JP2004251337A - 電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動モータ15の作動によりピストン38を移動して、一対の摩擦パッド3、4をディスクロータ1に押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキ71の摩擦パッド3、4の交換方法を、車両停止検出手段75により車両停止が検出され、車輪70の取り外し可能状態の検出手段73により車輪70が取り外し可能と判断された場合に、電動モータ15を逆転作動させてピストン38を、摩擦パッド3、4の交換が可能な位置に戻す工程とする。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車や自動二輪車等の各種車両に搭載され、電動モータの駆動力でピストンを移動させ、ディスクロータに摩擦パッドを押圧摺動して制動を行う電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法に係るものであり、該摩擦パッドの交換を容易に行う事を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−27907号公報
【0003】
従来、自動車や自動二輪車等の各種車両に於いて、上記特許文献1の発明の如く、ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、電動モータを正転作動させて、ピストンを摩擦パッド方向に前進させる事で、摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電動式ディスクブレーキが存在した。この制動時の良好な応答性を得るため、ディスクロータと摩擦パッドとの間には、所定距離のクリアランスが確保されている。また、このクリアランスの確保により、非制動時のブレーキの引摺りも抑制可能としている。
【0004】
そして、制動により摩擦パッドやディスクロータに摩耗等を生じると、この摩耗長さ分ピストンを前進させ、摩擦パッドをディスクロータに近接させて配置する事で、摩擦パッドとディスクロータとの適切なクリアランスを常に確保しようとしている。そのため、摩耗の進行した摩擦パッドでは、ディスクロータとピストンとの間隔が狭くなり、摩擦パッドの交換を行う場合、このピストンとディスクロータとの狭い間隔には新しい摩擦パッドを取り付ける事ができない。また、車両の停止中は、特にパーキング機構を設けたもの等では、摩擦パッドによるディスクロータの押圧状態が保持され、摩擦パッドにクランプ力が作用しているので、古い摩擦パッドの取り外しも容易ではない。そのため、摩擦パッドの交換時は、ピストンを後退させて、該ピストンとディスクロータとの間に、摩擦パッドが容易に交換可能な間隔を確保するとともに、摩擦パッドへのクランプ力を解除する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術の電気式ディスクブレーキは、車両の停車中はピストンの進退動を制御する電動モータを作動する事ができず、作業者がボールねじナット等を手動操作で何度も回動させてピストンを後退させる必要があり、作業効率が悪かった。更に、摩擦パッドの交換後には、先に外した部品やカバー等を再装着する等の手間もあった。
【0006】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、電気式ディスクブレーキの摩擦パッドを交換する際に、手動操作でピストンを後退させるような煩わしい手間や、摩擦パッド交換のための大がかりな装置や機構等を必要とする事がなく、車両における所定の動作の組み合わせや簡易なセンサ等からの信号により、摩擦パッドの交換指令とみなし、電動モータを逆転作動させて、摩擦パッドの交換が可能な位置にピストンを容易に戻す事を可能とするものである。このピストンの戻し操作により、ディスクロータとピストンとの間に、摩擦パッドの脱着が容易な間隔を確保するとともに、摩擦パッドにクランプ力を生じている場合は、そのクランプ力を解除する事で、摩擦パッドの交換を容易に行おうとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の如き課題を解決するため、ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、制御装置からの制御にて電動モータを作動させ、ピストンを摩擦パッド方向に移動して、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキに於いて、各車輪に車輪の取り外し可能状態の検出手段を設け、車両が停止状態である事を検出する車両停止検出手段により車両停止中が検出され、前記車輪の取り外し可能状態の検出手段により車輪が取り外し可能と判断された場合に、制御装置の制御により該当車輪の電気式ディスクブレーキの電動モータを逆転作動させて、ピストンを摩擦パッドの交換が可能な位置に戻す工程から成るものである。
【0008】
また、車輪の取り外し可能状態の検出手段は、車体から車輪に加わる荷重を検知する荷重センサとし、この荷重センサにより車輪に荷重が加わっていないと判断された場合に、車輪が取り外し可能であるとみなすものであっても良い。
【0009】
