JP2004248978A - 均一に拡張する柔軟なステント - Google Patents
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Abstract
【課題】管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を持ち、管腔等への追従性に優れており(従って三次元的に蛇行した管腔を通過可能)、横穴形成が容易で、実質的にショートニングの無い、均一に拡張する、管腔等に優しいステントを提供する。
【解決手段】本発明のステントは、周方向に連続する第二の波状要素11からなる両端の環状部材1、1と、この両端の環状部材1、1に接続された複数の構造部材2、2を含んでなる。構造部材2、2は、両端がそれぞれ第二の波状要素11、11の波頭111、111に接続されて、一端の環状部材1から他端の環状部材1の方向に螺旋状に巻回されて、両端の環状部材1、1を含む全体が円筒状に形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のステントは、周方向に連続する第二の波状要素11からなる両端の環状部材1、1と、この両端の環状部材1、1に接続された複数の構造部材2、2を含んでなる。構造部材2、2は、両端がそれぞれ第二の波状要素11、11の波頭111、111に接続されて、一端の環状部材1から他端の環状部材1の方向に螺旋状に巻回されて、両端の環状部材1、1を含む全体が円筒状に形成されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血管等の体内管腔の管腔径維持を目的として生体内に埋め込まれる所謂ステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管等の管腔径を広げ、得られた管腔のサイズを維持するために、従来、ステントが採用されている。ステントの拡張方法としては、バルーンによる拡張、形状記憶材料を用いた自己拡張、機械的拡張などがあるが、バルーンによる拡張が一般的である。バルーンによる拡張の場合、ステントはバルーンカテーテルと一緒に身体の所望の位置まで導入され、バルーンの膨張により拡張されて管腔径を広げる。ステントは、通常、血管等の管腔径を広げて保持する管腔径保持部と、それらを長手方向に繋ぐジョイント部からなり、拡張後の形状は維持される。
このような管腔径保持部とジョイント部からなるステントとしては、半径方向に独立に膨張可能な複数の円筒要素が、共通の軸線に略整列するように連結されたもの(特許文献1)や、相互に交差する複数の細長い部材によって形成された半径方向に伸張可能な管状部材からなるもの(特許文献2)、軸曲げ部にて一体的に接続された複数個の実質的に真っ直ぐで重なり合っていないセグメントを形成するように曲げられた少なくとも2つの単一のワイヤー状円形部材を備え、円形部材同士が軸曲げ部で堅固に接続されてなるもの(特許文献3)、第一及び第二方向に広がる軸を有する第一及び第二メアンダー模様をもつ模様形状の管よりなるもの(特許文献4)、斜め方向の相互連結素子で複数の円筒形セグメントを纏めてなり、末端が結合した支柱からなる開放構造型のもの(特許文献5)等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−181933号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−231657号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平8−155035号公報
【0006】
【特許文献4】
特開表10−503676号公報
【0007】
【特許文献5】
特表平11−505441号公報
【0008】
しかしながら、これら従来のステントは、改良されているとはいえ、依然として、拡張したときにステントエッジ付近においてステントが血管等の管腔に負荷を与えるものであるため、管腔等の閉塞や狭窄が生じることがあった。また、十分な可撓性を有しているものとは言えないので、管腔等が三次元的に蛇行している場合、目的部位にステントを運ぶことが困難なこともあった。さらには、ステントを目的部位に運ぶ際に血管を傷つけてしまう場合もあった。