JP2004245663A - ガスセンサの取付け構造及びガスセンサ保護カバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排気管1に取り付けられている酸素センサ11に対し、保護カバー31をバネ性のある金属板で形成し、リード線22を環状内側に入れれる切れ目Kを設け、バネ性で酸素センサ11の外周面を締付けて取付ける取付け環状部32のあるものとした。取り付けられている酸素センサ11に対し、リード線22を保護カバー31の切れ目Kから環状内側に入り込ませ、その取付け環状部32によるバネ性で酸素センサ11に取付けた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用のガスセンサ(以下、単にガスセンサともいう)の取付け構造、及びガスセンサ保護カバー(熱遮断カバー)に関する。
【0002】
【従来の技術】
排気ガス中の特定ガス成分を検出するためのガスセンサとして、酸素センサ、NOxセンサ、HCセンサ等が知られている。このガスセンサとして代表的な酸素センサは、排気ガス中の酸素濃度を検出して、混合気の空燃比を制御するのに使用される。このような酸素センサは、検出素子(ガスセンサ素子)を先端側に備えて、後端側から出力取出し用や検出素子を加熱するヒーターの電源等のためのリード線を引き出している。そして、この酸素センサは、排気マニホルドあるいは排気管(本明細書においては排気マニホルドも含めて排気管という)の内部に、検出素子を含む先端寄り部位を突出させ、それより後端寄り部位を外部に位置させて取付けられる。この取付けは、酸素センサ本体の外周面に設けられたねじにより、ねじ込み方式で取付けられる。このような酸素センサの取付け構造においては、酸素センサのねじ込み取り付け部の気密を図ることに加えて、後端のリード線の引き出し部(リード線の周囲)の気密を保持することが必要なため、同部位におけるリード線の周囲にはシール材が充填される。このようなシール材は例えばシリコンゴムやフッ素ゴム等からなっている。このため、排気管の高熱によってシール材が劣化し、それによる気密性の低下をさせないようにする必要があることから、酸素センサのうち、排気管の外側に露出する部位を排気管の熱害から保護する必要がある。そこで、このような酸素センサの取り付け構造においては、環状或いはテーパー筒状(皿状)をなす酸素センサ保護カバーが酸素センサの外周面を覆う形で取付けられる。
【0003】
この種の酸素センサの取付け構造としては、排気管に設けられた開口にねじ(メスねじ)付きのリング(口金ともいう)を固定し、その口金内に、酸素センサを酸素センサ保護カバーの内側にセットした状態の下で、酸素センサをねじ込んで取付けるものがある。ここで、そのねじ込みは、酸素センサの外周面に設けられた六角部などの多角形部(以下、六角部ともいう)の外側にスリーブレンチを嵌合してねじ込まれる。取付け構造の具体例としては、酸素センサのねじ込みによる取付け時に、その六角部と、口金との間に酸素センサ保護カバーの内周縁を挟み込んで、両者を同時に取付ける構造のものがある(特許文献1 実開昭61―154557号公報)。また、口金の固定とともに酸素センサ保護カバーを固定し、その後で、固定した口金に酸素センサをねじ込んで取り付けるようにしたものがある(特許文献1 実開昭61―154557号公報)。
【0004】
また、酸素センサ保護カバーとしては、排気マニホルドに立設状に取付けた酸素センサに対し、その酸素センサの取付け部の外側を覆い、排気管に取付けられる取付け板と、この上部外側に隙間を設けて取りつけられた外板とからなるものがある(例えば、実開昭58―62262号公報)。このものは、取付け板(酸素センサ保護カバー)に酸素センサを通すための穴が設けられており、酸素センサの排気管に対する取り付け後において、その穴に酸素センサを通して酸素センサ保護カバーを別途のネジ部材(ボルト)により、排気管の固定部にねじ込むことで取付けるようにされている。
【0005】
【特許文献1】
実開昭61−154557号公報
【特許文献2】
