JP2004245357A - バッフルプレート付き流体継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄肉のバッフルプレートの使用を可能にして,軽量なバッフルプレート付き流体継手を提供する。
【解決手段】バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4の少なくとも一方を,シェル3sと,このシェル3sの内側面の定位置に結合される複数枚のブレード3bと,シェル3sの内側面に固着されてこれらブレード3bの半径方向内端部3baを押さえる,シェル3sより薄肉のリテーナプレート3rとで構成すると共に,このリテーナプレート3rに,それと板厚を略等しくするバッフルプレート11を連設した。
【選択図】 図1
【解決手段】バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4の少なくとも一方を,シェル3sと,このシェル3sの内側面の定位置に結合される複数枚のブレード3bと,シェル3sの内側面に固着されてこれらブレード3bの半径方向内端部3baを押さえる,シェル3sより薄肉のリテーナプレート3rとで構成すると共に,このリテーナプレート3rに,それと板厚を略等しくするバッフルプレート11を連設した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,入力軸に連結したポンプ羽根車と,出力軸に連結したタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,かゝるバッフルプレート付き流体継手として,タービン羽根車のハブに,循環回路に突出するバッフルプレートを一体に形成したものが,例えば下記特許文献1に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−21971号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように,タービン羽根車のハブにバッフルプレートを一体に形成したものでは,タービン羽根車のハブが本来的に厚肉であることから,バッフルプレートも同様に厚肉にならざるを得ず,流体継手の重量増加を余儀なくされる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,薄肉のバッフルプレートの使用を可能にして,軽量なバッフルプレート付き流体継手を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,入力軸に連結したポンプ羽根車と,出力軸に連結したタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の少なくとも一方を,シェルと,このシェルの内側面の定位置に結合される複数枚のブレードと,前記シェルの内側面に固着されてこれらブレードの半径方向内端部を押さえる,前記シェルより薄肉のリテーナプレートとで構成すると共に,このリテーナプレートに,それと板厚を略等しくする前記バッフルプレートを連設したことを第1の特徴とする。
【0007】
尚,前記入力軸及び出力軸は,後述する本発明の実施例中のクランク軸1及び主軸2にそれぞれ対応する。
【0008】
この第1の特徴によれば,バッフルプレートがリテーナプレートと同様に,シェルやハブよりも薄肉であることから,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を図ることができる。
【0009】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの外周縁部を前記循環回路側に延出させて,該リテーナプレートと同一素材の前記バッフルプレートを構成したことを第2の特徴とする。
【0010】
この第2の特徴によれば,バッフルプレートは,リテーナプレートと共に一挙にプレス加工することが可能であり,これにより加工工程及び組立工程を簡素化して,コストの低減を図ることができる。
【0011】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記バッフルプレートに,前記複数枚のブレードを受容するスリットを設けたことを第3の特徴とする。
【0012】
この第3の特徴によれば,多数のブレード間を通る循環回路に,これらブレードに干渉されることなくバッフルプレートを配設することができ,しかもバッフルプレートのスリットの分,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を更に図ることができる。またバッフルプレートの直径は勿論,スリットの幅を変えることにより,バッフルプレートの特性を変更することができる。
【0013】
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの側面に前記バッフルプレートを溶接したことを第3の特徴とする。
【0014】
この第3の特徴によれば,バッフルプレートの特性を変更する際,小部品のバッフルプレートのみの諸元を変えるだけで,所望の特性を得ることができる。しかもバッフルプレートは,リテーナプレートと同じく比較的薄肉であるから,リテーナプレートに対しては比較的少ない入熱で確実に溶接することができると共に,リテーナプレート及びバッフルプレートの熱変形を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施例に係るバッフルプレート付き流体継手の縦断面図,図2は図1の2−2線断面図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図3の要部斜視図,図5は本発明の第2実施例を示す,図3との対応図である。
【0017】
