がこの液室外に設けられて液室の液圧を変化させるアクチュエータとを備えた能動型液封防振装置において、前記液室内を進退する出没部材を設け、この出没部材の一部を前記液室内の液中へ入れ、他の部分を液室外に出して前記アクチュエータにより駆動することにより、この出没部材の液中における進退動で液中部分の体積を変化させることによって前記液圧変化を生じさせるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2は上記請求項1において、前記出没部材と前記液室壁部との間に前記出没部材を摺動自在にするシールを設けたことを特徴とする
【0008】
請求項3は上記請求項1において、前記出没部材の前記液室外部分を大気開放下に置くことを特徴とする。
【0009】
請求項4は上記請求項1において、前記アクチュエータの一部が前記液室に直接臨んで液室の壁部を構成することを特徴とする。
【0010】
請求項5は上記請求項1において、前記出没部材の液中部分に対する位置決め手段を前記液室内に設けるとともに、この位置決め手段は前記出没部材の進退方向と直交する方向の平面内にて作動液の十分な流動を確保するための空隙を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6は上記請求項1において、前記アクチュエータがソレノイドであって、このソレノイドを構成するアーマチュアが前記出没部材であることを特徴とする。
【0012】
請求項7は上記請求項6において、前記アーマチュアの外周部から径方向外方へ突出する突部と、この突部をアーマチュアの進退方向両側から挟む位置決め弾性部材とによって位置決め手段を構成し、この位置決め手段により、前記アーマチュアの初期位置を決めることを特徴とする。
【0013】
請求項8は上記請求項7において、前記位置決め手段が前記アーマチュアの周囲へ周方向へ所定間隔で設けられ、隣り合う位置決め手段との間に作動液の十分な流動を確保するための空隙を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
請求項1によれば、液室内を進退する出没部材を設け、この出没部材の一部を液室内の液中へ入れ、他の部分を液室外に出してアクチュエータにより駆動すると、出没部材が進退動することにより液中部分の体積が変化するので、液室の容積が変化し、その結果、液圧変化を生じさせる。したがって、従来のように可動膜と加振板を介して液室の容積変化を生じさせる必要がなく、その分だけ作動抵抗が減少する。そのうえアクチュエータを全没させないので、不要な液体流動を招くことがなくなる。このため、アクチュエータに要求される出力を下げることができ、アクチュエータの小型化及びコストダウンが可能になる。さらに従来のような加振板が不要になるから、加振板をアーマチュア側と連結させるための複雑な締結構造及び作業が不要になる。また、加振板による心ずれも生じないから、特別な心ずれ吸収構造を付加しなくても心出し精度を高めることができ、作動性・耐久性を向上させることができる。
【0015】
請求項2によれば、出没部材と液室壁部との間をシールするとともに、このシールが出没部材へ液密に摺接するので、出没部材の液室に対する外部からの出没を可能にし、作動液が出没部材と液室壁部との間から漏れないように確実にシールできる。
【0016】
請求項3によれば、出没部材の液室外部分を大気開放下に置いたので、出没部材の進退動に際して空気による作動抵抗が生じず、出没部材の駆動力に対するロスが少なくなる。
【0017】
請求項4によれば、アクチュエータの一部を直接液室に臨ませたので、アクチュエータの一部が液室の壁部を構成する。したがって、従来のように可動膜等で液室とアクチュエータを仕切る必要がなく、構造を簡素化してかつ部品点数を削減できる。
【0018】
請求項5によれば、液室内に設けた位置決め手段により出没部材の初期位置を位置決めできる。しかも、位置決め手段は出没部材のの進退方向と直交する方向の平面内にて作動液の十分な流動を確保するための空隙を有するので、このような位置決め手段を液中に設けても防振性能に影響を与えないようにすることができる。
【0019】
請求項6によれば、アクチュエータをソレノイドとし、そのアーマチュアを出没部材としたので、ソレノイドの構造を利用して出没部材を設けることができ、しかも出力がより小さく、コンパクトかつ安価なソレノイドを使用することができるようになる。
【0020】
