JP2004248864A - タフテッドカーペット一次基布 - Google Patents
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Abstract
【課題】いかなるタフト条件においてもモアレ現象を発現しないタフテッドカーペット一次基布を提供する。
【解決手段】パイル糸をタフティングするためのタフテッドカーペット一次基布であって、該一次基布が、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなり、部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、部分的熱圧着部の面積率が5%以上38%以下であることを特徴とするタフテッドカーペット一次基布。
【選択図】 図1
【解決手段】パイル糸をタフティングするためのタフテッドカーペット一次基布であって、該一次基布が、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなり、部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、部分的熱圧着部の面積率が5%以上38%以下であることを特徴とするタフテッドカーペット一次基布。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タフテッドカーペット一次基布およびそれから得られるタフテッドカーペットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、タフテッドカーペットは、長繊維不織布等のタフテッドカーペット一次基布にパイル糸をタフティングし、タフテッドカーペット生機を得、これに染色、バッキング等を行うことにより得ている。このようなタフテッドカーペットには、自動車のフロアカーペットの様に成形加工が施されるため、高い伸度と低い初期伸長応力を要する成形カーペットと、オフィスなどのフロア平面にて使用するタイルカーペットやフロアカーペット等があり、これらに使用される一次基布としても、各用途における必要性能を満足すべく、種々のものが使い分けられている。
【0003】
オフィスやホテル等のフロア面に敷設されるカーペットとしては、一般に成形性を必要とせず、季節や空調機などによる温度や湿度の変化、人間の歩行や物の移動に伴う力の作用に対して、容易に伸びたり、縮んだりの変形を生じにくいものが望まれ、一次基布の不織布にも、同様な性能が要求されている。
【0004】
このような要求を満足する一次基布として、特許文献1には、低融点成分が繊維の表面を覆っている芯鞘複合繊維からなり、エンボスロールで部分的に熱圧着した不織布からなるタフテッドカーペット用一次基布不織布が開示され、また、特許文献2には、高融点成分からなる繊維と低融点成分からなる繊維とからなり、エンボスロールにより熱圧着され、かつバインダーで接着固定した不織布からなるタフテッドカーペット用一次基布が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−104973号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−93356号公報
【0007】
タフテッドカーペットは、上記したような一次基布に、パイル糸をタフティングマシンによりタフトするものであるが、パイル糸をタフトする際のタフト条件は、カーペットのデザインや品質、パイル糸の形状・素材・太さ、さらには製造コスト等を考慮して設定する。具体的には、ゲージ(機械方向と直行する方向における25.4mmあたりの針の数)およびステッチ数(機械方向25.4mmあたりの植え込み本数)を適宜設定することにより行われるが、ゲージは、タフト機によって固定されるために、実際は、ステッチ数を変更することが主である。ステッチ数としては8〜15個/25.4mmの範囲より設定すること通常であり、この範囲内において、カーペットの要求性能やパイル糸の形態等に応じて適宜選択する。
【0008】
例えば、タイルカーペットは、適宜の大きさに切断して使用するものであるが、ステッチ数が少ないと、一枚のタイルカーペットの端部にパイルの欠落領域が発生しやすく、タイルカーペットを敷き詰めた際に、パイルの欠落領域が目立つという問題が発生するため、この問題を解決するために上記ステッチ数の範囲内で、ステッチ数を増やす方向に設定する傾向にある。
【0009】
しかし、ステッチ数を変更した場合に、パイル糸をタフティングしたカーペットの表面に、パイルの一部が縞模様状に浮き出て見える現象(モアレ現象)が生じ、製品として使用できないものが生じるといった問題がある。すなわち、カーペットを製造する際のタフト条件として、カーペットのデザインや品質、コストを考慮して自由に設定したいが、上記問題が発生するために、自由にパイルの設計ができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解消するものであって、いかなるタフト条件においてもモアレ現象を発現しないタフテッドカーペット一次基布を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するためにモアレ現象の発現性について鋭意検討を行う過程で、タフティングを行う際のタフト条件におけるステッチ数と一次基布が有する部分的熱圧着部との関係について着目した。
【0012】