また、車輪の取り外し可能状態の検出手段は、車体から車輪に加わる荷重を車体と車輪との上下方向のストローク量として検知するストロークセンサとし、このストロークセンサのストローク量が所定量を超えた場合に、車輪が取り外し可能であるとみなすものであっても良い。
【0010】
また、車両停止検出手段は、イグニッションスイッチがOFFである事及び/又は車輪速度が所定値以下である事を検出して車両停止中としても良い。
【0011】
【作用】
本発明は上述の如く構成したものであり、制御装置の制御により、電気式ディスクブレーキでは、摩擦パッドやディスクロータに摩耗を生じると、その摩耗長さ分、ピストンとともに摩擦パッドをディスクロータ方向に前進させて、摩擦パッドとディスクロータとの間に常に所定距離のクリアランスを確保可能としている。そのため、摩擦パッドの交換時には、ディスクロータとピストンとの間隔が摩耗前と比べて狭くなり、ピストンを後退させて、ディスクロータとピストンとの間に摩擦パッドを容易に交換可能な間隔を確保する必要がある。また、車両の停車中は、特にパーキング機構等を設けた電気式ディスクブレーキの場合には、摩擦パッドがディスクロータに押し付けられ、制動状態が保持されている。この制動状態では、摩擦パッドにクランプ力が作用し、古い摩擦パッドの取り外しも困難となる。そこで、本発明の摩擦パッドの交換方法を用いる事により、ピストンを摩擦パッドの交換が可能な位置に戻すとともに、摩擦パッドのクランプ力を解除し、摩擦パッドの交換を容易に行う事ができる。
【0012】
その手順を説明すると、車輪に設けた荷重センサによりピストンの移動を制御する場合には、摩擦パッド交換の作業者は、車両を停止させた状態で、摩擦パッドを交換する車輪をジャッキアップし、当該車輪を取り外し可能状態とすると、その状態変化が車輪の取り外し可能状態の検出手段により制御装置に伝達される。そして、制御装置では、車両停止検出手段により車両停止中が検出され、前記車輪の取り外し可能状態の検出手段により車輪の取り外し可能状態を検出すると、摩擦パッドの交換要求が確定されたとし、制御装置は該当車輪の電気式ディスクブレーキに、電動モータの逆転作動指令を発信する。
【0013】
上記指令により、電動モータが逆転作動する事により、ピストンが摩擦パッドからの離間方向に後退し、該ピストンを摩擦パッドの交換が可能な所定の間隔を介した位置に移動させる事ができる。また、このピストンの移動操作により、摩擦パッドにクランプ力が生じていた場合は、そのクランプ力が解除される。従って、作業者は、当該車輪を取り外した後、摩擦パッドの交換を容易に行う事ができる。
【0014】
尚、車両停止検出手段により車両が走行中であると判断された場合は、車輪の取り外し可能状態の検出手段により車輪の取り外し可能状態が検出されても、制御装置によるピストンの移動動作は何等行われる事はない。そのため、悪路走行中に一つの車輪若しくは複数の車輪が浮き上がり、荷重が解除された場合でも、誤判定される事はない。
【0015】
また、電気式ディスクブレーキにパーキング機構を設けている場合は、上記摩擦パッドの交換処理工程に、パーキング機構を解除する工程や摩擦パッドの交換後にパーキング機構を再び作動させる工程を組み込んでも良い。また、摩擦パッドの交換後には、例えば車輪の取り外し可能状態の検出手段により車輪の装着を検出した際や、イグニッションスイッチをONとした後等に、摩擦パッドとディスクロータとのパッドクリアランス調整等を行って、ピストンの移動によるクリアランス過大を抑制するようにしても良い。
【0016】
また、車輪の取り外し可能状態の検出手段は、従来公知の何れのものであっても良いが、摩擦パッドの交換を行うために当該車輪の取り外しを行う際は、通常は当該車輪をジャッキアップする事を利用して、車輪の取り外し可能状態の検出手段を車体から車輪に加わる荷重を検知する荷重センサとし、この荷重センサを各車輪のサスペンションに取り付け、荷重センサにより車輪に荷重が加わっていないと判断された場合に、車輪が取り外し可能となったとみなすものであっても良い。この荷重センサを用いる場合は、車両を停止させた状態で、摩擦パッドを交換する車輪をジャッキアップする事により、車体から当該車輪のサスペンションに加わる荷重が解除され、この荷重の変化が制御装置に伝達される。従って、車両の停止検出手段により車両の停止が検知された状態において車輪の荷重の変化を受信した際に、当該車輪の電動モータを逆転作動して、摩擦パッドの交換が可能な位置までピストンを後退させるように制御装置のシステムを設定する。
【0017】
また、他の異なる例として、車輪の取り外し可能状態の検出手段は車体から車輪に加わる荷重を車体と車輪との上下方向のストローク量として検知するストロークセンサとし、このストロークセンサのストローク量が所定量を超えた場合に、車輪が取り外し可能であるとみなすものであっても良い。このストロークセンサは、例えば光学式センサ、電波センサ、音波センサ等により、サスペンションのばねの伸縮状態をストローク量として検出するものとすれば、通常時は車体から加わる荷重により、サスペンションのばねが収縮しているが、摩擦パッドの交換のため、車輪をジャッキアップすると、車体からサスペンションに掛る荷重が解除され、ばねが伸張してストロークセンサで検出されるストローク量が大きくなる。従って、ジャッキアップが完了しストロークセンサによるストローク量が所定量を超えた場合に、車輪の取り外し可能状態とみなす事ができる。
【0018】