先ず,図1〜図4に示す本発明の第1実施例について説明する。図1において,自動車用エンジンのクランク軸1と,多段変速機の主軸2とが同軸上に配置され,これらは流体継手Fを介して連結される。
【0018】
流体継手Fは,ポンプ羽根車3と,それに対向してそれとの間に作動オイルの循環回路5を画成するタービン羽根車4とを備えている。またこれら羽根車3,4により構成されるトーラス部Tは,その軸方向幅wが半径rより遙に小さい偏平型に形成される。
【0019】
図2〜図4に示すように,ポンプ羽根車3は,椀状且つ環状のシェル3sと,このシェル3sの内側面の定位置にロー付けされる多数枚のブレード3b,3b…,これらブレード3b,3b…のロー付け前に,シェル3sの内側面にスポット溶接(その溶接部を符号6で示す。)されてブレード3b,3b…の半径方向内端部を押さえるリテーナプレート3rと,全ブレード3b,3b…の中間部相互を連結するコアリング3cと,シェル3sの内周縁部に溶接されるハブ3hとから構成される。
【0020】
シェル3sの内周側の内面には,周方向に延びる位置決め凹部9が形成されており,この位置決め凹部9に,各ブレード3bの半径方向内端部3baが係合される。
【0021】
一方,リテーナプレート3rは,その外周縁部で全ブレード3b,3b…の各半径方向内端部3baを位置決め凹部9側に押し付けるように配置される。またこのリテーナプレート3rには,各ブレード3b,3b…を受容するスリット10,10…が設けられる。
【0022】
リテーナプレート3rには,その外周縁部を各隣接するブレード3b,3b間で循環回路5側に延出させてなるバッフルプレート11が一体に形成される。このバッフルプレート11は,各隣接するブレード3b,3b間に介入するので,前記スリット10,10…はバッフルプレート11の外周縁まで延びることになる。そしてスリット10,10…において,リテーナプレート3r及びバッフルプレート11はブレード3b,3b…にロー付けされる。
【0023】
上記ブレード3b,3b…,バッフルプレート11付きリテーナプレート3r及びコアリング3cは,シェル3sやハブ3hよりも遥かに薄肉の鋼板を素材とするものである。そしてバッフルプレート11付きリテーナプレート3rは,同一の鋼板をプレス加工することにより一挙に製作される。
【0024】
ポンプ羽根車3に製作に際しては,先ず,シェル3s上の定位置に,ブレード3b,3b…群にコアリング3cを結合してなるブレード組立体と,バッフルプレート11付きのリテーナプレート3rとをセットしてから,リテーナプレート3rをシェル3sの内側面にスポット溶接して,ブレード3b,3b…群をシェル3sに対して仮止めし,その状態でブレード3b,3b…群をシェル3sと,リテーナプレート3r及びバッフルプレート11にロー付けする。その後,シェル3sをハブ3hに溶接により固着する。
【0025】
再び図1において,タービン羽根車4も,バッフルプレート11を持たない点を除けば,ポンプ羽根車3と基本的に同様の構成である。即ち,椀状且つ環状のシェル4sと,このシェル4sの内側面の定位置にロー付けされる多数枚のブレード4b,4b…,これらブレード4b,4b…のロー付け前に,シェル4sの内側面にスポット溶接(その溶接部を符号12で示す。)されてブレード4b,4b…の半径方向内端部を押さえるリテーナプレート4rと,全ブレード4b,4b…の中間部相互を連結するコアリング4cと,シェル4sの内周縁部に溶接されるハブ4hとから構成される。
【0026】
ポンプ羽根車3には,タービン羽根車4の背面を覆うサイドカバー13が連設され,このサイドカバー13の外周に溶接された複数の連結ボス7に,クランク軸1の端部に固着されたドライブプレート14がボルト8により固着される。またサイドカバー13の中心部には支軸15が溶接されており,それがクランク軸1端面の支持孔16に嵌装される。
【0027】
ポンプ羽根車3のハブ3hは,循環回路5の内周部側でタービン羽根車4のハブ4hを囲繞するように配置され,これらハブ3h,4h間に第1スラストニードルベアリング17が介裝され,この第1スラストニードルベアリング17を迂回するように油溝19がポンプ羽根車3のハブ3hの内面に形成される。またタービン羽根車4のハブ4hとサイドカバー13との間に第2スラストニードルベアリング18が介裝され,この第2スラストニードルベアリング18を迂回するように油溝20がタービン羽根車4のハブ4hの側面に形成される。上記第1及び第2スラストニードルベアリング17,18によってポンプ羽根車3及びタービン羽根車4は,互いに軸方向の動きが規制される。
【0028】
ポンプ羽根車3のシェル3sには,その外周から半径方向外方に延出してタービン羽根車4側の軸方向に屈曲するポンプ延長部3seが形成される。
【0029】
一方,サイドカバー13は,タービン羽根車4の外側面に近接配置されると共に,その外側面形状に倣って形成され,更にその外周側には,タービン羽根車4より半径方向外方へ延出してポンプ羽根車3側に屈曲するカバー延長部13eが形成される。そして上記ポンプ延長部13e及びカバー延長部3seが相互に溶接により液密に結合される。こうして,タービン羽根車4及びサイドカバー13間には,外周部が幅広となったクラッチ室22が画成され,このクラッチ室22の外周部に循環回路5の外周部が連通する。
【0030】
クラッチ室22には,タービン羽根車4及びサイドカバー13間を直結し得るロックアップクラッチLが設けられる。即ち,ロックアップクラッチLの主体をなすクラッチピストン25は,タービン羽根車4のハブ4hの外周面に摺動自在に支承されると共に,クラッチ室22をタービン羽根車4側の内側室22aとサイドカバー13側の外側室22bとに区画するようにクラッチ室22に配置される。
【0031】
