JP2004247200A - メタルバック層の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスキングテープの位置ずれやエアー混入などが生じることがなく、蛍光体層との密着性が良いうえに、金属膜のエッジ部の切れ性が良く、耐圧特性に優れたメタルバック層を形成する。
【解決手段】本発明のメタルバック層の形成方法は、フェースプレート内面に蛍光体層を形成する工程と、前記フェースプレート内面の非表示領域にマスキングテープを貼付する工程と、転写フィルムの転写工程と、前記マスキングテープを剥ぎ取る工程を備えており、前記マスキングテープの基材が5〜10μmの厚さを有する。マスキングテープの基材としてはポリエステル樹脂テープを使用することができる。また接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする層を使用することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のメタルバック層の形成方法は、フェースプレート内面に蛍光体層を形成する工程と、前記フェースプレート内面の非表示領域にマスキングテープを貼付する工程と、転写フィルムの転写工程と、前記マスキングテープを剥ぎ取る工程を備えており、前記マスキングテープの基材が5〜10μmの厚さを有する。マスキングテープの基材としてはポリエステル樹脂テープを使用することができる。また接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする層を使用することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルバック層の形成方法に係り、さらに詳しくは、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの平面型画像表示装置において、フェースプレート内面の非表示領域をマスキングした後、所望の領域に転写方式によりメタルバック層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陰極線管(CRT)やFEDなどの画像表示装置の蛍光面では、蛍光体層の内面(フェースプレートと反対側の面)にAl等の金属膜が形成されたメタルバック方式の構造が広く採用されている。
【0003】
このメタルバック方式は、電子源からの電子により励起された蛍光体層から金属膜(メタルバック層)側へ発せられた光を反射し、より効率よくフェースプレート前面に発光エネルギーを送ることと、蛍光体層に導電性を付与し電極の役割を果たすことを目的としたものである。
【0004】
従来から、簡便なメタルバック層の形成方法として、離型剤を施したフィルム上に金属蒸着膜を形成しておき、この金属膜を接着剤を用いて蛍光体層上に転写する方法(転写方式)が提案されている。(例えば、特許文献1参照)そして、転写方式では、フェースプレート周辺部の非表示領域に、マスキングテープを貼付するなどの方法でマスキングを施した後、転写フィルムを加熱・押圧して転写することが行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−102139号公報(第2頁、第3−4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したマスキングを施した後転写を行う方法では、マスキングの不具合を原因とするメタルバック層の形成不良、例えば、転写される金属膜のエッジ部の切れ性が悪く(特に、マスキングテープが厚い場合)、メタルバック層の端縁部にバリ状の突起が生じる現象や、転写フィルムの加熱・押圧時にマスキングテープがずれてしまう現象、あるいはマスキングテープと蛍光体層との段差に起因するエアー混入などが発生しやすいという問題があった。
【0007】
また、転写方式でのメタルバック層の形成に好適するマスキングテープの基材や接着剤が、未だ見出されていないのが現状であった。
【0008】
すなわち、転写の際の高温に耐えるマスキングテープとして、従来から耐熱性の高いポリイミド樹脂テープ(例えば、デュポン社のカプトン)を基材とするものが使用されているが、このマスキングテープでは、金属膜のエッジ部の切れ性を良くするためにテープ基材の厚さを薄くすると、静電気が発生しやすく、作業者の手や身体に付着して貼付作業性が悪いばかりでなく、マスキングテープにしわが発生し易かった。また、マスキングテープの価格が高いため、メタルバック層の形成コストの増大につながるという問題があった。
【0009】
また、PVCテープやポリオレフィン系テープを基材とする従来のマスキングテープでは、接着力の大きい接着剤が使用されているため、これを画像表示装置のメタルバック層形成のマスキングに使用すると、フェースプレートの外枠部の銀ペースト膜上に接着剤が一部残留して、外枠部を汚染するおそれがあった。そのため、外枠部に封着材のインジウム等を塗布する際に、塗布液を弾いたりあるいは塗布厚のばらつき等が生じ、その結果リアプレートとの封着不良を引き起こすおそれがあった。
【0010】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、マスキングテープの位置ずれやマスキングテープと蛍光体層との段差に起因するエアー混入などが生じることがなく、蛍光体層との密着性が良いうえに、金属膜のエッジ部の切れ性が良く、耐圧特性に優れたメタルバック層を歩留り良く形成する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のメタルバック層の形成方法は、フェースプレート内面の表示領域に蛍光体層を形成する工程と、前記フェースプレート内面の非表示領域に、片面に接着剤層を有するマスキングテープを貼付する工程と、ベースフィルム上に少なくとも金属膜とフィルム接着剤層が形成された転写フィルムを、前記金属膜が前記蛍光体層に前記フィルム接着剤層を介して接するように配置し、加熱しながら押圧して前記金属膜を接着した後、前記ベースフィルムを剥ぎ取る転写工程と、前記マスキングテープを剥ぎ取り、該マスキングテープの非形成領域にのみ前記金属膜を残留させる工程を具備し、前記マスキングテープの基材が、5〜10μmの厚さを有することを特徴とする。