ステッチ数は、生機の機械方向の一定間隔におけるパイル糸の植設密度であり、パイル糸が機械方向に特定の間隔で植設されている。また、一次基布が有する部分的熱圧着部も機械方向に特定の間隔で存在している。部分的熱圧着部は、構成繊維が熱により硬化した部分であるため、その部分にパイル糸を植設する場合、熱圧着部以外の部分(長繊維が単に堆積してなる部分)とは一次基布を貫通する抵抗が異なるため、極わずかなブレが生じ、植設したパイル糸が若干寝る(倒れる)、もしくは、パイルの高さが低くなる等の熱圧着部以外の部分とは異なる植設状態が発現すると考えられる。そして、上記植設状態は、機械方向に存在する部分的熱圧着部の間隔とステッチ数との関係により、周期的に存在することになる。
【0013】
本発明者は、この発現周期とモアレ現象との関係について調べたところ、ある特定の周期で上記植設状態が発現した場合に、人の目により縞模様が浮き出て見える現象(モアレ現象)として認識するが、ある特定周期以外で上記植設状態が発現してもモアレ現象とは認識しない、すなわち問題とならないことを見出した。
【0014】
そこで、上記知見に基づき、モアレ現象と認識しない周期範囲で上記植設状態を発現させるような一次基布を提供すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明は、パイル糸をタフティングするためのタフテッドカーペット一次基布であって、該一次基布が、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなり、部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、部分的熱圧着部の面積率が5%以上38%以下であることを特徴とするタフテッドカーペット一次基布を要旨とするものである。
【0016】
また、本発明は、上記タフテッドカーペット一次基布に、パイル糸がステッチ数8〜15個/25.4mmでタフティングしてなることを特徴とするタフテッドカーペットを要旨とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0018】
本発明の一次基布は、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的に熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなる。長繊維不織布は、常法のスパンボンド法によって長繊維を集積してなるウエブを製造し、その後、部分的に熱圧着部を形成することにより得ることができる。
【0019】
熱可塑性樹脂からなる長繊維としては、特に限定しないが、タフト工程や染色工程において要求される寸法安定性等に優れることから、ポリエステルからなる繊維、ポリアミドからなる繊維が好ましく用いられる。
【0020】
また、長繊維においては、単一の熱可塑性樹脂からなるものではなく、高融点成分と低融点成分からなり、繊維断面の外周の少なくとも一部が低融点成分からなる複合繊維であってもよい。この場合には、上記した寸法安定性等に優れることから、高融点成分をポリエチレンテレフタレートとし、低融点成分が共重合ポリエステルまたはポリアミドからなるものがより好ましい。
【0021】
また、高融点成分からなる長繊維と、低融点成分からなる長繊維とが混合してなる混繊タイプの長繊維不織布であってもよい。この場合は、高融点成分からなる長繊維としては、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維、低融点成分からなる長繊維としては、共重合ポリエステルやポリアミドからなる長繊維であることが好ましい。
【0022】
本発明の一次基布は、長繊維同士が部分的に熱圧着部によって一体化してなる長繊維不織布からなるが、部分的に熱圧着部を施す前の長繊維が集積してなるものとしては、単に長繊維が集積してなるウエブであっても、また、前記ウエブにニードルパンチ処理等が施され、繊維同士が絡合してなるものであってもよい。特に、長繊維不織布を構成する繊維が、単一の樹脂からなる場合には、繊維同士が絡合してなるものが好ましい。
【0023】
部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、かつ部分的熱圧着部の面積率は、5%以上38%以下である。
【0024】
機械方向において、部分的熱圧着部の存在するピッチが上記範囲外であると、パイル糸をタフティングする際の条件によっては、モアレ現象が生じるため、本発明の目的を達成することができない。
【0025】
ここで、機械方向における部分的熱圧着部が存在するピッチをX(mm)、タフティング時のステッチ数をS(個/25.4mm)とした場合、熱圧着部にパイル糸がタフティングされる周期は、機械方向に下記式により表されるP(mm)である。
P=[X×(25.4/S)]/[X−(25.4/S)]
【0026】
このとき、周期P(mm)が15〜40の範囲にあると、この周期により発生する部分的熱圧着部にパイル糸がタフティングされた部分が、パイル糸の太さ・素材・色等の形態により認識のし易さは多少異なるが、目視によって、カーペット全体を見渡した際に縞模様が浮き出たように観察されモアレ現象として認識される。モアレ現象として認識されるタフテッドカーペットは、カーペットの品位が著しく損ねたものとなる。一方、この周期P(mm)が、15未満、好ましくは10未満であると、部分的熱圧着部にパイル糸がタフティングされた部分の発生間隔が狭いために、人の目には、これをモアレ現象として認識せず、カーペットの品位は問題とならず良好である。一方、周期P(mm)が40を超えると、好ましくは50を超えると、その状態の発生間隔が広すぎて、これも人の目にはモアレ現象として認識せず、カーペットの品位は良好となる。