また、車両停止検出手段は、車両が停止である事を検出可能であれば、従来公知の何れの手段で行っても良く、例えばイグニッションスイッチがOFFである事で車両停止中と判断しても良いし、車輪に車輪速センサ等を設置して、車輪速度が所定値以下である事を検出して車両停止中と判断しても良い。また、イグニッションスイッチがOFFで、且つ車輪速度が所定値以下である事を検出して車両停止中と判断するものであっても良い。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の摩擦パッドの交換方法を実施する電気式ディスクブレーキの一例を、図面に於いて詳細に説明する。図1は、4つの各車輪に電気式ディスクブレーキを備えた自動車のシステム構成図である。図2は一実施例の電気式ディスクブレーキの横断面図である。図3は図4のA−A線断面図である。図4は図2のバックプレート付近の拡大断面図である。図5は本実施例の摩擦パッドの交換処理の工程を示すフローチャートである。図6は図5に於ける摩擦パッド交換モードの詳細フローチャートである。図7は図5に於けるパッドクリアランス調整モードの詳細フローチャートである。
【0020】
上記図1のシステム図に示す如く、4つの車輪(70)に各々設けた電気式ディスクブレーキ(71)は、摩擦パッドのクランプ力を検出するクランプ力センサ(48)、ピストンの移動量を検出する回転角センサ(19)、車輪(70)速度を検出する車輪速センサ(75)等を備え、これらからのデータ等を基に、車両に内蔵の制御装置(ECU)(72)により電気式ディスクブレーキ(71)の作動が制御されている。また、各車輪(70)には、当該車輪(70)の取り外し可能状態を検出する検出手段が設けられ、本発明の摩擦パッドの交換方法では、後述の車両停止検出手段により車両の停止中が検出された状態で、前記車輪(70)の取り外し可能状態の検出手段により車輪(70)の取り外し可能状態となった事を検出すると、制御装置(72)が電動モータ(15)を逆転作動して、ピストンを摩擦パッドの交換が可能な位置に戻すものである。
【0021】
本実施例では、車両停止検出手段として、前記車輪速センサ(75)により車輪(70)速度が所定値以下となり、且つイグニッションスイッチがOFFである事を検出した場合に車両停止中であると判断している。また、車輪(70)の取り外し可能状態の検出手段として、各車輪(70)のサスペンションに荷重センサ(73)を設けて車体から車輪(70)に加わる荷重を監視し、この荷重センサ(73)での検出値が所定値以下となった場合に車輪(70)に荷重が加わっていないと判断して、車輪(70)の取り外しが可能となったとみなし、制御装置(72)での制御を開始するものとしている。また、本実施例では、摩擦パッドの交換工程に、ピストンを後退させて摩擦パッドを手動で交換する摩擦パッド交換モードと、その交換後の摩擦パッドのクリアランス調整モードを工程に組み込んでいる。
【0022】
上記電気式ディスクブレーキ(71)の一実施例を、図2〜図4にて説明すれば、(1)は自動車の車輪(70)に接続して一体に回動するディスクロータで、両側の摩擦面(2)に臨ませて、図2に示す如く、タイヤホイール(5)の内側に於いて、一対の摩擦パッド(3)(4)を配置している。また、前記ディスクロータ(1)に臨ませて、車両本体にブラケット(6)を固定し、この固定側からディスクロータ(1)の外周を跨いで反対側に掛けて突設したキャリパ支持腕(7)に、前記摩擦パッド(3)(4)を摺動可能に配置している。
【0023】
また、前記ブラケット(6)のキャリパ支持腕(7)に、摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付けるキャリパボディ(8)を、図3に示す如く、一対のスライドピン(9)を介して進退可能に連結している。このキャリパボディ(8)は、図2に示す如く、ディスクロータ(1)を挟んで、一方の摩擦パッド(3)の背面に配置する作用部(10)と、他方の摩擦パッド(4)の背面に配置する反力爪(11)を設けた反作用部(12)と、ディスクロータ(1)の外周を跨いで作用部(10)及び反作用部(12)とを連結するブリッジ部(13)とで構成されている。
【0024】
そして、前記作用部(10)は、図2に示す如く、シリンダ(14)内に、ブラシレス型の電動モータ(15)と、摩擦パッド(3)(4)の押圧力を発生させる本発明のピストンとしてのボールねじ機構(16)と、このボールねじ機構(16)に電動モータ(15)の駆動力を減速して伝達する減速ギア機構(17)とを収納している。この減速ギア機構(17)は、電動モータ(15)の駆動力により回動可能な遊星腕(18)と、この遊星腕(18)に回動可能に軸支した遊星歯車(23)と、この遊星歯車(23)を回動させる太陽歯車(26)とから構成されている。
【0025】
前記遊星腕(18)は、前記電動モータ(15)の回転子として作用するマグネット(39)を外周に配置した円筒状の円筒部(20)と、摩擦パッド(3)とは反対側の後部に設け、円筒部(20)よりも径大な径大部(21)とから成り、電動モータ(15)の駆動力により、軸受部(57)を介してシリンダ(14)内を回動可能としている。そして、径大部(21)の外周三ヶ所に、等間隔で遊星歯車(23)を回動可能に軸支し、図2、図3に示す如く、各遊星歯車(23)を、径大部(21)外周に開口した切欠部(22)から外部に突出させている。また、径大部(21)は、図3に示す如く、隣接する遊星歯車(23)間の外周を三角形状にカットして、遊星腕(18)の軽量化を図るとともに、後述の回転角センサ(19)のロータとしての使用を可能としている。