請求項7によれば、アーマチュアに径方向外方へ突出する突部を設け、この突部をアーマチュアの進退方向両側から挟む位置決め弾性部材を設けて位置決め手段を構成したので、位置決め弾性部材により突部を浮動支持して、アーマチュアの初期位置を決めることができる。
【0021】
請求項8によれば、位置決め手段をアーマチュアの周囲へ周方向所定間隔で設け、かつ隣り合う位置決め手段との間に作動液の十分な流動を確保するための空隙を設けたので、位置決め手段が液室を仕切らず、アーマチュアの進退動に伴う作動液が、突部及び位置決め弾性部材からなる位置決め手段の間をスムースに流動するため、このような位置決め手段を液中に設けてもアーマチュアによる液圧調整に影響を与えないようにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1において、エンジンマウント1は、第1の取付部材2,第2の取付部材3及びインシュレータ4を備える。第1の取付部材2は図示しないエンジン等の振動源側へ連結され、第2の取付部材3は同じく図示しない車体等の振動受側へ連結される。インシュレータ4は、ゴムからなる略円錐状をなす公知の防振ゴムである。但し、ゴム及び他のエラストマー等の適宜弾性材料からなる略円錐状をなす公知の弾性防振部材とすることができ、第1の取付部材2と第2の取付部材3の間を連結一体化する。
【0023】
第1の取付部材2,第2の取付部材3及びインシュレータ4に囲まれた内部に主液室5が形成され、ここに公知の非圧縮性液体が封入されている。第2の取付部材3は略カップ状をなし、上部の大径部6,下部の小径部7を有し、小径部7の内側に一体化されているカップ状部材8の底部には中央に開口9が設けられている。大径部6は主液室5の周囲を囲み、小径部7はそのカップ状部材8にアクチュエータ10を収容する。
【0024】
主液室5の底部は、小径部7に収容されたアクチュエータ10により構成される。アクチュエータ10は電磁式ソレノイドであり、外周部が小径部7に嵌合してシールされ、ソレノイドコイル11と、その中心を貫通する略棒状のアーマチュア12を備え、ソレノイドコイル11とアーマチュア12の間はシール13により密閉され、主液室5の作動液がソレノイドコイル11とアーマチュア12の間へ侵入しないようになっている。
【0025】
シール13はアーマチュア12を液密状態で摺動可能にしている。アクチュエータ10の上面は主液室5へ臨み、特にアーマチュア12の上半部側は液中に没している。したがってアクチュエータ10の全体は作動液に対して半没状態をなす。なお本実施形態の説明において上下とは、その表現時の対象図における図示状態を基準とする(以下同じ)。
【0026】
アーマチュア12は上部14がソレノイドコイル11の上面よりもさらに主液室5中へ突出し、その先端外周には径方向へ突出する羽15が設けられている。羽15は上下から位置決めゴム16,17で弾性的に支持され、初期位置を決定されている。アーマチュア12の上端部は凹曲面になっている。
【0027】
これらの位置決めゴムのうち、上側の位置決めゴム16は大径部6の内面から主液室5内へ突出形成された張り出し部18に固定され、下側の位置決めゴム17はアクチュエータ10の上面19に固定されている。
また、上側の位置決めゴム16は初期位置で圧縮され、下側の位置決めゴム17はソレノイドコイル11の励磁時に羽15で圧縮されるようになっている。
【0028】
アーマチュア12の下端側は、ソレノイドコイル11の中心に形成された貫通穴21を貫通し、下端部20は開口9近傍へ臨み、貫通穴21は開口9を通して大気開放されている。したがってアーマチュア12の下降時における貫通穴21内の余剰空気は速やかに大気中へ押し出され、このときの空気流動抵抗は開口9の設定により防振性能に殆ど影響がないようになっている。
【0029】
ソレノイドコイル11は制御手段22により、電流のオン・オフが行われ、電流がオンのとき、ソレノイドコイル11の励磁によりアーマチュア12を下方へ移動させて、主液室5の液圧を下げ、電流をオフすると位置決めゴム16,17により、アーマチュア12を上方の初期位置へ戻すプル型として構成されている。
【0030】
大径部6の内側には間隔を持って内側周壁23が設けられ、大径部6と内側周壁23の間に形成された空間内にはダイアフラム24が設けられ、その内周側に副液室25が形成されている。ダイアフラム24の外周側は大径部6に設けられた開口26により大気開放されている。なお、ダイアフラム24は周方向へ2分割して主液室5の中心を挟んで対照位置に設けられている。図1はエンジンマウント1の中心線を通る90°違いの断面図であり、図中左側はダイアフラム24の断面を示し、図中右側はダイアフラム24の端面を示す。