特に,クラッチ室22の外周部には,クラッチピストン25の,ポンプ羽根車3側に屈曲したリム25eを有する外周部が配置され,その外周部の,前記カバー延長部13eの内側面に対向する摩擦ライニング26が付設される。クラッチピストン25は,この摩擦ライニング26をカバー延長部13eの内側壁に圧接させる接続位置と,その内壁から離間する非接続位置との間を軸方向に移動し得るように,タービン羽根車4のハブ4hの外周面に摺動可能に支承される。
【0032】
またクラッチピストン25のリム25e内側には,クラッチピストン25及びタービン羽根車4間を緩衝的に連結するトルクダンパDが配設される。
【0033】
主軸2にはロックアップクラッチLの外側室22bに連通する第1油路32が設けられる。またポンプ羽根車3のハブ3hには,主軸2を囲繞するように配置されてオイルポンプ30を駆動する筒状のオイルポンプ駆動軸31が一体に形成され,このオイルポンプ駆動軸31と主軸2との間に,前記油溝19を介して循環回路5の内周側に連通する第2油路33が画成される。
【0034】
第1油路32及び第2油路33は,ロックアップ制御弁34により,オイルポンプ30の吐出側とオイル溜め35とに交互に接続されるようになっている。
【0035】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0036】
エンジンのアイドリングないし低速運転域では,ロックアップ制御弁34は,図1に示すように,第1油路32をオイルポンプ30の吐出側に接続する一方,第2油路33をオイル溜め35に接続するように,図示しない電子制御ユニットにより制御される。したがって,エンジンのクランク軸1の回転トルクは,ドライブプレート14,サイドカバー13,ポンプ羽根車3へと伝達して,それを回転駆動し,更にオイルポンプ30をも駆動すると,オイルポンプ30から吐出された作動オイルはロックアップ制御弁34から第1油路32,油溝20,クラッチ室22の外側室22b及び同内側室22aを順次経て循環回路5に流入し,該回路5を満たした後,油溝19を経て第2油路33に移り,ロックアップ制御弁34からオイル溜め35に還流する。
【0037】
而して,クラッチ室22では,上記のような作動オイルの流れにより外側室22bの方が内側室22aよりも高圧となり,その圧力差によりクラッチピストン25がサイドカバー13の内壁から引き離される方向へ押圧されるので,ロックアップクラッチLは非接続状態となっており,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4間に相対回転を許容している。
【0038】
したがって,クランク軸1からポンプ羽根車3が回転駆動されると,ポンプ羽根車3の回転により循環回路5内の作動オイルに遠心力が作用するため,作動オイルは,図1の矢印のように,循環回路5の外周部ではポンプ羽根車3からタービン羽根車4に流入してトルクを伝達し,循環回路5の内周部では作動オイルがタービン羽根車4からポンプ羽根車3へと戻り,このような循環を繰り返す。
【0039】
ところで,作動オイルの循環流量が多い失速点付近では,循環回路5に突出したバッフルプレート11が作動オイルの循環を邪魔することにより,ドラッグトルクを小さくすることができる。
【0040】
作動オイルの循環流量が少なくなる常用回転域では,バッフルプレート11の,作動オイルの循環に対する抵抗は比較的小さいので,作動オイルが循環回路5を比較的スムーズに循環することにより,伝動効率は向上する。
【0041】
しかも,上記バッフルプレート11は,ポンプ羽根車3のリテーナプレート3rの外周縁部を前記循環回路5側に延出させて,リテーナプレート3rと一体に構成されるので,リテーナプレート3rと同様に,シェル3sやハブ3hよりも遥かに薄肉であり,バッフルプレート11延いてはバッフルプレート付き流体継手Fの軽量化に寄与することができる。
【0042】
その上,バッフルプレート11には,多数のブレード3b,3b…を受容する多数のスリット10,10…が設けられるので,ブレード3b,3b…の各間に,それらに干渉されることなくバッフルプレート11を配設することができ,しかもバッフルプレート11のスリット10,10…の分,バッフルプレート11の軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手Fの軽量化を更に図ることができる。またバッフルプレート11をスリット10,10…内でブレード3b,3b…とロー付けされる場合には,ブレード3b,3b…相互をバッフルプレート11により強力に補強することができ,したがってブレード3b,3b…の薄肉化を可能にして,バッフルプレート付き流体継手Fの軽量化をより一層図ることができる。
【0043】
一方,バッフルプレート11を各ブレード3bにロー付けせず,各スリット10の幅を変えれば,バッフルプレート11の特性を自由に変更することができる。またバッフルプレート11の直径を変えても同様である。
【0044】
さらにバッフルプレート11及びリテーナプレート3rは,同一鋼板から一挙にプレス加工することが可能であり,これにより加工工程及び組立工程を簡素化して,バッフルプレート付き流体継手Fのコストの低減を図ることができる。
【0045】