【0026】
また、遊星歯車(23)は、第1歯車部(24)と、この第1歯車部(24)よりも歯数の少ない第2歯車部(25)とを、軸方向の前後に分離して一体に形成し、前記第1歯車部(24)を、キャリパボディ(8)に回動不能に固定された太陽歯車(26)に噛合し、この太陽歯車(26)により遊星歯車(23)の回動を可能としている。
【0027】
また、上記太陽歯車(26)の固定は、図2、図4に示す如く、キャリパボディ(8)の後部に配置したバックプレート(27)に、等間隔で挿通穴(29)を複数開口し、各挿通穴(29)に挿通した固定ピン(28)を、太陽歯車(26)の背面に凹設した固定穴(30)に挿入する事により行っている。前記固定ピン(28)は、バックプレート(27)の装着孔(32)に装着したキャップ(33)にて頭部を押圧され、固定穴(30)への挿入状態が保たれている。そして、キャップ(33)を外すと、固定ピン(28)の頭部とバックプレート(27)間に装着した押圧発条(31)の付勢力により、固定ピン(28)が固定穴(30)から離脱し、太陽歯車(26)の固定が解除可能となる。
【0028】
そして、前記遊星腕(18)内に、軸受部(58)を介してボールねじ機構(16)のボールねじナット(34)を、回動可能で進退動不能に収納している。このボールねじナット(34)は、遊星腕(18)の径大部(21)側に配置した後端外周に、太陽歯車(26)よりも歯数の少ない減速歯車(35)を固定している。この減速歯車(35)を、前記遊星歯車(23)の第2歯車部(25)に噛合し、遊星歯車(23)の回動によってボールねじナット(34)の回動を可能としている。
【0029】
また、ボールねじナット(34)は、中央に設けたボール溝(36)に、複数のボール(37)を介してピストンであるボールねじ軸(38)を進退動可能に螺着している。このボールねじ軸(38)は、ボールねじナット(34)の回転量に応じて摩擦パッド(3)方向に前進し、摩擦パッド(3)をディスクロータ(1)に押圧摺動可能としている。また、電動モータ(15)を逆転作動して、ボールねじ軸(38)を摩擦パッド(3)の離間方向に後退させる事により、摩擦パッド(3)(4)のディスクロータ(1)への押圧を解除可能である。
【0030】
また、ボールねじ軸(38)は、ボールねじナット(34)に接続した減速歯車(35)側の後端に、通常はOFF状態であるが荷重が加わる事によりONとなる停止スイッチ(53)を接続している。そして、前記ボールねじ軸(38)の後退の際に、ボールねじ軸(38)の後端が、前記減速歯車(35)内面の突当部(52)に突き当たる事により、停止スイッチ(53)がON状態となり、その信号が伝達される事により、制御装置(72)ではボールねじ軸(38)が限界まで後退した事を認識し、該制御装置(72)の制御により電動モータ(15)の作動が停止され、ボールねじ軸(38)の後退が停止される。このように、停止スイッチ(53)の信号により、ボールねじ軸(38)が限界まで後退した時点で直ちに電動モータ(15)を停止させる事により、該電動モータ(15)の電流値の過度な上昇を防止可能となるとともに、ボールねじ軸(38)、ボールねじナット(34)、その他の回動部材に加わる衝撃や剪断力を小さくして、装置の耐久性を向上させる事ができる。
【0031】
また、前記ボールねじ軸(38)は先端に、摩擦パッド(3)の押圧部材として、平板状のパッド押圧板(40)を互いに分離不能に接続している。このパッド押圧板(40)にて、摩擦パッド(3)を、広い面積で一部に押圧力を集中する事なく押圧して、ディスクロータ(1)に平行に押し付け可能としている。
【0032】
上記ボールねじ軸(38)とパッド押圧板(40)との接続は、図2に示す如く、ボールねじ軸(38)の内部を貫通形成して中空部(41)を設け、この中空部(41)内から、パッド押圧板(40)の背面に凹設した袋穴状の取付穴(43)に、取付ねじ(42)を螺着して行うものである。このような構成とする事により、パッド押圧板(40)とボールねじ軸(38)の接続部からのシリンダ(14)内への塵埃や水分の侵入も抑制している。また、このようにパッド押圧板(40)とボールねじ軸(38)との接続を、キャリパボディ(8)の後部側から行う事ができるので、組み付け性やメンテナンス性も向上するものである。
【0033】
また、上記パッド押圧板(40)の外周とシリンダ(14)の内周との間に、伸縮可能なダストシール(47)を接続して、シリンダ(14)の開口部(45)を閉塞し、シリンダ(14)内への塵埃や水分、小石等の侵入を抑制可能としている。
【0034】
また、図2に示す如く、ボールねじ軸(38)の摩擦パッド(3)側の先端にクランプ力センサ(48)を設けて、摩擦パッド(3)に掛かるクランプ力を検知し、その測定値を制御装置(72)に伝達可能としている。該クランプ力センサ(48)と制御装置(72)とを接続するハーネス(50)を、図2、図4に示す如く、ボールねじ軸(38)の中空部(41)に挿通させている。そして、図2に示す如く、ハーネス(50)を引張り発条(51)にて引張り付勢し、弛み部分を常に中空部(41)に配置して、中空部(41)の外ではハーネス(50)が常に張った状態となるようにしている。
【0035】