また、留置位置に分岐した血管がある場合その留置されたステントに横穴を形成することが困難な場合が多かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を持ち、管腔等への追従性に優れており(従って三次元的に蛇行した管腔を通過可能)、横穴形成が容易で、実質的にショートニング(管長の短縮)の無い、均一に拡張する、管腔等に優しい柔軟なステントを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、螺旋状に巻回された波状要素が、柔軟性に富んでおり(従って、管腔等への追従性に優れている)、しかもステントに横穴を形成するのが容易で、実質的にショートニングが無いことを確認するに至り、また、拡大した時の波状要素の反り返りが小さいことから、管腔等に優しいことに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、半径方向に拡張可能な両端の環状部材と、この両端の環状部材に接続された複数の構造部材を含んでなり、この構造部材は、第一の波状要素が長手方向に連続されてなる波状模様を有しており、両端がそれぞれ前記環状部材に接続され、一端の環状部材から他端の環状部材の方向に、前記両端の環状部材を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて円筒状に形成されてなる、均一に拡張する柔軟なステントに関する。
【0011】
ここで、環状部材は、これを周方向に連続する第二の波状要素から構成し、構造部材の両端がそれぞれこの第二の波状要素の波頭に接続される様にしてもよい。構造部材は、環状部材との接続点が周方向に等間隔に並ぶように、2〜8本設けられるのがよく、特に血管径保持力の点からは、構造部材は、2〜4本設けられるのがよい。構造部材が多い場合には、血管径保持力が弱くなるので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を保つために、必要ならば隣り合う構造部材同士を部分的に補強要素で接続してもよい。隣り合う構造部材同士は部分的に点接続してもよい。拡張時に不規則に変形しやすい両端を強化するために、両端の環状部材の外側にそれぞれ更に環状部材を設け、隣り合う環状部材同士を複数の例えば波状の補強要素で接続してもよい。また、ステントはこれを拡張したときに波頭部分が反り返り、尖った角の部分で血管等を損傷する虞があるので、第一および第二の波状要素は、波頭部分が滑らかな形状に形成されるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係るステントの平面図であり、図2は図1に示すステントの展開図、図3は図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。また、図4は第一の波状要素および第二の波状要素の例を示す図、図5〜図7はそれぞれ本発明の他の実施例に係るステントの展開図であり、図8〜図10はそれぞれ本発明のステントと従来のステントの可撓性とショートニング、血管径保持力を比較する図である。
本発明のステントは、図1〜図3に示すように、半径方向に拡張可能な両端の環状部材1、1と、この両端の環状部材1、1に接続された複数の構造部材2、2を含んでなる。構造部材2、2は、両端がそれぞれ環状部材1、1に接続されて、一端の環状部材1から他端の環状部材1の方向に螺旋状に巻回されて、両端の環状部材1、1を含む全体が管状に形成されている。
【0013】
環状部材1は、構造部材2の両端を支持すると共に、ステントの外径を決定する部分であり、半径方向に拡張可能になっている。環状部材1は、半径方向に拡張可能なものであればどのような構造のものでも構わないが、図2に示すように、その展開された状態において上下方向に連続する第二の波状要素11からなるものが好ましく採用される。第二の波状要素11の形状は、波の形をしているものであれば特に限定するものではなく、図4に示すように、正弦波の形状(図4B)や、平行な二つの直線を円弧で接続した形状(図4A)など、種々の形状のものが採用可能である。両端の環状部材1、1を構成する第二の波状要素11、11の波頭111、111にはそれぞれ構造部材2がその両端で接続されている。
【0014】
構造部材2は、ステントの管壁を構成する部分であり、血管に留置されて血管径を保持する。構造部材2は、第一の波状要素21が長手方向に連続されてなる波状模様を有しており、図1に示すように、両端がそれぞれ環状部材1、1に接続され、一端の環状部材1から他端の環状部材1の方向に、両端の環状部材1、1を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて円筒状に形成されている。より詳しく説明すると、図2に示すように、その展開された状態において斜め方向に連続する第一の波状要素21からなり、その形状は、第二の波状要素と同様に、波の形をしているものであれば特に限定するものではなく、図4に示すように、正弦波の形状(図4B)や、平行な二つの直線を円弧で接続した形状(図4A)など、種々の形状のものが採用可能である。
構造部材2はそれぞれ、両端の環状部材1、1を構成する第二の波状要素11、11の波頭111、111にその両端で接続されており、従って、両端の環状部材1、1への接続部分と、後述の補強要素3によって接続された部分を除く部分は束縛されていないので、ステント全体が曲げに対して柔軟であり、従って、管腔等への追従性に優れている。また、隣り合う構造部材2、2の間を拡げやすいので、横穴の形成が容易である。