【0027】
本発明の一次基布では、機械方向における一次基布の部分的熱圧着部が1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在しているので、一般的に生産されるカーペットのタフトステッチ8〜15個/25.4mmにおいて、タフトステッチの設計を自由に選択・変更しても、上記した周期P(mm)が15〜40の範囲から外れるため、人の目でモアレ現象として認識しない外観品位に優れたタフトカーペットを得ることができる。
【0028】
熱圧着部のピッチの下限および上限としては、後述する圧着部の面積率との関係により適宜選択すればよいが、下限は0.5mm程度、上限は6.0mm程度とすればよい。
【0029】
本発明でいう部分的熱圧着部とは、あらかじめ決められたパターンに基づき、加圧下で、熱または超音波を与えることによって付与する(いわゆる、熱エンボス加工や超音波融着加工により得る)ものであって、その部位に存在する繊維を構成している樹脂の少なくとも一部が、溶融又は軟化して硬化している。そして、部分的熱圧着部は、熱圧着部以外の部位(長繊維が集積してなる部位)と比較し、硬化し、厚みが小さくなっている。また、熱エンボス加工における熱エンボス装置は、一対のロールからなるものであって、少なくとも一方がエンボスロールとし、一対のエンボスロールからなるものであっても、エンボスロールとフラットロールとからなるものであってもよい。
【0030】
部分的熱圧着部の形状・パターンとしては、円形、楕円形、四角形、六角形、長方形等の点状の熱圧着部が、決められたパターンに基づき散点状に存在しているもの、また、ストライプ状や格子状等の連続した線状の圧着部であってもよい。
【0031】
機械方向における部分的熱圧着部のピッチは、下記のように測定する。例えば、部分的熱圧着部が図1に示すように、その配列パターンが機械方向およびそれと直行する方向に四角形を形成し、熱圧着部がその頂点を形成するものである場合(すなわち、パターン角度が0度および90度の場合)は、ある熱圧着部(a)と機械方向に存在する最も近い熱圧着部(b)との距離とし、熱圧着部(a)の中心点と熱圧着部(b)との中心点との間の距離(X)を機械方向のピッチとする。
【0032】
また、熱圧着部が図2に示すように、そのパターンが機械方向に対して千鳥状に配置されている場合(パターン角度が0度および90度でない場合)は、熱圧着部(a)と最も近い熱圧着部(b)との距離、すなわち、熱圧着部(a)と熱圧着部(b)との中心点との間の距離(Z)を機械方向(X)とこれと垂直する方向(Y)に分解したときの機械方向の距離(X)を機械方向のピッチとする。
【0033】
熱圧着部が図3に示すストライプ状の場合は、ストライプを構成する線部の中心と線部の中心との間の距離(X)を機械方向のピッチとし、また、図4に示す格子状の場合は、機械方向と直行する方向の線部の中心と線部の中心との間の距離(X)と機械方向のピッチとする。
【0034】
また、図5に示すように点状の熱圧着部(a)と点状の熱圧着部(b)とがつながっている場合であっても、上記した図1または図2と同様の定義に基づきピッチを測定する。すなわち、図5においては、その配列パターンが機械方向およびそれと直行する方向に四角形を形成し、熱圧着部がその頂点を形成するものであるので(すなわち、パターン角度が0度および90度)、熱圧着部(a)と機械方向に存在する最も近い熱圧着部(b)との距離であって、熱圧着部(a)の中心点と熱圧着部(b)との中心点との間の距離(X)を機械方向のピッチとする。
【0035】
本発明の一次基布における部分的熱圧着部の面積率は、5%以上38%以下である。部分的熱圧着部の面積率が5%未満であると、一次基布全面における接着部の面積率が相対的に低すぎるため、タフト工程などの外力によって接着部が外れ、基布としてのシート形態を保つことができず、基布がももけた状態になり、その結果、引張強力などの機械的強力が低下し、タフト工程や染色工程で、幅縮みを起こすなどの問題が発生しやすい。一方、部分的熱圧着部の面積率が38%を超えると、繊維間の接着強力が強くなりすぎて繊維の自由度が失われ、タフト針の貫通の際に多くの構成繊維が切断されてしまい、その結果、引張強力の低下、特に引裂強力が大幅に低下し、染色工程後の乾燥時に裂けてしまうという問題が生じるため好ましくない。
【0036】
本発明の一次基布は、3〜15質量%(繊維質量比)のバインダーを付着してもよい。特に長繊維不織布の構成繊維が単成分からなる場合には、タフト工程、染色工程時の寸法安定性を向上させるために有効である。バインダーの付着率が3質量%未満であると、バインダーを付着させる効果が十分に奏されず、一方、15質量%を超えると、構成繊維同士の接着が強固となるため、熱圧着部の面積率が38%を超える場合と同様、タフティングの際のタフト針による繊維切れが多発し、引裂強力が大幅に低下し、染色工程後の乾燥時に裂けてしまうこととなるため好ましくない。また、コスト的にも不利である。
【0037】
用いるバインダーとしては、アクリル樹脂、アクリル樹脂とメラミン樹脂の混合物、合成ゴムなど一般に使用されているものでよく、特に限定するものでないが、環境問題を鑑みて、遊離ホルマリンなどの、揮発性有機化合物の発生を生じないような配慮をすることが好ましい。そのために、バインダー樹脂架橋剤として広く知られているN−MAMを架橋剤としないバインダーを使用することが特に望ましい。
【0038】