実開昭58−62262号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の取付け構造では、酸素センサ保護カバーは酸素センサの取付け時、或いは酸素センサの取付け前にその取付けを行なうものである。このため、酸素センサの取り付け時(ねじ込み時)には、その周囲に酸素センサ保護カバーが存在することになり、その状態の下で、酸素センサのねじ込み回転用の六角部に、工具を掛けてこれを回転させることになる。したがって、酸素センサ保護カバーの内径は、六角部の外径より大きく、しかも、六角部に工具を掛けて回すことができるように、工具の外径より大きくしておく必要がある。このため、従来の酸素センサ保護カバーは熱遮断という本来の目的上からは十分すぎても、その取り付け上の要請から必要以上に大きいものとせざるを得ない場合があり、その小型化が図られないといった問題があった。
【0007】
一方、特許文献2のものでは、酸素センサ保護カバーの取付けに、酸素センサ保護カバーとは別部材(別部品)のネジ部材が必要となることや、排気管側にそのネジ部材のねじ込みのためのネジ穴を形成しておく必要がある。このため、部品点数の増大、構造の複雑化、さらには酸素センサ保護カバーの取付けにねじ込み等を要するといった作業上の問題があった。しかも、このものでは、酸素センサを排気管へ取付けて引き出されているリード線を接続した後では、酸素センサ保護カバーを取付けることができない。また、リード線の接続前に酸素センサ保護カバーを取付ける場合(以下、保護カバーを後付けする場合、ともいう)でも、酸素センサ保護カバーに設けた酸素センサ挿通用の開口(穴)からリード線の端部(コネクタ)を通すことのできるようにしておく必要がある。したがって、その開口はコネクタを通過させることのできる大きさとしておく必要がある。
【0008】
本発明は、ガスセンサ保護カバーを、その内部に、従来のようにガスセンサの取付けにおけるねじ込み工具を入り込ませることができる大きさとすることなく設計できるようにして、その小径化を図るとともに、保護カバーの取付けのためのねじ部材やねじ穴を要しない取付け構造、及びガスセンサ保護カバーを提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、先端側の検出素子の少なくとも一部を排気管内に位置させて立設状に取付けられているガスセンサの取付け構造であって、そのガスセンサのうち、排気管の外側にある部位の外周面を覆うガスセンサ保護カバーを取付けてなるものにおいて、
前記ガスセンサ保護カバーは、バネ性を有する金属板によって環状に形成され、それ自身の自由状態において又はそれ自身を撓み変形させることで、前記ガスセンサのうちで前記検出素子と電気的に接続された状態で前記排気管の外側に延びるリード線を、ガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる切れ目を備えているとともに、そのバネ性によって、ガスセンサの排気管の外側にある部位の外周面を締付けて取り付られる取付け環状部を有するものであり、
排気管に取り付けられているガスセンサに対し、前記ガスセンサ保護カバーをそれ自身の自由状態において又はそれ自身を撓み変形させることで、前記リード線を前記切れ目からガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませ、その取付け環状部がバネ性によって該ガスセンサの排気管の外側にある部位の外周面を締付けるように取付けられることで、該ガスセンサ保護カバーを取付けてなることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、従来のように、ガスセンサをガスセンサ保護カバーの内側に入れた状態で、そのガスセンサの外側に工具を嵌めてねじ込む取付け構造のものでなく、ガスセンサを排気管へ取付け、その後でこれにガスセンサ保護カバーを取付ける構造のものである。したがって、本発明においては、従来のガスセンサ保護カバーのように、その内部に、ねじ込み用工具が入り込める大きさとして設計する必要がなくなる。このため、ガスセンサ保護カバーの小径化(小型化)を図ることができる。これにより、ガスセンサまわりの保護カバーのために要求されるスペースの狭小化が図られる。また、ガスセンサ保護カバーは、自身のバネ性によりガスセンサの外周面を締付けるように取付けられることから、その取付けに当たり別部材を用いたり、排気管に加工を施す必要がなく、部品点数の低減やコストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、前記ガスセンサ保護カバーが、その取付け環状部の後方に、後方に向って次第に径が大きくなる径大部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの取付け構造である。なお、本願発明をなすガスセンサにおいて、先端とは、検出素子が設けられる側の端をいい、後端とはその逆の端をいう。そして、ガスセンサ保護カバーにおいて、先端とは、これがガスセンサに取付けられた際のガスセンサの先端寄りの端をいい、後端とはその逆の端をいう。