構造部材2の数は、環状部材1との接続点が周方向に等間隔に並ぶように、2〜8本設けるのが好ましく、特に血管径保持力の点からは、構造部材は、2〜4本設けられるのがよい。構造部材2の数は、これが多いほど構造部材2は寝る(長手方向に傾斜する)ので、柔軟性は向上するが、血管径保持力(管腔径の開存状態を保持する力)は弱くなるので、構造部材2の数が多い場合は、十分な血管径保持力を保つために、図5に示すように、必要ならば隣り合う構造部材2、2同士を、横穴形成予定部分を除いて、部分的に補強要素3で接続してもよい。隣り合う構造部材2、2同士は、図6に示すように部分的に点接続してもよい。この場合、点接続の接続点22は通常、第一の波状要素21の波頭211付近になる。構造部材2の強度が大きい場合や補強要素3を利用した場合など、血管径保持力が確保できる場合は、図6に示すように、両端の環状部材1、1を構成する第二の波状要素11、11の波頭111、111を全て構造部材2で接続するようにしてもよい。
【0015】
補強要素3は、直線状であっても曲線状であっても構わないが、通常、環状部材1の第二の波状要素11および構造部材2の第一の波状要素21との釣り合いから、曲線状の例えばS字状または波形のものが採用される。補強要素3で補強する位置は、横穴形成予定の位置を避けて、適当に決めることができる。
両端の環状部材1、1は、構造部材2の数が少ないほど拡張時に不規則に変形しやすいので、構造部材2の数が少ない場合(2〜3本の場合)、両端を強化するために、両端の環状部材1、1の外側にそれぞれ更に環状部材4、4を設け、隣り合う環状部材1、4を複数の例えば波状の補強要素5で接続してもよい。この場合、環状部材1付近の隣接する構造部材2同士は、図5に示すように、例えばS字状の補強要素3で部分的に接続してもよい。環状部材1と4は同じ形状のものであってもよいが、別形状のものであってもよく、例えば図2に示すような、振幅が同じで波長の違うもの(環状部材1の波長が環状部材4の波長の倍になっている)であってもよい。
また、ステントは波状要素11、21の横断面の角が尖っている場合、これを拡張したときに波頭111、211部分が反り返り、その尖った角の部分で血管等を損傷する虞があるので、波状要素11、21は、波頭111、211部分が尖った角のない滑らかな形状に形成されるのが好ましい。
尚、ステントの形成材料としては、ステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金などが採用可能である。
【0016】
〔可撓性試験および血管径保持力試験など〕 表1に示すような展開図を有するステントについて応力解析を行い、その可撓性(柔軟性)、ショートニングおよび血管径保持力を比較したところ、図8〜図10のような結果が得られた。
図8から、本発明のステントが従来のステントと比較してはるかに優れた可撓性を有していることが分かる。また、図9および図10からそれぞれ、拡張時におけるショートニングについては、従来のステントと略同等の性能を示していることが分かる。これは、コイル状に巻回された構造部材の場合、長手方向に変形しやすいことから、バルーンとの間の摩擦抵抗が働いて、長手方向の変形が起こりにくいためと思われる。更に血管径保持力については、従来のステントと比べて若干劣るものの、実施例3や4から、補強要素を適当に入れることによって強化できることが分かる。
尚、可撓性については、ステント片端を固定し、もう片端に1Nの荷重をかけた場合のステント変化量(mm)を解析した。グラフの値は解析値(mm)を個々のステント長さ(mm)で割った値を示している。
また、ショートニングについては、ステントを直径3.0mmに拡張した場合の長さの変化を解析した。グラフはステント長さの変化率を示している。
血管系保持力については、ステントを圧縮(圧力:100mmHg)した場合のステント直径の変化(mm)を解析した。グラフの値は圧縮前のステント直径との割合を示している。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、1)ステントの管壁を構成する構造部材は、環状部材に接続される両端と、後述の補強要素によって接続された部分しか束縛されていないので、ステント全体が曲げに対して柔軟であり、従って、管腔等への追従性に優れている。また、隣り合う構造部材の間を拡げやすいので、横穴の形成が容易である。2)構造部材が、一端の環状部材から他端の環状部材の方向に、両端の環状部材を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて円筒状に形成されているので、均一に拡張することができる。また、長手方向に変形しやすので、バルーンで拡張したときのバルーンとの間の摩擦抵抗により長手方向への変形が阻止され、実質的にショートニングが生ずることが無い。さらに、拡張時の反りが小さく、また、たとえ反りが生じたとしても、波状要素の波頭部分を滑らかに形成しておけば、血管等を損傷することがない。3)構造部材の数が少ない場合、構造部材を立てることができるので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を確保することができる。また、構造部材の数が多い場合でも、補強要素を適用することにより、柔軟性を余り損なうことなく、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステントの斜視図である。