本発明においては、前記したタフテッドカーペット一次基布に、ステッチ数8〜15個/25.4mmでパイル糸をタフティングすることにより生機を得、その後、必要に応じて染色工程を通し、その後、パイル面の裏面に樹脂等によるバッキングを行いモアレ現象が発生しないタフトカーペットを得ることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
実施例1
融点255℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分に、融点230℃の共重合ポリエステルを鞘成分に配した芯鞘型複合繊維を多数の口金より溶融押出し、単糸繊度が7.7デシテックスとなるよう高速で引き取り、移動するネットコンベア上にウェブとして堆積した後、図6に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.41mm、圧接面積率12.8%)を形成するエンボスロールとフラットロールからなる一対の熱エンボス装置(両ロールの表面温度を205℃に設定)に通し、部分的熱圧着部を形成し、本発明のタフテッドカーペット一次基布を得た。一次基布の単位面積重量(以下、目付)は90g/m2であった。
【0041】
実施例2
実施例1において、エンボスロールとして、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.50mm、圧接面積率6.4%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明のタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0042】
実施例3
融点255℃のポリエチレンテレフタレートを多数の口金より溶融押出し、単糸繊度が7.7デシテックスとなるよう高速で引き取り、移動するネットコンベア上にウェブとして堆積した後、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.25mm、圧接面積率16.2%)を形成するエンボスロールとフラットロールからなる一対の熱エンボス装置(両ロールの表面温度を215℃に設定)に通し、部分的熱圧着部を形成し、その後、アクリル系のエマルジョンバインダー樹脂を9質量%(繊維質量比)含浸付着させ、本発明のタフテッドカーペット用一次基布を得た。一次基布の単位面積重量(以下、目付)は90g/m2であった。
【0043】
実施例4
実施例3において、エンボスロールとして、図5に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.25mm、圧接面積率36.8%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明のタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0044】
比較例1
実施例1において、エンボスロールとして、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ2.04mm、圧接面積率16.9%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0045】
比較例2
実施例1において、エンボスロールとして、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ2.5mm、圧接面積率4%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0046】
(外観評価)
得られた実施例1〜4、比較例1〜2のタフテッドカーペット一次基布に、パイル糸を植設した。すなわち、パイル糸として3150デニール/120フィラメントのナイロン捲縮糸を用い、タフティングマシンにより、1/10ゲージ、パイルハイ5mmとし、ステッチ数を8〜15個/25.4mmの範囲で変更したもの(生機)を作成し、得られた生機を染色して染色生機を得た。
【0047】
次いで、得られた染色生機のパイル面におけるモアレ現象の発現の有無を観察・評価した。すなわち、染色生機を1.5m(機械方向)×4m(機械方向を直行する方向)に裁断し、斜光下において目視観察し、下記基準にて評価した。
◎:モアレ現象を全く認識できないもの
○:やや緩やかな(大きな発現周期)モアレ現象が若干認められる、または、細かい周期のモアレ現象が若干認められるが、製品使用上問題がないもの
×:モアレ現象の発現が顕著に認められ、製品として使用不可能もしくはその恐れが高いもの
評価結果等を表1、表2に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明のタフテッドカーペット用一次基布を使用すると、一般的に生産されるカーペットのタフトステッチの範囲内において、モアレ現象を発現しないために、カーペットの意匠性や品位の目的に応じて、自由にタフト設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図2】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図3】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図4】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図5】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図6】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【符号の説明】