【0012】
前記手段において、ガスセンサ保護カバーは、ガスセンサの外周面を包囲することでガスセンサを熱気から保護するものである。したがって、環状をなす前記ガスセンサ保護カバーの形態としては、筒状体、皿状体の中央に穴のある形態、カップ形状の底中央に穴のある形態、杯形状体の底中央に穴のある形態(漏斗形状)が例示される。いずれにしても、請求項2に記載のように、その取付け環状部の後方に、後方(後端)に向って次第に径が大きくなる径大部を備えているものがよい。このものでは、排気管からの熱気も、径大部の外側表面に案内されてガスセンサから効果的に遠ざけられるため、ガスセンサの高温化の防止がより有効に達成される。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、前記ガスセンサ保護カバーが、自由状態において前記切れ目が環状方向において空隙があり、その空隙幅が、ガスセンサのリード線をガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる大きさとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサの取付け構造である。
【0014】
前記手段におけるガスセンサ保護カバーの切れ目は、ガスセンサに取り付けられた状態において、切れ目が閉じていてもよいし、開いていてもよい。熱害からの保護のためにはできるだけ閉じているのが好ましい。ただし、取付け作業上においては、請求項3に記載のように、取付け前において、切れ目が開いている(空隙がある)とよい。このように空隙があれば、その空隙を利用してリード線を自身の環状内側に入り込ませることが容易となるためである。なお、閉じている場合には、切れ目をなす対向する辺部に重なりがあってもよいし、辺部相互が突き合せ状態にあってもよい。なお、このような切れ目は、ガスセンサ保護カバーにおける軸線の方向に沿って切れているものでもよいし、軸線に対して傾斜していてもよい。また、センサの熱害防止の点からは、センサの露出する部位のできるだけ全体をカバーする(覆う)ような構成のものとするのが好ましい。
【0015】
請求項4に記載の本発明は、前記ガスセンサ保護カバーが、その取付け環状部が略円筒状に形成され、その取付け環状部の先端部と、前記切れ目の辺部とのなす角に、面取りが付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサの取付け構造である。
【0016】
本発明において、保護カバーは、これをそのバネ性に抗して広げて、センサの外周面に取付けるものであるため、このような面取りがあると、引っ掛かりがなくなるため、その取付けが容易となる。面取りは、R面取りでもよいし、傾斜面取りでもよい。
【0017】
請求項5に記載の本発明は、前記ガスセンサのうちの排気管の外側にある部位の外周面に凹部が形成されている一方、
前記ガスセンサ保護カバーの取付け環状部に、内向きに突出する内向き突出部が形成され、該内向き突出部を前記凹部に嵌合させていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサの取付け構造である。
【0018】
このような取り付け構造では、前記凹部に対する内向き突出部の嵌合により、保護カバーのバネ性を利用しての取付けに加えて抜け止め構造を有することになるため、取り付け後における振動によって外れることが防止される。
【0019】
請求項6に記載の本発明は、先端側の検出素子の少なくとも一部を排気管内に位置させて立設状に取付けられるガスセンサのうち、排気管の外側にある部位の外周面を覆うガスセンサ保護カバーであって、