【0031】
内側周壁23の主液室5側となる内周面は、インシュレータ4から一体に薄肉で連続する筒状延長部27によって覆われ、さらにその内側に筒状のオリフィス部材28が設けられている。オリフィス部材28は樹脂や金属等の比較的剛性がある適宜材料からなり、筒状延長部27に面する外側面が開放され、かつ上下方向中間部はリング状の隔壁29で上下に仕切られ、上下の端部は外向きフランジ状をなしている。オリフィス部材28には径方向内側へ向かって突出する張り出し部18が一体に設けられている。
【0032】
オリフィス部材28は開放された外側面側を筒状延長部27へ重ねることにより、上下端部及び隔壁29をそれぞれ筒状延長部27へ密着させてシールすることにより、オリフィス部材28と筒状延長部27の間に環状で上下2段のオリフィス通路30を形成する。
【0033】
このオリフィス通路30の一端は、オリフィス部材28の上部に設けられた入り口31から主液室5へ連通し、他端は筒状延長部27及び内側周壁23の対応する各下部に設けられた出口32から副液室25と連通する。オリフィス通路30の共振特性は任意に設定されるが、例えば、比較的低周波数域の小振幅振動に対して高減衰となるダンピングオリフィス通路として設定できる。
【0034】
大径部6の下端は小径部7の上端に形成された外向きのフランジ33とカシメられて結合一体化している。フランジ33の上には支持リング34が重ねられ、内側周壁23の下端でフランジ33の上へ押し付けられて固定されている。支持リング34の内周側部分にはシール35が一体化されている。
【0035】
シール35は筒状延長部27と一体又は別体のゴム又は他のエラストマー等からなる弾性シール部材であり、断面略三角形で環状をなすように設けられ、その上部はオリフィス部材28の下端部と支持リング35の間に介在してオリフィス部材35の下部をシールする。また他の部分はアクチュエータ10の上面19に密着して、アクチュエータ10と小径部7の内面との間をシールする。
【0036】
アーマチュア12は、上下動することによりその上部が主液室5の内部を上下方向へ進退動し、その際の主液室内における体積変動によって、主液室5の作動液に内圧変動を起こさせる。したがって防振性能上十分な内圧変化を実現するためには、アーマチュア12の主液室内部分が十分な体積変動を実現できなければならない。このような体積変動の程度を表すものとして、アーマチュア面積比を考える。
【0037】
ここで、インシュレータ4を単位変位分変形させたときの液体移動量をシリンダー面積CSとする。すなわち液移動量cc/単位変位(mm)で与えられる。またアーマチュア12の上部14における表面積をASとしたとき、アーマチュア面積比を、シリンダー面積/アーマチュア表面積(CS/AS)と定義する。この比はインシュレータ4及びアーマチュア12がそれぞれ単位量変位したときにおける体積変化の比率を意味するから、アーマチュア12の主液室内部分における体積変動の程度を示すものである。
【0038】
このように定義したアーマチュア面積比(CS/AS)は、本実施形態の場合、1/3程度にすることが最も好ましい。この程度にすると主液室5において、比較的小さな加振力と変位で十分な内圧変化を実現することができる。但しこの比はアクチェータ10の出力性能に応じて変化させることができ、その範囲は20%〜60%程度であることが好ましい。下限値を下回れば、アーマチュア12の変位が大きく高周波側の制御が困難になる。上限値を上まわればアクチェータ10の駆動力が大きくなりすぎる等加振力のコストアップを招くことになる。
【0039】
図2は図1のA矢示方向から主液室5内を示す。本実施例において羽15は120°間隔で3個設けられ、それぞれ径方向外方へ突出している。羽15はアーマチュア12と一体に形成されている。但し別体に形成されたものを溶接等で一体化したものでもよい。また個数は任意に設定できる。
【0040】
張り出し部18も羽15に対応して120°間隔で3個設けられ、それぞれ径方向内方へ突出して先端側が羽15の先端部上に重なっている。位置決めゴム16は張り出し部18の羽15と重なる部分下面に一体化される。位置決めゴム17は図示状態で見えないが、下側に重なる位置に設けられて羽15の先端側上下を挟むようになっている。
【0041】
