JP2004250736A - 水電解装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来に比較して、複極板(セパレータ)の材料費および加工費等の製造コストの低減が可能であって、また、電気的接触抵抗の問題も改善され、全体として、低コスト化を図った水電解装置を提供する。
【解決手段】固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体11と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体5,10と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータ1,6とを備えた電気化学装置において、前記各給電体5,10に直接通電する給電体通電用端子2,7を設けたものとし、より好ましい実施態様として、前記セパレータ1,6を樹脂成型したものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体11と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体5,10と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータ1,6とを備えた電気化学装置において、前記各給電体5,10に直接通電する給電体通電用端子2,7を設けたものとし、より好ましい実施態様として、前記セパレータ1,6を樹脂成型したものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水素および酸素を発生する水電解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水を電気分解し、水素および酸素を発生する水電解装置において、水を電気分解する水電解セルは、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとで構成される。水電解装置の従来技術の概要を以下に述べる。
【0003】
固体高分子電解質膜を隔膜として陽極(アノード)側と陰極(カソード)側とに分離し、陽極側に純水、又はイオンを含む水を供給しながら電気分解して、陽極側から酸素ガスを、陰極側から水素ガスをそれぞれ発生するように構成した水電解装置の開発が、近年進められ、そのシステム構成,スタックの構造,運転方法や水電解装置の構成部材等々に関して、種々の提案が行なわれている(例えば、特許文献1ないし4など参照)。
【0004】
前記固体高分子電解質膜は、工業用として広く用いられており、代表的な例としては、ペルフルオロカーボンスルホン酸膜が上げられる。製品としては、Nafion(米国DuPont社製商品名)、Aciplex(旭化成製商品名)、Flemion(旭硝子製商品名)等がある。給電体としては、チタン繊維,チタン粉末焼結板やステンレス繊維焼結板等の導電性の高い材料が用いられる。陽極側に供給された水は、2H2O→O2+4H++4e−の反応のように分解され、酸素ガスが発生する。H+は電解質膜のスルホン基を経由し、陰極側で4H++4e−→2H2の反応が起こり水素ガスが発生する。
【0005】
ここで、両面に触媒層を有した固体高分子電解質膜とそれを挟む給電体は、後述するように、耐熱・耐腐食性金属のセパレータで挟まれ、シール材として耐熱性ゴムパッキンで封止される。このセパレータ表面には、供給水や発生した酸素・水素ガスの流路が形成されている。
【0006】
前記特許文献1には、水電解装置の一般的な基本システム構成が記載されており、また、前記特許文献2には、複極板として記載された前記セパレータを含むスタックの構成の一例が開示されている。
【0007】
図3は、前記特許文献2に記載されたスタックの構成を、部番を変更して示す。特許文献2の記載によれば、図3に示すスタックは、陽極主電極21、陰極主電極22、イオン交換膜24と触媒電極層25、26とからなる電極複合体膜23(前記膜電極接合体に相当)、陽極給電体27、陰極給電体28、複極板(セパレータ)29及びこれらを一体とするための締め付けボルト及びナットから構成されており、商業規模の電解槽では、80枚から600枚のイオン交換膜を一体としている。
【0008】
水が電解槽下部に設けられた吸水ヘッダー30から上方に流路のある陽極主電極21及び複極板29の陽極側に供給されると、触媒電極層25、26の表面で、陽極側では酸素、陰極側では水素がそれぞれ発生する。発生した酸素及び水素はそれぞれ多孔質の給電体27、28を通ってそれぞれの極板に達し、更にそれぞれの極板に設けられた流路を通って電解槽上部に達し、ここに設けられたそれぞれのヘッダー31、32を通って外部に排出される。
【0009】