a,b:熱圧着部
【発明の属する技術分野】
本発明は、タフテッドカーペット一次基布およびそれから得られるタフテッドカーペットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、タフテッドカーペットは、長繊維不織布等のタフテッドカーペット一次基布にパイル糸をタフティングし、タフテッドカーペット生機を得、これに染色、バッキング等を行うことにより得ている。このようなタフテッドカーペットには、自動車のフロアカーペットの様に成形加工が施されるため、高い伸度と低い初期伸長応力を要する成形カーペットと、オフィスなどのフロア平面にて使用するタイルカーペットやフロアカーペット等があり、これらに使用される一次基布としても、各用途における必要性能を満足すべく、種々のものが使い分けられている。
【0003】
オフィスやホテル等のフロア面に敷設されるカーペットとしては、一般に成形性を必要とせず、季節や空調機などによる温度や湿度の変化、人間の歩行や物の移動に伴う力の作用に対して、容易に伸びたり、縮んだりの変形を生じにくいものが望まれ、一次基布の不織布にも、同様な性能が要求されている。
【0004】
このような要求を満足する一次基布として、特許文献1には、低融点成分が繊維の表面を覆っている芯鞘複合繊維からなり、エンボスロールで部分的に熱圧着した不織布からなるタフテッドカーペット用一次基布不織布が開示され、また、特許文献2には、高融点成分からなる繊維と低融点成分からなる繊維とからなり、エンボスロールにより熱圧着され、かつバインダーで接着固定した不織布からなるタフテッドカーペット用一次基布が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−104973号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−93356号公報
【0007】
タフテッドカーペットは、上記したような一次基布に、パイル糸をタフティングマシンによりタフトするものであるが、パイル糸をタフトする際のタフト条件は、カーペットのデザインや品質、パイル糸の形状・素材・太さ、さらには製造コスト等を考慮して設定する。具体的には、ゲージ(機械方向と直行する方向における25.4mmあたりの針の数)およびステッチ数(機械方向25.4mmあたりの植え込み本数)を適宜設定することにより行われるが、ゲージは、タフト機によって固定されるために、実際は、ステッチ数を変更することが主である。ステッチ数としては8〜15個/25.4mmの範囲より設定すること通常であり、この範囲内において、カーペットの要求性能やパイル糸の形態等に応じて適宜選択する。
【0008】
例えば、タイルカーペットは、適宜の大きさに切断して使用するものであるが、ステッチ数が少ないと、一枚のタイルカーペットの端部にパイルの欠落領域が発生しやすく、タイルカーペットを敷き詰めた際に、パイルの欠落領域が目立つという問題が発生するため、この問題を解決するために上記ステッチ数の範囲内で、ステッチ数を増やす方向に設定する傾向にある。
【0009】
しかし、ステッチ数を変更した場合に、パイル糸をタフティングしたカーペットの表面に、パイルの一部が縞模様状に浮き出て見える現象(モアレ現象)が生じ、製品として使用できないものが生じるといった問題がある。すなわち、カーペットを製造する際のタフト条件として、カーペットのデザインや品質、コストを考慮して自由に設定したいが、上記問題が発生するために、自由にパイルの設計ができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解消するものであって、いかなるタフト条件においてもモアレ現象を発現しないタフテッドカーペット一次基布を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するためにモアレ現象の発現性について鋭意検討を行う過程で、タフティングを行う際のタフト条件におけるステッチ数と一次基布が有する部分的熱圧着部との関係について着目した。
【0012】
ステッチ数は、生機の機械方向の一定間隔におけるパイル糸の植設密度であり、パイル糸が機械方向に特定の間隔で植設されている。また、一次基布が有する部分的熱圧着部も機械方向に特定の間隔で存在している。部分的熱圧着部は、構成繊維が熱により硬化した部分であるため、その部分にパイル糸を植設する場合、熱圧着部以外の部分(長繊維が単に堆積してなる部分)とは一次基布を貫通する抵抗が異なるため、極わずかなブレが生じ、植設したパイル糸が若干寝る(倒れる)、もしくは、パイルの高さが低くなる等の熱圧着部以外の部分とは異なる植設状態が発現すると考えられる。そして、上記植設状態は、機械方向に存在する部分的熱圧着部の間隔とステッチ数との関係により、周期的に存在することになる。
【0013】
本発明者は、この発現周期とモアレ現象との関係について調べたところ、ある特定の周期で上記植設状態が発現した場合に、人の目により縞模様が浮き出て見える現象(モアレ現象)として認識するが、ある特定周期以外で上記植設状態が発現してもモアレ現象とは認識しない、すなわち問題とならないことを見出した。
【0014】