【0012】
このメタルバック層の形成方法においては、マスキングテープの基材をポリエステル樹脂テープとすることができる。また、マスキングテープの接着剤層を、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする層とすることができる。そして、転写フィルムのベースフィルムの厚さを、10〜25μmとすることができる。さらに、転写工程において、ローラーにより転写フィルムを加熱および押圧するとともに、前記ローラーの押圧部の温度を150〜250℃、押圧速度を0.5〜10.0m/分、押圧力を400〜1600kgf/cm2とすることができる。
【0013】
本発明においては、マスキングテープの基材の厚さが5〜10μmとなっているので、転写される金属膜のエッジ部の切れ性が良く、メタルバック層の端縁部に突起が生じことがないうえに、マスキングテープと蛍光体層との間に生じる段差を小さく抑えることができ、転写フィルムの加熱・押圧時に金属膜と蛍光体層との間にエアーが混入するのを回避することができる。
【0014】
また、マスキングしたい所望の部分にマスキングテープを確実に固定することができ、転写フィルムの加熱・押圧時にマスキングテープがずれることがない。したがって、耐圧特性に優れたメタルバック層を歩留り良く形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の実施形態においては、まず、フェースプレート内面に、黒色顔料からなる例えばストライプ状の光吸収層(遮光層)を、フォトリソ法により形成した後、その上にZnS系、Y2O3 系、Y2O2S系など各色の蛍光体を含むスラリーを塗布・乾燥し、フォトリソ法を用いてパターニングを行う。こうして、光吸収層のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層がストライプ状に配列された蛍光体スクリーンを形成する。なお、各色の蛍光体層の形成をスプレー法や印刷法で行うこともできる。
【0017】
また、フェースプレート内面において、このような蛍光体スクリーンの周りの非表示領域に、黒色顔料からなる周辺ブラックマトリクスと、銀ペースト膜からなる外枠部をそれぞれ形成する。
【0018】
次に、このように周辺ブラックマトリクスおよび外枠部が形成された非表示領域に、片面に接着剤層を有するマスキングテープを、蛍光体スクリーンの外周縁部を覆うように貼付する。マスキングテープの接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することができる。
【0019】
次いで、ポリエステル樹脂などから成るベースフィルムの上に離型剤層、Al等の金属膜およびフィルム接着剤層が順に積層された転写フィルムを、蛍光体スクリーン上から非表示領域のマスキングテープに跨って配置し、金属膜を転写する。
【0020】
転写フィルムの離型剤としては、酢酸セルロース、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ロジン、アクリル樹脂、シリコーン、フッ素樹脂等が挙げられ、これらの中から、ベースフィルムおよび後述する保護膜等との間の剥離性に応じて、適宜選択して使用される。また、フィルム接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン一酢酸ビニル共重合体、スチレン一アクリル酸樹脂、エチレン一酢酸ビニル−アクリル酸三元重合体樹脂等が使用される。さらに、離型剤層と金属膜との間に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等をベースとし柔軟剤が配合された保護膜を設けることもできる。
【0021】
蛍光体スクリーン上に転写フィルムを配置した状態を図1に示す。図において、符号1はフェースプレート、2は蛍光体スクリーン、3は周辺ブラックマトリクス、4は外枠部、5はマスキングテープをそれぞれ示す。また、符号6は、転写フィルムを示し、6aは転写フィルム6のベースフィルム、6bは金属膜を示している。転写フィルム6の離型剤層およびフィルム接着剤層は、図示を省略する。
【0022】
ここで、マスキングテープ5は、ポリエステル樹脂からなる基材を有し、テープ基材の厚さは5〜10μmの範囲に設定されている。
【0023】
マスキングテープ5の基材の厚さを5〜10μmの範囲に限定したのは、以下の理由による。すなわち、テープ基材の厚さが5μm未満では、強度が十分でなく、転写フィルム6の加熱・押圧時にマスキングテープ5によじれや破れが生じ易い。また、テープ基材の厚さが10μmを超えると、転写された金属膜8のエッジ部の切れ性が悪く、メタルバック層の端縁部にバリ状の突起部分が生じる。そして、この突起部分が沿面放電を誘発しやすいため、FED等の画像表示装置において耐圧(駆動印加電圧)特性が著しく低下して好ましくない。マスキングテープ5の基材の厚さを5〜10μmとすることで、マスキングテープ5が十分な強度を有し、金属膜6bの転写時にマスキングテープ5によじれや破れが生じることがないうえに、金属膜6bのエッジ部の切れ性が良く、メタルバック層の耐圧特性が向上する。
【0024】
また、マスキングテープ5の基材の厚さを5〜10μmとすることで、マスキングテープ5と蛍光体スクリーン2との間に生じる段差を小さく抑えることができるため、転写フィルム6の加熱・押圧の際に金属膜6bと蛍光体層との間にエアーが混入するのを防ぐことができる。
【0025】
さらに、マスキングテープ5の基材を安価なポリエステル樹脂テープとすることで、製造コストの低減も可能となる。
【0026】