バネ性を有する金属板を環状に形成し、それ自身の自由状態において又はそれ自身を撓み変形させることで、前記ガスセンサのうちで前記検出素子と電気的に接続された状態で前記排気管の外側に延びるリード線を、ガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる切れ目を備えているとともに、そのバネ性によって、ガスセンサの排気管の外側にある部位の外周面を締付けて取り付られる取付け環状部を有することを特徴とする。
【0020】
本発明のガスセンサ保護カバーは、ガスセンサの排気管への取付けの前後にかかわらず、ガスセンサ保護カバー自身のバネ性によってガスセンサに取付けられる構造のものである。このため、その取付けのためのねじ部材や、相手部材(排気管)におけるねじ部材のためのねじ穴を要しない。加えて、ガスセンサ保護カバーは、自身に切れ目があることから、ガスセンサを排気管に取付けた後、そのリード線を制御装置側のリード線に接続した後においても取付けられる。
【0021】
請求項7に記載の本発明は、前記取付け環状部の後方に、後方に向って次第に径が大きくなる径大部を備えていることを特徴とする請求項6に記載のガスセンサ保護カバーである。請求項8に記載の本発明は、前記切れ目が自由状態において、環状方向において空隙があり、その空隙幅が、ガスセンサのリード線をガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる大きさとされていることを特徴とする請求項6又は7に記載のガスセンサ保護カバーである。
【0022】
請求項9に記載の本発明は、前記取付け環状部が略円筒状に形成され、その取付け環状部の先端部と、前記切れ目の辺部とのなす角に、面取りが付けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のガスセンサ保護カバーである。請求項10に記載の本発明は、前記取付け環状部に、該取付け環状部が前記ガスセンサのうちの排気管の外側にある部位の外周面に取付けられた際に、該外周面に形成された凹部に嵌合するように内向きに突出する内向き突出部が形成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のガスセンサ保護カバーである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。図1中、1は排気管(又は排気マニホルド)であり、その適所に設けられた開口に、酸素センサ11のねじ込み用のねじ2の設けられたリング(口金)3が溶接等により取付けられている。このリング3には次のような酸素センサ11がねじ込み方式によって取付けられている。なお、酸素センサ11は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細についての説明は省略するが、その概略構成は次のようである。すなわち、本形態における酸素センサ11は、本体金具12を主体として、全体として略円筒状(又は軸状)をなすように構成されている。本体金具12は、その図示上下の中間部にねじ込み用の六角部13を有し、図示下側(先端側)に、口金3へのねじ込み用のねじ部14を備えており、このねじ部14より先端側には、ガス導入孔を複数有し図示しない有底筒状の検出素子の先端部を内部に有する保護用筒16を同軸状に取付けている。一方、本体金具12は、その六角部13の図示上側(後端側)に、外周面が円筒状をなす短円筒部18を備えており、短円筒部18の上部は内側にカール状にかしめられ、内側に内部保護筒20を同軸状にして固定している。また、この内部保護筒20を覆うように、その上方には保護用外筒21が被せられて固定されており、保護用外筒21の図示上端(後端部)から、リード線22が引き出されている。なお、保護用外筒21の内部のうち、リード線22の周囲にはシリコンゴムからなるシール材(図示せず)が装填され、リード線22と保護用外筒21との間の気密性を確保している。また、本形態における酸素センサ11は、有底筒状の検出素子の内側に配置され、検出素子を加熱するための棒状のヒーター(図示せず)を備えており、リード線22は、このヒーターと電気的に接続される一対のリード線と、検出素子と電気的に接続される一対のリード線との計4本からなる。なお、これら4本のリード線の保護用外筒21より外部に延びる部分には、これらを収束して保護する保護チューブ29が被せられており、本形態では保護チューブ29を含めてリード線22と表現している。