車両の発進後,エンジンの回転数が所定値以上になると,電子制御ユニット(図示せず)によるロックアップ制御弁34の切換えにより,オイルポンプ30の吐出作動オイルは,先刻とは反対に,ロックアップ制御弁34から第2油路33を経て循環回路5に流入して,該回路5を満たした後,クラッチ室22の内側室22aに移って,該内側室22aをも満たす。一方,クラッチ室22の外側室22bは,第1油路32及びロックアップ制御弁34を介してオイル溜め35に開放されるので,クラッチ室22では,内側室22aの方が外側室22bよりも高圧となり,クラッチピストン25は,その圧力差によりサイドカバー13側に押圧され,摩擦ライニング26をサイドカバー13の内側壁に圧接させ,ロックアップクラッチLは接続状態となる。すると,クランク軸1からポンプ羽根車3に伝達した回転トルクは,サイドカバー13からクラッチピストン25及びトルクダンパDを介してタービン羽根車4に機械的に伝達することになるから,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4は直結の状態となり,クランク軸1の出力トルクを主軸2に効率良く伝達することができ,燃費の低減を図ることができる。このとき,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4間で急激なトルク変動が生ずると,トルクダンパDの作動によりトルクショックが吸収される。
【0046】
次に,図5に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0047】
この第2実施例では,リテーナプレート3rと略同板厚のバッフルプレート11が,ブレード3b,3b…群から離間した状態でリテーナプレート3rの一側面に,レーザビーム溶接又はスポット溶接により固着される。その他の構成は前実施例と同様であるので,図5中,前実施例との対応部分には,同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0048】
この第2実施例によれば,バッフルプレート11の特性を変更する際には,リテーナプレート3rは変更せずに,小部品のバッフルプレート11の諸元,例えば直径や形状を変える(鎖線示参照)だけで,所望の特性を得ることができる。しかもバッフルプレート11は,リテーナプレート3rと同じく比較的薄肉であるから,リテーナプレート3rへの溶接に際して,比較的少ない入熱をもって溶接を確実に行うことができると共に,リテーナプレート3r及びバッフルプレート11の熱変形を防ぐことができる。
【0049】
以上,本発明の好適な実施例について説明したが,本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,バッフルプレート11をタービン羽根車4のリテーナプレート4rに設けることもできる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,入力軸に連結したポンプ羽根車と,出力軸に連結したタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の少なくとも一方を,シェルと,このシェルの内側面の定位置に結合される複数枚のブレードと,前記シェルの内側面に固着されてこれらブレードの半径方向内端部を押さえる,前記シェルより薄肉のリテーナプレートとで構成すると共に,このリテーナプレートに,それと板厚を略等しくする前記バッフルプレートを連設したので,バッフルプレートがリテーナプレートと同様に,シェルやハブよりも薄肉であることから,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を図ることができる。
【0051】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの外周縁部を前記循環回路側に延出させて,該リテーナプレートと同一素材の前記バッフルプレートを構成したので,バッフルプレートは,リテーナプレートと共に一挙にプレス加工することが可能であり,これにより加工工程及び組立工程を簡素化して,コストの低減を図ることができる。
【0052】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第2の特徴に加えて,前記バッフルプレートに,前記複数枚のブレードを受容するスリットを設けたので,多数のブレード間を通る循環回路に,これらブレードに干渉されることなくバッフルプレートを配設することができ,しかもバッフルプレートのスリットの分,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を更に図ることができる。またバッフルプレートの直径は勿論,スリットの幅を変えることにより,バッフルプレートの特性を変更することができる。
【0053】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの側面に前記バッフルプレートを溶接したので,バッフルプレートの特性を変更する際,小部品のバッフルプレートのみの諸元を変えるだけで,所望の特性を得ることができる。しかもバッフルプレートは,リテーナプレートと同じく比較的薄肉であるから,リテーナプレートに対しては比較的少ない入熱で確実に溶接することができると共に,リテーナプレート及びバッフルプレートの熱変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るバッフルプレート付き流体継手の縦断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図3の要部斜視図
【図5】本発明の第2実施例を示す,図3との対応図
【符号の説明】
F・・・・・流体継手
1・・・・・入力軸(エンジンのクランク軸)
2・・・・・出力軸(変速機の主軸)
3・・・・・ポンプ羽根車
3b・・・・ブレード
3h・・・・ハブ
3r・・・・リテーナプレート
3s・・・・シェル
4・・・・・タービン羽根車
5・・・・・循環回路
10・・・・スリット
11・・・・バッフルプレート
【発明の属する技術分野】