そのため、ボールねじ軸(38)が摩擦パッド(3)方向に前進して、ハーネス(50)に引張り力が加わっても、引張り発条(51)が伸張するので、ハーネス(50)が切断されたり、ボールねじ軸(38)の前進が阻害される事はない。また、ボールねじ軸(38)が後退すると、引張り発条(51)が復元収縮するので、ハーネス(50)が中空部(41)以外の位置で弛む事はなく、ハーネス(50)が部材間に絡まる等の不具合を抑制できる。また、図示はしないが、ボールねじ軸(38)の後退の限界を感知するための停止スイッチ(53)も、ハーネス(図示せず)を介して制御装置(72)と接続され、該ハーネスを中空部(41)の挿通させ、切断や弛み等の不具合を抑制している。
【0036】
また、キャリパボディ(8)には、遊星腕(18)の回転角を検出する回転角センサ(19)を設けている。この回転角センサ(19)で検出した回転角により、制御装置(72)では、ボールねじ軸(38)の移動量を演算したり、ブラシレス型の電動モータ(15)の駆動を制御している。
【0037】
上記回転角センサ(19)は、図2、図4に示す如く、シリンダ(14)の内周面に、遊星腕(18)の三角形状の径大部(21)の外周に臨ませて、磁気コイルを円周状に配置してステータとし、遊星腕(18)の径大部(21)をロータとした構成である。この三角形状の径大部(21)が回転角センサ(19)の内周を回動する事により、波形の出力電圧を発生するので、遊星腕(18)の回転角を検知可能となるものである。このように、遊星腕(18)の径大部(21)をロータとして兼用できるので、遊星腕(18)とは別個に回転角センサ(19)用のロータを設ける必要がなく、部品点数や組み付け工数の増加を防ぐ事ができる。
【0038】
更に、本実施例では、図2、図4に示す如く、遊星腕(18)の径大部(21)の後端面に臨ませて、前記バックプレート(27)に、パーキング機構のソレノイド(54)を設けている。そして、車両の駐車時に、摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付けて制動を行った状態でソレノイド(54)を作動すると、このソレノイド(54)に突設した係止ピン(55)が、遊星腕(18)の径大部(21)端面に設けた係止穴(56)に係合する。この係合により、遊星腕(18)が回動不能に固定され、パーキング時の電気式ディスクブレーキ(71)による制動を維持する事ができる。
【0039】
また、バックプレート(27)外周には、Oリング(60)を介して被覆カバー(44)を装着し、複数の固定ねじ(59)で固定している。この被覆カバー(44)により、ソレノイド(54)やバックプレート(27)、その他を外的衝撃から保護するとともに、シリンダ(14)内のバックプレート(27)側のシール性も高めている。
【0040】
また、キャリパボディ(8)は、電動モータ(15)の摩擦パッド(3)側と減速ギア機構(17)側で3分割可能に形成し、各パーツ間に、図2、図4に示す如く、キャリパボディ(8)よりも熱伝導率の低い断熱材製の断熱リング部材(46)を挿入配置している。この断熱リング部材(46)の断熱効果により、摩擦パッド(3)(4)の制動熱が、キャリパボディ(8)の外表面を介して電動モータ(15)や減速ギア機構(17)に伝達されたり、電動モータ(15)の駆動熱が、減速ギア機構(17)に伝達されるのを抑制する事ができる。
【0041】
尚、前記断熱リング部材(46)は、キャリパボディ(8)の本体を分割形成して、各パーツ間に挿入配置しているので、キャリパボディ内部の部品に設ける場合と比較して、組み付けが容易であり、生産性に影響を与える事はない。また、分割形成によりキャリパボディ(8)の内部への各種部品の組み付け性やメンテナンス性も向上するものとなる。
【0042】
次に、上記電気式ディスクブレーキ(71)での制動の作用を説明する。車両の走行時にドライバがブレーキペダル(74)を踏み込んで制動操作を行うと、この踏み込み量に応じて電動モータ(15)が正転作動し、遊星腕(18)がシリンダ(14)内を回動する。この遊星腕(18)の回動により、径大部(21)に軸支され、太陽歯車(26)に第1歯車部(24)を噛合する遊星歯車(23)が、太陽歯車(26)の外周を回動する。この遊星歯車(23)の回動により、第2歯車部(25)に減速歯車(35)を噛合するボールねじナット(34)が回動される。
【0043】
そして、ボールねじ機構(16)の作用により、回動力がボールねじ軸(38)の前進力に変換され、パッド押圧板(40)を介して作用部(10)側の摩擦パッド(3)を押圧摺動し、ディスクロータ(1)に押し付ける。更に、ボールねじ軸(38)の前進の反力で、キャリパボディ(8)が後退し、反作用部(12)の反力爪(11)が、反作用部(12)側の摩擦パッド(4)を押圧摺動し、ディスクロータ(1)に押し付ける事により、制動が行われる。
【0044】
そして、ドライバがブレーキペダル(74)の踏み込みを解除すると、電動モータ(15)が逆転作動して遊星腕(18)が逆回転し、遊星歯車(23)を介してボールねじナット(34)が、先の回転とは逆方向に回転するので、ボールねじ軸(38)が後退し、摩擦パッド(3)の押圧が解除される。また、このボールねじ軸(38)後退の反力により、キャリパボディ(8)も復元方向に摺動し、反作用部(12)側の摩擦パッド(4)の押圧が解除されるので、制動が解除されるものである。
【0045】