【0024】
このような本形態における酸素センサ11は、六角部13が一番太く、その上の短円筒部18の外径D1が六角部13の六角に対する内接円よりやや小さめとされ、内部保護筒20、及び保護用外筒21の外径は短円筒部18の外径より小さくされている。また、本体金具12の六角部13と短円筒部18との間には周方向に凹部(溝)25が形成されている。このような酸素センサ11は、図示したように、排気管内1aに、検出素子の先端部を内部に有する保護用筒16を突出させ、本体金具12のねじ部14をリング3内のねじ2にねじ込み、六角部13を含む後端寄り部位(図示上方)を外側に露出させて立設状に取付けられている。なお、図中、27は気密用のワッシャーである。
【0025】
このように排気管1に取付けられた酸素センサ11に対しては、酸素センサ保護カバー31がその外側に露出する部位の酸素センサ11の外周面を覆うように取付けられている。ただし、本形態における酸素センサ保護カバー31は、一定厚さの金属薄板(SUS304製薄板)からなり、全体としてみると、横断面が円形の漏斗形状をなしている。そして、その下部のストレートの円筒部が、酸素センサ11の根元近傍の短円筒部18の外周面18aに取付けられる取付け環状部32とされ、取付け環状部(円筒部)32の図示上端(後端)から上方(後方)に向って、次第に径が大きくなる径大部であるテーパー部33を同心で一体的に設けられている。ただし、このような酸素センサ保護カバー31は、その取付け環状部32及びテーパー部33における軸線方向に沿って、一定幅で切れ目(スリット)Kが形成されている。本形態においては、このような酸素センサ保護カバー31が、その取付け環状部32を酸素センサ11の根元近傍の短円筒部18の外周面18aに、自身のバネ性によりその外周面を締付けるようにして取付けられている。なお、図示したように、取付け環状部32の先端部35が六角部13の後向き端面13aに当接状態とされている。
【0026】
本形態において、酸素センサ保護カバー31の切れ目Kの環状方向(周方向)における空隙幅は、酸素センサ11への取付け前の保護カバー31の自由状態において、リード線(束)22を自身の環状内側に入り込ませることができる大きさ(幅)Wとされている。また、酸素センサ保護カバー31の自由状態において、取付け環状部(円筒部)32の内径D2は、酸素センサ11の短円筒部18の外径D1より、1mm程度小さくされている。そして、取付け環状部32の図示における上下(軸)方向の長さL1は、酸素センサ11の六角部13の後向き端面13aから短円筒部18の後端までの長さH1より大きく設定されている。また、テーパー部33の上下(軸)方向の長さL2は、取付け環状部32の長さL1より長くされている。なお、取付け環状部32の先端部35と、切れ目Kをなすように対向する辺部36とのなす角には、両角ともにR状に面取り37が付けられている。
【0027】
このような本形態においては、酸素センサ11を排気管1にねじ込み方式によって取付けるときは、従来と同様の工具を用いてその六角部13にレンチをかけてねじ込む。そして、酸素センサ保護カバー31をその取付け環状部32を下にし、酸素センサ11のリード線22を、切れ目Kからカバー31自身の環状内側に入れる。次ぎに、この状態の下で、酸素センサ保護カバー31の取付け環状部32内に、酸素センサ11の保護用外筒21及び内部保護筒20を臨ませるようにし、取付け環状部32をそのバネ性に抗して切れ目Kを広げるように拡径する。同時に、取付け環状部32を酸素センサ11の軸方向(上下方向)の図示下側に押し込むことで、すべりこますようにして短円筒部18に外嵌めし、先端部35を六角部13の後向き端面13aに当接させる。こうすることで、酸素センサ保護カバー31は、取付け環状部32の弾性により酸素センサ11の短円筒部18を締付けるようにして酸素センサ11に取付けられる。このとき、切れ目Kの幅は自由状態におけるそれより若干広い幅W2となる。本形態の酸素センサ保護カバー31が取付けられることにより、排気管1の熱気から酸素センサ11の排気管の外側にある部位(露出部)を保護し、後端部内のシリコンゴムの熱害による劣化が防止される結果、酸素センサ11の機能低下(具体的には気密性低下)が防止される。
【0028】