主液室5内の作動液は、周方向に隣り合う羽15及び張り出し部18の間隙36を通って流動可能である。このとき図示状態を各部の上方投影面積とみなし、オリフィス部材28とアーマチュア12の間に形成されるリング状空間面積に対して、羽15、張り出し部18及びシール35等の閉塞部面積を引いた空間部面積との比を空隙率と定義したとき、この空隙率の設定によってアーマチュア12による液圧調整に対する羽15等の移動による影響が生じないようにしすることができる。
【0042】
このような空隙率は、50〜90%程度であることが好ましい。最も好ましいのは略70%である。本実施形態では略70%の空隙率であり、この程度に大きな空隙率があれば、作動液の液室内流動においてアーマチュア12による液圧調整に影響が生じず、防振性能上に殆ど影響を与えない。なお、50%を下回れば内圧変動に対する影響が急激に増大する。また、羽15及び張り出し部18等を設けるため、空隙率を無制限には大きくできず、90%を上回ることは困難である。
【0043】
次に、本実施例の作用を説明する。ソレノイドコイル11に対する電流をオフにした、図1の状態において、アーマチュア12はソレノイドコイル11から比較的大きく上方へ突出している。この状態でエンジンマウント1の第1の取付部材2から入力される振動は、インシュレータ4の弾性変形により吸収される。
【0044】
次に、アクチュエータ10による能動的防振をすべき周波数の振動が入力すると、図示しないセンサー入力に基づき制御手段22がソレノイドコイル11へ電流を流してオン・オフし、主液室5の入力振動と同周波数かつ同位相でアーマチュア12を上下させる。したがって、アーマチュア12の上下動により主液室5の液圧が下げられ、これにより入力振動の第2の取付部材3側に対する伝達を小さくする。このような、防振すべき振動の周波数範囲は、自由に設定でき、例えばエンジンのアイドル域から発進域をカバーするようにしてもよい。
【0045】
このように、アーマチュア12の上下動により、アーマチュア12が直接主液室5の容積を変化させて主液室5の内圧変化を生じるようにすると、従来のように、アーマチュア12が別部材でリターンバネにより付勢された加振板及びこれを浮動支持する可動膜を介して主液室5の容積変動を生じさせていたものと異なり、加振板及び可動膜を移動並びに変形させずに直接液圧を変化させる分だけ駆動効率が増し、ソレノイドコイル11のロスが少なくなる。さらに従来のような加振板が不要になるから、加振板をアーマチュア側と連結させるための複雑な締結構造及び作業が不要になる。また、加振板による心ずれも生じないから、特別な心ずれ吸収構造を付加しなくても心出し精度を高めることができ、作動性・耐久性を向上させることができる。
【0046】
そのうえ、アクチュエータ10をソレノイドとしたので、ソレノイドの構造を利用してそのアーマチュア12を出没部材とすることができる。したがって特別に出没部材を設ける必要がなく、簡単に製造できる。またアクチュエータ10を全没することなく半没とし、駆動部であるソレノイドコイル11等は液室外に出したので、ソレノイドコイル11に対するシールが容易になり、実用化可能な構造になる。
【0047】
さらに、アーマチュア12が上下する貫通穴21の一端を開口9を介して大気開放したから、アーマチュア12の下降時における貫通穴21内の空気は速やかに開口9から大気中へ押し出され、アーマチュア12に対する空気抵抗を少なくする。ゆえに、アクチュエータ10に要求される出力を下げることができ、アクチュエータ10の小型化及びコストダウンが可能になる。
【0048】
また、アーマチュア12とソレノイドコイル11の間をシール13により摺動自在にシールすることにより、主液室5の作動液をアーマチュア12とソレノイドコイル11の間へ侵入させないようにできる。しかも、アーマチュア12は主液室5の壁部を構成するアクチュエータ10のソレノイドコイル11に対して作動液の漏れを防いで進退動できることになる。
【0049】
また、アクチュエータ10の上面19を主液室5に臨ませ、かつその一部であるアーマチュア12を液中へ突出させることによりアクチュエータ10を半没状態にしたので、従来のように液室とアクチュエータとの間を弾性の可動膜で仕切る必要がなくなる。このため、構造を簡素化してかつ部品点数を削減できる。
【0050】