次に、上記制動操作等により、摩擦パッド(3)(4)に摩耗等を生じた場合における、摩擦パッド(3)(4)の交換方法を図5〜図7に示すフローチャートを用いて説明する。まず、作業者は車両を停止させ、イグニッションスイッチをOFFとする。次に、作業者が、摩擦パッド(3)(4)の交換対象車輪(70)をジャッキアップすると、当該車輪(70)に加わる車体からの荷重が解除され、荷重センサ(73)での検出値が所定値以下となる。この状態で当該車輪(70)の取り外しが可能であると判断される。
【0046】
上記作業者の操作により、図5に示す如く、制御装置(72)では、車輪速センサ(75)にて車輪速度が所定値以下である事を検出し(ステップS100)、イグニッションスイッチOFFである事を検出して(ステップS200)、車両の停止中を確認した上で、何れかの車輪(70)に設けた荷重センサ(73)により車輪(70)への荷重が加わっていない事を検出すると(ステップS300 荷重センサの荷重値≦所定値の検出)、ステップS400の摩擦パッド交換モードを実行する。尚、車輪(70)速度が所定値より速かったり、イグニッションスイッチがONであった場合には、何れかの車輪(70)の荷重センサ(73)にて荷重値≦所定値が検出されても、以降の摩擦パッド交換処理工程は、何等実施される事はない。そのため、悪路走行中に何れかの車輪(70)が浮き上がり、荷重が解除された場合でも誤判定される事はない。
【0047】
上記ステップS400の摩擦パッド交換モードは、図6のフローチャートに示す如く、まずステップS401で、摩擦パッド(3)(4)を行う対象となる車輪(70)の選択を行う。この選択対象の車輪(70)とは、前記ステップS300で荷重≦所定値を検出した車輪(70)であり、ジャッキアップの状況により、一輪のみの場合もあるし、前輪側や後輪側の二輪であったり、全輪が対象となる場合もある。そして、この情報を基に、制御装置(72)は、対象車輪(70)の電気式ディスクブレーキ(71)に対して、ステップS402以降の動作を行う。
【0048】
まず、ステップS402に示す如く、摩擦パッド(3)(4)交換の対象車輪(70)がパーキング機構付きの場合、その解除作業が行われる。本実施例の電気式ディスクブレーキ(71)では、図4に示す如く、ソレノイド(54)の係止ピン(55)と、遊星腕(18)の係止穴(56)との係合によるパーキング機構を設けているので、該係止ピン(55)の係止穴(56)への係合を解除する事により、パーキング機構を解除する事ができる。尚、パーキング機能を備えていない電気式ディスクブレーキ(71)の場合は、ステップS402をスキップする事ができる。
【0049】
次に、制御装置(72)は、ステップS403に示す如く、当該車輪(70)の電気式ディスクブレーキ(71)の電動モータ(15)の逆転作動を開始して、減速ギア機構(17)を制動の解除方向に回動させ、ボールねじ機構(16)のボールねじ軸(38)を減速歯車(35)方向に後退させる。この電動モータ(15)の逆転作動は、一定の低回転にて行うようにし、ボールねじ軸(38)が急激に後退する事がないようにする。そして、次のステップS404にてピストンの戻しの限界を検出したら、ステップS405により電動モータ(15)の作動が停止される。
【0050】
上記S404におけるピストンの戻しの限界の検出、即ちボールねじ軸(38)の戻しの限界の検出は、ボールねじ軸(38)の停止スイッチ(53)の制御により行われる。まず、ボールねじ軸(38)が後退し、減速歯車(35)の突当部(52)に突き当たると、ボールねじ軸(38)の後端に設けた停止スイッチ(53)に荷重が加わって、該停止スイッチ(53)がONとなる。このON信号を制御装置(72)が感知する事で、電動モータ(15)の逆転作動が停止され、それに伴ってボールねじ軸(38)の後退も停止される。このように停止スイッチ(53)からの信号により、ボールねじ軸(38)の後退の限界を検出し、制御装置(72)が直ちに電動モータ(15)の作動を停止(ステップS405)する事により、電流値の過剰な上昇による電動モータ(15)の焼き付け等を抑制可能となる。また、電動モータ(15)を一定の低速度にて逆転させているので、ボールねじ軸(38)の突当部(52)への突当たり時の衝撃や回動部品に加わる剪断力等を小さく抑える事ができ、ボールねじ機構(16)の部品等の耐久性を向上させる事ができる。
【0051】
上述の如くボールねじ軸(38)が限界まで後退する事により、作用部(10)側の摩擦パッド(3)のクランプ力が解除されるとともに、ボールねじ軸(38)とディスクロータ(1)との間に、摩耗の無い新しい摩擦パッド(3)を容易に装着可能な広い間隔が確保される。また、ボールねじ軸(38)の後退の反力で、キャリパボディ(8)が後退し、反作用部(12)側の摩擦パッド(4)のクランプ力も解除される。従って、一対の摩擦パッド(3)(4)を、人手で容易に取り外し、新しい製品と交換する事ができる(ステップS406)。
【0052】
上記摩擦パッド交換モード(ステップS400)が終了した状態では、ボールねじ軸(38)が最後端まで後退しているので、摩擦パッド(3)(4)とディスクロータ(1)とのクリアランスが過大となり、制動時の応答性に影響を及ぼす虞があるため、本実施例では、図5に示す如く、ステップS500、S600の工程により、交換後の摩擦パッド(3)(4)のパッドクリアランス調整を行っている。まず、車輪(70)の装着後にジャッキアップが解除されると、当該車輪(70)に荷重が加わった事を検出し(ステップS500の荷重センサの荷重値>所定値の検出)、制御装置(72)はステップS600のパッドクリアランス調整コマンドを実行する。
