JP2004245088A - ベーン型オイルポンプ - Google Patents

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Takao Koyama
隆夫 小山
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Abstract

【課題】ベーン型オイルポンプにおいて、ベーン先端がカムリング内周面をトレースさせ得てそれらの間のシール性を向上させるとともに、不必要な押付力による摩擦の発生を防止することにある。
【解決手段】カムリング5内に収容された回転可能なロータ2に、半径方向外方に張り出し可能に設けられた複数個のベーン4を具え、それらベーン4の背圧室2cに吐出圧を導き、背圧室2cの油圧をベーン4に供給するベーン型オイルポンプにおいて、背圧室2cに導く吐出圧をロータ2の回転速度の上昇に応じて増大させる背圧室調圧手段3a,10,10a,11を具えることを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に搭載される自動変速機や無段変速機等に用いられるオイルポンプに関し、特には、カムリング内に収容された回転可能なロータに、半径方向外方に張り出し可能に設けられたベーンを具えるベーン型オイルポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のトランスミッション等に用いられるオイルポンプでは、車両停止中の低回転状態でエンジントルクがトランスミッションへ入力される際に、自動変速機におけるクラッチの締結やベルト式無段変速機の締結のための非常に大きな吐出流量を要求される。しかし、高回転時にはそれほど大きな吐出流量が必要でないことから、高回転時の駆動トルクを小さくしてポンプ性能を高めることができる可変容量型のベーン型オイルポンプが有利である。
【0003】
そして上記ベーン型オイルポンプでは、ロータから半径方向外方へ張り出したベーンのベーン先端(ロータ外周側端部)とカムリングの内周面とのシール性がオイルの吐出効率を左右する。しかも、そのオイルポンプを低回転から高回転までの回転の変化や、低温始動等の様々な条件下で作動させる必要がある。このため、かかる条件下においても、ベーン先端がカムリング内周面を確実にトレースすることが要求される。特に、ロータの高回転時においては、半径方向外方に移動可能なベーンの固有振動数に達するとベーンがカムリングの内周面に追従することができなくなってしまうことから、ベーンとカムリングの内周面との隙間が大きくなる吸入側の部分での、ベーン先端とカムリング内周面との離間が問題となる。
【0004】
上記問題に関して、例えばベーンリング等の環状部材でベーン後端を支持するものやスプリング等の弾性部材で支持するものなどがある。
【0005】
しかし、環状部材で支持するものでは、各部品の寸法公差を考慮する必要があり、ベーン後端と環状部材の外周面との間にも若干の隙間を設定することが必要とされる。それゆえ、ベーン先端とカムリングの内周面との隙間の最大時においては確実なシール性を期待することが難しい。また、弾性部材で支持するものでは、弾性力を調節できないために、高回転時の離間を防止できるように弾性力に設定すると低回転時にベーン先端とカムリング内周面との間に摩擦が発生してしまい、燃費に悪影響を及ぼすことが考えられる。
【0006】
また、上記以外の構成のものとして、ポンプの吐出圧をベーン後端側の背圧室に導きこれによりベーンに油圧をかける構成のものが開示されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−323880号公報
【非特許文献1】
ダイキン工業油機技術グループ,「疑問にこたえる 機械の油圧(上)」,技術評論社,1983年,p.70−73