これらの構成材の中で、最も過酷な条件を要求されるのは、複極板(セパレータ)29である。つまり、材質的な条件としては、導電性が良いことはもちろん、陽極側では酸化性雰囲気、陰極側では還元性雰囲気という全く逆の条件が同じ材料に要求される。更に構造的な条件としては、給電体26、27に電流を一様に伝えること、並びに供給水及び発生したガスを均一に流せる流路が確保できることといった機能が要求される。さらに、給電体と複極板(セパレータ)との電気的な接触抵抗が低いことも重要である。このような条件を満足するものとして、現状では、純チタンを機械加工又はプレス加工したものの表面を、白金メッキしたものやカーボンをモールディングしたものが用いられている。
【0010】
なお、前記給電体と複極板(セパレータ)との電気的な接触抵抗の改善の観点から、給電体と複極板とを一体化し、前記膜電極接合体との接触面に、貴金属メッキ層を設けるものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
また、複極板(セパレータ)の製造コスト低減の観点から、多孔質炭素紙と伝導性フィラーを有するポリマー層等を組み合わせた3層構成の導電性の複極板も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
図2は、後述するこの発明の説明の便宜上、従来の水電解セル1組を分解して示したもので、セル単体の模式的分解斜視図を示す。図2において、11は固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体、5,10はそれぞれ陽極側給電体および陰極側給電体、12はパッキン、13,15はそれぞれ陽極側金属セパレータおよび陰極側金属セパレータを示す。また、3,8は陽極側水供給口および陰極側水供給口、4,9は陽極側ガス・水排出口および陰極側ガス・水排出口、14は水・ガス流路用溝を示す。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−54175号公報(第2頁、図2)
【特許文献2】
特開平7−252682号公報(第2頁、図5)
【特許文献3】
特開平11−256379号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献4】
特表2002−516467号公報(第4−9頁、図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記図2もしくは図3のように、水を電気分解し、水素および酸素を発生する水電解装置において使用されるセパレータは、電気伝導率が高く、耐熱かつ耐食性に優れた金属材料(例えば、純チタン)や、特殊構成のものとして特許文献4に記載されたようなものが用いられるが、例えば純チタンの金属ブロックを切削加工して、供給水および発生ガスの流路を形成するものや、前記特殊構成の従来のセパレータ構成によれば、材料費・切削加工費等の製造コストが高く、これが、例えば水電解セルスタックコストのかなりの部分を占めることとなり、低コスト化を図る上で、大きな問題となっていた。
【0015】
さらに、前記給電体と複極板(セパレータ)との電気的接触抵抗を軽減するために提案された特許文献3に記載されたような構成の採用も、さらにコストを増大する要因となる。
【0016】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、従来に比較して、複極板(セパレータ)の材料費および加工費等の製造コストの低減が可能であって、また、電気的接触抵抗の問題も改善され、全体として、低コスト化を図った水電解装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明は、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとを備えた水電解装置において、前記各給電体に直接通電する給電体通電用端子を設けたものとする(請求項1の発明)。
【0018】
前記発明によれば、図3や図2に示すようにセパレータを介して通電する従来装置とは異なり、各給電体に直接通電が可能であるので、従来の給電体と複極板(セパレータ)との電気的接触抵抗の問題は解消する。この場合、給電体としては、前述のようにチタン繊維,チタン粉末焼結板やステンレス繊維焼結板等薄板を用いるとしても、複極板は、チタン系以外の、例えばステンレススティールを用いることも、また後述するように樹脂のような電気絶縁材料を用いることも可能となり、全体的に製造コストが低減する。
【0019】
また、前記発明の実施態様としては、下記請求項2ないし3の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の水電解装置において、前記セパレータは、樹脂成型したものとする(請求項2の発明)。