また、このようなマスキングテープ5の基材の片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする接着剤層が設けられている。この接着剤の濃度を0.25〜1.0重量%の範囲で適宜調整することにより、外枠部4(銀ペースト膜)への接着剤の残留をなくし、汚染を防止することができる。すなわち、接着剤として使用されているエチレン−酢酸ビニル共重合体は、接着対象物である外枠部4の銀ペースト膜上への残留・汚染が生じにくく、さらに接着剤の濃度を1.0重量%未満とすることで、接着剤の残留をなくし、汚染を防止することができる。したがって、FEDの組立て工程において、外枠部4へのインジウムの塗布膜厚のばらつき等が生じにくく、良好な封着が達成される。なお、マスキングテープ5の接着剤の濃度が低すぎる(0.25重量%未満)の場合には、マスキングテープの貼付・固定が十分でなくなり、転写フィルム6の加熱・押圧時にマスキングテープ5の位置がずれてしまい、本来のマスキング機能を果たすことが難しい。
【0027】
さらに、転写フィルム6のベースフィルム6aの厚さは、10〜25μmとすることが望ましい。ベースフィルム6aの厚さを10μm以上とした場合には、後述する加熱・押圧工程で、ベースフィルム6aがローラーからの熱伝導を効果的に吸収するため、ポリイミド樹脂に比べて耐熱性が低いポリエステル樹脂を基材とするマスキングテープを、熱による影響を気にすることなく使用することができる。そして、材料費の安価なポリエステルテープを用いることで、メタルバック層の形成コストの低減も可能となる。
【0028】
転写フィルム6のベースフィルム6aの厚さが25μmを超える場合には、マスキングテープ5の厚さとの差が大きくなり過ぎるため、転写フィルム6の加熱・押圧時にマスキングテープ5のエッジ部で段差が発生する。そして、その段差がマスキングテープ5のエッジ部に局部的な応力集中を引き起こし、マスキングテープ5の位置ずれを誘発する結果、金属膜6bのエッジ部の切れ性が悪くなり、バリ状の突起部分が発生するおそれがある。
【0029】
本発明の実施形態においては、こうして転写フィルム6を蛍光体スクリーン2上に配置した後、転写ローラーにより加熱しながら押圧してフィルム接着剤層を蛍光体スクリーン2の上面に接着する。
【0030】
転写ローラーとしては、例えば、鉄製などの金属製の芯材の上に、天然ゴムやシリコーンゴムの被覆層を有するゴムローラーが使用される。そして、この転写ローラーを、押圧部であるゴム層表面の温度が150〜250℃になるように加熱し、400〜1600kgf/cm2の押圧力で押圧しながら、0.5〜10.0m/分の速度で転写フィルム6のベースフィルム6a面上を移動させることにより、金属膜6bを接着した後、ベースフィルム6aを剥ぎ取る。
【0031】
転写ローラーの表面温度と押圧力および押圧速度についての前記範囲は、転写ローラーが接することにより、転写フィルム6が十分に加熱された状態で押圧されるために必要かつ十分な条件であり、この範囲を外れると、蛍光体スクリーン2と金属膜6bとの間の密着性が不足し、金属膜6bに転写不良やベーキング後の亀裂発生のおそれがある。すなわち、転写ローラーの表面温度が高すぎると、ゴムが熱により損傷して押圧機能を果たさなくなり、また押圧速度が遅すぎると、ベースフィルム6aが加熱され過ぎて軟化乃至溶融し、剥ぎ取りの際に切れてしまうため好ましくない。また、転写ローラーの表面温度が低すぎたりあるいは押圧速度が速やすぎると、フィルム接着剤の加熱が不十分となり、金属膜6bの接着が不十分となって部分的な転写不良が生じ、歩留りが低下するため好ましくない。
【0032】
なお、転写ローラーによる押圧では、被押圧部であるフェースプレート1側を固定し転写ローラーを移動させる態様ばかりでなく、転写ローラーの位置を固定し、フェースプレート側を移動・走行させる態様を採ることもできる。したがって、転写ローラーによる押圧速度は、転写ローラーと被押圧部との相対的な移動速度を意味するものとする。
【0033】
こうして、フェースプレート1の蛍光体スクリーン2上にマスキングテープの上からAl等の金属膜6bを転写した後、上面に形成された金属膜6bごとマスキングテープ5を剥ぎ取り、マスキングテープ5の非形成領域にのみ金属膜6bを残留させる。マスキングテープ5の剥ぎ取り工程では、金属膜6bのエッジ部の切れ性が良いので、残留する金属膜6bの端縁部にバリ状の突起が生じることがない。さらにプレス工程で、転写された金属膜6bをプレスローラー等により加熱しながら押圧する。
【0034】
次いで、フェースプレートごと450℃程度の温度に加熱・焼成(ベーキング)して有機分を分解・除去する。こうして蛍光体層とメタルバック層との密着性に優れたメタルバック付き蛍光面が得られる。
【0035】
次に、こうして形成されたメタルバック付き蛍光面をアノード電極とするFEDについて、図2に基づいて説明する。
【0036】
このFEDでは、前記実施形態で形成されたメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレート7と、マトリックス状に配列された電子放出素子8aを有するリアプレート8とが、1mm〜数mm程度の狭い間隙を介して対向配置され、フェースプレート7とリアプレート8との間に、5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。なお、図中符号9は、ストライプ状の光吸収層および蛍光体層を有する蛍光体スクリーンを示し、10はメタルバック層を示す。また、符号11は支持枠(側壁)を示す。
【0037】
フェースプレート7とリアプレート8との間隙が極めて狭く、これらの間で放電(絶縁破壊)が起こりやすいが、このFEDでは、凹凸や亀裂、しわなどがなく平滑で平坦なメタルバック層10を有しており、メタルバック層10と下層の蛍光体スクリーン9との間の密着性が高い。また、メタルバック層10の端縁部にバリ状の突起部分がないので、沿面放電のような放電が抑制され、耐圧特性が大幅に向上している。さらに、高輝度で色純度が高く信頼性に優れた表示を実現することができる。
【0038】
次に、本発明の具体的実施例について記載する。