【0053】
このステップS600のパッドクリアランス調整モードでは、図7に示す如く、まずステップS601にて対象車輪(70)の選択を行う。この場合、先のS300で荷重値≦所定値を検出した車輪(70)のみを選択しても良いし、摩擦パッド(3)(4)の交換の有無に関わらず全ての車輪(70)を選択しても良い。そして、制御装置(72)では、該当する車輪(70)の電気式ディスクブレーキ(71)に対して、ステップS602の電動モータ(15)の正転作動を開始する。この正転作動により、ボールねじ軸(38)を前進させて、摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押圧摺動させる。この電動モータ(15)の正転作動時も、一定の低速度で作動させる事により、摩擦パッド(3)(4)に過剰なクランプ力が加わらないようにする。また、電動モータ(15)の正転作動による摩擦パッド(3)(4)の押圧摺動は、該摩擦パッド(3)(4)に所定のクランプ力が生じるまで行う。
【0054】
上記クランプ力の検出は、クランプ力センサ(48)から出力されるデータを基に行うもので、制御装置(72)は、ステップS603に示す如く、予め設定した所定のクランプ力を検出すると、ステップS604において、電動モータ(15)の正転作動を停止し、次に一定の低速度で電動モータ(15)の逆転作動を開始する。この電動モータ(15)の逆転作動により、ボールねじ軸(38)が後退し、摩擦パッド(3)(4)のクランプ力が徐々に低下していく。そして、制御装置(72)は、ステップS605でクランプ力センサ(48)によりクランプ力”0”を検出すると、次のステップS606の如く、このクランプ力”0”位置から更に、予め設定した回転数分、電動モータ(15)を逆転作動させ、ボールねじ軸(38)を一定距離で後退させる。前記電動モータ(15)の回転数は、前記回転角センサ(19)にて検出される遊星腕(18)の回転角を基に判断される。そして、この所定の回転数分、電動モータ(15)の逆転作動が行われると、電動モータ(15)が停止される(ステップS607)。
【0055】
上述のステップS605〜S607の処理工程で示す如く、摩擦パッド(3)(4)へのクランプ力が”0”となった位置から一定距離でボールねじ軸(38)を後退させる事により、摩擦パッド(3)(4)とディスクロータ(1)との間に、所定距離のクリアランスが確保され、ブレーキの引摺りを抑制する事が可能となるとともに、制動時には良好な応答性が得られるものとなる。また、このパッドクリアランス調整によるボールねじ軸(38)の位置を初期値として、制動時及び制動解除時のボールねじ軸(38)の進退動が制御されたり、摩擦パッド(3)(4)やディスクロータ(1)に摩耗等を生じた際にボールねじ軸(38)を前進する等の調整が行われ、その移動量検出も高精度に行われるものとなる。
【0056】
次に、電気式ディスクブレーキ(71)がパーキング機構付きの場合は、ステップS608のパーキング機構の作動を行う。このステップS608のパーキング機構の作動は、本実施例では電動モータ(15)を正転作動して、ボールねじ軸(38)を前進させ、所定のクランプ力を生じるまで摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押圧摺動させて行う。この摩擦パッド(3)(4)によるディスクロータ(1)の制動状態で、パーキング機構のソレノイド(54)を作動させると、係止ピン(55)が遊星腕(18)の端面に設けた係止穴(56)に係合する。この係合により、遊星腕(18)が回動不能に固定され、制動を維持する事ができる。また、このパーキング機構の作動時のボールねじ軸(38)の前進も、先のパッドクリアランス調整で設定されたボールねじ軸(38)の初期位置を基準に行われるので、所定のクランプ力で摩擦パッド(3)(4)をディスクロータ(1)に押し付ける事ができ、パーキング機構の性能を高める事ができる。
【0057】
上記全ての工程の実施により、本実施例の摩擦パッドの交換処理が完了する。本発明の摩擦パッドの交換方法では、作業者は車両を停止させ、イグニッションスイッチをOFF状態とし、摩擦パッド(3)(4)の交換を行う対象車輪(70)をジャッキアップして車輪(70)の荷重を解除するだけで、制御装置(72)の制御により、当該車輪(70)の電気式ディスクブレーキ(71)の電動モータ(15)が逆転作動する。この電動モータ(15)の逆転作動により、ピストン即ちボールねじ軸(38)を摩擦パッド(3)(4)の交換が可能な位置に戻す事ができ、摩擦パッド(3)(4)のクランプ力も解除可能となる。従って、摩擦パッド(3)(4)交換のための特別な装置等を必要とせず、更に手動でボールねじナットを回動させてピストンを戻す手間がなく、摩擦パッド(3)(4)の交換を容易に行う事ができる。
【0058】
また、上記実施例では、車輪(70)の設けた荷重センサ(73)からの信号により、摩擦パッド交換処理を開始するものとしているが、車輪(70)の取り外し可能状態を検出して制御装置(72)に伝達する事が可能であれば、他の何れの手段を用いても良い。他の異なる実施例として、各車輪(70)にサスペンションのばねの伸縮状態をストローク量として検出するストロークセンサを設け、このストロークセンサで検出するストローク量が所定量を超えた場合、即ち車体からの荷重により収縮していたサスペンションのばねが、車輪(70)のジャッキアップにより伸張状態となった事を検出する事により、車輪(70)が取り外し可能状態となったとみなす事ができる。又は、前記荷重センサ(73)とストロークセンサの双方を備え、少なくとも何れか一方からの情報により車輪(70)の取り外し可能状態を検出して、摩擦パッドの交換処理を開始する冗長系のシステムとしても良い。