【図2】図1に示すステントの展開図である。
【図3】図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第一の波状要素および第二の波状要素の例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかるステントの展開図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例にかかるステントの展開図である。
【図7】本発明のさらに他の実施例にかかるステントの展開図である。
【図8】本発明のステントと従来のステントの可撓性を比較する図である。
【図9】本発明のステントと従来のステントのショートニングを比較する図である。
【図10】本発明のステントと従来のステントの血管径保持力を比較する図である。
【図11】従来のステントの展開図である。
【図12】従来のステントの展開図である。
【図13】従来のステントの展開図である。
【符号の説明】
1 環状部材
11 弟二の波状要素
111 波頭
2 構造部材
21 第一の波状要素
211 波頭
22 接続点
3 補強要素
4 環状部材
5 補強要素
【発明の属する技術分野】
本発明は血管等の体内管腔の管腔径維持を目的として生体内に埋め込まれる所謂ステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
血管等の管腔径を広げ、得られた管腔のサイズを維持するために、従来、ステントが採用されている。ステントの拡張方法としては、バルーンによる拡張、形状記憶材料を用いた自己拡張、機械的拡張などがあるが、バルーンによる拡張が一般的である。バルーンによる拡張の場合、ステントはバルーンカテーテルと一緒に身体の所望の位置まで導入され、バルーンの膨張により拡張されて管腔径を広げる。ステントは、通常、血管等の管腔径を広げて保持する管腔径保持部と、それらを長手方向に繋ぐジョイント部からなり、拡張後の形状は維持される。
このような管腔径保持部とジョイント部からなるステントとしては、半径方向に独立に膨張可能な複数の円筒要素が、共通の軸線に略整列するように連結されたもの(特許文献1)や、相互に交差する複数の細長い部材によって形成された半径方向に伸張可能な管状部材からなるもの(特許文献2)、軸曲げ部にて一体的に接続された複数個の実質的に真っ直ぐで重なり合っていないセグメントを形成するように曲げられた少なくとも2つの単一のワイヤー状円形部材を備え、円形部材同士が軸曲げ部で堅固に接続されてなるもの(特許文献3)、第一及び第二方向に広がる軸を有する第一及び第二メアンダー模様をもつ模様形状の管よりなるもの(特許文献4)、斜め方向の相互連結素子で複数の円筒形セグメントを纏めてなり、末端が結合した支柱からなる開放構造型のもの(特許文献5)等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−181933号公報
【0004】
【特許文献2】
特開昭62−231657号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平8−155035号公報
【0006】
【特許文献4】
特開表10−503676号公報
【0007】
【特許文献5】
特表平11−505441号公報
【0008】
しかしながら、これら従来のステントは、改良されているとはいえ、依然として、拡張したときにステントエッジ付近においてステントが血管等の管腔に負荷を与えるものであるため、管腔等の閉塞や狭窄が生じることがあった。また、十分な可撓性を有しているものとは言えないので、管腔等が三次元的に蛇行している場合、目的部位にステントを運ぶことが困難なこともあった。さらには、ステントを目的部位に運ぶ際に血管を傷つけてしまう場合もあった。