【0039】
実施例1〜13,比較例1〜4
フェースプレート内面に黒色顔料からなるストライプ状の光吸収層(遮光層)を、フォトリソ法により形成した後、ZnS系、Y2O3 系、Y2O2S系など各色の蛍光体を含むスラリーを塗布・乾燥し、フォトリソ法を用いてパターニングを行った。そして、遮光部と遮光部との間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層をストライプ状でそれぞれが隣り合うように形成し、蛍光体スクリーンを作成した。また、フェースプレート内面において、このような蛍光体スクリーンの周りの非表示領域に、黒色顔料からなる周辺ブラックマトリクスおよび銀ペースト膜からなる外枠部を順に形成した。
【0040】
次に、このように周辺ブラックマトリクスおよび外枠部が形成された非表示領域に、表1に示す厚さを有するポリエステルテープ基材あるいはポリイミドテープ基材の片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする接着剤(商品名ソアレックス4301、触媒化成社製)の層(接着剤濃度0.50重量%)が設けられたマスキングテープを貼付した。
【0041】
また、表2に示す厚さを有するポリエステルテープあるいはポリイミドテープを基材とし、接着剤の濃度を0.25重量%,0.50重量%および1.00重量%にそれぞれ調整して作成したマスキングテープを、同様に貼付してマスキングを行った。
【0042】
次に、以下に示す転写フィルムを作製した。すなわち、膜厚16μmのポリエステル製のベースフィルム上に0.5μm厚の離型剤層を形成し、その上にAlを蒸着して厚さ50nmのAl膜を形成した後、このAl膜上に、トルエン90部、酢酸ビニル10部からなる樹脂組成物をグラビアコータにより塗布・乾燥し、フィルム接着剤層を形成した。
【0043】
次いで、この転写フィルムを、フィルム接着剤層が蛍光体スクリーンに接するようにマスキングテープに跨って配置した後、硬度90度、表面温度200℃のゴムローラーにより、5.5m/分の速度、500kgf/cm2 の圧力で押圧・圧着し、次いでベースフィルムを剥がした。こうして、フェースプレートの蛍光面上にAl膜を転写した。
【0044】
次に、マスキングテープを剥ぎ取り、マスキングテープの非形成領域にのみAl膜を残留させた。このとき、実施例1〜5および比較例1〜3について、Al膜のエッジ部の切れ性を調べた。その結果を表1に示す。さらに、硬度80度、表面温度180℃のゴムローラー(プレスローラー)により、1.0m/分の速度、1000kgf/cm2の圧力で押圧し、蛍光面上に転写されたAl膜を密着させた。
【0045】
そして、実施例1〜13および比較例1〜4について、マスキング性を調べた。結果を表1および表2に示す。
【0046】
表1のエッジ切れ性の評価では、Al膜のエッジ部の切れ性が良好で、端縁部に突起が全くないものを○、Al膜の端縁部にバリ状の突起が見られるものを×で示した。また、マスキング性の評価では、マスキングテープの位置ずれ、破れ等が全く生じず、マスキングが完全に行われたものを○、マスキングテープの位置ずれや破れがわずかに生じたものを△、マスキングテープの捩れや破れが見られ、あるいは段差(蛍光体層とマスキング部との段差)に起因するエアー混入が発生し、マスキングが不完全であったものを×で示した。
【0047】
さらに、表2のマスキング性の評価では、マスキングテープの位置ずれ、破れ等が全く生じず、マスキングが完全に行われたものを○、フェースプレート外枠部の銀ペースト膜に一部汚染があるものを△、Al膜の一部にエアー混入が発生し、かつフェースプレート外枠部の銀ペースト膜に一部汚染があるものを×で示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
次に、こうしてAl膜が転写・形成されたフェースプレートを、450℃で加熱・ベーキングして有機分を分解・除去し、メタルバック付き蛍光面を形成した。その後、こうして形成されたメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレートを使用し、常法によりFEDを作製した。まず、基板上に表面伝導型電子放出素子をマトリクス状に多数形成した電子発生源を、ガラス基板に固定し、リアプレートを作製した。次いで、このリアプレートと前記フェースプレートとを、支持枠およびスペーサを介して対向配置し、フリットガラスにより封着した。その後、封止、排気など必要な処理を施し、10型カラーFEDを完成した。
【0051】
このFEDについて、電子線加速電圧5kVで1000時間駆動試験を行ったところ、Al膜のエッジ部の切れ性が良好でメタルバック層の端縁部に突起が全く見られなかった実施例1〜13では、放電現象が発生しなかった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、転写される金属膜のエッジ部の切れ性が良く、メタルバック層の端縁部に突起が生じことがないうえに、マスキングテープと蛍光体層との間に生じる段差を小さく抑えることができる。また、マスキングしたい所望の部分にマスキングテープを確実に固定することができ、転写フィルムの加熱・押圧時にマスキングテープがずれることがない。したがって、耐圧特性に優れたメタルバック層を歩留り良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態において、非表示領域にマスキングを施すとともに、蛍光体スクリーン上に転写フィルムを配置した状態を模式的に示す拡大断面図。
【図2】本発明の実施の形態により形成されたメタルバック付き蛍光面を備えたFEDの断面図。
【符号の説明】
1、7………フェースプレート、2、9………蛍光体スクリーン、3………周辺ブラックマトリクス、4………外枠部、5………マスキングテープ、6………転写フィルム、6a………ベースフィルム、6b………金属膜、8………リアプレート、10………メタルバック層