【0059】
また、本発明は、図2〜図4に示す如き電気式ディスクブレーキに限らず、摩擦パッドを電動モータの作動で進退動する従来公知の何れの電気式ディスクブレーキでも実施する事ができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであるから、車両の停止中に、摩擦パッドの交換対象の車輪をジャッキアップして車輪への荷重を解除する等の方法で、摩擦パッドの交換対象の車輪が取り外し可能状態であると判断する事により、これらの状態を検出した制御装置が、当該車輪の電気式ディスクブレーキに対して電動モータを逆転作動しピストンを後退させ、該ピストンを摩擦パッドの交換が可能な位置に移動させる事が可能となる。このピストンの移動により、摩擦パッドへのクランプ力を解除する事ができるとともに、ディスクロータとピストンとの間に、摩擦パッドの脱着を容易に可能な間隔を介在させる事ができる。また、ピストンを戻すための特別な装置を設ける必要がなく、装置の簡易化が可能となるとともに、手動でピストンを後退させるような煩わしい作業がなく、摩擦パッドの交換を容易に行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電気式ディスクブレーキを設けた車両のシステム構成図。
【図2】本発明の一実施例の電気式ディスクブレーキの横断面図。
【図3】図4のA−A線断面図で、太陽歯車の固定部材とハーネスとを省略したものである。
【図4】図2のバックプレート側の部分拡大断面図。
【図5】摩擦パッドの交換処理のフローチャート。
【図6】摩擦パッド交換モードのフローチャート。
【図7】パッドクリアランス調整モードのフローチャート。
【符号の説明】
1 ディスクロータ
3 摩擦パッド
4 摩擦パッド
15 電動モータ
38 ボールねじ軸(本発明のピストン)
70 車輪
72 制御装置
73 荷重センサ(本発明の車輪の取り外し可能状態の検出手段)
75 車輪速センサ(本発明の車両停止検出手段)
Claims (4)
- ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、制御装置からの制御にて電動モータを作動させ、ピストンを摩擦パッド方向に移動して、一対の摩擦パッドをディスクロータに押圧摺動させて制動を行う電気式ディスクブレーキに於いて、各車輪に車輪の取り外し可能状態の検出手段を設け、車両が停止状態である事を検出する車両停止検出手段により車両停止中が検出され、前記車輪の取り外し可能状態の検出手段により車輪が取り外し可能と判断された場合に、制御装置の制御により該当車輪の電気式ディスクブレーキの電動モータを逆転作動させて、ピストンを摩擦パッドの交換が可能な位置に戻す事を特徴とする電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法。
- 車輪の取り外し可能状態の検出手段は、車体から車輪に加わる荷重を検知する荷重センサとし、この荷重センサにより車輪に荷重が加わっていないと判断された場合に、車輪が取り外し可能であるとみなす事を特徴とする請求項1の電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法。
- 車輪の取り外し可能状態の検出手段は、車体から車輪に加わる荷重を車体と車輪との上下方向のストローク量として検知するストロークセンサとし、このストロークセンサのストローク量が所定量を超えた場合に、車輪が取り外し可能であるとみなす事を特徴とする請求項1の電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法。
- 車両停止検出手段は、イグニッションスイッチがOFFである事及び/又は車輪速度が所定値以下である事を検出して車両停止中とする事を特徴とする請求項1の電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法。
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JP2003040641A JP2004251337A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 電気式ディスクブレーキの摩擦パッドの交換方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2008215613A (ja) * | 2007-03-02 | 2008-09-18 | Textron Inc | ガソリンまたは電気で駆動する車両のための電動補助フロントブレーキ(assistivefrontelectricbrake) |
-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003040641A patent/JP2004251337A/ja active Pending
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