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ベーンに油圧をかける構成のものでは、上記高回転時の離間を防止するように油圧をかけると、油圧を調節することができないために低回転時にベーン先端とカムリング内周面との間に摩擦が発生してしまい、オイルポンプが用いられる車両の燃費に悪影響を及ぼすことが考えられる。従って、上記従来のベーン型オイルポンプのいずれの構成によっても、上記問題を解決することは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、ベーン型オイルポンプに関し、低回転から高回転までの回転の変化等の様々な条件下においてもベーン先端がカムリング内周面をトレースさせ得てそれらの間のシール性を向上させるとともに、不必要な押付力による摩擦の発生を防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カムリング内に収容された回転可能なロータに、半径方向外方に張り出し可能に設けられたベーンを具え、前記ベーンの背圧室に吐出圧を導き、前記背圧室の油圧を前記ベーンに供給するベーン型オイルポンプにおいて、前記背圧室に導く吐出圧を前記ロータの回転速度の上昇に応じて増大させる背圧室調圧手段を具えることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
かかる構成の本発明のベーン型オイルポンプによれば、背圧室調圧手段が、ベーンの背圧室に導く吐出圧をロータの回転速度の上昇に応じて増大させるから、カムリング内周面へのベーンの押付力が小さくてよい、ロータの低回転時においては背圧室の油圧を低圧にすることができ、不要な押付力により摩擦の発生を防止することができる。一方、ロータの高回転時においては、ベーンの固有振動数に達した場合のカムリング内周面とベーン先端との離間を防止させるべくベーンの押付力を大きくする必要があるが、背圧室調圧手段で、ベーンの背圧室に導く吐出圧をロータの回転速度の上昇に応じて増大させるから、その回転速度の上昇に伴い背圧室の油圧を高めて、カムリングへのベーンの押付力を大きくすることができる。
【0012】
従って、ロータの低回転時においては、カムリングの内周面へのベーン先端の不必要な押付力による摩擦の発生を防ぐことができ、またロータの高回転時においては、カムリング内周面とベーン先端との離間を防止することができて、オイルポンプが用いられる車両の燃費及び動力性能を向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1〜図3は、本発明の第一実施の形態になるベーン型オイルポンプの要部を示し、図1は本実施の形態のベーン型オイルポンプの要部の概略断面図であり、図2は図1のA−A線に沿い矢印の方向から見た状態で示す断面図である。
【0014】
本実施の形態のベーン型オイルポンプ1は、車両等に搭載される自動変速機や無段変速機等に用いられるものである。このベーン型オイルポンプ1は、図1及び図2に示すように、図示しないハウジング内に、ロータ2と、そのロータ2を回転駆動する筒状の駆動軸3と、複数個のベーン4と、環状のカムリング5とを具えている。ロータ2は、カムリング5の内周側に収容され、図2に示す駆動軸3の一端部から軸線方向に突出した駆動力伝達部材としての駆動爪3aを介して駆動トルクを伝達される。複数個のベーン4は、ロータ2の外周部に放射状に形成された複数個のベーン摺動溝2aに組み込まれ、ロータ2の半径方向外方に張り出し自在に設けられる。なお、ここでの駆動軸3には、二個の駆動爪3aを中心軸線に関して対向するように形成し、またロータ2には、各駆動爪3aと掛合する貫通穴2bを設けている。
【0015】
また、ロータ2が図1中矢印αで示す回転方向に方向に回転することにより、隣り合うベーン4とカムリング5の内周面とで画成される空間が増大する部分には、図示しないコントロールバルブで調圧されたオイルを吸い込む吸入ポート6を設ける一方、隣り合うベーン4とカムリング5の内周面とで画成される空間が減少する部分にはオイルを吐出する吐出ポート7を設ける。なお、本実施の形態の可変容量型ベーンポンプ1は従来の一般的な構成のものを適用することができ、ここでは、カムリング5が、ピン8周りに回転自在に支持され、そのピン8を設けた部分と径方向反対側に位置する部分に設けられた図示しないリターンスプリングの弾性力で偏心量を増大する方向に付勢される。その一方、カムリング5の爪5aと掛合する図示しないコントロールピストンでリターンスプリングの弾性力に抗してカムリング5を押すことで偏心量を減少させることができる。このようにして、ポンプ1の容量を変化させることができる。
【0016】