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルバック層の形成方法に係り、さらに詳しくは、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの平面型画像表示装置において、フェースプレート内面の非表示領域をマスキングした後、所望の領域に転写方式によりメタルバック層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陰極線管(CRT)やFEDなどの画像表示装置の蛍光面では、蛍光体層の内面(フェースプレートと反対側の面)にAl等の金属膜が形成されたメタルバック方式の構造が広く採用されている。
【0003】
このメタルバック方式は、電子源からの電子により励起された蛍光体層から金属膜(メタルバック層)側へ発せられた光を反射し、より効率よくフェースプレート前面に発光エネルギーを送ることと、蛍光体層に導電性を付与し電極の役割を果たすことを目的としたものである。
【0004】
従来から、簡便なメタルバック層の形成方法として、離型剤を施したフィルム上に金属蒸着膜を形成しておき、この金属膜を接着剤を用いて蛍光体層上に転写する方法(転写方式)が提案されている。(例えば、特許文献1参照)そして、転写方式では、フェースプレート周辺部の非表示領域に、マスキングテープを貼付するなどの方法でマスキングを施した後、転写フィルムを加熱・押圧して転写することが行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−102139号公報(第2頁、第3−4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したマスキングを施した後転写を行う方法では、マスキングの不具合を原因とするメタルバック層の形成不良、例えば、転写される金属膜のエッジ部の切れ性が悪く(特に、マスキングテープが厚い場合)、メタルバック層の端縁部にバリ状の突起が生じる現象や、転写フィルムの加熱・押圧時にマスキングテープがずれてしまう現象、あるいはマスキングテープと蛍光体層との段差に起因するエアー混入などが発生しやすいという問題があった。
【0007】
また、転写方式でのメタルバック層の形成に好適するマスキングテープの基材や接着剤が、未だ見出されていないのが現状であった。
【0008】
すなわち、転写の際の高温に耐えるマスキングテープとして、従来から耐熱性の高いポリイミド樹脂テープ(例えば、デュポン社のカプトン)を基材とするものが使用されているが、このマスキングテープでは、金属膜のエッジ部の切れ性を良くするためにテープ基材の厚さを薄くすると、静電気が発生しやすく、作業者の手や身体に付着して貼付作業性が悪いばかりでなく、マスキングテープにしわが発生し易かった。また、マスキングテープの価格が高いため、メタルバック層の形成コストの増大につながるという問題があった。
【0009】
また、PVCテープやポリオレフィン系テープを基材とする従来のマスキングテープでは、接着力の大きい接着剤が使用されているため、これを画像表示装置のメタルバック層形成のマスキングに使用すると、フェースプレートの外枠部の銀ペースト膜上に接着剤が一部残留して、外枠部を汚染するおそれがあった。そのため、外枠部に封着材のインジウム等を塗布する際に、塗布液を弾いたりあるいは塗布厚のばらつき等が生じ、その結果リアプレートとの封着不良を引き起こすおそれがあった。
【0010】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、マスキングテープの位置ずれやマスキングテープと蛍光体層との段差に起因するエアー混入などが生じることがなく、蛍光体層との密着性が良いうえに、金属膜のエッジ部の切れ性が良く、耐圧特性に優れたメタルバック層を歩留り良く形成する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のメタルバック層の形成方法は、フェースプレート内面の表示領域に蛍光体層を形成する工程と、前記フェースプレート内面の非表示領域に、片面に接着剤層を有するマスキングテープを貼付する工程と、ベースフィルム上に少なくとも金属膜とフィルム接着剤層が形成された転写フィルムを、前記金属膜が前記蛍光体層に前記フィルム接着剤層を介して接するように配置し、加熱しながら押圧して前記金属膜を接着した後、前記ベースフィルムを剥ぎ取る転写工程と、前記マスキングテープを剥ぎ取り、該マスキングテープの非形成領域にのみ前記金属膜を残留させる工程を具備し、前記マスキングテープの基材が、5〜10μmの厚さを有することを特徴とする。
【0012】
このメタルバック層の形成方法においては、マスキングテープの基材をポリエステル樹脂テープとすることができる。また、マスキングテープの接着剤層を、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする層とすることができる。そして、転写フィルムのベースフィルムの厚さを、10〜25μmとすることができる。さらに、転写工程において、ローラーにより転写フィルムを加熱および押圧するとともに、前記ローラーの押圧部の温度を150〜250℃、押圧速度を0.5〜10.0m/分、押圧力を400〜1600kgf/cm2とすることができる。
【0013】
本発明においては、マスキングテープの基材の厚さが5〜10μmとなっているので、転写される金属膜のエッジ部の切れ性が良く、メタルバック層の端縁部に突起が生じことがないうえに、マスキングテープと蛍光体層との間に生じる段差を小さく抑えることができ、転写フィルムの加熱・押圧時に金属膜と蛍光体層との間にエアーが混入するのを回避することができる。
【0014】