【0020】
さらに、前記請求項2に記載の水電解装置において、前記給電体は、少なくとも前記膜電極接合体に対向する面を除いて、前記樹脂成型のセパレータに埋設してなり、前記給電体通電用端子は、その一端の給電体接続部はセパレータに埋設し、他端はセパレータ外方に引き出してなるものとする(請求項3の発明)。
【0021】
上記のように、セパレータを樹脂成型品とすることにより、複極板(セパレータ)の材料費および加工費はさらに低減できる。なお、図3に示すようなスタックを構成する場合には、隣接するセパレータ間で、セパレータ外方に引き出した給電体通電用端子相互を、電気的に接続する。全体の電気抵抗低減の観点からは、セパレータ材質は樹脂より金属の方が好ましいが、製造コスト低減の観点からは、樹脂の方が好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1に基づき、この発明の実施の形態について以下に述べる。
【0023】
図1はこの発明の実施の形態に係る水電解セル単体の模式的分解斜視図を示し、図2と同一機能を有する部材には、同一番号を付して詳細説明を省略する。図1において、図2と異なる部材は、1の陽極側樹脂成形セパレータ(給電体接触面にガス・水流路用溝有り)、2の陽極側給電体通電用端子、6の陰極側樹脂成形セパレータ(給電体接触面にガス・水流路用溝有り)、7の陰極側給電体通電用端子である。
【0024】
図1に示す本発明の実施の形態では、例えば、給電体5,10を、水とガス流路を成形した樹脂製セパレータ(1,6)と一体化したものとし、給電体5,10からは、金属端子(2,7)をセパレータを通して外部に取出し、直接通電できるようにした。給電体5,10には金属繊維焼結板または金属粉末焼結板を用いた。セパレータ(1,6)にはアクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が使用できる。
【0025】
従来は、図2に示すように純チタンの金属ブロック単体35を切削加工し、発生ガスや冷却水が流れる流路を形成しており、これが高コストの原因となっていたのに対して、上記図1に示す本発明の構成により、従来と比較して、材料費および加工費のコストダウンが可能となる。
【0026】
【実施例】
図1に示す構成の樹脂成形した小型用セパレータを用いた本発明に関わる水電解セルと、図2に示す構成の金属セパレータを用いた従来方式の水電解セルを試作し、膜電極接合体の初期特性評価を行った。その結果を表1に示す。初期特性評価項目は、セル電圧,電流効率,エネルギー効率とし、測定条件は、常圧,80℃,電流密度1A/cm2,セル締付け圧力1.0Mpaとした。
【0027】
【表1】
本発明の試作品においては、セパレータの材料として、ポリカーボネートを用い、給電体としては、陽極側に白金メッキ/チタン繊維焼結板、陰極側に金メッキ/ステンレス繊維焼結板を用いた。膜電極接合体の電極面積は50cm2である。
【0028】
測定の結果、表1に示すように、本発明の試作品のセル電圧は、従来のセル構造の試料より17mV高いが、エネルギー効率は95%以上であり、樹脂成形セパレータを用いても、高い特性が得られることが確認できた。
【0029】
また、上記本発明の試作品を用いて、膜電極接合体の連続運転を行った。表2に初期と100時間後の特性評価結果を示す。特性評価項目および測定条件は、表1の場合と同様で、前述のとおりである。
【0030】
【表2】
表2に示す連続運転評価結果から、本発明の樹脂成形セパレータの場合も、従来の金属セパレータと同様の特性変化を示し、100時間経過後もエネルギー効率93%以上を維持していることが確認された。なお、100時間経過後の特性の劣化は、水中の不純物の付着や膜電極接合体と給電体との接触抵抗の変化に基づくものと推定される。上記のとおり、連続運転において、電解特性への影響も無く、従来と同等の安定した電解特性を維持することができることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
前述のように、この発明によれば、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとを備えた水電解装置において、前記各給電体に直接通電する給電体通電用端子を設けたものとし、より好ましい実施態様として、前記セパレータを樹脂成型したものとしたので、
従来に比較して、複極板(セパレータ)の材料費および加工費等の製造コストの低減が可能であって、また、電気的接触抵抗の問題も改善され、全体として、低コスト化を図った水電解装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る水電解セル単体の模式的分解斜視図
【図2】従来の水電解セル単体の模式的分解斜視図
【図3】特許文献2に記載された水電解セルスタックの構成図