次に、このような取付け構造における作用ないし効果について説明する。本形態の取付け構造においては、従来のように酸素センサ11を酸素センサ保護カバー31の内側に入れた状態で、その酸素センサ11の外側の六角部13に工具を嵌めてねじ込む取付け構造でない。すなわち、酸素センサ保護カバー31は、酸素センサ11のねじ込みによる排気管1への取付け後において取付ける構造のものである。このため、酸素センサ保護カバー31は、ねじ込み用工具が入り込める大きさを考慮して設計する必要がなくなる。したがって、工具の大きさを考慮することなく、酸素センサ保護カバー31の大きさ、形状を設定できる。すなわち、排気管1の熱害から酸素センサ11を保護する観点のみから保護カバーの形状、構造の設計ができるため、設計の適切化とともに小径化(小型化)を図ることができる。その結果、酸素センサ11のまわりの酸素センサ保護カバー31のために要求されていたスペースの狭小化が図られる。また、このような酸素センサ保護カバー31は、酸素センサ11を排気管1に取付けた後で、そのバネ性により取付けるものであるため、その脱着も容易となる。さらに、本形態では、酸素センサ保護カバー31はその後方にテーパー部33を有しているため、酸素センサ保護カバー31の軸方向の長さが短くても、高い熱遮断効果が得られるという効果も有る。
【0029】
加えて、本発明にかかる酸素センサ保護カバー31においては、酸素センサ11の排気管1への取付けの前後にかかわらず、酸素センサ保護カバー31自身のバネ性によって酸素センサ11に取付ける構造をしている。このため、その取付けのためのねじ部材やねじ穴を設けることを要しないため、取り付け構造のシンプル化、及び取り付け作業の簡易化が図られる。そして、上記した酸素センサ保護カバー31は、自身に自由状態でリード線22を環状内側に取り込める切れ目Kがあることから、酸素センサ11の取付け後であって、そのリード線22を制御装置側に接続した後においても問題なく、しかも容易に取付けられる。
【0030】
さらに、本形態では、酸素センサ保護カバー31の先端部35と切れ目Kをなす辺部36との角に、面取り37が付けられていることから、酸素センサ11に取付ける場合において、その角が引っ掛かったりすることによる取り付け作業上の難点もない。
【0031】
なお、前記形態では、酸素センサ保護カバー31の切れ目Kに、自由状態において周方向に空隙幅Wのあるものとしたが、このような空隙幅を設けることなく、図4及び図5に示した酸素センサ保護カバー41のように、自由状態において、切れ目Kをなす対向する辺部36が所定幅Sで重なっているものでもよい。この場合は、重なり部位を径方向に離間させるか、周方向に広げることで、空隙幅ができるように変形させて、リード線を酸素センサ保護カバー41の環状内側に入り込ませればよい。なお、このような酸素センサ保護カバー41においては、酸素センサに取付けたとき、空隙幅が略0(微小幅)となるように設定するのが、熱害からの保護のためには好ましい。
【0032】
さて次に本発明の別形態について図6に基づいて説明するが、本形態のものは前記形態のものの改良とでもいうべきもので本質的相違はないことから、その改良点(相違点)についてのみ説明し、同一の部位には同一の符号を付すに止める。
【0033】
すなわち、本形態のものでは、酸素センサ保護カバー51の取付け環状部32の先端に、内向きに突出する内向き突出部39が環状に設けられている。そして、酸素センサ保護カバー51のバネ性によってこの内向き突出部39をセンサをなす本体金具12における六角部13と短円筒部18との間の凹部(周溝)25に嵌合させている。
【0034】
このような本形態のものでは、酸素センサ保護カバー51が酸素センサ11の軸線方向に対して抜け止め構造を有するものとして取付けられている。したがって、エンジンや自動車走行時の振動等の外力に対しても、酸素センサ保護カバー51が外れにくいといった効果がある。なお、本形態では、内向き突出部39を周方向の全体にわたって設けたが、一部或いは部分的に設けてもよい。また、本形態では、内向き突出部39を図示断面において内向き凸Rとなすようにカールさせたが、単に内向きに突出するフランジ状に形成し、これが本体金具12における凹部25に入り込むようにしてもよい。さらに、内向き突出部39を入り込ませるセンサ側の凹部25の部位は、六角部13と短円筒部18の間でなくともよく、適所に設ければよい。また、内向き突出部39を設ける場合の位置は、取付け環状部32の先端に設けることに限定されるものではない。酸素センサ側に設ける凹部の位置に対応させて適所に設ければよい。