また、マスキングしたい所望の部分にマスキングテープを確実に固定することができ、転写フィルムの加熱・押圧時にマスキングテープがずれることがない。したがって、耐圧特性に優れたメタルバック層を歩留り良く形成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の実施形態においては、まず、フェースプレート内面に、黒色顔料からなる例えばストライプ状の光吸収層(遮光層)を、フォトリソ法により形成した後、その上にZnS系、Y2O3 系、Y2O2S系など各色の蛍光体を含むスラリーを塗布・乾燥し、フォトリソ法を用いてパターニングを行う。こうして、光吸収層のパターンの間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層がストライプ状に配列された蛍光体スクリーンを形成する。なお、各色の蛍光体層の形成をスプレー法や印刷法で行うこともできる。
【0017】
また、フェースプレート内面において、このような蛍光体スクリーンの周りの非表示領域に、黒色顔料からなる周辺ブラックマトリクスと、銀ペースト膜からなる外枠部をそれぞれ形成する。
【0018】
次に、このように周辺ブラックマトリクスおよび外枠部が形成された非表示領域に、片面に接着剤層を有するマスキングテープを、蛍光体スクリーンの外周縁部を覆うように貼付する。マスキングテープの接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することができる。
【0019】
次いで、ポリエステル樹脂などから成るベースフィルムの上に離型剤層、Al等の金属膜およびフィルム接着剤層が順に積層された転写フィルムを、蛍光体スクリーン上から非表示領域のマスキングテープに跨って配置し、金属膜を転写する。
【0020】
転写フィルムの離型剤としては、酢酸セルロース、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ロジン、アクリル樹脂、シリコーン、フッ素樹脂等が挙げられ、これらの中から、ベースフィルムおよび後述する保護膜等との間の剥離性に応じて、適宜選択して使用される。また、フィルム接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン一酢酸ビニル共重合体、スチレン一アクリル酸樹脂、エチレン一酢酸ビニル−アクリル酸三元重合体樹脂等が使用される。さらに、離型剤層と金属膜との間に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等をベースとし柔軟剤が配合された保護膜を設けることもできる。
【0021】
蛍光体スクリーン上に転写フィルムを配置した状態を図1に示す。図において、符号1はフェースプレート、2は蛍光体スクリーン、3は周辺ブラックマトリクス、4は外枠部、5はマスキングテープをそれぞれ示す。また、符号6は、転写フィルムを示し、6aは転写フィルム6のベースフィルム、6bは金属膜を示している。転写フィルム6の離型剤層およびフィルム接着剤層は、図示を省略する。
【0022】
ここで、マスキングテープ5は、ポリエステル樹脂からなる基材を有し、テープ基材の厚さは5〜10μmの範囲に設定されている。
【0023】
マスキングテープ5の基材の厚さを5〜10μmの範囲に限定したのは、以下の理由による。すなわち、テープ基材の厚さが5μm未満では、強度が十分でなく、転写フィルム6の加熱・押圧時にマスキングテープ5によじれや破れが生じ易い。また、テープ基材の厚さが10μmを超えると、転写された金属膜8のエッジ部の切れ性が悪く、メタルバック層の端縁部にバリ状の突起部分が生じる。そして、この突起部分が沿面放電を誘発しやすいため、FED等の画像表示装置において耐圧(駆動印加電圧)特性が著しく低下して好ましくない。マスキングテープ5の基材の厚さを5〜10μmとすることで、マスキングテープ5が十分な強度を有し、金属膜6bの転写時にマスキングテープ5によじれや破れが生じることがないうえに、金属膜6bのエッジ部の切れ性が良く、メタルバック層の耐圧特性が向上する。
【0024】
また、マスキングテープ5の基材の厚さを5〜10μmとすることで、マスキングテープ5と蛍光体スクリーン2との間に生じる段差を小さく抑えることができるため、転写フィルム6の加熱・押圧の際に金属膜6bと蛍光体層との間にエアーが混入するのを防ぐことができる。
【0025】
さらに、マスキングテープ5の基材を安価なポリエステル樹脂テープとすることで、製造コストの低減も可能となる。
【0026】
また、このようなマスキングテープ5の基材の片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする接着剤層が設けられている。この接着剤の濃度を0.25〜1.0重量%の範囲で適宜調整することにより、外枠部4(銀ペースト膜)への接着剤の残留をなくし、汚染を防止することができる。すなわち、接着剤として使用されているエチレン−酢酸ビニル共重合体は、接着対象物である外枠部4の銀ペースト膜上への残留・汚染が生じにくく、さらに接着剤の濃度を1.0重量%未満とすることで、接着剤の残留をなくし、汚染を防止することができる。したがって、FEDの組立て工程において、外枠部4へのインジウムの塗布膜厚のばらつき等が生じにくく、良好な封着が達成される。なお、マスキングテープ5の接着剤の濃度が低すぎる(0.25重量%未満)の場合には、マスキングテープの貼付・固定が十分でなくなり、転写フィルム6の加熱・押圧時にマスキングテープ5の位置がずれてしまい、本来のマスキング機能を果たすことが難しい。
【0027】
さらに、転写フィルム6のベースフィルム6aの厚さは、10〜25μmとすることが望ましい。ベースフィルム6aの厚さを10μm以上とした場合には、後述する加熱・押圧工程で、ベースフィルム6aがローラーからの熱伝導を効果的に吸収するため、ポリイミド樹脂に比べて耐熱性が低いポリエステル樹脂を基材とするマスキングテープを、熱による影響を気にすることなく使用することができる。そして、材料費の安価なポリエステルテープを用いることで、メタルバック層の形成コストの低減も可能となる。
【0028】