本発明は,入力軸に連結したポンプ羽根車と,出力軸に連結したタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,かゝるバッフルプレート付き流体継手として,タービン羽根車のハブに,循環回路に突出するバッフルプレートを一体に形成したものが,例えば下記特許文献1に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−21971号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように,タービン羽根車のハブにバッフルプレートを一体に形成したものでは,タービン羽根車のハブが本来的に厚肉であることから,バッフルプレートも同様に厚肉にならざるを得ず,流体継手の重量増加を余儀なくされる。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,薄肉のバッフルプレートの使用を可能にして,軽量なバッフルプレート付き流体継手を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,入力軸に連結したポンプ羽根車と,出力軸に連結したタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の少なくとも一方を,シェルと,このシェルの内側面の定位置に結合される複数枚のブレードと,前記シェルの内側面に固着されてこれらブレードの半径方向内端部を押さえる,前記シェルより薄肉のリテーナプレートとで構成すると共に,このリテーナプレートに,それと板厚を略等しくする前記バッフルプレートを連設したことを第1の特徴とする。
【0007】
尚,前記入力軸及び出力軸は,後述する本発明の実施例中のクランク軸1及び主軸2にそれぞれ対応する。
【0008】
この第1の特徴によれば,バッフルプレートがリテーナプレートと同様に,シェルやハブよりも薄肉であることから,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を図ることができる。
【0009】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの外周縁部を前記循環回路側に延出させて,該リテーナプレートと同一素材の前記バッフルプレートを構成したことを第2の特徴とする。
【0010】
この第2の特徴によれば,バッフルプレートは,リテーナプレートと共に一挙にプレス加工することが可能であり,これにより加工工程及び組立工程を簡素化して,コストの低減を図ることができる。
【0011】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記バッフルプレートに,前記複数枚のブレードを受容するスリットを設けたことを第3の特徴とする。
【0012】
この第3の特徴によれば,多数のブレード間を通る循環回路に,これらブレードに干渉されることなくバッフルプレートを配設することができ,しかもバッフルプレートのスリットの分,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を更に図ることができる。またバッフルプレートの直径は勿論,スリットの幅を変えることにより,バッフルプレートの特性を変更することができる。
【0013】
さらにまた本発明は,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの側面に前記バッフルプレートを溶接したことを第3の特徴とする。
【0014】
この第3の特徴によれば,バッフルプレートの特性を変更する際,小部品のバッフルプレートのみの諸元を変えるだけで,所望の特性を得ることができる。しかもバッフルプレートは,リテーナプレートと同じく比較的薄肉であるから,リテーナプレートに対しては比較的少ない入熱で確実に溶接することができると共に,リテーナプレート及びバッフルプレートの熱変形を防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施例に係るバッフルプレート付き流体継手の縦断面図,図2は図1の2−2線断面図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図3の要部斜視図,図5は本発明の第2実施例を示す,図3との対応図である。
【0017】
先ず,図1〜図4に示す本発明の第1実施例について説明する。図1において,自動車用エンジンのクランク軸1と,多段変速機の主軸2とが同軸上に配置され,これらは流体継手Fを介して連結される。
【0018】
流体継手Fは,ポンプ羽根車3と,それに対向してそれとの間に作動オイルの循環回路5を画成するタービン羽根車4とを備えている。またこれら羽根車3,4により構成されるトーラス部Tは,その軸方向幅wが半径rより遙に小さい偏平型に形成される。
【0019】
図2〜図4に示すように,ポンプ羽根車3は,椀状且つ環状のシェル3sと,このシェル3sの内側面の定位置にロー付けされる多数枚のブレード3b,3b…,これらブレード3b,3b…のロー付け前に,シェル3sの内側面にスポット溶接(その溶接部を符号6で示す。)されてブレード3b,3b…の半径方向内端部を押さえるリテーナプレート3rと,全ブレード3b,3b…の中間部相互を連結するコアリング3cと,シェル3sの内周縁部に溶接されるハブ3hとから構成される。
【0020】
シェル3sの内周側の内面には,周方向に延びる位置決め凹部9が形成されており,この位置決め凹部9に,各ブレード3bの半径方向内端部3baが係合される。
【0021】
一方,リテーナプレート3rは,その外周縁部で全ブレード3b,3b…の各半径方向内端部3baを位置決め凹部9側に押し付けるように配置される。またこのリテーナプレート3rには,各ブレード3b,3b…を受容するスリット10,10…が設けられる。
【0022】
リテーナプレート3rには,その外周縁部を各隣接するブレード3b,3b間で循環回路5側に延出させてなるバッフルプレート11が一体に形成される。このバッフルプレート11は,各隣接するブレード3b,3b間に介入するので,前記スリット10,10…はバッフルプレート11の外周縁まで延びることになる。そしてスリット10,10…において,リテーナプレート3r及びバッフルプレート11はブレード3b,3b…にロー付けされる。