そしてロータ2の軸線方向両端面には、複数のベーン摺動溝2aを周方向に連通させるとともに背圧室2cに油圧を供給する背圧溝2dを形成する。さらにロータ2の両端面には、空間9と、背圧溝2dとベーン摺動溝2aとを半径方向に連通させる半径方向溝2fを形成する。なお、上記吐出ポート7から吐出したオイルをロータ2の内周壁2eで画成される空間9に流入させるに際しては、背圧室を有するベーン型オイルポンプにおける従来の一般的な構成のものを適用することができ、例えば、ロータ2の端部に配置されるサイドプレートやケース等の図示しない部材に、吐出ポート7と空間9とを連通させるためのバイパスを形成する等で構成することができる。
【0017】
上記構成により、カムリング5内に収容された回転可能なロータ2に、半径方向外方に張り出し可能に設けられた複数個のベーン4を具え、それらベーン4の背圧室2cに吐出圧が導かれ、その導かれた背圧室2cの油圧をベーン4に供給させることができる。
【0018】
かかる構成のベーン型オイルポンプにおいて、本実施の形態では、背圧室2cに導く吐出圧をロータ2の回転速度としての回転数の上昇に応じて増大させる背圧室調圧手段を具えた構成とする。ここでの背圧室調圧手段は、背圧室2cに吐出圧を導く後述するオリフィスを具え、そのオリフィスを拡大させることにて、背圧室2cに導く吐出圧を、ロータ2の回転数の上昇に応じて増大させるものである。
【0019】
即ち、上記背圧室調圧手段のオリフィスは、ロータ2の半径方向に貫通する連通部としての連通溝10aを有しロータ2の側面に設けた周方向溝2gに収容されそのロータ2の周方向に移動自在な弁体10と、その弁体10に弾性力を付与する弾性部材としてのスプリング11と、そのスプリング11の弾性力に抗して駆動トルクを付与する駆動力伝達部材としての駆動爪3aとで構成される。なお、弁体10は、ロータ2の中心に対して点対称で全周に二ヵ所以上設けることが望ましく、かかる構成によれば、偏力が出ないので、軸受が楽になる。それゆえ、本実施例では、図1に示すように、ロータ2の中心に対して点対称に設けた二個の駆動爪3aを駆動力伝達部材として用い、弁体10が点対称位置に配置されるように全周の二箇所にオリフィスを設けている。
【0020】
ここでの弁体10は、図3に斜視図で示すように、円弧状に湾曲した瓦状の板部材で構成されており、その弁体10には、軸線方向の一端面の周方向中央部付近に、板の厚み方向に貫通する連通溝10aが設けられている。また、上記周方向溝2gは、図1に示すように、ロータ2の両端面に、貫通穴2bに連通しかつ半径方向溝2fを跨ぐように形成される。そして、その周方向溝2g内に、図1及び図2に示すように、弁体10が挿入されるとともに、貫通穴2bから遠ざかる側の、周方向溝2gの端部と弁体10との間に圧縮されたスプリング11を介挿する。かかる構成により、図1及び図2に示すように、ロータ2の周方向溝2g内に挿入された弁体10は、一端をスプリング11で支持されるとともにそのスプリング11の弾性力により他端が貫通穴2bに挿入された駆動爪3aに当接する。
【0021】
さらに本実施の形態では、スプリング11を収容した周方向溝2g内に吐出圧を導く図示しない油路を形成し、スプリング11の弾性力を付勢するように吐出圧を弁体10に導いている。
【0022】
上記構成になる本実施の形態のベーン型オイルポンプ1にあっては、ロータ2の低回転時に、図4(a)に示すように、スプリング11の弾性力により弁体10が駆動爪3a側に押圧される。従って、ロータ2の低回転時には、弁体10の連通溝10aが駆動爪3a側に位置することから、空間9と背圧室2cとを連通させる半径方向溝2fの流路が弁体10により遮られる。これにより、背圧室2cの油圧は初期の低圧状態を維持することとなる。そしてロータ2の回転数が上昇するとその上昇とともに弁体10が駆動爪3aから受ける駆動トルクが増し、駆動爪3aが矢印γの方向に移動するようになる。
【0023】