転写フィルム6のベースフィルム6aの厚さが25μmを超える場合には、マスキングテープ5の厚さとの差が大きくなり過ぎるため、転写フィルム6の加熱・押圧時にマスキングテープ5のエッジ部で段差が発生する。そして、その段差がマスキングテープ5のエッジ部に局部的な応力集中を引き起こし、マスキングテープ5の位置ずれを誘発する結果、金属膜6bのエッジ部の切れ性が悪くなり、バリ状の突起部分が発生するおそれがある。
【0029】
本発明の実施形態においては、こうして転写フィルム6を蛍光体スクリーン2上に配置した後、転写ローラーにより加熱しながら押圧してフィルム接着剤層を蛍光体スクリーン2の上面に接着する。
【0030】
転写ローラーとしては、例えば、鉄製などの金属製の芯材の上に、天然ゴムやシリコーンゴムの被覆層を有するゴムローラーが使用される。そして、この転写ローラーを、押圧部であるゴム層表面の温度が150〜250℃になるように加熱し、400〜1600kgf/cm2の押圧力で押圧しながら、0.5〜10.0m/分の速度で転写フィルム6のベースフィルム6a面上を移動させることにより、金属膜6bを接着した後、ベースフィルム6aを剥ぎ取る。
【0031】
転写ローラーの表面温度と押圧力および押圧速度についての前記範囲は、転写ローラーが接することにより、転写フィルム6が十分に加熱された状態で押圧されるために必要かつ十分な条件であり、この範囲を外れると、蛍光体スクリーン2と金属膜6bとの間の密着性が不足し、金属膜6bに転写不良やベーキング後の亀裂発生のおそれがある。すなわち、転写ローラーの表面温度が高すぎると、ゴムが熱により損傷して押圧機能を果たさなくなり、また押圧速度が遅すぎると、ベースフィルム6aが加熱され過ぎて軟化乃至溶融し、剥ぎ取りの際に切れてしまうため好ましくない。また、転写ローラーの表面温度が低すぎたりあるいは押圧速度が速やすぎると、フィルム接着剤の加熱が不十分となり、金属膜6bの接着が不十分となって部分的な転写不良が生じ、歩留りが低下するため好ましくない。
【0032】
なお、転写ローラーによる押圧では、被押圧部であるフェースプレート1側を固定し転写ローラーを移動させる態様ばかりでなく、転写ローラーの位置を固定し、フェースプレート側を移動・走行させる態様を採ることもできる。したがって、転写ローラーによる押圧速度は、転写ローラーと被押圧部との相対的な移動速度を意味するものとする。
【0033】
こうして、フェースプレート1の蛍光体スクリーン2上にマスキングテープの上からAl等の金属膜6bを転写した後、上面に形成された金属膜6bごとマスキングテープ5を剥ぎ取り、マスキングテープ5の非形成領域にのみ金属膜6bを残留させる。マスキングテープ5の剥ぎ取り工程では、金属膜6bのエッジ部の切れ性が良いので、残留する金属膜6bの端縁部にバリ状の突起が生じることがない。さらにプレス工程で、転写された金属膜6bをプレスローラー等により加熱しながら押圧する。
【0034】
次いで、フェースプレートごと450℃程度の温度に加熱・焼成(ベーキング)して有機分を分解・除去する。こうして蛍光体層とメタルバック層との密着性に優れたメタルバック付き蛍光面が得られる。
【0035】
次に、こうして形成されたメタルバック付き蛍光面をアノード電極とするFEDについて、図2に基づいて説明する。
【0036】
このFEDでは、前記実施形態で形成されたメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレート7と、マトリックス状に配列された電子放出素子8aを有するリアプレート8とが、1mm〜数mm程度の狭い間隙を介して対向配置され、フェースプレート7とリアプレート8との間に、5〜15kVの高電圧が印加されるように構成されている。なお、図中符号9は、ストライプ状の光吸収層および蛍光体層を有する蛍光体スクリーンを示し、10はメタルバック層を示す。また、符号11は支持枠(側壁)を示す。
【0037】
フェースプレート7とリアプレート8との間隙が極めて狭く、これらの間で放電(絶縁破壊)が起こりやすいが、このFEDでは、凹凸や亀裂、しわなどがなく平滑で平坦なメタルバック層10を有しており、メタルバック層10と下層の蛍光体スクリーン9との間の密着性が高い。また、メタルバック層10の端縁部にバリ状の突起部分がないので、沿面放電のような放電が抑制され、耐圧特性が大幅に向上している。さらに、高輝度で色純度が高く信頼性に優れた表示を実現することができる。
【0038】
次に、本発明の具体的実施例について記載する。
【0039】
実施例1〜13,比較例1〜4
フェースプレート内面に黒色顔料からなるストライプ状の光吸収層(遮光層)を、フォトリソ法により形成した後、ZnS系、Y2O3 系、Y2O2S系など各色の蛍光体を含むスラリーを塗布・乾燥し、フォトリソ法を用いてパターニングを行った。そして、遮光部と遮光部との間に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体層をストライプ状でそれぞれが隣り合うように形成し、蛍光体スクリーンを作成した。また、フェースプレート内面において、このような蛍光体スクリーンの周りの非表示領域に、黒色顔料からなる周辺ブラックマトリクスおよび銀ペースト膜からなる外枠部を順に形成した。
【0040】
次に、このように周辺ブラックマトリクスおよび外枠部が形成された非表示領域に、表1に示す厚さを有するポリエステルテープ基材あるいはポリイミドテープ基材の片面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする接着剤(商品名ソアレックス4301、触媒化成社製)の層(接着剤濃度0.50重量%)が設けられたマスキングテープを貼付した。
【0041】
また、表2に示す厚さを有するポリエステルテープあるいはポリイミドテープを基材とし、接着剤の濃度を0.25重量%,0.50重量%および1.00重量%にそれぞれ調整して作成したマスキングテープを、同様に貼付してマスキングを行った。
【0042】
次に、以下に示す転写フィルムを作製した。すなわち、膜厚16μmのポリエステル製のベースフィルム上に0.5μm厚の離型剤層を形成し、その上にAlを蒸着して厚さ50nmのAl膜を形成した後、このAl膜上に、トルエン90部、酢酸ビニル10部からなる樹脂組成物をグラビアコータにより塗布・乾燥し、フィルム接着剤層を形成した。