そこで、上記知見に基づき、モアレ現象と認識しない周期範囲で上記植設状態を発現させるような一次基布を提供すべく鋭意検討の結果、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明は、パイル糸をタフティングするためのタフテッドカーペット一次基布であって、該一次基布が、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなり、部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、部分的熱圧着部の面積率が5%以上38%以下であることを特徴とするタフテッドカーペット一次基布を要旨とするものである。
【0016】
また、本発明は、上記タフテッドカーペット一次基布に、パイル糸がステッチ数8〜15個/25.4mmでタフティングしてなることを特徴とするタフテッドカーペットを要旨とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0018】
本発明の一次基布は、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的に熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなる。長繊維不織布は、常法のスパンボンド法によって長繊維を集積してなるウエブを製造し、その後、部分的に熱圧着部を形成することにより得ることができる。
【0019】
熱可塑性樹脂からなる長繊維としては、特に限定しないが、タフト工程や染色工程において要求される寸法安定性等に優れることから、ポリエステルからなる繊維、ポリアミドからなる繊維が好ましく用いられる。
【0020】
また、長繊維においては、単一の熱可塑性樹脂からなるものではなく、高融点成分と低融点成分からなり、繊維断面の外周の少なくとも一部が低融点成分からなる複合繊維であってもよい。この場合には、上記した寸法安定性等に優れることから、高融点成分をポリエチレンテレフタレートとし、低融点成分が共重合ポリエステルまたはポリアミドからなるものがより好ましい。
【0021】
また、高融点成分からなる長繊維と、低融点成分からなる長繊維とが混合してなる混繊タイプの長繊維不織布であってもよい。この場合は、高融点成分からなる長繊維としては、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維、低融点成分からなる長繊維としては、共重合ポリエステルやポリアミドからなる長繊維であることが好ましい。
【0022】
本発明の一次基布は、長繊維同士が部分的に熱圧着部によって一体化してなる長繊維不織布からなるが、部分的に熱圧着部を施す前の長繊維が集積してなるものとしては、単に長繊維が集積してなるウエブであっても、また、前記ウエブにニードルパンチ処理等が施され、繊維同士が絡合してなるものであってもよい。特に、長繊維不織布を構成する繊維が、単一の樹脂からなる場合には、繊維同士が絡合してなるものが好ましい。
【0023】
部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、かつ部分的熱圧着部の面積率は、5%以上38%以下である。
【0024】
機械方向において、部分的熱圧着部の存在するピッチが上記範囲外であると、パイル糸をタフティングする際の条件によっては、モアレ現象が生じるため、本発明の目的を達成することができない。
【0025】
ここで、機械方向における部分的熱圧着部が存在するピッチをX(mm)、タフティング時のステッチ数をS(個/25.4mm)とした場合、熱圧着部にパイル糸がタフティングされる周期は、機械方向に下記式により表されるP(mm)である。
P=[X×(25.4/S)]/[X−(25.4/S)]
【0026】
このとき、周期P(mm)が15〜40の範囲にあると、この周期により発生する部分的熱圧着部にパイル糸がタフティングされた部分が、パイル糸の太さ・素材・色等の形態により認識のし易さは多少異なるが、目視によって、カーペット全体を見渡した際に縞模様が浮き出たように観察されモアレ現象として認識される。モアレ現象として認識されるタフテッドカーペットは、カーペットの品位が著しく損ねたものとなる。一方、この周期P(mm)が、15未満、好ましくは10未満であると、部分的熱圧着部にパイル糸がタフティングされた部分の発生間隔が狭いために、人の目には、これをモアレ現象として認識せず、カーペットの品位は問題とならず良好である。一方、周期P(mm)が40を超えると、好ましくは50を超えると、その状態の発生間隔が広すぎて、これも人の目にはモアレ現象として認識せず、カーペットの品位は良好となる。
【0027】
本発明の一次基布では、機械方向における一次基布の部分的熱圧着部が1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在しているので、一般的に生産されるカーペットのタフトステッチ8〜15個/25.4mmにおいて、タフトステッチの設計を自由に選択・変更しても、上記した周期P(mm)が15〜40の範囲から外れるため、人の目でモアレ現象として認識しない外観品位に優れたタフトカーペットを得ることができる。
【0028】
熱圧着部のピッチの下限および上限としては、後述する圧着部の面積率との関係により適宜選択すればよいが、下限は0.5mm程度、上限は6.0mm程度とすればよい。
【0029】
本発明でいう部分的熱圧着部とは、あらかじめ決められたパターンに基づき、加圧下で、熱または超音波を与えることによって付与する(いわゆる、熱エンボス加工や超音波融着加工により得る)ものであって、その部位に存在する繊維を構成している樹脂の少なくとも一部が、溶融又は軟化して硬化している。そして、部分的熱圧着部は、熱圧着部以外の部位(長繊維が集積してなる部位)と比較し、硬化し、厚みが小さくなっている。また、熱エンボス加工における熱エンボス装置は、一対のロールからなるものであって、少なくとも一方がエンボスロールとし、一対のエンボスロールからなるものであっても、エンボスロールとフラットロールとからなるものであってもよい。