かかる駆動爪3aの移動により、図4(b)に示すように、弁体10の連通溝10aが半径方向溝2f上に位置するようになると、図中矢印δで示すように空間9から半径方向溝2fを介して背圧室2cへオイルが流入するようになる。そしてロータ2の回転数の上昇に応じて駆動爪3aの移動量が多くなるにつれて、弁体10の連通溝10aと半径方向溝2fとの連通部分の面積が徐々に大きくなることから、背圧室2cに導く吐出圧を徐々に増大させることができる。このようにして、背圧室調圧手段で、背圧室2cに導く吐出圧をロータ2の回転数の上昇に応じて増大させることができる。さらにロータ2の高回転時においては、弁体10の連通溝10aと半径方向溝2fとの連通部分が最大となり、背圧室2cに導く吐出圧を最大にすることができる。
【0024】
なお、背圧室2cの初期の油圧を、漏れ等を考慮して所定値になるように予めチューニングしておくものとする。また、スプリング11による弾性力、連通溝10aの位置や大きさを等を適宜変更することでロータ2の回転数の上昇に伴う吐出圧の増大のタイミングやその程度の微調整を行なうこともできる。
【0025】
ここで、図5に、カムリング5の内周面へのベーン4の押付力とロータ2の回転数との関係を示す。図5中、破線L1は、ロータ2の低回転時におけるカムリング5内周面へのベーン先端シール用必要押付力の関係を示し、破線L2は、ロータ2の高回転時におけるカムリング5内周面からのベーン4の離間限界の関係を示す。また図5中、一点差線L3は、背圧によりベーンを押圧する従来の一般的な構成において背圧室の油圧が低い場合の関係を示し、一点鎖線L4は、背圧によりベーンを押圧する従来の一般的な構成において、背圧室の油圧が高い場合の関係を示す。そして図5中、実線L5は、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1について空間9の油圧が低い場合の関係を示し、実線L6は、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1について、空間9の油圧が高い場合において、周方向溝2g内への吐出圧の供給がないときの関係を示す。
【0026】
図5に示すように、例えば一点差線L3において示すように、主に、ベーンに働く力はベーン遠心力(F=mrω)とベーン背圧力とが働くと考えられるところ、従来の一般的な構成のものでは、ロータの回転数が変化しても背圧力が一定であるため、一点差線L3,L4に示す関係は、理想的な関係を示す破線L1,L2に対して、特に、低回転から中回転での押付力の大半が無駄になってしまうことが分かる。これに対して、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1によれば、実線L5,L6で示す吐出圧が低圧及び高圧のいずれの関係においても、一点差線L3,L4で示す従来の構成のものに対して、理想的な押付力の関係を示す破線L1,L2に近づくことが分かる。
【0027】
しかも、本実施の形態では、周方向溝2g内に吐出圧を導き、弁体10にスプリング11側から背圧を加えることにより、スプリング11の弾性力とともに、駆動トルクに抗した力を弁体10に作用させることができる。これにより、図6中、直線L5に示す高圧の場合の関係における立ち上り点を、矢印εで示すように高回転側に移動させることができるから、高回転時における不要な押付力をさらに抑制することができる。なお、周方向溝2g内に吐出圧を導く油路には必要に応じて絞り等を設けて流量を調節することにより、上記関係の立ち上り点を調節することもできる。
【0028】
従って、ロータ2の低回転時には、不要な押付力の発生を防止させ得て、カムリング5の内周面とベーン4先端との間の摩擦の発生を防ぐことができる。また、ロータ2の高回転時には、離間限界以上の押付力を確保することができるととともに、離間限界における押付力に近づけることができる。従って、ロータ2の高回転時においても、ベーン4先端がカムリング5の内周面から離間するのを確実に防ぐことができるとともに、摩擦の発生を防止することができる。なお、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1では、上記破線L1で示すベーン先端シール用必要押付力分の押付力を、オリフィスの最閉時の状態を変更することで調節することができ、また上記破線L2で示すベーン離間限界分の押付力を、スプリング11の設定荷重を変更することで調節することができる。
【0029】