【符号の説明】
1:陽極側樹脂成形セパレータ、2:陽極側給電体通電用端子、3:陽極側水供給口、4:陽極側ガス・水排出口、5:陽極側給電体、6:陰極側樹脂成形セパレータ、7:陰極側給電体通電用端子、8:陰極側水供給口、9:陰極側ガス・水排出口、10:陰極側給電体、11:膜電極接合体、12:パッキン。
【発明の属する技術分野】
この発明は、水素および酸素を発生する水電解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水を電気分解し、水素および酸素を発生する水電解装置において、水を電気分解する水電解セルは、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとで構成される。水電解装置の従来技術の概要を以下に述べる。
【0003】
固体高分子電解質膜を隔膜として陽極(アノード)側と陰極(カソード)側とに分離し、陽極側に純水、又はイオンを含む水を供給しながら電気分解して、陽極側から酸素ガスを、陰極側から水素ガスをそれぞれ発生するように構成した水電解装置の開発が、近年進められ、そのシステム構成,スタックの構造,運転方法や水電解装置の構成部材等々に関して、種々の提案が行なわれている(例えば、特許文献1ないし4など参照)。
【0004】
前記固体高分子電解質膜は、工業用として広く用いられており、代表的な例としては、ペルフルオロカーボンスルホン酸膜が上げられる。製品としては、Nafion(米国DuPont社製商品名)、Aciplex(旭化成製商品名)、Flemion(旭硝子製商品名)等がある。給電体としては、チタン繊維,チタン粉末焼結板やステンレス繊維焼結板等の導電性の高い材料が用いられる。陽極側に供給された水は、2H2O→O2+4H++4e−の反応のように分解され、酸素ガスが発生する。H+は電解質膜のスルホン基を経由し、陰極側で4H++4e−→2H2の反応が起こり水素ガスが発生する。
【0005】
ここで、両面に触媒層を有した固体高分子電解質膜とそれを挟む給電体は、後述するように、耐熱・耐腐食性金属のセパレータで挟まれ、シール材として耐熱性ゴムパッキンで封止される。このセパレータ表面には、供給水や発生した酸素・水素ガスの流路が形成されている。
【0006】
前記特許文献1には、水電解装置の一般的な基本システム構成が記載されており、また、前記特許文献2には、複極板として記載された前記セパレータを含むスタックの構成の一例が開示されている。
【0007】
図3は、前記特許文献2に記載されたスタックの構成を、部番を変更して示す。特許文献2の記載によれば、図3に示すスタックは、陽極主電極21、陰極主電極22、イオン交換膜24と触媒電極層25、26とからなる電極複合体膜23(前記膜電極接合体に相当)、陽極給電体27、陰極給電体28、複極板(セパレータ)29及びこれらを一体とするための締め付けボルト及びナットから構成されており、商業規模の電解槽では、80枚から600枚のイオン交換膜を一体としている。
【0008】
水が電解槽下部に設けられた吸水ヘッダー30から上方に流路のある陽極主電極21及び複極板29の陽極側に供給されると、触媒電極層25、26の表面で、陽極側では酸素、陰極側では水素がそれぞれ発生する。発生した酸素及び水素はそれぞれ多孔質の給電体27、28を通ってそれぞれの極板に達し、更にそれぞれの極板に設けられた流路を通って電解槽上部に達し、ここに設けられたそれぞれのヘッダー31、32を通って外部に排出される。
【0009】
これらの構成材の中で、最も過酷な条件を要求されるのは、複極板(セパレータ)29である。つまり、材質的な条件としては、導電性が良いことはもちろん、陽極側では酸化性雰囲気、陰極側では還元性雰囲気という全く逆の条件が同じ材料に要求される。更に構造的な条件としては、給電体26、27に電流を一様に伝えること、並びに供給水及び発生したガスを均一に流せる流路が確保できることといった機能が要求される。さらに、給電体と複極板(セパレータ)との電気的な接触抵抗が低いことも重要である。このような条件を満足するものとして、現状では、純チタンを機械加工又はプレス加工したものの表面を、白金メッキしたものやカーボンをモールディングしたものが用いられている。
【0010】
なお、前記給電体と複極板(セパレータ)との電気的な接触抵抗の改善の観点から、給電体と複極板とを一体化し、前記膜電極接合体との接触面に、貴金属メッキ層を設けるものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
また、複極板(セパレータ)の製造コスト低減の観点から、多孔質炭素紙と伝導性フィラーを有するポリマー層等を組み合わせた3層構成の導電性の複極板も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