【0030】
部分的熱圧着部の形状・パターンとしては、円形、楕円形、四角形、六角形、長方形等の点状の熱圧着部が、決められたパターンに基づき散点状に存在しているもの、また、ストライプ状や格子状等の連続した線状の圧着部であってもよい。
【0031】
機械方向における部分的熱圧着部のピッチは、下記のように測定する。例えば、部分的熱圧着部が図1に示すように、その配列パターンが機械方向およびそれと直行する方向に四角形を形成し、熱圧着部がその頂点を形成するものである場合(すなわち、パターン角度が0度および90度の場合)は、ある熱圧着部(a)と機械方向に存在する最も近い熱圧着部(b)との距離とし、熱圧着部(a)の中心点と熱圧着部(b)との中心点との間の距離(X)を機械方向のピッチとする。
【0032】
また、熱圧着部が図2に示すように、そのパターンが機械方向に対して千鳥状に配置されている場合(パターン角度が0度および90度でない場合)は、熱圧着部(a)と最も近い熱圧着部(b)との距離、すなわち、熱圧着部(a)と熱圧着部(b)との中心点との間の距離(Z)を機械方向(X)とこれと垂直する方向(Y)に分解したときの機械方向の距離(X)を機械方向のピッチとする。
【0033】
熱圧着部が図3に示すストライプ状の場合は、ストライプを構成する線部の中心と線部の中心との間の距離(X)を機械方向のピッチとし、また、図4に示す格子状の場合は、機械方向と直行する方向の線部の中心と線部の中心との間の距離(X)と機械方向のピッチとする。
【0034】
また、図5に示すように点状の熱圧着部(a)と点状の熱圧着部(b)とがつながっている場合であっても、上記した図1または図2と同様の定義に基づきピッチを測定する。すなわち、図5においては、その配列パターンが機械方向およびそれと直行する方向に四角形を形成し、熱圧着部がその頂点を形成するものであるので(すなわち、パターン角度が0度および90度)、熱圧着部(a)と機械方向に存在する最も近い熱圧着部(b)との距離であって、熱圧着部(a)の中心点と熱圧着部(b)との中心点との間の距離(X)を機械方向のピッチとする。
【0035】
本発明の一次基布における部分的熱圧着部の面積率は、5%以上38%以下である。部分的熱圧着部の面積率が5%未満であると、一次基布全面における接着部の面積率が相対的に低すぎるため、タフト工程などの外力によって接着部が外れ、基布としてのシート形態を保つことができず、基布がももけた状態になり、その結果、引張強力などの機械的強力が低下し、タフト工程や染色工程で、幅縮みを起こすなどの問題が発生しやすい。一方、部分的熱圧着部の面積率が38%を超えると、繊維間の接着強力が強くなりすぎて繊維の自由度が失われ、タフト針の貫通の際に多くの構成繊維が切断されてしまい、その結果、引張強力の低下、特に引裂強力が大幅に低下し、染色工程後の乾燥時に裂けてしまうという問題が生じるため好ましくない。
【0036】
本発明の一次基布は、3〜15質量%(繊維質量比)のバインダーを付着してもよい。特に長繊維不織布の構成繊維が単成分からなる場合には、タフト工程、染色工程時の寸法安定性を向上させるために有効である。バインダーの付着率が3質量%未満であると、バインダーを付着させる効果が十分に奏されず、一方、15質量%を超えると、構成繊維同士の接着が強固となるため、熱圧着部の面積率が38%を超える場合と同様、タフティングの際のタフト針による繊維切れが多発し、引裂強力が大幅に低下し、染色工程後の乾燥時に裂けてしまうこととなるため好ましくない。また、コスト的にも不利である。
【0037】
用いるバインダーとしては、アクリル樹脂、アクリル樹脂とメラミン樹脂の混合物、合成ゴムなど一般に使用されているものでよく、特に限定するものでないが、環境問題を鑑みて、遊離ホルマリンなどの、揮発性有機化合物の発生を生じないような配慮をすることが好ましい。そのために、バインダー樹脂架橋剤として広く知られているN−MAMを架橋剤としないバインダーを使用することが特に望ましい。
【0038】
本発明においては、前記したタフテッドカーペット一次基布に、ステッチ数8〜15個/25.4mmでパイル糸をタフティングすることにより生機を得、その後、必要に応じて染色工程を通し、その後、パイル面の裏面に樹脂等によるバッキングを行いモアレ現象が発生しないタフトカーペットを得ることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【0040】
実施例1
融点255℃のポリエチレンテレフタレートを芯成分に、融点230℃の共重合ポリエステルを鞘成分に配した芯鞘型複合繊維を多数の口金より溶融押出し、単糸繊度が7.7デシテックスとなるよう高速で引き取り、移動するネットコンベア上にウェブとして堆積した後、図6に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.41mm、圧接面積率12.8%)を形成するエンボスロールとフラットロールからなる一対の熱エンボス装置(両ロールの表面温度を205℃に設定)に通し、部分的熱圧着部を形成し、本発明のタフテッドカーペット一次基布を得た。一次基布の単位面積重量(以下、目付)は90g/m2であった。
【0041】
実施例2