さらに、アーマチュア12の外周に設けた羽15と、これを浮動支持するため主液室5内に設けた位置決めゴム16及び17により、アーマチュア12の初期位置を決定できる。そのうえ、位置決めゴム16及び17で羽15を上下から挟むだけの簡単な構造であり、従来の板バネやコイルスプリング等のリターンスプリングを省略できる。
【0051】
また、羽15、位置決めゴム16及び17並びに張り出し部材18を、アーマチュア12の進退方向と直交する方向の平面内であるアーマチュア12の周囲へ周方向所定間隔で設け、かつ隣り合う位置決め手段との間に作動液の十分な流動を確保するための空隙36を設けたので、位置決め手段が液室を仕切らず、アーマチュア12の進退動に伴う作動液が、位置決め手段の間をスムースに流動するため、このような位置決め手段を液中に設けてもアーマチュア12による液圧調整さらには防振性能に影響を与えず、正確な液圧調整を実現できる。
【0052】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されず種々に変形や応用が可能であり、例えば、アクチュエータはソレノイドに限らず、電動モータ、液圧もしくは空気圧を用いた駆動手段、さらには吸気負圧による駆動手段等公知のものを種々利用できる。
【0053】
また、出没部材はアーマチュア12に限らず、主液室5外から主液室5内へ出没する部材であればどのようなものでもよく、これを上記種々なアクチュエータで駆動させることができる。
【0054】
さらに、位置決め手段は、羽15と位置決めゴム16及び17の組合せからなるものばかりでなく、アーマチュア12へ羽を省略して、ゴム等の位置決め用弾性部材を一体化させてもよい。また別体のガイド部材で心出ししながらリターンスプリングで出没部材を初期位置へ戻すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る能動型液封防振装置の全体断面図
【図2】図1のA矢示方向図
【符号の説明】
1:エンジンマウント、2:第1の取付部材、3:第2の取付部材、4:インシュレータ、5:主液室、6:大径部、9:開口、10:アクチュエータ、11:ソレノイドコイル、12:アーマチュア、13:シール、15:羽、16:位置決めゴム,17:位置決めゴム

Claims (8)

  1. 振動源側へ取付けられる第1の取付部材と、振動受側へ取付けられる第2の取付部材と、これらの間に介在して振動を吸収するインシュレータと、これら第1の取付部材,第2の取付部材及びインシュレータの間に形成されて作動液が封入された液室と、少なくとも一部がこの液室外に設けられて液室の液圧を変化させるアクチュエータとを備えた能動型液封防振装置において、
    前記液室内を進退する出没部材を設け、この出没部材の一部を前記液室内の液中へ入れ、他の部分を液室外に出して前記アクチュエータにより駆動することにより、この出没部材の液中における進退動で液中部分の体積を変化させることによって前記液圧変化を生じさせるようにしたことを特徴とする能動型液封防振装置。
  2. 前記出没部材と前記液室壁部との間に前記出没部材を摺動自在にするシールを設けたことを特徴とする請求項1に記載した能動型液封防振装置。
  3. 前記出没部材の前記液室外部分を大気開放下に置くことを特徴とする請求項1に記載した能動型液封防振装置。
  4. 前記アクチュエータの一部が前記液室に直接臨んで液室の壁部を構成することを特徴とする請求項1に記載した能動型液封防振装置。
  5. 前記出没部材の液中部分に対する位置決め手段を前記液室内に設けるとともに、この位置決め手段は前記出没部材の進退方向と直交する方向の平面内にて作動液の十分な流動を確保するための空隙を有することを特徴とする請求項1に記載した能動型液封防振装置。
  6. 前記アクチュエータがソレノイドであって、このソレノイドを構成するアーマチュアが前記出没部材であることを特徴とする請求項1に記載した能動型液封防振装置。
  7. 前記アーマチュアの外周部から径方向外方へ突出する突部と、この突部をアーマチュアの進退方向両側から挟む位置決め弾性部材とによって位置決め手段を構成し、この位置決め手段により、前記アーマチュアの初期位置を決めることを特徴とする請求項6に記載した能動型液封防振装置。
  8. 前記位置決め手段は前記アーマチュアの周囲へ周方向へ所定間隔で設けられ、隣り合う位置決め手段との間に作動液の十分な流動を確保するための空隙を設けたことを特徴とする請求項7に記載した能動型液封防振装置。
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