【0043】
次いで、この転写フィルムを、フィルム接着剤層が蛍光体スクリーンに接するようにマスキングテープに跨って配置した後、硬度90度、表面温度200℃のゴムローラーにより、5.5m/分の速度、500kgf/cm2 の圧力で押圧・圧着し、次いでベースフィルムを剥がした。こうして、フェースプレートの蛍光面上にAl膜を転写した。
【0044】
次に、マスキングテープを剥ぎ取り、マスキングテープの非形成領域にのみAl膜を残留させた。このとき、実施例1〜5および比較例1〜3について、Al膜のエッジ部の切れ性を調べた。その結果を表1に示す。さらに、硬度80度、表面温度180℃のゴムローラー(プレスローラー)により、1.0m/分の速度、1000kgf/cm2の圧力で押圧し、蛍光面上に転写されたAl膜を密着させた。
【0045】
そして、実施例1〜13および比較例1〜4について、マスキング性を調べた。結果を表1および表2に示す。
【0046】
表1のエッジ切れ性の評価では、Al膜のエッジ部の切れ性が良好で、端縁部に突起が全くないものを○、Al膜の端縁部にバリ状の突起が見られるものを×で示した。また、マスキング性の評価では、マスキングテープの位置ずれ、破れ等が全く生じず、マスキングが完全に行われたものを○、マスキングテープの位置ずれや破れがわずかに生じたものを△、マスキングテープの捩れや破れが見られ、あるいは段差(蛍光体層とマスキング部との段差)に起因するエアー混入が発生し、マスキングが不完全であったものを×で示した。
【0047】
さらに、表2のマスキング性の評価では、マスキングテープの位置ずれ、破れ等が全く生じず、マスキングが完全に行われたものを○、フェースプレート外枠部の銀ペースト膜に一部汚染があるものを△、Al膜の一部にエアー混入が発生し、かつフェースプレート外枠部の銀ペースト膜に一部汚染があるものを×で示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
次に、こうしてAl膜が転写・形成されたフェースプレートを、450℃で加熱・ベーキングして有機分を分解・除去し、メタルバック付き蛍光面を形成した。その後、こうして形成されたメタルバック付き蛍光面を有するフェースプレートを使用し、常法によりFEDを作製した。まず、基板上に表面伝導型電子放出素子をマトリクス状に多数形成した電子発生源を、ガラス基板に固定し、リアプレートを作製した。次いで、このリアプレートと前記フェースプレートとを、支持枠およびスペーサを介して対向配置し、フリットガラスにより封着した。その後、封止、排気など必要な処理を施し、10型カラーFEDを完成した。
【0051】
このFEDについて、電子線加速電圧5kVで1000時間駆動試験を行ったところ、Al膜のエッジ部の切れ性が良好でメタルバック層の端縁部に突起が全く見られなかった実施例1〜13では、放電現象が発生しなかった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、転写される金属膜のエッジ部の切れ性が良く、メタルバック層の端縁部に突起が生じことがないうえに、マスキングテープと蛍光体層との間に生じる段差を小さく抑えることができる。また、マスキングしたい所望の部分にマスキングテープを確実に固定することができ、転写フィルムの加熱・押圧時にマスキングテープがずれることがない。したがって、耐圧特性に優れたメタルバック層を歩留り良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態において、非表示領域にマスキングを施すとともに、蛍光体スクリーン上に転写フィルムを配置した状態を模式的に示す拡大断面図。
【図2】本発明の実施の形態により形成されたメタルバック付き蛍光面を備えたFEDの断面図。
【符号の説明】
1、7………フェースプレート、2、9………蛍光体スクリーン、3………周辺ブラックマトリクス、4………外枠部、5………マスキングテープ、6………転写フィルム、6a………ベースフィルム、6b………金属膜、8………リアプレート、10………メタルバック層
Claims (5)
- フェースプレート内面の表示領域に蛍光体層を形成する工程と、
前記フェースプレート内面の非表示領域に、片面に接着剤層を有するマスキングテープを貼付する工程と、
ベースフィルム上に少なくとも金属膜とフィルム接着剤層が形成された転写フィルムを、前記金属膜が前記蛍光体層に前記フィルム接着剤層を介して接するように配置し、加熱しながら押圧して前記金属膜を接着した後、前記ベースフィルムを剥ぎ取る転写工程と、
前記マスキングテープを剥ぎ取り、該マスキングテープの非形成領域にのみ前記金属膜を残留させる工程を具備し、
前記マスキングテープの基材が、5〜10μmの厚さを有することを特徴とするメタルバック層の形成方法。 - 前記マスキングテープの基材が、ポリエステル樹脂テープであることを特徴とする請求項1記載のメタルバック層の形成方法。
- 前記マスキングテープの接着剤層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とする層であることを特徴とする請求項1または2記載のメタルバック層の形成方法。
- 前記転写フィルムのベースフィルムの厚さが、10〜25μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のメタルバック層の形成方法。
- 前記転写工程において、ローラーにより前記転写フィルムを加熱および押圧するとともに、前記ローラーの押圧部の温度を150〜250℃、押圧速度を0.5〜10.0m/分、押圧力を400〜1600kgf/cm2とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のメタルバック層の形成方法。
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