実施例1において、エンボスロールとして、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.50mm、圧接面積率6.4%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明のタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0042】
実施例3
融点255℃のポリエチレンテレフタレートを多数の口金より溶融押出し、単糸繊度が7.7デシテックスとなるよう高速で引き取り、移動するネットコンベア上にウェブとして堆積した後、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.25mm、圧接面積率16.2%)を形成するエンボスロールとフラットロールからなる一対の熱エンボス装置(両ロールの表面温度を215℃に設定)に通し、部分的熱圧着部を形成し、その後、アクリル系のエマルジョンバインダー樹脂を9質量%(繊維質量比)含浸付着させ、本発明のタフテッドカーペット用一次基布を得た。一次基布の単位面積重量(以下、目付)は90g/m2であった。
【0043】
実施例4
実施例3において、エンボスロールとして、図5に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ1.25mm、圧接面積率36.8%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして本発明のタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0044】
比較例1
実施例1において、エンボスロールとして、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ2.04mm、圧接面積率16.9%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0045】
比較例2
実施例1において、エンボスロールとして、図2に示すごとき部分的熱圧着部(機械方向のピッチ2.5mm、圧接面積率4%)を形成するエンボスロールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペット一次基布を得た。
【0046】
(外観評価)
得られた実施例1〜4、比較例1〜2のタフテッドカーペット一次基布に、パイル糸を植設した。すなわち、パイル糸として3150デニール/120フィラメントのナイロン捲縮糸を用い、タフティングマシンにより、1/10ゲージ、パイルハイ5mmとし、ステッチ数を8〜15個/25.4mmの範囲で変更したもの(生機)を作成し、得られた生機を染色して染色生機を得た。
【0047】
次いで、得られた染色生機のパイル面におけるモアレ現象の発現の有無を観察・評価した。すなわち、染色生機を1.5m(機械方向)×4m(機械方向を直行する方向)に裁断し、斜光下において目視観察し、下記基準にて評価した。
◎:モアレ現象を全く認識できないもの
○:やや緩やかな(大きな発現周期)モアレ現象が若干認められる、または、細かい周期のモアレ現象が若干認められるが、製品使用上問題がないもの
×:モアレ現象の発現が顕著に認められ、製品として使用不可能もしくはその恐れが高いもの
評価結果等を表1、表2に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明のタフテッドカーペット用一次基布を使用すると、一般的に生産されるカーペットのタフトステッチの範囲内において、モアレ現象を発現しないために、カーペットの意匠性や品位の目的に応じて、自由にタフト設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図2】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図3】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図4】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図5】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【図6】部分的熱圧着部のパターンを示す概略図である。
【符号の説明】
a,b:熱圧着部
Claims (4)
- パイル糸をタフティングするためのタフテッドカーペット一次基布であって、該一次基布が、熱可塑性樹脂からなる長繊維が集積し、該繊維同士が、部分的熱圧着部によって一体化した長繊維不織布からなり、部分的熱圧着部は、機械方向に1.5mm以下または4.0mm以上のピッチで存在し、部分的熱圧着部の面積率が5%以上38%以下であることを特徴とするタフテッドカーペット一次基布。
- 長繊維不織布にバインダーが付与されていることを特徴とする請求項1に記載のタフテッドカーペット一次基布。
- 部分的熱圧着部は、一対のロールにより付与されたものであり、一対のロールの少なくとも一方がエンボスロールであることを特徴とする請求項1または2に記載のタフテッドカーペット一次基布。
- 請求項1〜3に記載のタフテッドカーペット一次基布に、パイル糸がステッチ数8〜15個/25.4mmでタフティングしてなることを特徴とするタフテッドカーペット。
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-
2003
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