従って、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1によれば、背圧室調圧手段が、背圧室2cに吐出圧を導くオリフィス(3a,10,10a,11)を具えそのオリフィスを拡大させることにて、ベーン4の背圧室2cに導く吐出圧をロータ2の回転数の上昇に応じて増大させるから、カムリング5内周面へのベーン4の押付力が小さくてよい、ロータ2の低回転時においては背圧室2cの油圧を低圧にすることができて、不要な押付力により摩擦の発生を防止することができる。一方、ロータ2の高回転時においては、ベーン4の固有振動数に達した場合のカムリング5内周面とベーン4先端との離間を防止させるべくベーン4の押付力を大きくする必要があるが、背圧室調圧手段で、ベーン4の背圧室2cに導く吐出圧をロータ2の回転数の上昇に応じて増大させるから、その回転数の上昇に伴い背圧室2cの油圧を高めて、カムリング5へのベーン4の押付力を大きくすることができる。
【0030】
即ち、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1によれば、ロータ2の低回転時においては、カムリング5内周面へのベーン4先端の不必要な押付力による摩擦の発生を防ぐことができ、またロータ2の高回転時においては、カムリング5内周面とベーン4先端との離間によるシール不良を防止させつつ不要な押付力による摩擦の発生を防ぐことができるから、ポンプ性能を向上させ得て、オイルポンプ1が用いられる車両の燃費及び動力性能の向上にも効果的である。
【0031】
ところで、オイルポンプの駆動トルクは、油圧を発生させるための油圧トルクと、ベーン4とロータ2との摺動抵抗や、ベーン4先端とカムリング5内周面との摩擦抵抗などの機械損失トルクとで決定され、その駆動トルクは回転数の上昇とともに上昇する。これに関し、本実施の形態のベーン型オイルポンプ1にあっては、駆動軸3の駆動爪3aで、駆動トルクを弁体10に伝達してその弁体10を移動させることができるから、駆動力伝達部材として別途部材を設けることなく、簡易な構成にて、回転数の上昇に伴うロータ2の増大に応じてオリフィスを拡大させることができる。
【0032】
しかも、吐出圧が高圧の場合は、吐出圧が低圧の場合によりもカムリング5内周面へのベーン4の押付力を全体的に大きくすることが必要とされるところ、本実施の形態では、上記駆動爪3aで、吐出圧の上昇に伴う駆動トルクの増大に応じてオリフィスを拡大することができるから、吐出圧の高低に応じた押付力をベーン4に付与することができる。
【0033】
加えて本実施の形態のベーン型オイルポンプ1によれば、スプリング11の弾性力を付勢するように吐出圧を弁体10に導くから、吐出油圧が高い場合において、駆動トルクの上昇に応じて、ロータ2が高回転になる前にオリフィスが増大するのを防止させ得て、中〜高回転時における不要な押付力の発生を確実に防止することができる。
【0034】
図6及び図7は、本発明の第二実施の形態になるベーン型オイルポンプの要部を示し、図6は本実施の形態のベーン型オイルポンプの要部の概略断面図であり、図7は図6のC−C線に沿い矢印の方向から見た状態で示す断面図である。なお、先の第一実施の形態における図1及び図2に示す構成と同様の構成を有するものには同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0035】
先の第一実施の形態のベーン型オイルポンプ1では、図1及び図2に示すように、駆動爪3aと弁体10とを別体として構成したが、本実施の形態のベーン型オイルポンプ21では、第一実施の形態の構成における駆動軸3の駆動爪3aと弁体10とを一体的に形成した構成としている。即ち、本実施の形態では、図6及び図7に示すように、駆動軸3の駆動爪3aに、連通部として、ロータ2への装着時にそのロータ2の半径方向に貫通するように連通穴3bを形成する。そして、その駆動爪3aをロータ2の周方向に延在する貫通穴2b内に挿入するとともに、駆動爪3aとそれに対向する貫通穴2bとの間に圧縮されたスプリング11を介挿する。
【0036】
かかる構成の第二実施の形態のベーン型オイルポンプ21によれば、駆動軸3の駆動爪3aに、先の第一実施の形態における弁体10と同様の機能を持たせることができるから、上記第一実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができるとともに、別部材として弁体を設けることを不要とさせ得て、ベーン型オイルポンプをより簡易な構成とすることができる。