【0035】
本発明は、上記した実施の形態のものに限定されるものではなく、適宜に変更して具体化できる。例えば、酸素センサ保護カバーは、下が円筒状で上がテーパー状のさかずき形状の環状としたが、全体がコップ形状で底中央を貫通させた形の環状としてもよい。さらには、全体が皿形状で底中央を貫通させた形の環状としても具体化できるなど、その具体的形状は酸素センサの形状、遮熱作用、或いは取り付けスペースなどを考慮して適宜の形に設計すればよい。
【0036】
さらに、前記形態では、六角部13の後向き端面13aを起点として、それより上に酸素センサ保護カバーを配置させるようにしたが、六角部13の先端向き面と口金3との間を起点として、それより上をカバーするように取付けてもよく、或いは、本体金具12の外周面ではなく内部保護筒20や保護用外筒21の外周面を締付けるように取付けてもよいなど、排気管からの熱害から酸素センサが保護されるものであればよい。なお、ガスセンサ保護カバーは、バネ性のある金属板からなればよく、その材質、厚さは適宜のものとすればよい。また、排気管からの熱害から保護するための保護カバーは、ガスセンサに取付けるものに限定されず、排気管に取付けられるNOxセンサやHCセンサ、全領域空燃比センサといった各種ガスセンサに取付けてよいことはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明における取付け構造は、従来のようにガスセンサをガスセンサ保護カバーの内側に入れた状態で、同ガスセンサのねじ込み用多角形部の外側にレンチを嵌めてねじ込むことによる取付け構造とは全く異なる。すなわち、本発明における取付け構造は、ガスセンサ保護カバーを、ガスセンサのねじ込みによる排気管への取付け後において取付ける構造である。このため、ガスセンサ保護カバーは、その内部にねじ込み用工具が入り込める大きさを考慮して設計する必要がない。したがって、本発明における取付け構造によれば、ガスセンサ保護カバーの小径化(小型化)を図ることができる。このため、ガスセンサまわりのガスセンサ保護カバーのために要求されるスペースの狭小化が図られ、同スペースが小さくても、ガスセンサ保護カバーの取付けができる。
【0038】
さらに、本発明のガスセンサ保護カバーにおいては、自身のバネ性によってガスセンサに取付けられるものであるため、その取付けのためのねじ部材や、排気管側にそのねじ込み用のねじ穴を要しないため、取り付け構造のシンプル化、及び取り付け作業の簡易化が図られる。加えて、本発明のガスセンサ保護カバーは、自身に切れ目Kがあることから、ガスセンサを排気管に取付けた後、ガスセンサから引き出されているリード線を制御装置側のリード線に接続した状態においても問題なく取付けられるため、極めて便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサの取付け構造の実施の形態を示す一部破断立面図。
【図2】図1における内部構造を省略したA−A線断面図。
【図3】図1の取付け構造に用いた酸素センサ保護カバーの一部破断立面図。
【図4】酸素センサ保護カバーの別形態の一部破断立面図。
【図5】図4におけるB−B線断面図。
【図6】酸素センサの取付け構造の別の実施の形態を示す一部破断立面図及び要部拡大図。
【符号の説明】
1 排気管
1a 排気管内
11 酸素センサ
18a 短円筒部の外周面(酸素センサの排気管の外側にある部位の外周面)
22 酸素センサのリード線
25 酸素センサの外周面の凹部
31、41、51 酸素センサ保護カバー
32 取付け環状部
33 酸素センサ保護カバーの径大部
35 取付け環状部の先端部
36 切れ目の辺部
37 角の面取り
39 取付け環状部の内向き突出部
K 切れ目
W 自由状態における切れ目の空隙幅
Claims (10)
- 先端側の検出素子の少なくとも一部を排気管内に位置させて立設状に取付けられているガスセンサの取付け構造であって、そのガスセンサのうち、排気管の外側にある部位の外周面を覆うガスセンサ保護カバーを取付けてなるものにおいて、