【0023】
上記ブレード3b,3b…,バッフルプレート11付きリテーナプレート3r及びコアリング3cは,シェル3sやハブ3hよりも遥かに薄肉の鋼板を素材とするものである。そしてバッフルプレート11付きリテーナプレート3rは,同一の鋼板をプレス加工することにより一挙に製作される。
【0024】
ポンプ羽根車3に製作に際しては,先ず,シェル3s上の定位置に,ブレード3b,3b…群にコアリング3cを結合してなるブレード組立体と,バッフルプレート11付きのリテーナプレート3rとをセットしてから,リテーナプレート3rをシェル3sの内側面にスポット溶接して,ブレード3b,3b…群をシェル3sに対して仮止めし,その状態でブレード3b,3b…群をシェル3sと,リテーナプレート3r及びバッフルプレート11にロー付けする。その後,シェル3sをハブ3hに溶接により固着する。
【0025】
再び図1において,タービン羽根車4も,バッフルプレート11を持たない点を除けば,ポンプ羽根車3と基本的に同様の構成である。即ち,椀状且つ環状のシェル4sと,このシェル4sの内側面の定位置にロー付けされる多数枚のブレード4b,4b…,これらブレード4b,4b…のロー付け前に,シェル4sの内側面にスポット溶接(その溶接部を符号12で示す。)されてブレード4b,4b…の半径方向内端部を押さえるリテーナプレート4rと,全ブレード4b,4b…の中間部相互を連結するコアリング4cと,シェル4sの内周縁部に溶接されるハブ4hとから構成される。
【0026】
ポンプ羽根車3には,タービン羽根車4の背面を覆うサイドカバー13が連設され,このサイドカバー13の外周に溶接された複数の連結ボス7に,クランク軸1の端部に固着されたドライブプレート14がボルト8により固着される。またサイドカバー13の中心部には支軸15が溶接されており,それがクランク軸1端面の支持孔16に嵌装される。
【0027】
ポンプ羽根車3のハブ3hは,循環回路5の内周部側でタービン羽根車4のハブ4hを囲繞するように配置され,これらハブ3h,4h間に第1スラストニードルベアリング17が介裝され,この第1スラストニードルベアリング17を迂回するように油溝19がポンプ羽根車3のハブ3hの内面に形成される。またタービン羽根車4のハブ4hとサイドカバー13との間に第2スラストニードルベアリング18が介裝され,この第2スラストニードルベアリング18を迂回するように油溝20がタービン羽根車4のハブ4hの側面に形成される。上記第1及び第2スラストニードルベアリング17,18によってポンプ羽根車3及びタービン羽根車4は,互いに軸方向の動きが規制される。
【0028】
ポンプ羽根車3のシェル3sには,その外周から半径方向外方に延出してタービン羽根車4側の軸方向に屈曲するポンプ延長部3seが形成される。
【0029】
一方,サイドカバー13は,タービン羽根車4の外側面に近接配置されると共に,その外側面形状に倣って形成され,更にその外周側には,タービン羽根車4より半径方向外方へ延出してポンプ羽根車3側に屈曲するカバー延長部13eが形成される。そして上記ポンプ延長部13e及びカバー延長部3seが相互に溶接により液密に結合される。こうして,タービン羽根車4及びサイドカバー13間には,外周部が幅広となったクラッチ室22が画成され,このクラッチ室22の外周部に循環回路5の外周部が連通する。
【0030】
クラッチ室22には,タービン羽根車4及びサイドカバー13間を直結し得るロックアップクラッチLが設けられる。即ち,ロックアップクラッチLの主体をなすクラッチピストン25は,タービン羽根車4のハブ4hの外周面に摺動自在に支承されると共に,クラッチ室22をタービン羽根車4側の内側室22aとサイドカバー13側の外側室22bとに区画するようにクラッチ室22に配置される。
【0031】
特に,クラッチ室22の外周部には,クラッチピストン25の,ポンプ羽根車3側に屈曲したリム25eを有する外周部が配置され,その外周部の,前記カバー延長部13eの内側面に対向する摩擦ライニング26が付設される。クラッチピストン25は,この摩擦ライニング26をカバー延長部13eの内側壁に圧接させる接続位置と,その内壁から離間する非接続位置との間を軸方向に移動し得るように,タービン羽根車4のハブ4hの外周面に摺動可能に支承される。
【0032】
またクラッチピストン25のリム25e内側には,クラッチピストン25及びタービン羽根車4間を緩衝的に連結するトルクダンパDが配設される。
【0033】
主軸2にはロックアップクラッチLの外側室22bに連通する第1油路32が設けられる。またポンプ羽根車3のハブ3hには,主軸2を囲繞するように配置されてオイルポンプ30を駆動する筒状のオイルポンプ駆動軸31が一体に形成され,このオイルポンプ駆動軸31と主軸2との間に,前記油溝19を介して循環回路5の内周側に連通する第2油路33が画成される。
【0034】
第1油路32及び第2油路33は,ロックアップ制御弁34により,オイルポンプ30の吐出側とオイル溜め35とに交互に接続されるようになっている。
【0035】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0036】
エンジンのアイドリングないし低速運転域では,ロックアップ制御弁34は,図1に示すように,第1油路32をオイルポンプ30の吐出側に接続する一方,第2油路33をオイル溜め35に接続するように,図示しない電子制御ユニットにより制御される。したがって,エンジンのクランク軸1の回転トルクは,ドライブプレート14,サイドカバー13,ポンプ羽根車3へと伝達して,それを回転駆動し,更にオイルポンプ30をも駆動すると,オイルポンプ30から吐出された作動オイルはロックアップ制御弁34から第1油路32,油溝20,クラッチ室22の外側室22b及び同内側室22aを順次経て循環回路5に流入し,該回路5を満たした後,油溝19を経て第2油路33に移り,ロックアップ制御弁34からオイル溜め35に還流する。