また、留置位置に分岐した血管がある場合その留置されたステントに横穴を形成することが困難な場合が多かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、如上の事情に鑑みてなされたもので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を持ち、管腔等への追従性に優れており(従って三次元的に蛇行した管腔を通過可能)、横穴形成が容易で、実質的にショートニング(管長の短縮)の無い、均一に拡張する、管腔等に優しい柔軟なステントを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討の結果、螺旋状に巻回された波状要素が、柔軟性に富んでおり(従って、管腔等への追従性に優れている)、しかもステントに横穴を形成するのが容易で、実質的にショートニングが無いことを確認するに至り、また、拡大した時の波状要素の反り返りが小さいことから、管腔等に優しいことに想到し、本発明を完成した。すなわち本発明は、半径方向に拡張可能な両端の環状部材と、この両端の環状部材に接続された複数の構造部材を含んでなり、この構造部材は、第一の波状要素が長手方向に連続されてなる波状模様を有しており、両端がそれぞれ前記環状部材に接続され、一端の環状部材から他端の環状部材の方向に、前記両端の環状部材を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて円筒状に形成されてなる、均一に拡張する柔軟なステントに関する。
【0011】
ここで、環状部材は、これを周方向に連続する第二の波状要素から構成し、構造部材の両端がそれぞれこの第二の波状要素の波頭に接続される様にしてもよい。構造部材は、環状部材との接続点が周方向に等間隔に並ぶように、2〜8本設けられるのがよく、特に血管径保持力の点からは、構造部材は、2〜4本設けられるのがよい。構造部材が多い場合には、血管径保持力が弱くなるので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を保つために、必要ならば隣り合う構造部材同士を部分的に補強要素で接続してもよい。隣り合う構造部材同士は部分的に点接続してもよい。拡張時に不規則に変形しやすい両端を強化するために、両端の環状部材の外側にそれぞれ更に環状部材を設け、隣り合う環状部材同士を複数の例えば波状の補強要素で接続してもよい。また、ステントはこれを拡張したときに波頭部分が反り返り、尖った角の部分で血管等を損傷する虞があるので、第一および第二の波状要素は、波頭部分が滑らかな形状に形成されるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例に係るステントの平面図であり、図2は図1に示すステントの展開図、図3は図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。また、図4は第一の波状要素および第二の波状要素の例を示す図、図5〜図7はそれぞれ本発明の他の実施例に係るステントの展開図であり、図8〜図10はそれぞれ本発明のステントと従来のステントの可撓性とショートニング、血管径保持力を比較する図である。
本発明のステントは、図1〜図3に示すように、半径方向に拡張可能な両端の環状部材1、1と、この両端の環状部材1、1に接続された複数の構造部材2、2を含んでなる。構造部材2、2は、両端がそれぞれ環状部材1、1に接続されて、一端の環状部材1から他端の環状部材1の方向に螺旋状に巻回されて、両端の環状部材1、1を含む全体が管状に形成されている。
【0013】
環状部材1は、構造部材2の両端を支持すると共に、ステントの外径を決定する部分であり、半径方向に拡張可能になっている。環状部材1は、半径方向に拡張可能なものであればどのような構造のものでも構わないが、図2に示すように、その展開された状態において上下方向に連続する第二の波状要素11からなるものが好ましく採用される。第二の波状要素11の形状は、波の形をしているものであれば特に限定するものではなく、図4に示すように、正弦波の形状(図4B)や、平行な二つの直線を円弧で接続した形状(図4A)など、種々の形状のものが採用可能である。両端の環状部材1、1を構成する第二の波状要素11、11の波頭111、111にはそれぞれ構造部材2がその両端で接続されている。
【0014】
構造部材2は、ステントの管壁を構成する部分であり、血管に留置されて血管径を保持する。構造部材2は、第一の波状要素21が長手方向に連続されてなる波状模様を有しており、図1に示すように、両端がそれぞれ環状部材1、1に接続され、一端の環状部材1から他端の環状部材1の方向に、両端の環状部材1、1を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて円筒状に形成されている。より詳しく説明すると、図2に示すように、その展開された状態において斜め方向に連続する第一の波状要素21からなり、その形状は、第二の波状要素と同様に、波の形をしているものであれば特に限定するものではなく、図4に示すように、正弦波の形状(図4B)や、平行な二つの直線を円弧で接続した形状(図4A)など、種々の形状のものが採用可能である。