図2は、後述するこの発明の説明の便宜上、従来の水電解セル1組を分解して示したもので、セル単体の模式的分解斜視図を示す。図2において、11は固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体、5,10はそれぞれ陽極側給電体および陰極側給電体、12はパッキン、13,15はそれぞれ陽極側金属セパレータおよび陰極側金属セパレータを示す。また、3,8は陽極側水供給口および陰極側水供給口、4,9は陽極側ガス・水排出口および陰極側ガス・水排出口、14は水・ガス流路用溝を示す。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−54175号公報(第2頁、図2)
【特許文献2】
特開平7−252682号公報(第2頁、図5)
【特許文献3】
特開平11−256379号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献4】
特表2002−516467号公報(第4−9頁、図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記図2もしくは図3のように、水を電気分解し、水素および酸素を発生する水電解装置において使用されるセパレータは、電気伝導率が高く、耐熱かつ耐食性に優れた金属材料(例えば、純チタン)や、特殊構成のものとして特許文献4に記載されたようなものが用いられるが、例えば純チタンの金属ブロックを切削加工して、供給水および発生ガスの流路を形成するものや、前記特殊構成の従来のセパレータ構成によれば、材料費・切削加工費等の製造コストが高く、これが、例えば水電解セルスタックコストのかなりの部分を占めることとなり、低コスト化を図る上で、大きな問題となっていた。
【0015】
さらに、前記給電体と複極板(セパレータ)との電気的接触抵抗を軽減するために提案された特許文献3に記載されたような構成の採用も、さらにコストを増大する要因となる。
【0016】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、本発明の課題は、従来に比較して、複極板(セパレータ)の材料費および加工費等の製造コストの低減が可能であって、また、電気的接触抵抗の問題も改善され、全体として、低コスト化を図った水電解装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、この発明は、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとを備えた水電解装置において、前記各給電体に直接通電する給電体通電用端子を設けたものとする(請求項1の発明)。
【0018】
前記発明によれば、図3や図2に示すようにセパレータを介して通電する従来装置とは異なり、各給電体に直接通電が可能であるので、従来の給電体と複極板(セパレータ)との電気的接触抵抗の問題は解消する。この場合、給電体としては、前述のようにチタン繊維,チタン粉末焼結板やステンレス繊維焼結板等薄板を用いるとしても、複極板は、チタン系以外の、例えばステンレススティールを用いることも、また後述するように樹脂のような電気絶縁材料を用いることも可能となり、全体的に製造コストが低減する。
【0019】
また、前記発明の実施態様としては、下記請求項2ないし3の発明が好ましい。即ち、請求項1に記載の水電解装置において、前記セパレータは、樹脂成型したものとする(請求項2の発明)。
【0020】
さらに、前記請求項2に記載の水電解装置において、前記給電体は、少なくとも前記膜電極接合体に対向する面を除いて、前記樹脂成型のセパレータに埋設してなり、前記給電体通電用端子は、その一端の給電体接続部はセパレータに埋設し、他端はセパレータ外方に引き出してなるものとする(請求項3の発明)。
【0021】
上記のように、セパレータを樹脂成型品とすることにより、複極板(セパレータ)の材料費および加工費はさらに低減できる。なお、図3に示すようなスタックを構成する場合には、隣接するセパレータ間で、セパレータ外方に引き出した給電体通電用端子相互を、電気的に接続する。全体の電気抵抗低減の観点からは、セパレータ材質は樹脂より金属の方が好ましいが、製造コスト低減の観点からは、樹脂の方が好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1に基づき、この発明の実施の形態について以下に述べる。
【0023】
図1はこの発明の実施の形態に係る水電解セル単体の模式的分解斜視図を示し、図2と同一機能を有する部材には、同一番号を付して詳細説明を省略する。図1において、図2と異なる部材は、1の陽極側樹脂成形セパレータ(給電体接触面にガス・水流路用溝有り)、2の陽極側給電体通電用端子、6の陰極側樹脂成形セパレータ(給電体接触面にガス・水流路用溝有り)、7の陰極側給電体通電用端子である。