前記ガスセンサ保護カバーは、バネ性を有する金属板によって環状に形成され、それ自身の自由状態において又はそれ自身を撓み変形させることで、前記ガスセンサのうちで前記検出素子と電気的に接続された状態で前記排気管の外側に延びるリード線を、ガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる切れ目を備えているとともに、そのバネ性によって、ガスセンサの排気管の外側にある部位の外周面を締付けて取り付られる取付け環状部を有するものであり、
排気管に取り付けられているガスセンサに対し、前記ガスセンサ保護カバーをそれ自身の自由状態において又はそれ自身を撓み変形させることで、前記リード線を前記切れ目からガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませ、その取付け環状部がバネ性によって該ガスセンサの排気管の外側にある部位の外周面を締付けるように取付けられることで、該ガスセンサ保護カバーを取付けてなることを特徴とする、ガスセンサの取付け構造。 - 前記ガスセンサ保護カバーは、その取付け環状部の後方に、後方に向って次第に径が大きくなる径大部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの取付け構造。
- 前記ガスセンサ保護カバーは、自由状態において前記切れ目が環状方向において空隙があり、その空隙幅が、ガスセンサのリード線をガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる大きさとされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサの取付け構造。
- 前記ガスセンサ保護カバーは、その取付け環状部が略円筒状に形成され、その取付け環状部の先端部と、前記切れ目の辺部とのなす角に、面取りが付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサの取付け構造。
- 前記ガスセンサのうちの排気管の外側にある部位の外周面に凹部が形成されている一方、
前記ガスセンサ保護カバーの取付け環状部に、内向きに突出する内向き突出部が形成され、該内向き突出部を前記凹部に嵌合させていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサの取付け構造。 - 先端側の検出素子の少なくとも一部を排気管内に位置させて立設状に取付けられるガスセンサのうち、排気管の外側にある部位の外周面を覆うガスセンサ保護カバーであって、
バネ性を有する金属板を環状に形成し、それ自身の自由状態において又はそれ自身を撓み変形させることで、前記ガスセンサのうちで前記検出素子と電気的に接続された状態で前記排気管の外側に延びるリード線を、ガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる切れ目を備えているとともに、そのバネ性によって、ガスセンサの排気管の外側にある部位の外周面を締付けて取り付られる取付け環状部を有することを特徴とするガスセンサ保護カバー。 - 前記取付け環状部の後方に、後方に向って次第に径が大きくなる径大部を備えていることを特徴とする請求項6に記載のガスセンサ保護カバー。
- 前記切れ目が自由状態において、環状方向において空隙があり、その空隙幅が、ガスセンサのリード線をガスセンサ保護カバー自身の環状内側に入り込ませることのできる大きさとされていることを特徴とする請求項6又は7に記載のガスセンサ保護カバー。
- 前記取付け環状部が略円筒状に形成され、その取付け環状部の先端部と、前記切れ目の辺部とのなす角に、面取りが付けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のガスセンサ保護カバー。
- 前記取付け環状部に、該取付け環状部が前記ガスセンサのうちの排気管の外側にある部位の外周面に取付けられた際に、該外周面に形成された凹部に嵌合するように内向きに突出する内向き突出部が形成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のガスセンサ保護カバー。
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