構造部材2はそれぞれ、両端の環状部材1、1を構成する第二の波状要素11、11の波頭111、111にその両端で接続されており、従って、両端の環状部材1、1への接続部分と、後述の補強要素3によって接続された部分を除く部分は束縛されていないので、ステント全体が曲げに対して柔軟であり、従って、管腔等への追従性に優れている。また、隣り合う構造部材2、2の間を拡げやすいので、横穴の形成が容易である。
構造部材2の数は、環状部材1との接続点が周方向に等間隔に並ぶように、2〜8本設けるのが好ましく、特に血管径保持力の点からは、構造部材は、2〜4本設けられるのがよい。構造部材2の数は、これが多いほど構造部材2は寝る(長手方向に傾斜する)ので、柔軟性は向上するが、血管径保持力(管腔径の開存状態を保持する力)は弱くなるので、構造部材2の数が多い場合は、十分な血管径保持力を保つために、図5に示すように、必要ならば隣り合う構造部材2、2同士を、横穴形成予定部分を除いて、部分的に補強要素3で接続してもよい。隣り合う構造部材2、2同士は、図6に示すように部分的に点接続してもよい。この場合、点接続の接続点22は通常、第一の波状要素21の波頭211付近になる。構造部材2の強度が大きい場合や補強要素3を利用した場合など、血管径保持力が確保できる場合は、図6に示すように、両端の環状部材1、1を構成する第二の波状要素11、11の波頭111、111を全て構造部材2で接続するようにしてもよい。
【0015】
補強要素3は、直線状であっても曲線状であっても構わないが、通常、環状部材1の第二の波状要素11および構造部材2の第一の波状要素21との釣り合いから、曲線状の例えばS字状または波形のものが採用される。補強要素3で補強する位置は、横穴形成予定の位置を避けて、適当に決めることができる。
両端の環状部材1、1は、構造部材2の数が少ないほど拡張時に不規則に変形しやすいので、構造部材2の数が少ない場合(2〜3本の場合)、両端を強化するために、両端の環状部材1、1の外側にそれぞれ更に環状部材4、4を設け、隣り合う環状部材1、4を複数の例えば波状の補強要素5で接続してもよい。この場合、環状部材1付近の隣接する構造部材2同士は、図5に示すように、例えばS字状の補強要素3で部分的に接続してもよい。環状部材1と4は同じ形状のものであってもよいが、別形状のものであってもよく、例えば図2に示すような、振幅が同じで波長の違うもの(環状部材1の波長が環状部材4の波長の倍になっている)であってもよい。
また、ステントは波状要素11、21の横断面の角が尖っている場合、これを拡張したときに波頭111、211部分が反り返り、その尖った角の部分で血管等を損傷する虞があるので、波状要素11、21は、波頭111、211部分が尖った角のない滑らかな形状に形成されるのが好ましい。
尚、ステントの形成材料としては、ステンレス鋼、タングステン、タンタル、ニッケル−チタン合金などが採用可能である。
【0016】
〔可撓性試験および血管径保持力試験など〕 表1に示すような展開図を有するステントについて応力解析を行い、その可撓性(柔軟性)、ショートニングおよび血管径保持力を比較したところ、図8〜図10のような結果が得られた。
図8から、本発明のステントが従来のステントと比較してはるかに優れた可撓性を有していることが分かる。また、図9および図10からそれぞれ、拡張時におけるショートニングについては、従来のステントと略同等の性能を示していることが分かる。これは、コイル状に巻回された構造部材の場合、長手方向に変形しやすいことから、バルーンとの間の摩擦抵抗が働いて、長手方向の変形が起こりにくいためと思われる。更に血管径保持力については、従来のステントと比べて若干劣るものの、実施例3や4から、補強要素を適当に入れることによって強化できることが分かる。
尚、可撓性については、ステント片端を固定し、もう片端に1Nの荷重をかけた場合のステント変化量(mm)を解析した。グラフの値は解析値(mm)を個々のステント長さ(mm)で割った値を示している。
また、ショートニングについては、ステントを直径3.0mmに拡張した場合の長さの変化を解析した。グラフはステント長さの変化率を示している。
血管系保持力については、ステントを圧縮(圧力:100mmHg)した場合のステント直径の変化(mm)を解析した。グラフの値は圧縮前のステント直径との割合を示している。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、1)ステントの管壁を構成する構造部材は、環状部材に接続される両端と、後述の補強要素によって接続された部分しか束縛されていないので、ステント全体が曲げに対して柔軟であり、従って、管腔等への追従性に優れている。また、隣り合う構造部材の間を拡げやすいので、横穴の形成が容易である。2)構造部材が、一端の環状部材から他端の環状部材の方向に、両端の環状部材を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて円筒状に形成されているので、均一に拡張することができる。