【0024】
図1に示す本発明の実施の形態では、例えば、給電体5,10を、水とガス流路を成形した樹脂製セパレータ(1,6)と一体化したものとし、給電体5,10からは、金属端子(2,7)をセパレータを通して外部に取出し、直接通電できるようにした。給電体5,10には金属繊維焼結板または金属粉末焼結板を用いた。セパレータ(1,6)にはアクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン等が使用できる。
【0025】
従来は、図2に示すように純チタンの金属ブロック単体35を切削加工し、発生ガスや冷却水が流れる流路を形成しており、これが高コストの原因となっていたのに対して、上記図1に示す本発明の構成により、従来と比較して、材料費および加工費のコストダウンが可能となる。
【0026】
【実施例】
図1に示す構成の樹脂成形した小型用セパレータを用いた本発明に関わる水電解セルと、図2に示す構成の金属セパレータを用いた従来方式の水電解セルを試作し、膜電極接合体の初期特性評価を行った。その結果を表1に示す。初期特性評価項目は、セル電圧,電流効率,エネルギー効率とし、測定条件は、常圧,80℃,電流密度1A/cm2,セル締付け圧力1.0Mpaとした。
【0027】
【表1】
本発明の試作品においては、セパレータの材料として、ポリカーボネートを用い、給電体としては、陽極側に白金メッキ/チタン繊維焼結板、陰極側に金メッキ/ステンレス繊維焼結板を用いた。膜電極接合体の電極面積は50cm2である。
【0028】
測定の結果、表1に示すように、本発明の試作品のセル電圧は、従来のセル構造の試料より17mV高いが、エネルギー効率は95%以上であり、樹脂成形セパレータを用いても、高い特性が得られることが確認できた。
【0029】
また、上記本発明の試作品を用いて、膜電極接合体の連続運転を行った。表2に初期と100時間後の特性評価結果を示す。特性評価項目および測定条件は、表1の場合と同様で、前述のとおりである。
【0030】
【表2】
表2に示す連続運転評価結果から、本発明の樹脂成形セパレータの場合も、従来の金属セパレータと同様の特性変化を示し、100時間経過後もエネルギー効率93%以上を維持していることが確認された。なお、100時間経過後の特性の劣化は、水中の不純物の付着や膜電極接合体と給電体との接触抵抗の変化に基づくものと推定される。上記のとおり、連続運転において、電解特性への影響も無く、従来と同等の安定した電解特性を維持することができることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
前述のように、この発明によれば、固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとを備えた水電解装置において、前記各給電体に直接通電する給電体通電用端子を設けたものとし、より好ましい実施態様として、前記セパレータを樹脂成型したものとしたので、
従来に比較して、複極板(セパレータ)の材料費および加工費等の製造コストの低減が可能であって、また、電気的接触抵抗の問題も改善され、全体として、低コスト化を図った水電解装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る水電解セル単体の模式的分解斜視図
【図2】従来の水電解セル単体の模式的分解斜視図
【図3】特許文献2に記載された水電解セルスタックの構成図
【符号の説明】
1:陽極側樹脂成形セパレータ、2:陽極側給電体通電用端子、3:陽極側水供給口、4:陽極側ガス・水排出口、5:陽極側給電体、6:陰極側樹脂成形セパレータ、7:陰極側給電体通電用端子、8:陰極側水供給口、9:陰極側ガス・水排出口、10:陰極側給電体、11:膜電極接合体、12:パッキン。
Claims (3)
- 固体高分子電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、この膜電極接合体の両側に配設された給電体と、供給水および発生ガスの流路を有するセパレータとを備えた水電解装置において、
前記各給電体に直接通電する給電体通電用端子を設けたことを特徴とする水電解装置。 - 請求項1に記載の水電解装置において、前記セパレータは、樹脂成型したものとすることを特徴とする水電解装置。
- 請求項2に記載の水電解装置において、前記給電体は、少なくとも前記膜電極接合体に対向する面を除いて、前記樹脂成型のセパレータに埋設してなり、前記給電体通電用端子は、その一端の給電体接続部はセパレータに埋設し、他端はセパレータ外方に引き出してなることを特徴とする水電解装置。
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