【0037】
而して,クラッチ室22では,上記のような作動オイルの流れにより外側室22bの方が内側室22aよりも高圧となり,その圧力差によりクラッチピストン25がサイドカバー13の内壁から引き離される方向へ押圧されるので,ロックアップクラッチLは非接続状態となっており,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4間に相対回転を許容している。
【0038】
したがって,クランク軸1からポンプ羽根車3が回転駆動されると,ポンプ羽根車3の回転により循環回路5内の作動オイルに遠心力が作用するため,作動オイルは,図1の矢印のように,循環回路5の外周部ではポンプ羽根車3からタービン羽根車4に流入してトルクを伝達し,循環回路5の内周部では作動オイルがタービン羽根車4からポンプ羽根車3へと戻り,このような循環を繰り返す。
【0039】
ところで,作動オイルの循環流量が多い失速点付近では,循環回路5に突出したバッフルプレート11が作動オイルの循環を邪魔することにより,ドラッグトルクを小さくすることができる。
【0040】
作動オイルの循環流量が少なくなる常用回転域では,バッフルプレート11の,作動オイルの循環に対する抵抗は比較的小さいので,作動オイルが循環回路5を比較的スムーズに循環することにより,伝動効率は向上する。
【0041】
しかも,上記バッフルプレート11は,ポンプ羽根車3のリテーナプレート3rの外周縁部を前記循環回路5側に延出させて,リテーナプレート3rと一体に構成されるので,リテーナプレート3rと同様に,シェル3sやハブ3hよりも遥かに薄肉であり,バッフルプレート11延いてはバッフルプレート付き流体継手Fの軽量化に寄与することができる。
【0042】
その上,バッフルプレート11には,多数のブレード3b,3b…を受容する多数のスリット10,10…が設けられるので,ブレード3b,3b…の各間に,それらに干渉されることなくバッフルプレート11を配設することができ,しかもバッフルプレート11のスリット10,10…の分,バッフルプレート11の軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手Fの軽量化を更に図ることができる。またバッフルプレート11をスリット10,10…内でブレード3b,3b…とロー付けされる場合には,ブレード3b,3b…相互をバッフルプレート11により強力に補強することができ,したがってブレード3b,3b…の薄肉化を可能にして,バッフルプレート付き流体継手Fの軽量化をより一層図ることができる。
【0043】
一方,バッフルプレート11を各ブレード3bにロー付けせず,各スリット10の幅を変えれば,バッフルプレート11の特性を自由に変更することができる。またバッフルプレート11の直径を変えても同様である。
【0044】
さらにバッフルプレート11及びリテーナプレート3rは,同一鋼板から一挙にプレス加工することが可能であり,これにより加工工程及び組立工程を簡素化して,バッフルプレート付き流体継手Fのコストの低減を図ることができる。
【0045】
車両の発進後,エンジンの回転数が所定値以上になると,電子制御ユニット(図示せず)によるロックアップ制御弁34の切換えにより,オイルポンプ30の吐出作動オイルは,先刻とは反対に,ロックアップ制御弁34から第2油路33を経て循環回路5に流入して,該回路5を満たした後,クラッチ室22の内側室22aに移って,該内側室22aをも満たす。一方,クラッチ室22の外側室22bは,第1油路32及びロックアップ制御弁34を介してオイル溜め35に開放されるので,クラッチ室22では,内側室22aの方が外側室22bよりも高圧となり,クラッチピストン25は,その圧力差によりサイドカバー13側に押圧され,摩擦ライニング26をサイドカバー13の内側壁に圧接させ,ロックアップクラッチLは接続状態となる。すると,クランク軸1からポンプ羽根車3に伝達した回転トルクは,サイドカバー13からクラッチピストン25及びトルクダンパDを介してタービン羽根車4に機械的に伝達することになるから,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4は直結の状態となり,クランク軸1の出力トルクを主軸2に効率良く伝達することができ,燃費の低減を図ることができる。このとき,ポンプ羽根車3及びタービン羽根車4間で急激なトルク変動が生ずると,トルクダンパDの作動によりトルクショックが吸収される。
【0046】
次に,図5に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0047】
この第2実施例では,リテーナプレート3rと略同板厚のバッフルプレート11が,ブレード3b,3b…群から離間した状態でリテーナプレート3rの一側面に,レーザビーム溶接又はスポット溶接により固着される。その他の構成は前実施例と同様であるので,図5中,前実施例との対応部分には,同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0048】
この第2実施例によれば,バッフルプレート11の特性を変更する際には,リテーナプレート3rは変更せずに,小部品のバッフルプレート11の諸元,例えば直径や形状を変える(鎖線示参照)だけで,所望の特性を得ることができる。しかもバッフルプレート11は,リテーナプレート3rと同じく比較的薄肉であるから,リテーナプレート3rへの溶接に際して,比較的少ない入熱をもって溶接を確実に行うことができると共に,リテーナプレート3r及びバッフルプレート11の熱変形を防ぐことができる。