【0037】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであることはもちろんである。例えば、上記実施の形態では、背圧室2cに吐出圧を導くオリフィス10,10a,11,3aを空間9と背圧溝2dとを連通させる半径方向溝2f上に構成したが、オリフィスを設ける位置はこれに限られるものではなく、例えば、吐出ポート7から空間9へ流入するまでの間に設けた構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のベーン型オイルポンプの第一実施の形態になるベーン型オイルポンプの要部の概略断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿い矢印の方向から見た状態で示す断面図である。
【図3】上記第一実施の形態で用いられる弁体の斜視図である。
【図4】上記第一実施の形態のベーン型オイルポンプの作用説明図であり、(a)は、半径方向溝2fの流路が弁体10により遮られた状態を示し、(b)は、半径方向溝2fの流路が弁体10の連通溝10aにより連通しているときの状態を示す。
【図5】カムリング5の内周面へのベーン4の押付力とロータ2の回転数との関係を示す関係線図である。
【図6】本発明のベーン型オイルポンプの第二実施の形態になるベーン型オイルポンプの要部の概略断面図である。
【図7】図6のC−C線に沿い矢印の方向から見た状態で示す断面図である。
【符号の説明】
1,21 ベーン型オイルポンプ
2 ロータ
2a ベーン摺動溝
2b 貫通穴
2c 背圧室
2d 背圧溝
2e 内周壁
2f 半径方向溝
2g 周方向溝
3 駆動軸
3a 駆動爪
3b 連通穴
4 ベーン
5 カムリング
6 吸入ポート
7 吐出ポート
8 ピン
9 空間
10 弁体
10a 連通溝
11 スプリング

Claims (7)

  1. カムリング内に収容された回転可能なロータに、半径方向外方に張り出し可能に設けられたベーンを具え、前記ベーンの背圧室に吐出圧を導き、前記背圧室の油圧を前記ベーンに供給するベーン型オイルポンプにおいて、
    前記背圧室に導く吐出圧を前記ロータの回転速度の上昇に応じて増大させる背圧室調圧手段を具えることを特徴とするベーン型オイルポンプ。
  2. 前記背圧室調圧手段は、前記背圧室に吐出圧を導くオリフィスを具えそのオリフィスを拡大させることにて、前記背圧室に導く吐出圧を、前記ロータの回転速度の上昇に応じて増大させるものであることを特徴とする請求項1記載のベーン型オイルポンプ。
  3. 前記背圧室調圧手段は、前記ロータの前記回転速度の上昇に伴う前記ロータの駆動トルクの増大に応じて前記オリフィスを拡大させるものであることを特徴とする請求項2記載のベーン型オイルポンプ。
  4. 前記背圧室調圧手段は、前記吐出圧の上昇に伴う前記ロータの駆動トルクの増大に応じて前記オリフィスを拡大することを特徴とする請求項2又は請求項3記載のベーン型オイルポンプ。
  5. 前記背圧室調圧手段のオリフィスを、
    ロータの半径方向に貫通する連通部を有し、前記ロータの側面に設けた周方向溝に収容されそのロータの周方向に移動可能な弁体と、
    前記弁体に弾性力を付与する弾性部材と、
    前記弾性部材の弾性力に抗して前記駆動トルクを付与する駆動力伝達部材と、で構成することを特徴とする請求項2から請求項4までの何れか一項に記載のベーン型オイルポンプ。
  6. 前記吐出圧を、前記弾性部材の弾性力を付勢するように前記弁体にも導くことを特徴とする請求項5記載のベーン型オイルポンプ。
  7. 前記弁体と前記駆動力伝達部材とを一体的に形成することを特徴とする請求項5又は請求項6記載のベーン型オイルポンプ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009510311A (ja) * 2005-09-30 2009-03-12 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング ベーンポンプ

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