また、長手方向に変形しやすので、バルーンで拡張したときのバルーンとの間の摩擦抵抗により長手方向への変形が阻止され、実質的にショートニングが生ずることが無い。さらに、拡張時の反りが小さく、また、たとえ反りが生じたとしても、波状要素の波頭部分を滑らかに形成しておけば、血管等を損傷することがない。3)構造部材の数が少ない場合、構造部材を立てることができるので、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を確保することができる。また、構造部材の数が多い場合でも、補強要素を適用することにより、柔軟性を余り損なうことなく、管腔径の開存状態を保持するのに十分な強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るステントの斜視図である。
【図2】図1に示すステントの展開図である。
【図3】図1に示すステントを拡張した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第一の波状要素および第二の波状要素の例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかるステントの展開図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例にかかるステントの展開図である。
【図7】本発明のさらに他の実施例にかかるステントの展開図である。
【図8】本発明のステントと従来のステントの可撓性を比較する図である。
【図9】本発明のステントと従来のステントのショートニングを比較する図である。
【図10】本発明のステントと従来のステントの血管径保持力を比較する図である。
【図11】従来のステントの展開図である。
【図12】従来のステントの展開図である。
【図13】従来のステントの展開図である。
【符号の説明】
1 環状部材
11 弟二の波状要素
111 波頭
2 構造部材
21 第一の波状要素
211 波頭
22 接続点
3 補強要素
4 環状部材
5 補強要素
Claims (8)
- 半径方向に拡張可能な両端の環状部材と、該両端の環状部材に接続された複数の構造部材を含んでなり、該構造部材は、第一の波状要素が長手方向に連続されてなる波状模様を有しており、両端がそれぞれ前記環状部材に接続され、一端の環状部材から他端の環状部材の方向に、前記両端の環状部材を結んでできる同一周面上に螺旋状に巻回されて管状に形成されてなる、均一に拡張する柔軟なステント。
- 環状部材が、周方向に連続する第二の波状要素からなり、構造部材の両端がそれぞれ該第二の波状要素の波頭に接続されてなる請求項1に記載のステント。
- 構造部材が、環状部材との接続点が周方向に等間隔に並ぶように2〜8本設けられてなる請求項1または2に記載のステント。
- 構造部材が2〜4本設けられてなる請求項3に記載のステント。
- 隣り合う構造部材同士が部分的に補強要素で接続されてなる請求項1〜4に記載のステント。
- 隣り合う構造部材同士が部分的に点接続されてなる請求項1〜4に記載のステント。
- 両端の環状部材の外側にそれぞれ更に環状部材を設け、隣り合う環状部材同士を複数の波状の補強要素で接続してなる請求項1〜6のいずれかに記載のステント。
- 波状要素の波頭部分が滑らかな形状に形成されてなる請求項1〜7のいずれかに記載のステント。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003044641A JP2004248978A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 均一に拡張する柔軟なステント |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003044641A JP2004248978A (ja) | 2003-02-21 | 2003-02-21 | 均一に拡張する柔軟なステント |
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ID=33027274
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014508569A (ja) * | 2011-01-14 | 2014-04-10 | ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド | ステント |
-
2003
- 2003-02-21 JP JP2003044641A patent/JP2004248978A/ja active Pending
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