【0049】
以上,本発明の好適な実施例について説明したが,本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,バッフルプレート11をタービン羽根車4のリテーナプレート4rに設けることもできる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,入力軸に連結したポンプ羽根車と,出力軸に連結したタービン羽根車とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路を形成し,両羽根車の少なくとも一方に,循環回路に突出するバッフルプレートを付設した,バッフルプレート付き流体継手において,ポンプ羽根車及びタービン羽根車の少なくとも一方を,シェルと,このシェルの内側面の定位置に結合される複数枚のブレードと,前記シェルの内側面に固着されてこれらブレードの半径方向内端部を押さえる,前記シェルより薄肉のリテーナプレートとで構成すると共に,このリテーナプレートに,それと板厚を略等しくする前記バッフルプレートを連設したので,バッフルプレートがリテーナプレートと同様に,シェルやハブよりも薄肉であることから,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を図ることができる。
【0051】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの外周縁部を前記循環回路側に延出させて,該リテーナプレートと同一素材の前記バッフルプレートを構成したので,バッフルプレートは,リテーナプレートと共に一挙にプレス加工することが可能であり,これにより加工工程及び組立工程を簡素化して,コストの低減を図ることができる。
【0052】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第2の特徴に加えて,前記バッフルプレートに,前記複数枚のブレードを受容するスリットを設けたので,多数のブレード間を通る循環回路に,これらブレードに干渉されることなくバッフルプレートを配設することができ,しかもバッフルプレートのスリットの分,バッフルプレートの軽量化,延いてはバッフルプレート付き流体継手の軽量化を更に図ることができる。またバッフルプレートの直径は勿論,スリットの幅を変えることにより,バッフルプレートの特性を変更することができる。
【0053】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記リテーナプレートの側面に前記バッフルプレートを溶接したので,バッフルプレートの特性を変更する際,小部品のバッフルプレートのみの諸元を変えるだけで,所望の特性を得ることができる。しかもバッフルプレートは,リテーナプレートと同じく比較的薄肉であるから,リテーナプレートに対しては比較的少ない入熱で確実に溶接することができると共に,リテーナプレート及びバッフルプレートの熱変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るバッフルプレート付き流体継手の縦断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図3の要部斜視図
【図5】本発明の第2実施例を示す,図3との対応図
【符号の説明】
F・・・・・流体継手
1・・・・・入力軸(エンジンのクランク軸)
2・・・・・出力軸(変速機の主軸)
3・・・・・ポンプ羽根車
3b・・・・ブレード
3h・・・・ハブ
3r・・・・リテーナプレート
3s・・・・シェル
4・・・・・タービン羽根車
5・・・・・循環回路
10・・・・スリット
11・・・・バッフルプレート
Claims (4)
- 入力軸(1)に連結したポンプ羽根車(3)と,出力軸(2)に連結したタービン羽根車(4)とを互いに対向させて,これらの間に作動オイルの循環回路(5)を形成し,両羽根車(3,4)の少なくとも一方に,循環回路(5)に突出するバッフルプレート(11)を付設した,バッフルプレート付き流体継手において,
ポンプ羽根車(3)及びタービン羽根車(4)の少なくとも一方を,シェル(3s)と,このシェル(3s)の内側面の定位置に結合される複数枚のブレード(3b)と,前記シェル(3s)の内側面に固着されてこれらブレード(3b)の半径方向内端部(3ba)を押さえる,前記シェル(3s)より薄肉のリテーナプレート(3r)とで構成すると共に,このリテーナプレート(3r)に,それと板厚を略等しくする前記バッフルプレート(11)を連設したことを特徴とする,バッフルプレート付き流体継手。 - 請求項1記載のバッフルプレート付き流体継手において,
前記リテーナプレート(3r)の外周縁部を前記循環回路(5)側に延出させて,該リテーナプレート(3r)と同一素材の前記バッフルプレート(11)を構成したことを特徴とする,バッフルプレート付き流体継手。 - 請求項2記載のバッフルプレート付き流体継手において,
前記バッフルプレート(11)に,前記複数枚のブレード(3b)を受容するスリット(10)を設けたことを特徴とする,バッフルプレート付き流体継手。 - 請求項1記載のバッフルプレート付き流体継手において,
前記リテーナプレート(3r)の側面に前記バッフルプレート(11)を溶接したことを特徴とする,バッフルプレート付き流体継手。
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- 2003-02-14 JP JP2003036949A patent/JP2004245357A/ja active Pending
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